JP4259741B2 - インクジェット記録装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェット記録装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置において使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧液室、液室等とも称される。)と、このインク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手段を駆動することでインク流路内インクを加圧してノズルからインク滴を吐出させるものであり、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するインク・オン・デマンド方式のものが主流である。
【0003】
従来、インク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるバブル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを平行に配置し(これにより形成されるギャップを「平行ギャップ」と称する。)、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などが知られている。
【0004】
ところで、インクジェットヘッドは、ノズルからインク滴を吐出するため、インク粘度が環境によって変化すると、安定したインク滴吐出特性(滴速度Vj、滴体積Mj、滴噴射方向の曲がり)が得られなくなり、画像品質が劣化する。また、環境変化だけでなく、非印字時にインク粘度が高くなると、ノズルの目詰まりが生じて、著しく画像が劣化する。特に、画質を向上するために、吐出インク滴を微小化しなければならないことから、ノズルの小径化が進んでおり、一層ノズルの目詰まりが生じ易くなっている。さらに、目詰まりを起こさないまでも、非印字時間の長さによって、次に印字信号が入力された際の滴吐出特性に差が生じて画質が低下する。
【0005】
そこで、例えば再公表特許WO97/32728に記載されているように、単一周期の基準信号に同期して、インク滴吐出が可能な振幅の第1の電気パルスと、この第1の電気パルスの振幅より小さく、ノズル内のインクをノズル内で流動させる第2の電圧パルスのいずれか一方を、目詰まり防止の回復処理動作時と印刷行程中に各圧力発生手段に印加するインクジェットプリンタの駆動方法が知られている。
【0006】
このインクジェットプリンタの駆動方法にあっては、第1の電気パルスと第2の電気パルスを同じタイミングで選択的に各圧力発生手段に印加するため、インクジェットヘッドのエネルギー発生手段をなす共通電極(振動板)と個別電極のうち、共通電極に与える電圧を切り換えるスイッチ手段と、個別電極の電圧を切り換えるスイッチ手段とを有し、かつ個別電極には2つの水準の電圧を切り換えて与えるようにしている。
【0007】
また、従来、二種類の駆動パルスを選択的にヘッドに与える構成としては、図19に示すように、二種類の駆動パルス(吐出パルスとメニスカス振動パルス)を同じタイミングで並列的に発生させて、3端子スイッチ201を用いていずれかの駆動パルスをエネルギー発生手段202に与える構成が採用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したインクジェットヘッドの駆動方法にあっては、第1の電気パルスとこの第1の電気パルスより振幅の小さな第2の電気パルスを同じタイミングで選択的に各圧力発生手段に印加するため、回路構成が複雑になり、コストが高くなる。また、二種類の駆動パルスを同じタイミングで発生させて、3端子スイッチを用いていずれかの駆動パルスを選択する場合、3端子スイッチは実質的にスイッチが2個必要になってコストが高くなり、しかもノズル数分必要なために多ノズル化の下ではコスト増が著しくなる。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、単純な構成で、振動板の耐久性を確保しながら、インクメニスカスを振動させてノズルの目詰まりを防止するインクジェット記録装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置及び画像形成装置は、
1駆動周期内でインク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段と、
印字信号に応じて第1駆動波形を選択し、印字信号とは関係なく、n回(nは2以上の整数)の駆動周期毎に発生されるメニスカス振動選択信号に応じて第2駆動波形を選択して複数の電極に同時に印加させる手段と
を備えたものである。
【0012】
これらの各インクジェット記録装置において、温度及び/又は湿度の検出結果に基づいてメニスカス振動選択信号による第2駆動波形の選択頻度を変更することが好ましい。また、第1駆動波形は複数のパルスからなり、印字信号に応じてパルス数を選択する手段を備えていることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係るインクジェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機構部の側面説明図である。
【0014】
このインクジェット記録装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0015】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側にはヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着している。
【0016】
インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッド14へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクをヘッド14内に供給する。
【0017】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0018】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド14としては、後述するように、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板とこれに対向する電極とを備え、静電力で振動板を変形変位させてインクを加圧する静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0019】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0020】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0021】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0022】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37を配置している。回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14をキャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0023】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0024】
次に、このインクジェット記録装置のヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて図3乃至図6を参照して説明する。なお、図3はインクジェットヘッドの分解斜視説明図、図4は同ヘッドの振動板長手方向に沿う断面説明図、図5は同ヘッドの振動板長手方向に沿う要部拡大断面説明図、図6は同ヘッドの振動板短手方向に沿う要部拡大断面図である。
【0025】
インクジェットヘッド40は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板などのシリコン基板等を用いた第一基板である流路基板41と、この流路基板41の下側に設けたシリコン基板、パイレックスガラス基板、セラミックス基板等を用いた第二基板である電極基板42と、流路基板41の上側に設けた第三基板であるノズル板43とを備え、複数のインク滴を吐出するノズル44、各ノズル44が連通するインク流路である加圧室46、各加圧室46にインク供給路を兼ねた流体抵抗部47を介して連通する共通液室流路48などを形成している。
【0026】
流路基板41には加圧室46及びこの加圧室46の壁面である底部をなす第1電極を兼ねた振動板50を形成する凹部を形成し、ノズル板43には流体抵抗部47を形成する溝を形成し、また流路基板41と電極基板42には共通液室流路48を形成する貫通部を形成している。
【0027】
ここで、流路基板41は、例えば単結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板厚さにボロンを注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロン層を形成し、電極基板42と接合した後、加圧室46となる凹部をKOH水溶液などのエッチング液を用いて異方性エッチングすることにより、このとき高濃度ボロン層がエッチングストップ層となって振動板50が高精度に形成される。また、多結晶シリコン基板で振動板50を形成する場合は、液室基板上に振動板となる多結晶シリコン薄膜を形成する方法、または、予め電極基板42を犠牲材料で平坦化し、その上に多結晶シリコン薄膜を成膜した後、犠牲材料を除去することで形成できる。
【0028】
なお、振動板50に別途電極膜を形成してもよいが、上述したように不純物の拡散などによって振動板が電極を兼ねるようにしている。また、振動板50の電極基板42側の面に絶縁膜を形成することもできる。この絶縁膜としてはSiO2等の酸化膜系絶縁膜、Si3N4等の窒化膜系絶縁膜などを用いることができる。絶縁膜の成膜は、振動板表面を熱酸化して酸化膜を形成したり、成膜手法を用いたりすることができる。さらに、この流路基板1には共通電極を設けている。この共通電極は、Al等の金属をスパッタしてシンタリング(熱拡散)することにより付設しており、流路基板1との導通を確保して、半導体基板よりなる流路基板1とオーミックコンタクトを取っている。
【0029】
また、電極基板42には酸化膜層42aを形成し、この酸化膜層42aの部分に凹部54を形成して、この凹部54底面に振動板50に対向する第2電極である電極15を設け、振動板50と電極55との間に所定のギャップ56(ギャップ0.2μmとしている。)を形成し、これらの振動板50と電極55とによってアクチュエータ部を構成している。なお、電極55表面にはSiO2膜などの酸化膜系絶縁膜、Si3N4膜などの窒化膜系絶縁膜からなる電極保護膜57を成膜しているが、電極表面55に電極保護膜57を形成しないで、振動板50側に絶縁膜を形成することもできる。
【0030】
これらの流路基板41と電極基板42との接合は、接着剤による接合も可能であるが、より信頼性の高い物理的な接合、例えば電極基板42がシリコンで形成される場合、酸化膜を介した直接接合法を用いることができる。この直接接合は1000℃程度の高温化で実施する。また、電極基板42がガラスの場合、陽極接合を行うことができる。電極基板42をシリコンで形成して、陽極接合を行う場合には、電極基板42と流路基板41との間にパイレックスガラスを成膜し、この膜を介して陽極接合を行うこともできる。さらに、流路基板41と電極基板42にシリコン基板を使用して金等のバインダーを接合面に介在させた共晶接合で接合することもできる。
【0031】
また、電極基板42の電極55としては、通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられるAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W等の高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結晶シリコン材料などを用いることができる。電極基板42をシリコンウエハで形成する場合には、電極基板42と電極55との間には絶縁層(上述した酸化膜層42a)を形成する必要がある。電極基板42にガラス等の絶縁性材料を用いる場合には電極55との間に絶縁層を形成する必要はない。
【0032】
また、電極基板42にシリコン基板を用いる場合、電極55としては、不純物拡散領域を用いることができる。この場合、拡散に用いる不純物は基板シリコンの導電型と反対の導電型を示す不純物を用い、拡散領域周辺にpn接合を形成し、電極55と電極基板42とを電気的に絶縁する。
【0033】
ノズル板43は多数のノズル44を二列配置して形成したものであり、吐出面には撥水処理を施している。ここでは、このノズル板43はNi電鋳工法で製作しているが、この他、例えば樹脂と金属層の複層構造のものなども用いることができる。このノズル板43は流路基板41に接着剤にて接合している。
【0034】
このインクジェットヘッド40ではノズル44を二列配置し、この各ノズル44に対応して加圧室46、振動板50、電極55なども二列配置し、各ノズル列の中央部に共通液室流路48を配置して、左右の加圧室46にインクを供給する構成を採用している。これにより、簡単なヘッド構成で多数のノズルを有するマルチノズルヘッドを構成することができる。
【0035】
そして、インクジェットヘッド40の電極55は外部に延設して接続部(電極パッド部)55aとし、これにヘッド駆動回路であるドライバIC60を搭載したFPCケーブル61を異方性導電膜などを介して接続している。このとき、電極基板42とノズル板43との間は図4に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤62にて気密封止している。
【0036】
さらに、インクジェットヘッド40全体をフレーム部材65上に接着剤で接合している。このフレーム部材65にはインクジェットヘッド40の共通液室流路48に外部からインクを供給するためのインク供給穴66を形成しており、またFPCケーブル61等はフレーム部材65に形成した穴部67に収納される。
【0037】
このフレーム部材65とノズル板43との間は図4に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤を用いたギャップ封止剤68にて封止し、撥水性を有するノズル板43表面のインクが電極基板42やFPCケーブル61等に回り込むことを防止している。
【0038】
そして、このヘッド14のフレーム部材65にはインクカートリッジ15とのジョイント部材70が連結されて、フィルタ71を介してインクカートリッジ15からインク供給穴66を通じて共通液室流路48にインクが供給される。
【0039】
このインクジェットヘッド40においては、振動板50を共通電極とし、電極55を個別電極として、振動板50と電極55との間に駆動電圧を印加することによって、振動板50と電極55との間に発生する静電力によって振動板50が電極55側に変形変位し、この状態から振動板50と電極55間の電荷を放電させることによって振動板50が復帰変形して、加圧室46の内容積(体積)/圧力が変化することによって、ノズル44からインク滴が吐出される。
【0040】
すなわち、個別電極とする電極55にパルス電圧を印加すると、共通電極となる振動板50との間に電位差が生じて、個別電極55と振動板50の間に静電力が生じる。この結果、振動板50は印加した電圧の大きさに応じて変位する。その後、印加したパルス電圧を立ち下げることで、振動板50の変位が復元して、その復元力により加圧室46内の圧力が高くなり、ノズル44からインク滴が吐出される。この場合、振動板50を電極55(実際には絶縁保護膜57表面)に当接するまで変位させる方式を当接駆動方式、振動板50を電極55に当接させない位置まで変位させる方式を非当接駆動方式と称する。
【0041】
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図7を参照して説明する。
この制御部は、この記録装置全体の制御を司るマイクロコンピュータ(以下、「CPU」と称する。)80と、プログラム、駆動波形の電圧値データなどの所要の固定情報を格納したROM81と、ワーキングメモリ等として使用するRAM82と、ホスト側から転送される画像データを処理したデータを格納する画像メモリ83と、パラレル入出力(PIO)ポート84と、入力バッファ85と、パラレル入出力(PIO)ポート86と、波形生成回路87と、ヘッド駆動回路(ドライバIC)88及びドライバ89等を備えている。
【0042】
ここで、PIOポート84にはホスト側から画像データなどの各種情報、図示しない操作パネルからの信頼性回復指示情報等の各種指示情報、用紙の始端、終端を検知する紙有無センサからの検知信号、キャリッジ13のホームポジション(基準位置)を検知するホームポジションセンサ、環境温度を検出(検知)する温度センサ91、環境湿度を検出(検知)する湿度センサ92等の各種センサからの信号等が入力され、またこのPIOポート84を介してホスト側や操作パネル側に対して所要の情報が送出される。
【0043】
また、波形生成回路87は、インクジェットヘッド40の振動板50と電極55との間にインク滴を吐出させるエネルギーを発生する、つまり、振動板50をインク滴が吐出するだけの変位量、タイミングで電極55側に変位させるインク滴を吐出するための第1駆動波形(以下「吐出パルス」ともいう。)P1と、振動板50をインク滴が吐出しないだけの変位量、タイミングで電極55側に変位させる第2駆動波形(以下「メニスカス振動波形」又は「メニスカス振動パルス」という。)P2とを時系列で生成して出力する。
【0044】
ヘッド駆動回路(ドライバIC)88は、PIOポート86を介して与えられる各種データ及び信号に基づいて、ヘッド14の各ノズル44に対応するエネルギー発生手段(振動板50と電極55)に対して吐出パルスP1及び/又はメニスカス振動パルスP2を印加する。さらに、ドライバ89は、PIOポート86を介して与えられる駆動データに応じて主走査モータ17及び副走査モータ27を各々駆動制御することで、キャリッジ13を主走査方向に移動走査し、搬送ローラ24を回転させて用紙3を所定量搬送させる。
【0045】
次に、本発明の第1実施形態に係るこのインクジェット記録装置におけるヘッド駆動制御部について図8を参照して説明する。
このヘッド駆動制御部は、前述したCPU80、ROM81、RAM82及び周辺回路等を含む主制御部101と、波形生成回路87と、アンプ102と、駆動回路(ドライバIC)103等とを備えている。
【0046】
主制御部101は、波形生成回路87に対して吐出パルスP1とメニスカス振動パルスP2を生成するためのデータを与え、ドライバIC103に対して印字信号(シリアルデータである)SD、シフトクロックCLK、ラッチ信号LAT、メニスカス振動選択信号(1/n)などを与える。このメニスカス振動選択信号(1/n)は、n回の駆動周期に1回の割合でメニスカス振動を選択する(ここでは「1」になる。)信号である。
【0047】
波形生成回路87は、インクジェットヘッド40のアクチュエータ部に対してノズル44からインク滴を吐出させる吐出パルスP1と、ノズルからインク滴を吐出させない程度に振動板50を変形させるメニスカス振動パルスP2とを1駆動周期内で時系列で生成して出力する。
【0048】
この波形生成回路87にはD/A変換器を用いて主制御部101から与えられる電圧値データをD/A変換することにより吐出パルスP1及びメニスカス振動パルスP2を時系列で生成出力するようにしている。主制御部101のROM81には各パルスP1、P2を一体とするデータを格納しており、このROM81と波形生成回路87で吐出パルスP1とメニスカス振動パルスP2を時系列で生成して出力する手段を構成している。
【0049】
ドライバIC103は、印字信号SDに応じて波形生成回路87から与えられる吐出パルスP1を選択して各個別電極55に印加し、また、印字信号SDとは独立したメニスカス振動選択信号(1/n)に応じてメニスカス振動パルスP2を選択して複数の電極55に同時に印加する。
【0050】
すなわち、ドライバIC103は、主制御部101からのシリアルクロックCLK及び印字信号であるシリアルデータSDを入力するシフトレジスタ105と、シフトレジスタ105のレジスト値を主制御部101からのラッチ信号LATでラッチするラッチ回路106と、ラッチ回路106の出力値とメニスカス振動選択信号(1/n)が入力される割り込み回路109と、割り込み回路109の出力値をレベル変化するレベル変換回路107と、このレベル変換回路107でオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ108と、からなる。アナログスイッチアレイ108は、インクジェットヘッド40のm個(ノズル数をm個とする。)の個別電極55に接続したアナログスイッチAS1〜ASmからなる。なお、インクジェットヘッド40の共通電極となる振動板50は接地している。
【0051】
そして、このシフトレジスタ105にシフトクロックに応じてシリアルデータ(印字信号)SDを取込み、ラッチ回路106でラッチ信号LATによってシフトレジスタ回路105に取り込んだシリアルデータSDをラッチして割り込み回路109を介してレベル変換回路107に入力する。このレベル変換回路107は、データの内容に応じて各アクチュエータ部の個別電極55に接続しているアナログスイッチASn(n=1〜m)をオン/オフする。
【0052】
このアナログスイッチASn(n=1〜m)には波形生成回路87からアンプ102を介して駆動波形Pv(吐出パルスP1及びメニスカス振動パルスP2)を与えているので、アナログスイッチASn(n=1〜m)がオンしたときの駆動波形Pvが選択されて個別電極55に与えられる。
【0053】
また、割り込み回路109は、ラッチ回路106の出力値とメニスカス振動選択信号(1/n)との論理和をとるOR回路109aなどからなり、メニスカス振動選択信号(1/n)が「1」のときにはラッチ回路106の出力値とは関係なく、出力を「1」にしてレベル変換回路107を介してすべての個別電極55のアナログスイッチAS1〜ASmをオン状態にする。
【0054】
したがって、メニスカス振動選択信号(1/n)が「1」のときには印字信号SDに関係なくメニスカス振動パルスP2がすべての個別電極55に印加されることになる。なお、メニスカス振動選択信号を複数にして、ブロックに分割した個別電極55にブロック単位で印加するようにすることもできる。
【0055】
次に、このように構成したインクジェット記録装置の作用について図9以降をも参照して説明する。
先ず、上述した構成のインクジェットヘッドにおけるインク滴吐出特性(インク滴吐出速度Vj及びインク滴体積Mj)の駆動波形(駆動信号)のパルス幅PWに対する依存性について図9を参照して説明する。
【0056】
インクジェットヘッド40の電極55にパルス電圧が印加されて振動板50が引き付けられる時には、加圧室46内には負圧が生じている。圧力は加圧室46の固有振動数で振動するので、パルス立ち下げ時の圧力は、パルス立ち上げ時の残留圧力振動と、復元圧力の重ね合せになる。
【0057】
したがって、静電型インクジェットヘッド40においては、印加するパルス電圧のパルス幅によってインク滴吐出特性に差が生じる。すなわち、例えば、図9に示すように、吐出特性(吐出滴速度Vj、吐出滴質量Mj)は、パルス幅PWによる圧力の重ね合せのタイミングによって変動する。
【0058】
この図9に示す例の場合、パルス幅PWを4μsecより狭く設定した場合、吐出滴速度Vj及び吐出滴体積Mjが第1のピークになるパルス幅と次の第2のピークになるパルス幅の間のパルス幅に設定した場合では、インク滴が吐出されないことが分かる。
【0059】
つまり、パルス電圧の印加により振動板50が変位し始めて、ギャップ長の1/3の位置に達するまでの時間内にパルスを立ち下げるような、短い時間の(パルス幅の狭い)パルスや、圧力振動が相殺されるようなタイミングに当たるパルス幅では、振動板50はインク滴が吐出するほどの復元力にならないため、インク滴は吐出せずにノズル44内のメニスカスが振動するのみとなる。
【0060】
また、パルス立ち下げ時間を長くとり、振動板50の変位の復元をゆっくり行うことでも、インク滴を吐出させずにノズル44内のメニスカスのみを振動させることが可能である。これらの特性を積極的に利用することで、インクの増粘によるノズル目詰まりを予防することができる。
【0061】
そこで、ヘッド駆動制御部の主制御部101と波形生成回路87によって、駆動波形(駆動電圧)Pvとして、図10(a)に示すように、パルス幅PW1のパルスを吐出パルスP1とし、吐出パルスP1よりも狭いパルス幅PW2の二個のパルスからなるメニスカス振動パルスP2をヘッドの1駆動周期で繰り返し時系列で生成出力する。なお、ROM81には吐出パルスP1とメニスカス振動パルスP2とのデータをパルス間隔を含めて一纏めにして書き込んでいる。
【0062】
この波形生成回路87から1駆動周期毎に出力される吐出パルスP1と2個のパルスからなるメニスカス振動パルスP2はアンプ102を介してドライバIC103のアナログスイッチAS1〜ASmに与えられている。
【0063】
ここで、主制御部101から印字信号SDを与えることによって、例えば図10(c)に示すように、ドライバIC103のアナログスイッチASn(n=1〜mのいずれか)がオン又はオフし、アナログスイッチASnがオンしている間に入力される吐出パルスP1は同図(e)に示すように、スイッチASnに対応するインクジェットヘッド40の個別電極55に与えられる。
【0064】
また、主制御部101は、同図(b)に示すように2駆動周期毎に駆動周期内のタイミングTmの間オン(「1」)になるメニスカス振動選択信号(1/n)を割り込み回路109に出力する。したがって、同図(d)に示すように、メニスカス振動選択信号(1/n)が「1」の間(タイミングTmの間)、ドライバIC103のアナログスイッチAS1〜ASmがオンし、同図(e)に示すように2駆動周期毎にメニスカス振動パルスP2がすべてのアナログスイッチAS1〜ASmに対応するインクジェットヘッド40のすべての個別電極55に印加される。
【0065】
なお、ここでは、駆動波形の条件は、図9のパルス幅特性を参考にメニスカスの振動に使うメニスカス振動パルスP2のパルス幅を2μs、インク滴吐出に使う吐出パルスP1のパルス幅を6μs、電圧は両パルスとも30Vに設定した。パルス幅2μsのパルスでは、インク滴は吐出せず、メニスカスを振動させることができる。また、メニスカス振動パルスP2は2個のパルスを並べたが、パルス数はこれに限ったものではない。さらに、メニスカス振動選択信号(1/n)は2駆動周期毎にメニスカス振動を選択する信号(n=2)としたが、3以上の駆動周期毎にメニスカス振動を選択する信号(n=3…)とすることもできる。
【0066】
このように、インク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させないでメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段を備えることにより、そのいずれかを選択してインクジェットヘッドに与えるようにでき、ノズルのインクメニスカスを振動させて目詰まりを防止することができる。この場合、第1駆動波形と第2駆動波形とを時系列で生成出力することにより、各ノズル44に対して、第1駆動波形と第2駆動波形とを選択するスイッチ手段(アナログスイッチ)が1個で済むので、3端子スイッチを用いた場合よりも構成が簡単になり低コストが図れる。
【0067】
そして、インク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列に生成出力し、印字信号とは独立したメニスカス振動選択信号によって第2駆動波形は選択して電極に印加させることで、印字信号によってメニスカス振動波形を選択制御しなくても、メニスカス振動を適当な回数に設定することができ、必要以上に振動板を振動させることがないので耐久性が向上し、また省電力化にもつながる。さらに、例えば図11に示すように、メニスカス振動の選択に関するデータを印字信号として転送する必要もなくなる。
【0068】
そして、メニスカス振動の効果により、非印字が続くノズルに対してもインク攪拌が行われ、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑えて、印字画像の乱れを予防して、より高品質の画像を得ることができる。
【0069】
なお、メニスカス振動波形(第2駆動波形)は、上述したように第1駆動波形(吐出パルス)と同じ電圧値のパルス波形に限るものではなく、電圧の波高値を吐出パルスよりも小さくしたパルス、パルスの立ち下がりを緩やかにしたパルス、図9にあるようなパルス特性のピークとピークの間にあるインクを吐出しないパルス幅のパルス等を利用することができる。また、電圧が低ければ、正弦波など、パルス状でなくても良い。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置におけるヘッド駆動制御部について図12乃至図14を参照して説明する。
この実施形態のドライバIC113には、上記第1実施形態の割り込み回路112に代えて、主制御部101からのゲート信号G及びメニスカス振動選択信号(1/n)を入力するゲート/選択回路114を設けている。
【0071】
このゲート/選択回路114は、図13に示すように、印字信号(ラッチ回路106のラッチ出力)とゲート信号Gとの論理積をとるアンド回路115aを用いたゲート回路115と、印字信号(ラッチ回路106のラッチ出力)を反転した信号(インバータ116bの出力)とメニスカス振動選択信号(1/n)との論理積をとるアンド回路116aを用いたメニスカス振動選択回路116と、ゲート回路115の出力とメニスカス振動選択回路116の出力との論理和をとるOR回路114aとを有している。
【0072】
ここで、主制御部101から出力するメニスカス振動選択信号(1/n)は、前記第1実施形態と同様に、図14(b)に示すように駆動周期のn回(ここでは2回)毎にメニスカス振動パルスP2のタイミングでオンしてメニスカス振動を選択する信号である。また、ゲート信号Gは、同図(c)に示すように、1駆動周期内の吐出パルスP1のタイミングでオンする信号である。
【0073】
したがって、ゲート/選択回路114は、印字信号SDがオンでゲート信号GがオンのときにはアナログスイッチAS1がオンになり、吐出パルスP1を印加させ、印字信号SDがオフでメニスカス振動選択信号(1/n)がオンのときにも、その出力がオンになってアナログスイッチASnはオンになる。これにより、印字信号がオフの非印字ノズルについてのみメニスカス振動パルスP2が印加される。
【0074】
このように、印字信号(パラレルデータ)によって、直接アナログスイッチのオン/オフを決定するのではなく、印字信号によって、ゲート信号Gと、メニスカス振動選択信号(1/n)のいずれを選択している。ここで、駆動周期に対してメニスカス振動選択信号をオンする頻度を変えることで、非印字ノズルのメニスカス振動を適当な頻度に設定でき、必要以上に振動板を振動させることがないので耐久性が向上し、省電力化にもつながる。
【0075】
また、メニスカス振動選択信号をオンにした駆動周期では、吐出パルス(第1駆動波形)かメニスカス振動パルス(第2駆動波形)のいずれか一方の電圧は必ず印加されるため、この駆動周期でインクを攪拌していると考えてよい(吐出ビットのインクは入れ替わるので、全ビットについてインク増粘防止作用がある。)。
【0076】
これにより、非印字が続くノズルに対してもインク攪拌が行われ、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑えて、印字画像の乱れを予防して、より高品質の画像を得ることができる。
【0077】
次に、本発明の第3実施形態に係るインクジェット記録装置のヘッド駆動制御部について図15乃至図17を参照して説明する。
この実施形態においては、主制御部101及び波形生成回路87から生成出力する駆動波形は、図16(a)に示すように複数(ここでは3個)の吐出パルスP1とメニスカス振動パルスP2とを時系列化して形成している。
【0078】
そして、印字信号SDに応じてドライバIC118により吐出パルスP1のパルス数を選択することで階調を表現している。すなわち、図15に示すように、ドライバIC118は、シリアルの印字信号SDをシフトレジスタ105と2つのラッチ106a、106bにより、各ノズルに対して2ビット情報に変換し、この2ビット情報をデコーダ119に対するデコード信号(2ビットなので2ライン必要)によるロジック計算で復元して、アナログスイッチASnのオン/オフ時間を設定する。
【0079】
これにより、図16(c)に示すように印字信号SDAがオンの間同図(d)に示すようにアナログスイッチASAがオンして、このオン時間に応じたパルス数の吐出パルスP1が電極55Aに印加される。
【0080】
この場合、図17に示すように、1駆動周期内に2ビット分のデータを送れば良いので、吐出パルスP1の各パルス毎に印字信号SDを転送するよりも転送レートが低くなり、これは、多ノズル化、高速化に有利である。ただし、印字信号SDでメニスカス振動を選択しようとすると、「メニスカス振動」と全く駆動しない場合「0」を区別するために、「メニスカス振動」を多値化階調の一段階として扱わなければならず、一階調を犠牲にする必要がある。例えば、2ビット4階調「0」「小」「中」「大」→「0」「メニスカス振動」「小」「大」の3階調になる。
【0081】
そこで、ここでは、図16に示すように、ドライバIC118のデコーダ119に対してメニスカス振動選択信号(1/n)を与えて、表1に示すように印字信号SDが非吐出(ビット1=0、ビット2=0)の場合には、メニスカス振動選択信号(1/n)に基づいてアナログスイッチASnのオン/オフを決定するようにしている。
【0082】
【表1】
【0083】
すなわち、図16(f)に図示の期間印字信号SDBが「0」(オフ)になっている非印字のノズルを例にして示しているように、このノズルが対応するアナログスイッチASBは、同図(b)に示すメニスカス振動選択信号(1/n)がオンの間だけオンになり、同図(h)に示すように、対応する個別電極55Bにはメニスカス振動パルスP2が印加される。
【0084】
この場合、非印字ノズルのインク攪拌(メニスカス振動)頻度は、駆動周期に対してメニスカス振動選択信号(1/n)をオンにする頻度を変えることで容易に設定でき、階調性を犠牲にすることもなく、必要以上に振動板を振動させることがないので耐久性が向上し、また省電力化にもつながる。この例ではメニスカス振動周期が駆動周期の2倍になっているが、これに限るものでもない。
【0085】
また、メニスカス振動によるインク攪拌の効果により、非印字が続いたノズルに対しても、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑えて、印字画像の乱れを予防して、より高品質の画像を得ることができる。
【0086】
なお、メニスカス振動選択信号をオンにした駆動周期では、吐出パルスのいくつか、あるいはメニスカス振動波形の電圧は必ず印加されるため、この周期でインクを攪拌していると考えてよい。また、多値化駆動の場合、吐出パルスの各パルスで吐出したインク滴が紙面上に到達する前にマージすることが好ましい。
【0087】
次に、本発明の第4実施形態について図18を参照して説明する。
この実施形態では、温度センサ91及び湿度センサ92の検出結果に基づいてメニスカス振動パルスP2を選択する頻度を変更するようにしている。
【0088】
すなわち、同図に示すように、主制御部101は、温度センサ91からの検知信号を取り込んで環境温度を検出し、湿度センサ92からの検知信号を取り込んで環境湿度を検出する。
【0089】
そして、これらの検出した環境温度、環境湿度に基づき、例えば温度が30℃以上か否かを判別し、温度が30℃以上であれば、湿度が20%以下か否かを判別して、湿度20%以下であれば、すなわち、温度30℃以上で且つ湿度20%以下のときには、インクメニスカス振動選択信号(1/n)の周期nを2回に設定する。これにより、2駆動周期毎に1回メニスカス振動パルスP2が印加されてメニスカス振動が行われる。
【0090】
これに対して、温度が30℃以上であるが、湿度が20%を越えているときには、周期nを4回に設定して、4駆動周期毎に1回メニスカス振動パルスP2を印加させ、また、温度が30℃未満であれば、周期nを6回に設定して、6駆動周期毎に1回メニスカス振動パルスP2を印加させる。
【0091】
つまり、インクジェットヘッドにおけるノズル部のインク増粘は外部環境(温度や湿度)によって大きく異なる。例えば、メニスカス振動パルスによるインク攪拌を行わない場合、パージした後に吐出不安定が発生するまで時間は、外部環境が温度20℃−湿度50%の場合に比べて、 温度30℃−湿度20%では、半分程度の短い時間になる。これは、外部が乾燥し易い環境で、ノズル部のインク増粘が速いからである。
【0092】
一方、メニスカス振動を多く与え過ぎても、ノズル部のインク増粘を防止する効果は変わらない。特に、外部が乾燥し難い環境では、インク攪拌回数は少なくとも差し障りはない。
【0093】
そこで、本発明では、環境(温度及び/又は湿度)によってメニスカス振動させる回数を変更するようにしている。具体的には、上述したように、メニスカス振動選択信号をオンする周期nを変更するようにしている。これにより、ノズル部のインク増粘速度に合わせて、メニスカス振動の回数を適切に選択することができ、インク攪拌による増粘防止によってインク滴吐出特性の変動を抑えることができて高品質の画像を得られるとともに、振動板の振動回数を少なくできるので、振動板の耐久性確保、省電力駆動をすることが可能となる。
【0094】
なお、上記各実施形態においては、静電型インクジェットヘッドの振動板と電極の平面形状を矩形とした例で説明したが、平面形状を台形、三角形とすることもできる。また、上記各実施形態ではインクジェットヘッドは振動板と液室とを振動板/液室基板として同一部材から形成しているが、振動板と液室形成部材とを別部材で形成して接合することもできる。
【0095】
また、本発明で駆動制御するインクジェットヘッドのノズル、加圧室、流体抵抗部、共通流路液室の形状、配置、形成方法は適切に変更することができる。例えば、上記実施形態においては、ノズルは振動板の変位方向にインク滴が吐出するように形成したサイドシュータ方式のインクジェットヘッドであるが、ノズルを振動板の変位方向と交差する方向にインク滴が吐出するように形成したエッジシュータ方式のインクジェットヘッドでもよい。また、前述したようにプリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置及び液滴を吐出する装置にも本発明を適用することができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るインクジェット記録装置及び画像形成装置によれば、インク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段と、印字信号に応じて第1駆動波形を選択し、印字信号とは関係なく、n回(nは2以上の整数)の駆動周期毎に発生されるメニスカス振動選択信号に応じて第2駆動波形を選択して複数の電極に同時に印加させる手段とを備えたので、振動板の耐久性を損なうことなく、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑え高品質の画像を得ると共に、メニスカス振動の選択を印字信号で行わないので、低コスト化が実現できる。更に、第1駆動波形を複数のパルスにし、パルス数を選択して多値化する場合、メニスカス振動を階調の1段階としなくて良いので階調性が維持できる。
【0097】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、インク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段と、印字信号に応じて第1駆動波形を選択し、印字信号とメニスカス振動選択信号に応じて第2駆動波形を選択して非印字の複数の電極に同時に印加させる手段とを備えたので、振動板の耐久性を確保しつつ、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑え高品質の画像を得ると共に、メニスカス振動の選択を印字信号で行わないので、低コスト化が実現できる。更にまた、第1駆動波形を複数のパルスにし、パルス数を選択して多値化する場合、メニスカス振動を階調の1段階としなくて良いので階調性が維持できる。
【0098】
これらの各インクジェット記録装置において、温度及び/又は湿度の検出結果に基づいてメニスカス振動選択信号による第2駆動波形の選択頻度を変更することによって、外部環境に応じた適切なメニスカス振動を行うことができて、インクの増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑え高品質の画像を得ると共に、振動板の耐久性を確保することができる。
【0099】
また、第1駆動波形は複数のパルスからなり、印字信号に応じてパルス数を選択する手段を備えていることで、印字信号のビット情報は多値化の階調として用いることができ、階調を犠牲にすることなく、インクの増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑え、印字画像の乱れを予防し、より高品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部の概略斜視説明図
【図2】同機構部の側面説明図
【図3】同記録装置のヘッドの分解斜視説明図
【図4】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図5】同ヘッドの振動板長手方向の拡大断面説明図
【図6】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明図
【図7】同記録装置の制御部の一例を示すブロック図
【図8】本発明の第1実施形態に係るヘッド駆動制御部を示すブロック図
【図9】同ヘッドの駆動波形のパルス幅と吐出滴速度及び吐出滴体積の関係を説明する説明図
【図10】同ヘッド駆動制御部の作用説明に供する説明図
【図11】同ヘッド駆動制御部の作用説明のうちのデータ転送の対比説明に供する説明図
【図12】本発明の第2実施形態に係るヘッド駆動制御部を示すブロック図
【図13】同実施形態のゲート/選択回路の詳細を説明する説明図
【図14】同ヘッド駆動制御部の作用説明に供する説明図
【図15】本発明の第3実施形態に係るヘッド駆動制御部を示すブロック図
【図16】同ヘッド駆動制御部の作用説明に供する説明図
【図17】同ヘッド駆動制御部の作用説明のうちのデータ転送の説明に供する説明図
【図18】本発明の第4実施形態に係る主制御部の行う処理の一例を説明するフロー図
【図19】従来のインクジェット記録装置のヘッド駆動部の説明に供する説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…ヘッド、24…搬送ローラ、33…排紙ローラ、40…インクジェットヘッド、41…流路基板、42…電極基板、43…ノズル板、44…ノズル、46…加圧室、47…流体抵抗部、48…共通流路液室、50…振動板、55…電極、56…ギャップ、87…波形生成回路、91…温度センサ、92…湿度センサ、101…主制御部、109…割り込み回路、103、110、113…ドライバIC、114…ゲート/選択回路。
Claims (4)
- インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路と、このインク流路の一部の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極とを有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、
1駆動周期内でインク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段と、
印字信号に応じて前記第1駆動波形を選択し、前記印字信号とは関係なく、n回(nは2以上の整数)の駆動周期毎に発生されるメニスカス振動選択信号に応じて前記第2駆動波形を選択して複数の前記電極に同時に印加させる手段と
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、温度及び湿度の少なくともいずれかの検出結果に基づいて前記メニスカス振動選択信号による前記第2駆動波形の選択頻度を変更することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1又は2のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記第1駆動波形は複数のパルスからなり、印字信号に応じてパルス数を選択する手段を備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
- インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路と、このインク流路の一部の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向する電極とを有するインクジェットヘッドを搭載した画像形成装置において、
1駆動周期内でインク滴を吐出させる第1駆動波形とインク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段と、
印字信号に応じて前記第1駆動波形を選択し、前記印字信号とは関係なく、n回(nは2以上の整数)の駆動周期毎に発生されるメニスカス振動選択信号に応じて前記第2駆動波形を選択して複数の前記電極に同時に印加させる手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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