JP4258690B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、半導体素子や回路配線板などの製造への応用が可能であり、感度と解像度が高く、耐熱性に優れた樹脂層を得ることができるネガ型の感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の携帯化などによる軽薄短小化や高機能化が急速に進行している。これに伴い、半導体素子の小型化、高集積化が進行している。例えば、半導体チップ上に形成される半導体回路は、回路自身の高集積化とパッケージサイズの小型化による回路の微細化、チップを保護するパッケージ封止材の薄型化が進行し、信頼性を確保するためのパッシベーション膜などの保護膜をチップ表面の回路上に使用することが一般的になっている。また、さらなる高集積化のために層間絶縁膜を介して回路の多段化も進行している。
一方、半導体チップを封止する半導体パッケージの側にも、ボール・グリッド・アレイ(BGA)やチップ・スケール・パッケージ(CSP)、マルチチップ・モジュール(MCM)などの高密度実装を実現した新しいパッケージング技術が開発されている。これらの半導体パッケージは、インターポーザーと呼ばれるプラスチックやセラミックスなどの各種の材料を使って構成されるサブストレートを使用して、半導体チップの電極とプリント配線板との電気的接続を行っている。このサブストレート上に構成される回路は、小型化した半導体内に導入されるものであり、一般的なプリント配線板に比べて非常に細線化・高密度化が進んだものとなる。そこで、パッケージの形式により、この微細配線を保護する必要がある。さらに、これらの半導体パッケージが実装されるプリント回路配線板においても、配線の高密度化のために、基材上に絶縁樹脂を挟んで漸次配線層を形成して行くビルドアップ工法などの新しい技術が開発されている。
これらの保護樹脂あるいは層間絶縁樹脂に共通して要求される要件は、チップ接合や実装時に200〜300℃の高温に耐え得る高い耐熱性、配線の接合部や絶縁層の層間で導通を取るための孔加工性、特に基材上での加工が必要なインターポーザー用保護膜やビルドアップ回路板用層間絶縁膜は、その加工時基材にダメージを与えない程度の低温での加工性などが挙げられる。
従来は、特に耐熱性の必要な半導体チップ上の保護膜などの用途にはポリイミド樹脂、特に低温加工性の必要な回路基材上への保護膜や層間絶縁膜としてはエポキシ樹脂がそれぞれ使用されていた。さらに、高密度化した回路配線に対応した孔などのパターン加工を行うために、写真製版によって形成する(写真法)こと、即ちこれら樹脂に感光性を付与した感光性樹脂を使うことが有利である。
ポリイミド樹脂については、このような感光性を有するポリイミド、いわゆる感光性ポリイミドが開発され(例えば、特公昭55−30207号公報、特開昭54−145794号公報)、使用されている。これらの感光性ポリイミドは、一般的にその前駆体であるポリアミック酸のカルボキシル基に導入したメタクリレートの光ラジカル重合で架橋構造を形成し、その現像液に対する未架橋部との溶解性差を利用して孔などのパターン加工を行っている。このようなポリアミック酸をポリイミドに変換する際には、カルボキシル基と結合を形成しているメタクリレートの脱離が必要で、従来のポリアミック酸の熱閉環イミド化に比べより強い加熱が必要になる。しかも、脱離したメタクリレート構造はポリイミド中に残存すると耐熱性や機械特性などの特性を大きく低下させるために、ポリイミド本来の高い特性を発現させるためには、脱離したメタクリレート構造を高温で分解揮散させる必要がある。そのために、このような感光性ポリイミドは、通常のポリイミド樹脂に比べてもさらに高い温度での加工が必要となる。このような高温加工の改善のために、予め閉環させたポリイミドの側鎖にアクリレート構造を導入し低温加工性を実現した樹脂も提案されている(特開昭59−108031号公報など)が、加工後にアクリレート構造がそのまま樹脂中に残ることになり、耐熱性などの特性が劣ったものになってしまう。
エポキシ樹脂については、種々の感光性のエポキシ樹脂が回路配線保護用ソルダーレジストやビルドアップ用層間絶縁用樹脂として実用化されている。しかし、耐熱性やパッケージの薄型化により薄膜化する基材の変形に追随するための柔軟性などの特性を十分に満たすものはない。
高解像度で高感度のレジストとして好適な感光材料組成物として、感光基を有しないフラーレンとジアジド化合物などの感光剤とからなる感光材料組成物が提案されている(特許第2814174号公報)。しかし、この組成物は、フラーレンと低分子量のジアジド化合物からなるためにその溶液の粘度が低く、スピンコート法によって必要な厚さを保ったまま均一に塗布することが困難であり、フラーレンと低分子量のジアジド化合物の重合及び架橋により形成される被膜の強度と耐熱性が低く、さらに、現状では極めて高価なフラーレンをジアジド化合物の5重量倍以上配合するという経済的な問題も有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、半導体素子、回路配線板などの製造に応用することができ、感度と解像度が高く、耐熱性の優れた樹脂層を得ることができるネガ型の感光性樹脂組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、側鎖に特定の分子構造を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドに、酸素増感剤、特にフラーレンを配合することにより、従来の耐熱性感光性樹脂に比べて、感度、解像度及び耐熱性が大幅に向上した感光性樹脂組成物が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)一般式[1]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと酸素増感剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、
【化3】
(ただし、式中、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つはフラン、チオフェン又はピロール構造であるcis−ジエン構造を有する1価の有機基であり、残余は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に酸素、硫黄又は炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基若しくはアルキレンオキシ基であり、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に2価の芳香族基であり、l1、l2、m1及びm2はそれぞれ独立に0又は1である。ただし、l1が1のときはm1も1であり、l2が1のときはm2も1である。)、
(2)一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと酸素増感剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、
【化4】
(ただし、式中、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の少なくとも1つはフラン、チオフェン又はピロール構造であるcis−ジエン構造を有する1価の有機基であり、残余は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基であり、Y1は酸素、硫黄又は炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルキリデン基若しくはアルキレンオキシ基であり、n1は0又は1である。)、及び、
(3)酸素増感剤が、フラーレンである第(1)項又は第(2)項記載の感光性樹脂組成物、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性樹脂組成物の第1の形態は、一般式[1]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと酸素増感剤とを含有するものである。
【化5】
ただし、一般式[1]において、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つはcis−ジエン構造を有する1価の有機基であり、残余は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に酸素、硫黄又は炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基若しくはアルキレンオキシ基であり、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に2価の芳香族基であり、l1、l2、m1及びm2は、それぞれ独立に0又は1である。ただし、l1が1のときはm1も1であり、l2が1のときはm2も1である。
【0006】
本発明の感光性樹脂組成物の第2の形態は、一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと酸素増感剤を含有するものである。
【化6】
ただし、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の少なくとも1つはcis−ジエン構造を有する1価の有機基であり、残余は、それぞれ独立に水素、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基であり、Y1は酸素、硫黄又は炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルキリデン基若しくはアルキレンオキシ基であり、n1は0又は1である。なお、水素を置換するハロゲンなどの原子も置換基である。
本発明組成物において、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドは、cis−ジエン構造を有する1価の有機基で置換された芳香環のメタ位に主鎖が結合していることが特徴である。芳香環のパラ位に主鎖が結合していると、ポリアミック酸又はポリイミドの結晶性などの分子パッキングが増大する傾向にあり、特にcis−ジエン構造が導入された状態での現像液への溶解性が低下してしまう。その結果、光パターン作成時に、本来現像液に溶解されるべき未露光部と、光架橋された露光部との現像液に対する溶解速度の差が発現しにくくなり、コントラスト発現のために大量の露光が必要となる、良好な形状の樹脂パターンが得られにくい、未露光部の樹脂が完全に除去しにくいなど、パターン形成能が大きく低下してしまうおそれがある。本発明組成物のように、cis−ジエン構造を有する1価の有機基で置換された芳香環のメタ位に主鎖への結合を存在させれば、対応するポリアミック酸及びポリイミドの現像液に対する溶解性が向上し、その結果露光部と未露光部のコントラストが明確となり、光パターニング性が向上するものである。
【0007】
本発明組成物において、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位は、ポリアミック酸又はポリイミド中に1種のみが存在してもよく、2種以上が共重合単位として存在してもよい。本発明組成物において、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドは、1種のみが含有されていてもよく、2種以上が混合して含有されていてもよい。また、本発明組成物は、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有しないポリアミック酸又はポリイミドとの混合物とすることもできる。
一般式[1]及び一般式[2]において、cis−ジエン構造を有する1価の有機基としては、例えば、−CH2O−CO−D、−O−CO−D、−CO−O−CH2−D、−CH2O−CH2−D、−O−CH2−D、−NH−CO−D、−CO−NH−CH2−Dなどを挙げることができる。ただし、Dは、cis−ジエン構造である。Dで表されるcis−ジエン構造としては、例えば、シクロペンタジエニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、インドリジニル基、キノリジニル基などを挙げることができる。これらの中で、シクロペンタジエニル基、フリル基、ピロリル基及びチエニル基が特に好ましい。
一般式[1]及び一般式[2]において、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基、エチル基、ブチル基及びペンチル基が特に好ましい。
一般式[1]及び一般式[2]において、炭素数1〜20のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ラウリルオキシ基、イソプロピルオキシ基などを挙げることができる。これらの中で、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びペンチルオキシ基が特に好ましい。
【0008】
これらの官能基を有する一般式[1]で表される構造単位の例としては、下記の式[1−(1)]〜[1−(20)]で表される構造単位を挙げることができ、一般式[2]で表される構造単位の例としては、式[2−(1)]〜[2−(10)]で表される構造単位を挙げることができる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
本発明組成物に用いる一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドの製造方法に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシル基を有するジアミンとポリカルボン酸二無水物を反応したのち、cis−ジエン構造を有する1価の有機基を導入することができ、あるいは、cis−ジエン構造を有する1価の有機基を有するジアミンとポリカルボン酸二無水物を反応することもできる。
本発明において、ジアミンと反応させるポリカルボン酸二無水物に特に制限はなく、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデン二フタル酸無水物などを挙げることができる。これらの中で、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデン二フタル酸無水物を特に好適に用いることができる。
【0009】
cis−ジエン構造を有する1価の有機基を有しないジアミンとポリカルボン酸二無水物とを重合して得られるポリアミック酸又はポリイミドにcis−ジエン構造を有する1価の有機基を導入する場合、一般式[3]又は一般式[4]で表されるジアミンとポリカルボン酸二無水物を出発原料とすることができる。
【化12】
ただし、一般式[3]において、R13、R14、R15、R16の少なくとも1つはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はカルボキシル基であり、残余は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基であり、X3及びX4はそれぞれ独立に酸素、硫黄又は炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基若しくはアルキレンオキシ基であり、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に2価の芳香族基であり、l3、l4、m3及びm4はそれぞれ独立に0又は1である。ただし、l3が1のときはm3も1であり、l4が1のときはm4も1である。一般式[4]において、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24の少なくとも1つはヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はカルボキシル基であり、残余は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基であり、Y2は酸素、硫黄又は炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基,アルキリデン基若しくはアルキレンオキシ基であり、n2は0又は1である。なお、水素を置換するハロゲンなどの原子も置換基である。
一般式[3]で表されるジアミンとしては、例えば、3,5−ジアミノベンジルアルコール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸などを挙げることができる。一般式[4]で表されるジアミンとしては、例えば、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンジルアルコールなどを挙げることができる。
【0010】
本発明において、一般式[3]又は一般式[4]で表されるジアミンとポリカルボン酸二無水物を反応させる方法に特に制限はなく、公知の重合法によりポリアミック酸を合成することができる。例えば、一般式[3]で表されるジアミンとピロメリット酸二無水物をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒中において反応させることにより、一般式[5]で表される構造単位を有するポリアミック酸を得ることができる。さらに、一般式[5]で表される構造単位を有するポリアミック酸を脱水閉環反応することにより、一般式[6]で表される構造単位を有するポリイミドを得ることができる。
【化13】
一般式[5]で表される構造単位を有するポリアミック酸又は一般式[6]で表される構造単位を有するポリイミドに、cis−ジエン構造を有する1価の有機基を導入する方法に特に制限はなく、例えば、cis−ジエン構造を有するハロゲン化物を塩基の存在下に反応させることにより、一般式[5]で表される構造単位を有するポリアミック酸又は一般式[6]で表される構造単位を有するポリイミドのヒドロキシル基にcis−ジエン構造を有する1価の有機基を導入することができる。一般式[5]においてR15がヒドロキシル基であり、cis−ジエン構造を有するハロゲン化物がフルフリルブロミドである場合には、一般式[7]で表される構造単位を有するポリアミック酸が得られる。
【化14】
【0011】
本発明において、cis−ジエン構造を有する1価の有機基を有するジアミンとポリカルボン酸二無水物の反応により、ポリアミック酸又はポリイミドを合成する場合、用いることのできるcis−ジエン構造を有する1価の有機基を有するジアミンとしては、例えば、3,5−ジアミノベンジル−2−フロエート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−フルフリルオキシ−3−アミノフェニル)プロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジ(2−フロイルアミノ)ビフェニル、4,4'−ジフルフリルオキシ−3,3'−ジアミノビフェニルなどを挙げることができる。これらのジアミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はヒドロキシアルキル基を有する芳香族ジニトロ化合物にフルフリルブロミドなどのcis−ジエン構造を有するハロゲン化物を塩基の存在下に反応させ、引き続いてニトロ基を還元する方法などによって得ることができる。ニトロ基の還元方法に特に制限はなく、例えば、ヒドラジンによる還元、ニッケル、パラジウム、白金などの遷移金属触媒存在下での接触水素化反応、インジウム−塩化アンモニウム水溶液による還元などを挙げることができる。
本発明に用いられる一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドは、溶剤又はアルカリ水溶液に可溶性である。このポリアミック酸又はポリイミドは、酸素増感剤の作用で発生する一重項酸素と容易に反応し、過酸基を有するポリアミック酸又はポリイミドの中間体を形成する。この中間体は、直ちに、隣接するポリアミック酸又はポリイミドと反応し、互いに重縮合反応により架橋し、分子量を飛躍的に増大させる。これにより、ポリアミック酸又はポリイミドは不溶性となる。さらに、重縮合反応によって架橋したポリアミック酸又はポリイミドの耐熱性は飛躍的に増大する。本発明の感光性樹脂組成物は、従来の感光性ポリイミドとは異なり、光ラジカル重合によらず、cis−ジエン構造を一重項酸素により重縮合することによって架橋させるので、空気中の酸素によって反応が阻害されることがなく、得られる架橋樹脂の耐熱性が優れている。
【0012】
本発明において、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドの分子量は、5,000以上であることが好ましく、10,000〜1,000,000であることがより好ましく、50,000〜200,000であることがさらに好ましい。ポリアミック酸又はポリイミドの分子量が小さすぎると、均一な膜を得ることが困難になるおそれがある。ポリアミック酸又はポリイミドの分子量が大きすぎると、溶解性が低下し、均一に成膜することが困難になるおそれがある。
本発明組成物に用いる酸素増感剤に特に制限はないが、励起三重項エネルギーが22.5キロカロリー/モル以上の酸素増感剤であることが好ましい。このような酸素増感剤としては、例えば、メチレンブルー、ローズベンガル、ヘマトポルフィリン、テトラフェニルポルフィン、ルブレン、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC82などを挙げることができる。これらの酸素増感剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、フラーレンC60及びフラーレンC70を特に好適に用いることができる。
本発明組成物において、酸素増感剤の配合量に特に制限はないが、一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミド100重量部当たり0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましい。酸素増感剤の配合量が少なすぎると、増感効果が不十分となるおそれがある。酸素増感剤の配合量が多すぎると、経済的に不利となるのみならず、均一な製膜が困難となるおそれがある。高分子量のcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと酸素増感剤を含有する本発明組成物は、溶液として用いるとき適度な粘度を有し、スピンコートによりシリコンウエハー上に必要な膜厚を保って均一に塗布することができる。また、組成物中の高分子量のcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドの架橋により被膜が形成されるので、その被膜は強度と耐熱性に優れている。また、フラーレンなどの高価な酸素増感剤の使用は比較的少量なので、経済的に有利に製造することができる。
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物の使用方法に特に制限はないが、一般的には、基材・サブストレート上に塗膜を形成し、露光・現像によるパターン加工を行ったのち、必要に応じて、さらに熱硬化を行い樹脂層を形成する。塗膜の形成方法に特に制限はなく、例えば、感光性樹脂組成物を溶剤に溶解して得られるワニスを、基材・サブストレート上に直接スピンコート法などにより塗布したのち温和な条件で乾燥する方法、あるいは、溶剤に溶解して得られるワニスを予めプラスティックシートやステンレスなどの金属などからなる離型基材に塗布し、温和な条件で乾燥して得られるコーティングを、基材・サブストレート上に加圧ラミネートして転写する方法などを挙げることができる。
本発明組成物の露光に使用する光の波長は、使用する酸素増感剤に応じて適宜選択することができる。例えば、フラーレンC60を増感剤として使用する場合、紫外域〜可視光域の広範な波長域(250〜780nm)の光を使用することができる。露光は、形成した樹脂層の中で樹脂を除去したい部分を遮光することができるマスクを介して、光を樹脂層上に照射することにより行うことができる。露光後の現像は、未露光の樹脂組成物を溶解する有機溶剤又はアルカリ水溶液を用いて行うことができる。露光部の樹脂は反応により不溶化するが、未露光部の樹脂は溶解し、その結果マスクにより樹脂に孔などのパターン加工を行うことができる。
一般式[1]又は一般式[2]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸は、現像後熱硬化を行い、脱水閉環反応によりポリアミック酸をポリイミドに変換することができる。熱硬化反応の条件に特に制限はないが、通常は150〜250℃で30分以上加熱することが好ましい。加熱は、熱風、赤外線照射、熱盤上などで行うことができる。通常は空気雰囲気中で行うことができるが、必要に応じて、窒素、二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気、減圧下などで行うこともできる。cis−ジエン置換ポリイミドは、必ずしも熱硬化反応を行う必要はないが、上記温度条件で加熱することにより樹脂に高い熱履歴を与え、耐熱性をより向上させることができる。本発明の樹脂組成物をこれらの加工工程で使用することにより、優れた耐熱性を有するパターン形成された樹脂層が低温における加工で形成され、良好な特性を有する半導体素子、プリント回路配線板などを製造することが可能になる。
【0014】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル8.47g(0.0392モル)とピロメリット酸無水物8.55g(0.0392モル)をN−メチル−2−ピロリドン50ml中、60℃で撹拌し、ポリアミック酸の溶液を得た。
一方、テトラヒドロフラン50mlにフルフリルアルコール5.00g(0.0510モル)を溶解し、0℃に保ちながら、三臭化リン4.90g(0.0181モル)を滴下した。約2時間撹拌したのち水を加え、100mlのエーテルを用いて有機成分を2回抽出した。エーテル層を炭酸水素ナトリウムで洗い、モレキュラシーブ30gを加えて一晩乾燥し、ろ過することによりフルフリルブロミドのエーテル溶液を得た。得られた溶液についてFT−IR、1H−NMR及び13C−NMRによる分析を行い、フルフリルブロミドであることを確認した。
次いで、上記のポリアミック酸の溶液に、N−メチル−2−ピロリドン150mlを加えて希釈し、フルフリルブロミド7.70gを含むエーテル溶液及び炭酸カリウム6.50gを添加し、80℃で約2時間撹拌した。次に、メタノールを用いて再凝固沈殿処理を行い、沈殿物を真空乾燥することによって、式[2−(10)]で表される構造単位を有するポリアミック酸16.3gを得た。1H−NMRにより分析したところ、ポリアミック酸中のジアミン構造単位の80モル%がフルフリル基により置換されていた。また、このポリアミック酸の分子量は約70,000であった。
高純度のフラーレンC60[99.98重量%、Term社製]0.75gと上記のフルフリル基部分置換ポリアミック酸10.0gを、γ−ブチロラクトン/1,1,2,2−テトラクロロエタン(70/30、容量比)50mlに溶解して均一な溶液とした。この溶液をポアサイズ0.1μmのフィルターでろ過したのち、シリコンウエハー上にスピンコート法により塗布し、80℃で10分間の加熱乾燥を行うことにより膜厚2μmの薄膜を形成した。この薄膜にフォトマスク(凸版テストチャート)を介して500W超高圧水銀灯により露光し、直ちに10重量%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に30秒間浸漬して現像処理を行うことにより、未露光部を完全に溶解除去し、線幅5μm以下の樹脂パターンを形成した。
得られた樹脂パターンを、200℃で1時間加熱することにより樹脂層を形成した。この樹脂層について、室温〜300℃までの熱重量減少率をTG/DTA装置[セイコー電子工業(株)製、TG/DTA220型、昇温速度10℃/分]で測定したところ、0.3重量%であった。
【0015】
実施例2
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン14.36g(0.0392モル)とピロメリット酸二無水物8.55g(0.0392モル)をN−メチル−2−ピロリドン50ml中、60℃で撹拌し、ポリアミック酸の溶液を得た。
次いで、このポリアミック酸の溶液にN−メチル−2−ピロリドン150mlを加えて希釈し、フルフリルブロミド7.70gを含むエーテル溶液及び炭酸カリウム6.50gを添加し、80℃で約2時間撹拌した。次に、メタノールを用いて再凝固沈殿処理を行い、沈殿物を真空乾燥することによって、式[2−(5)]で表される構造単位を有するポリアミック酸20.3gを得た。1H−NMRにより分析したところ、ポリアミック酸中のジアミン構造単位の80モル%がフルフリル基により置換されていた。また、このポリアミック酸の分子量は約50,000であった。
高純度のフラーレンC60[99.98重量%、Term社製]0.75gと上記のフルフリル基部分置換ポリアミック酸10.0gをγ−ブチロラクトン/1,1,2,2−テトラクロロエタン(70/30、容量比)50mlに溶解して均一な溶液とした。この溶液をポアサイズ0.1μmのフィルターでろ過したのち、シリコンウエハー上にスピンコート法により塗布し、80℃で10分間の加熱乾燥を行うことにより膜厚2μmの薄膜を形成した。この薄膜にフォトマスクを介して500W超高圧水銀灯により露光し、直ちに10重量%TMAH水溶液に30秒間浸漬して現像処理を行うことにより未露光部を完全に溶解除去し、線幅5μm以下の樹脂パターンを形成した。
得られた樹脂パターンを、200℃で1時間加熱することにより樹脂層を形成した。この樹脂層について、実施例1と同様にして、室温〜300℃までの熱重量減少率をTG/DTA装置で測定したところ、0.5重量%であった。
【0016】
比較例1
ジアミン成分として4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル8.47g(0.0392モル)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフルフリル基で部分置換されたポリアミック酸を合成した。1H−NMRにより分析したところ、ポリアミック酸中のジアミン構造単位の85モル%がフルフリル基により置換されていた。また、このポリアミック酸の分子量は約80,000であった。
高純度のフラーレンC60[99.98重量%、Term社製]0.75gと上記のフルフリル基部分置換ポリアミック酸10.0gをγ−ブチロラクトン/1,1,2,2−テトラクロロエタン(70/30、容量比)50mlに溶解して均一な溶液とした。この溶液をポアサイズ0.1μmのフィルターでろ過したのち、シリコンウエハー上にスピンコート法により塗布し、80℃で10分間の加熱乾燥を行うことにより膜厚2μmの薄膜を形成した。この薄膜にフォトマスクを介して500W超高圧水銀灯により露光し、直ちに10重量%TMAH水溶液に浸漬して現像処理を行ったが、1分間以上浸漬しても未露光部の残渣が完全には除去されなかった。
【0017】
参考例1(3,5−ジアミノベンジル−2−フロエートの製造)
3,5−ジニトロベンジル−2−フロエートの製造:撹拌機、水冷式還流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた500mlセパラブルフラスコ中で、3,5−ジニトロベンジルアルコール37.0gをピリジン100mlに溶解した。0〜5℃に冷却しながら、2−フロイルクロリド53.1gを滴下した。滴下終了後、反応液を室温に戻し、2時間撹拌した。400mlの水を加え、固体をろ過した。得られた固体をエチルアルコール/水(80/20、容量比)から再結晶し、3,5−ジニトロベンジル−2−フロエート47gを得た。収率86%。融点116.0〜117.7℃。
3,5−ジアミノベンジル−2−フロエートの製造:撹拌機、水冷式還流冷却管を備えた1リットルのセパラブルフラスコ中で、3,5−ジニトロベンジル−2−フロエート14.6gを酢酸エチル120mlとエチルアルコール80mlに溶解した。塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを加えたのち、インジウム金属粉末100gを添加した。還流下、17時間撹拌して還元反応を行った。反応終了後、反応溶液を2リットルのビーカーに移し、1リットルの水を加え、固体をろ別した。ろ液のpHを2規定水酸化ナトリウム水溶液で9に調整したのち、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、酢酸エチルを留去し、粗生成物10gを得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3,5−ジアミノベンジル−2−フロエート4.6gを得た。収率40%。エチルアルコールから再結晶し、融点119〜121.1℃の針状結晶を得た。
さらに、同じ合成と精製を2回繰り返した。
【0018】
実施例3
参考例1で合成した3,5−ジアミノベンジル−2−フロエート9.09g(0.0392モル)と4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデン二フタル酸無水物17.41g(0.0392モル)をγ−ブチロラクトン50ml中、室温で撹拌し、式[1−(1)]で表される構造単位を有するポリアミック酸の溶液を得た。この溶液に、N−メチル−2−ピロリドン50mlを加えて希釈し、水/メタノール(75/25、容量比)に注いでポリアミック酸を凝固沈殿させ、ろ過及び真空乾燥することにより淡黄色粉末の式[1−(1)]で表される構造単位を有するポリアミック酸25.9gを得た。
高純度のフラーレンC60[99.98重量%、Term社製]0.75gと上記のフロイル基置換ポリアミック酸10.0gをγ−ブチロラクトン/1,1,2,2−テトラクロロエタン(70/30、容量比)50mlに溶解して均一な溶液とした。この溶液をポアサイズ0.1μmのフィルターでろ過したのち、シリコンウエハー上にスピンコート法により塗布し、80℃で10分間の加熱乾燥を行うことにより膜厚2μmの薄膜を形成した。この薄膜にフォトマスクを介して500W超高圧水銀灯により露光し、直ちに10重量%TMAH水溶液に30秒間浸漬して現像処理を行うことにより未露光部を完全に溶解除去し、線幅5μm以下の樹脂パターンを形成した。
得られた樹脂パターンを、200℃で1時間加熱することにより樹脂層を形成した。この樹脂層について、室温〜300℃までの熱重量減少率を測定したところ、0.3重量%であった。
【0019】
参考例2(3,3'−ジアミノ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニルの製造)
3,3'−ジニトロ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニルの製造:撹拌機、水冷式還流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた500mlセパラブルフラスコ中で、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジアミノビフェニル10.96gをN,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解したのち、ピリジン20mlを加えた。13〜14℃に冷却しながら、2−フロイルクロリド12.53gを滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温に戻し、5時間撹拌を続けた。2規定塩酸80ml、次いで水100mlを加え、固体をろ過した。固体をよく水洗したのち、減圧乾燥して3,3'−ジニトロ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニル15.0gを得た。収率81%。
3,3'−ジアミノ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニルの製造:撹拌機及び水冷式還流冷却管を備えたセパラブルフラスコ中に、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニル7.4g、N−メチル−2−ピロリドン100ml及びエチルアルコール75mlを仕込んだ。塩化アンモニウム飽和水溶液40mlを加えたのち、インジウム金属粉末25.6gを添加し、80℃にて1時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却したのち、固形物をろ別した。ろ液を減圧下約1/2に濃縮したのち、水300mlを加え、析出した固体をろ過して粗生成物2.9gを得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニル1.5gを得た。単離収率23%。N−メチル−2−ピロリドン/酢酸エチル(25/75、容量比)から再結晶し、分解点256〜259℃の針状結晶を得た。
さらに、同じ合成と精製を12回繰り返した。
【0020】
実施例4
参考例2で合成した3,3'−ジアミノ−4,4'−ジ−2−フロイルアミノビフェニル15.76g(0.0392モル)と4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデン二フタル酸無水物17.41g(0.0392モル)をγ−ブチロラクトン50ml中、室温で撹拌し、式[2−(1)]で表される構造単位を有するポリアミック酸の溶液を得た。この溶液にN−メチル−2−ピロリドン50mlを加えて希釈し、水/メタノール(75/25、容量比)に注いでポリアミック酸を凝固沈殿させ、ろ過及び真空乾燥することにより淡黄色粉末の式[2−(1)]で表される構造単位を有するポリアミック酸31.5gを得た。
高純度のフラーレンC60[99.98重量%、Term社製]0.75gと上記のフロイル基置換ポリアミック酸10.0gをγ−ブチロラクトン/トルエン(60/40、容量比)50mlに溶解して均一な溶液とした。
この溶液をポアサイズ0.1μmのフィルターでろ過したのち、シリコンウエハー上にスピンコート法により塗布し、80℃で10分間の加熱乾燥を行うことにより膜厚2μmの薄膜を形成した。この薄膜にフォトマスクを介して500W超高圧水銀灯により露光し、直ちに10重量%TMAH水溶液に30秒間浸漬して現像処理を行うことにより未露光部を完全に溶解除去し、線幅5μm以下の樹脂パターンを形成した。
得られた樹脂パターンを、200℃で1時間加熱することにより樹脂層を形成した。この樹脂層について、室温〜300℃までの熱重量減少率を測定したところ、0.2重量%であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、耐熱性ネガ型フォトレジストとして優れた性能を有する。本発明組成物に用いるポリアミック酸やポリイミドは、本来アルカリ水溶液などの溶媒に可溶であるが、フラーレンC60などの酸素増感剤から生じる一重項酸素によって側鎖のcis−ジエン基が酸化重縮合を起こして架橋し、溶媒に不溶となる。したがって、従来の耐熱性フォトレジスト組成物では達成できなかった高感度、高解像度で実用に供し得るネガ型のパターンが得られる。特に、フラーレンを酸素増感剤として用いると、パターン形成後の樹脂層の耐熱性が顕著に向上する。
Claims (3)
- 一般式[1]で表される構造単位を有するcis−ジエン置換ポリアミック酸又はポリイミドと酸素増感剤とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 酸素増感剤が、フラーレンである請求項1又は請求項2記載の感光性樹脂組成物。
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