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JP4258390B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

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JP4258390B2
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Description

本発明は、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード(身分証明書)、運転免許証、メンバーズカード、プリペイドカード、等に代表されるカード類、あるいは、タグ類(一般には、タグ、トークン、又は、トランスポンダー、等の色々な呼称がある)と称される情報記録媒体であって、特に高耐熱性、高耐久性、エンボス加工適性、又は、レーザ印字適性、等に優れ、あるいは環境にも優しい情報記録媒体に関するものであり、好適な例として(外部端子を介した接触型の通信機能を備えた)接触型ICカード、とりわけ(カードに設けられたアンテナ又はコイルを介した非接触型の通信機能を備えた)非接触ICカードとか(前記の接触型通信と非接触型通信の両機能を備えた)複合ICカード、への応用が挙げられる。
従来から、キャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の情報記録媒体が広く利用されており、その素材としては主にポリ塩化ビニル(以下では単にPVCと称する)や塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体が用いられており、特にポリ塩化ビニルが一般的である。ポ リ塩化ビニル樹脂は物理的な機械特性や文字部のエンボス適性などが優れ、素材のコストが安いことから、カードなどの情報記録媒体の素材として広く用いられている。
ところで、近年情報記録媒体のIC化につれ、情報記録媒体の特性に関し、高機能化が期待されている。特に高耐久性、高耐熱性及び環境に優しい情報記録媒体が求められている。しかし、従来情報記録媒体の基材であるポリ塩化ビニル樹脂または塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂は耐熱性が低く、保管温度が80℃以上になると、記録媒体が変形することがある。また、ポリ塩化ビニル樹脂は使用後廃棄される際、特に焼却時の塩化水素ガスを発生し、焼却炉を傷めて寿命を縮める。また焼却温度によりますが、焼却の際にダイオキシンが生じる恐れもあると言われている。
よって、ポリ塩化ビニル樹脂の代替樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂等のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂が提案されている。しかし、これらの樹脂の物性がポリ塩化ビニル樹脂とはかなり異なる為、カード等の情報記録媒体の素材として使用するには、新たな樹脂改質等を行う必要がある。
そこで、ここ数年は非晶性ポリエステル樹脂の1種であるPETGが、ポリ塩化ビニルと近い物性を持つことから、注目され使用されるようになってきた。[尚、「PETG」は、イーストマン・ケミカル社製のポリエステル樹脂の商標である。エチレングリコールとテレフタル酸及びシクロヘキサンジメタノールの脱水縮合反応で得られると云われている。]
また、高耐熱性(車室内の高温に耐える等)の要望に応えるため、PETGとポリカボネート(以下では単にPCと略称する)とのアロイ樹脂が開発され、カード用として使われている。しかしながら、PETGは一般に耐熱温度が低く、またPETGとPCとのアロイ樹脂の場合はカードのエンボス加工(文字など)への適応性が低く、例えば、エンボス加工によって大きなカールが生じてしまうといった問題を抱えている。
また、PETG及びPCは、有機溶剤により溶解または膨潤されやすく、情報記録媒体とする製造過程での印刷または加熱・加圧等の加工により、基材が劣化して本来備えていた耐久性が低下しまうことがある。
そのため、情報記録媒体の層構成において、カードの表裏側の基材としてポリエチレンテレフタレート(以下では単にPETと称する)を二軸延伸したものを用いる技術が開発されている。しかし、PETの基材はその表面適性につき、情報記録媒体用の従来の基材とは異なって、印刷インキの密着性(なじみ易さ)が低かったり、エンボス加工の際の媒体表面に割れを生じたり、磁気ストライプを表面基材に埋め込む場合の加工の困難さ、あるいは、レーザー印字の際の印字エネルギーによる文字縁部の膨れ、等の数多くの解決しなければならない問題を抱えている。従来これらは、何れも、カード等の情報記録媒体の素材としては、情報記録媒体の各種な仕様に必ずしも巧く対応できる好適な素材、と云うわけではなかった。
本発明は前記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであって、従来の技術と比べて、耐久性、耐熱性、耐薬品性、エンボス加工適性(エンボスの容易性、低カール性、耐割れ性)、印刷インキの密着性(なじみ易さ)、又は、レーザ印字の適性などは、同等か又はそれ以上に改善されたものとすることができ、特に、磁気ストライプ・テープの埋め込み加工の容易さや埋設した辺りの情報記録媒体の外側表面の平坦さ(段差が無いか又は段差が実質判り難い)に優れており、また、特に、その磁気ストライプ・テープを隠蔽する隠蔽層などを形成する際の溶剤に侵され難く(溶剤への耐久性が高く隠蔽層の隠蔽性への悪影響が出難い)、埋設した磁気ストライプを巧く隠蔽できること、これらを満たす情報記録媒体を提供することを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するものであり、請求項1に係る本願発明においては、熱可塑性高分子樹脂からなる第一の表面基材、熱可塑性高分子樹脂からなる感熱接着層、熱可塑性高分子樹脂からなるセンターコア、熱可塑性高分子樹脂からなる感熱接着層、及び、熱可塑性高分子樹脂からなる第二の表面基材が、相対的にこの順に積層されている情報記録媒体であって、
前記表面基材が二軸延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂のポリエチレンテレフタレートからなり、一方もしくは双方の表面基材の外側表面上に非晶性の高分子樹脂の熱硬化型ポリウレタンと金属石鹸からなる非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を設けていることを特徴とする情報記録媒体を提供するものである。
また、請求項2に係る本願発明においては、前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層となる熱硬化型ウレタン高分子樹脂と金属石鹸の混合比は重量比で100部/1部〜100部/10部であること、を特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体を提供するものである。
また、請求項3に係る本願発明においては、前記第一の表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向と、前記第二表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向とが、一致していること、を特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体を提供するものである。
また、請求項4に係る本願発明においては、前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が、末端にOH官能基を有するポリマーと、二つ以上のNCO官能基を有する架橋剤のイソシアナート化合物からなること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
また、請求項5に係る本願発明においては、前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層に、少なくとも磁気ストライプが設けてあり、その上に該磁気ストライプを隠蔽するよ
うに隠蔽層が設けてあること、を特徴とする前記請求項1乃至4のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
本発明によれば、延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂からなる第一の表面基材、センターコア、延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂からなる第二の表面基材を積層一体化してなる情報記録媒体において、第一の表面基材と第二の表面基材の一方または両方の表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂と金属石鹸からなる樹脂層を形成することにより、熱プレスで、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層がプレスの金属板に張り付かず、磁気ストライプの埋設、レーザー刻印印字、表面へのホログラム転写箔の転写が可能になる。また表面に延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂を用いることにより、情報記録媒体の耐熱性が高くなり、耐久性がよくなる。
つまるところ、本発明によれば、従来の技術と比べて、手間をかけず、耐久性、耐熱性、耐薬品性、エンボス加工適性(エンボスの容易性、低カール性、耐割れ性)、印刷インキの密着性(なじみ易さ)、又は、レーザ印字の適性などは、同等か又はそれ以上に改善されたものとすることができ、特に磁気ストライプ・テープの埋め込み加工の容易さや埋設した辺りの情報記録媒体の外側表面の平坦さ(段差が無いか又は段差が実質判り難い)に優れており、また、特にその磁気ストライプ・テープを隠蔽する隠蔽層などを形成する際の溶剤に侵され難く(溶剤への耐久性が高くて隠蔽層の隠蔽性が低下し難い)、埋設した磁気ストライプを巧く隠蔽できること、これらを満たす情報記録媒体を提供することが出来た。
以下、図面を参照し、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の実施例に係わる情報記録媒体10の構成を示す概念断面図である。
図2は本発明の第一の表面基材と第二の表面基材の結晶性高分子層の配向方向を揃える方法を示す概念図である。尚、本発明で云う配向の方向とは、これらの基材の面に平行な方向(成分)に関するものであり、これらの基材の厚さ方向(成分)については不問である。なお、外側とはセンターコアから見て遠い方を指す。
図1に示す本発明の情報記録媒体10は、主に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11、第一の表面基材1、接着層8、センターコア7、接着層8、第二の表面基材2、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層12が順次積層されて構成されている。
次に、各構成について説明する。この例は、本発明の情報記録媒体の一代表例であって、第一の表面基材1及び第二の表面基材2の外側の表面上に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11、12が形成されている構成である。
なお、第一の表面基材1及び第二の表面基材2が結晶性熱可塑性高分子樹脂ポリエチレンテレフタレートからなっている。
第一の表面基材1及び第二の表面基材2の結晶性熱可塑性高分子樹脂ポリエチレンテレフタレートは、情報記録媒体の高耐久性に必要な強度、強靭性等を付与し、また二軸延伸処理を施されることにより、その効果が更に強化される。基材のいずれか一方もしくは両方の外側表面上に形成される非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11、12は二軸延伸処理を施された結晶性高分子基材の外側表面に、耐久性、柔軟性、表面成形性等を持たせ、情報記録媒体に、エンボス適性、レーザー刻印の印字適性、磁気ストライプ4の埋め込み適性を情報記録媒体に付与する。
ここで、二軸延伸処理を施された結晶性高分子基材の厚さが厚ければ、媒体の強度、耐熱性などが高くなるが、その一方では、媒体の剛性は高まりまた堅さも強くなり、情報記録媒体としての好ましい柔軟性を欠き、硬いものとなってしまう。二軸延伸処理を施された強靱になった結晶性高分子の表面基材1,2上に、本発明のように非晶性ウレタン高分子樹脂層11,12を設けることにより、表面基材に柔軟性、エンボス加工適性、磁気ストライプ4の埋設加工適性を付与することができる。尚、更に云うと、表面基材上に設けた非晶性ウレタン高分子樹脂の層を熱硬化型することにより、表面の耐薬品性、耐溶剤性などの耐久性が強くなる。
尚、本発明で、この非晶性ウレタン高分子樹脂層を設けるのは、必ずしも表面基材1と同2との両方に設けなければならないわけではなく、いずれか片方のみに設ける層構成、即ち、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の11か同12のうち、いずれか片方だけを設ける層構成としてもよい。但し、片方のみにした場合には、例えば磁気ストライプを設けるのは、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が有る側に設けるようにする。それは、磁気ストライプを埋設する加工の適性や、磁気ストライプの存在を外観等では容易に判らぬように隠蔽する隠蔽性の観点で優れたものとする為である。
磁気ストライプ4などを、本発明に関わる情報記録媒体の表面に段差が生じぬように、情報記録媒体に埋設するためには、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を厚くした方が良いが、その反面、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さが厚くなれば、情報記録媒体の柔軟性が高くなるが、媒体の強度、耐熱温度などが弱くなる傾向がある。結晶性熱可塑性高分子基材ポリエチレンテレフタレート1,2の厚さと、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さとのバランスを得ようとする情報記録媒体が要求される性能・品質を考慮して適宜設計することが重要である。
本発明は、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1,2の厚さや非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さ(ここで非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層は前記のように片方だけ設ける場合もありえる)に関しては、(a)結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1,2の厚さはそれぞれ25〜150μm、また、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さは5〜20μm、好ましくは、更に(b)「結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1,2の厚さ(1層分)」が、「非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さ(1層分)」の2倍以上、となるように設定する。さもなくば、情報記録媒体の前記特性(強度、耐熱性、剛性、硬さ、等)が、実用上、不満足なものとなる。尚、ここで非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の厚さの方が、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材(1,2)の厚さと比べると、相対的に重要である。
尚、反り等を予防し又は低減しようとする観点から、一般には、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1と同2とは、互いの厚さを同じ(又は適宜同等)にすることが好ましい。また、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層についても、[もし両方の側に設ける場合には、前記表面基材の場合と同様の理由で]一般に、互いの厚さを同じ(又は適宜同等)にすることが好ましい(但し、もし情報記録媒体の厚さ方向で、層構成が非対象であるとか又は構成部品等の配置が非対象であるとき、場合によっては、情報記録媒体に反り等の変形が生じるおそれもある。その場合は変形対策として、例えば、表面基材の厚さ又は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の厚さ等を前記の数値範囲内で適宜選択してよい。)。
結晶性熱可塑性高分子樹脂の熱溶融温度が高いため、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を容易に加熱加圧一体化するには、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1、2とセンターコア7の間に、それぞれ比較的に熱溶解温度の低い可塑性高分子樹脂層からなる感熱接着層8を形成して、加熱加圧により、第一の表面基材1、センター
コア7、第二の表面基材2を容易に積層一体化することができる。加熱温度や加圧圧力は接着可能であれば構わないので、材料により適宜設定可能であるが、溶融温度Tmが120〜200℃の熱可塑性高分子樹脂層からなる感熱接着剤を用いた場合には、一般的に温度100〜150℃、圧力500〜1500kPaの間で適宜選択することが好ましい。感熱接着剤となる熱可塑性高分子樹脂としては例えばポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂などの一般的な熱可塑性高分子樹脂の単体またはそれら樹脂の混合体及び変性された樹脂などを用いることができる。
また、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の形成と、積層による一体化の手順としては、例えば、(イ)予め結晶性熱可塑性高分子樹脂のポリエチレンテレフタレート基材表面1,2のそれぞれに又は一つの表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成し、第一の表面基材1とセンターコア7の間に、第二の表面基材2とセンターコア7の間にそれぞれ感熱接着層8を形成して、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層することで一体化等を行うか、あるいは、(ロ)第一の表面基材1とセンターコア7の間に、第二の表面基材2とセンターコア7の間にそれぞれ感熱接着層8を形成して、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を一旦積層することで一体化したうえで、積層体の表面にあたる第一の表面基材1と第二の表面基材2の両方かまたは片方の表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成するか、いずれでもよい。
感熱接着層8の形成手順としては、例えば(イ)結晶性熱可塑性高分子樹脂のポリエチレンテレフタレート基材のセンターコアと接する表面に設けるか、あるいは、(ロ)センターコアの両側表面に順次に形成するか、いずれでもよい。
結晶性熱可塑性高分子樹脂としてPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリエチレン・ビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等ある。しかし、情報記録媒体の耐熱性、耐久性、コスト、及び加工適性から、本発明では二軸延伸処理を施されたポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を用いた方がより好ましい。またPETの色については、媒体の構成及び仕様等により、透明または有色の基材を用いることができる。
表面基材1,2に柔軟性、エンボス適性、及び磁気ストライプ4の埋設適性を付与する為には、例えば、表面基材1,2の表面に非晶性熱可塑性高分子樹脂層11,12を設けることによって効果が得られる。しかしその反面、表面の耐久性、耐薬品、耐熱性、及び、耐溶剤性が弱くなってしまう欠点がある。そこで、非晶性高分子樹脂層として、単に熱硬化型樹脂を用いることが好ましいのではないかとも考えられたが、熱硬化型高分子樹脂は、一般に強靭で表面の濡れ性が悪い、印刷等を施しにくい、等の短所がある。
これらに着眼して、本発明では、表面の柔軟性や印刷適性等の特性(長所)を低下させない熱硬化型樹脂として、特には、OHとNCOとの架橋反応からなるウレタン樹脂を採用することを見出した。即ち、末端にOH官能基を持つポリマーに、二つ以上のNCO官能基を持つイソシアナート化合物の架橋剤を加え、OHとNCOとを架橋することにって、高分子樹脂の耐久性を向上させるものである。これによると、熱硬化型ウレタン樹脂のOHとNCOとの架橋密度が低すぎると、樹脂が柔らかくなり、耐熱性などの耐久性が低くなる。一方、その架橋密度が高すぎると、樹脂が硬く、強靭になり、表面濡れ性が悪くなってしまう。そこで本発明では、架橋率に関わるOH価を1〜20mgKOH/gとし、これによって、強靭性、柔軟性、耐久性、及び、表面濡れ性等のバランスがよい特性が得られる。
非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に、使用される上記の末端にOH官能基を有するポリマーとして、例えば末端にOH官能基を持つポリエステルポリマー、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタン、ポリウレタン、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール等を用いることができる。
媒体の表面にエンボス印字などを行うため、エンボス印字などによる記録媒体表面の割れを防止するため、伸びやすく弾性率が500〜2,500MPaで、形成しやすいポリマーを用いた方が好ましい。弾性率が高すぎると、樹脂剛性が高く、エンボスなどの二次加工による樹脂の塑性変形に追従できず、割れが発生したり、塑性変形のエンボスの高さが低くなることがある。しかし弾性率が低すぎると、樹脂が柔らかくなり、媒体の表面が弱く、損傷を受けやすくなる。二つ以上のNCO官能基を持つイソシアナート化合物としては、TDI系(トルエンジイソシアネート)、MDI系(メチレンジイソシアネート)、XDI系、IPDI系、HDI系があるが、紫外線などによる黄変の無いXDI、IPDI、HDIなどを用いた方が好ましい。
前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の手順として(イ)の方法のように、予め結晶性熱可塑性高分子樹脂のポリエチレンテレフタレート基材表面1,2のそれぞれに又は一つの表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成し、第一の表面基材1とセンターコア7の間に、第二の表面基材2とセンターコア7の間にそれぞれ感熱接着層8を形成して、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層することで一体化等を行う場合、非表面基材1,2とセンターコアを加熱加圧して一体化する熱ラミネートで、一般的にその積層体を金属板(例えばフェロ板など)で挟んで加熱加圧を行うが、表面に形成された非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂が加熱加圧により、金属板に貼り付けて、ラミネート後に剥がれなくなる恐れがある。それを防ぐために、一般的に金属板と積層体の間に離型フィルムを入れ、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂が金属板と接触しないようにする必要がある。よって、ラミネートの手間がかかり、コスト高にも繋がる。
加熱による非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が金属に貼り付きを防ぐには、一般的に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層にシリコーン剥離剤、滑剤、ワックス剤などを添加する方法がある。しかし、シリコーン剥離剤、滑剤、ワックス剤が存在すると、表面に更なる加工を行う場合、例えば表面印刷、ホログラム箔の転写などを行う場合、印刷インキまたは転写箔の接着層が、基材表面のシリコーン剥離剤、滑剤、ワックス剤などに弾かれ、加工ができなくなる。
そこで、本発明は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層に金属石鹸を添加することにより、以上の問題を解決する。金属石鹸はアルカリ金属以外の金属の脂肪酸塩をいい、本発明ではステアリン酸金属塩を推奨する。例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸コバルトなどを用いることができる。金属石鹸の添加量が少なければ、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が金属板に付かない効果が薄くなるが、金属石鹸の添加量が多ければ、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が金属に貼り付かず、金属板から剥がれ易くなる。しかし、印刷インキ層または転写箔との接着性が弱くなることがある。そこで、本発明は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層となる熱硬化型ウレタン高分子樹脂と金属石鹸の混合比は重量比で100部/1部〜100部/10部とする。添加量がその範囲で有れば、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が金属に貼り付かくことがなく、しかも表面への印刷、転写箔の転写などの加工が支障なくできる。
結晶性熱可塑性高分子樹脂からなる表面基材1,2の表面に非晶性熱硬化型ウレタン高
分子樹脂と金属石鹸からなる樹脂層11,12を形成するには、上記の末端にOH官能基を有するポリマーの溶解液と二つ以上のNCO官能基を有するイソシアナート化合物の架橋剤の混合液に金属石鹸を添加し、十分撹拌分散を行ってなる混合液を表面基材上1,2の表面に塗布するか、または予め他の中間基材の表面に塗布してから、上記の表面基材1,2に転写して形成することができる。この混合液の塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、印刷機器、などを用いて塗布することができる。
また、上記の情報記録媒体の基材表面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を11,12形成するにあたって、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層一体化する前に、予め表面基材1,2上に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成してから、積層一体化を行うか、または予め積層一体化してから情報記録媒体の表面に形成するか、いずれの方法でもその効果がある。尚、それらの樹脂に有機顔料、無機顔料または有機染料、無機染料、安定剤、表面活性剤などの添加剤を加え、樹脂を更に改質することも可能である。
結晶性熱可塑性高分子樹脂の二軸延伸処理を行うことにより、表面基材の強度及び耐久性を強くすることができる。しかし、二軸延伸処理を施された基材が異方性を持つため、異なる方向の強度、熱力学的な性質が異なる基材となる。第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層一体化することにより、形成された情報記録媒体は第一の表面基材1と、第二の表面基材2の高分子の配向の方向が一致しないと、媒体には反り、ツイスト、又は、カールが容易に発生してしまう。そこで、本発明の請求項2等にも示したように、第一の表面基材1の高分子配向と、第二の表面基材2の高分子配向とが図2に示したように積層し、両者の間で高分子配向の方向を、互いに同じ方向になるよう揃えて、一体化することが重要である。
ここで、図2は基材の分子配向の概念図を示すものであり、図中、上下の基材に描いてある円や線は、重ね合わせる2つの基材(結晶性熱可塑性高分子樹脂基材12と同22)の配向方向が同じ方向に揃っていることを表している。尚、この分子配向のパターンは、試料の誘電率の異方性による透過マイクロ波強度の変化をみることで判り、例えば、分子配向計[王子計測機器(株)、MOA−3000シリーズ]により調べることができる。
本発明に関わる非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層一体化してなる積層体の表面基材の表面に形成する場合、例えば、ウェブ状のフィルムになっている表面基材の材料の縦方向(MD方向。ウェブの巻き取りの長手方向。)に並んで位置する材料から、表面基材1及び表面基材2の基材シートを取り、互いに縦方向及び横方向(TD方向。ウェブの幅方向。)を揃え、センターコア7を芯側に併せて積層することで一体化する。このように得られる積層体の両表面側にまたは片方の表面側に、本発明に関わる非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂の層を設ける。
第一の表面基材1及び第二の表面基材2の各々に用いられる表面基材のフィルムを加工する際に、高分子の配向を間違えないため、表面基材をまず一定幅にスリッタして、スリッタされた表面基材シートを縦方向(MD方向)、因みにフィルムの巻き取りの前後方向から、第一の表面基材1及び第二の表面基材2の基材シートを取り、それぞれ延伸の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)を揃えるように積み重ねてから、その積み重ねた高分子配向の揃った表面基材シートのコーナーをカットするか、あるいはシートの縁部に切り口を入れ、目印を付けた方が好ましい。
第一の表面基材1とセンターコア7と、第二の表面基材2を積層一体化する前に結晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を、予め第一の表面基材1と第二の表面基材2
のそれぞれ、または一方のセンターコアから遠い側の表面に形成する場合、同じく表面基材1,2の高分子配向の方向を揃えなければならない。
例えば、縦方向(MD方向)、因みにフィルムの巻き取りの前後方向から、まず先に巻きだしたフィルムのおもて面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11を形成して表面基材1とする。そして、次に巻きだしたフィルムのうら面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層12を形成して表面基材2とする。積層一体化する際、表面基材1を情報記録媒体の上表面にして、センターコア7、そして下表面に表面基材2とする。表面基材1及び表面基材2の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を、それぞれ媒体外面にし、更に表面基材1と表面基材2の高分子の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)を揃えるように積層する。
非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の表面に磁気ストライプ4を形成して磁気ストライプ記録層付き情報記録媒体として用いる場合、予め上記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成してある表面基材1,2とセンターコア7を積層一体化する前に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に磁気ストライプ4を配置して、表面基材1,2とセンターコア7を積層一体化を行い、磁気ストライプ4を基材表面に埋設して表面を面一する。または、表面基材1,2、センターコア7を積層一体化してから、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に磁気ストライプ4を配置してもう一回加熱加圧一体化を行い、磁気ストライプ4を基材表面に埋設して表面を面一する。この場合は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を予め表面基材上に形成するか、表面基材とセンターコアを積層一体化してから形成してもよい。
結晶性熱可塑性高分子樹脂基材1,2の表面、またはそれらの表面に形成された非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の表面の全面また一部に、ID情報及び絵柄デザイン等の印刷層が設けられているものでもよい。また、表面基材と印刷層、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12と印刷層の接着性を向上させるために、表面基材の表面か又は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の表面に、易接着処理(例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、又は、樹脂塗布、等)を施しても良い。
更に、表面基材1と、表面基材2の表面に形成されている非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の表面または印刷層の表面に、ほかの機能性薄膜層、例えば、隠蔽層、保護層、可視記録層、ホログラム層5等を、全面に又は一部に設けても良い。更に上記のように、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に磁気ストライプ4を形成している場合、磁気ストライプ4を表面に埋設し、表面を面一してから、磁気ストライプ4を隠蔽する隠蔽層3を設けてもよい。更に、磁気記録層、磁気ストライプ4、隠蔽層3、保護層6を形成して、更に加熱加圧により、磁気記録媒体の表面面一を行ってもよい。
センターコア7としては非晶性熱可塑性高分子樹脂からなる。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、AS樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリスルホン、セルロイド、ポリフェニレンオキサイド、非晶性エラストマー、PETG、等の合成樹脂類、天然樹脂類、またはそれらの樹脂の変性樹脂などを単独または組み合わせた複合体、アロイ体、ブレンド体等の非晶性固体を使用することができる。更にそれらの樹脂に有機顔料、無機顔料または有機染料、無機染料、安定剤、表面活性剤などの添加剤を加え、樹脂を改質することも可能である。
また、センターコア7は必要に応じて上記高分子樹脂の複層構成を用いてもよい。例えば、2層のセンターコア層、または数層のセンターコア層を用いて予め加熱加圧により一体化してセンターコア7として用いるか、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表
面基材2を一体化する際に、一緒に積層一体化することができる。
また、図に示したように、センターコア7中にアンテナ付きの非接触ICモジュール9
を埋め込むことも可能である。例えば、センターコア7を2層にして、2層の間にアンテナ付き非接触ICモジュール9を配置して、熱ラミネートを行うことにより、ICモジュール9をセンターコア7中に埋設する。
ICモジュール9は、受信用また送信用のアンテナコイル(ここで「アンテナコイル」は本明細書中ではコイル状を成したアンテナを指す)とデータ蓄積用のメモリ、さらに場合によってはデータ演算用等のCPU、エネルギー供給用の電池(図示せず)などから成る。出来上がる非接触ICカード(本発明に関わる情報記録媒体の一代表例)の外観、形状等に好ましくない影響を及ぼさないようにするため、ICモジュール9はなるべく薄型のものを用いた方が好ましい。また、ICモジュール9の取扱い易さ、低コストであること等から、プリント基板型の一体型モジュールを用いても良い。
2枚の基材の間にICモジュール9を挟んで、加熱、加圧方式により、非接触ICカード記録媒体を作製する際、カード記録媒体の表面を平滑にするため、加熱温度を高くし、圧力により基材樹脂をICモジュール上下から流してICモジュールを埋め込んだ方が好ましい。その際、チップへかかる圧力を減らすため、基材樹脂を加熱してから、加圧を行った方がよい。またセンターコアの基材上に、ICモジュール9に搭載されたチップ等電気部品と同等の大きさの穴を穿ち、ICモジュール9をチップ等の電気部品を穴に埋め込むよう、基材上に設置してから、加熱、加圧を行う方が好ましい。
結晶性熱可塑性の表面基材1,2と非晶性熱可塑性センターコア7を容易に積層一体化を行うことができるため、第一の表面基材1とセンターコア7の間に、また第二の表面基材2とセンターコア7の間にそれぞれに接着層8を設ける。接着層8を設ける方法としては一般的な印刷方法、コーティング方法を用いて、接着層を表面基材と接するセンターコアの表面に設けるか、またセンターコアとする表面基材の内側表面に設けるか、どちらでも良い。また、前記のようにセンター2枚以上からなり、予めセンターコアを熱ラミネートにより、一体化するセンターコアに関しては、一体化されてから、表面に接着層を形成した方がよい。何故ならば、センターコアの表面に接着層を形成してから、センターコアのラミネートを行うと、接着層がラミネートの金属板に貼り付いてしまうからである。また、センターコアと接する表面基材の内側表面に接着層を形成する場合、表面基材の表面に、予め本発明の非晶性高分子樹脂の熱硬化型ポリウレタン層を形成してから、表面基材のもう一方表面に接着層を形成するか、又は表面基材の表面に、予め接着層を形成してから、反対側の表面に本発明の非晶性高分子樹脂の熱硬化型ポリウレタン層を形成するか、どちらでも良い。
更に表面基材1,2と、センターコア7の間に用途により、印刷層、隠蔽層等の機能性層を設けることもできる。表面基材に透明なPETを用いる場合、印刷層を表面基材1、2とセンターコアの間に設けることにより、印刷層が表面基材に保護され、印刷層の耐久性が高くなる。更に情報記録媒体の仕様によって、第一の表面基材1とセンターコア7の間に、また第二の表面基材2とセンターコア7の間に、それぞれに中間基材を設けることもできる。中間基材の表面にも接着層、印刷層などを設けることもできる。
非接触ICモジュール9付きの情報記録媒体の積層一体化方法としては、第一の表面基材1、センターコア7の基材、ICモジュール9、センターコア7の基材、第二の表面基材2を順次に積層して加熱、加圧を行う一回方式と、先ず、センターコア7の基材、ICモジュール9、センターコア7の基材を順次に積層して第一次加熱、加圧を行い、ICモジュール9 とセンターコア7の基材の一体化を先ず行い、ついで、ICモジュール9が
埋設されているセンターコア7上下表面に、第一の表面基材1、第二の表面基材2をそれぞれ積層して第二次加熱加圧を行う二回方式とがある。何れの方式も、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を予め、表面基材1,2の表面形成するか、積層一体化してから、形成するか、どちらでも差し使いがない。ただし、接着剤が金属板に貼り付くので、先ず、センターコア7の基材、ICモジュール9、センターコア7の基材を順次に積層して第一次加熱、加圧を行い、ICモジュール9とセンターコア7の基材の一体化を先ず行う場合は、接着層を予めにセンターコア7に形成しないで、センターコア7を一体化してから、センターコアの表面に形成するか、また表面基材1,2の内側表面(センターコアと接する側の表面)に形成する。
図1は本発明の第1の実施例に係る情報記録媒体10の構成を各工程に示す説明図である。
厚さ100μmの白色の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材とし、末端にOH官能基を有する非晶性ポリエステルウレタンとHMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)の下記の組成の混合物を非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂とした。
<組成>
ポリエステルウレタンUR1400(東洋紡製KOH 2〜3mg/g) 100部
TDIのタケネートD202(武田薬品製) 3部
ステアリン酸亜鉛 4部
MEK 50部
トルエン 60部
まず、幅が400mmのウェブになっている白色で二軸延伸済みのポリエチレンテレフタレートの基材の表面に、上記の混合液をグラビアコーターにて塗膜が10μmとなるように塗布して、長さが400mmのシートを1枚取り、前方向の左側をコーナカットして本発明の表面基材1とした。次に、幅が400mmのウェブになっている白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの基材の裏側の表面に上記の混合液をグラビアコーターにて塗膜が10μmとなるように塗布して、長さが400mmのシートを1枚取り、前方向の左側をコーナカットして本発明の表面基材2とした。
厚さ18μmの銅箔でできたエッチングアンテナ付きの一体型ICモジュールを、IC
モジュール9として用いる。この厚さ18μmの銅箔は基板上に箔として設けてあり、ここでは既にその銅箔がエッチングによってアンテナ用にパターニングされてあるものを用いた。ここで、基板の厚さは50μm、チップ封止材を含むICチップ部品の厚さは250μmでサイズ2×2mmである。
サイズ400mm×400mmで厚さ500μmの、白色をなす基材である非晶性ポリエステル樹脂;PETG[曲げ弾性率は1,980MPa、ガラス転移点(Tg)は63℃]につき、2枚をいずれもセンターコア7に用いる基材として、この2枚のセンターコア7用の基材の間に、上記のICモジュール9を設置して、その積層体を熱プレス機にセットし、温度を145℃、圧力を約1,000kPaとした条件で熱プレスを行い一体化した。このように、ICモジュール9入りの積層体を本発明のセンターコア7とした。更にセンターコア7の表側,裏側の表面に、それぞれ下記の組成からなる接着剤を厚さ5μm塗布して、接着層とした。
ポリエステル樹脂 バイロンS200(東洋紡製) 100部
MEK 20部
トルエン 20部
そして、センターコア7の表側,裏側の表面に、表面基材1及び表面基材2を、それぞれの非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を外側にして、且つ、表面基材1と表面基材2のコーナーカット部が合うようにして、センターコアを挟むよう積層した。
このようにして積層された積層体の表面(非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11側)に、磁気ストライプのテープを転写により磁気ストライプ4が表面に載るかのように設けたうえ、積層体を金属板で挟んで熱プレス機にセットして、温度を135℃、圧力を約1,000kPaとした条件で熱プレスを行い、一体化した。そして、一体化された積層体が得られ、このとき非晶性熱硬化型ウレタン樹脂が熱プレスの金属板に張り付かず、積層体を容易に金属板から、分離した。また積層体の磁気ストライプ4の表面と、基材表面の磁気ストライプが無い領域の表面(非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11側)とが面一にされ、磁気ストライプによる段差が無く、外側表面が平坦なものになった。
この積層体の磁気ストライプ4側の表面に、市販のシルバーインキからなる隠蔽層3をスクリーン印刷機にて厚さ2μmで形成し、更に、クリアの樹脂からなる保護層6を形成したうえ、再び加熱及び加圧を行うことにより表面に光沢を付与し、しかる後に、カード(いわゆるICカード類)の形状に断裁することで、実施例1に関わる情報記録媒体10とした。
得られた情報記録媒体10の表面、表面が平滑となり、磁気ストライプ4が隠蔽された。更に情報記録媒体の表面に、ホログラム転写箔を転写しホログラム層5を設け、レーザー刻印による印字を行いレーザ刻印文字6を形成した。ホログラムの転写が問題なく、更にレーザー刻印印字の文字縁部の膨れも生じなかった。情報記録媒体の耐熱温度を評価したところ、熱変形温度は95℃という高い耐熱特性が得られた。また、磁気ストライプを備えたことに起因して評価した磁気特性も、JIS規格を十分にクリアできるものであった。
本発明は、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード(身分証明書)、運転免許証、メンバーズカード、プリペイドカード、等に代表されるカード類、あるいは、タグ類(一般には、タグ、トークン、又は、トランスポンダー、等の色々な呼称がある)と称される情報記録媒体であって、好適な例として(外部端子を介した接触型の通信機能を備えた)接触型ICカード、とりわけ(カードに設けられたアンテナ又はコイルを介した非接触型の通信機能を備えた)非接触ICカードとか(前記の接触型通信と非接触型通信の両機能を備えた)複合ICカード、への応用が挙げられる。
本発明の実施例1に係わる情報記録媒体構成を示す断面図である。 本発明の第一の表面基材と第二の表面基材の、高分子基材の配向方向を揃える方法を示す概念図である。
符号の説明
1 ・・・第一の表面基材
2 ・・・第二の表面基材
3 ・・・隠蔽層(印刷層)
4 ・・・磁気ストライプ
5 ・・・ホログラム層
6 ・・・保護層
7 ・・・センターコア
8 ・・・接着層
9 ・・・ICモジュール
10 ・・・情報記録媒体
11 ・・・非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層
12 ・・・非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層
39 ・・・マイクロ波高分子配向計測定した配向パターン

Claims (5)

  1. 熱可塑性高分子樹脂からなる第一の表面基材、熱可塑性高分子樹脂からなる感熱接着層、熱可塑性高分子樹脂からなるセンターコア、熱可塑性高分子樹脂からなる感熱接着層、及び、熱可塑性高分子樹脂からなる第二の表面基材が、相対的にこの順に積層されている情報記録媒体であって、
    前記表面基材が二軸延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂のポリエチレンテレフタレートからなり、一方もしくは双方の表面基材の外側表面上に非晶性の高分子樹脂の熱硬化型ポリウレタンと金属石鹸からなる非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を設けていることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層となる熱硬化型ウレタン高分子樹脂と金属石鹸の混合比は重量比で100部/1部〜100部/10部であること、を特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記第一の表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向と、前記第二表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向とが、一致していること、を特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
  4. 前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が、末端にOH官能基を有するポリマーと、二つ以上のNCO官能基を有する架橋剤のイソシアナート化合物からなること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報記録媒体。
  5. 前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層に、少なくとも磁気ストライプが設けてあり、その上に該磁気ストライプを隠蔽するように隠蔽層が設けてあること、を特徴とする前記請求項1乃至4のいずれかに記載の情報記録媒体。
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