JP4256133B2 - 針状二酸化チタン微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は針状二酸化チタン微粒子及びその製造方法に関し、特に、透明性の紫外線遮蔽剤として有用な針状二酸化チタン微粒子及びそれを製造する方法に関する。また、その針状二酸化チタン微粒子を配合した日焼け止め化粧料、紫外線遮蔽用塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
針状二酸化チタン微粒子は、平均長軸径が平均短軸径より大きいものであり、一般的に紡錘状、棒状などとも呼ばれているものである。このような針状二酸化チタン微粒子は、球状などの非針状形状を有する通常の二酸化チタン微粒子と同じ用途に用いられる以外に、その粒子形状特性を利用して、紫外線遮蔽剤、充填剤、添加剤、磁気記録媒体の下層材、触媒担体や、導電性材料、抗菌性材料などの機能性材料を表面に付着する基体粒子などとしても有用である。特に、針状二酸化チタン微粒子は透明性が高く、紫外線遮蔽能、特に皮膚への影響が最も大きいと言われるB領域(波長が290〜320nm)の紫外線(UVB)の遮蔽能が非常に優れており、紫外線遮蔽剤として日焼け止め化粧料等への利用が進んでいる。
【0003】
針状二酸化チタン微粒子の製造方法としては、特開平5−186221号公報、特公平6−102545号公報等に、含水二酸化チタンを水酸化ナトリウムで処理した後、加熱・塩酸処理する方法が開示されている。この方法では、非常に微細な粒子が得られ難く、透明性やUVB遮蔽能が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上に述べた従来技術の問題点を解決し、優れた透明性とUVB遮蔽能を有する針状二酸化チタン微粒子及びその製造方法を提供するものである。更に、本発明は、高い透明性とUVB遮蔽能を有する日焼け止め化粧料、紫外線遮蔽用塗料を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、含水酸化チタンを塩基性ナトリウム化合物で処理した後、加熱・塩酸処理する針状二酸化チタン微粒子の製造方法において、前記塩酸処理を三塩化チタンの存在下で行えば、長軸径が比較的大きく、結晶子径の小さい微細な二酸化チタン微粒子が得られること、この二酸化チタン微粒子は分散性に優れているので、これを実際に化粧料や塗料に配合しても高い透明性、UVB遮蔽能が発揮できることなどを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)三塩化チタンの存在下、含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物との反応生成物を塩酸と反応させることを特徴とする針状二酸化チタン微粒子の製造方法、である。
【0007】
【発明の実施の形態】
二酸化チタン微粒子を構成する結晶子を小さく、即ち微細化すると、理論上透明性とUVB遮蔽能は向上するが、同時に表面エネルギーが大きくなり分散性が低下するので、実際に化粧料や塗料等に配合して用いると、高い透明性やUVB遮蔽能が得られなかった。しかし、二酸化チタン微粒子を構成する結晶子を十分に微細にし、しかも、その結晶子が集合して形成された二酸化チタン微粒子を針状形状にすることによって、表面エネルギーを低下させることができ、二酸化チタン微粒子が本来持っている透明性やUVB遮蔽能を引き出すことができると考えられる。すなわち、本発明の二酸化チタン微粒子は、0.01〜0.15μmの範囲の平均長軸径を有する針状二酸化チタン微粒子であり、その結晶子の平均径は40〜175Åの範囲である。ここでは、平均長軸径が平均短軸径より大きい粒子を針状と言い、一般的に紡錘状、棒状などと呼ばれているものも包含する。
【0008】
本発明における平均長軸径は電子顕微鏡法により求めた一次粒子の累積50%粒子径で、平均結晶子径は二酸化チタンの(110)面のX線回折ピークより、後記のScherrerの公式(式1)を用いて算出したものである。平均長軸径が0.01μmより小さいと、表面エネルギーが大きく所望の分散性が得られず、0.15μmより大きいと、平均結晶子径が前記範囲にあっても透明性やUVB遮蔽能が低下してしまう。また、平均結晶子径が175Åより大きいと、所望の透明性やUVB遮蔽能が得られず、40Åより小さいと、平均長軸径が前記範囲にあっても、表面エネルギーが大きくなり過ぎ分散性が低くなる。平均長軸径の好ましい範囲は0.05〜0.15μmであり、平均結晶子径の好ましい範囲は40〜150Åであり、更に好ましい範囲は50〜130Åである。
【0009】
比表面積は表面被覆を行うと、被覆種や被覆量によって大きく異なってくるが、例えば後述の表面被覆を行っていない針状二酸化チタン自体では、150〜250m2/gの範囲にあるのが好ましい。本発明の針状二酸化チタン微粒子は、本発明の目的を損なわない範囲で一部に非晶質のものを含んでいても良いが、実質的に結晶構造を有している。結晶構造には制限は無いが、特に後述の製造法で得られたものは、ルチル型を主体としている。
【0010】
本発明の針状二酸化チタン微粒子には、無機化合物及び有機化合物から選ばれる少なくとも1種で粒子表面が被覆されていても良い。被覆量は目的に応じて適宜設定することができ、例えば針状二酸化チタン微粒子のTiO2換算に対してそれぞれ0.1〜50重量%の範囲の量を被覆するのが好ましく、0.1〜30重量%の範囲がより好ましい。
【0011】
分散性や耐候性等を向上させるためには、無機化合物を被覆するのが好ましく、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、亜鉛、チタニウム、スズ、アンチモン等から選ばれる少なくとも1種の化合物、例えば、それらの元素の酸化物または含水酸化物を被覆するのがより好ましい。また、有機系バインダーとの親和性を高めたり、流動性を高めたりする等の目的で粒子の表面、または前記の無機化合物被覆を行った粒子の表面に、少なくとも1種の有機化合物により被覆しても良い。
【0012】
有機化合物としては例えばステアリン酸、カルボン酸等の高級脂肪酸、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン系化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、トリエチルアミン等のアルカノールアミン類、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤などが挙げられる。
【0013】
次に、本発明は針状二酸化チタン微粒子の製造方法であって、三塩化チタンの存在下、含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物との反応生成物を塩酸と反応させる方法である。
【0014】
本方法における反応機構は必ずしも明確ではないが、含水酸化チタンと塩基性ナトリウムとの反応によりチタン酸ナトリウムが生成し、そして、チタン酸ナトリウムと塩酸との反応によりチタン酸ナトリウムからナトリウムが脱離すると考えられ、その過程で、針状二酸化チタン微粒子が、特にルチル型のものが生成すると推測される。三塩化チタンにはその際に結晶子の成長を抑制する作用があるのではないかと考えられる。
【0015】
本発明で用いる含水酸化チタンは四塩化チタン、硫酸チタニル等の加水分解等、公知の方法により得られたものを用いることができる。塩基性ナトリウム化合物としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム等を用いることができる。
【0016】
含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物との反応は、含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物とを混合することにより行われる。含水酸化チタンを予め有機溶媒等の分散媒に、好ましくは水に分散させた懸濁液に、塩基性ナトリウム化合物またはその溶液を添加するか、あるいは、塩基性ナトリウム化合物の溶液に、含水酸化チタンまたはその分散液を添加すると、均一に反応し易いので好ましい。この反応は、好ましくは80〜100℃の範囲で、更に好ましくは90〜100℃の範囲で行う。反応温度が80〜100℃の範囲であれば、含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物との反応が短時間で進行しやすく、オートクレーブ等の耐圧反応器を必要としないため、工業的に有利である。含水酸化チタン中に含まれるチタン分のTiO2換算量1モルに対し、1モル以上の塩基性ナトリウム化合物と反応させると、微細な結晶子を有する反応生成物が得られ易く、好ましくは5モル以上、更に好ましくは5〜8モルで反応させる。反応生成物が得られた後、連続的に塩酸と反応する工程に供しても良いが、反応生成物を一旦濾過・洗浄してから、前記工程に供すると、粒子径や粒子形状の均一な針状二酸化チタン微粒子が得られ易いので好ましい。
【0017】
次いで、三塩化チタンの存在下、反応生成物を塩酸と反応させるには、反応生成物を予め有機溶媒等の分散媒に、好ましくは水に分散させた懸濁液に、三塩化チタンを添加した後塩酸を添加するか、両者を同時に添加するか、あるいは、両者を混合して添加すると、均一に反応し易いので好ましい。反応温度は60〜100℃の範囲が好ましく、85〜100℃の範囲が更に好ましい。温度が60〜100℃の範囲であれば、微細な結晶子を有する針状二酸化チタン微粒子が得られ易く、また、オートクレーブ等の耐圧反応器を必要としないため、工業的に有利である。反応温度の調整は三塩化チタン及び塩酸を添加する前に行っても、添加した後に行っても、添加しながら行っても良い。
【0018】
三塩化チタンは、反応生成物に含まれるチタン分のTiO2換算量に対し、TiO2換算で0.1〜50重量%に相当する量を用いるのが好ましく、0.1〜20重量%に相当する量を用いるのがより好ましい。用いる三塩化チタンの量が0.1〜50重量%であれば、微細な結晶子を有する針状二酸化チタン微粒子が得られ易い。
【0019】
用いた三塩化チタンは、得られた針状二酸化チタン微粒子を濾過・洗浄、乾燥する過程などで空気酸化され、最終的に非晶質の二酸化チタンまたは含水二酸化チタンとして、おそらくは一部が粒子の内部で、且つ結晶格子の外部に存在し、一部が粒子の表面に被覆層として被着されるものと推測される。三塩化チタンに替えて、例えば二塩化チタンのように、反応中に三塩化チタンを生成させる化合物を用いることもできる。
【0020】
用いる塩酸の量は、反応生成物中に含まれるチタン分のTiO2換算量で1モルに対し、0.1〜2モルの範囲にするのが好ましく、0.4〜1.5モルの範囲が更に好ましい。反応時のpHが3以下であると、非針状粒子が生成し難いので好ましく、1以下が更に好ましい。pHが2〜3になるまで塩酸を添加した後、更に塩酸を添加すると、粒度分布や粒子形状の整ったものが、より得られ易くなるので好ましい。本発明では三塩化チタンも酸性化合物であるので、三塩化チタン及び塩酸を前記範囲で用いた場合、特にpHを調整する必要は無い。
【0021】
前記のように針状二酸化チタン微粒子を合成した後、必要に応じて公知の方法により無機化合物や有機化合物を被覆することができる。アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、亜鉛、チタニウム、スズ、アンチモン等の酸化物または含水酸化物を表面に被覆する場合は、例えば得られた針状二酸化チタン微粒子の水性懸濁液中に、これらの成分を含む水溶性化合物を所定量添加し、塩基性あるいは酸性化合物を用いて中和する。
【0022】
有機化合物の被覆を行う場合は、例えば粉砕工程で粉砕機中に有機物を添加し、粉砕させながら被覆処理したり、あるいは乾燥後または粉砕後に高速ミキサー等を用いて有機化合物と混合しながら被覆処理する等、いわゆる乾式処理により行うことができる。また被覆する有機化合物が、水性懸濁液中で二酸化チタンと強固に結合するものであれば、湿式処理を用いることができる。そのような有機化合物としてステアリン酸ソーダ等の高級脂肪酸塩や、シランカップリング剤の加水分解物等が挙げられ、針状二酸化チタン微粒子の懸濁液にこれらを添加、中和して、被覆させることができる。
【0023】
以上の方法により得られた針状二酸化チタン微粒子あるいは被覆処理した針状二酸化チタン微粒子は、通常行われる手法で濾別、洗浄、乾燥しても良く、必要に応じて、得られた乾燥物をジェットミル等の流体エネルギーミルや、ハンマーミル等の衝撃粉砕機等の粉砕機で粉砕しても良い。
【0024】
本発明の日焼け止め化粧料及び紫外線遮蔽塗料は、以上に述べた針状二酸化チタン微粒子を配合したものである。日焼け止め化粧料は、その他に通常化粧料に用いられるバインダー、溶剤、着色剤、界面活性剤、香料、保湿剤等の添加剤を含んでいても良い。紫外線遮蔽塗料は、例えばアクリル、アルキド、メラミン、ポリエステル、ウレタン等の樹脂に、前記の針状二酸化チタン微粒子をディスパー、サンドミルを用いる等の公知の方法で分散したもので、分散剤、レベリング剤、硬化剤等の添加剤を適宜配合できる。日焼け止め化粧料及び紫外線遮蔽塗料中の針状二酸化チタン微粒子の配合量は適宜設定することができる。これらは非常に透明性が高いので素肌や、プラスチックス、木材等の有機系基材の本来の外観を損なわずに、紫外線の影響を効果的に防ぐことができる。
【0025】
本発明の針状二酸化チタン微粒子は、前記の日焼け止め化粧料や紫外線遮蔽塗料以外にも様々な用途に用いることができる。例えば、透明なプラスチックス・フィルムに配合し、基材に貼付すれば、紫外線遮蔽塗料と同様の効果が得られる。プラスチックス、圧縮ボード、紙等の基材を成形する際に、紫外線遮蔽フィラーとして直接配合しても良い。更には、トナー、シリコーンゴム等の添加剤、磁気記録材料の下層材、触媒担体、導電材料の基体粒子などとして用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0027】
実施例1
1.反応生成物の合成
TiO2として100g/リットルの含水酸化チタンの水性懸濁液2000ミリリットルに、48%水酸化ナトリウム水溶液1400gを撹拌しながら添加し、95℃で120分間加熱処理した後、濾過・洗浄し、反応生成物の洗浄ケーキを得た。含水酸化チタンに含まれるチタン分のTiO2換算量1モルに対し、6.72モルの塩基性ナトリウム化合物を用いた。
【0028】
2.針状二酸化チタン微粒子の合成
洗浄ケーキを水に再分散させ、反応生成物をTiO2として70g/リットルの水性懸濁液とした。この懸濁液1400ミリリットルに、反応生成物中のTiO2に対し、TiO2として5重量%に相当する三塩化チタンの水溶液と、35%塩酸40ミリリットルとを同時に20分で添加し撹拌したところ、懸濁液のpHは3であった。引き続き、懸濁液を60℃に昇温して30分間撹拌し、更に35%塩酸61ミリリットルを添加したところ、pHは1以下になった。塩酸の合計使用量は、反応生成物中に含まれるチタン分のTiO2換算量で1モルに対し、0.8モルであった。その後、温度を95℃に保ちながら60分間熟成し、ルチル型の針状二酸化チタン微粒子のスラリーを得た。スラリーを一部分取し、洗浄、濾別、乾燥後、サンプルミルで粉砕して、本発明の針状二酸化チタン微粒子(試料a)を得た。
【0029】
3.表面被覆処理
前記のスラリーを80℃に加温して、200g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でpHが8になるように中和した。次に、Al2O3として300g/リットルのアルミン酸ナトリウムを53.3ミリリットルと20%硫酸とを、スラリーのpHが8〜9に保持しながら同時に20分間で添加し、10分間撹拌した後、20%硫酸でpHを5.5になるように30分間かけて中和した。次いで、ステアリン酸ナトリウムをTiO2に対して20重量%添加し、30分間撹拌した後、20%硫酸でpHが6になるように40分間かけて中和し、60分間熟成した。その後、洗浄、濾別、乾燥し、ハンマーミルを用いて粉砕して、TiO2に対してアルミニウム含水酸化物10重量%とステアリン酸15重量%とで被覆された針状二酸化チタン微粒子(試料A)を得た。
【0030】
比較例1
三塩化チタンを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてルチル型針状二酸化チタン微粒子(試料b)、及び、そのアルミニウム含水酸化物とステアリン酸との表面処理品(試料B)を得た。
【0031】
評価1
実施例1及び比較例1で得られた針状二酸化チタン微粒子(試料a、b、A、B)の長軸及び短軸の平均一次粒子径を、電子顕微鏡写真法により測定した。また、比表面積を、比表面積測定装置(島津製作所製、フローソーブII 2300型)を用いてBET法により測定した。
【0032】
評価2
実施例1及び比較例1で得られた針状二酸化チタン微粒子(試料a、b、A、B)の平均結晶子径を(110)面のX線回折ピークから下式を用いて算出した。
式1:DHKL=K*λ/βcosθ
DHKL:平均結晶子径(Å)
λ :X線の波長
β :回折ピークの半価幅
θ :Bragg's角
K :定数
【0033】
平均長軸径及び平均短軸径、平均結晶子径、比表面積の測定結果を表1に示す。この結果から、本発明の針状二酸化チタン微粒子は、0.01〜0.15μmの平均長軸径と40〜175Åの平均結晶子径とを有することが分かった。また、電子顕微鏡観察の結果、凝集粒子がほとんど無いこと、X線回折の結果、実質的にルチル型結晶が得られることが分かった。
【0034】
【表1】
【0035】
評価3
実施例1及び比較例1で得られた針状二酸化チタン微粒子(試料A、B)を以下に記す方法で化粧料を想定したペーストとした。このペーストをドクターブレードを用いて透明なトリアセテート・フィルム上に膜厚が約25μmになるように塗布した後、30分間風乾した。この塗膜の波長が300nmにおける光の透過率T300及び550nmにおける光の透過率T550を、積分球を装着した分光光度計(島津製作所製、UV−VIS UV−2200A型)を用いて測定し、下式に従ってA300/A550を算出した。
式:A300/A550=log(100/T300)/log(100/T550)
【0036】
【0037】
(ペーストの調製方法)
前記処方を225ccの蓋付ガラス瓶に仕込み、密閉してからペイントコンディショナー(レッドデビル社(米)製、クイックミル)を用いて分散させた。
【0038】
評価4
実施例1及び比較例1で得られた表面被覆を行った針状二酸化チタン微粒子(試料A、B)を以下に記す方法で塗料とした。この塗料を2ミル・アプリケーターを用いて透明のトリアセテート・フィルム上に塗布し、30分間放置後、140℃で2分間焼付けた。焼付後の塗膜の厚さは約9μmであった。この塗膜のT550、T300を評価3と同様の方法により測定し、A300/A550値を算出した。
【0039】
(塗料化処方)
[処方A]
試料 5.4g
アクリル樹脂
(大日本インキ化学製、アクリディック47−712) 6.4g
混合溶剤(トルエン/酢酸ブチル=1/1) 14.7g
ガラスビーズ 45.0g
[処方B]
処方Aにより調製した成分 26.5g
アクリル樹脂
(大日本インキ化学製、アクリディック47−712) 41.6g
メラミン樹脂
(大日本インキ化学製、スーパーべッカミンL−117) 10.0g
混合溶剤(トルエン/酢酸ブチル=1/1) 5.0g
【0040】
(塗料の調製方法)
処方Aを225ccの蓋付ガラス瓶に仕込み、密閉してからペイントコンディショナー(レッドデビル社(米)製、クイックミル)を用いて分散させた後、得られた成分を抜き出し、処方Bにて残りの成分と混合した。
【0041】
ペーストによる透過率の測定結果を表2に、塗料による透過率の測定結果を表3に示す。本発明の針状二酸化チタン微粒子は化粧料にしても塗料にしてもA300/A550値が高い、すなわち透明感が高く紫外線遮蔽能が優れていることが分かる。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】
本発明は、0.01〜0.15μmの範囲の平均長軸径と40〜175Åの範囲の平均結晶子径とを有することを特徴とする針状二酸化チタン微粒子である。この針状二酸化チタン微粒子は、分散性に優れ、透明性とUVB遮蔽能が高く、皮膚や基材の外観を損なわずに、紫外線からの高い保護効果を示すため、日焼け止め化粧料や紫外線遮蔽塗料に有用である。また、トナー、シリコーンゴム等の添加剤、磁気記録媒体の下層材、触媒担体、また、導電性材料等の基体粒子などとしても用いることもできる。更に本発明は、三塩化チタンの存在下で、含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物との反応生成物を塩酸と反応することにより微細な結晶子を有する針状二酸化チタン微粒子を製造することができる。
Claims (8)
- 三塩化チタンの存在下、含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物との反応生成物を塩酸と反応させることを特徴とする針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 反応生成物に含まれるチタン分のTiO2換算量に対し、三塩化チタンをTiO2換算で0.1〜50重量%の範囲存在させることを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 反応生成物と塩酸との反応を60〜100℃の範囲の温度下で行うことを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 反応生成物と塩酸との反応を3以下のpH域で行うことを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 反応生成物に含まれるチタン分のTiO2換算量1モルに対し、0.1〜2モルの範囲の量の塩酸を用いることを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物とを80〜100℃の範囲の温度下で反応させて反応生成物を得ることを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 含水酸化チタンに含まれるチタン分のTiO2換算量1モルに対し、1モル以上の塩基性ナトリウム化合物を用いることを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 含水酸化チタンと塩基性ナトリウム化合物とを反応して得られた反応生成物を一旦濾別・洗浄した後、塩酸と反応させることを特徴とする請求項1記載の針状二酸化チタン微粒子の製造方法。
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