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JP4255630B2 - 米のdna食味判定技術及び籾/玄米半粒による良食味米選抜方法 - Google Patents

米のdna食味判定技術及び籾/玄米半粒による良食味米選抜方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNA判別法による米の食味判別技術及び良食味米選抜技術に関し、詳しくは稲植物体、籾、玄米、精米、米飯、餅あるいはこれらの粉砕物から抽出したDNAを適正化プライマー(STS化プライマー)共存下でPCR法により増幅して得られるDNAバンドのうち、食味評価結果と相関の高いDNAバンドを識別用DNAマーカーとして用いて良食味米を選抜することを特徴とする米のDNA食味判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
世界各国あるいはわが国において、米は小麦やトウモロコシと並んで三大穀物と言われ、世界の人口の過半数の主食として重視されている。最近では、食料としての米の量の確保とならんで質の確保、すなわち、米飯とした場合の食味も重要視され、世界的にはインドやパキスタンの「バスマティ370」、タイにおける「ジャスミンライス」、日本における「コシヒカリ」のような極良食味米が高価格で取り引きされており、需要が高まっている。
【0003】
米の食味の判定方法としては、炊飯米を試食して評点をつける官能検査(試食試験)と、米あるいは米飯の化学成分や物理特性などを測定して食味を推定する物理化学的評価とがあるが、それぞれに利点と問題点がある。このため、現在においては、片方あるいは両者の併用によって米の食味評価が行われている。
しかしながら、官能検査、物理化学的評価ともに、少なくとも50から500グラムの米試料を必要とするため、少量、特に一粒の試料米によって対象ロットあるいは対象品種・系統の食味を推定することは不可能であった。
【0004】
本発明者らは、これまでに米の食味評価に関する研究を行い、例えば食品工業42巻17号(p.55−61)等の文献発表を行ってきた。しかしながら、本発明者らの従来の技術についても、一定量の米試料を用いる官能検査や物理化学的評価であり、少量、特に一粒の試料米によって非破壊的に食味を推定することは不可能であった。
【0005】
また、本発明者らは、これまでにRAPD法やSTS化プライマー法等のDNAによって米の品種判別を行う技術に関する研究を行い、日本食品科学工学会誌46巻3号(p.117−122)等の文献発表や特許出願(特開2001−95589号公報等)を行ってきた。しかしながら、これらの従来技術は、すでに種苗として登録された米の品種を対象にし、食味とは無関係に品種判別用DNAマーカーを組み合わせて判別するものであり、世界各地の未知の米、新しく育成中の米、あるいは市場に登場したけれども食味評価の定まっていない米等を含む広範な米を対象としたDNA食味判別技術については、判別対象としていない。
【0006】
また、これまでに、稲の幼苗や多量の米試料を用いて、RFLP(制限酵素断片多型性)による遺伝子マーカーを用いた病虫害抵抗性遺伝子の探索等の研究が行われてきている。しかし、RFLP法では試料DNAを各種の制限酵素によって切断して得られるDNA多型に基づいて探索を行うため、本発明のように少量の試料、特に一粒の米試料による非破壊的な食味評価及び良食味米選抜は不可能である。
したがって、従来の公知技術では、少量の試料、特に一粒の米試料を用いて、DNA識別マーカーによって食味評価を行うことは不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、微量試料、特に半粒あるいは1粒の米試料を用いてDNA食味判別を行う方法を提供することにあり、次世代の稲体のもとになる胚芽を破壊することなく食味を判別し、良食味米を選抜する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、各種の米試料から抽出したDNAを、適正なプライマー存在下のPCR法によって増幅して得られるDNAバンドのうち、食味評価結果と相関の高い識別用DNAマーカーによって良食味米を選抜できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち、請求項1記載の本発明は、稲植物体、籾、玄米、精米、米飯、餅あるいはこれらの粉砕物から抽出したDNAを鋳型とし、A6F21(配列表の配列番号3)及びA6R22(配列表の配列番号4)、A7F19(配列表の配列番号7)及びA7R16(配列表の配列番号8)、B1F25(配列表の配列番号11)及びB1R20(配列表の配列番号12)、E30F28(配列表の配列番号31)及びE30R24(配列表の配列番号32)、F6F25(配列表の配列番号35)及びF6R22(配列表の配列番号36)、G4F18(配列表の配列番号39)及びG4R24(配列表の配列番号40)、G22F27(配列表の配列番号43)及びG22R23(配列表の配列番号44)、G28F17(配列表の配列番号47)及びG28R28(配列表の配列番号48)、J6F18(配列表の配列番号51)及びJ6R20(配列表の配列番号52)、M2CGF16(配列表の配列番号55)及びM2CGR15(配列表の配列番号56)、M11F20(配列表の配列番号59)及びM11R20(配列表の配列番号60)、P5F20(配列表の配列番号67)及びP5R25(配列表の配列番号68)、S13F25(配列表の配列番号75)及びS13R24(配列表の配列番号76)、T16F24(配列表の配列番号83)及びT16R26(配列表の配列番号84)、WK9F20(配列表の配列番号87)及びWK9R20(配列表の配列番号88)からなるプライマー対の群より選ばれた種以上のSTS化プライマー対を用いたPCRによるDNAバンドの出現の有無に基づいて良食味米を選抜することを特徴とする米のDNA食味判定方法である。
【0010】
請求項2記載の本発明は、籾又は玄米を半裁し、胚を含まない籾半粒又は玄米半粒から抽出したDNAを鋳型とし、PCRによるDNAバンドの出現の有無に基づいて良食味米を選抜した後に、胚を含む残りの籾半粒又は玄米半粒を発芽させて植物体を得ることによって良食味米系統を選抜する請求項1記載の方法である。
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の方法において、PCRによるDNAバンドの出現の有無を数値化して説明変数とし、官能検査及び/あるいは物理化学的測定方法による米の食味評価結果を目的変数とする多変量解析を行って得られる食味推定式に基づいて良食味米を選抜することを特徴とする請求項1又は2記載の方法である。
【0012】
請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の方法において、官能検査による米の食味評価が、米飯の「総合評価」、「外観」、「香り」、「味」、「硬さ」及び「粘り」から選ばれた1種以上であり、かつ、物理化学的測定方法による米の食味評価が、タンパク質含量、アミロース含量、米飯の硬さ及び米飯の粘りから選ばれた1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の方法である。
【0013】
請求項5記載の本発明は、米飯の物理特性を判定する請求項1〜4のいずれかに記載の方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明を詳細に説明する。
本発明における米の食味とは、精米を炊飯した場合の米飯の美味しさを指す。米飯の美味しさは、国や地域、時代、食事の環境、試食者の空腹度合い等によって変動することが知られている。
しかし、一定条件下で炊飯した白飯を多数の試食者で試食試験を行った場合には嗜好性の傾向が現れる。例えば、日本では「軟らかくて粘りが強くつやのある米飯」が好まれるが、逆にインドでは「硬くてしっかりした歯ごたえのある粘りの少ない米飯」が好まれる。
本発明で述べる米の食味とはこの嗜好性の傾向を指し、例えば、旧農林水産省食糧研究所で開発された官能検査方法に基づいて毎年実施され結果が公表されている日本穀物検定協会の米の食味ランキングや各地の農業試験場の稲育種研究室で行われている食味試験結果や後述する食味の物理化学的測定結果などが相当する。
【0015】
本発明における米の食味の官能検査とは、米飯を試料とし、4名から50名(通常は24名)の試食者が、「総合評価」、「硬さ」、「粘り」、「外観」、「味」や「香り」等の項目ごとに、試料米飯と同時に供試される基準米と比較しながら、「劣る」、「同等」、「優れている」等の評価を行い、これらの評価値を、平均値との差の検定や2元配置分散分析等の統計処理によって食味評価を行うことである。例としては、前述の日本穀物検定協会の方法や全国の国公立の稲育種研究室で実施されている食味試験がこれに相当する。
【0016】
本発明における米の食味の物理化学的測定結果とは、米の食味の官能検査結果を推定するために、米のタンパク質含量やアミロース含量等の化学成分測定や米粒あるいは米粉の可視光から近赤外光領域の分光スペクトル測定、炊飯特性試験、米飯物性測定等を行った個別の測定結果あるいはこれらの測定値を説明変数として重回帰分析、ニューラルネットワーク解析等の多変量解析によって推定した食味推定値を指す。
【0017】
本発明における米飯物性測定とは、米飯の食味に関係が深いとされる硬さや粘りを、テクスチュロメーター、レオメーター、レオログラフ、テンシプレッサー等の引張り圧縮試験機やレオログラフマイクロ等の粘弾性測定装置によって測定する方法を指す。米飯の物性測定は、米飯であれば1〜3粒程度から米飯塊等にいたる各種の試料を用いて行うことができる。
【0018】
本発明における稲植物体、籾、玄米、精米、米飯、餅あるいはこれらの粉砕物からのDNA抽出は、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを用いる方法(以下、CTAB法と略記することがある。)、アルカリSDS法、フェノール法、酵素法、塩化ベンジル法等の常法あるいは市販のDNA抽出用キットを用いることができる。本発明においては、後記の実施例で示すように、CTAB法あるいは酵素法を用いるのが好ましい。
たとえば、試料にCTAB溶液(0.1Mトリス/塩酸、2mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、1.4M NaCl(pH8.0))を加えて攪拌し、恒温槽に入れた後、再びCTAB溶液を加え、所定時間静置して抽出することにより、ゲノムDNAを得ることができる。
また、試料が米飯や餅等の場合には、特許第3048149号明細書に記載されているように、粉末試料を耐熱性アミラーゼによって処理した後にゲノム遺伝子を抽出する酵素法によって抽出することもできる。
【0019】
試料として、特に籾又は玄米を用いる場合、籾又は玄米をカッターやナイフ等を用いて半裁し、胚(胚芽)を含まない半粒からDNAを抽出して食味判定を行うことにより、後述するように、残りの胚(胚芽)を含む半粒を発芽させて、食味評価の高い良食味米の植物体を得ることができる。
【0020】
DNAの抽出後、必要に応じてクロロホルム/イソアミルアルコール処理、イソプロパノール沈殿、フェノール/クロロホルムによる除蛋白、エタノール沈殿等の精製工程を加えてもよい。これらの工程の中では、クロロホルム/イソアミルアルコール処理が好ましい。この処理は、たとえばDNA抽出液にクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を加えて攪拌、遠心分離して得られる上清に、DNA沈殿液(1%CTAB溶液、20mMトリス/塩酸、10mMEDTA、pH8.0)を加えてさらにDNAを沈殿させた後、遠心分離を行って得られたDNA沈殿物を1M NaClで抽出し、イソプロピルアルコール、エタノールによる洗浄、沈殿の後、TE緩衝液に溶解するもので、これによりDNA試料液を得ることができる。
【0021】
続いて、ランダムプライマーの共存下に、上記の操作により得られるゲノムDNAを鋳型とするPCR法を行う。これは、ゲノムDNAのうち、次のPCR用のSTS化プライマー設計の基となる品種間の識別性を有する塩基配列を増幅させるために行うものである。
ここで、本発明におけるPCR法とは、上記により抽出したDNAを鋳型DNAとし、各種の遺伝子断片(プライマー)共存下で、変性(90〜96℃の高温による鋳型DNAの2 本鎖から1本鎖への分離)、結合(30〜75℃における各DNAへのプライマーの結合)、伸長(70〜75℃における耐熱性DNAポリメラーゼによるプライマー結合部分からのDNA分子の伸長)の3過程を20〜50サイクル繰り返すことによって鋳型DNAを100万倍〜100億倍に増幅する方法を指す。
【0022】
本発明におけるRAPD法とは、PCR法において、無作為に合成された8〜50量体のランダムプライマーを用い、増幅されたDNAの多型(多様な変化)を検出する方法を指す。
本発明におけるランダムプライマーとは、試料から抽出したゲノムDNAを鋳型DNAとしてPCR法で増幅する際に、変性して一本鎖に分かれたゲノムDNAに相補的に結合して二本鎖構造を形成し、鋳型DNA複製の開始点となるプライマーを指す。通常は8〜50量体のヌクレオチドであり、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)を無作為の配列に結合させた合成プライマーのことであり、たとえば市販されている10量体ランダムプライマー(オペロン社製)やDNAオリゴマーセット(12量体)(和光純薬社製)等が挙げられる。すなわち、PCRに用いるランダムプライマーがOPA6、OPB1、OPB18、OPE22、OPF6、OPG4、OPG28、OPM11、OPP3、OPP5、OPQ16、OPT16からなるプライマー群の中から選ばれた1あるいは2種類以上のランダムプライマーを用いてPCRを行い、識別バンドの有無を有の場合に1、無の場合に0と数値化して食味推定の説明変数とする。
【0023】
STS(Sequence Tagged Site)化プライマーとは、品種間の識別性の現れる塩基配列を増幅させることができる1対のプライマーであり、前記したように、RAPD法に基づき、上記試料より得られるDNAからPCR法を行って得られる品種間に識別性のあるバンド部分の塩基配列を基に設計されるものである。すなわち、対象とする試料のゲノムDNAを鋳型とし、ランダムプライマー存在下で行うPCR法によって識別バンドとして得られたDNAの塩基配列を決定し、そのうちランダムプライマー部分のフォワード側及びリバース側の8〜50残基を1対のプライマーとして、対象穀類の鋳型DNAと共に品種識別のために行うPCR法に使用するものを指す。
STS化プライマーを選定することにより、ランダムプライマーが鋳型DNAに結合する複数個所のうち、食味判定のために行うPCR法においては、識別に有用な判定バンドとなる塩基配列部分のみに選択的に結合することになる。
【0024】
PCRで得られる増幅DNAの電気泳動を行う。これは、増幅産物のうち、目的とするSTS化プライマーを設計するための基となる、食味の相違の現れる塩基配列であることを示すバンドを検出するためである。
【0025】
このようにして検出された食味の識別性の現れたバンドから、次のようにして1対のプライマーを作製する。
すなわち、当該識別性の現れたバンドを前記ゲルから切り出してDNAを抽出、回収し、これを大腸菌に組み込んで増殖させる。次いで、アルカリミニプレップ法等でプラスミドを抽出し、これを鋳型DNAとするPCR法で増幅し、DNA自動シークエンサーにより塩基配列を決定する。
【0026】
決定された塩基配列から、STS化プライマーの設計を行う。先のランダムプライマーによるPCR法において、鋳型DNAである試料由来のDNAのうちランダムプライマーが結合した部位は、当該ランダムプライマーと同一あるいは相補的な(相同な)配列を有しているはずである。つまり、この鋳型DNAから切り出して抽出した食味判定性の高いDNA塩基配列(これがPCR法におけるSTS化プライマーの母体となる)は、両端にランダムプライマーと同一あるいは相同な配列を有していることになる。
したがって、この識別性の高いDNA塩基配列のフォワード側及びリバース側のそれぞれから、適当な配列と長さを有する良食味米の選抜に有用なSTS化プライマーを設計することができる。
【0027】
すなわち、本発明におけるSTS化プライマーは、前記したように、識別用DNAバンドからDNAを抽出してその塩基配列を決定し、PCRにおいて当該識別バンドDNAのみが増幅されるように5’側及び3’側の両側から識別バンドDNAを挟み込むように塩基配列を設計したフォワード・リバースの対をなすプライマー(対合プライマー)を指し、互いに同一配列あるいは相同配列を有していることが望ましい。
【0028】
また、STS化プライマーのサイズ(構成塩基の残基数)は、好ましくは8〜50塩基、より好ましくは15〜30塩基の範囲内であることが必要である。プライマーがこの範囲を超える場合は、鋳型DNAとの結合性及び結合後の解離が悪くなり、PCR後にも識別バンドが検出されず、品種識別が困難になるため好ましくない。また、この範囲を下回る場合は、非特異的な結合によるミスマッチ等が起こり、識別バンド以外のバンドの発現頻度が高くなるため、食味判定が困難になる他、複数のプライマーの併用によるPCRの簡易迅速化が困難になるため好ましくない。
【0029】
本発明者らは、上記のPCRを行った結果、各種品種間に識別性の現れる数種のバンドを得た。米における識別バンドと品種識別性の関係を第1表に示す。
本発明における識別用DNAバンドとは、PCR法によって増幅されたDNAのパターンを電気泳動等によって検出することにおいて、試料米品種の間の相違を示すDNAを指す。
【0030】
【表1】
第1表(その1)
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
【0031】
【表2】
第1表(その2)
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
【0032】
【表3】
第1表(その3)
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
【0033】
【表4】
第1表(その4)
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
【0034】
各バンドに由来して、種々のSTS化プライマーを得た。
(1)識別バンドA7(0.7kbp)
このバンドは、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の品種から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「日本晴」や「朝の光」では特異的に見られない。このA7から、1対のプライマーA7F30(配列表の配列番号5)及びA7R30(配列表の配列番号6)を設計した。
続いて、上記のプライマーの3' 側から所定数の塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるA7F19(配列表の配列番号7)及びA7R16(配列表の配列番号8)を得た。
【0035】
(2)識別バンドB43(0.9kbp)
このバンドは、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」や「ササニシキ」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「きらら397」や「朝の光」では見られない。このB43から、1対のプライマーB43F30(配列表の配列番号21)及びB43R30(配列表の配列番号22)を設計した。
続いて、上記のプライマーの3' 側から所定数の塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるB43F17(配列表の配列番号23)及びB43R18(配列表の配列番号24)を得た。
【0036】
(3)識別バンドE30(0.85kbp)
このバンドは、「ひとめぼれ」や「むつほまれ」等の品種から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「コシヒカリ」や「あきたこまち」では見られない。このE30から、1対のプライマーE30F30(配列表の配列番号29)及びE30R30(配列表の配列番号30)を設計した。
続いて、上記のプライマーから塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるE30F28(配列表の配列番号31)及びE30R24(配列表の配列番号32)を得た。
【0037】
(4)識別バンドJ6(0.9kbp)
このバンドは、「コシヒカリ」や「きらら397」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「ササニシキ」では見られない。このJ6から、1対のプライマーJ6F30(配列表の配列番号49)及びJ6R30(配列表の配列番号50)を設計した。
続いて、上記のプライマーから塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるJ6F18(配列表の配列番号51)及びJ6R20(配列表の配列番号52)を得た。
【0038】
(5)識別バンドM2CG(1.2kbp)
このバンドは、10量体ランダムプライマーに2残基添加したもので、「ひとめぼれ」や「日本晴」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」では見られない。このM2CGから、1対のプライマーM2CGF30(配列表の配列番号53)及びM2CGR30(配列表の配列番号54)を設計した。
続いて、上記のプライマーから塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるM2CGF16(配列表の配列番号55)及びM2CGR15(配列表の配列番号56)を得た。
【0039】
(6)識別バンドS13(1.8kbp)
このバンドは、「きらら397」や「ほしのゆめ」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「日本晴」や「朝の光」では特異的に見られない。このS13から、1対のプライマーS13F30(配列表の配列番号73)及びS13R30(配列表の配列番号74)を設計した。
続いて、上記のプライマーから塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるS13F25(配列表の配列番号75)及びS13R24(配列表の配列番号76)を得た。
なお、S13からはS13F40(配列表の配列番号89)及びS13R40(配列表の配列番号90)を設計することもできるが、このプライマーから塩基を切除したS13F12(配列表の配列番号91)及びS13R12(配列表の配列番号92)については、PCRを行う際に、非特異的な結合によるミスマッチ等が起こり、識別バンド以外のバンドの発現頻度が高くなるため、品種識別が困難になる等の問題が生じた。
【0040】
(7)識別バンドWK9(1.6kbp)
このバンドは、「ひとめぼれ」や「あきたこまち」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「こしひかり」や「ササニシキ」では見られない。このWK9から、1対のプライマーWK9F30(配列表の配列番号85)及びWK9R30(配列表の配列番号86)を設計した。
続いて、上記のプライマーから塩基を切除し、本発明のSTS化プライマーであるWK9F20(配列表の配列番号87)及びWK9R20(配列表の配列番号88)を得た。
【0041】
本発明のSTS化プライマーを得るために行う塩基の切除とは、試料より抽出した鋳型DNAを増幅し、これを基に設計された1対のプライマーの不要な塩基を切除し、15〜30個の塩基とすることをいう。
塩基を切除する方法としては、好適な制限酵素を用いて行う常法によって実施すればよい。
【0042】
具体的には、1対のプライマーであるA6F30(配列表の配列番号1)及びA6R30(配列表の配列番号2)、A7F30(配列表の配列番号5)及びA7R30(配列表の配列番号6)、B1F30(配列表の配列番号9)及びB1R30(配列表の配列番号10)、B7F30(配列表の配列番号13)及びB7R30(配列表の配列番号14)、B18F30(配列表の配列番号17)及びB18R30(配列表の配列番号18)、B43F30(配列表の配列番号21)及びB43R30(配列表の配列番号22)、E22F30(配列表の配列番号25)及びE22R30(配列表の配列番号26)、E30F30(配列表の配列番号29)及びE30R30(配列表の配列番号30)、F6F30(配列表の配列番号33)及びF6R30(配列表の配列番号34)、G4F30(配列表の配列番号37)及びG4R30(配列表の配列番号38)、G22F30(配列表の配列番号41)及びG22R30(配列表の配列番号42)、G28F30(配列表の配列番号45)及びG28R30(配列表の配列番号46)、J6F30(配列表の配列番号49)及びJ6R30(配列表の配列番号50)、M2CGF30(配列表の配列番号53)及びM2CGR30(配列表の配列番号54)、M11F30(配列表の配列番号57)及びM11R30(配列表の配列番号58)、P3F30(配列表の配列番号61)及びP3R30(配列表の配列番号62)、P5F30(配列表の配列番号65)及びP5R30(配列表の配列番号66)、Q16F30(配列表の配列番号69)及びQ16R30(配列表の配列番号70)、S13F30(配列表の配列番号73)及びS13R30(配列表の配列番号74)、T8F30(配列表の配列番号77)及びT8R30(配列表の配列番号78)、T16F30(配列表の配列番号81)及びT16R30(配列表の配列番号82)、WK9F30(配列表の配列番号85)及びWK9R30(配列表の配列番号86)から、上記の方法によって、不要な塩基を切除した15〜30個の塩基からなるSTS化プライマーからなる群より選ばれた2種以上の対合プライマーを用いることができる。
【0043】
すなわち、STS化プライマーとしては、A6F21(配列表の配列番号3)及びA6R22(配列表の配列番号4)、A7F19(配列表の配列番号7)及びA7R16(配列表の配列番号8)、B1F25(配列表の配列番号11)及びB1R20(配列表の配列番号12)、B7F22(配列表の配列番号15)及びB7R17(配列表の配列番号16)、B18F15(配列表の配列番号19)及びB18R21(配列表の配列番号20)、B43F17(配列表の配列番号23)及びB43R18(配列表の配列番号24)、E22F20(配列表の配列番号27)及びE22R21(配列表の配列番号28)、E30F28(配列表の配列番号31)及びE30R24(配列表の配列番号32)、F6F25(配列表の配列番号35)及びF6R22(配列表の配列番号36)、G4F18(配列表の配列番号39)及びG4R24(配列表の配列番号40)、G22F27(配列表の配列番号43)及びG22R23(配列表の配列番号44)、G28F17(配列表の配列番号47)及びG28R28(配列表の配列番号48)、J6F18(配列表の配列番号51)及びJ6R20(配列表の配列番号52)、M2CGF16(配列表の配列番号55)及びM2CGR15(配列表の配列番号56)、M11F20(配列表の配列番号59)及びM11R20(配列表の配列番号60)、P3F20(配列表の配列番号63)及びP3R15(配列表の配列番号64)、P5F20(配列表の配列番号67)及びP5R25(配列表の配列番号68)、Q16F25(配列表の配列番号71)及びQ16R20(配列表の配列番号72)、S13F25(配列表の配列番号75)及びS13R24(配列表の配列番号76)、T8F22(配列表の配列番号79)及びT8R25(配列表の配列番号80)、T16F24(配列表の配列番号83)及びT16R26(配列表の配列番号84)、WK9F20(配列表の配列番号87)及びWK9R20 (配列表の配列番号88)からなる群より選ばれた2種あるいはそれ以上の組み合わせからなるオリゴヌクレオチドを用いることができる。
【0044】
本発明で用いるSTS化プライマーについては、上記したSTS化プライマーのみに限定されるものではなく、識別性や融解温度(Tm)等の点で使用可能なSTS化プライマーを新たに設計して使用することもできる。
ここで、Tmとは、DNAの2本鎖がそれぞれの1本鎖に分離する温度のことであり、PCRのアニーリング温度は、通常、使用するプライマーのTm付近が適している。本発明においては、STS化プライマーの併用に際し、Tmの類似したSTS化プライマー同士を選択して使用し、Tmに近い適正なアニーリング温度を選定することによって、各STS化プライマーを単独で使用した場合に得られる識別バンドを1回あるいは数回のPCRで得ることができる。
【0045】
具体的には、使用するSTS化プライマーのTmの平均値と、各STS化プライマーのTmとの差が15℃(±15℃)以内で、かつPCRのアニーリング温度もその範囲内とすることが好ましい。
アニーリング温度をSTS化プライマーのTmの平均値よりも15℃以上低い温度としてPCRを行う場合には、本来識別バンドが現れない品種にも識別バンドが現れる恐れがあるため、好ましくない。一方、Tmの平均値よりも15℃以上高い温度としてPCRを行う場合には、本来発現していた識別バンドが消えてしまうことがあり、好ましくない。
【0046】
STS化プライマーを適切に選定することにより、PCRにおいて、品種の識別に有用な識別バンドとなる塩基配列部位のみに選択的に結合する。
本発明において、STS化プライマーのうちの1種類あるいは2種類以上の組み合わせを混合使用することが可能である。
本発明におけるSTS化プライマーの混合使用とは、選択した複数のSTS化プライマーを、品種の識別を行うためのPCRにおいて、同一反応に併用することを意味する。本発明では、適切なSTS化プライマーの組み合わせ(プライマーセット)を用いることにより、それぞれのプライマーに対応する識別バンドのみが電気泳動で発現することになるため、混合使用が可能である。
【0047】
調製したSTS化プライマーは、全てが混合使用できるものではなく、各プライマー間で相互のプライマーダイマー生成が起こらないこと、識別バンドが重ならないこと等に注意しながら好適な組み合わせ及び配合割合を選定することが必要である。各種の好適なSTS化プライマーを混合使用することにより、プライマー毎にPCRを行う必要がなくなり、1回のPCRで多くの品種を正確、かつ簡便に識別することができるため、品種判別に要する労力、時間や費用を大幅に減少させることができる。
【0048】
次に、本発明である稲植物体、籾、玄米、精米、米飯、餅あるいはこれらの粉砕物から抽出したDNAをSTS化プライマー共存下でPCR法により増幅して得られるDNAバンドのうち、食味評価結果と相関の高いDNAバンドを識別用DNAマーカーとして用い、良食味米を選抜する米のDNA食味判定方法について説明する。
【0049】
食味を判定するに際しては、第1表におけるPCRによる識別バンドの出現の有無を数値化し、識別バンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0とする2値化を行う。また、食味の数値化を図るために食味官能検査結果や物理化学測定値を直接用いる方法、あるいはこれ以外に、例えば「米の食味ランキング」(日本穀物検定協会発行、2001年)における評価特Aを5点、評価Aを4点、評価A’を3点、評価Bを2点、評価B’を1点として各品種の食味の数値化を行う方法、また「米品種大全2」(米穀データバンク社発行、1999年)における各品種米の食味評価の星印5個を5点、星印4個を4点、星印3個を3点、星印2個を2点、星印1個を1点として、上記の食味ランキングの数値に加え、合計数値を各品種米の食味評価値とする方法等が挙げられる。
【0050】
次に、上記によって数値化したSTS化プライマーあるいはランダムプライマー共存下でのPCRによる識別バンドの出現の有無を説明変数とし、前記した食味評価値、官能検査結果、物理化学測定値のいずれかを目的変数として用い、重回帰分析等の多変量解析を行って、食味推定式を得る。この食味推定式より重相関係数を算出し、良食味米であるかを判定する。
食味推定式は、重回帰分析を用いて求めることが多いが、これ以外の一般的な多変量解析の手法、例えば主成分分析、クラスター分析、PLS解析、ニューラルネットワーク解析等の手法を用いることができる。
【0051】
例えば、重回帰分析は以下の方法によって行うことができる。まず、食味評価値のような目的変数をyとし、1からp個の各プライマーの識別バンドの出現の有無に相当する説明変数をx、x、x、・・・xとし、個体1からpまでの目的変数y、y、y、・・・yに対する説明変数をx11、x21、x31、・・・xp1とするとき、下記の式ような線形重回帰モデルを作成する。
【0052】
【数1】
Figure 0004255630
【0053】
ここで、未知の定数項kとa、a、a、・・aの回帰係数が決まれば、得られた各説明変数であるx、x、x、・・・xの任意の値に対してそれに対応する目的変数の予測値を計算することができる。
この予測値と実測値との差である予測誤差の2乗和を最小にするように、a、a、a、・・aの回帰係数を定めればよい。すなわち、下記の式を最小にするように(p+1)元の連立方程式を立てることにより、その解としてa、a、a、・・aの回帰係数が求められ、定数項kも回帰係数を回帰モデル式に代入することで求めることができる。
【0054】
【数2】
Figure 0004255630
(iは1〜pまで)
【0055】
次に、本発明の方法において良食味米を選抜する方法について説明する。良食味米を選抜する際、DNAを抽出するための試料としては胚(胚芽)を含まない籾又は玄米半粒を用いる。すなわち、玄米あるいは籾をカミソリやカッター等によって半裁し、胚(胚芽)を含まない籾又は玄米半粒から抽出したDNAを鋳型として用い、STS化プライマー等の各種プライマーの共存下でPCRを行う。
続いて、PCR法によって増幅されたDNAのパターンを電気泳動等によって検出し、試料の中から良食味米に特有の識別用DNAマーカーの出現は多いが、低食味米に特有の識別用DNAマーカーの出現は少ない籾又は玄米を選抜する。このような識別用DNAマーカーとしては、食味評価の高い品種に特有に出現するDNAバンド、あるいは食味評価の低い品種に特有に出現するDNAバンドが用いられることが多いが、それ以外のDNAバンドも用いることができる。
【0056】
上記のように、識別用DNAマーカーによって良食味米を選抜した後に、胚(胚芽)を含む残りの籾又は玄米半粒を発芽させ、植物体に生育させることによって良食味米系統を選抜することができる。
胚(胚芽)を含む玄米又は籾の半粒を発芽させて植物体を生育させ、次世代の穀粒を得るには、例えば以下のようにする。すなわち、胚(胚芽)を含む半粒を1%次亜塩素酸ナトリウム溶液で表面殺菌した後、例えば下記の組成の培地に置床し、30℃で発芽させ、発芽半粒種子を得る。
【0057】
培地組成(1L中、pH5.8)
アガロース 8.000g
硫酸アンモニウム 0.463g
硝酸カリウム 2.830g
塩化カルシウム 0.166g
硫酸マグネシウム 0.185g
リン酸2水素カリウム 0.400g
硫酸第二鉄 0.278g
EDTA2ナトリウム 0.373g
ニコチン酸 0.250mg
ビタミンB6 0.250mg
ビタミンB1 0.500mg
グリシン 1.000mg
【0058】
発芽半粒種子を人工気象器に移し、28℃(光照射)10時間、28℃(暗)14時間のサイクルで培養し、幼苗を緑化させる。次いで幼苗を、前記の培地を含むアグリポットに移植し、生育させた後、育苗培土に移植し、人工気象室で2週間程度生育させる。これらの苗を埴土をいれたワグナムポットに移植し、前記の人工気象室で約4ヶ月間栽培し、出穂させる。さらに、穂が完熟するまで約40日間生育を続けた後に穂を刈り取り、脱穀、籾摺りを行う。
こうして得られた各玄米から精米粉末を調製し、上記と同様に、CTAB法等によるDNAの抽出を行い、該DNAを鋳型として各種のSTS化プライマー等の共存下でPCRを行い、電気泳動することによって検出する識別用DNAバンドの有無に基づいて得られる食味推定式によって食味選抜を行う。
得られた各玄米試料は試験用精米機で精米し、官能検査や物性測定等の食味試験に供することもできる。
【0059】
また、玄米あるいは籾の半粒を用いて良食味米の育種・選抜は、例えば以下の方法によって行うことができる。すなわち、常法に従って約40℃の温湯に浸漬して除雄した母本に花粉親の花粉を受粉させた後、ポット栽培等で雑種第一代の種子を得る。当該種子の籾又は玄米の胚(胚芽)を含む部分と含まない部分とに半裁し、胚芽を含まない部分の玄米/籾の半粒を乳鉢ですりつぶし、CTAB法等によりDNAを抽出してPCRの鋳型DNAとする。
【0060】
この鋳型DNAを各種のSTS化プライマー等の共存下でPCRに供し、増幅されたDNAを電気泳動することによって検出する識別用DNAバンドの有無を1又は0に数値化し、識別バンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0とする2値化を行う。
また、前記した「米の食味ランキング」(日本穀物検定協会発行、2001年)及び「米品種大全2」(米穀データバンク社発行、1999年)による食味の数値化の他に、物理化学的測定結果や物性測定結果として得たものを数値化したものについても、食味評価値と同様に用いることができる。
【0061】
次に、前記したように、上記によって数値化したPCRによる識別バンドの出現の有無を説明変数とし、食味評価値や物理化学測定値等を目的変数として、重回帰分析等の多変量解析を行って作成した食味推定式より重相関係数を算出し、良食味米であるかを判定する。すなわち、識別用DNAバンドの有無を2値化したものを得られた食味推定式に導入し、食味推定値を算出する。この食味推定値が高い種子あるいは米飯物性予想値の適正な鋳型DNAを有する種子を選抜する。米飯物性予想値の適正な鋳型DNAを有する種子としては、例えば日本人向けには米飯の粘り/硬さの推定値の大きいものを、インド人向けには硬さの推定値の大きいものを選抜する。
このようにして選抜された種子の胚(胚芽)を含む半粒を、前記した方法に従って播種、発芽、移植、生育させた後、成熟種子を得る。このようにして得られた雑種第二代の良食味系統を常法に従って自殖を重ねて固定化することによって、籾又は玄米半粒から良食味米を選抜育成することができる。
【0062】
以下に、実施例により、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(食味評価値を目的変数とする米飯PCR食味推定式の未知試料への適用性)
わが国の平成11年度における作付け上位20品種である「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」、「あきたこまち」、「きらら397」、「キヌヒカリ」、「ほしのゆめ」、「はえぬき」、「むつほまれ」、「日本晴」、「ササニシキ」、「つがるロマン」、「ハナエチゼン」、「夢つくし」、「ハツシモ」、「朝の光」、「月の光」、「あいちのかおり」、「祭り晴」、「アキホ」の玄米を試料とし、試験用精米機ライスパルVP31T(山本製作所製)を用いて歩留まり90%に精白し、精米試料を得た。
【0063】
精米試料を、1粒ずつ1.5mL容プラスチックチューブ(アシスト社製)に取り、脱イオン水35μLを加え、スタンドに立てて1 時間浸漬した。浸漬後、プラスチックチューブを開封状態で電気炊飯器RC−183(東芝社製、外釜に脱イオン水75mL添加)にて15分間炊飯した後、15分間蒸らしたものを米飯試料とした。
DNAの抽出は、次のように行った。米飯試料各1粒をマイクロチューブに取り、100mMトリス/塩酸緩衝液(pH8.0、100mM NaCl含有)300μLを加え、ペレットミキサー(コンテス社製)で粉砕した。粉砕後の米飯試料に、耐熱性アミラーゼであるα−アミラーゼ(シグマ社製、790Units/mg solid,1mg/mL)を5μL添加し、60℃で1時間反応させた。次いで、トリチラチウム・アルバム(Tritirachium album)由来のプロテアーゼK(オンコー社製、20mg/mL)を5μL添加し、37℃で2時間反応させた。
【0064】
酵素反応終了後、−20℃に冷却したエタノール1mLを添加し、−20℃で15分間静置した後、微量遠心機で遠心分離(15000G、4℃、15分間、以下同様)し、沈殿を得た。この沈殿を300μLのTE(10mMトリス/塩酸、pH8.0、1mM EDTA)に溶解し、フェノール400μLを加え、回転撹拌機で30分間DNAを抽出した。
次いで、遠心分離(15000G、4℃、15分間)して上清を採取し、等量のPCI(フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール:25/24/1 )を加え、30分間抽出し、遠心分離(15000G、4℃、15分間)して得た上清に5M NaClを6mL添加し、冷却したエタノール400μLを加え、遠心分離して得た沈殿を70%エタノールで2回洗浄し、最後の沈殿を40μLの10倍希釈TEに溶解してDNA試料液とした。
【0065】
PCRは以下のように行った。
上記の方法で米飯試料から調製したDNAを鋳型として、DNAの増幅を行った。PCRの反応液組成は、ポリメラーゼとしてTaq polymerase(宝酒造社製、5U/μL)0.2μL、反応用緩衝液(12mMトリス/塩酸、60mM KCl、pH8.3)2.5μL、MgCl2.0μL、鋳型DNA200ng/1μL、dNTPs(100μM)1μLを混合し、PCRに用いるSTS化プライマーとして、A6F21及びA6R22(配列番号3及び4)各0.4μL、A7F22及びA7R17(配列番号15及び16)各0.5μL、M11F20及びM11R20(配列番号59及び60)各0.6μL、S13F25及びS13R24(配列番号75及び76)各0.5μL、T16F24及びT16R26(配列番号83及び84)各0.4μL、J6F18及びJ6R20(配列番号51及び52)各0.4μL、WK9F20及びWK9R20(配列番号87及び88)各0.4μLを使用し、滅菌水を加えて合計20.0μLとした。
反応装置はPCRサーマルサイクラーMP(宝酒造社製)を使用し、変性(94℃、1分)、アニーリング(62℃、1分)、伸長(72℃、2分)の条件で35サイクル反応させた。
【0066】
増幅DNAはミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することによりバンドパターンを検出した。
また、食味の数値化を図るために、「米の食味ランキング」(日本穀物検定協会発行、2001年)における評価特Aを5点、評価Aを4点、評価A’を3点、評価Bを2点、評価B’を1点として、各品種の食味の数値化を行った。さらに、「米品種大全2」(米穀データバンク社発行、1999年)における各品種米の食味評価の星印5個を5点、星印4個を4点、星印3個を3点、星印2個を2点、星印1個を1点として食味ランキングの数値に加え、合計数値を各品種米の食味評価値とした。電気泳動によるバンドパターンの検出結果及び食味評価の結果を、第2表及び図1に示す。
【0067】
なお、第2表におけるPCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、7種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、食味評価値を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の食味推定式が得られた。
【0068】
【数3】
Figure 0004255630
【0069】
この食味推定式(式1)の未知試料に対する適用性を検定するために、平成9年産米11点、平成10年産米11点及び平成11年産米10点について、食味の官能検査結果である食味実測値と食味推定式(式1)による食味推定結果である食味予想値とを比較した。図2〜図4は、食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
この結果、食味推定式(式1)による食味推定値は、平成9年産米で0.85、平成10年産米で0.91、平成11年産米で0.93という高い重相関係数を示した。したがって、食味推定式の作成に用いなかった未知試料に対しても、年次を越えて適用性のあることが明らかとなった。
【0070】
【表5】
第2表 作付け上位品種とその食味評価値及びプライマー特性表
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
*:官能検査を実施しなかったもの
【0071】
実施例2(食味官能検査結果を目的変数として作成した精米PCR食味推定式の適用性)
精米粉末を試料とした以外は、実施例1と同様に行った。すなわち、実施例1と同じ20品種の玄米を試料とし、精米粉末を調製し、そのうちの6gからCTAB法によって、ゲノムDNAを次の方法で抽出した。すなわち、70℃の2%CTAB溶液(0.1Mトリス/塩酸、2mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、1.4M NaCl、pH8.0)6mLを加えて撹拌し、55℃の恒温槽に入れ、上記CTAB溶液(1%溶液)6mLを加え、30分間DNAを抽出した。
【0072】
その後、DNA抽出液にクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を加えて撹拌した後、遠心分離して上清をとり、DNA沈殿液(1%CTAB溶液、20mMトリス/塩酸、10mM EDTA、pH8.0)を加えて4℃で一晩静置してDNAを沈殿させた。次に、遠心分離して得られたDNA沈殿物に1M NaClによって抽出し、イソプロピルアルコール、エタノールによる洗浄、沈殿の後、TE緩衝液(10mMトリス/塩酸、1mM EDTA、pH8.0)200μLに溶解してDNA試料液とした。
【0073】
抽出したDNAを鋳型とし、B1、F6、G28、P5及びT16の5種類のSTS化プライマーを用いた。PCRの反応液組成は、ポリメラーゼとしてTaq polymerase(宝酒造社製、5U/μL)0.2μL、反応用緩衝液(12mMトリス/塩酸、60mM KCl、pH8.3)2.5μL、MgCl2.0μL、鋳型DNA200ng/1μL、dNTPs(100μM)1μLを混合し、PCRに用いるSTS化プライマーとして、B1F25(配列表の配列番号15)及びB1R20(配列表の配列番号16)各0.2μL、F6F25及びF6R22(配列番号35及び36)各0.4μL、G28F17及びG28R28(配列番号47及び48)各0.2μL、P5F20及びP5R25(配列番号67及び68)各0.3μL、T16F24及びT16R26(配列番号83及び84)各0.3μLを使用し、滅菌水を加えて合計20.0μLとした。PCRの条件は、実施例1と同様である。
【0074】
増幅されたDNAは、ミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することによりバンドパターンを検出した。
また、食味の数値化を図るために、官能検査を以下の方法で行った。精米試料各600グラムを洗米し、1.3倍(重量)の純水を加えて1時間吸水させた後、電気炊飯器RC183(東芝社製)により炊飯し、スイッチが切れた後、15分間蒸らした。その後、ふたを取らずに1時間静置した。次いで、ふたを取って米飯を良く切り返した後、プリンカップにとってさらに盛りつけ、これを食味官能試験の試料とした。
【0075】
食味試験のパネラーは、24名とした。官能検査結果は、「日本晴」を基準米(0点)とし、基準米と比べて食味の総合評価を1口目の試食でかなり明確に美味しいと感じる場合を+3、1口目の試食で明確な確信はないが少し美味しいと感じる場合を+2、1口目の試食ではっきりしないが2口目の試食で僅かに美味しいと感じる場合を+1、1口目の試食でかなり明確に美味しくないと感じる場合を−3、1口目の試食で明確な確信はないが少し美味しくないと感じる場合を−2、口目の試食ではっきりしないが2口目の試食で僅かに美味しくないと感じる場合を−1という尺度で採点を行い、各試料の平均値を求めることにより評価した。電気泳動によるバンドパターンの検出結果及び食味評価の結果を、第3表に示す。
【0076】
なお、第3表におけるPCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、5種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、平成10年産の11種類の試料米の食味官能検査結果食味評価値を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の食味推定式(式2)が得られた。この食味推定式の既知試料に対する重相関係数は、0.87であった。
【0077】
【数4】
Figure 0004255630
【0078】
この食味推定式を、平成11年産の「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」、「ササニシキ」、「ほしのゆめ」、「きらら397」、「むつほまれ」、「朝の光」、「ハツシモ」、「キヌヒカリ」、「日本晴」及び「月の光」の12品種の食味官能検査結果に対して適用性の検定を行った。平成11年産米12点について、食味の官能検査結果である食味実測値と式2による食味推定結果である食味予想値とを比較した。図5は、食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
以上のことから明らかなように、重相関係数0.85が得られ、本発明におけるPCR結果に基づく食味推定式は、次年度産の未知試料米に対しても有効であることが明らかになった。
【0079】
さらに、数値化したPCR結果を変数とする主成分分析を行った。図6は、主成分分析の結果をプロットしたものである。なお、図中の個体プロット番号は、実施例1に示した平成11年度における作付け上位20品種に対応し、1:「コシヒカリ」、2:「ひとめぼれ」、・・・、20:「アキホ」を表す。
この結果、図6に示すような個体プロットが得られ、本発明のPCR結果は多変量解析を行うことにより、食味評価に基づく米のグループ分けにも有用であることが明らかとなった。
【0080】
【表6】
第3表 12種類の品種の官能検査及びPCRの結果
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
*:官能検査を実施しなかったもの
【0081】
実施例3(官能検査結果を目的変数として作成した米飯PCR食味推定式の適用性)
平成9年産及び平成10年産の「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」、「ササニシキ」、「ほしのゆめ」、「きらら397」、「むつほまれ」、「朝の光」、「ハツシモ」、「キヌヒカリ」、「日本晴」の合計11品種、22点の米を試料とし、実施例1と同様に、食味評価及び米飯抽出DNAを鋳型とするPCRを行った。
【0082】
抽出したDNAを鋳型とし、PCRを行った。PCRに用いるプライマーとしては、B1、F6、G28、M11及びP5の5種のSTS化プライマーを用いた。PCRの反応液組成は、ポリメラーゼとしてTaq polymerase(宝酒造社製、5U/μL)0.2μL、反応用緩衝液(12mMトリス/塩酸、60mM KCl、pH8.3)2.5μL、MgCl2.0μL、鋳型DNA200ng/1μL、dNTPs(100μM)1μLを混合し、PCRに用いるSTS化プライマーとして、B1F25(配列表の配列番号15)及びB1R20(配列表の配列番号16)各0.2μL、F6F25及びF6R22(配列番号35及び36)各0.4μL、G28F17及びG28R28(配列番号47及び48)各0.2μL、M11F20及びM11R20(配列番号59及び60)各0.2μL、P5F20及びP5R25(配列番号67及び68)各0.2μLを使用し、滅菌水を加えて合計20.0μLとした。PCRの条件は、実施例1と同様である。
【0083】
増幅されたDNAは、ミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することによりバンドパターンを検出した。
また、食味の数値化を図るために、実施例2と同様に、官能検査を行った。電気泳動によるバンドパターンの検出結果及び食味評価の結果を、第4表に示す。
【0084】
なお、PCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、5種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、平成10年産の11種類の試料米の食味官能検査結果である食味評価値を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の食味推定式(式3)が得られた。この食味推定式の既知試料に対する重相関係数は、0.80であった。
【0085】
【数5】
Figure 0004255630
【0086】
この食味推定式を、未知試料である平成9年産米に対して適用した結果、重相関係数0.80が得られた(図7)。この結果から、本発明によって得られる食味推定式は、未知試料に対しても良好に適用されることが示された。
【0087】
【表7】
第4表 官能検査及びPCRの結果
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
*:官能検査を実施しなかったもの
【0088】
実施例4(米飯物性値を目的変数として作成した精米PCR推定式の適用性)
本実施例においては、米飯食味の基礎をなす、米飯の物理特性の評価と推定に対する本発明の適用について検討した。
すなわち、平成10年度産の「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」、「きらら397」、「キヌヒカリ」、「ほしのゆめ」、「むつほまれ」、「日本晴」、「ササニシキ」、「ハツシモ」、「朝の光」及び「月の光」の12品種、平成11年度産の「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「キヌヒカリ」、「ほしのゆめ」、「むつほまれ」、「日本晴」、「ササニシキ」、「ハツシモ」、「朝の光」及び「月の光」の10品種を試料とし、実施例2と同様に精米粉末試料からDNAを抽出・精製し、各種のSTS化プライマー共存下でPCRを行い、電気泳動によって各識別バンドの増幅の有無を調べた。
【0089】
使用したSTS化プライマーとしてB43F17及びB43R18(配列番号23及び24)各0.1μL、G22F27及びG22R23(配列番号43及び44)各0.3μL、P5F20及びP5R25(配列番号67及び68)各0.3μL、G4F18及びG4R24(配列番号39及び40)各0.2μL、M2CGF16及びM2CGR15(配列番号55及び56)各0.2μLの5種類を用いた以外は、実施例2と同様に行った。
増幅されたDNAは、ミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することによりバンドパターンを検出した。
【0090】
また、米飯の物性測定を、以下の方法で行った。各精米試料10gをプリンカップにとり、純水16mLを加えて1時間吸水させた。次いで、当該試料入りプリンカップ5個を電気釜RC−183(東芝社製)に入れ、純水75mLをカップ外部に加えて炊飯した。スイッチ停止後15分間蒸らしを行い、25℃で2時間静置した。
静置後、試料ごとに米飯試料各20粒を引っ張り圧縮試験機テンシオプレッサー・マイボーイ(タケトモ電機社製)によって、米飯試料の厚みの25%を圧縮する低圧縮試験を行い、米飯粒表層の付着量(L3)を測定した。結果を第5表に示す。
【0091】
なお、PCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、5種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、平成10年産米の物性測定値(L3)を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の物性推定式(食味推定式)(式4)が得られた。この物性推定式の既知試料に対する重相関係数は、0.99であった。
【0092】
【数6】
Figure 0004255630
【0093】
【表8】
第5表 米飯物性測定及びPCRの結果
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
物性測定値:テンシオプレッサーの低圧縮試験の付着量L3(mm)で表示
【0094】
重回帰式である式4を平成11年産の未知試料に適用した結果、未知試料に対する重相関係数は0.99であり、DNA判別に基づく物性推定式は有用であることが示された。
【0095】
実施例5(各国産米の米飯物性値を目的変数とする精米PCR推定式の作成)
本実施例においては、米飯食味の基礎をなす、米飯の物理特性の評価と推定に対する本発明の適用について、世界各国の米試料として検討した。
すなわち、日本の「コシヒカリ」、韓国の「一品」、中国の「富士光」、イタリアの「エリオ」、インドの「バスマティ」及び「バンガナ」、ベトナムの「タムソアン」及び「C70」、ナイジェリアの「オリザグラベリマ(CG−14)」及び「WAB450106」、オーストラリアの「アマルー」及び「ペルデ」、タイの「カオドクマリ」、米国の「錦」及び「ベンガル」の15品種の米を試料とし、実施例2と同様にして精米粉末試料からDNAを抽出・精製し、各種のSTS化プライマー共存下でPCRを行い、電気泳動によって各識別バンドの増幅の有無を調べた。
【0096】
使用したSTS化プライマーは、A6F21及びA6R22(配列番号3及び4)各0.4μL、E30F28及びE30R24(配列番号31及び32)各0.6μL、F6F25及びF6R22(配列番号35及び36)各0.4μL、G4F18及びG4R24(配列番号39及び40)各0.5μL、J6F18及びJ6R20(配列番号51及び52)各0.5μL、M2CGF16及びM2CGR15(配列番号55及び56)各0.5μL、S13F25及びS13R24(配列番号75及び76)各0.5μL、WK9F20及びWK9R20(配列番号87及び88)各0.4μLの8種類である。PCRの条件は、実施例2と同じである。
PCRによって増幅されたDNAは、ミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することによりバンドパターンを検出した。
【0097】
また、米飯試料の物性測定を、次の方法で行った。各精米試料10gをプリンカップにとり、純水16mLを加えて1時間吸水させた。次いで、当該試料入りプリンカップ5個を電気釜RC−183(東芝社製)に入れ、純水75mLをカップ外部に加えて炊飯した。スイッチ停止後15分間蒸らしを行い、25℃で2時間静置した。
静置後、試料ごとに、米飯試料各3粒について引張り圧縮試験機テクスチュロメーター(全研社製)(5反復)によって、米飯試料の硬さ(H1)を測定した。
【0098】
なお、PCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、8種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、物性測定値(H1)を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の物性推定式(食味推定式)(式5)が得られた。図9は、物性測定結果である物性実測値と式5による物性推定結果である物性予想値とを比較した。図9は、物性実測値と物性予想値の関係を表したものである。この物性推定式の既知試料に対する重相関係数は、0.93であった。
【0099】
【数7】
Figure 0004255630
【0100】
【表9】
第6表 米飯物性測定及びPCRの結果
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
物性測定値:テクスチュロメーターによる硬さ(H1、単位kgf)で表示
【0101】
この結果、世界の幅広い品質特性の米においても、本発明のSTS化プライマーを用いたPCRによって出現する識別用DNAバンドの出現の有無を説明変数として多変量解析することによって、米飯物性値を推定できることが明らかとなった。
【0102】
実施例6(各国産米の米飯物性を目的変数とするPCR推定式の作成)
本実施例においては、米飯食味の基礎をなす、米飯の物理特性の評価と推定における本発明の適用について、世界各国の米試料を用いて検討した。
すなわち、日本の「コシヒカリ」、中国の「富士光」、イタリアの「エリオ」、「セレミオ」、「タイボンネット」及び「アルボリオ」、ナイジェリアの「オリザグラベリマ(CG−14)」、「WAB450106」、「WAB9611」、「WITA7」及び「シスダネ」の11品種の米を試料とし、実施例2と同様に、精米粉末試料からDNAを抽出・精製し、各種のSTS化プライマー共存下でPCRを行い、電気泳動によって各識別バンドの増幅の有無を調べた。
【0103】
使用したSTS化プライマーは、A6F21及びA6R22(配列番号3及び4)各0.4μL、B1F25及びB1R20(配列番号11及び12)各0.4μL、E30F28及びE30R24(配列番号31及び32)各0.6μL、F6F25及びF6R22(配列番号35及び36)各0.4μL、J6F18及びJ6R20(配列番号51及び52)各0.5μL、S13F25及びS13R24(配列番号75及び76)各0.5μL、WK9F20及びWK9R20(配列番号87及び88)各0.4μLの7種類である。
PCRによって増幅されたDNAは、ミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することによりバンドパターンを検出した。
【0104】
各精米試料10gをプリンカップにとり、純水16mLを加えて1時間吸水させた。次いで当該試料入りプリンカップ5個を電気釜RC−183(東芝社製)に入れ、純水75mLをカップ外部に加えて炊飯した。スイッチ停止後15分間蒸らしを行い、25℃で2時間静置した。
静置後、試料ごとに、米飯試料各20粒を引っ張り圧縮試験機テンシオプレッサー・マイボーイ(タケトモ電機社製)を用いて、米飯試料の厚みの25%を圧縮する低圧縮試験を行い、米飯粒表層の付着量(L3)を測定した。
【0105】
なお、PCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、7種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、物性測定値(L3)を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の物性推定式(食味推定式)(式6)が得られた。図10は、物性測定結果である物性実測値と式6による物性推定結果である物性予想値とを比較した。図10は、物性実測値と物性予想値の関係を表したものである。この物性推定式の既知試料に対する重相関係数は、0.98であった。
【0106】
【数8】
Figure 0004255630
【0107】
【表10】
第7表 米飯物性測定及びPCRの結果
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
物性測定値:テンシオプレッサーによる付着量(L3,単位mm)で表示
【0108】
この結果、本発明のSTS化プライマーを用いたPCRによって出現する識別用DNAバンドの出現の有無を説明変数として多変量解析することによって、世界の幅広い品質特性の米においても米飯物性値を推定できることが明らかとなった。
【0109】
実施例7(RAPD法による精米の食味判定例)
「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」、「ササニシキ」、「日本晴」、「ヒノヒカリ」、「きらら397」、「むつほまれ」、「キヌヒカリ」、「朝の光」、「はえぬき」を試料とし、実施例1と同様に精米粉末を調製した。そのうち6gから、実施例1と同様に、CTAB法によってゲノムDNAを抽出した。
すなわち、70℃の2%CTAB溶液(0.1Mトリス/塩酸、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム、1.4M NaCl、pH8.0)6mLを加えて撹拌し、55℃の恒温槽に入れ、CTAB溶液(1%溶液)6mLを加え、30分間DNAを抽出した。
【0110】
その後、DNA抽出液にクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を加えて撹拌した後、遠心分離して上清を得た。こうして得た上清に、DNA沈殿液(1%CTAB溶液、20mMトリス/塩酸、10mMEDTA、pH8.0)を加えて、4℃で一晩静置し、さらにDNAを沈殿させた。その後、遠心分離し、得られたDNA沈殿物に1M NaClを加え、DNAを抽出した後、イソプロピルアルコール、エタノールによるDNAの洗浄、沈殿を常法に従って行った。
こうして得たDNA沈殿物をTE緩衝液(10mMトリス/塩酸、1mM EDTA 、pH8.0)200μLに溶解し、これをDNA試料液とした。
【0111】
上記により抽出したDNAを鋳型としランダムプライマーOPB1、OPB18、OPM11、OPT16(オペロン社)の4種類を用いてPCRを行った。PCRの反応液組成は、ポリメラーゼとしてTaq polymerase(宝酒造社製、5U/μL)0.2μL、反応用緩衝液(12mMトリス/塩酸、60mM KCl、pH8.3)2.5μL、MgCl2.0μL、鋳型DNA200ng/1μL、dNTPs(100μM)1μLを混合し、PCRに用いるランダムプライマー各2.0μLを使用し、滅菌水を加えて合計20.7μLとした。
反応装置はPCRサーマルサイクラーMP(宝酒造社製)を使用し、変性(94℃、1分)、アニーリング(36℃、1分)、伸長(72℃、2分)の条件で35サイクル反応させた。
【0112】
なお、PCRによって増幅されたDNAについて、識別用DNAバンドの出現の有無を数値化するために、識別用DNAバンドが出現したもの(+)を1、出現しない場合(−)を0として2値化した。
さらに、4種類のプライマーの場合の識別バンド出現の有無(1あるいは0)を説明変数とし、食味評価(第2表)を目的変数として重回帰分析を行った結果、下記の物性推定式(食味推定式)(式7)が得られた。この物性推定式の既知試料に対する重相関係数は、0.89であった。
【0113】
【数9】
Figure 0004255630
【0114】
実施例8(玄米半粒による良食味米の選抜例)
良食味米である「コシヒカリ」及び病害抵抗性で食味の劣る「月の光」の玄米を5粒ずつ10粒を混合し、各玄米粒を胚芽を含む部分と胚芽を含まない部分とにカッターで半裁した。
半裁した胚芽を含まない部分を半粒ずつ乳鉢で粉砕し、実施例2と同様にCTAB法でDNAを抽出した。但し、実験規模を全て五百分の一に縮小して行った。こうして得た10種類のDNAを鋳型とし、PCRによるDNAの増幅を行った。
【0115】
PCRの反応液組成は、ポリメラーゼとしてTaq polymerase(宝酒造社製、5U/μl)0.2μL 、反応用緩衝液(12mMトリス/塩酸、60mM KCl 、pH8.3)2.5μL、MgCl2.0μL、鋳型DNA200ng/1μL、dNTPs(100μM)1μLを混合し、PCRに用いるSTS化プライマーとして、A6F21及びA6R22(配列番号3及び4)各0.4μL、A7F22及びA7R17(配列番号15及び16)各0.5μL、M11F20及びM11R20(配列番号59及び60)各0.6μL、S13F25及びS13R24(配列番号75及び76)各0.5μL、T16F24及びT16R26(配列番号83及び84)各0.4μL、J6F18及びJ6R20(配列番号51及び52)各0.4μL、WK9F20及びWK9R20(配列番号87及び88)各0.4μLを使用し、滅菌水を加えて合計20.7μLとした。
【0116】
反応装置は、PCRサーマルサイクラーMP(宝酒造社製)を使用し、変性(94℃、1分)、アニーリング(62℃、1分)、伸長(72℃、2分)を35サイクル反応させた。
増幅されたDNAの電気泳動は、ミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用し、2%アガロースゲルで40分間泳動し、臭化エチジウム染色後に紫外線照射することにより識別用DNAバンドの出現パターンを検出した。電気泳動によるバンドパターンの検出結果を、第8表に示す。
【0117】
また、食味の数値化を図るために、実施例1と同様に、「米の食味ランキング」(日本穀物検定協会発行、2001年)における評価と「米品種大全2」(米穀データバンク社発行、1999年)における各品種米の食味評価の合計数値を各品種米の食味評価値とした。なお、第8表におけるPCRによって増幅されたDNAについて、実施例1と同様に、識別用DNAバンドの出現の有無を2値化した。
第8表に示した結果に基づいて、実施例1の食味推定式(式1)に適用し、食味推定値を算出した。算出した食味推定値を用いて、試料を食味推定値の高いA群と低いB群の2群にグループ分けを行った。
【0118】
これら2群に分けた各試料の胚(胚芽)を含む半粒各5粒ずつを1%次亜塩素酸ナトリウム溶液で表面殺菌した後、下記の組成の培地に置床し、30℃で7日間発芽させた。発芽半粒種子を人工気象器バイオトロンNC350(日本医科器械製作所製)に移し、28℃(光照射)10時間、28℃(暗)14時間のサイクルで培養し、幼苗を緑化させた。
次いで、幼苗を前記の培地を含むアグリポットに移植し、7日間生育させた後、育苗培土に移植し、人工気象室TGH−6(タバイエスペック社製)で2週間生育させた。さらに、これらの苗を埴土をいれたワグナムポットに移植し、前記の人工気象室で4ヶ月間栽培し、出穂させた。
【0119】
培地組成(1L中、pH5.8)
アガロース 8.000g
硫酸アンモニウム 0.463g
硝酸カリウム 2.830g
塩化カルシウム 0.166g
硫酸マグネシウム 0.185g
リン酸2水素カリウム 0.400g
硫酸第二鉄 0.278g
EDTA2ナトリウム 0.373g
ニコチン酸 0.250mg
ビタミンB6 0.250mg
ビタミンB1 0.500mg
グリシン 1.000mg
【0120】
さらに40日間成熟させた後に穂を刈り取り、脱穀、籾摺りを行い、各玄米から実施例2と同様にして精米粉末の調製した後、CTAB法によるDNAの抽出を行った。さらに、上記と同様にPCRを行った。
これらの結果、A群は「コシヒカリ」、B群は「月の光」と同じ識別用DNAバンドパターンを示した。また、「コシヒカリ」と判定された米は炊飯後に良好な食味を示し、「月の光」と判定された米は食味が劣っていた。
以上のことから、胚(胚芽)を含まない玄米半粒からDNAを抽出し、これを鋳型DNAとしてSTS化プライマーを用いたPCRによる食味推定を行った後、残りの胚(胚芽)を含む半粒を発芽させて良食味米を選抜することが可能であることが明らかとなった。
【0121】
【表11】
第8表 コシヒカリ及び月の光のPCRによる識別例
Figure 0004255630
+:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現することを示す。
−:PCR後の電気泳動において、識別バンドが発現しないことを示す。
【0122】
実施例9(育種における玄米半粒のPCRによる良食味米の選抜例)
良食味米である「コシヒカリ」を母本とし、病害抵抗性で食味の劣る「月の光」を花粉親とし、「コシヒカリ」を常法によって温湯除雄して「月の光」を交配し、次世代稲から籾を得た。この雑種第一代の籾を育苗培土を入れたワグナムポットに播種し、人工気象室TGH−6(タバイエスペック社製)において自殖栽培し、雑種第二代の種子を得た。
これらの種子の籾摺りした玄米粒を、胚(胚芽)を含む部分と胚(胚芽)を含まない部分とにカッターで半裁した。このうち、胚芽を含まない部分を半粒ずつ乳鉢で粉砕し、実施例2と同様にCTAB法でDNAを抽出した。但し、実験規模を全て五百分の一に縮小して行った。これらのDNAを鋳型とし、STS化プライマーを用いたPCRによるDNAの増幅を行った。PCRについては、実施例7と同様に行った。
【0123】
PCRによって得た識別用DNAバンドのバンドパターンについて、実施例1の食味推定式(式1)に適用し、食味推定値を算出した。算出した食味推定値が5以下の群と食味推定値が8以上の群の2群にグループ分けした。これら2群の胚芽を含む半粒について、実施例7と同様に発芽させて幼苗を得て、出穂させた後、成熟した穂を刈り取り、脱穀、籾摺りを行い、各玄米を試験用精米機で精米し、電気釜RC−183(東芝社製)で炊飯し、実施例2と同様の方法で官能検査を行った。
【0124】
この結果、食味推定値が5以下の群では食味が劣っており、食味推定値が8以上の群では食味が優れていた。
以上のことから、交配種子を半裁し、胚芽を含まない玄米あるいは籾の半粒からDNAを抽出し、これを鋳型DNAとしSTS化プライマーを用いたPCRによる食味推定を行った後に、残りの胚芽を含む半粒を発芽させて良食味米を選抜することが可能であることが示された。
【0125】
【発明の効果】
本発明の方法により、稲植物体、稲種子、米あるいは米加工品等について、食味と高い相関を有する物理化学的測定値や米飯物性測定値を推定することができる。また、食味判定に用いる試料は、例えば米粒半粒や1粒といった微量の試料でも可能である。このため、籾又は玄米の半粒を試料として食味を推定して良食味米を選抜し、残りの玄米又は籾の半粒を発芽させて植物体を得ることによって良食味米を選抜することが可能となる。
さらに、本発明の方法は、日本型米のみならず、世界各国の幅広い品種・特性の米についても適用できる。
【0126】
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> 独立行政法人 食品総合研究所
<120> 米のDNA食味判定技術及び籾/玄米半粒による良食味米選抜方法
<130> P131218K
<160> 92
<210> 1
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 1
ccagctgaac gcctgtacta caagaattaa 30
<210> 2
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 2
ccagctgtac gtcttcccca gcgccggcgg 30
<210> 3
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 3
ccagctgtac gcctgtacta c 21
<210> 4
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 4
ccagctgtac gtcttcccca gc 22
<210> 5
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 5
tgcctcgcac cagaaatagt ataatcccaa 30
<210> 6
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 6
tgcctcgcac catgaggtgt ggccgagtac 30
<210> 7
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 7
tgcctcgcac cagaaatag 19
<210> 8
<211> 16
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 8
tgcctcgcac catgag 16
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<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 9
gtttcgctcc tacagtaatt aaggggctat 30
<210> 10
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 10
gtttcgctcc catgcaatct gcaaaagttt 30
<210> 11
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 11
gtttcgctcc tacagtaatt aaggg 25
<210> 12
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 12
gtttcgctcc catgcaatct 20
<210> 13
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 13
caggtgtggg ttacaaggat gacccttggg 30
<210> 14
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 14
caggtgtggg ttcacggcct tgattaataa 30
<210> 15
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 15
caggtgtggg ttacaaggat ga 22
<210> 16
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 16
caggtgtggg ttcacgg 17
<210> 17
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 17
ccacagcagt gcttcatgtc atgtagaata 30
<210> 18
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 18
ccacagcagt tcaaatacac caggaatttc 30
<210> 19
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 19
ccacagcagt gcttc 15
<210> 20
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 20
ccacagcagt gcttcatgtc a 21
<210> 21
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 21
tggccggcat gactcacata cccaacatat 30
<210> 22
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 22
actggccggc atcaagacca accaatttgg 30
<210> 23
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 23
tggccggcat gactcac 17
<210> 24
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 24
actggccggc atcaagac 18
<210> 25
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 25
ggaatggaac cgaagtggag ctattccctg 30
<210> 26
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 26
ggaatggaac cgccgtaaac ttgaatgcta 30
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 27
ggaatggaac cgaagtggag 20
<210> 28
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 28
ggaatggaac cgccgtaaac t 21
<210> 29
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 29
tacctggttg atgtatacag atctggttat 30
<210> 30
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 30
atccctcgat ccctctagca ttatatcctc 30
<210> 31
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 31
tacctggttg atgtatacag atctggtt 28
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 32
atccctcgat ccctctagca ttat 24
<210> 33
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 33
accactccat atatatcatc caaagttcta 30
<210> 34
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 34
accactccat atcaccacaa ggcgtttagg 30
<210> 35
<211> 25
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<213> Artificial Sequence
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accactccat atatatcatc caaag 25
<210> 36
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 36
accactccat atcaccacaa gg 22
<210> 37
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
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gagaccgata tgcgattcgc ggcattggac 30
<210> 38
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 38
gtggtgttta gatccagaga cttaacttta 30
<210> 39
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 39
gagaccgata tgcgattc 18
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
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gtggtgttta gatccagaga ctta 24
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<212> DNA
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ctcactcaaa tttacagtgc attttcttgt 30
<210> 42
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
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agggccatga tacaagactc tgttctgtag 30
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ctcactcaaa tttacagtgc attttct 27
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agggccatga tacaagactc tgt 23
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ggccgtcgtt ctgcgatggt ctccaagaat 30
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ggagaatccc acagtaagtt tttctttgtt 30
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ggcggtcgtt ctgcgat 17
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ggagaatccc acagtaagtt tttctttg 28
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gtcggagtgg tcagaccggg ctagcttttg 30
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 50
gtcggagtgg atggagtagc ggtgggtgtg 30
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<213> Artificial Sequence
<400> 51
gtcggagtgg tcagaccg 18
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<213> Artificial Sequence
<400> 52
gtcggagtgg atggagtagc 20
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 53
acaacgcctc cgatgatcga accatatctt 30
<210> 54
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 54
acaacgcctc cgacaacaag attttctcct 30
<210> 55
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 55
acaacgcctc cgatga 16
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<400> 56
acaacgcctc cgaca 15
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<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 57
gtccactgtg accacaacat ttcttccagc 30
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 58
gtccactgtg gggattgttc cataaaagat 30
<210> 59
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 59
gtccactgtg accacaacat 20
<210> 60
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 60
gtccactgtg gggattgttt 20
<210> 61
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 61
aacgggccaa aaacggaggt cgtatggagc 30
<210> 62
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 62
aacgggccaa cgcagccatt aaagagaaat 30
<210> 63
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 63
aacgggccaa aaacggaggt 20
<210> 64
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 64
aacgggccaa cgcag 15
<210> 65
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 65
acaacggtcc gtccttgctt aggaaaaggc 30
<210> 66
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 66
acaacggtcc aacagatact tttgaaaaac 30
<210> 67
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 67
acaacggtcc gtccttgctt 20
<210> 68
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 68
acaacggtcc aacagatact tttga 25
<210> 69
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 69
agtgcagcca ttatatagga ctaacaagga 30
<210> 70
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 70
agtgcagcca aaccagaaga aagccatgtt 30
<210> 71
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 71
agtgcagcca ttatatagga ctaac 25
<210> 72
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 72
agtgcagcca aaccagaaga 20
<210> 73
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 73
gtcgttcctg tggttaggac agggtcgcaa 30
<210> 74
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 74
gtcgttcctg ctggtgtctc agatcgttcg 30
<210> 75
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 75
gtcgttcctg tggttaggac agggt 25
<210> 76
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 76
gtcgttcctg ctggtgtctc agat 24
<210> 77
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 77
aacggcgaca taaaataagt tgttacatgt 30
<210> 78
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 78
aacggcgaca gtggcatgct cgatgacgac 30
<210> 79
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 79
aacggcgaca taaaataagt tg 22
<210> 80
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 80
aacggcgaca gtggcatgct cgatg 25
<210> 81
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 81
ggtgaacgct gtagttggaa tataagtata 30
<210> 82
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 82
ggtgaacgct cagatttaaa tataattagt 30
<210> 83
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 83
ggtgaacgct gtagttggaa tata 24
<210> 84
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 84
ggtgaacgct cagatttaaa tataat 26
<210> 85
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 85
ccgcagttag atgcaccatt agaattgctt 30
<210> 86
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 86
ccgcagttag atcaagtggc aaggttccat 30
<210> 87
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 87
ccgcagttag atgcaccatt 20
<210> 88
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 88
ccgcagttag atcaagtggc 20
<210> 89
<211> 40
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 89
gtcgttcctg tggttaggac agggtcgcaa attcagtctt 40
<210> 90
<211> 40
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 90
gtcgttcctg ctggtgtctc agatcgttcg ggggcttgcg 40
<210> 91
<211> 12
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 91
gtcgttcctg tg 12
<210> 92
<211> 12
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<400> 92
gtcgttcctg ct 12
【図面の簡単な説明】
【図1】電気泳動によるDNAバンドパターンの検出結果である。図中、Mはマーカー、1は「コシヒカリ」、2は「ひとめぼれ」、3は「ヒノヒカリ」、4は「あきたこまち」、5は「きらら397」、6は「キヌヒカリ」、7は「ほしのゆめ」、8は「はえぬき」、9は「むつほまれ」、10は「日本晴」、11は「ササニシキ」、12は「つるがロマン」、13は「ハナエチゼン」、14は「夢つくし」、15は「ハツシモ」、16は「朝の光」、17は「月の光」、18は「あいちのかおり」、19は「祭り晴」、20は「あきほ」を表している。
【図2】平成9年度米における食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
【図3】平成10年度米における食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
【図4】平成11年度米における食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
【図5】実施例2における食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
【図6】実施例2における主成分分析の結果をプロットしたものである。
【図7】実施例3における食味実測値と食味予想値の関係を表したものである。
【図8】実施例4における物性実測値と物性予測値の関係を表したものである。
【図9】実施例5における物性実測値と物性予測値の関係を表したものである。
【図10】実施例6における物性実測値と物性予測値の関係を表したものである。

Claims (5)

  1. 稲植物体、籾、玄米、精米、米飯、餅あるいはこれらの粉砕物から抽出したDNAを鋳型とし、A6F21(配列表の配列番号3)及びA6R22(配列表の配列番号4)、A7F19(配列表の配列番号7)及びA7R16(配列表の配列番号8)、B1F25(配列表の配列番号11)及びB1R20(配列表の配列番号12)、E30F28(配列表の配列番号31)及びE30R24(配列表の配列番号32)、F6F25(配列表の配列番号35)及びF6R22(配列表の配列番号36)、G4F18(配列表の配列番号39)及びG4R24(配列表の配列番号40)、G22F27(配列表の配列番号43)及びG22R23(配列表の配列番号44)、G28F17(配列表の配列番号47)及びG28R28(配列表の配列番号48)、J6F18(配列表の配列番号51)及びJ6R20(配列表の配列番号52)、M2CGF16(配列表の配列番号55)及びM2CGR15(配列表の配列番号56)、M11F20(配列表の配列番号59)及びM11R20(配列表の配列番号60)、P5F20(配列表の配列番号67)及びP5R25(配列表の配列番号68)、S13F25(配列表の配列番号75)及びS13R24(配列表の配列番号76)、T16F24(配列表の配列番号83)及びT16R26(配列表の配列番号84)、WK9F20(配列表の配列番号87)及びWK9R20(配列表の配列番号88)からなるプライマー対の群より選ばれた種以上のSTS化プライマー対を用いたPCRによるDNAバンドの出現の有無に基づいて良食味米を選抜することを特徴とする米のDNA食味判定方法。
  2. 籾又は玄米を半裁し、胚を含まない籾半粒又は玄米半粒から抽出したDNAを鋳型とし、PCRによるDNAバンドの出現の有無に基づいて良食味米を選抜した後に、胚を含む残りの籾半粒又は玄米半粒を発芽させて植物体を得ることによって良食味米系統を選抜する請求項1記載の方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法において、PCRによるDNAバンドの出現の有無を数値化して説明変数とし、官能検査及び/あるいは物理化学的測定方法による米の食味評価結果を目的変数とする多変量解析を行って得られる食味推定式に基づいて良食味米を選抜することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法において、官能検査による米の食味評価が、米飯の「総合評価」、「外観」、「香り」、「味」、「硬さ」及び「粘り」から選ばれた1種以上であり、かつ、物理化学的測定方法による米の食味評価が、タンパク質含量、アミロース含量、米飯の硬さ及び米飯の粘りから選ばれた1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 米飯の物理特性を判定する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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