JP4254289B2 - 積層ポリプロピレンフイルムおよびそれからなる溶断シール包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装材料に好適な直線カット性に優れる積層ポリプロピレンフイルムに関するものであり、更に詳しくは、サンドイッチ等、スナック類、一般菓子類の包装体に好適な溶断シール包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンフイルムの直線カット性を付与する技術としては、一軸延伸フイルム層と二軸延伸フイルム層とを積層することで優れたカット性を付与できることが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。これらの中でも一軸配向ポリプロピレン樹脂層と二軸配向ポリプロピレン樹脂層との間に結晶融解熱量の小さいPPを積層する事が提案されている。(例えば特許文献4参照)。しかしながら、該構成によると一軸延伸層と二軸延伸層との接着性は良好となるものの、その加工適性の中でも特に溶断シール特性については、該フイルムの強い異方性から使用方法が制限されるという問題があった。すなわち、溶断シール構造部は樹脂が一旦溶融することで無配向化されるが近接する未溶融部分は熱を受けることによりむしろ結晶化による脆化現象を生じる。特に、該一軸延伸層の分子鎖の配向と平行な方向をシール面となるように溶断シールを行うと、近接する一軸延伸フイルム構造部は脆化し、分子配向方向に避け易くなり、溶断シール部分から容易に切断する可能性があった。
【0003】
【特許文献1】
実開昭49−57567号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭51−19080号公報
【0005】
【特許文献3】
特開57−25953号公報
【0006】
【特許文献4】
特開2000−25173号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は直線カット性に優れ、かつ溶断シール強度が高い溶断シール体を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、少なくとも二軸配向ポリプロピレン層(A層)、一軸配向ポリプロピレン層(B層)、共重合ポリプロピレン樹脂層(C層)の3層からなるフィルムであって、A層とB層の厚み比率がA:B=11:100〜100:100であり、B層の冷キシレン可溶分CXS値が1.0〜6.0%であり、かつC層がエチレンプロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンブテン3元共重合体、エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなり、C層の融点が125〜150℃、C層の厚みが0.5〜5μmであることを特徴とする積層ポリプロピレンフイルム、によって解決される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において二軸配向ポリプロピレン層(A層)とは、ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、シート状に成型した未延伸シートを、長手方向に4〜7倍延伸後、引き続いてその直角方向に5〜15倍延伸する逐次二軸延伸法によって得られるものもの、あるいは未延伸シートを縦横同時に延伸することで長手方向に5〜10倍、その直角方向に5〜10に延伸されたものを指すが、本発明においては特に逐次二軸延伸法によって得られるものが直線カット性に優れるので好ましい。
【0010】
また、一軸配向ポリプロピレンフイルム(B層)とは、ポリプロピレン樹脂を溶融押出して得られた未延伸シートを一軸に5〜15倍に延伸することにより得られるフイルムである。
【0011】
本発明は、このような二軸配向ポリプロピレン樹脂層(A層)と一軸配向ポリプロピレン樹脂層(B層)とが積層されてなるものであるが、その積層方法としては、A層の最大屈折率方向とB層の最大屈折率方向とが平行になるようにすることが直線カット性を良好とする上で好ましい。
【0012】
また、A層とB層の厚み比率はA:B=11:100〜100:100であることが必要であり、好ましくは25:100〜67:100である。A層の厚みがB層に比して小さすぎるとフイルムの破断が容易に起こるため包装体としての強度が低下したり、加工時にフイルムが破断する等の問題を生じる。一方、A層の厚みがB層に比して大きすぎると直線カット性の劣ったものとなる。
【0013】
また、A層を形成するポリプロピレン樹脂としては、機械特性と直線カット性を良好とする上で、極限粘度[η]が1.6〜2.3dl/gであることが好ましく、更に1.8〜2.1dl/gであることが好ましい。更に該ポリプロピレン樹脂の規則性の指標であるアイソタクチックインデックス(II)は80〜98%であることが好ましく、更に好ましくは93〜96%である。IIがこの範囲であると、直線カット性が良好となる他、印刷等の加工適性、フイルムの層間強度、帯電防止性能、ヘイズが良好となるので好ましい。また、同様の理由で該ポリプロピレン樹脂の融点は、155〜164℃であることが好ましく、更に好ましくは157〜152℃である。このためには、該ポリプロピレン樹脂はエチレンプロピレンランダム共重合体等のプロピレン系共重合体を添加するあるいは予め少量のエチレン、ブテン等のαオレフインモノマーを共重合することで制御することができる。
【0014】
次いで、B層を形成するポリプロピレン樹脂としては、溶断シール強度を良好とし、かつ直線カット性を良好とする上で、該ポリプロピレン樹脂のCXS値は1.0〜6.0%であり、更に好ましくは1.5〜5.5%、特に好ましくは2.0〜5.0%である。CXS値は冷キシレンへの可溶分であるが、近似的には該樹脂の非晶性成分の含有量を表す。CXS値が増加していくと結晶性が低下して溶断シール等の高温加工に際して受けた熱で結晶化することを防止できるが、一方で、分子配向が弱くなり、直線カット性が不十分になる。本発明者らは一軸配向層のCXS値を上述の範囲とすることで直線カット性を維持としながら、溶断シール強度を付与することに達成したものである。このようなCXS値を制御する方法としては、例えば(II)が96%以上である立体規則性の高いポリプロピレン樹脂にエチレンプロピレンランダムコポリマー、エチレンプロピレンブテンターポリマー等のプロピレン系の共重合体を添加する方法、あるいは、低結晶性乃至は非晶性のポリプロピレン樹脂を添加する方法、あるいはポリプロピレン樹脂を製造する際にマルチサイト触媒等を用いることで低結晶性成分を生成させCXS値を制御する方法等が例示される。本発明においては、例示した前者の方法、すなわち、立体規則性の高いポリプロピレン樹脂にプロピレン系共重合体及び/又は低結晶性性乃至非晶性ポリプロピレン樹脂を添加する方法がコスト面でも有利であり、特性制御も容易であり好ましい。
【0015】
このようにB層のCXS値を上述の範囲に制御しておくことの効果としては、溶断シール部の強度を好適に保つ以外に、帯電防止性能を安定して発現することが可能になるので好ましい。通常、二軸配向ポリプロピレンフイルムであれば、該フイルムを構成するポリプロピレン樹脂に アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル等を添加しておけば、帯電防止性能の指標である表面比抵抗(logΩ)が8〜14、好ましくは9〜13の製品を比較的安定して製造することができる。一方、一軸配向ポリプロピレンフイルムの場合、同様に帯電防止剤のみを添加しても、配向によりポリプロピレン鎖の分子運動が制限されているためか、安定した性能が出せず、10乗レベルから18乗レベルに表面比抵抗がばらつく可能性があった。このような観点からのCXS値の制限は下限については、上述の範囲と同様であるが、上限については特に制約は無く、実質的には直線カット性の観点からの制約条件となる。
また該B層を構成する樹脂として具備すべき特性としては、直線カット性を良好とし、強度を維持する観点から該樹脂の極限粘度[η]は1.3〜2.1dl/gであることが好ましく、更に好ましくは1.5〜1.9dl/gである。
【0016】
また、該B層を構成する樹脂の融点としては、152〜161℃であるとカット性・強度共に良好になるので好ましく、更に好ましくは155〜159℃である。
【0017】
更に、A層およびB層のいずれにもにも酸化防止剤等の安定剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤、スリップ剤等を含有することができる。安定剤としては、ヒンダードフエノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系化合物、あるいはトコフェロール類、ラクトン類が例示される。更に塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示されるが、特にハイドロタルサイトが異物の発生が少なく好ましい。また、耐電防止剤としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル、スリップ剤としては有機系としてはステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド等、無機系としては炭酸カルシウム、酸化チタン、二酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子等、更にシリコーン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋ポリスチレン等粒子の有機粒子等も使用可能である。
【0018】
本発明においては、A層、B層に加えて、共重合ポリプロピレン樹脂層(C層)からなることが必要である。C層を形成する樹脂は、溶断シール特性、光沢感を良好とする上で、エチレンプロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンブテン3元共重合体、エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなることが必要である。また、C層融点は125〜150℃であることが必要であり、好ましくは130〜148℃である。融点が低すぎると結晶化が遅くなるため溶断シール速度が低下する。一方融点が高すぎると溶断シール強度が低下するという問題を生じる。また、C層の厚みが0.5〜5μmであることが必要であり、好ましくは1〜4μmである。該厚みが薄すぎると溶断シール強度が低下する。一方厚すぎると溶断シールの仕上がり概観が悪化する。
【0019】
C層には公知の安定剤、塩素捕獲剤、滑り剤を添加することができる。特に、C層には炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム粒子等の無機粒子あるいはシリコーン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート、架橋ポリスチレン等の有機粒子から選ばれた少なくとも一種の粒子を添加しておくことが好ましく、特に二酸化珪素粒子、シリコーン粒子粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子であることが好ましい。その平均粒子径として、1〜5μmであることが好ましく、更に好ましくは2〜4μmである。また、添加量としては500〜5000ppm、更に好ましくは1000〜4000ppmである。
【0020】
本発明の積層ポリプロピレンフィルムにおいて、C層は、A層とB層との関係において何れの位置に配置されても良い。特に、A層とB層の間に配置すると両樹脂層の接着力が良好となると共に溶断シール特性が良好になるので好ましい。また、C層が更にA層の両面に配置され、すなわち、C層/A層/C層/B層の構成としても良い。尚、かかる構成においては、C層に用いられる共重合ポリプロピレン樹脂層は同種のものであっても異種のものであっても構わない。かかる構成においては、溶断シール特性が更に安定すると共にヒートシール特性を付与できるので好ましい。この場合、溶断シール特性の観点から、両共重合樹脂層の合計が0.5〜5μmであることが好ましく、より好ましくは1〜4μmである。
【0021】
特に本発明の積層ポリプロピレンフイルムはその性質上、二軸配向ポリプロピレン樹脂層(A層)が積層されている側にカールする特性を有し、印刷等を施す場合には、一軸配向ポリプロピレン樹脂層(B層)が積層されている側の表面に印刷する方が工程適性に優れている。そのため、少なくともB層が積層されている側のフィルム表面の濡れ張力を36〜50mN/m、より好ましくは38〜48mN/mとしておくと好ましい。このような表面張力を付与するための技術としては公知のコロナ放電処理、常温プラズマ処理、火炎処理等が例示される。また、印刷後の加工適性を良好とするために、該B層の表面比抵抗(logΩ)は8〜14、更に好ましくは9〜13であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の積層ポリプロピレンフイルムのシャルピー衝撃強さは1.0〜2.5MJ/m2であると、フイルムをカット性と加工適性を両立できるので好ましく、更に好ましくは1.3〜2.3MJ/m2である。
【0023】
尚、本発明の積層ポリプロピレンフイルムのトータル厚みは限定されるものではないが、通常10〜100μmの範囲である。
【0024】
次に本発明溶断シール包装体は、上述の特徴を有する積層ポリプロピレンフイルムからなり、他のフイルムを積層する事も可能であるが、通常は単独で使用することが本発明フイルムの有する直線カット性が良好となるので好ましい。
【0025】
また、該包装体の開口方法として、直線的に開口できるような加工を施すことが好ましいが、本発明フイルムの最大屈折率方向に2〜20mmの切り込みを1カ所以上入れることで可能となるので好ましく、更に、該切り込みは3mm〜20mmの間隔を開けて2カ所に設置すると好ましい。このようにした場合は、本発明溶断シール体はテイアテープ等の直線的にカットする補助的手段が不要となるので好ましい。
【0026】
尚、本発明溶断シール包装体は上述の様に積層フイルムのカール特性から、B層が積層された側を包装体の外面にすることが好ましい。
【0027】
本発明溶断シール包装体は、サンドイッチ、食パン、スナック等の食品類、書籍、コンパクトデイスク、化粧品類等を包装する包装体として好ましく使用される。
【0028】
次に本発明積層ポリプロピレンフイルムの製造方法について説明するが、本記述に限定されるものでは無い。
【0029】
二軸配向ポリプロピレン樹脂層(A層)を形成するポリプロピレン樹脂Aを押出機Iにて230〜280℃で溶融混練する、と共に、別な押出機IIにて共重合ポリプロピレン樹脂層(C層)を形成する樹脂Cを230〜280℃で溶融混練する。次いでそれぞれの樹脂をポリマー管を通じてT型口金に導いて、口金内で積層してC/A/CまたはA/Cからなるシート状に押出し、冷却ドラム上で冷却固化する。このようにして得られた未延伸シートを120〜155℃で予熱して、低速ロールと高速ロールの間で長手方向に3.5〜7.0倍に延伸し直ちに冷却し一軸延伸フイルムを得る。
【0030】
次いで、一軸ポリプロピレン樹脂層(B層)形成する樹脂Bを押出機IIIにて230〜280℃で溶融混練し、T型口金よりシート状に押出し、冷却ドラム上で先の一軸延伸フイルムとラミネートし該一軸延伸フイルムと樹脂Bとが一体化した積層フイルムを得る。
【0031】
こうして得られた積層フイルムの両端部をクリップで把持して140〜170℃に予熱後、幅方向に5〜12倍延伸する。次いで140〜160℃で熱固定し、更に幅方向に0〜10%のリラックスを取りながら130〜155℃でアニールし、両エッジ部をトリミングし、必要に応じて少なくとも片面にコロナ放電処理、火炎処理等の表面処理等を施した後に巻き取る。
【0032】
また、本発明溶断シール体は本発明フイルムに必要に印刷加工等を施し、公知の溶断シール方法で加工されるものであり、特に製造方法を限定されるものでは無い。
【0033】
【実施例】
本発明の実施例で用いた、測定方法、評価方法を以下に述べる。
(1)樹脂層の厚み及び厚み比率
ミクロトームでフイルム断面を切り出し、該フイルム断面を走査型電子顕微鏡で観測して厚みを求める。樹脂層が区分しにくい場合は必要に応じて染色法により層区分することができる。尚、A層とB層との厚み比率はB層厚みを基準(100)として表す。
(2)アイソタクチックインデックス(II)
沸騰n−ヘプタン抽出残分であり、次の様に測定される。すなわち、円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8〜10gを入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。これをn−ヘプタン約80ccの入ったソックスレー抽出器にセットして12時間抽出する。抽出条件としては、冷却器からの滴下数が1分間130滴以上とする。抽出後抽出残査の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥機にて80℃、100mmHg以下の真空で5時間乾燥する。ついで恒温恒湿中に2時間放置した後に精秤し、以下の式で求める。
【0034】
II(%)=P/P0×100
但し、P0は抽出前の試料重量(g)、Pは抽出後の試料重量(g)である。
(3)融点
示差走査型熱量計(DSC)を用いて求める。サンプル5mgを窒素雰囲気中で室温より速度は20℃/10分で昇温して、結晶の融解に基づく吸熱ピークを融点とする。尚、ピークが複数検出される場合は複数のピークの面積平均値をその融点とする。
(4)極限粘度[η]
ASTM D 1601に従って、テトラリン中で測定する(dl/g)。
(5)CXS値
試料0.5gを沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させた後のろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法にて定量する(X(g))。試料0.5gの精量値(X0(g)を用いて以下の式で求める。
【0035】
CXS値(%)=X/X0×100
(6)濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K 676に規定された測定方法に基づいて測定する。
(7)加熱収縮率
JIS K1712に準じて測定する。
(8)表面比抵抗(logΩ)
サンプルを100mm×100mmに切り出し、23±2℃、65±5%RHの雰囲気に1時間放置した後に、超絶縁計(東亜ディーケーケー(株):絶縁計(DSMー8103),平板資料測定用電極(SME−8310))により測定した。
(9)シャルピー衝撃強さ
一軸配向フイルムの配向方向に平行な方向をD1、直角方向をD2としたときに、10mm(D1)×100mm(D2)の形状にサンプルを切り出し、シャルピー衝撃強度試験機(東洋精機製)を用いてJIS−K7111に準じて、サンプル10mm幅当たりの衝撃強さを測定する。衝撃強さはフイルムの単位厚み当たりの値として、シャルピー衝撃強さ(MJ/m2)=測定衝撃強さ(J/10mm幅)/測定厚み(mm)で算出する。
(10)ヘイズ
JIS−K7105に従い、フイルム1枚当たりのヘイズを求めた。単位は%。
(11)溶断シール加工適性
幅400mmのロール状フイルムサンプルを、溶断シールテスト装置にてフイルム幅方向の中央部で折り曲げ、溶断シールして、200mm×150mmの袋体とした。尚、溶断シール条件としては、シールバーの温度が350℃になるようにコントロールした。
A.作業適性
この際に成形された袋体20枚の端面を突き揃えてセットにする際の作業適性を以下のように判定した。
【0036】
突き揃えができない :×
突き揃えはなんとかできるができたセットの最表層から
袋体1体を剥離しようとすると抵抗感を感じる :△
突き揃えが容易にでき、袋体の剥離も抵抗感無くできる :○
B.溶断シール強度
溶断シール部を含むを15mm幅×100mm長の短冊状のサンプルをテンシロンにて引張り試験を行い測定する。引張り速度は200mm/分とする。尚、サンプリングは、該シールラインが短冊の長軸に直角で、かつ、中央に位置するように行う。
(12)直線カット性
フイルムサンプルの最大屈折率の方向と並行な方向が長辺となる長方形のサンプル(A4版サイズ)を切り出し、長辺の上端部を水平な平板に両面テープで固定する。次に一方の短辺の中央部に幅が10mm深さが10mmの切り出し口を設け、手でゆっくりと切り出し口を引っ張りながら切り開いていく際の角度を該長辺と並行な角度と30度をなす角度とした際に、切り出されたフイルムの長さと角度を評価して、直線カット性とする。
【0037】
全長開口でき、切り裂け方向と長辺となす角度が5度未満 ○
〃 、 〃 5度以上 △
全長開口できず、途中で破断 ×
以下に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものでは無い。
[実施例1〜3]
二軸配向ポリプロピレン樹脂(A)層、共重合ポリプロピレン樹脂(C)層、一軸配向ポリプロピレン樹脂(B)層として表1の樹脂を選定した。また、このために準備した各樹脂の構成は表2に示す通りであり、それぞれ帯電防止性能、滑り性を付与するために帯電防止剤、有機・無機の滑り剤を所定量添加した。
【0038】
次いで、樹脂Aを押出機Iに、樹脂Cを押出機IIにてそれぞれ溶融混練し、口金内で積層した後、冷却ドラムで冷却して未延伸シートを得た。
【0039】
次いで該シートを予熱ロールにて140℃に予熱後長手方向に4.5倍延伸し、直ちに25℃に保たれた金属ロールで急冷し一軸延伸フイルムを得た。次いで、押出機IIIで溶融混練した樹脂BをT型口金よりシート状に押出しこの一軸延伸フイルムに積層すると同時にニップロールと20℃の冷却ドラム間で圧着・冷却固化して、一軸延伸フイルム/樹脂層Bからなる積層フイルムとした。
【0040】
引き続き該積層フイルムの両端部をクリップにて把持して、160℃に保たれたオーブン中に導き幅方向に8倍の延伸を行い、次いで150℃の雰囲気で幅方向に5%のリラックスを許しながら熱処理を施した上で、エッジトリミング後樹脂層(B)の表層にコロナ放電処理を行い巻き取った。 。
【0041】
こうして得られたフイルムの主要特性は表1に示す如く結果となり、フイルムの実用特性の評価の結果、表3に示すように直線カット性・溶断シール強度ともに優れた特性を示した。
[比較例1]
実施例1において、A層の厚みを13μm、B層の厚みを10μmとした以外は同様にして積層ポリプロピレンフイルムを得た。こうして得られたフイルムは直線カット性に劣ったものとなった(表3)。
[比較例2]
実施例1において、B層にエチレンプロピレンランダム共重合体(rEPC)を添加しなかった以外は同様にして積層ポリプロピレンフイルムを得た。こうして得られたフイルムは溶断シール強度の劣るものとなった(表3)。
[比較例3]
実施例1において、B層にエチレンプロピレンランダム共重合体(rEPC)を添加せず、また、C層として表2に示す低結晶性ポリプロピレン樹脂(LPP)(II=80%)を用いた以外は同様にして積層ポリプロピレンフイルムを得た。こうして得られたフイルムは溶断シール強度の劣るものとなった(表3)。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層ポリプロピレンフイルムを示す実施例1の説明図
【符号の説明】
1:一軸配向ポリプロピレン層(B層)
2:共重合ポリプロピレン層(C層)
3:二軸配向ポリプロピレン層(A層)
4:共重合ポリプロピレン層(C層)
Claims (7)
- 少なくとも二軸配向ポリプロピレン層(A層)、一軸配向ポリプロピレン層(B層)、共重合ポリプロピレン樹脂層(C層)の3層からなるフィルムであって、A層とB層の厚み比率がA:B=11:100〜100:100であり、B層の冷キシレン可溶分CXS値が1.0〜6.0%であり、かつC層がエチレンプロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンブテン3元共重合体、エチレンプロピレンブロック共重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなり、C層の融点が125〜150℃、C層の厚みが0.5〜5μmであることを特徴とする積層ポリプロピレンフイルム。
- C層が、A層とB層の間に配置された請求項1に記載の積層ポリプロピレンフイルム。
- C層が、A層の両面に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の積層ポリプロピレンフイルム。
- B層の融点が152〜161℃である請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリプロピレンフイルム。
- B層の濡れ張力が36〜50mN/m、表面比抵抗(logΩ)が8〜14である請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリプロピレンフイルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層ポリプロピレンフイルムからなる溶断シール包装体。
- B層が包装体の外面となるように加工を施されたことを特徴とする請求項6に記載の溶断シール包装体。
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