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JP4249176B2 - 分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法 - Google Patents

分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法 Download PDF

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JP4249176B2 JP2005364547A JP2005364547A JP4249176B2 JP 4249176 B2 JP4249176 B2 JP 4249176B2 JP 2005364547 A JP2005364547 A JP 2005364547A JP 2005364547 A JP2005364547 A JP 2005364547A JP 4249176 B2 JP4249176 B2 JP 4249176B2
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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)

Description

本発明は、コンクリート製造方法における分割練り混ぜ工法で得られるモルタルやコンクリートについて、トルク試験を行うことなく一次水量を決定するようにした一次水量決定方法に関する。
従来、モルタルやコンクリートは細骨材、粗骨材、セメント、水等からなり、これらの複合混合物は各種土木、建築工事等に広く利用されている。これら複合混合物の製造に際して、各種の材料を一度に投入して混合すると、製造された混合物の硬化までの間にブリーディングが生じたり、混合物の流動摩擦が大きくてポンプ圧送性が劣ったり、圧縮強度や付着強度の変動が大きくなる等の不具合があった。
このような欠点を改善したモルタルやコンクリートの製造方法として、例えば下記特許文献1、2、3に記載された分割練り混ぜ工法(SEC(登録商標)工法)が提案されている。この工法によれば、細骨材(粗骨材を含んでいてもよい)からなる骨材に一次水を加えて調整練りを行うことで各骨材の全周に水分を均等に付着させ、その後所要量のセメントを加えて練り混ぜることで骨材の周囲にセメントが付着して造粒される。
次に造殻された骨材に、投入すべき全水量から一次水量を除去した二次水量(と必要なら混和剤)を加えて練り混ぜすることで、セメントが良く分散して均質なコンクリートが得られることになる。
この工法で得られたコンクリートは保水性が高いためにブリーディングが少なく圧縮強度が大きく、流動抵抗が小さくポンプ圧送性が良い。特に近年では、トンネル内面での吹き付けコンクリートに使用され、コンクリートの跳ね返り率及び発生粉じんが少ないという利点がある。
なお、セメントに変えて混合粉体を用いてもよい。混合粉体とはセメントにシリカフューム、スラグ、石灰石粉末等の粉体を混合させたものをいい、これら粉体はセメントより粒子径の大小の差があり水和反応が良い。
このような分割練り混ぜ工法においては、特に一次水量の決定が重要であり、次に示す最適一次水量W1(kg/m)を決定する基本式(4)が採用されている。
W1=(α/100)×C+(βOH/100)×S (4)
但し、α:セメントまたは混合粉体の拘束水率(%)
C:単位セメント量(kg/m
βOH:細骨材の表面吸着水率(%)
S:単位細骨材量(kg/m
なお、本明細書において、セメントまたは混合粉体の拘束水率とは、セメントまたは混合粉体のキャピラリー状態を形成するために必要な水セメント比または水混合粉体比をいう。また、セメントまたは混合粉体を粉体ということがある。また、これらの水セメント比及び水混合粉体比を総称して水粉体比ということがある。
ところで、キャピラリー状態における上述したセメントまたは混合粉体の拘束水率αを求めるには、細骨材の表面吸着水率βOHを求める遠心脱水試験(または遠心分離試験:以下、単に遠心試験という)とは別に、トルク試験を行う必要がある。トルク試験とは、セメントまたは混合粉体に水を徐々に添加しながらミキサで攪拌し、ミキサの負荷抵抗であるトルク値が最大になる水セメント比或いは水混合粉体比を求める。このようなトルク値が最大になる水セメント比或いは水混合粉体比の状態をキャピラリー状態といい、この最大トルク値を拘束水率αとしている。
セメントまたは混合粉体のキャピラリー状態とは、セメント粉や混入粉体の粉体粒子間における水などの液体による充填構造の違いによる相の一形態である。このときの粉体粒子は図10に示すように、水等の液体によって互いに接触せず不連続であり空気も存在しない状態であり、液体は粒子表面の活性によってその粒子表面に液膜を形成し、この液膜により隔てられて粒子は互いに不連続となっている。
細骨材の周囲にキャピラリー状態のセメントまたは混合粉体からなる粉体ペーストを付着させて造殻することにより、分割練り混ぜ効果を十分発揮できる。セメントまたは混合粉体がキャピラリー状態となるための水量の測定は、以下の方法によって行われる。
(1)1kgのセメントまたは混合粉体を例えばホバート型モルタルミキサに入れる。
(2)セメントまたは混合粉体に対して水を徐々に添加して混練を行い、そのときのミキサのモーターにかかる負荷電流値を負荷抵抗として測定する。
(3)図11に示すようにセメントまたは混合粉体の重量に対する水の重量の比(水粉体比:水セメント比または水混合粉体比という)と負荷電流値との関係で、負荷電流値が最大となる水粉体比を求め、これをキャピラリー状態におけるセメントまたは混合粉体の拘束水率αとする。
このトルク試験によって得られたセメントまたは混合粉体からなる粉体の拘束水率αを上記式(4)に代入して一次水量W1を求めている。
また、細骨材にはその表面に吸着されている固有の量の表面吸着水が存在しており、これがモルタルやコンクリートのブリーディングや強度等の物性に大きく影響を及ぼしていることが知られている。そのため、この細骨材の表面吸着水率(拘束水率)βOHに基づいて一次水量W1を定めるようにしている。
一次水量W1を決定するために下記特許文献1、2、3等に記載された遠心試験が用いられている。次にこの遠心試験について説明する。
まず、細骨材の含水率(細骨材の内部空隙を満たしている水と表面に付着している表面吸着水との合計量の質量百分率)を例えば5%に調整する。これを調整含水率という。この細骨材を、バインダーとして普通セメントを用いて水セメント比(W/C)45%のセメントペーストと混合してモルタルとする。その後、所定量のモルタルを容器に計量して特許文献2に記載のような遠心分離機に設置して438Gで30分の遠心力を作用させて脱水させる。
そして、遠心脱水前の細骨材、水及びセメントからなる試料の重量をWs、遠心脱水後の試料の重量をWtとして、両者の差から脱水量Wd(=Ws−Wt)を求める。遠心試験前の試料の含水量をWpとして遠心脱水後の試料の残留含水量Wz(=Wp−Wd)を求める。遠心試験前の試料の含水量Wpは、セメントペーストの水セメント比W/Cに相当する水量Waと細骨材の調整含水率に相当する調整含水量Wbとを合わせた水量(Wp=Wa+Wb)である。
従って、試料の残留含水量Wzは、Wz=Wp−Wd=Wa+Wb−Wdとなる。
ここで、残留含水量Wzは、細骨材の重量をS、セメントの重量をCとした場合、重量比(モルタル配合比)S/Cを0,1,2,3に設定し、各重量比S/Cで上述した遠心試験を3回づつ繰り返し行って各平均値を算出する。なお、S/C=0とは細骨材が0を意味する。
次に各S/C毎に残留含水量Wzとセメントペースト(バインダ)分のセメント重量Cに対する割合Wz/Cの平均値を求める。このようにして得られた各S/CとWz/Cの関係を図12にプロットする。図中、S/Cを横軸、Wz/Cを縦軸にとる。図12において、これらの関係を直線回帰して、この近似直線の傾きをθとすると、細骨材の重量Sに対する残留含水量Wzの割合(Wz/S)を求めて下式(5)のように細骨材の吸着水率βoを得る。
この吸着水率βoは遠心試験によっても細骨材から分離しない水量を指し、細骨材の内部空隙を満たしている水と表面に付着している水との合計量の質量百分率を意味する。
tanθ=Wz/S=βo (5)
このようにして得られた細骨材の吸着水率βoと別途別の試験で求められたJIS表乾状態における細骨材内部の吸水率Qとにより、下式(3)を用いて細骨材の表面吸着水率βOHを求める。
βOH =(βo−Q)/(1+Q/100) (3)
但し、βo:遠心試験で求められた細骨材の吸着水率(%)
Q:JISの試験で求められる細骨材内部の吸水率(%)
そして、得られた表面吸着水率βOHを上記(4)式に代入して一次水量W1を定めることができる。
特許第2597835号公報 特許第3318580号公報 特許第3448634号公報
ところで、従来は分割練り工法による最適な一次水量W1を決定するに当っては上述した2種類の試験を実施しなければ一次水量を決定できなかった。
しかしながら、トルク試験に関しては、乾いたセメントまたは混合粉体である粉体に徐々に水を加えて試験を行うことから、その途中工程において図10に示すようなベンデュラおよびファニュキュラの段階を通過することになり、図13に示すようにこれらの状態域で形成された粉体ダマ(水と混ざらない粉体の塊)が最後まで存在してしまう。そのため、ピーク値を得ても理想的なキャピラリー状態は作り出せず、セメントまたは混合粉体の正確な拘束水率αの値が求められないという欠点がある。
さらに、図11に示すようなトルク値が最大になる手前の領域Eでは、ミキサの負荷電流値がピーク値まで上昇する過程で一時的に略V字状に落ち込む現象を呈する。その原因は次の通りである。
図14に示すトルク試験において、試料粉体であるセメントまたは混合粉体を収容したミキサ容器2内でミキサ3によって試料粉体のペースト1を練り混ぜする工程で、試料粉体ペースト1がミキサ3のパドル3aに固着し、固着したペースト塊とミキサ容器2の内壁面とのせん断抵抗がペースト塊内のそれより小さくなる。この界面では水の薄い層が発生してこの部分でせん断すべりを起こすため、キャピラリー状態であってもせん断抵抗値が小さくなり、ミキサ3のトルク値が略V字状に小さく落ち込んでしまうのである。
その後、さらに水を加えることにより図15のように固着したペースト塊が流動性を得てミキサ容器2の内壁面との摩擦抵抗とペースト内部のせん断抵抗値が増大して、負荷電流値が上昇してピーク値に至る。
このような負荷抵抗の変動の過程で、ペースト中に粉体ダマが生成されたり、大気圧下で混練するためにセメント粒子間に微量な空気が混入して気泡や空気層等が生じたりする。この微量な空気泡や空気層は拘束水率α値検出の精度に少なからず影響を及ぼすという欠点がある。
また、粉体として、シリカフュームのような超微粒子をセメント粉に添加もしくはその一部を置換・混合した混合粉体においては、図16に示すようにその超微粒子5が比較的大きい粒子であるセメント粒子6の表面に付着し、セメント等の粉体に対してベアリング効果によりせん断抵抗を少なくする現象を生じる。そのため、トルク試験によってセメントまたは混合粉体の真のキャピラリー領域を判定することは難しかった。
本発明は、このような実情に鑑みて、種々の悪影響を与えるトルク試験を行うことなく一次水量を決定するようにした分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法を提供することを目的とする。
本発明による分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法は、骨材に一次水量(W1)を加えて調整練りを行い、その後セメントまたはセメントにセメント以外の粉体を混合した混合粉体等からなる粉体を加えて練り混ぜ、更に全水量から一次水量を除去した二次水量を加えて練り混ぜることでモルタルまたはコンクリートを製造するようにした分割練り混ぜ工法において、粉体をスラリー状態にして、遠心加速度400G以上による遠心脱水試験によって粉体の拘束水率(αG)と骨材の吸着水率(βo)とを求めて一次水量(W1)を決定するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、骨材の吸着水率(βo)だけでなく、粉体の拘束水率(αG)を遠心脱水試験によって求めるようにしたため、キャピラリー領域決定に種々の悪影響を与えるトルク試験を行うことなく粉体の拘束水率(αG)と骨材の吸着水率(βo)に基づいて一次水量(W1)を精度良く決定できる。
しかも、粉体をキャピラリー状態よりも含水率の高いスラリー状態にした後に遠心脱水試験にかけることで、粉体はスラリー状態の水分が徐々に脱水されてキャピラリー状態に近くなる。従来のトルク試験では、粉体について、キャピラリー状態よりも含水率の小さい状態から徐々に加水してキャピラリー状態に調整するようにしたが、本発明では粉体をキャピラリー状態よりも含水率の高いスラリー状態に調整しておくことで、粉体粒子が十分分散されて間隙に水が満された状態になるため、確実に粉体ダマのない状態にすることができ、しかもスラリー状態にするために大気圧下で混練してもセメント粒子間に微量な空気が混入して気泡や空気層等が生じることがなく、拘束水率αGの検出精度に影響を及ぼさない。
また、粉体として、シリカフュームのような超微粒子をセメント粉と混合した混合粉体であっても、スラリー状態にするために超微粒子が比較的大きい粒子であるセメント等の表面に付着することがなく、大小個々の粉体や超微粒子が互いに遊離状態に保持されるためにセメント等の粉体に対して超微粒子がベアリング効果を生じないし、せん断抵抗がベアリング効果で小さくなることはない。
本発明による分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法は、骨材に一次水量(W1)を加えて調整練りを行い、その後セメントまたはセメントにセメント以外の粉体を混合した混合粉体からなる粉体を加えて練り混ぜ、更に全水量から一次水量を除去した二次水量を加えて練り混ぜることでモルタルまたはコンクリートを製造するようにした分割練り混ぜ工法において、粉体をスラリー状態にして、遠心加速度400G以上による遠心脱水試験によって粉体の拘束水率(αG)と骨材の吸着水率(βo)とを求め、該吸着水率(βo)から表面吸着水率βOHを求めて、下記(2)式により一次水量(W1)を決定するようにしたことを特徴とする。
W1={(αG×T)/100}×F+(βOH/100×S) (2)
但し、W1:一次水量(kg/m3)
αG:遠心力試験で求められた拘束水率(Y切片の値)(%)
T:係数(T=1.0〜1.5)
βOH:骨材の表面吸着水率(%)
F:単位粉体(kg/m3)
S:単位細骨材(繊維材を含む)重量(kg/m3)
本発明では、骨材の吸着水率(βo)だけでなく、従来トルク試験で求めていた粉体の拘束水率(αG)も遠心脱水試験で求めるようにしたため、トルク試験の際に生じる悪影響を生じることなく拘束水率(αG)を決定でき、また粉体の吸着水率(βo)から表面吸着水率βOHを求めて、(2)式によって一次水量(W1)を決定できる。特に遠心脱水試験で求めた拘束水率(αG)については1.0〜1.5の範囲内の係数Tを乗算することで、ブリーディング率の最も小さいコンクリートまたはモルタルを製造できる。また拘束水率(αG)を係数Tで補正して補正拘束水率(αo)を得ている。しかも、粉体をキャピラリー状態よりも含水率の高いスラリー状態にした後に遠心脱水試験にかけることで、粉体はスラリー状態の水分が徐々に脱水されてキャピラリー状態に近くなる。本発明では粉体をキャピラリー状態よりも含水率の高いスラリー状態に調整しておくことで、粉体粒子が十分分散されて間隙に水が満された状態になるため、確実に粉体ダマのない状態にすることができ、しかもスラリー状態にするために大気圧下で混練してもセメント粒子間に微量な空気が混入して気泡や空気層等が生じることがなく、拘束水率αGの検出精度に影響を及ぼさない。
なお、単位粉体Fとは、骨材に一次水量W1に加えた後で加える単位体積当たりの重量の粉体を意味し、粉体がセメントであれば単位セメントC(kg/m3)、後述の混合粉体A,B,Cであればそれぞれ単位混合粉体PA(kg/m3)、PB(kg/m3)、PC(kg/m3)を意味する。
なお、吸着水率βoから下記(3)式によって表面吸着水率βOHを求めることが好ましい。
βOH =(βo−Q)/(1+Q/100) (3)
但し、Q:JISの試験で求められる細骨材の内部の吸水率(%)
上述のように本発明による分割練り混ぜ工法の一次水量決定方法によれば、粉体の拘束水率(αG)を遠心脱水試験によって求めることができ、キャピラリー領域決定に種々の悪影響を与えるトルク試験を行うことなく粉体の拘束水率(αG)と骨材の吸着水率(βo)に基づいて一次水量(W1)を精度良く決定できる。そのため、粉体の拘束水率(αG)と細骨材の吸着水率(βo)によってブリーディング率の小さいコンクリートまたはモルタルが得られる。
また、遠心脱水試験前の粉体をスラリー状態にしたから、粉体粒子が十分分散されて間隙に水が満された状態になるため、粉体ダマのない状態にすることができ、しかもスラリー状態にするために大気圧下で混練しても粉体粒子間に微量な空気が混入して気泡や空気層等が生じることがなく、拘束水率αGの検出精度に悪影響を及ぼさない。そして遠心脱水試験によって粉体はスラリー状態の水分が徐々に脱水されてキャピラリー状態に近くなる。粉体がシリカフュームのような超微粒子を粉体粒子と混合した混合粉体であっても、スラリー状態にするために超微粒子が比較的大きい粒子であるセメント等の表面に付着することがなく、粉体粒子や超微粒子が互いに遊離状態に保持されるためにセメント等の粉体に対して超微粒子がベアリング効果を生じないし、せん断抵抗がベアリング効果で小さくなることはない。
次に本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1乃至図7は実施の形態による分割練り混ぜ工法の一次水量決定方法を示すもので、図1はコンクリート・モルタルの練り混ぜ工程を示す工程図、図2は遠心試験による各種粉体について遠心加速度と拘束水率αG(Y切片)との関係を示す図、図3は遠心試験におけるモルタル配合比と遠心試験後の残留水粉体比との関係を一次回帰直線で示す図、図4、図5、図6はモルタル(粉体)配合比S/C,S/PA、S/PB毎に普通セメントと混合粉体A、Bとの補正拘束水率αoとコンクリート・モルタルのブリーディング率との関係を示す図、図7は遠心試験後のセメントまたは混合粉体の粉体粒子と水との構造を示す図である。
なお、本実施形態では、各種粉体として、例えばセメント粉のみ、またはセメントにセメント以外のシリカヒューム、スラグ、石灰石粉末等を適宜混合した混合粉体等を採用するものとし、これらを総称して粉体ということがある。
本実施形態による分割練り混ぜ工法は概略で図1に示すフロー図に沿って行われている。即ち、細骨材S(粗骨材を含んでいてもよい)からなる骨材に一次水量W1を添加して調整練りを行い、各細骨材の全周に水分を均等に付着させ、その後、分散材として所要量のセメントCまたは混合粉体を添加して一次練り混ぜを行い、各細骨材の周囲にキャピラリー状態のセメントまたは混合粉体が付着して造殻される。そして全水量から一次水量W1を除去した二次水量W2(及び必要なら混和剤)を添加して二次練り混ぜを行うことで、セメントや混合粉体が良く分散して均質なコンクリートが得られることになる。
このような良質なコンクリートを製造するためには、添加する全水量W(=W1+W2)のうち特に一次水量W1の決定が重要な要素となっていることが知られている。
ところで、従来、分割練り混ぜ工法で一次水量決定方法を実施するには、基本式(4)によって最適一次水量W1(kg/m)を決定していた。この場合、未知数であるβOHは遠心試験によって設定し、拘束水率αについてはトルク試験によって決定していた。
W1=(α/100)×C+(βOH/100)×S (4)
但し、α:粉体の拘束水率(%)
F:単位粉体(kg/m
βOH:細骨材の表面吸着水率(%)
S:単位細骨材量(kg/m
なお、単位粉体Fとは、骨材に一次水量W1に加えた後で加える単位体積当たりの重量の粉体を意味し、粉体がセメントであれば単位セメントC(kg/m3)、後述の混合粉体A,B,Cであればそれぞれ単位混合粉体PA(kg/m3)、PB(kg/m3)、PC(kg/m3)を意味する。
しかし、上述したようにトルク試験で得られた拘束水率αは、粉体ダマ、空気泡や空気層により、またベアリング効果等により、セメントや混合粉体の真のキャピラリー領域を判定する事が難しかった。
そのため、本実施形態による分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法は、トルク試験を行わずに遠心試験のみによって各種粉体の拘束水率αGと細骨材の吸着水率βoとを決定して一次水量W1を設定するようにしたものである。
次に、本実施形態による、遠心試験を用いた拘束水率αGの求め方について以下に説明する。
拘束水率αGを求めるための遠心試験について図1及び図2に沿って説明する。
先ずミキサ容器内に投入した所定量のセメントまたは混合粉体に水を徐々に加えながらミキサで攪拌して混練りする。この場合の水セメント比または水混合粉体比をセメントまたは混合粉体のキャピラリー状態よりも水量の多いスラリー状態に設定する。
ここでキャピラリー状態とは、セメント粉や混合粉体等における粉体と粉体とが互いに接触せず粒子表面の活性によって形成された液膜によって不連続であり且つ粉体間が水で満たされ空気が混入していない状態をいう。そのため、スラリー状態にするにはキャピラリー状態よりも水分を相当量多くし、例えばセメント(または混合粉体)の重量Cに対して30重量%程度以上の水分を加えた状態にする。スラリー状態ではセメントまたは混合粉体に対して水がしゃぶしゃぶの状態で含まれている。そのために粉体ダマは生じないし、セメント粉体やシリカヒューム等の超微粒子間に空気泡や空気層等の混入がなくベアリング効果等も生じない。
なお、図2に示す例では、粉体として下記表1に示す普通セメント、混合粉体A,B,Cの4種類を用意した。普通セメントは例えば普通ポルトランドセメント、混合粉体Aは普通セメントにシリカヒュームと石灰石微粉末を僅かに混合したもの、混合粉体Bは普通セメントに石灰石微粉末を僅かに混合したもの、混合粉体Cは普通セメントに高炉スラグ微粉末を僅かに混合したものである。粉体(モルタル)の配合について、単位体積当たりの普通ポルトランドセメントのセメント量(kg/m)をC,混合粉体Aの粉体量(kg/m)をPA、混合粉体Bの粉体量(kg/m)をPBとした。
また細骨材として表2に示すものを用いた。
Figure 0004249176
Figure 0004249176
スラリー状態の普通セメント、混合粉体A,B,Cを特許文献2等に記載された遠心分離機に収容して回転させて遠心力を作用させる遠心試験を行う。
この場合、図2において、各粉体を収容した遠心分離機の回転数を変えて、試料に作用する遠心力の大きさを最大1000G(Gは、重力加速度)まで変化させ、遠心力の作用時間30分間とした場合、スラリー状態の粉体中の水分が遠心力の増加とともに減少する。特に加速度Gが400Gを越えると各粉体は水分含有率即ち拘束水率αG(%)(Y切片ともいう)が徐々に各一定値に近づいて収束することになる。各粉体は拘束水率が一定値αG(%)に収束することによってスラリー状態からキャピラリー状態またはこれに近い領域になる。
遠心試験後における各粉体粒子のセメントまたは混合粉体のペーストの粉体粒子と水との構造状態は図7に示すものとなり、キャピラリー状態またはこれに近い。即ち、粉体粒子のダマが無く、空気の巻き込みも無い状態で粉体粒子同士または粉体粒子及び超微粒子が個々に存在し、最小の間隙量となり、その間隙に水が満たされた状態となっている。すなわち、最密充填に近い状態である。
ここで、図2に示すように各粉体即ち普通セメント、混合粉体A,B,Cにおいて遠心加速度が400G以上であれば拘束水率αGはそれぞれ一定値に収束するが、各粉体の拘束水率αGは、シリカヒューム、石灰石粉末、高炉スラグ粉末等のセメント以外の粉体を含有するか否か、また混合する粉体の種類及び割合に応じて多少相違する固有の値を示す。
本発明者らは、遠心試験を経た一次水量W1を決定するのに必要な拘束水率αG(%)に関し、更に所定量率の水分を追加すると各粉体の流動性が増して一層、真のキャピラリー状態になることを試験により見いだした。この追加すべき水分量率を係数Tとして、拘束水率αGに乗算することで補正拘束水率αoが得られる。この補正拘束水率αoによって決定した一次水量W1と二次水量W2によって、得られたコンクリートまたはモルタルのブリーディング率が拘束水率αGで一次水量W1と二次水量W2を決定した場合より減少して最小限になることがわかった。
この場合の係数Tは各種の粉体(モルタル)配合比S/C、S/PA、S/PB、S/PCの値にかかわらず、1.0〜1.5の範囲であることが好ましく、この範囲内であれば最小限のブリーディング率のコンクリートまたはモルタルが得られる。なお、係数Tが1.0の場合とは補正拘束水率αo=拘束水率αGであるから、一次水量W1の演算に拘束水率αGを補正拘束水率αoとして(2)式または(4)式に用いてもよいことになる。
次に係数Tについて図3乃至図6により説明する。
粉体として例えば普通ポルトランドセメント(以下、普通セメントという)と混合粉体A、B、Cのうち混合粉体A、Bを一例として選択して表1に示す物性で用いる。細骨材は表2に示す物性のものを用いる。拘束水率αGの決定に際して、各粉体に水をその30%以上添加してスラリー状態として遠心試験を行った。遠心試験では図2に示すように加速度Gを徐々に上昇させ、400G以上の加速度を30分間かけて収束した一定値の拘束水率αGは、普通セメントでは例えば16.3%、混合粉体Aでは17.7%、混合粉体Bでは14.9%であった(図3参照)。また参考例としてトルク試験により拘束水率αを求めると、25%であった。
さらに、骨材と粉体(モルタル)の配合比をS/C、S/PA、S/PBとして、S/C=S/PA=S/PB=1,2,3を横軸に、残留水粉体(セメント)比Wz/C、Wz/PA、Wz/PBを縦軸にとって遠心試験を行い、得られた細骨材の拘束水率βoは、普通セメントで3.88%、混合粉体Aで4.19%、混合粉体Bで3.73%であった(図3参照)。なお、JIS試験で求めた細骨材の内部の吸水率Qを1.29%として、(3)式で求めた吸着水率βOHは2.56%であった。
そして、表3に示すように、普通セメントに関し、S/C=1.0、2.0、3.0の3種類について、拘束水率αGに対して補正する係数Tを漸次変化させ、(2)式により一次水量W1を順次決定した。モルタルの流動性がフロー値(2000mm程度)となるよう、S/C=1.0の場合に予め定められた全水量W/C=45%、S/C=2.0の場合に全水量W/C=57%、S/C=3.0の場合に全水量W/C=65%とした。
次に重量Sの細骨材の配合比(S/C)にもとづき決定された一次水量W1で調整練りを行い、普通セメントを所定量C(kg/cm)加えて一次練り混ぜ混合し、更に二次水量W2を加えて二次練り混ぜしてモルタルを製造した。
Figure 0004249176
同様に、表4に示すように、混合粉体Aに関し、セメントCに微量のシリカフュームSFと石灰石微粉末LSを加えたものとした。そして、S/PA=1.0、2.0、3.0の3種類について、拘束水率αGに対して補正する係数Tを漸次変化させ、(2)式により一次水量W1を順次決定した。モルタルの流動性がフロー値(2000mm程度)となるよう、S/PA=1.0の場合に予め定められた全水量W/P=43%、S/P=2.0の場合に全水量W/PA=52%、S/PA=3.0の場合に全水量W/PA=64%とした。
そして、重量Sの細骨材の配合比(S/PA)にもとづき決定された一次水量W1で調整練りを行い、混合粉体Aを所定量PA(kg/cm)加えて一次練り混ぜ混合し、更に二次水量W2を加えて二次練り混ぜしてモルタルを製造した。
Figure 0004249176
同様に、表5に示すように、混合粉体Bに関し、セメントCに微量の石灰石微粉末LSを加えたものとした。そして、S/PB=1.0、2.0、3.0の3種類について、拘束水率αGに対して補正する係数Tを漸次変化させ、(2)式により一次水量W1を順次決定した。モルタルの流動性がフロー値(2000mm程度)となるよう、S/PB=1.0の場合に予め定められた全水量W/PB=45%、S/PB=2.0の場合に全水量W/PB=55%、S/PB=3.0の場合に全水量W/PB=67%とした。
そして、重量Sの細骨材の配合比(S/PB)にもとづき決定された一次水量W1で調整練りを行い、混合粉体Bを所定量PB(kg/cm)加えて一次練り混ぜ混合し、更に二次水量W2を加えて二次練り混ぜしてモルタルを製造した。
Figure 0004249176
普通セメントモルタルではS/C=1.0、2.0、3.0において、係数Tを変化させて各補正拘束水率αo(=αG×T)に応じた一次水量/普通セメント量W1/C(%)を演算し、得られたモルタルのブリーディング率(%)を測定すると表3に示す結果が得られた。
また、混合粉体AモルタルではS/PA=1.0、2.0、3.0において、係数Tを変化させて各補正拘束水率αo(=αG×T)に応じた一次水量/混合粉体A量W1/PA(%)を演算し、得られたモルタルのブリーディング率(%)を測定すると表4に示す結果が得られた。
また、混合粉体BモルタルではS/PB=1.0、2.0、3.0において、係数Tを変化させて各補正拘束水率αo(=αG×T)に応じた一次水量/混合粉体B量W1/PB(%)を演算し、得られたモルタルのブリーディング率(%)を測定すると表5に示す結果が得られた。
そして、比較例として、トルク試験で得た拘束水率α=25%に基づいて(4)式で一次水量W1を決定し、普通セメント及び混合粉体A、Bを用いた各モルタルのブリーディング率(%)を測定した。また、一次水量W1と二次水量W2に分割せず一括して全水量Wを骨材と普通セメントと混合粉体A、Bにそれぞれ混ぜ込んで一括練りして各モルタルを得て、そのブリーディング率(%)を測定した。
表3のS/C=1.0、2.0、3.0の場合において、補正拘束水率αoを横軸にとり、ブリーディング率(%)を縦軸にとって表3の結果を図4にプロットした。また、表4のS/PA=1.0、2.0、3.0の場合において、補正拘束水率αoを横軸にとり、ブリーディング率(%)を縦軸にとって表4の結果を図5にプロットした。また、表5のS/PB=1.0、2.0、3.0の場合において、補正拘束水率αoを横軸にとり、ブリーディング率(%)を縦軸にとって表5の結果を図6にプロットした。
図4に示す結果から、S/C=1.0、2.0、3.0の全ての場合に、係数T=1.0〜1.5の範囲内での補正拘束水率αoのブリーディング率が最も低く好ましい領域になるという結果が得られた。また図5、図6に示す結果から、S/PA=S/PB=1.0、2.0、3.0の全ての場合に、係数T=1.0〜1.5の範囲内でブリーディング率が最も低く好ましい領域になるという結果が得られた。
即ち、係数Tが1.0〜1.5の範囲内であればブリーディング率の低い良好なモルタルを得られる。
他方、トルク試験で検出した拘束水率αに基づいて決定した一次水量W1によるモルタルのブリーディング率は、普通セメント、混合粉体Aのいずれも場合も、実施形態による係数T=1.0〜1.5の範囲の好ましいブリーディング率に含まれていた。しかしながら、混合粉体Bの場合には、トルク試験で得た拘束水率αはブリーディング率が係数T=1.0〜1.5の領域より高く、係数Tの良好な範囲を外れた係数T=1.7〜1.8に相当する拘束水率であった。これは、負荷抵抗の変動の過程で、ペースト中に粉体ダマが生成されたりセメント粒子間に微量な空気が混入して気泡や空気層等が生じたりして、拘束水率α値検出の精度に悪影響を及ぼしたためと推測される。
また、一括練りによる場合のブリーディング率は実施形態の範囲(αo=αG×T)やトルク試験の場合(α)よりもかなり悪かった。
上述の表3、表4及び表5と図4、図5及び図6に示す結果から、遠心試験で得られた各拘束水率αG(Y切片)に対して重力加速度の場で脱水される水分量を係数Tによって補正することにより、キャピラリー状態の含有水分量である補正拘束水率αoとの相関関係が得られる。そして、トルク試験で得た拘束水率αより正確で安定した補正拘束水率αoが得られた。
次に、遠心試験によって上記4種類の粉体のうちの普通セメントと混合粉体A、Bについて細骨材の吸着水率βoを求め、細骨材の表面吸着水率βOHを上記(3)式によって求める。
一例として図3に示すように普通セメントと混合粉体A、Bについての吸着水率βoを求める。そのため、コンクリートまたはモルタルに含有される細骨材、水、普通セメントまたは混合粉体A、Bからなる各試料に関し、遠心試験後の残留含水量をWz、粉体である普通セメント、混合粉体A、Bの重量をC、PA、PBとすると残留水粉体比はWz/C、Wz/PA、Wz/PBとなる。また、細骨材の重量Sと普通セメント、混合粉体A、Bとの重量のモルタル配合比はS/C、S/PA、S/PBとなる。
ここで、細骨材と粉体の配合比S/C、S/PA、S/PBをそれぞれ0,1,2,3に設定し、各配合比S/C、S/PA,S/PBで上述した遠心試験を3回づつ繰り返し行って各平均値を算出する。次に各S/C、S/PA,S/PB毎にセメントペースト(バインダ)分の普通セメントまたは混合粉体A、Bの重量C、PA、PBに対する残留含水量Wzの割合Wz/C、Wz/PA、Wz/PBの平均値を求める。
このようにして得られた各S/C、S/PA,S/PBとWz/C、Wz/PA,Wz/PBとの関係を図3にプロットする。図中、S/C、S/PA、S/PBを横軸、Wz/C、Wz/PA、Wz/PBを縦軸にとる。図3において、これらの関係を直線回帰して、この近似直線の傾きをθとすると、細骨材の重量Sに対する残留含水量Wzの割合(Wz/S)を求めて下式(5)のように細骨材の吸着水率βoを得る。この吸着水率βoは遠心試験によっても細骨材から分離しない水量を指し、細骨材の内部空隙を満たしている水と表面に付着している水との合計量の質量百分率を意味する。
tanθ=Wz/S=βo (5)
遠心脱水試験では、骨材及び粉体の配合比S/C、S/PA、S/PBと残留水及び粉体の比Wz/C、Wz/PA、Wz/PBとの関係で得られる一次回帰式の勾配から骨材の吸着水率βoを求めている。図3に示すように、一次回帰式のY切片は、Y軸上における骨材を含まない(S/C=S/PA=S/PB=0)粉体の拘束水率(水粉体比)αGを示す。
このようにして得られた細骨材の吸着水率βoと別の試験で求めたJIS表乾状態における吸水率Qとにより、下式(3)を用いて細骨材の表面吸着水率βOHを求める。
βOH =(βo−Q)/(1+Q/100) (3)
但し、Q:JISの試験で求められる細骨材の内部の吸水率(%)
遠心試験で求めた拘束水率αG,設定された係数T、そして細骨材の吸着水率βoから(3)式で求めた表面吸着水率βOH を(4)式に代入すると、(2)式が得られる。
W1={(αG×T)/100}×F+(βOH/100)×S (2)
なお、Fは単位体積(cm)当たりの普通セメント、混合粉体A,B,C等各種の粉体重量である。
このようにして決定された一次水量W1に基づいて分割練り混ぜ工法に用いると、細骨材からなる骨材に一次水量W1を加えて調整練りを行うことで各骨材の全周に水分を均等に付着させることができる。その後、所要量の普通セメントまたは混合粉体A、B(または混合粉体C)を加えて練り混ぜることで骨材の周囲にキャピラリー状態のセメントまたは混合粉体A、B(または混合粉体C)が付着して造殻される。
次に造粒された骨材に、投入すべき全水量Wから一次水量W1を除去した二次水量W2(と必要であれば混和材)を加えて練り混ぜすることで、セメントが良く分散して均質なコンクリートまたはモルタルが得られることになる。この工法で得られたコンクリートまたはモルタルは保水性が高いためにブリーディングが少ない。
なお、図2に示すように普通セメントだけでなく混合粉体A、B,Cでも遠心加速度が400G以上で30分間以上かければ拘束水率αG(Y切片)の値は一定に収束する。その場合、図2に示すように粉体種類ごとに拘束水率αGは異なり固有の値を示す。また、図3に示すように、同じ骨材を用いても遠心試験で得られる吸着水率βoは用いる粉体の種類により異なることとなる。
そのため、一次水量W1を求めるためのパラメータである普通セメントや混合粉体A,B,C等の粉体の拘束水率αGおよび骨材の拘束水率βOHは、練混ぜに用いる粉体の性質により決定される。
上述のように本実施形態による一次水量W1の決定方法によれば、トルク試験を行うことなく普通セメントまたは混合粉体A,B,C等の粉体をスラリー状態から遠心試験によってキャピラリー状態またはその近傍に調整する拘束水率αGを得ることができる。特にトルク試験を行わないために、ベアリング効果によるせん断抵抗を少なくする現象を生じない等トルク試験による種々の悪影響を受けることなく、セメントまたは混合粉体の真のキャピラリー領域を判定して一次水量を決定できる。
しかも、粉体をスラリー状態とするために、粉体粒子や超微粒子が十分分散されて間隙に水が満された状態になり、粉体ダマが生じない上に、大気圧下で混練してセメント粒子間に気泡や空気層等が生じることがなく、拘束水率αGの検出精度に悪影響を及ぼさない。また、粉体をスラリー状態にすることで、シリカフュームのような超微粒子をセメント粉に追加混合したり、一部置換して混合した混合粉体であっても、超微粒子がセメント粒子の表面に付着することがなく大小個々の粉体や超微粒子が互いに遊離状態に保持されるために、せん断抵抗がベアリング効果で小さくなることはない。
そして拘束水率αGを係数Tで補正した補正拘束水率αoを得ることで、コンクリートまたはモルタルのブリーディング率を最小にする最適な一次水量W1を決定できる。
なお、上述の実施の形態では、各数値を用いて説明したが、本発明は上述の数値のものに限定されるものではなく説明の都合上、単なる一例を提示したにすぎないことはいうまでもない。
また細骨材を含む骨材には繊維材を含んでいてもよい。
次に本発明の別の実施例について述べる。
粉体として普通ポルトランドセメント(普通セメント)と混合粉体Aを用いてコンクリートを製造した。コンクリート中には細骨材と粗骨材と混和剤を混入することとした。普通セメントを用いたコンクリートの配合は下記表6に示す通りである。また、混合粉体Aを用いたコンクリートの配合は下記表7に示す通りである。なお、表7において、混合粉体Aの重量PAはセメントCにシリカヒュームSFと石灰石微粉末LSを混合した重量であり、重量BはそのうちセメントCにシリカヒュームSFを混合した重量である。
また、各コンクリートの配合中、細骨材と粗骨材の物性は下記表8に示す通りである。
Figure 0004249176
Figure 0004249176
Figure 0004249176
そして上述の実施形態に示す方法で説明したように、それぞれコンクリートを製造した。
各コンクリートの製造に際して、拘束水率αGは普通セメントと混合粉体Aに水をその30%以上添加してスラリー状態として遠心試験を行うことで得た。遠心試験では加速度Gを徐々に上昇させ、400G以上の加速度を30分間かけて収束させることで各拘束水率αGを得た。普通セメントコンクリートの拘束水率αG=16.3、混合粉体Aの拘束水率αG=17.7であった。参考例として求めたトルク試験による普通セメントコンクリートの拘束水率α=24.0、混合粉体Aの拘束水率α=22.0であった。
さらに、各粉体の配合に基づいて遠心試験を行い、得られた細骨材の拘束水率βoは、普通セメントで3.88%、混合粉体Aで4.19%であった。なお、JIS試験で求めた細骨材の内部の吸水率Qを1.29%として、(3)式で求めた吸着水率βOHは普通セメントコンクリートで2.56%、混合粉体Aコンクリートで2.86%であった。
そして、表9に示すように、普通セメントと混合粉体Aに関し、拘束水率αGに対して補正する係数Tを漸次変化させ、(2)式により一次水量W1を順次決定した。モルタルの流動性がフロー値(2000mm程度)となるよう、予め定められた全水量W/C=53%、W/PA=55%とした。
次に重量Sの細骨材の配合量(S/C、S/PA)にもとづき決定された一次水量W1で調整練りを行い、普通セメント、混合粉体Aを所定量C、PA加えて一次練り混ぜ混合し、更に二次水量W2を加えて二次練り混ぜして普通セメントコンクリートと混合粉体Aコンクリートを製造した。そして普通セメント及び混合粉体Aを用いた各コンクリートのブリーディング率(%)をそれぞれ測定した。
これに対し、トルク試験で検出した拘束水率αに基づいて決定した一次水量W1による各コンクリートのブリーディング率は、普通セメントで、1.60%、混合粉体Aで2.14%であり、いずれも場合も、係数T=1.0〜1.5の範囲の好ましいブリーディング率に含まれていた。また、一括練りによる場合のブリーディング率は実施形態の良好な範囲よりも悪かった。
Figure 0004249176
これらのデータについて一次水量W1を決定する補正拘束水率αoを横軸に、各コンクリートのブリーディング率を縦軸にとって各測定値をプロットすると、普通セメントコンクリートについては図8、混合粉体Aについては図9に示す結果が得られた、各図中で、T=1〜1.5の範囲内でのブリーディング率が最も低かった。本発明の効果を裏付けられた。
なお、この第二実施例ではトルク試験で得た拘束水率αによっても同様な効果が得られたが、第一実施例における混合粉体Bの場合のように、トルク試験を用いると、負荷抵抗の変動の過程で、ペースト中に粉体ダマが生成されたりセメント粒子間に微量な空気が混入して気泡や空気層等が生じたりして、拘束水率αが好適な補正拘束水率αoの範囲を外れる場合があり、拘束水率α値検出の精度が不安定になる欠点がある。
コンクリート・モルタルの分割練り混ぜ工程を示す工程図である。 遠心試験による各種粉体について遠心加速度と拘束水率αG(Y切片)との関係を示す図である。 遠心試験におけるモルタル配合比と遠心試験後の残留水粉体比との関係を一次回帰直線で示す図である。 係数Tとの関係で、S/C毎に普通セメントの補正拘束水率αoとコンクリート・モルタルのブリーディング率との関係を示す図である。 係数Tとの関係で、S/PA毎に混合粉体Aの補正拘束水率αoとコンクリート・モルタルのブリーディング率との関係を示す図である。 係数Tとの関係で、S/PB毎に混合粉体Aの補正拘束水率αoとコンクリート・モルタルのブリーディング率との関係を示す図である。 遠心試験後のセメントまたは混合粉体の粉体粒子と水との構造を示す図である。 実施例における普通セメントの補正拘束水率αoと普通セメントコンクリートのブリーディング率との関係を示す図である。 実施例における混合粉体Aの補正拘束水率αoと混合粉体Aコンクリートのブリーディング率との関係を示す図である。 含水率を変化させた場合の粉体粒子と水との一般的構造概念図である。 トルク試験における水セメント比(水混合粉体比)と負荷電流値との関係を示す図である。 遠心試験結果によるモルタル配合比と残留水粉体比の関係で得る一次回帰式の勾配を示す図である。 粉体ダマを形成した状態の粉体ペーストを示す概念図である。 トルク試験においてミキサで粉体ペーストを練り混ぜる状態を示すものであって、トルクがピーク値になる手前のV字状に落ち込む状態を示す図である。 トルク試験においてミキサで粉体ペースとを練り混ぜる状態を示すものであって、トルクがピーク値になった状態を示す図である。 セメントの粉体粒子の表面に超微粒子が付着した状態を示す図である。

Claims (1)

  1. 骨材に一次水量(W1)を加えて調整練りを行い、その後セメントまたはセメントに他の粉体を混合した混合粉体からなる粉体を加えて練り混ぜ、更に全水量から一次水量を除去した二次水量を加えて練り混ぜることでモルタルまたはコンクリートを製造するようにした分割練り混ぜ工法において、
    前記粉体をスラリー状態にして、遠心加速度400G以上による遠心脱水試験によって前記粉体の拘束水率(αG)と前記骨材の吸着水率(βo)とを求めて一次水量(W1)を決定するようにしたことを特徴とする分割練り混ぜ工法における一次水量決定方法。
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