JP4244643B2 - クロノグラフ付時計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロノグラフ付時計に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、指針を備えたアナログ表示式クロノグラフ付時計は、秒クロノグラフ針、分クロノグラフ針などのクロノグラフ針を備え、時計に設けられているスタートボタンを操作して時間の計測を開始し、クロノグラフ針を備えたクロノグラフ車が駆動源からの駆動力を伝達され駆動を始める。ストップボタンを操作すると時間の計測を停止し、クロノグラフ針が停止し、クロノグラフ針によって計測時間を表示する。ここで、スタートボタンとストップボタンは共通にし、スタート、ストップを交互に繰り返すことができるようにすることが多い。クロノグラフ針が停止した状態から、スタート、ストップボタンとは別に設けられたリセットボタンの操作を行うと、各クロノグラフ針はゼロ位置に復帰する(以下、帰零という)。帰零すると同時にクロノグラフの駆動を制御している電子回路がリセットされ、次のスタートが可能な状態となる。
【0003】
クロノグラフ付電子時計の場合、秒クロノグラフ車、分クロノグラフ車のそれぞれに対応する独立したモーターを有し、そのモーターを電子回路で制御してスタート、ストップ、帰零させるものもある。しかし、この構成では複数のクロノグラフ車に対応するモーターが必要になり部品点数が多く、構造も複雑であった。また、モーターによる帰零は、定められたステップ速度でモーターを駆動し帰零させるため、帰零に要する時間がクロノグラフ針の停止位置によっては長くなることがある。
一方、従来からの機械式時計に用いられている機械式帰零構造はクロノグラフ針の停止位置にかかわらず瞬時に帰零できるという利点がある。そのため、機械式時計に用いられている機械式帰零構造と電子制御を組み合わせたクロノグラフ付時計が提案されている。
【0004】
クロノグラフ針を機械的に帰零する機構は、クロノグラフ針を保持して経過時間を表示するクロノグラフ車に備わったハートカムを圧接し帰零するという構造を有している。ここで、スタート、ストップ、帰零の3状態を安定的にしかも操作に節度感ある制御とするために、作動カムを備えた構造とすることがある。作動カムは歯車部と柱部を備え、作動カムジャンパで作動カムの回転位置を制御している。スタート・ストップボタンの押し操作によって作動カムを1ピッチずつ送り、作動レバー先端が作動カムの柱部の壁に当たる位置と、隣り合う柱部の間に入る位置との2位置に規制して、スタート、ストップの2状態をつくっている。また、帰零時には、リセットボタンの押し操作によって復針伝達レバーを連動させて帰零を行うが、スタート状態では第2復針伝達レバー先端が作動カムの柱部に当たっており、帰零はできない。ストップ状態では、第2復針伝達レバーの先端は作動カムの柱部の間にはいっており帰零可能な位置関係になっている。このような構造では、操作ボタンに連動して回転する作動カムの規制位置でスタート、ストップ、帰零の3状態がつくりだされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、帰零機構を簡素化するための構造も提案されている(特許文献2参照)。特許文献2では、リセットボタンを押し操作すると、電池押エ板の戻しバネ部を介して常時係合している復針レバー、発停レバー、復針伝エレバーを連動し、復針伝エレバーの押圧部をクロノグラフ車に備えたハートカムを押圧し復針している。ここで、復針伝エレバーは電池押エ板に形成されたバネ部で常にハートカムを押圧する状態を保持し続ける。
スタート/ストップボタンを押し操作すると、ムーブメント外周部に設けられた電池押エ板の戻しバネ部を介して発停レバー、復針伝エレバーを連動して復針伝エレバー押圧部によるハートカムの押圧状態を解除する。復針伝エレバーは、電池押エ板に備えられたバネ部の切り欠き部に係合して位置が規制される。
従って、発停レバーも復針伝えレバーによってスタート/ストップボタンから離れた状態に位置規制されている。再度、スタート/ストップボタンを押し操作すると、発停レバーと復針伝エレバーはボタン操作には連動せず、スタート/ストップボタン側にあってムーブメント外周部に設けられた電池押エ板の戻しバネ部が回路基板の接点部に接続しスイッチ入力され、ボタンを離すと戻しバネ部でボタンだけが戻され、スイッチ入力がOFFとなる。このようにしてスタート、ストップ操作が繰り返される構造となっている。
【0006】
【特許文献1】
W099/54792号公報(3頁〜8頁)
【特許文献2】
実用新案登録第2605696号公報([0010〜0022])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような特許文献1では、作動カムの柱部の位置を規制することで、スタート・ストップボタン、リセットボタンの操作に連動する作動レバー及び、復針伝達レバーの位置を規制し、スタート、ストップ、帰零の3状態を安定して備えており、誤操作を防ぐことができる。しかし、部品点数が多く、構造も複雑となり組み立て性にも課題があった。
特許文献2では、スタート操作のときは、スタート/ストップボタンを押すと発停レバーと復針伝エレバーは連動しスイッチ入力されるが、ストップ操作のときは、スタート/ストップボタンを押しても、発停レバーと復針伝エレバーは連動せず、スイッチ入力だけがなされる。
このような構造では、部品点数を減じ、構成も簡素化できるが、ストップ操作のときには、電気的にON,OFFを繰り返すだけのために、操作の節度感はなく、簡単にボタンが押されてしまい、誤操作しやすい構造となっている。
【0008】
本発明の目的は、従来例の課題を解決し、クロノグラフ針の機械式帰零構造を少ない部品点数で実現できて、構造を簡易にでき、組み立て性も向上できるとともに、節度感があって、確実に操作できるクロノグラフ付時計を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のクロノグラフ付時計は、クロノグラフ時間を表示するためのクロノグラフ針を保持し、かつ、ハートカムを有するクロノグラフ車と、駆動源からの駆動力を前記クロノグラフ車に伝達するためのクロノグラフ輪列と、前記ハートカムを圧接する帰零位置およびハートカムから離れた位置に移動可能な復針レバーと、第 1 の外部操作部材と、前記復針レバーが前記ハートカムに圧接している場合に、前記第1の外部操作部材の押し操作に連動して前記復針レバーを前記ハートカムから離れた位置に移動させるとともに、前記第1の外部操作部材の操作時以外は定位置に位置決めされる作動レバーと、第2の外部操作部材と、前記第2の外部操作部材の押し操作に連動し前記復針レバーを前記ハートカムに圧接する位置に規制する復針伝達レバーと、前記作動レバーに係合する作動レバー用位置決め部材と、前記復針伝達レバーに係合する復針伝達レバー用位置決め部材とを備え、前記作動レバー用位置決め部材は、前記第1の外部操作部材操作時の押圧力によって弾性変形可能な弾性部と、前記第1の外部操作部材の操作時以外は前記弾性部の弾性力を利用して前記作動レバーを定位置に位置決めする規制部とを備え、前記復針伝達レバー用位置決め部材は、前記第1の外部操作部材の操作時の押圧力および前記第2の外部操作部材操作時の押圧力のいずれの押圧力によっても弾性変形可能な弾性部と、前記弾性部の弾性力を利用して、前記復針レバーが、前記ハートカムから離れたときの位置とハートカムを圧接したときの位置に前記復針伝達レバーを位置決めする規制部を備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、各位置決め部材としては、例えば、板材を加工し、基部側から延出されて弾性変形可能な弾性部と、その弾性部の先端側に凹部状に形成されて作動レバーや復針伝達レバーに突設された軸が係合可能な規制部とを備えるクリックばね等が利用できる。
この発明によれば、作動レバーは、ハートカムに圧接している復針レバーを、第1の外部操作部材の押し操作に連動してハートカムから離れた位置に移動させ、第1の外部操作部材の操作時以外は、位置決め部材によって定位置に位置決めされている。すなわち、作動レバーは、第1の外部操作部材の押し操作に連動して動作し、その動作時に復針レバーがハートカムに圧接している場合には復針レバーを移動させるが、既に復針レバーがハートカムから離れている場合には復針レバーを動かすことはない。このため、復針レバーをハートカムから離れた位置に移動させた後、第1の外部操作部材の押し操作を解除すると、作動レバーは定位置つまり第1の外部操作部材で押される前の位置に戻って位置決めされる。従って、再度、第1の外部操作部材を押し操作した際には、定位置に位置決めされていた作動レバーも押動されるため、操作時の節度感が得られ、節度感がないために軽く押してもスイッチが入ってしまうような誤操作も防止できる。
また、本発明では、作動レバー用位置決め部材の弾性部によって作動レバーを定位置に戻すよう弾性力が働いている。このため、第1の外部操作部材の押し操作を解除し、作動レバーに第1の外部操作部材の押動力が働かなくなると、作動レバーは弾性部の弾性力で自動的に定位置に戻され、第1の外部操作部材を操作する前の位置に前記規制部で位置決めされる。
復針伝達レバー用位置決め部材は、第2の外部操作部材を押し操作したときは、復針レバーがハートカムを圧接する位置に復針伝達レバーを規制部にて押圧、規制し、第1の外部操作部材を押し操作したときには、復針レバーがハートカムから離れた位置に保持されるよう復針伝達レバーの位置を規制部にて規制する。復針伝達レバー用位置決め部材は、その弾性力で、復針伝達レバーを前記2つの規制位置状態に維持するように付勢しており、復針伝達レバーは前記弾性力を越える力が加わると規正位置から移動する。
位置決め部材は弾性部の弾性力と規制部で安定的に作動レバー、復針伝達レバーの位置を規制することができ、外部操作部材の操作時には、位置決め部材の例えば凹形状とされた規制部から出るときに所定の操作力が必要となるため、節度感が得られ、誤操作を防ぐこともできる。従って、位置決め部材の規制部の形状や弾性部の弾性力を適宜調整することで、操作時の節度感も制御でき、操作性がよくかつ適度な節度感のある操作感を得ることができる。
【0011】
また、ハートカムから離れている復針レバーは、第2の外部操作部材の押し操作に連動して、ハートカムに圧接する位置に戻されて規制される。このため、第2の外部操作部材の押し操作で帰零操作を実現できる。
更に、復針レバーは、第1の外部操作部材の押し操作に連動してハートカムを圧接する帰零位置から離れて圧接を解除した位置に規制されるため、例えば、クロノグラフ針をモーターで駆動する際に、モーターを駆動すればクロノグラフ針を駆動でき、モーターをストップすればクロノグラフ針を停止できる。
従って、第1の外部操作部材や作動レバーの動作に連動するスイッチ等を設け、第1の外部操作部材を押し操作する度に、前記モーター駆動のスタートおよびストップを交互に繰り返すようにすれば、クロノグラフのスタート、ストップ操作が実現できる。
このため、クロノグラフの一般的な操作仕様であるスタート、ストップ、帰零の3操作を実現する際に、本発明では、主要構成部品は復針レバー、復針伝達レバー、作動レバーの3部品で構成することが可能であり簡素な構造が提供でき、組み立て性も向上できる。
【0012】
本発明のクロノグラフ付時計では、前記復針伝達レバーは、第1の復針伝達レバーおよび第2の復針伝達レバーで構成され、各復針伝達レバーは、中間部に回動軸を備えて各端部が回動可能に配置されるとともに、一方の端部同士が互いに回動可能かつスライド移動可能に連結され、前記第1の復針伝達レバーの他方の端部は、第2の外部操作部材に当接可能に配置され、第2の復針伝達レバーの他方の他端は、復針レバーに当接可能に設けられていることが好ましい。
【0013】
クロノグラフ付時計においては、クロノグラフ時間を表示するためのクロノグラフ車のレイアウト、外部操作部材のレイアウトは様々に考えられる。
このため、例えば、復針伝達レバーを第2の外部操作部材に直接当接させ、第2の外部操作部材の押し操作で復針伝達レバーが直接動作するように構成してもよい。
一方、本発明のように、第2の外部操作部材と復針レバーとの間に、第2の外部操作部材に押される第1の復針伝達レバーと、復針レバーと係合する第2の復針伝達レバーを配置し、第2の外部操作部材の押し操作で第1および第2の復針伝達レバーを介して復針レバーをハートカムに圧接する位置に移動させていれば、第2の外部操作部材のレイアウトが変わっても、容易に本発明の機能を得ることができる。また、構成する他のレバー類、クロノグラフ針を保持しているクロノグラフ車の位置が変わってもレイアウト構成が可能になる。
【0016】
本発明のクロノグラフ付時計では、前記作動レバー用位置決め部材と、前記復針伝達レバー用位置決め部材とは、異なる部材に形成してもよいが、同じ部材の異なる位置に形成されていることが好ましい。
【0017】
各位置決め部材を同じ部材に形成すれば、異なる部材に形成した場合に比べて、部品点数の減少、構造の簡略化、組み立て性の向上などの効果がある。また、同一部材で構成されているため相対的な位置のばらつきを押さえることもでき、作動レバー、復針伝達レバーの相互の位置精度がよく、安定した操作を可能にする。なお、各位置決め部材において、規制部の形状、弾性部の形状、位置は作動レバーや復針伝達レバーの構成等に応じて適宜設定すればよい。
【0018】
本発明のクロノグラフ付時計において、前記復針レバーが前記ハートカムに圧接している場合に、前記作動レバーと連動する前記第1の外部操作部材を押して前記復針レバーを前記ハートカムから離すとクロノグラフ針がスタートし、
前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合に、前記第1の外部操作部材を押すとクロノグラフ針がストップし、クロノグラフ針がストップしている場合に、前記第1の外部操作部材を押すとクロノグラフ針がスタートし、前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合に、前記第2の外部操作部材を押すとクロノグラフ針が帰零することが好ましい。
【0019】
復針レバーが、ハートカムに圧接している(帰零している)場合に、第1の外部操作部材を押すと、作動レバーが押動され、復針レバーはハートカムから離れる位置に移動しクロノグラフ針がスタートする。続いて第1の外部操作部材を押すと、作動レバーが押動され、クロノグラフ針はストップする。クロノグラフ針がストップしている状態で、第1の外部操作部材を押すとクロノグラフ針はスタートする。
従って、第1の外部操作部材の連続した押し操作でスタート、ストップが繰り返され、クロノグラフの積算計測ができ、操作も簡単となり、操作を間違えることもなくなる。また、スタート用およびストップ用の操作部材を兼用できるので、部品点数を少なくできる。
【0020】
本発明のクロノグラフ付時計では、前記作動レバーは、前記第1の外部操作部材の押し操作により入力されるスイッチ入力ばねを備え、前記スイッチ入力ばねの入力によって前記クロノグラフ針のスタートおよびストップ動作が制御されていることが好ましい。
【0021】
電子回路と駆動源であるクロノグラフモーターによってクロノグラフ輪列を駆動するクロノグラフ付時計においては、クロノグラフを動作させるために電子回路にスイッチ入力を伝達する必要がある。従って、作動レバーと一体に形成されたスイッチ入力ばねを設ければ、スイッチ入力ばねは、作動レバーと同じ動作をし、第1の外部操作部材の押し操作でスイッチ入力され、操作を解除するとスイッチ入力はOFFされるので、電子回路にスイッチ入力を伝達できる。
このような構成によれば、スイッチ入力ばねは、作動レバーと一体で同じ動作をするために作動レバーの動きと、復針レバーのハートカムから離れるタイミングとスイッチ入力のタイミングがとりやすくなる。
また、スイッチ入力ばねは、作動レバーに構成する位置も電子回路や他のレバーのレイアウトに対応して選択できるため、ムーブメントの内側方向に設けることができ、ムーブメントの外形サイズを小さくすることができるという利点もある。
【0022】
本発明のクロノグラフ付時計において、前記クロノグラフ車はハートカムを有する軸部と、他のクロノグラフ輪列と噛合するとともに前記軸部に対してスリップ係合した歯車部とから構成されることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、クロノグラフ車がスリップ機構を備えているので、帰零時には、クロノグラフ車のハートカムと軸部が強制回動するだけであり、クロノグラフ輪列の他の歯車は回動されないために測定誤差を生じることがない。
すなわち、ハートカムの強制回転によってクロノグラフモーターのローターまで回転されてしまうとローターの電磁気的な位相がずれてしまうことがあり、次のクロノグラフをスタートさせるとき、最初のパルスではモーターが駆動しない場合があり、計測誤差が生じてしまうことになる。
これに対し、本発明では、スリップ機構を備えているので、帰零時にローターまで回転が伝達されないので測定誤差を生じることがない。
さらに、ハートカムは、帰零時には瞬間的に回動するため、他のクロノグラフ輪列に回動負荷をかけることになる。従って、スリップ機構を備えることで、強制回動の際、クロノグラフ輪列に負荷がかからないため、帰零途中で回動が止まるなどがなく安定した帰零ができる。また、クロノグラフ輪列の中で強度的に弱い部分への強制回動時の負荷をかけ破壊されないようにすることもできる。
【0024】
本発明のクロノグラフ付時計は、クロノグラフ車の帰零時に、クロノグラフ輪列の駆動源からクロノグラフ車までの間のいずれか一つの歯車を規正するクロノグラフ規正レバーを備えることが好ましい。
【0025】
前述したように、クロノグラフ車に、軸部に対してスリップ係合した歯車が備えられていれば、帰零時には、この歯車がスリップして軸部すなわちクロノグラフ指針のみが回動し帰零される。しかし、スリップ機構のスリップトルクがクロノグラフ輪列の負荷より大きくなることも考えられ、その場合には帰零時にスリップせずにクロノグラフ輪列まで回動させてしまい、クロノグラフのスタート誤差を生じてしまうことがある。
これに対し、本発明では、クロノグラフ規正レバーを設けてクロノグラフ輪列の歯車を規正しているので、クロノグラフ規正レバーの押圧力で確実にスリップ機能を働かせ、帰零時に、駆動源まで回動させてしまうことを防ぎ、クロノグラフをスタートしたときの測定誤差が生じることがない。
【0026】
本発明のクロノグラフ付時計は、前記復針伝達レバーと係合し、前記第2の外部操作部材の押し操作に連動して、前記クロノグラフ輪列の歯車の一つを押圧規正するクロノグラフ規正レバーを備えていることが好ましい。
【0027】
クロノグラフ規正レバーを復針伝達レバーと係合させ、第2の外部操作部材の押し操作に連動してクロノグラフ輪列の歯車の一つを押圧して規正するように構成すれば、クロノグラフ車を帰零する動作に合わせてクロノグラフ輪列を規正することができる。詳しくは、帰零直前に規正が効いていることがタイミングとしては好ましく、復針伝達レバーによって、復針レバーとクロノグラフ規正レバーを作動させるため、そのタイミングがとりやすい構造である。
【0028】
本発明のクロノグラフ付時計において、前記クロノグラフ規正レバーは、前記作動レバーと係合し、前記第1の外部操作部材の押し操作と連動し、前記クロノグラフ輪列の規正を解除することが好ましい。
【0029】
クロノグラフのスタート時には、クロノグラフ規正レバーはスタートスイッチ入力の前にクロノグラフ輪列の歯車から解除されていることが好ましい。
従って、本発明のように、スタートスイッチ入力と規正解除を行う作動レバーとクロノグラフ規正レバーがダイレクトに連動することは、そのタイミングを取りやすいという効果がある。
【0030】
本発明のクロノグラフ付時計は、前記復針レバーは、前記ハートカムに圧接可能な圧接部と、第1および第2の孔と、回動軸とを備え、前記作動レバーは、前記第1の外部操作部材と当接する一端部と、前記復針レバーの第1の孔に係合する作動軸を有する他端部と、各端部間に設けられた回動軸と備え、前記復針伝達レバーは、前記第2の外部操作部材と当接する一端部と、前記復針レバーの第2の孔に係合する軸部材と、各端部間に設けられた回動軸とを備え、前記復針レバーの前記第1の孔は、前記復針レバーが前記ハートカムを押圧している場合には、前記作動レバーが第1の外部操作部材の押し操作に連動して回動した際に、前記作動軸が孔内面壁に当接して前記復針レバーを移動可能とし、かつ前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合には、前記作動レバーが第1の外部操作部材の押し操作に連動して回動した際に、前記作動軸が孔内面壁に当接せずに復針レバーに対して自由に移動可能な形状に形成され、前記復針レバーの前記第2の孔は、前記復針レバーが前記ハートカムを圧接している場合には、前記復針レバーの回動に伴い、その孔の内面壁で前記復針伝達レバーの軸部材を押動し、かつ前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合には、前記復針伝達レバーの軸部材がその孔の内面壁に当接し、前記復針レバーの前記ハートカムに圧接する方向への移動を規制可能な形状に形成されていることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、復針レバーの第1および第2の孔形状を適宜工夫し、これらの各孔に作動レバーの作動軸および復針伝達レバーの軸部材を係合させることで、所定の動作を実現できる。例えば、第1の孔は略三角形とし、復針レバーがハートカムから離れている際には、作動レバーが回動してもその作動軸が前記三角形の孔内を自由に移動できるようにすればよい。
このように孔形状等を適宜工夫するだけで前記動作が可能となるため、構成が比較的簡易になり、かつ確実に作動させることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施例の表外観図を示す。
このクロノグラフ付時計は、同軸上に配置された通常時刻表示用の時針1と分針2は時計体100のケース6の中心に対して6時方向に配置され、通常時刻表示用の基本時計秒針3は略10時方向に配置されている。秒クロノグラフ時間を示すクロノグラフ秒針4は時計体100のケース6の中心から12時方向にわずかに偏心した位置に配置される。また、分クロノグラフ時間を表示するクロノグラフ分針5は略2時方向に配置され扇形の目盛り上を扇形に運針する。このクロノグラフは45分計となっている。
時計体100の中央面は文字板7で通常時刻を示す目盛りとクロノグラフ時間を示す目盛りが備えられる。時計体100の3時方向には通常時刻を修正するためのりゅうず8が配され、2時方向には、スタート、ストップ操作をするためのスタート・ストップボタン9が配され、4時方向にはクロノグラフ針を帰零するためのリセットボタン10が配されている。
【0033】
図2は、時計のムーブメント全体の要部斜視図である。図2は、ムーブメント上面の輪列受、回路押さえ、帰零押さえなどを取り除いた状態であり、通常時刻を表示するための基本時計輪列、クロノグラフ時間表示をするためのクロノグラフ輪列の要部を示している。
まず、通常時刻を示すための基本時計輪列の概構造を説明する。
地板400の上面には合成樹脂製の回路受け座700が配置される。基本時計用の駆動源である基本時計用モーター101は、基本時計用コイル102、基本時計用ステーター103、基本時計用ローター104から構成され、電子回路からの駆動信号により1秒に1ステップのタイミングで基本時計用ローター104が回動し、五番車105を経て小秒車106に駆動が減速伝達されて前記小秒車106に保持された基本時計秒針3(図1に示す)によって通常時刻の秒表示がされる。また、五番車105、四番第三中間車107、四番第二中間車108、四番第一中間車109、三番車110を経て二番車111に減速伝達されて前記二番車111に保持された基本時計分針2(図1に示す)によって通常時刻の分表示がなされる。二番車111からは日の裏車を経て筒車に駆動が伝達されて通常時刻の時表示がされる(図は省略)。これらは、一般の電子時計と同じなので詳しくは説明しないが、通常時刻の時・分・秒は、図1のようにレイアウト、表示がなされている。
【0034】
りゅうず8(図1に示す)に固着された巻真130は地板400と回路受座700との間に支持され、巻真130を引き出すことにより、おしどり131とかんぬき132が連動し、つづみ車133が小鉄車134と噛み合う。小鉄車134は順次、日の裏第三中間車135、日の裏第二中間車136、日の裏第一中間車137、日の裏車138に巻真130の回動を伝達し、通常の時刻修正が行われる。おしどり131には規正レバー139が係合しており巻真130の引き出しに連動して四番第一中間車109を規正する。これら上述した基本時計輪列を構成する車、レバー類は回路受け座700と、輪列受401(図4に示すが、基本時計輪列の図は省略している)の間に支持されている。
【0035】
次に図3にてクロノグラフ輪列について説明する。図3は、図2のクロノグラフ輪列の要部を拡大した斜視図である。
クロノグラフ輪列の駆動源であるクロノグラフモーター201は、クロノグラフコイル202、クロノグラフステーター203、クロノグラフローター204から構成される。電子回路からの駆動信号により、クロノグラフローター204が回転駆動し、秒CG第三中間車205、秒CG第二中間車206、秒CG第一中間車207を経て秒CG車208に伝達され、秒CG車208に保持されたクロノグラフ秒針4(図1に示す)にてクロノグラフ秒が表示される。秒CG車208には、帰零のためのハートカム210が備えられている。
一方、分のクロノグラフ車である分CG車220は、秒CG第一中間車207から分CG第二中間車222、分CG第一中間車221を経てクロノグラフモーター201からのステップ駆動が伝達され、分CG車220に保持されたクロノグラフ分針5(図1)にてクロノグラフ分が表示される。分CG車220には、帰零のためのハートカム224が備えられている。秒CG第一中間車207には、分CG車220に噛み合うかなと、分CG第二中間車222と噛み合うかなが備えられている(図は省略)。
クロノグラフ輪列は、図4にも示すように地板400の上面に載置した回路受け座700と、回路押さえ600、回転錘受460(図は省略)の間に支持されている。
【0036】
図4は、秒CG車208と分CG車220の構成を示す断面図である。-
秒CG車208と分CG車220とは、構成は同じなので秒CG車208を例に詳しく説明する。
秒CG車208は、秒CG車軸211と、ハートカム210、秒CG歯車209とによって構成されている。
秒CG車軸211に形成されたハートカム210の下部211aには、秒CG歯車209が回動可能に遊嵌され、スリップばね212の弾性力によってハートカム210の下面段部211bに押圧されている。スリップばね212は、スリップばね押さえ座213を秒CG車軸211に押し込み固定することで、一定量の撓みをもって秒CG歯車209を押し付けている。ハートカム210と秒CG歯車209の接触部は、スリップばね212の押圧による摩擦力でクロノグラフ計測中は連動する。一方、帰零時には、ハートカム210は、復針レバー330で側面を押圧され強制回動されて秒CG歯車209とハートカム210とはスリップし、ハートカム210と一体の秒CG車軸211が回動しクロノグラフ秒針4を0秒位置まで帰零する。秒CG歯車209と他のクロノグラフ輪列は回動せず通常の噛み合いを保持する。帰零操作については、図5以降で詳しく説明する。ここで、秒CG車208は、回路受座700と回路押さえ600の間で軸受によって支持されている。
なお、分CG車220は、秒CG車208と同じ構造であり詳しい説明は省略するが、分CG車軸225、分CG歯車223、ハートカム224で構成される。分CG歯車223は、スリップばね226の弾性力でハートカム下面段部225bに押圧される構造である。分CG車220は、回路受け座700と回転錘受460の間で軸受によって支持されている。
帰零時には、ハートカム224は、復針レバー330で強制回動され、分CG歯車223とはスリップし、ハートカム224と一体の分CG車軸225が回動しクロノグラフ分針5を帰零する。分CG歯車223と他のクロノグラフ輪列は回転せず通常の噛み合いを保持する。
本発明では、スリップばね212,226は、秒CG歯車209、分CG歯車223とは別に構成されたが、両CG歯車内にスリップ部を設けてもその機能は変わらない。また、ハートカムは、CG車軸に一体で形成しているが、別体にして固着してもよい。
【0037】
図5、図6を用いてクロノグラフの構成を説明する。図5は、リセットボタンを押し操作したときのクロノグラフ帰零状態を示す要部平面図、図6は、図5の帰零機構の主要構成部品を取り出して示した要部斜視図である。
図5と図6において、第1の外部操作部材であるスタート・ストップボタン9はボタン押し操作前の初期位置にある。第2の外部操作部材であるリセットボタン10は押し操作したときの状態を示している。帰零押さえ360は、一部を地板方向に折り曲げた帰零押さえばね部360aを形成し、伝達レバー310の先端部310aと当接している。伝達レバー310には、樹脂成形された回路押さえ600に植立した伝達レバー軸600aに対応する位置に穴310bが設けられ伝達レバー軸600aと遊嵌している。伝達レバー310のもう一方の先端部には作動軸310cが伝達レバー310と一体に形成されており、復針伝達レバー320のトラック状の穴320bと係合している。
【0038】
復針伝達レバー320には、ほぼ中央に穴320aが設けられ、回路押さえ600に一体に形成された回動軸600bに遊嵌している。伝達レバー310とは逆側方向先端には、2つの異なる径の段部を有する作動軸321が植立されている。作動軸321の径大側段部321a部は、復針レバー330の略長方形の穴332に係合している。作動軸321の径小側段部321b(図6参照)は、クリックばね361に係合している。このクリックばね361は、復針伝達レバー320を位置決めする位置決め部材であり、帰零押さえ360に一体に形成されている。
【0039】
復針伝達レバー320に連動する復針レバー330は、回路押さえ600に形成された回動軸600cに対応する穴330aが明けられ、回動軸600cとは遊嵌している。復針レバー330の時計中心方向には、分CG車220のハートカム224と当接する面330bと、秒CG車208のハートカム210と当接する面330cとが設けられている。復針レバー330の当接する面330c側は、当接面330b側に対してスリット330dで切断されており、ばね部330eを有している。作動レバー340側には、略三角形の穴331が明けられ、作動レバー340に形成された作動軸340aと係合している。
【0040】
作動レバー340は、回路押さえ600に形成された回動軸600dに対応する位置に穴340bが明けられ回動軸600dとは遊嵌している。また、第1の外部操作部材であるスタート・ストップボタン9近傍にはボタン押し操作時にボタンが当接する面340cが断面的に折り曲げられ形成されている。ボタン当接面340cと穴340bの間には、スイッチ入力端子340dが一体で形成されており、スタート・ストップボタン9の押し操作時には、回路基板501(図10参照)の側面に設けられたスタート・ストップ入力パターン502に電気的に接続している。さらに、作動レバー340には、同じ面状に軸340eと作動軸340aが形成されており、軸340eは、帰零押さえ360に形成され、作動レバー340を位置決めする位置決め部材であるクリック部362と係合し、作動軸340aは復針レバー330の略三角形穴331と係合している。
【0041】
クロノグラフ規正レバー350は、輪列受401に形成された回動軸401aに対応する位置に穴350aを設けてあり回動可能に遊嵌している。
クロノグラフ規正レバー350は、輪列受401にトラック状に形成された突起部401bの側面に当接するばね部350cと、秒CG第二中間車206の近傍にあって、秒CG第二中間車206に断面的に係合する位置まで折り曲げた規正部350bと、作動レバー340の先端部340fと係合するくちばし状の先端部350dとが形成されている。また、復針伝達レバー320の半島状の突出部320dと係合している。
【0042】
次に、クロノグラフの操作について図5〜図11を用いて説明する。
図5および図6で帰零操作について説明する。
リセットボタン10を押すと、リセットボタン10は、帰零押さえ360のばね部360aを介し、伝達レバー310の先端部310a部を反時計方向に押動する。伝達レバー310は伝達レバー軸600aを中心に回動し、他方の先端にある作動軸310cも反時計方向に回動する。
【0043】
復針伝達レバー320は、回動軸600bを中心に伝達レバー310の作動軸310cにより時計方向に回動され、他端にある作動軸321も時計方向に回動する。すると、作動軸321の径大側段部321aによって復針レバー330に設けられた略長方形の穴332の内面壁332aが押され、復針レバー330は回動軸600cを中心に反時計方向に回動させられる。復針レバー330の回動により、分CG車220のハートカム224の端面と対向する面330bと、秒CG車208のハートカム210の端面と対向する面330cとがそれぞれハートカム210,224を圧接し、各ハートカム210,224、つまりは秒CG車軸211、分CG車軸225に軸止されたクロノグラフ秒針4、クロノグラフ分針5を、設定された位置、一般にはゼロ位置に復針、つまり帰零させる。
この際、復針レバー330の秒CG車208側は、スリット330dによって切断されており、ばね部330eの弾性力でハートカム210を圧接しているので、二つのハートカム210,224との圧接を構成部品の寸法のばらつきをばね部330eで吸収し確実に帰零させることができる。
【0044】
秒CG車208、分CG車220が帰零されるとき、秒CG歯車209および分CG歯車223は、秒CG車軸211と分CG車軸225に対してスリップ構造となっているため、ハートカムが帰零されても他のクロノグラフ輪列は回動されない。
したがって、クロノグラフ輪列、クロノグラフローター204は回動せず、相互の位相がずれることもなく、クロノグラフを正確にスタートさせることができる。
【0045】
帰零操作完了時に、復針伝達レバー320の作動軸321は、帰零押さえ360に一体で形成されたクリックばね361の先端の斜面部361aに位置し、クリックばね361の弾性力で付勢され、復針レバー330の略長方形穴332の内面壁332aに当接する。このため、復針伝達レバー320は、安定した位置を保持することができる。
リセットボタン10の操作を解除すると、リセットボタン10と帰零押さえ360のばね部360aが操作前の位置に復帰する。リセットボタン10、復針伝達レバー320、復針レバー330は、帰零操作完了時の状態で保持されるため、リセットボタン10を繰り返し押し操作しても伝達レバー310に係合する他のレバーの状態は変わらない。
【0046】
リセットボタン10を押して帰零操作を行ったとき、クロノグラフ規正レバー350は、復針伝達レバー320の半島状の突出部320dとの係合が解除されるため、ばね部350cの弾性力で反時計方向に回動され、規正部350bが、秒CG第二中間車を圧接してクロノグラフ輪列を規正する。
ハートカム210,224を回動させ帰零させるとき、秒CG歯車209、分CG歯車223は、スリップ構造を備え、他のクロノグラフ輪列は回動させない構成としているが、スリップトルクがクロノグラフ輪列の負荷より大きくなると帰零時に他のクロノグラフ輪列を回動させてしまうことがある。クロノグラフ規正レバー350を設けることにより、スリップ構造を完全に機能させることができるため、帰零操作時にクロノグラフ輪列を回動させクロノグラフローター204の磁極の位相をずらせることがなく正確なクロノグラフスタートが可能になる。
なお、クロノグラフ規正レバー350は、秒CG第二中間車206を規正しているが、他のクロノグラフ輪列を規正してもよい。また、リセットボタン10の操作を解除しても復針伝達レバー320の位置が変わらないため、クロノグラフ規正レバー350もその位置を保持し続ける。
【0047】
帰零操作時には、スタート・ストップボタン9は押し操作前の位置にあり、作動レバー340は軸340eと帰零押さえ360のクリックばね362とで位置決めされており、スイッチ入力端子340dもスタート・ストップ入力パターン502とは離れた位置に保持される。
ここで、帰零操作時のタイミングとしては、リセットスイッチ入力、クロノグラフ規正、帰零の順が誤動作をさせないための順序であり、本実施例の構成では、クロノグラフ規正レバー350が復針伝達レバー320と連動する構造のため最適なタイミングをとることができる。
【0048】
リセットボタン10の押し操作時のスイッチ入力について、図7および図8を参照して説明する。なお、図7は、帰零操作時のリセットボタン部の断面図、図8は、リセットボタン方向からの側面図である。
リセットボタン10を押し操作すると(矢印方向)、リセットボタン10の動きは帰零押さえ360のばね部360aを介して伝達され、伝達レバー310を(イ)から(ロ)の位置まで押動する。このため、前述したように、復針伝達レバー320と復針レバー330が連動してハートカム210、224を圧接しクロノグラフ秒針4、クロノグラフ分針5を帰零する。
図8において、回路受け座700には、リセット端子701が植立されており、リセット端子701の一方の端面は回路基板501に設けられたリセット入力パターン501aに接続している。
回路基板501のリセット入力パターン501aとは逆側の面を帰零押さえ360の一部からなるリセット端子押さえばね360bでしっかり押さえ、リセット端子701とリセット入力パターン501aとの接続の信頼性を高めている。
リセットボタン10の押し操作で帰零押さえばね部360aの先端部は時計中心側に移動し、その移動に連動して帰零押さえ360に一体で形成された入力端子360cがリセット端子701に接触し、リセット入力ONとなる。リセット入力がONされると、電子回路はリセットされ、クロノグラフは初期状態に設定され、最初のスタートが可能な状態となる。リセットボタン10の操作を解除すると、リセットボタン10はケースに設けられたボタン戻しばね(図示しない)により元の位置に戻り、帰零押さえばね部360a、入力端子360cは、自身の弾性力で元の位置に戻り、リセット端子701との接続はOFFとなるが、クロノグラフの状態は変わらない。
再度、リセットボタン10を押し操作しても、スタート、ストップの信号が入力されなければリセット入力は受け付けない電子回路の構成となっている。
【0049】
次に、図9,10を参照して、クロノグラフ計測スタート操作を説明する。なお、図9はスタート・ストップボタンを押し操作したときの状態を示す要部平面図、図10は、スタートスイッチ入力時の断面図である。
スタート・ストップボタン9を押し操作すると、作動レバー340は、スタート・ストップボタン9と当接する面340cを押動され、回動軸600eを中心に反時計方向に回動する。作動レバーに形成された作動軸340aが反時計方向に回動すると、復針レバー330の略三角形穴331の内面壁331aが押され、復針レバー330は回動軸600cを中心に時計方向に回動する。
復針レバー330のハートカム224,210との当接面330b、330cは、ハートカム224、210の回動軌跡範囲から離れた位置まで移動する。同時に、作動レバー340の半島状の先端部340fがクロノグラフ規正レバー350のくちばし状先端部350dを押動するため、クロノグラフ規正レバー350は回動軸401aを中心に回動し、規正部350bが秒CG第二中間車206と離れる位置まで移動する。このため、クロノグラフ輪列は、すべての規正が解除された状態となる。
作動レバー340に形成されたスイッチ入力端子340dは、先端が曲げられ、回路基板501の側面に配置されており、スタート・ストップボタン9の押し操作に伴い、回路基板501の端面に設けられたスタート・ストップ入力パターン502に電気的に接続する。これにより、スタート入力がONし、クロノグラフ計測がスタートする。
ここで、スタートの最適なタイミングとしては、帰零解除または規正解除、スタートスイッチ入力の順とするのがスタート誤差をなくす順序であり、復針レバー330の帰零状態の解除とクロノグラフ輪列の規正解除を作動レバーひとつで行うため最適なタイミングを得ることができる。
【0050】
作動レバー340に連動した復針レバー330は、略長方形穴332の内面壁332aで復針伝達レバー320の作動軸321を押動し、クリックばね361先端の斜面部361aから凹部361bまで移動させる。この状態で復針伝達レバー320の位置が決められ保持される。伝達レバー310は、リセットボタン10が押動できる位置まで戻される。
【0051】
スタート・ストップボタン9を押したとき、クリックばね362と係合する作動レバー340の軸340eは、クリックばね先端の凹部362aの斜面を乗り越えるが、スタート・ストップボタン9の押し操作を解除するとクリックばね362の弾性力と凹部362aの外側の長手方向の壁の斜面で元の位置まで戻され(矢印方向)、凹部362aに収まり位置決めされる。従って、作動レバー340は、操作時以外はクリックばね362により定位置に位置決めされている。また、作動レバー340が定位置に復帰するとき、作動軸340aは復針レバー330の略三角形穴331内を移動し、穴内の壁に係合しないので、復針レバー330は動かずにその位置を保持されている。
スイッチ入力端子340dは、スタート・ストップ入力パターン502から離れスイッチ入力はOFFとなるが、電子回路の状態は変わらず、クロノグラフ計測を継続する。
【0052】
次に、ストップ操作について説明する。クロノグラフ計測をスタートした後、スタート・ストップボタン9を押し操作する。作動レバー340は、スタート・ストップボタン9によって押動され反時計方向に回動する。作動軸340aは復針レバー330の略三角形穴331内を移動するが、穴内の壁に係合することなく移動する。
クリックばね362と係合する軸340eは、クリックばね先端の凹部362aから凹部斜面を乗り越えて停止する。このとき、スイッチ入力端子340dは、スタート・ストップ入力パターン502に接続し、ストップ入力ONとなり、クロノグラフモーター201への信号が停止し、クロノグラフ計測はストップとなる。作動レバー340は、スタート・ストップボタン9の押し操作を解除するとクリックばね362の弾性力と斜面部の復元力で、クリックばね先端の凹部362a(矢印方向)に戻されボタン操作前の位置に停止、保持される。
上述したように、クロノグラフのスタートとストップはスタート・ストップボタンの押し操作で繰り返し行うことができ、積算計測が可能となっている。
【0053】
スタート・ストップボタン9を押し操作するとき、作動レバー340のクリックばね362と係合する軸340eが、クリックばね先端の凹部362aの斜面を乗り越える瞬間の抵抗力がスタート・ストップボタン9に伝達するため、押し操作の節度感が得られる。
リセットボタン10の押し操作のときも、復針伝達レバー320の作動軸321がクリックばね先端の凹部361bから斜面部361aに移動する際の、二つの凹部間の山を乗り越える瞬間の抵抗力がボタン10に伝達するため、押し操作の節度感が得られる。
【0054】
図10において、スイッチ入力端子340dのスイッチ入力の状態を説明する。スタート・ストップボタン9を押し操作すると(矢印方向)、作動レバー340との当接面340cが押動され、先述したように、帰零状態にあった復針レバー330を帰零解除の状態まで移動させる。このとき、作動レバー340に一体に形成されたスイッチ入力端子340dが(イ)から(ロ)まで移動し、回路基板501に設けられたスタート・ストップ入力パターン502に接触しスタート入力ONとなり、クロノグラフモーター201に駆動信号を出し、クロノグラフ計測がスタートする。スタート・ストップボタン9の押し操作を解除すると、スタート・ストップボタン9は時計のケース6内に設けられたボタン戻しばね(図示しない)で元の位置まで戻される。このとき、作動レバー入力端子340dも(ロ)から(イ)の位置に戻り、スイッチ入力はOFFされる。しかし、駆動信号は継続して出ており、クロノグラフ計測は継続する。
【0055】
クロノグラフ計測をしているときに、再度、スタート・ストップボタン9を押し操作すると、前述したように、作動レバー340がボタンと連動し、スイッチ入力端子340dがスタート・ストップ入力パターン502に接触し入力ON状態になる。このときは、電子回路からのクロノグラフモーター201への駆動信号はOFFとなり、クロノグラフ計測はストップとなる。その後、スタート・ストップボタン9の押し操作を解除すると、スタート・ストップボタン9、作動レバー340、スイッチ入力端子340dは元の位置に戻るが、クロノグラフの状態は変わらない。このように、スタート・ストップボタン9の押し操作の繰り返しでクロノグラフのスタート、ストップが繰り返される。
【0056】
図11は、リセットボタン10、スタート・ストップボタン9の両方が押し操作されていないときの状態を示す。
リセットボタン10、伝達レバー310、復針伝達レバー320、復針レバー330の相対位置関係は図9と変わらない。
作動レバー340は、スタート・ストップボタン9の押し操作位置からクリックばね362の先端の凹部362aに復帰し安定状態になる。スイッチ入力端子340dは、スタート・ストップ入力パターン502から離れた位置にあり、作動軸340aは、復針レバー330の略三角形穴331の一方の内面壁部331aから逆側の壁側に移動している。クロノグラフ規正レバー350の規正解除の際、係合していた作動レバー340の半島状の先端部340fはクロノグラフ規正レバー350とは離れた位置に停止する。クロノグラフ規正レバー350は、復針伝達レバー320の半島状の突出部320dで秒CG第二中間車206に接触しない位置に規制されている。
したがって、ボタン押し操作でスイッチ入力しているとき以外は、スタート、ストップ、リセットの各状態でスイッチOFFとなっているため、スイッチON/OFFに係わる消費電流を低減することができる。
【0057】
以上の動作をまとめると、スタート操作のときは、スタート・ストップボタン9の押し操作によって、作動レバー340を押動させ、ハートカム210および224から離れた位置に復針レバー330を移動させる。同時に、クロノグラフ規正レバー350の秒CG第二中間車206の規正を解除し、スイッチ入力端子340dをスタート・ストップ入力パターン502に接続させスタートスイッチ入力をONし、クロノグラフ計測をスタートさせる。復針伝達レバー320は、クリックばね先端の凹部361bのスタート時の位置に移動させその位置を保持する。復針伝達レバー320は、伝達レバー310をリセットボタン10の操作可能な位置まで移動させている。スタート・ストップボタン9の操作を解除すると、作動レバー340は、クリックばね362によって位置を定位置に戻され保持され、他のレバーはそのままの位置を保持している。
【0058】
また、ストップ操作のときは、スタート・ストップボタン9の押し操作によって、作動レバー340をクリックばね先端の凹部362a斜面を乗り越える位置まで押動させ、スイッチ入力端子340dをスタート・ストップ入力パターン502に接続させストップ入力をONし、クロノグラフ計測をストップさせクロノグラフ時間を読み取ることを可能にしている。このとき、他のレバーは作動しない。作動レバー340は、スタート・ストップボタン9の操作を解除すると、クリックばね362によってスタート操作のときと同じ定位置まで戻され保持される。
【0059】
帰零操作のときは、クロノグラフストップ状態のときに、リセットボタン10の押し操作によって、伝達レバー310を押動し、復針伝達レバーをクリックばね361のストップ操作時の定位置から次の帰零時定位置の斜面部361aまで移動させ、復針レバー330を連動し、秒CG車208および分CG車220のハートカム210,224を圧接して帰零させる。同時にクロノグラフ規正レバー350を押動させて、秒CG第二中間車206を圧接して規正する。このとき、リセットスイッチがONし、電子回路をリセットする。
【0060】
このような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
一般にクロノグラフの操作仕様はスタート、ストップ、帰零操作の3操作を備えている。本実施形態では、この操作に対応して主要構成部品としては復針レバー330、復針伝達レバー320、作動レバー340の3部品で構成しており、部品点数を少なくでき簡素な構造のクロノグラフ付時計を提供できる。
また、スタート、ストップ、帰零それぞれの状態で作動レバー340、復針伝達レバー320、復針レバー330の位置が規制保持されているため、クロノグラフ操作が確実に行える。
【0061】
また、本実施形態では、復針伝達レバー320とリセットボタン10の間に伝達レバー310を配置し、リセットボタン10を押し操作した際に、伝達レバー310、復針伝達レバー320、復針レバー330を連動して帰零を行っている。リセットボタン10の位置が本実施形態では略4時方向にあるが、その位置をデザイン面などから別の位置に移動させても復針伝達レバー320以降の構成を変えずに、伝達レバー310の位置や形状を変えることで対応できる利点も有している。すなわち、復針伝達レバーを、リセットボタン10に当接する部品(伝達レバー310)と、復針レバー330に係合する部品(復針伝達レバー320)とに分けることで、様々なレイアウトに対応し易くなり、レイアウトに関する対応範囲を広くできる。
【0062】
本実施形態では、スタート・ストップボタン9の操作時以外は、作動レバー340をボタン操作前の定位置に位置決めするクリックばね362と、リセットボタン10を押し操作したとき、復針伝達レバー320を帰零の状態に位置を規制するとともに、スタート・ストップボタン9操作のときに、復針伝達レバー320を帰零解除の状態に位置を規制するクリックばね361を有している。
このようなクリックばね362,361を設けたので、先端の凹部で安定的に作動レバー340、復針伝達レバー320の位置を規制することができる。また、ボタン操作によってクリックばねの先端部の山を越えるときには、その周辺斜面を乗り越えるために操作力が増し、乗り越えた瞬間には次の規制位置まで瞬時に移動するため、ボタン操作の節度感が得られ、ボタンに触れた程度ではボタンは作動されないので、誤操作を防ぐこともできる。
【0063】
また、各クリックばね361,362は、先端の凹部形状、ばね部の形状は異なるが、帰零押さえ360に一体で形成されているので、部品点数の減少、構造の簡略化、組立性の向上などの効果がある。また、各クリックばね361,362が帰零押さえ360と一体で形成されているため、相対的な位置のばらつきを抑え、直接位置規制する作動レバー340や復針伝達レバー320だけでなく、作動レバー340、復針伝達レバー320に連動する復針レバー330、クロノグラフ規正レバー350の位置も正確に保持でき、クロノグラフ操作の誤動作を防ぐ効果もある。
【0064】
本実施形態では、秒CG車208、分CG車220にスリップ構造を組み込んでいるので、復針レバー330をハートカムに圧接して帰零を行うときには、ハートカム即ち秒CG車208、分CG車220に軸止されたクロノグラフ秒針4、クロノグラフ分針5が帰零され、他のクロノグラフ輪列は回転しない。したがって、クロノグラフモーター201のクロノグラフローター204の磁気的な位相がずれることなく、スタート時にスタート遅れによるクロノグラフ計測誤差を押さえることができる。
【0065】
また、本実施形態では、スタート、ストップの順に動作される作動レバー340に一体に構成されるスイッチ入力端子340dを設けて電子回路のスイッチ入力としているので、作動レバー340の動きとスイッチ入力のタイミングを容易に取ることができる。
また、作動レバー340はスタート、ストップ操作後に位置決め部材によって定位置に戻るため、スイッチ入力端子340dは、電子回路にスイッチ入力を伝達した後、電子回路のスタート・ストップ入力パターン502から離れた位置で保持される。そのため、スイッチ入力による常時電流は発生せず、消費電力を削減することも可能である。また、スイッチ入力端子340dは、作動レバー340のどの位置に形成するかは選択の自由度があり、ムーブメント内に収めることが可能で、コンパクトな時計の構成にも寄与する。
【0066】
本実施形態では、クロノグラフ規正レバー350を備えているので、秒CG車208、分CG車220のスリップトルクがクロノグラフ輪列の負荷より大きくなった場合でも、確実にスリップ機能を働かせることができ、帰零時にクロノグラフ輪列まで回動させることを防ぎ、クロノグラフをスタートしたときの計測誤差をなくすことができる。また、帰零時のタイミングとしては、リセットスイッチ入力、規正、帰零の順でなされるのがよいが、復針伝達レバー320でクロノグラフ規正レバー350および復針レバー330を作動させて規正、帰零操作を連動させているため、最適なタイミングの設定がしやすい効果もある。
【0067】
また、本実施形態では、スタート・ストップボタン9の押し操作で、クロノグラフ規正レバー350が、作動レバー340と係合し、スタート・ストップボタン9の操作で、クロノグラフ輪列の規正を解除している。
クロノグラフのスタート時には、スタートスイッチ入力の前にクロノグラフ輪列の歯車からクロノグラフ規正レバー350が解除されていることが必要である。クロノグラフスタートの最適タイミングは、帰零解除または規正解除、スタートスイッチ入力の順である。スタートスイッチ入力と規正解除を行う作動レバー340とクロノグラフ規正レバー350がダイレクトに連動することは、そのタイミングを取りやすい構造である。
【0068】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、リセットボタン10と復針伝達レバー320との間に伝達レバー310を設けたが、リセットボタン10のレイアウトによっては、復針伝達レバー320をダイレクトにリセットボタン10で押動してもよい。また、ひとつの伝達レバー310ではなく、リセットボタン10に当接するレバーと、復針レバー330に係合するレバーとの間に他のレバーを介在さるような複数のレバーを組み合わせてもよい。
【0069】
本実施形態では、秒CG車208、分CG車220のスリップ構造は、歯車をスリップばねで押圧してスリップトルクを得ていたが、歯車自体に弾性部を設けても同じ効果が得られる。また、スリップ機構は、秒および分CG車に設けたが、他のクロノグラフ輪列の一部に設けてもよい。
また、前記スリップ機構は必ずしも設けなくてもよい。スリップ構造を設けない場合、操作によってクロノグラフローター204が回動し、磁気的位相がずれたときは、電子回路の負荷が大きくなるが、電子回路で最初の駆動信号で磁気的位相を検出して、最適な駆動信号を出力するという手段もある。
【0070】
また、本実施形態では、クロノグラフ計測の表示を行うために、秒CG車208と分CG車220の二つのCG車を搭載しているが、時CG車などクロノグラフ時間を表示する他のCG車を追加してもよく、秒CG車ひとつにしても同じ効果を得られる。
【0071】
本実施形態の作動レバー用位置決め部材および復針伝達レバー用位置決め部材は、弾性部と規制部を有するクリックばねであるが、複数のレバーなどの部材やばねを組み合わせても同じ効果を得られる。
また、本実施形態では、二つの位置決め部材は、帰零押さえ360に一体で形成されているが、位置決め用の単独の部材、または、帰零押さえ以外の他の部材に形成することも可能である。
【0072】
本実施形態では、スタート・ストップボタンを兼用していたが、スタートボタンとストップボタンとを別々に設けてもよい。
また、スイッチ入力ばね340dは、作動レバー340に一体に形成されたものに限らない。例えば、スタート・ストップボタンの操作に連動するように設定すれば、スイッチ入力ばねを、作動レバーと別体に設けることも可能である。
【0073】
本実施形態のクロノグラフ規正レバーは、秒CG第二中間車206を規正しているが、クロノグラフ輪列のうちの他の歯車でもよい。ただし、クロノグラフ輪列は、クロノグラフモーターからの減速輪列であるため、規正トルクを小さくするためには、クロノグラフ車ローター204に近い歯車が好ましい。
また、クロノグラフ規正レバーは、復針伝達レバーと係合して規正し、作動レバーと係合して規正解除したが、スタート・ストップボタンの操作に連動する他の部材で規正解除し、リセットボタンの操作に連動する他の部材で規正することも可能である。
【0074】
また、本実施形態では、電子時計を例としてあげていたが、本発明では、ぜんまい駆動の機械式時計のクロノグラフ機構に採用してもよい。
【0075】
【発明の効果】
このような本発明によれば、クロノグラフ針の機械式帰零構造を少ない部品点数で実現できて、構造を簡易にでき、組み立て性も向上できるとともに、節度感があって、確実に操作できるとともに、誤動作を防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるクロノグラフ付時計の表外観図。
【図2】 本発明のムーブメントの全体要部斜視図。
【図3】 図2のクロノグラフ輪列の要部拡大斜視図。
【図4】 秒CG車、分CG車部断面図。
【図5】 帰零時の要部平面図。
【図6】 図5の主要構成部の斜視図。
【図7】 リセットボタン操作時の断面図。
【図8】 図7のボタン側からみた側面図。
【図9】 スタート・ストップ時の要部平面図。
【図10】 スタート・ストップボタン操作時の断面図。
【図11】 ボタン操作前の要部平面図。
【符号の説明】
1…基本時計時針、2…基本時計分針、3…基本時計秒針、4…ロノグラフ秒針、5…クロノグラフ分針、6…ケース、7…文字板、8…りゅうず、9…スタート・ストップボタン、10…リセットボタン、201…クロノグラフモーター、202…クロノグラフコイル、203…クロノグラフステーター、204…クロノグラフローター、205…秒CG第三中間車、206…秒CG第二中間車、207…秒CG第一中間車、208…秒CG車、209…秒CG歯車、210…秒ハートカム、211…秒CG車軸、212…スリップばね、213…スリップばね押さえ座、220…分CG車、221…分CG第一中間車、222…分CG第二中間車、223…分CG歯車、224…分ハートカム、225…分CG車軸、310…伝達レバー、320…復針伝達レバー、復針レバー…330、350…作動レバー、360…帰零押さえ、361…クリックばね(復針伝達レバー側)、362…クリックばね(作動レバー側)、400…地板、501…回路基板、502…スタート・ストップ入力パターン、600…回路押さえ、700…回路受け座、701…リセット端子。
Claims (10)
- クロノグラフ時間を表示するためのクロノグラフ針を保持し、かつ、ハートカムを有するクロノグラフ車と、
駆動源からの駆動力を前記クロノグラフ車に伝達するためのクロノグラフ輪列と、
前記ハートカムを圧接する帰零位置およびハートカムから離れた位置に移動可能な復針レバーと、
第1の外部操作部材と、
前記復針レバーが前記ハートカムに圧接している場合に、前記第1の外部操作部材の押し操作に連動して前記復針レバーを前記ハートカムから離れた位置に移動させるとともに、前記第1の外部操作部材の操作時以外は定位置に位置決めされる作動レバーと、
第2の外部操作部材と、
前記第2の外部操作部材の押し操作に連動し前記復針レバーを前記ハートカムに圧接する位置に規制する復針伝達レバーと、
前記作動レバーに係合する作動レバー用位置決め部材と、
前記復針伝達レバーに係合する復針伝達レバー用位置決め部材とを備え、
前記作動レバー用位置決め部材は、
前記第1の外部操作部材操作時の押圧力によって弾性変形可能な弾性部と、
前記第1の外部操作部材の操作時以外は前記弾性部の弾性力を利用して前記作動レバーを定位置に位置決めする規制部とを備え、
前記復針伝達レバー用位置決め部材は、
前記第1の外部操作部材の操作時の押圧力および前記第2の外部操作部材操作時の押圧力のいずれの押圧力によっても弾性変形可能な弾性部と、
前記弾性部の弾性力を利用して、前記復針レバーが、前記ハートカムから離れたときの位置とハートカムを圧接したときの位置に前記復針伝達レバーを位置決めする規制部と、
を備えていることを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項1に記載のクロノグラフ付時計において、
前記復針伝達レバーは、第1の復針伝達レバーおよび第2の復針伝達レバーで構成され、
各復針伝達レバーは、中間部に回動軸を備えて各端部が回動可能に配置されるとともに、一方の端部同士が互いに回動可能かつスライド移動可能に連結され、
前記第1の復針伝達レバーの他方の端部は、第2の外部操作部材に当接可能に配置され、
第2の復針伝達レバーの他方の他端は、復針レバーに当接可能に設けられていることを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項1または2に記載のクロノグラフ付時計において、
前記作動レバー用位置決め部材と、前記復針伝達レバー用位置決め部材とは、同じ部材の異なる位置に形成されていることを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のクロノグラフ付時計において、
前記復針レバーが前記ハートカムに圧接している場合に、前記作動レバーと連動する前記第1の外部操作部材を押して前記復針レバーを前記ハートカムから離すとクロノグラフ針がスタートし、
前記復針レバーが前記ハートカムから離れ、かつクロノグラフ針が作動している場合に、前記第1の外部操作部材を押すとクロノグラフ針がストップし、
前記復針レバーが前記ハートカムから離れ、かつクロノグラフ針がストップしている場合に、前記第1の外部操作部材を押すとクロノグラフ針がスタートし、
前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合に、前記第2の外部操作部材を押すとクロノグラフ針が帰零することを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項4に記載のクロノグラフ付時計において、
前記作動レバーは、前記第1の外部操作部材の押し操作により入力されるスイッチ入力ばねを備え、
前記スイッチ入力ばねの入力によって前記クロノグラフ針のスタートおよびストップ動作が制御されていることを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のクロノグラフ付時計において、
前記クロノグラフ車はハートカムを有する軸部と、他のクロノグラフ輪列と噛合するとともに前記軸部に対してスリップ係合した歯車部とから構成されることを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のクロノグラフ付時計において、
クロノグラフ車の帰零時に、クロノグラフ輪列の駆動源からクロノグラフ車までの間のいずれか一つの歯車を規正するクロノグラフ規正レバーを備えることを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項7記載のクロノグラフ付時計において、
前記クロノグラフ規正レバーは、前記復針伝達レバーと係合し、前記第2の外部操作部材の押し操作に連動して、前記クロノグラフ輪列の歯車の一つを押圧規正することを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項7および請求項8に記載のクロノグラフ付時計において、
前記クロノグラフ規正レバーは、前記作動レバーと係合し、前記第1の外部操作部材の押し操作と連動して、前記クロノグラフ輪列の規正を解除することを特徴とするクロノグラフ付時計。 - 請求項1〜請求項9のいずれかに記載のクロノグラフ付時計において、
前記復針レバーは、前記ハートカムに圧接可能な圧接部と、第1および第2の孔と、回動軸とを備え、
前記作動レバーは、前記第1の外部操作部材と当接する一端部と、前記復針レバーの第1の孔に係合する作動軸を有する他端部と、各端部間に設けられた回動軸と備え、
前記復針伝達レバーは、前記第2の外部操作部材と当接する一端部と、前記復針レバーの第2の孔に係合する軸部材と、各端部間に設けられた回動軸とを備え、
前記復針レバーの前記第1の孔は、前記復針レバーが前記ハートカムを押圧している場合には、前記作動レバーが第1の外部操作部材の押し操作に連動して回動した際に、前記作動軸が孔内面壁に当接して前記復針レバーを移動可能とし、かつ前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合には、前記作動レバーが第1の外部操作部材の押し操作に連動して回動した際に、前記作動軸が孔内面壁に当接せずに復針レバーに対して自由に移動可能な形状に形成され、
前記復針レバーの前記第2の孔は、前記復針レバーが前記ハートカムを圧接している場合には、前記復針レバーの回動に伴い、その孔の内面壁で前記復針伝達レバーの軸部材を押動し、かつ前記復針レバーが前記ハートカムから離れている場合には、前記復針伝達レバーの軸部材がその孔の内面壁に当接し、前記復針レバーの前記ハートカムに圧接する方向への移動を規制可能な形状に形成されていることを特徴とするクロノグラフ付時計。
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