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JP4239584B2 - 筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置 - Google Patents

筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置 Download PDF

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JP4239584B2
JP4239584B2 JP2002371635A JP2002371635A JP4239584B2 JP 4239584 B2 JP4239584 B2 JP 4239584B2 JP 2002371635 A JP2002371635 A JP 2002371635A JP 2002371635 A JP2002371635 A JP 2002371635A JP 4239584 B2 JP4239584 B2 JP 4239584B2
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  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転域を成層燃焼域と均質燃焼域に分割し、均質燃焼域では1回の点火を行い、成層燃焼域になると2回の連続点火を行うものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−2173号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、筒内直接噴射式火花点火エンジンでは、所定運転域でリーン空燃比での成層燃焼を行うのであるが、成層燃焼を行う所定運転域のうち隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件を異ならせたものが提案されている。
【0005】
このものにおける成層燃焼域での混合気の形成方法をエアガイド式について説明すると、成層燃焼域のうち隣り合う運転域を領域R1と領域R2とに区別する。例えば図3に示したように、成層燃焼域のうち低回転速度側を領域R1、高回転速度側を領域R2とする。各領域R1、R2での混合気形成方法は次の通りである。
【0006】
領域R1での混合気形成方法:燃料噴射量が少ないこの領域で安定した成層混合気を形成するために、シリンダヘッドと、上昇してきたピストン冠面のキャビティに囲まれた空間に、コンパクトに噴霧を収める(図12の左側参照)。また、元々ガス流動場は弱いこともあり、この力を用いて混合気形成を行うのではなく、噴射期間と噴霧の貫徹力により混合気を形成する。
【0007】
領域R2での混合気形成方法:この領域になると、燃料噴射量が多いため、噴射期間が長く設定される。そのとき、スモークや未燃燃料の発生を抑制する面から、燃料が冠面に付着するのを防ぐために噴射開始時期を領域R1の場合より早める必要があり、ピストン冠面の位置が、より下がった状態で混合気形成を行う(図12の右側参照)。その際、噴射期間と噴霧の貫徹力だけで混合気形成を行うのではなく、ガス流動を利用する。すなわち、吸気ポートに設けたガス流動制御弁を閉じることによってシリンダ内にガス流動(タンブル流)を生成し、燃焼室空間に噴射した噴霧を、その生成したガス流動を利用してまとめつつ点火プラグへと移送することで、安定した混合気形成を行う。
【0008】
このように、2つの領域R1、R2で混合気の形成方法が異なるため、隣り合う運転域でありながら成層燃焼の設定条件(ガス流動弁の作動状態、空燃比、EGR率、噴射時期、点火時期等)が大きく異なっている。このため、運転条件がその隣り合う運転域の境界を横切る際には、成層燃焼の設定条件を、領域R1に適合した値から領域R2に適合した値へと、あるいはその逆へと切換える必要がある。具体的には領域R1より領域R2へと移行させる際にはガス流動弁を開状態より閉状態へと、また領域R2より領域R1へと移行させる際にはガス流動弁を閉状態より開状態へと切換えなければならない。
【0009】
しかしながら、ガス流動弁の閉作動中や開作動中は燃焼状態が過渡的に変化するため、噴射時期と点火時期とで決まる安定燃焼領域を外れる可能性がある。これを図6を参照しながら説明すると、図6はガス流動制御弁(TCV)の作動状態の違いによる燃焼安定領域の差異を示している。ここで、横軸は噴射時期(右側が遅角側)、縦軸は点火時期(上側が進角側)であり、これらのバランスの上に燃焼安定領域が定まる。図示の4重丸のうち2重丸の部分のみが燃焼安定領域であり、その外側は燃焼不安定領域である。
【0010】
成層燃焼域である領域R1、R2では燃費向上のため空燃比はリーン状態にあり、このリーン状態で多く発生するNOxを低減するためEGR率を大きくしている。このため、領域R1、R2とも燃焼安定領域は狭く、領域R1での燃焼安定領域は右上に示すように、これに対して領域R2での燃焼安定領域は左上に示すようになる。両者を比較すると、左上のほうが2重丸の領域が少しだけ大きくなっているのでそれだけ燃焼安定領域が広い。また、左上の燃焼安定領域よりも右上の燃焼安定領域のほうが点火時期が進角側に偏っていることがわかる。
【0011】
さて、点火時期を変えなくとも2つの領域R1、R2で共に燃焼安定領域でいられる点火時期があるのか否かを調べるために引いたのが図示の2本の平行線で、上側の線より進角側(上側)にあれば領域R1では燃焼安定領域に入り、下側の線より遅角側(下側)であれば領域R2で燃焼安定領域に入る。ということは、2つの領域R1、R2で共に燃焼安定領域でいられる点火時期はない。従って、燃焼安定を保ちつつかつ点火時期を変更することなく右上に示す状態(領域R1での成層燃焼状態)より左上に示す状態(領域R2での成層燃焼状態)へと、あるいはこの逆へと移すことはできない。従って、領域R1より領域R2へのあるいはその逆への移行途中において成層燃焼を持続させようとした場合、燃焼安定度を確保するために成層燃焼の設定値を甘く設定せざるを得ない。すなわち、図6の場合で再度説明すると、右上、左上に対して空燃比をリッチ化すると共にEGR率を小さくすれば、右下、左下に示したように燃焼安定領域が拡大する。これら右下、左下の2つの状態で、点火時期を変えることなく共に燃焼安定領域でいられる点火時期があるのか否かを調べるために図示の2本の平行線を引いてみると、今度は上の直線と下の直線の間の点火時期であれば、右下、左下の2つの状態で共に燃焼安定領域でいられることになる。このことは、成層燃焼の設定条件を甘くして、右下と左下の状態が得られるようにしておけば、右下と左下の間では点火時期(噴射時期についても)を一定に保った状態でTCVを開状態から閉状態へあるいはこの逆に閉状態から開状態へと切換えても燃焼安定領域を外れることがないことを意味する。
【0012】
しかしながら、右下、左下の状態で燃焼安定領域が大きくなっているのは、空燃比をリッチ化すると共にEGR率を小さくすることによって燃焼ガスが高温化しているからであり、この燃焼ガスの高温化によってNOx排出量が増大する。同図には等NOx排出量線を書き入れており、その線幅が太くなるほどNOx排出量が増大することを表している。右下、左下の状態では右上、左上の状態より燃焼安定領域を横切る、等NOx排出量線の線幅が太く、NOx排出量が増大していることがわかる。
【0013】
このように、成層燃焼域のうち成層燃焼の設定条件が異なる隣り合う運転域の境界を横切る際にも成層燃焼を持続させようとして、成層燃焼の設定値を甘く設定したのでは、NOx排出量が多くなり、排気を悪化させてしまうのである。
【0014】
そこで本発明は、成層燃焼のうち成層燃焼の設定条件である点火時期が少なくとも異なる隣り合う運転域の境界を横切る際に、どちらに要求される点火時期にも点火を行うことにより、成層燃焼の設定条件が異なる隣り合う運転域の境界を横切る際にも、成層燃焼を安定して持続させることを目的とする。
【0015】
一方、上記の従来装置において成層燃焼域で2回の多重点火を行うのは、成層燃焼の設定条件が同一の運転域において着火の機会を増やすためである。すなわち、成層燃焼では燃焼室空間に噴射した噴霧をガス流動を利用してまとめつつ混合気塊にして点火プラグに輸送するようにしているので、混合気塊が点火プラグ付近に存在するときに点火を行う必要があり、着火の機会を逃さないように2回の多重点火を行っている。これに対して本発明は、成層燃焼の設定条件が異なる隣り合う運転域の境界を横切る際に、一方の運転域で最適に設定した点火時期と他方の運転域で最適に設定した点火時期との2回の連続点火を行うものであり、上記の従来装置とは技術的思想が異なる。
【0016】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、所定運転域でリーン空燃比での成層燃焼を行う筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、成層燃焼を行う所定運転域のうち隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件である点火時期が少なくとも異なる場合に、あるいは、隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件であるガス流動状態と点火時期とが少なくとも異なる場合に、その隣り合う運転域の境界を横切る際に、どちらに要求される点火時期にも点火を行う2回点火実行手段を備える。
【0017】
【発明の効果】
成層燃焼域のうち隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件が異なる場合に、その隣り合う運転域の境界を横切る際には、燃焼状態が過渡的に変化するため、噴射時期と点火時期とで決まる安定燃焼領域を外れる可能性があるのであるが、本発明ではその隣り合う運転域の境界を横切る際に、どちらに要求される点火時期にも点火を行うので、いずれかの点火時期がそのときの燃焼形態に最適なものとなり、燃焼形態が違う隣り合う運転域を繋げることが可能となる。これにより、運転の連続性を確保しつつ、低燃費、低排気(NOx)の燃焼状態を維持することができる。
【0018】
また、長放電化等で点火エネルギを高める手段を用いなくても、必要最小限の点火エネルギの投入で連続運転が可能となるので、コストアップとならない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は筒内直接噴射式火花点火エンジンの概略構成図である。
【0021】
図1に示すように、シリンダヘッド2と、シリンダブロック3に形成されるシリンダ4と、このシリンダ4を摺動するピストン5との間に燃焼室6が画成される。点火プラグ7が燃焼室中央部に臨み、ペントルーフ型に傾斜する燃焼室天井壁には2本の吸気ポート8a、8bと2本の排気ポート9a、9bが点火プラグ7を挟むようにして互いに対向して設けられる。10a、10bは吸気ポート8a、8bの燃焼室6への開口部を開閉するための吸気弁、11a、11bは排気ポート9a、9bの燃焼室6への開口部を開閉するための排気弁、13は吸気ポート8a、8bの途中にあって閉じられたとき吸気を絞る、ガス流動制御弁としてのタンブルコントロールバルブ(以下単に「TCV」という。)である。
【0022】
燃焼室6天井壁にはその側部から燃焼室6に臨む燃料噴射弁12が設けられる。燃料噴射弁12は各吸気弁10a、10bの側方で、かつ各吸気ポート8a、8bの間に位置して燃焼室6に臨んでいる。
【0023】
当該エンジンでは図3に示す低中回転速度域かつ低負荷域である領域R1及びR2で成層燃焼運転を行うが、この成層燃焼域(R1、R2)においては、燃焼室6内のガス流動を利用して燃料噴射弁12より燃焼室6内に直接噴射された燃料の噴霧をまとめつつ点火プラグ7近傍へと導き、この過程で混合気の塊となったものに対して着火している。燃料噴射弁12より噴射された燃料を混合気の塊状態にして点火プラグ7に誘導する方法は、エアガイド式といわれるものである。
【0024】
エアガイド式による混合気の形成方法を図2を参照しながら具体的に説明すると、同図は左側より右側に向けて時間的経過を表している。
【0025】
TCV開時:
図3に示す領域R1ではもともとガス流動場は弱いこともあり、このガス流動を用いて混合気を形成することは困難であるので、噴霧の貫徹力により混合気を形成する。すなわち、上死点に近づくにつれて形成される、シリンダヘッド2とピストンキャビティ5aに挟まれた空間内に燃料を噴射するため、噴射時期は遅角側に設定している(圧縮行程噴射)。この狭い空間に噴射された噴霧は噴霧の貫徹力だけで混合気を形成しつつ点火プラグ7へと到達する(図2上段参照)。
【0026】
TCV閉時:
図3に示す領域R2になるとガス流動を利用できる。すなわち、TCV13を閉じると各吸気ポート8a、8bの上側半分からのみ吸気が流入することになって吸気の流速が早まり、ピストン5の冠部上でシリンダ4中心線と直交する軸を中心に旋回するタンブルが十分な強さで生起する(図2下段最左端の矢印参照)。このタンブルを助長するようにキャビティ5aは浅皿状に形成されている。このため、燃料噴射弁12から噴射される燃料噴霧は、燃料噴射弁12の中心線を中心とする円錐状に拡がる。上記のタンブルによって燃料噴射弁21より噴射された燃料噴霧は、点火プラグ7のある方向に導かれ、その過程で着火可能な混合気塊を形成する。そして、この点火プラグ7近傍に達したこの混合気塊に対して点火を行うことで、安定した成層燃焼運転が可能になる。
【0027】
この場合、領域R2では領域R1より燃料噴射量が多くなりその分だけ噴射期間が長くなる。その際、燃料が冠面に付着するとスモークや未燃燃料の発生の原因となるのでこれを防ぐために噴射開始時期を領域R1より進角側に設定し(圧縮行程噴射)、ピストン冠面の位置が、より下がった状態で混合気形成を行う。点火時期についても同様に領域R1より進角側への設定となる。
【0028】
このように、成層燃焼域のうち隣り合う2つの領域R1とR2とでは、混合気の形成方法が異なるため、隣り合う運転域でありながら成層燃焼の設定条件(TCV13の作動状態、空燃比、EGR率、噴射時期、点火時期等)が大きく異なっている。
【0029】
これに対して、図3に示す領域R3、R4(均質燃焼域)になると、TCV13を開いた状態でも燃焼室6内に強いタンブルが発生するため、TCV13を開いた状態とし、燃焼室6内にタンブルを作りながら吸気行程で燃料を噴射することにより、燃焼室6全体に理論空燃比付近の均質な混合気を生成し、これによって均質燃焼運転を行う。
【0030】
ここで、均質燃焼域での目標空燃比は基本的に理論空燃比(14.7)である。これは理論空燃比付近の混合気の燃焼のとき、排気中のNOx、HC、COを排気通路21に設けた三元触媒(後述するNOxトラップ触媒31に付加されている)で同時に浄化できるためである。
【0031】
一方、成層燃焼域での目標空燃比は14.7より大きな値であり、このリーンな空燃比のとき多く排出されるNOxを低減するためEGR(排気還流)を行う。なお、図3では領域R3においてもEGRを行っている。成層燃焼域でのEGRがNOx低減を主目的とするものであるのに対して、領域R3でのEGRは燃費向上を主目的とするものである。
【0032】
なお、図3において「λ」は空気過剰率を表す。この空気過剰率λと空燃比との間には次の関係がある。
【0033】
空気過剰率λ=空燃比/理論空燃比…(1)
例えば領域R3では目標空燃比が理論空燃比であるので、これを(1)式に代入するとλ=1となる。また、領域R4では目標空燃比が理論空燃比または理論空燃比よりもリッチ側の値、つまり14.7以下の値であるから、これを(1)式に代入するとλ≦1となる。
【0034】
図4は筒内直接噴射式火花点火エンジンの制御システム図である。
【0035】
エンジンには、2回の点火(多重点火)が可能な点火装置を備える。点火装置は、バッテリからの電気エネルギーを蓄える点火コイル22と、パワートランジスタと、燃焼室6の天井に設けられた点火プラグ7とからなり、エンジンコントローラ41より1回点火を指令する点火信号がパワートランジスタに送られ、点火コイル22の一次電流が遮断されたとき(点火時期)、点火コイル22の二次側に高電圧が発生し、この高電圧を受けて、点火プラグ7が火花放電を行う。また、エンジンコントローラ41より2回点火を指令する点火信号がパワートランジスタに送られると、点火プラグ7は2回の火花放電を行う。
【0036】
なお、図4では最下段に位置する気筒のみの点火装置を記載しているが、残りの気筒も同様であるため、記載を省略している。また、2回の点火が可能な点火装置の具体的構成は公知であるので省略する(特開平11−2173号公報参照)。
【0037】
エンジンにはまたEGR装置としてのEGR弁26を備える。EGR弁26は排気通路23と吸気通路24を連通するEGR通路25に介装され、EGR弁アクチュエータ27により駆動されるもので、EGR弁26が所定のEGR領域で開かれると、排気の一部が不活性ガスとして吸気通路24に導かれ、この不活性ガスにより成層燃焼域(領域R1、R2)では燃焼ガス温度が低下してNOxの発生が抑えられ、またこの不活性ガスにより均質燃焼域(領域R3)ではポンピングロスが低下してそのぶん燃費が向上する。
【0038】
EGR通路25の分岐口より下流の排気通路23にはNOxトラップ触媒31を備える。NOxトラップ触媒31は、流入する排気の空燃比がリーンであるとき排気中のNOxをトラップし、流入する排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比であるとき、トラップしていたNOxを脱離すると共に、この脱離したNOxを排気中のHC、COを還元剤として用いて還元浄化する。このNOxトラップ触媒31には三元触媒機能が付加されている。NOxトラップ触媒31と別体で三元触媒を設けてもかまわない。
【0039】
アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)に応じたエンジントルクが発生するようにするため、また成層燃焼域と均質燃焼域との切換時にトルク段差を生じさせないようにするために吸気通路24にスロットル弁28とこれを駆動するスロットルアクチュエータ29とからなる電子制御式スロットル装置が設けられている。
【0040】
アクセルセンサ42からのアクセル開度(エンジン負荷相当)の信号、クランク角センサ43からの基準位置の信号(点火時期や燃料噴射時期を制御するための信号となる)やクランク角1°毎の信号、エアフローメータ44からの信号等が入力されるエンジンコントローラ41では、運転条件に応じ
▲1▼燃料噴射弁12を介しての燃料噴射量と燃料噴射時期の制御、
▲2▼点火プラグ7を介しての点火時期の制御、
▲3▼EGR弁26を介してのEGR弁開度(EGR率)の制御、
▲4▼スロットル弁28を介してのスロットル弁開度の制御、
▲5▼NOxトラップ触媒31の再生処理
をそれぞれ行うと共に、TCV13の開閉を制御する。
【0041】
上記▲1▼の燃料噴射制御については次の通りである。図3に示す成層燃焼域(R1とR2)、均質燃焼域(R3とR4)の各領域毎に最適な目標当量比Tfbyaを演算し、この目標当量比Tfbyaが得られるように燃料噴射量を演算し、この燃料噴射量を燃料噴射弁12の開弁期間に変換し、この開弁期間を含んだパルス信号を燃料噴射弁12の駆動回路(図示せず)に出力する。これに伴って、駆動回路からパルス信号に対応する駆動電流が燃料噴射弁12のアクチュエータに送られ、燃料噴射弁12のニードルがリフトして噴孔を開弁する。燃料噴射パルス幅が長いほど燃料噴射弁12の開弁期間が長くなり、燃料噴射量が増えるようになっている。このように、実際の制御上においては空燃比でなく当量比を使っている。この当量比と空燃比との間には後述する(2)式の関係がある。
【0042】
また、成層燃焼域で燃料噴射時期をピストン5が上昇する圧縮行程の後半に設定し、均質燃焼域で燃料噴射時期をピストン5が下降する吸気行程に設定する。
【0043】
上記▲2▼、▲3▼、▲4▼の制御については次の通りである。アクセル開度とエンジン回転速度に基づいて点火時期を演算する。アクセル開度とエンジン回転速度に基づいて目標EGR率を演算し、この目標EGR率が得られるようにEGR弁開度を演算する。アクセル開度とエンジン回転速度に基づいて目標トルクを演算し、この目標トルクに基づいて目標空気量を演算し、この目標空気量が得られるようにスロットル弁開度を演算する。
【0044】
上記▲5▼の再生処理については次の通りである。NOxとラップ触媒31にトラップされたNOx量がある程度溜まったタイミングで成層燃焼域にあっても空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比へと一時的に切換え、これにより定期的にNOxトラップ触媒31を再生する。
【0045】
このように上記▲1▼〜▲5▼の各制御を行うものを前提として、本実施形態ではさらに、図3に示す成層燃焼域のうち隣り合う運転域R1、R2の境界を横切る際に、一方の運転域R1で最適に設定した点火時期と他方の運転域R2で最適に設定した点火時期との2回の点火を行う。
【0046】
これを図5を参照しながら説明すると、図5において左半分は領域R1より領域R2への移行時に、また右半分はこの逆への移行時にTCV13の作動状態、空燃比A/F、EGR率、噴射時期IT、点火時期Advがそれぞれどのように変化するのかを示した波形図である。なお、噴射時期ITと点火時期Advとは上側が進角側である。
【0047】
この場合、図5右半分に示す一連の操作は、図5左半分に示す一連の操作のちょうど逆を行うものであり、従って、図5左半分での一連の操作のみを説明する。
【0048】
図5左半分において図示のように各タイミングにt1、t2を割り振り、t1のタイミングで運転条件が領域R1より領域R2へと移行し、t2のタイミングで領域移行時の制御を終了するものとする。
【0049】
〈1〉空燃比:領域R1より領域R2へと移行するt1のタイミングより空燃比A/Fを領域R1での適合値から領域R2での適合値になるまで徐々に小さくする。空燃比A/Fを所定の傾きで変化させているのは、領域移行時のトルク変動を防止するためである。
【0050】
〈2〉TCV13の作動状態とEGR率:t1のタイミングでTCV13を閉じると共に、EGR率を領域R2での適合値に切換える。TCV13はTCVアクチュエータへの通電に対して所定の傾きをもって閉じている。この傾きはTCVアクチュエータの変化速度で決まる。また、目標EGR率がt1のタイミングで領域R1での適合値から領域R2での適合値へとステップ的に変化するのに対して、実際のEGR率(図5左半分第3段目に示す実線は実際のEGR率の動きである)は所定の傾きをもって小さくなっているが、この傾きもEGR弁アクチュエータ27の変化速度で決まっている。
【0051】
この場合、実際にはTCV13の閉じる速度や実EGR率の変化速度は同じでないので、TCV13が全閉位置に落ち着くタイミング、実EGR率が領域R2での適合値に到達するタイミングは同じでない。また、これらのタイミングは空燃比が領域R2での適合値に到達するタイミングとも異なる。しかしながら、図5では簡単のため3つのタイミングを一致させて、つまりt2のタイミングでTCV13が全閉位置に落ち着き、空燃比A/Fが領域R2での適合値に到達し、、実EGR率が領域R2での適合値に到達するものとしている。
【0052】
〈3〉噴射時期:t1のタイミングより噴射時期を領域R1での適合値から領域R2での適合値になるまで徐々に進角する。噴射時期が領域R2での適合値に到達するタイミングも、簡単のため他の3つのタイミングと一致させて示している。
【0053】
〈4〉点火時期:t1よりt2までの間、つまり領域移行中、領域R1での適合値と領域R2での適合値の2つの点火時期とする。
【0054】
このように本実施形態では、領域R1より領域R2へと移行させる際に、領域移行中、領域R1での点火時期の適合値と領域R2での点火時期の適合値との2つの点火時期で点火するのであるが、比較のため本実施形態とは異なる方法を図6を参照しながら説明する。
【0055】
図6はTCV13の作動状態の違いによる燃焼安定領域の差異を示す。ここで、横軸は噴射時期IT(右側が遅角側)、縦軸は点火時期Adv(上側が進角側)であり、これらのバランスの上に燃焼安定領域が定まっている。図示の4重丸のうち2重丸の部分のみが燃焼安定領域であり、その外側は燃焼不安定領域である。
【0056】
領域R1、R2では燃費向上のため空燃比はリーン状態にあり、このリーン状態で多く発生するNOxを低減するためEGR率を大きくしている。このため、領域R1、R2とも燃焼安定領域は狭く、領域R1での燃焼安定領域は右上に示すように、これに対して領域R2での燃焼安定領域は左上に示すようになる。両者を比較すると、左上のほうが2重丸の領域が少しだけ大きくなっているのでそれだけ燃焼安定領域が広いことを示す。また、左上の燃焼安定領域よりも右上の燃焼安定領域のほうが点火時期が進角側に偏っていることがわかる。
【0057】
このように隣り合う運転域(領域R1とR2)で要求される点火時期が異なるのは、TCV13の開状態と閉状態とでガス流動の強さが大きく変化することにより、成層混合気の移送力が変わり、成層混合気が点火プラグ7に到着するタイミングが異なってくるからである。
【0058】
さて、この2つの領域R1、R2で共に点火時期を変えずに燃焼安定領域でいられる点火時期があるのか否かを調べるために引いたのが図示の2本の平行線である。上側の線より進角側にあれば領域R1では燃焼安定領域に入り、下側の線より遅角側であれば領域R2で燃焼安定領域に入る。ということは、2つの領域R1、R2で共に点火時期を変えずに燃焼安定領域でいられる点火時期はなく、従って燃焼を安定に保ちつつ、かつ点火時期を変更することなく右上に示す状態より左上に示す状態へと、この逆に左上の状態より右上の状態へと移すことはできない。これを逆にいうと、点火時期と噴射時期を同一に保ちつつ燃焼安定領域の一部が重なるようにしてやれば、点火時期と噴射時期を変えることなく燃焼を安定に保ちつつ右上より左上へと、この逆に左上より右上へと状態を移すことができる。
【0059】
このため、右下に示す状態と左下に示す状態とを追加する。右下は右上に示す状態に対して、左下は左上に示す状態に対して空燃比をリッチ化すると共にEGR率を小さくしたものである。これらの操作の結果、燃焼安定領域が右下、左下の状態とも大きくなっている。従って、これら右下、左下の2つの状態で共に点火時期を変えることなく燃焼安定領域でいられる点火時期があるのか否かを調べるために図示の2本の平行線を引いてみると、今度は上の直線と下の直線の間の点火時期であれば、右下、左下の2つの状態で共に燃焼安定領域でいられる。このことは、右下と左下の間では点火時期Advと噴射時期ITを一定に保った状態でTCV13を開状態から閉状態へ、あるいはこの逆に閉状態から開状態へと切換えても燃焼安定領域を外れることがないことを意味する。
【0060】
これより、TCV13が開状態にある右上の状態よりTCV13が閉状態にある左上の状態へと、あるいはこの逆へと燃焼安定領域を外れることなく移すには、右下、左下の状態を途中に加えればよいこと分かる。すなわち、TCV13が開状態にある右上の状態よりTCV13は開状態のまま空燃比のリッチ化とEGR率の減少化とを行って右下の状態に移し、この状態でTCV13を開状態より閉状態へと切換えて左下の状態に移し、再び空燃比を領域2での適合値へとリーン化すると共にEGR率を領域2での適合値へと大きくしてやれば左上の状態に移る。また、TCV13が閉状態にある左上の状態よりTCV13は閉状態のまま空燃比のリッチ化とEGR率の減少化を行って左下の状態に移し、この状態でTCV13を閉より開へと切換えて右下の状態に移し、再び空燃比を領域R1での適合値へとリーン化すると共にEGR率を領域R1での適合値へと大きくしてやれば右上の状態に移る。
【0061】
しかしながら、このように領域移行途中に空燃比をリッチ化すると共にEGR率を小さくする操作を挟む方法において、右下、左下の状態で燃焼安定領域が大きくなっているのは燃焼ガスが高温化しているからであり、この燃焼ガスの高温化によってNOx排出量が増大する。同図には等NOx排出量線を書き入れており、その線幅が太くなるほどNOx排出量が増大することを表している。右下、左下の状態では右上、左上の状態より燃焼安定領域を横切る、等NOx排出量線の線幅が太く、NOx排出量が増大していることがわかる。
【0062】
これに対して本実施形態による領域移行方法によれば、TCV13の作動状態によらず、TCV13の開状態に適した点火時期とTCV13の閉状態に適した点火時期の2つでそれぞれ点火することで、燃焼安定領域が、図6に示す右上、左上のどちらの状態になっても、安定して成層燃焼を維持させることができる。
【0063】
エンジンコントローラ41で実行される領域移行時の制御をフローチャートに基づいて詳述する。ただし、領域R1より領域R2への移行時についてだけ説明する。
【0064】
図7は領域移行中フラグを設定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0065】
ステップ1では運転条件(エンジンの回転速度と負荷とから定まる)が成層燃焼域(図3に示す領域R1とR2)にあるかどうかみる。成層燃焼域になければそのまま今回の処理を終了する。
【0066】
成層燃焼域にあるときにはステップ2に進み領域移行切換中フラグ(ゼロに初期設定)をみる。ここでは領域移行中フラグ=0であるとして述べると、このとき、ステップ3、4に進んで今回に運転条件が領域R2にあるか否か、また前回は運転条件が領域R1にあったか否かをみる。今回に運転条件が領域R2にありかつ前回に運転条件が領域R1にあったとき、つまり領域R1より領域R2に移行した直後であるときにはステップ5に進み領域移行中フラグ=1とする。この領域移行中フラグは領域R1より領域R2への移行時に1となり、後述するように領域移行制御を終了するときにゼロとなるフラグである。
【0067】
今回に運転条件が領域R2にないときや、今回、前回とも領域R2にあるときにはそのまま今回の処理を終了する。
【0068】
図8は目標当量比Tfbyaを演算するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0069】
なお、図6では空燃比で説明したが、実際の制御上では当量比を使っている。この当量比と空燃比との間には次の関係がある。
【0070】
当量比=14.7/空燃比…(2)
(2)式より空燃比が理論空燃比(14.7)のとき当量比は1.0となる。空燃比が理論空燃比よりリッチ側の値であるときには当量比は1.0を超える値に、この逆に空燃比が理論空燃比よりリーン側の値であるときには当量比は1.0未満の値になる。
【0071】
ステップ11では運転条件に基づいて目標当量比の基本値Tfbya0を演算する。例えば、均質燃焼域と成層燃焼域とに分けて別々に目標当量比基本値のマップを備えさせ、運転条件がいずれの燃焼域にあるのかを判定した後、そのときのエンジンの回転速度と負荷とからその判定した燃焼域のマップを検索することにより目標当量比基本値Tfbya0を求めればよい。
【0072】
ステップ12、13では今回に領域移行中フラグ=1であるか否か、また前回に領域移行中フラグ=0であったか否かをみる。今回に領域移行中フラグ=0であるときにはステップ14に進み基本値Tfbya0をそのまま目標当量比Tfbyaに入れる。
【0073】
今回に領域移行中フラグ=1でありかつ前回に領域移行中フラグ=0であったとき、つまり領域移行中フラグがゼロより1へと切換わった直後(運転条件が領域R1より領域R2に移行した直後)であるときにはステップ15に進み基本値Tfbya0を領域移行中の目標当量比の前回値を表す「TfbyaTR(前回)」に入れ、ステップ16で、
TfbyaTR=TfbyaTR(前回)+Δ1…(3)
ただし、Δ1:正の所定値(例えば一定値)、
の式により領域移行中の目標当量比TfbyaTRを演算する。
【0074】
ステップ17ではこの領域移行中の目標当量比TfbyaTRと目標当量比基本値Tfbya0を比較する。領域移行中フラグがゼロより1へと切換わった直後つまり運転条件が領域R1より領域R2に移行した直後であれば、今回の目標当量比基本値Tfbya0は領域R2での適合値であり、前回のTfbya0は領域R1での適合値であったのであるから、今回にTfbya0は領域R2での適合値へとステップ的に大きくなっている。これに対して、領域移行中の目標当量比TfbyaTRは領域R1での適合値より領域R2での適合値に向けて徐々に大きくなる値であるから、運転条件が領域R1より領域R2に移行した直後では領域移行中の目標当量比TfbyaTRはステップ的に変化するTfbya0より小さく、従ってステップ18に進んで領域移行中の目標当量比TfbyaTRの値を目標当量比Tfbyaとする。
【0075】
一方、今回、前回とも領域移行中フラグ=1であるときにはステップ12、13よりステップ15を飛ばしてステップ16の操作を実行し、領域移行中の目標当量比TfbyaTRが基本値Tfbya0より小さいとステップ18の操作を行う。
【0076】
上記(3)式は運転条件が領域R1よりR2に移行したタイミングだけでなく、このように領域R2になってからも繰り返し行われるのであり、領域移行中の目標当量比TfbyaTRを演算周期当たりΔ1ずつ漸増させる式である。これは図5左半分の第2段目のt1よりt2直前までの操作を行うものである。これによって空燃比は領域R2での適合値へと向かう。
【0077】
この領域移行中の目標当量比TfbyaTRの漸増によりやがて領域移行中の目標当量比TfbyaTRが基本値Tfbya0以上になると、領域移行時の制御を終了するためステップ17よりステップ19に進み領域移行中フラグ=0として次回の領域移行時に備えると共に、ステップ20で基本値Tfbya0を目標当量比Tfbyaとする。
【0078】
このようにして演算される目標当量比TFBYAは、図示しない燃料噴射パルス幅Tiの演算フローにおいて用いられ、例えば
Ti=Tp×Tfbya×(α+αm−1)×2+Ts…(4)
ただし、Tp:基本噴射パルス幅、
α:空燃比フィードバック補正係数、
αm:空燃比学習値、
Ts:無効パルス幅、
の式によりシーケンシャル噴射時の燃料噴射パルス幅Tiが演算される。
【0079】
図9はTCV13を開閉駆動するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0080】
ステップ31では運転条件が成層燃焼域にあるか否かをみる。運転条件が成層燃焼域にあればステップ32に進んで運転条件が領域R1、R2のいずれにあるのかをみる。運転条件が領域R1にあるときにはステップ33に進んでTCV13を開き、運転条件が領域R2にあるときにはステップ34に進んでTCV13を閉じる。また、成層燃焼域にないときにもステップ31よりステップ33に進んでTCV13を開く。
【0081】
図10は噴射時期を設定するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0082】
ステップ41では噴射時期基本値IT0を演算する。成層燃焼域ではIT0は圧縮行程における所定のクランク角位置である。IT0は簡単には一定値でよい。
【0083】
ステップ42、43では今回に領域移行中フラグ=1であるか否か、また前回に領域移行中フラグ=0であったか否かをみる。今回に領域移行中フラグ=0であるときにはステップ44に進み基本値IT0をそのまま噴射時期ITに入れる。
【0084】
今回に領域移行中フラグ=1でありかつ前回に領域移行中フラグ=0であったとき、つまり領域移行中フラグがゼロより1へと切換わった直後(運転条件が領域R1より領域R2に移行した直後)であるときにはステップ45に進み基本値IT0を領域移行中の噴射時期の前回値を表す「IT(前回)」に入れ、ステップ46で、
ITTR=ITTR(前回)+Δ2…(5)
ただし、Δ2:正の所定値(例えば一定値)、
の式により領域移行中の噴射時期ITTRを演算し、これをステップ47で噴射時期ITに移す。
【0085】
一方、今回、前回とも領域移行中フラグ=1であるときにはステップ42、43よりステップ45を飛ばしてステップ46、47の操作を実行する。
【0086】
上記(5)式は運転条件が領域R1よりR2に移行したタイミングだけでなく、このように領域R2になってからも繰り返し行われるのであり、領域移行中の噴射時期ITTRを演算周期当たりΔ2ずつ漸増させる式である。これは図5左半分の第4段目のt1よりt2直前までの操作を行うものである。これによって噴射時期ITは領域R2での適合値へと向かう。
【0087】
図11は点火時期を演算するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0088】
ステップ41ではそのときの運転条件が成層燃焼域にあるか否かみる。成層燃焼域でなければ、ステップ42に進みそのときの運転条件に基づいて点火時期の基本値ADV0を演算する。例えば、点火時期基本値マップを備えさせ、そのときのエンジンの回転速度と負荷とからその点火時期基本値マップを検索することにより点火時期基本値ADV0を求めればよい。
【0089】
ステップ43ではこの基本値ADV0を1回目の点火時期ADV1[°BTDC]に移すと共に、2回目の点火時期ADV2[°BTDC]にゼロを入れる。ADV2=0は2回目の点火は行わないことを表す。
【0090】
運転条件が成層燃焼域にあるときにはステップ41よりステップ44に進んで領域R2であるか否かみる。領域R1であればステップ45に進み、そのときの運転条件に基づいて領域R1で安定燃焼の得られる点火時期Aを演算する。すなわち、点火時期Aは、図6右上に示したように領域R1における燃焼安定領域内に設定される点火時期である。
【0091】
領域R1内で運転条件が変化すればそれに応じて領域R1における燃焼安定領域も移動するので、例えば点火時期マップ1を備えさせ、そのときのエンジンの回転速度と負荷とからその点火時期マップ1を検索することにより点火時期Aを求めればよい。
【0092】
ステップ46ではこのようにして得た点火時期Aを1回目の点火時期ADV1に移し、2回目の点火時期ADV2にはゼロを入れる。ステップ47ではステップ45で得ている領域R1での点火時期Aをメモリに移して保存する。
【0093】
領域R1にある間ステップ45〜47の操作が繰り返され、メモリに点火時期Aの最新の値だけが保存される。このため、運転条件が領域R1より領域R2に移行したときには現在の運転条件がある領域R2に近接する領域R1での点火時期がメモリに格納されている。
【0094】
運転条件が領域R2であるときにはステップ44よりステップ48に進み、そのときの運転条件に基づいて領域R2で安定燃焼の得られる点火時期Bを演算する。すなわち、点火時期Bは、図6左上に示したように領域R2における燃焼安定領域内に設定される点火時期である。
【0095】
領域R2内で運転条件が変化すればそれに応じて領域R2における燃焼安定領域も移動するので、例えば点火時期マップ2を備えさせ、そのときのエンジンの回転速度と負荷とからその点火時期マップ2を検索することにより点火時期Bを求めればよい。
【0096】
ステップ49では領域移行中フラグをみる。領域移行中フラグ=0であるときにはステップ50に進み、ステップ48で得ている点火時期Bを1回目の点火時期ADV1に移すと共に、2回目の点火時期ADV2にゼロを入れる。
【0097】
一方、領域移行中フラグ=1であるときにはステップ49よりステップ51に進み、ステップ47で格納されているメモリ値(領域R2に移る直前の領域R1での点火時期A)を1回目の点火時期ADV1に移すと共に、ステップ48で得ている点火時期Bを2回目の点火時期ADV2に移す。
【0098】
このようにして演算される1回目の点火時期ADV1と2回目の点火時期ADV2との2つの点火時期は、図示しない点火時期制御のフローにおいて用いられ、実際のクランク角がこの点火時期ADV1、ADV2と一致したタイミングで点火コイル22の一次側回路が遮断され、これによって点火プラグ7に火花が飛ぶ。
【0099】
ここで、本実施形態の作用を説明する。
【0100】
成層燃焼域のうち隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件が異なることがある。例えば、図3に示す領域R1とR2とではTCV13の作動状態、EGR率、空燃比、噴射時期、点火時期が異なっている。この場合に、TCV13を開いている領域R1、TCV13を閉じている領域R2とも、ある範囲の燃焼安定領域を残して最大のEGR率としており、従って領域R1とR2とで燃焼安定領域は重なっていない(図6右上、左上参照)。
【0101】
この場合に例えば領域R1よりR2へと移行させるには、TCV13の作動を開状態より閉状態へと切り換えるだけなく、同時に、少なくとも点火時期を領域R2での適合値へと変更する必要がある。
【0102】
しかしながら、燃焼状態に大きく影響するTCV13の作動状態と点火時期とを同時に変化させるのでは、燃焼状態が過渡的に大きく変化することが考えられ、噴射時期と点火時期とで決まる安定燃焼領域を外れる可能性がある。
【0103】
これに対して本実施形態(請求項2に記載の発明)では、TCV13が開状態にある領域R1よりTCV13が閉状態にある領域R2へと移行させる際に、領域移行前に安定した成層燃焼を得るために最適であった点火時期Aと、領域移行後に安定した成層燃焼を得るために最適となる点火時期Bとの2つのタイミングでそれぞれ点火し、また、TCV13が閉状態にある領域R2よりTCV13が開状態にある領域R1へと移行させる際に、領域移行前に安定した成層燃焼を得るために最適であった点火時期Bと、領域移行後に安定した成層燃焼を得るために最適となる点火時期Aとの2つのタイミングでそれぞれ点火する。すなわち、TCV13の作動状態によらず、TCV13の開状態に適した点火時期AとTCV13の閉状態に適した点火時期Bの2つでそれぞれ点火することで、燃焼安定領域が、図6に示す右上、左上のどちらの状態になっても、安定して成層燃焼を行わせることができる。
【0104】
このように、本実施形態(請求項2に記載の発明)によれば、成層燃焼域のうち成層燃焼の設定条件であるTCV13の作動状態と点火時期とが少なくとも異なる隣り合う運転域R1、R2の境界を横切る際にも、燃焼形態が異なる隣り合う運転域を繋げることが可能となり、これにより、運転の連続性を確保しつつ、低燃費、低排気(NOx)の燃焼状態を維持することができる。
【0105】
また、長放電化等で点火エネルギを高める手段を用いなくても、必要最小限の点火エネルギの投入で連続運転が可能となるので、コストアップとならない。
【0106】
実施形態では、2回点火実行手段が、エンジンコントローラ41と多重点火装置11とで構成される場合で説明したが、多重点火装置に代えて、2つの点火プラグを少し位置をずらせて設けた多点点火装置を備える場合でもかまわない。
【0107】
2回の点火を実行する方法は実施形態のものに限定されない。例えば、エンジンの回転速度と負荷をパラメータとし点火時期AとBをカップルにして割り付けたマップを作成しておき、領域移行中にこのマップを検索することにより点火時期AとBを求め、1回目の点火時期ADV1に点火時期Aを、2回目の点火時期ADV2に点火時期Bを入れるようにしてもかまわない。
【0108】
請求項1に記載の2回点火実行手段の機能は図11のフローのうちステップ41、44〜51及び点火装置11により果たされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の筒内直噴式火花点火エンジンの概略構成図。
【図2】エアガイド式による混合気の形成方法を示す説明図。
【図3】運転領域図。
【図4】筒内直噴式火花点火エンジンの制御システム図。
【図5】本実施形態の領域移行時の作用を説明するための波形図。
【図6】TCVの作動状態の違いによる燃焼安定領域の差異を示す特性図。
【図7】領域移行フラグの設定を説明するためのフローチャート。
【図8】目標当量比の演算を説明するためのフローチャート。
【図9】TCVの開閉制御を説明するためのフローチャート。
【図10】噴射時期の設定を説明するためのフローチャート。
【図11】点火時期の演算を説明するためのフローチャート。
【図12】エアガイド式による混合気の形成方法を示す説明図。
【符号の説明】
7 点火プラグ
11 点火装置
12 燃料噴射弁
13 TCV(ガス流動制御弁)
22 点火コイル
41 エンジンコントローラ

Claims (5)

  1. 所定運転域でリーン空燃比での成層燃焼を行う筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、
    成層燃焼を行う所定運転域のうち隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件である点火時期が少なくとも異なる場合に、その隣り合う運転域の境界を横切る際に、どちらに要求される点火時期にも点火を行う2回点火実行手段
    を備えることを特徴とする筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置。
  2. 所定運転域でリーン空燃比での成層燃焼を行う筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、
    成層燃焼を行う所定運転域のうち隣り合う運転域で成層燃焼の設定条件であるガス流動状態と点火時期とが少なくとも異なる場合に、その隣り合う運転域の境界を横切る際に、どちらに要求される点火時期にも点火を行う2回点火実行手段を備えることを特徴とする筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置。
  3. ガス流動制御弁を備え、前記隣り合う運転域の一方でこのガス流動制御弁を開き、前記隣り合う運転域の他方でこのガス流動制御弁を閉じることを特徴とする請求項2に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置。
  4. EGR装置を備え、前記隣り合う運転域ではいずれもEGR率を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置。
  5. 前記隣り合う運転域のいずれにおいても成層混合気に着火できるタイミングが進角側にも遅角側にも制限されていることを特徴とする請求項4に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの点火時期制御装置。
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