JP4232421B2 - 電動機械制御装置、電動機械制御方法及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機械制御装置、電動機械制御方法及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動車両においては、回転自在に配設され、N極の永久磁石及びS極の永久磁石から成る磁極対を備えたロータ、及び該ロータより径方向外方に配設され、U相、V相及びW相のステータコイルを備えたステータを有するモータが電動機械として使用される。そして、電動機械制御装置としてのモータ制御装置において発生させられたパルス幅変調信号をインバータに送り、該インバータにおいて相電流、すなわち、U相、V相及びW相の電流を発生させ、該各電流を前記各ステータコイルに供給することによって、前記モータを駆動し、電動機械トルクとしてのモータのトルク、すなわち、モータトルクを発生させ、該モータトルクを駆動輪に伝達して電動車両を走行させるようになっている。
【0003】
そのために、前記ステータコイルに供給される電流が電流センサによって検出され、前記ロータの磁極の位置、すなわち、磁極位置がレゾルバによって検出され、電流センサによって検出された電流、及びレゾルバによって検出された磁極位置がモータ制御装置に送られる。
【0004】
そして、該モータ制御装置においては、ロータの磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われ、電流センサによって検出された電流、、レゾルバによって検出された磁極位置、及び電動車両の全体の制御を行う車両制御装置から送られ、モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいてd軸電流指令値及びq軸電流指令値が発生させられ、該d軸電流指令値及びq軸電流指令値に基づいて、d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値が発生させられる。
【0005】
また、前記モータ制御装置において、d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に基づいて、U相、V相及びW相の電圧指令値が発生させられ、該各相の電圧指令値に基づいて更に各相のパルス幅変調信号が発生させられる。
【0006】
ところで、前記レゾルバを使用すると、磁極位置の検出精度、及びモータの制御性を向上させることはできるが、モータ制御装置のコストが高くなってしまう。また、スペースの制約によりレゾルバを設置することができないこともある。そこで、前記レゾルバに代えて簡易的な位置センサ、例えば、MRE等の磁気抵抗素子を使用して磁極位置を検出するようにした簡易センサ位置検出方法、前記レゾルバ等の位置センサを使用することなく磁極位置を検出するようにしたセンサレス位置検出方法等が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
前記簡易センサ位置検出方法においては、ロータのシャフトにドラムが取り付けられ、該ドラムに歯が形成され、歯の有無によって磁極位置を検出し、所定の角度(例えば、60〔°〕)ごとにU相、V相及びW相の位置検出信号を発生させ、該位置検出信号を前記モータ制御装置に送るようになっている。
【0008】
また、前記モータ制御装置には磁極位置検出部が配設され、該磁極位置検出部は、各位置検出信号を受けると、各位置検出信号の信号レベルの組合せに基づいて6個の検出パルスを発生させ、各検出パルスが発生させられたときの磁極位置を磁極位置検出値として発生させ、発生させられた磁極位置検出値を検出パルスに基づいて補正し、補正後の値を磁極位置として検出するようにしている。
【0009】
そして、モータの回転速度、すなわち、モータ回転速度が設定速度より高い場合、前記磁極位置検出部は、前記磁極位置検出値を、例えば、その時のモータ回転速度に基づいて比例計算によって線形補間を行うことにより補正し、補正後の値を磁極位置として検出する。また、前記モータ回転速度が設定速度以下である場合、磁極位置は前記各磁極位置検出値によって決まる位置検出可能範囲のどこかにあるので、誤差を平均的に最小にするため、前記磁極位置検出部は、前記各磁極位置検出値の中間点を磁極位置として検出する。
【0010】
一方、前記センサレス位置検出方法においては、d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高周波電流を注入することによって磁極位置が検出され、推定される。そのために、まず、0〜±180〔°〕のうちの所定の磁極位置を初期位置として設定し、初期位置として設定された磁極位置に基づいて推定d−q座標を想定し、該推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させる。続いて、該d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高周波電流を注入することによって、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に高周波電圧を発生させる。この場合、該高周波電圧が発生させられたd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値には、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差によって推定された磁極位置と実際の磁極位置、すなわち、実磁極位置との誤差情報が含まれる。そこで、該誤差情報を零(0)にするように演算を行うと、推定された磁極位置と実磁極位置との差がなくなり、磁極位置が電気角で検出される。この場合、前記センサレス位置検出方法においては、ロータの円周方向における永久磁石の部分と、永久磁石がなく、空間が形成された部分とは磁束の分布特性からみて等価であるので、0〜180〔°〕の電気角の範囲で磁極位置が検出されることになるが、検出された磁極位置がN極に属するものであるかS極に属するものであるか分からない。そこで、磁極位置が検出されると、検出された磁極位置について磁極判定、すなわち、NS判定が行われ、N極に属するものであるかS極に属するものであるかの判定が行われる。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−25277公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のモータ制御装置においては、簡易センサ位置検出方法の場合、電気角の1周期において6ステップの分解能で磁極位置を検出するようになっているので、分解能が極めて低く、モータを始動する際の磁極位置の検出誤差が極めて大きくなってしまう。また、低速領域でモータを駆動する場合、モータ回転速度の速度変動が大きいので、補正処理を行った場合、磁極位置の検出精度が低くなってしまう。したがって、検出された磁極位置に基づいてモータを駆動すると、十分なモータトルクを発生させることができない。
【0013】
また、センサレス位置検出方法の場合、モータ回転速度が高くなり、高速領域でモータを駆動すると、ステータコイルに供給される電流等に高周波成分が発生し、該高周波成分とd軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に注入される高周波電流とが干渉し、磁極位置の検出精度が低くなってしまう。
【0014】
そこで、モータを始動する際、及びモータ回転速度が設定値より低く、モータを低・中速領域で駆動する際にはセンサレス位置検出方法によって磁極位置を検出し、モータ回転速度が設定値以上になって、高速領域でモータを駆動する際には磁極位置の検出方法を切り換え、簡易センサ位置検出方法によって磁極位置を検出するようにしたモータ制御方法が考えられる。
【0015】
ところが、モータを始動する際、又はモータを低・中速領域で駆動する際に、何らかの異常が発生し、センサレス位置検出方法によって磁極位置を検出することができなくなると、モータが脱調することがあり、その場合、モータに振動が発生するだけでなく、モータを安定して駆動することができなくなってしまう。
【0016】
本発明は、前記従来のモータ制御装置の問題点を解決して、電動機械を始動する際、又は電動機械を低・中速領域で駆動する際に、電動機械に振動が発生するのを防止することができ、電動機械を安定して駆動することができる電動機械制御装置、電動機械制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の電動機械制御装置においては、電動機械と、第1の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサレス磁極位置として検出する第1の磁極位置検出処理手段と、第2の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサ磁極位置として検出する第2の磁極位置検出処理手段と、前記センサレス磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値と、検出パルスに基づいて算出される第2の速度推定値との差が少なくとも所定値より大きいときに、センサレス磁極位置の検出の異常を検出するフェール判定処理手段とを有する。
そして、前記第1の磁極位置検出処理手段は、あらかじめ設定された所定の磁極位置に基づいて想定された推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させ、前記d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高調波電流を注入することによってd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を発生させ、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に含まれる誤差情報を零にするように制御を行うことによって前記センサレス磁極位置を検出する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、電動機械制御装置としてのモータ制御装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるモータ制御装置の機能ブロック図である。
【0025】
図において、31は電動機械としてのモータ、91は第1の検出方法でモータ31の磁極位置を第1の検出磁極位置として検出する第1の磁極位置検出処理手段としてのセンサレス磁極位置検出処理手段、92は第2の検出方法でモータ31の磁極位置を第2の検出磁極位置として検出する第2の磁極位置検出処理手段としてのセンサ磁極位置検出処理手段、94は前記第1の検出磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値、及び第2の検出磁極位置を検出するのに伴って算出される第2の速度推定値に基づいてフェールを検出するフェール判定処理手段である。
【0026】
図2は本発明の実施の形態における電動車両の駆動制御装置のブロック図、図3は本発明の実施の形態における簡易センサ位置検出方法によって発生させられる位置検出信号のタイムチャート、図4は本発明の実施の形態における磁極位置検出値を示すタイムチャートである。
【0027】
図において、45はモータ制御装置、31は電動機械としてのモータであり、該モータ31としてDCブラシレスモータを使用することができる。前記モータ31は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設された図示されないステータを備える。前記ロータは、図示されないシャフトに取り付けられたロータコア、及び該ロータコアの円周方向における複数箇所に配設された永久磁石を備え、該永久磁石のS極及びN極によって磁極対が構成される。また、前記ステータは、円周方向における複数箇所に、径方向内方に向けて突出させてティースが形成された図示されないステータコア、並びに前記ティースに巻装されたU相、V相及びW相のコイルとしてのステータコイルを備える。
【0028】
そして、前記モータ31を駆動して電動車両を走行させるために、バッテリ14からの直流の電流がインバータ40によってU相、V相及びW相の電流Iu、Iv、Iwに変換され、各相の電流Iu、Iv、Iwはそれぞれ各ステータコイルに供給される。
【0029】
そのために、前記インバータ40は、6個のスイッチング素子としての図示されないトランジスタを備え、各トランジスタを選択的にオン・オフさせることによって、前記各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させることができるようになっている。
【0030】
ところで、前記各ステータコイルはスター結線されているので、各相のうちの二つの相の電流の値が決まると、残りの一つの相の電流の値も決まる。したがって、各相の電流Iu、Iv、Iwを制御するために、例えば、所定の二つのステータコイルのリード線にU相及びV相の電流Iu、Ivを検出する電流検出部としての電流センサ33、34が配設され、該電流センサ33、34は、検出電流iu、ivをモータ制御装置45のUV−dq変換部61に送る。
【0031】
前記モータ制御装置45には、コンピュータとして機能する図示されないCPUのほかに、データを記録したり、各種のプログラムを記録したりするためのRAM、ROM等の図示されない記録装置が配設される。
【0032】
そして、前記RAMには、各種のプログラム、データ等が記録されるようになっているが、プログラム、データ等を外部記憶装置を構成する記録媒体に記録することもできる。この場合、例えば、前記モータ制御装置45にフラッシュメモリを配設し、前記記録媒体から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに記録することもできる。したがって、前記記録媒体を交換することによって、前記プログラム、データ等を更新することもできる。
【0033】
そして、前記検出電流iu、ivを受けると、前記モータ制御装置45の図示されない検出電流算出処理手段は、検出電流算出処理を行い、検出電流iu、ivに基づいて検出電流iwを算出する。
【0034】
また、前記モータ制御装置45の図示されない電動機械回転速度算出処理手段としてのモータ回転速度算出処理手段は、電動機械回転速度算出処理としてのモータ回転速度算出処理を行い、磁極位置検出部46によって検出された磁極位置θn、検出パルス等に基づいて、電動機械回転速度としてのモータ回転速度NMを算出する。
【0035】
前記車両制御装置の指令値発生処理手段としての指令値発生部は、指令値発生処理を行い、前記車速V、及び図示されないアクセルセンサによって検出されたアクセル開度αに基づいて車両要求トルクTO* を算出し、該車両要求トルクTO* に対応させて、電動機械目標トルクとしてのモータ目標トルク(トルク指令値)TM* を発生させ、該モータ目標トルクTM* を前記モータ制御装置45に送る。
【0036】
該モータ制御装置45のROMはd軸用及びq軸用の指令値マップを備える。そして、前記モータ制御装置45の指令値算出処理手段としてのトルク指令・電流指令変換部47は、指令値算出処理を行い、電源電圧検出部としてのバッテリ電圧検出センサ15によって検出されたバッテリ14の電圧、すなわち、バッテリ電圧VBを読み込むとともに、モータ回転速度NM及びモータ目標トルクTM* を読み込み、前記各指令値マップを参照して、前記モータ目標トルクTM* に対応するd軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を第1の指令値及び電流指令値として算出し、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* をそれぞれ加算器21及び減算器63に送る。
【0037】
そして、前記磁極位置θnを検出するために、前記d軸電流指令値id* に高周波成分として高周波電流Ihが注入される。そのために、モータ制御装置45に高周波成分発生処理手段としての高周波電流発生部48が配設され、該高周波電流発生部48に制御信号SG1が送られる。該制御信号SG1は、モータ制御装置45の図示されない制御信号発生処理手段によって発生させられ、モータ31の始動を開始する際又はモータ回転速度NMが低くなったときにオンにされ、モータ回転速度NMが高くなり、第1の位置検出部22における精度が十分に高くなったときにオフにされる。
【0038】
そして、前記制御信号SG1がオンになると、高周波電流発生部48は、高周波成分発生処理を行い、高周波電流Ihを発生させ、加算器21に送り、該加算器21において、前記d軸電流指令値id* に高周波電流Ihが注入される。その結果、加算器21から減算器62にd軸電流指令値idh* が送られる。なお、前記加算器21によって高周波成分注入部が構成される。
【0039】
ところで、前記モータ制御装置45においては、ロータにおける磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっている。
【0040】
そのために、前記モータ制御装置45は、電流センサ33、34から検出電流iu、ivを読み込み、前記検出電流算出処理手段は、検出電流iwを算出する。そして、モータ制御装置45のUV−dq変換部61は、前記検出電流iu、iv、iw及び前記磁極位置θnに基づいて三相/二相変換を行い、検出電流iu、iv、iwをそれぞれd軸電流id及びq軸電流iqに変換する。
【0041】
前記d軸電流idは減算器62に送られ、該減算器62においてd軸電流idと前記d軸電流指令値idh* とのd軸電流偏差Δidが算出され、該d軸電流偏差Δidが電圧指令値発生部64に送られる。一方、q軸電流iqは減算器63に送られ、該減算器63においてq軸電流iqと前記q軸電流指令値iq* とのq軸電流偏差Δiqが算出され、該q軸電流偏差Δiqが前記電圧指令値発生部64に送られる。
【0042】
そして、該電圧指令値発生部64は、前記d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqが零になるように、2軸上のインバータ出力としてのd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれ発生させ、dq−UV変換部67に送る。なお、前記d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* によって第2の指令値及び電圧指令値が構成される。
【0043】
続いて、前記dq−UV変換部67は、前記d軸電圧指令値Vd* 、q軸電圧指令値Vq* 及び磁極位置θnに基づいて二相/三相変換を行い、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をU相、V相及びW相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* に変換し、該電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* をPWM発生部68に送る。該PWM発生部68は、前記各相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* 及び前記バッテリ電圧VBに基づいて、電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* に対応するパルス幅を有する各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを発生させ、ドライブ回路51に送る。
【0044】
該ドライブ回路51は、前記各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを受けて、トランジスタを駆動するための6個の駆動信号をそれぞれ発生させ、該駆動信号をインバータ40に送る。該インバータ40は、前記駆動信号がオンの間だけトランジスタをオンにして各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させ、該各相の電流Iu、Iv、Iwを前記各ステータコイルに供給する。このように、モータ31を駆動することによって電動車両を走行させることができる。
【0045】
なお、前記PWM発生部68、ドライブ回路51、インバータ40等によって、モータ31を駆動する電動機械駆動処理手段としてのモータ駆動処理手段が構成される。
【0046】
ところで、本実施の形態においては、レゾルバ等の高精度のセンサを使用することなく、磁極位置検出部46によって磁極位置θnが検出されるようになっている。そのために、前記磁極位置検出部46は、第1、第2の位置検出部22、23及び選択処理部24を備える。
【0047】
前記第1の位置検出部22において、前記モータ31に配設された簡易的な位置センサ43、例えば、MRE等の磁気抵抗素子が使用され、前記第1の位置検出部22の第2の磁極位置検出処理手段としてのセンサ磁極位置検出処理手段92(図1)は、第2の磁極位置検出処理としてのセンサ磁極位置検出処理を行い、第2の検出方法としての簡易センサ位置検出方法によって、第2の検出磁極位置としてのセンサ磁極位置θkを検出する。
【0048】
そのために、ロータのシャフトにドラムが取り付けられ、該ドラムに歯が形成され、歯の有無によって図3に示されるように、所定の角度(本実施の形態においては、60〔°〕)ごとに磁極位置情報としての位置検出信号Pu、Pv、Pwを発生させ、該位置検出信号Pu、Pv、Pwを第1の位置検出部22に送る。
【0049】
前記位置検出信号Pu、Pv、Pwは、それぞれ電気角で180〔°〕ごとに信号レベルが切り換わり、互いに電気角で120〔°〕ずつ位相をずらして発生させられる。したがって、前記位置検出信号Pu、Pv、Pwの信号レベルの組合せは6個のパターンから成る。
【0050】
そして、前記センサ磁極位置検出処理手段92の図示されない磁極位置検出値取得処理手段は、磁極位置検出値取得処理を行い、前記位置検出信号Pu、Pv、Pwを受け、該位置検出信号Pu、Pv、Pwの信号レベルの組合せに基づいて6個の検出パルスを発生させ、各検出パルスに基づいて電気角の1周期である360〔°〕において6ステップの分解能で、検出パルスが発生させられたときの磁極位置を磁極位置検出値θpとして取得する。
【0051】
ところで、図4の線L11で示されるように、時間が経過し、検出パルスが発生させられるたびに、磁極位置検出値θpは階段状に変化させられるので、線L12で示される実磁極位置と磁極位置検出値θpとは一致しない。
【0052】
すなわち、実磁極位置が0〔°〕以上60〔°〕未満、60〔°〕以上120〔°〕未満、120〔°〕以上180〔°〕未満、180〔°〕以上240〔°〕未満、240〔°〕以上300〔°〕未満、及び300〔°〕以上360〔°〕未満の各位置検出可能範囲にあるときの各磁極位置検出値θpはそれぞれ0、60、120、180、240、300〔°〕になる。
【0053】
そこで、前記センサ磁極位置検出処理手段92の図示されない補正処理手段は、補正処理を行い、発生させられた磁極位置検出値θpを次のように補正してセンサ磁極位置θkを検出するようにしている。
【0054】
モータ回転速度NMが設定速度NMsより高い場合、前記補正処理手段は、前記磁極位置検出値θpを、例えば、その時のモータ回転速度NMに基づいて比例計算によって線形補間を行うことにより補正し、補正された磁極位置検出値θpをセンサ磁極位置θkとして検出する。すなわち、検出パルスが発生させられてから現在までに経過した時間をτとすると、センサ磁極位置θkは、
θk=θp+NM・τ
になる。
【0055】
また、前記モータ回転速度NMが設定速度NMs以下である場合、磁極位置は前記各位置検出可能範囲のどこかにあるので、誤差を平均的に最小にするため、前記補正処理手段は、前記各磁極位置検出値θpの中間点をセンサ磁極位置θk
θk=θp+30〔°〕
として検出する。
【0056】
一方、前記第2の位置検出部23の第1の磁極位置検出処理手段としてのセンサレス磁極位置検出処理手段91は、第1の磁極位置検出処理としてのセンサレス磁極位置検出処理を行い、前述されたように、d軸電流指令値id* に高周波電流Ihを注入し、第1の検出方法としてのセンサレス位置検出方法によって、第1の検出磁極位置としてのセンサレス磁極位置θmを検出し、推定する。
【0057】
そのために、前記センサレス磁極位置検出処理手段91は、所定の磁極位置を初期位置として設定し、初期位置として設定された磁極位置に基づいて推定d−q座標を想定し、該推定d−q座標においてd軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を発生させる。
【0058】
続いて、前記加算器21によって、d軸電流指令値id* に高周波電流Ihが注入されると、前記d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* に高周波電圧が発生させられる。この場合、該高周波電圧が発生させられたd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* には、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差によって推定されたセンサレス磁極位置θmと実磁極位置との誤差情報が含まれる。そこで、前記センサレス磁極位置検出処理手段91は、q軸電圧指令値Vq* を読み込み、該q軸電圧指令値Vq* をバンドパスフィルタ(BPF)25に通して、高周波成分だけを取り出し、演算値Vdhとし、該演算値Vdhの座標を座標変換部49によって変換して演算値Vcosとした後、該演算値Vcosを更にローパスフィルタ(LPF)51に通して直流成分(低周波成分)を取り出し、誤差情報Vgを取得する。
【0059】
続いて、前記センサレス磁極位置検出処理手段91は、前記誤差情報Vgを減算器26に送り、誤差指令値Vseと誤差情報Vgとの偏差を算出し、前記誤差指令値Vseに零をセットし、誤差情報Vgが零になるように演算を行う。その結果、推定されたセンサレス磁極位置θmと実磁極位置との差が小さくなって収束し、センサレス磁極位置θmが電気角で検出される。なお、52はPID演算器(PID)、53は第1の速度推定値ωmを算出する速度推定値算出処理手段としての補償器(Km)、54は第1の速度推定値ωmを積分してセンサレス磁極位置θmを算出する積分器(1/s)である。
【0060】
本実施の形態においては、d軸電流指令値id* に高周波電流Ihが注入されるようになっているが、q軸電流指令値iq* に高周波電流を注入したり、d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* のいずれにも高周波電流を注入したりすることができる。
【0061】
ところで、前記簡易センサ位置検出方法の場合、電気角の1周期において6ステップの分解能でセンサ磁極位置θkを検出するようになっているので、分解能が極めて低く、モータ31を始動する際のセンサ磁極位置θkの検出誤差が極めて大きくなってしまう。また、低速領域でモータ31を駆動する場合、モータ回転速度NMの速度変動が大きいので、補正処理を行った場合、センサ磁極位置θkの検出精度が低くなってしまう。したがって、検出されたセンサ磁極位置θkに基づいてモータ31を駆動すると、十分なモータトルクTMを発生させることができない。
【0062】
また、センサレス位置検出方法の場合、モータ回転速度NMが高くなり、高速領域でモータ31を駆動すると、ステータコイルに供給される電流Iu、Iv、Iw等に高周波成分が発生し、該高周波成分とd軸電流指令値id* に注入される高周波電流Ihとが干渉し、センサレス磁極位置θmの検出精度が低くなってしまう。
【0063】
そこで、モータ31を始動する際、及びモータ回転速度NMが低く、モータ31を低・中速領域で駆動する際にはセンサレス位置検出方法によってセンサレス磁極位置θmを検出し、モータ回転速度NMが高く、モータ31を高速領域で駆動する際には、磁極位置の検出方法を切り換え、簡易センサ位置検出方法によってセンサ磁極位置θkを検出するようにしている。
【0064】
図5は本発明の実施の形態におけるモータ制御装置の動作を示すメインフローチャート、図6は本発明の実施の形態におけるフェール判定処理のサブルーチンを示す図、図7は本発明の実施の形態におけるセンサレス磁極位置検出処理のサブルーチンを示す図、図8は本発明の実施の形態におけるセンサ磁極位置検出処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の実施の形態における磁極位置のタイムチャート、図10は本発明の実施の形態におけるモータ回転速度のタイムチャートである。
【0065】
まず、モータ31(図2)が始動されると、モータ制御装置45の図示されない磁極位置検出処理手段は、磁極位置検出処理を行う。そして、前記センサレス磁極位置検出処理手段91(図1)はセンサレス磁極位置θmを検出する。
【0066】
そのために、前記センサレス磁極位置検出処理手段91は、所定の磁極位置を初期位置として設定し、設定された初期位置に基づいて、推定d−q座標を想定し、該推定d−q座標において、モータ31を駆動するためのd軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を発生させる。そして、前記センサレス磁極位置検出処理手段91の高周波注入処理手段は、高周波注入処理を行い、高周波電流発生部48に制御信号SG1を送り、d軸電流指令値id* に高周波電流Ihを注入してd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* に高周波電圧を発生させる。なお、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* によって高周波注入指令値が構成される。
【0067】
そして、前記センサレス磁極位置検出処理手段91の図示されない磁極位置特定処理手段は、磁極位置特定処理を行い、前記q軸電圧指令値Vq* 及び初期位置に基づいて、センサレス位置検出方法によってセンサレス磁極位置θmを特定することにより検出する。
【0068】
また、前記センサ磁極位置検出処理手段92はセンサ磁極位置θkを検出する。
【0069】
そのために、前記センサ磁極位置検出処理手段92は、前記位置検出信号Pu、Pv、Pwを受け、該位置検出信号Pu、Pv、Pwの信号レベルの組合せに基づいて6個の検出パルスを発生させ、各検出パルスに基づいて電気角の1周期である360〔°〕において6ステップの分解能で、検出パルスが発生させられたときの磁極位置を磁極位置検出値θpとして取得する。
【0070】
続いて、前記センサ磁極位置検出処理手段92の図示されない補正処理手段は、補正処理を行い、モータ回転速度NMを読み込み、発生させられた磁極位置検出値θpをモータ回転速度NMに基づいて補正してセンサ磁極位置θkを検出する。
【0071】
そして、前述されたように、センサレス磁極位置θm及びセンサ磁極位置θkが検出されると、前記選択処理部24は、選択処理を行い、センサレス磁極位置θmを磁極位置θnとして設定し、該磁極位置θnをUV−dq変換部61及びdq−UV変換部67に送る。続いて、前記モータ制御装置45の図示されない駆動処理手段は、駆動処理を行い、磁極位置θnに基づいてモータ31を駆動する。
【0072】
ところで、該モータ31を始動する際、又はモータ31を低・中速領域で駆動する際に、何らかのフェールが発生し、センサレス位置検出方法によって磁極位置を検出することができなくなると、モータ31が脱調することがあり、その場合、モータ31に振動が発生するだけでなく、モータ31を安定して駆動することができなくなってしまう。
【0073】
そこで、モータ制御装置45のフェール判定処理手段94は、フェール判定処理を行い、外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生し、フェールが検出されたかどうかを判断する。そのために、前記フェール判定処理手段94の図示されない磁極位置取得処理手段は、磁極位置取得処理を行い、センサレス磁極位置θmを読み込むとともに、センサ磁極位置θkを読み込む。次に、前記磁極位置取得処理手段の速度差算出処理手段は、速度差算出処理を行い、前記補償器53によって算出された第1の速度推定値ωmを読み込むとともに、前記センサ磁極位置検出処理手段92によって発生させられた検出パルスを読み込み、該検出パルスのパルス幅に基づいてモータ回転速度NMを算出し、該モータ回転速度NMを第2の速度推定値ωkとする。続いて、前記速度差算出処理手段は、前記第1、第2の速度推定値ωm、ωkの速度差ΔV
ΔV=|ωk−ωm|
を算出する。
【0074】
そして、フェール判定処理手段94の図示されないフェール検出処理手段は、フェール検出処理を行い、前記速度差ΔVが閾(しきい)値Vthより大きく、かつ、その状態で一定の時間が経過したかどうかを判断し、速度差ΔVが閾値Vthより大きく、かつ、その状態で一定の時間が経過した場合に、フェールを検出する。
【0075】
ところで、モータ31を駆動しているときの実際の磁極位置、すなわち、実磁極位置をθrとすると、該実磁極位置θrとセンサレス磁極位置θm及びセンサ磁極位置θkとの関係は、図9に示されるようになる。なお、図9においてθpは磁極位置検出値である。この場合、例えば、タイミングt1で外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生すると、センサ磁極位置θkは実磁極位置θrにほぼ追随して変化するが、センサレス磁極位置θmは時間が経過するのに伴って実磁極位置θrから乖(かい)離するとともに、センサ磁極位置θkからも乖離する。
【0076】
ところが、タイミングt1で外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生しても、その後のわずかな経過時間内(図9の領域AR1の部分)においては、センサレス磁極位置θmと実磁極位置θrとの磁極位置差が小さいだけでなく、センサレス磁極位置θmとセンサ磁極位置θkとの磁極位置差も小さい。したがって、仮に、センサレス磁極位置θmとセンサ磁極位置θkとの磁極位置差をΔθとし、該磁極位置差Δθ
Δθ=|θk−θm|
を算出しても、外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生してからしばらくの間は、磁極位置差Δθが小さいので、フェールを検出することができない。
【0077】
これに対して、モータ31を駆動しているときの実際のモータ回転速度NM、すなわち、実モータ回転速度をωrとしたとき、該実モータ回転速度ωrとセンサレス位置検出方法において算出された第1の速度推定値ωm及び簡易センサ位置検出方法において算出された第2の速度推定値ωkとの関係は、図10に示されるようになる。この場合、例えば、タイミングt11で外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生すると、第2の速度推定値ωkは実モータ回転速度ωrにほぼ追随して変化するが、第1の速度推定値ωmは、急速に実モータ回転速度ωrから乖離するとともに、センサ磁極位置θkからも乖離する。
【0078】
すなわち、タイミングt11で外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生すると、その後のわずかな経過時間内(図10の領域AR2の部分)において、第1の速度推定値ωmと実モータ回転速度ωrとの速度差が大きいだけでなく、第2の速度推定値ωkと第1の速度推定値ωmとの速度差ΔVも大きい。したがって、前述されたように、速度差ΔVを算出すると、外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置検出処理に異常が発生したときに、直ちにフェールを検出することができる。
【0079】
続いて、前記モータ制御装置45の図示されない切換条件成立判断処理手段は、切換条件成立判断処理を行い、モータ回転速度NM及び前記電圧指標値V* を読み込み、モータ回転速度NM及び前記フェール判定処理の判定結果に基づいて、磁極位置の第1の切換条件が成立したかどうかを判断する。
【0080】
そのために、前記切換条件成立判断処理手段は、モータ回転速度NMが設定値NMth1以上であるかどうかによって第1の条件が成立したかどうかを判断し、フェールが検出されたかどうかによって第2の条件が成立したかどうかを判断する。そして、モータ回転速度NMが設定値NMth1以上であるか、又はフェールが選出されて、第1、第2の条件のうちの少なくとも一方が成立すると、切換条件成立判断処理手段は、磁極位置の第1の切換条件が成立したと判断し、前記選択処理部24の図示されない切換処理手段は、切換処理を行い、磁極位置θnの設定をセンサレス磁極位置θmからセンサ磁極位置θkに切り換える。
【0081】
また、前記選択処理部24は、センサ磁極位置θkを磁極位置θnとして設定し、該磁極位置θnをUV−dq変換部61及びdq−UV変換部67に送る。続いて、前記駆動処理手段は、磁極位置θnに基づいてモータ31を駆動する。
【0082】
次に、前記切換条件成立判断処理手段は、モータ回転速度NMに基づいて磁極位置の第2の切換条件が成立したかどうかを判断する。
【0083】
そのために、前記切換条件成立判断処理手段は、モータ回転速度NMが設定値NMth2(<NMth1)より低く、かつ、モータ31が停止させられていないかどうかを判断し、モータ回転速度NMが設定値NMth2より低く、かつ、モータ31が停止させられていない場合に、切換条件成立判断処理手段は、磁極位置の第2の切換条件が成立したと判断し、前記切換処理手段は、磁極位置θnの設定をセンサ磁極位置θkからセンサレス磁極位置θmに切り換える。
【0084】
そして、前記選択処理部24は、センサ磁極位置θkを磁極位置θnとして設定し、該磁極位置θnをUV−dq変換部61及びdq−UV変換部67に送る。続いて、前記駆動処理手段は、磁極位置θnに基づいてモータ31を駆動する。
【0085】
このように、モータ31を始動する際、及びモータ31を低・中速領域で駆動する際にはセンサレス磁極位置θmに基づいて、モータ31を高速領域で駆動する際には磁極位置の検出方法を切り換え、簡易センサ位置検出方法によってセンサ磁極位置θkを検出するようにしている。
【0086】
したがって、モータ31を始動する際、及びモータ31を低・中速領域で駆動する際に、モータ回転速度NMの速度変動が大きくても、センサレス磁極位置θmが磁極位置θnとして設定されるので、磁極位置θnの検出精度を高くすることができる。その結果、検出された磁極位置θnに基づいてモータ31を駆動したときに十分なモータトルクTMを発生させることができる。また、モータ31を高速領域で駆動する際に、ステータコイルに供給される電流Iu、Iv、Iw等に高周波成分が発生しても、センサ磁極位置θkが磁極位置θnとして設定されるので、磁極位置θnの検出精度を高くすることができる。
【0087】
そして、モータ31を始動する際、及びモータ31を低・中速領域で駆動する際に、何らかの異常が発生し、センサレス位置検出方法によってセンサレス磁極位置θmを検出することができなくなると、直ちにフェールを検出することができ、磁極位置θnの設定をセンサレス磁極位置θmからセンサ磁極位置θkに切り換えることができる。したがって、モータ31が脱調するのを防止することができるので、モータ31に振動が発生するのを防止することができ、モータ31を安定して駆動することができる。
【0088】
なお、本実施の形態においては、磁極位置θnの設定をセンサレス磁極位置θmからセンサ磁極位置θkに切り換える際、及びセンサ磁極位置θkからセンサレス磁極位置θmに切り換える際の各設定値NMth1、NMth2にはヒステリシスを持たせ、磁極位置θnの設定をセンサレス磁極位置θmからセンサ磁極位置θkに切り換える際の設定値NMth1は、センサ磁極位置θkからセンサレス磁極位置θmに切り換える際の設定値NMth2より大きくされる。
【0089】
次に、図5のフローチャートについて説明する。
ステップS1 センサレス磁極位置検出処理を行う。
ステップS2 センサ磁極位置検出処理を行う。
ステップS3 センサ磁極位置θkが磁極位置θnとして設定されているかどうかを判断する。センサ磁極位置θkが磁極位置θnとして設定されている場合はステップS11に、設定されていない場合はステップS4に進む。
ステップS4 センサレス磁極位置θmを磁極位置θnとして設定する。
ステップS5 モータ31を駆動する。
ステップS6 フェール判定処理を行う。
ステップS7 モータ回転速度NMが設定値NMth1以上であるかどうかを判断する。モータ回転速度NMが設定値NMth1以上である場合はステップS9に進み、モータ回転速度NMが設定値NMth1より小さい場合はステップS8に進む。
ステップS8 フェールが検出されたかどうかを判断する。フェールが検出された場合はステップS10に進み、検出されていない場合はステップS1に戻る。
ステップS9 切換処理を行う。
ステップS10 センサ磁極位置θkを磁極位置θnとして設定する。
ステップS11 モータ31を駆動する。
ステップS12 モータ回転速度NMが設定値NMth2より小さいかどうかを判断する。モータ回転速度NMが設定値NMth2より小さい場合はステップS13に進み、モータ回転速度NMが設定値NMth2以上である場合はステップS1に戻る。
ステップS13 モータ31が停止させられたかどうかを判断する。モータ31が停止させられた場合は処理を終了し、停止させられていない場合はステップS14に進む。
ステップS14 切換処理を行い、ステップS1に戻る。
【0090】
次に、図6のフローチャートについて説明する。
ステップS6−1 センサレス磁極位置θmを読み込む。
ステップS6−2 センサ磁極位置θkを読み込む。
ステップS6−3 速度差算出処理を行う。
ステップS6−4 速度差ΔVが閾値Vthより大きいかどうかを判断する。速度差ΔVが閾値Vthより大きい場合はステップS6−5に、速度差ΔVが閾値Vth以下である場合は処理を終了する。
ステップS6−5 一定の時間が経過したかどうかを判断する。一定の時間が経過した場合はステップS6−6に進み、経過していない場合はステップS6−4に戻る。
ステップS6−6 フェールを検出し、処理を終了する。
【0091】
次に、図7のフローチャートについて説明する。
ステップS1−1 高調波電流Ihを注入する。
ステップS1−2 センサレス磁極位置θmを検出し、リターンする。
【0092】
次に、図8のフローチャートについて説明する。
ステップS2−1 検出パルスを発生させる。
ステップS2−2 磁極位置検出値θpを取得する。
ステップS2−3 モータ回転速度NMを読み込む。
ステップS2−4 磁極位置検出値θpを補正し、リターンする。
【0093】
本実施の形態においては、高周波成分として高周波電流Ihを注入するようにしているが、高周波成分として高周波電圧を注入することもできる。また、高周波電流Ih及び高周波電圧は、正弦波であっても、パルス波であってもよい。
【0094】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0095】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、電動機械制御装置においては、電動機械と、第1の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサレス磁極位置として検出する第1の磁極位置検出処理手段と、第2の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサ磁極位置として検出する第2の磁極位置検出処理手段と、前記センサレス磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値と、検出パルスに基づいて算出される第2の速度推定値との差が少なくとも所定値より大きいときに、センサレス磁極位置の検出の異常を検出するフェール判定処理手段とを有する。
そして、前記第1の磁極位置検出処理手段は、あらかじめ設定された所定の磁極位置に基づいて想定された推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させ、前記d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高調波電流を注入することによってd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を発生させ、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に含まれる誤差情報を零にするように制御を行うことによって前記センサレス磁極位置を検出する。
【0096】
この場合、前記センサレス磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値と、検出パルスに基づいて算出される第2の速度推定値との差が少なくとも所定値より大きいときに、センサレス磁極位置の検出の異常が検出されるので、外乱センサ類の故障、断線等によってセンサレス磁極位置の検出に異常が発生したときに、直ちにセンサレス磁極位置の検出の異常を検出することができる。
【0097】
その結果、電動機械が脱調するのを防止することができるので、電動機械に振動が発生するのを防止することができ、電動機械を安定して駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるモータ制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における電動車両の駆動制御装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における簡易センサ位置検出方法によって発生させられる位置検出信号のタイムチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における磁極位置検出値を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるモータ制御装置の動作を示すメインフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるフェール判定処理のサブルーチンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるセンサレス磁極位置検出処理のサブルーチンを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるセンサ磁極位置検出処理のサブルーチンを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における磁極位置のタイムチャートである。
【図10】本発明の実施の形態におけるモータ回転速度のタイムチャートである。
【符号の説明】
31 モータ
45 モータ制御装置
91 センサレス磁極位置検出処理手段
92 センサ磁極位置検出処理手段
94 フェール判定処理手段
Claims (5)
- 電動機械と、第1の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサレス磁極位置として検出する第1の磁極位置検出処理手段と、第2の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサ磁極位置として検出する第2の磁極位置検出処理手段と、前記センサレス磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値と、検出パルスに基づいて算出される第2の速度推定値との差が少なくとも所定値より大きいときに、センサレス磁極位置の検出の異常を検出するフェール判定処理手段とを有するとともに、前記第1の磁極位置検出処理手段は、あらかじめ設定された所定の磁極位置に基づいて想定された推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させ、前記d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高調波電流を注入することによってd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を発生させ、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に含まれる誤差情報を零にするように制御を行うことによって前記センサレス磁極位置を検出することを特徴とする電動機械制御装置。
- 前記センサレス磁極位置の検出の異常が検出されたときに、磁極位置を、センサレス磁極位置とセンサ磁極位置とで切り換える切換処理手段を有する請求項1に記載の電動機械制御装置。
- 前記切換処理手段は、電動機械の回転速度に基づいて磁極位置を切り換える請求項2に記載の電動機械制御装置。
- 第1の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサレス磁極位置として検出し、第2の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサ磁極位置として検出し、前記センサレス磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値と、検出パルスに基づいて算出される第2の速度推定値との差が少なくとも所定値より大きいときに、センサレス磁極位置の検出の異常を検出するとともに、前記センサレス磁極位置は、あらかじめ設定された所定の磁極位置に基づいて想定された推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させ、前記d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高調波電流を注入することによってd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を発生させ、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に含まれる誤差情報を零にするように制御を行うことによって検出されることを特徴とする電動機械制御方法。
- コンピュータを、第1の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサレス磁極位置として検出する第1の磁極位置検出処理手段、第2の検出方法で電動機械の磁極位置をセンサ磁極位置として検出する第2の磁極位置検出処理手段、及び前記センサレス磁極位置を検出するのに伴って算出される第1の速度推定値と、検出パルスに基づいて算出される第2の速度推定値との差が少なくとも所定値より大きいときに、センサレス磁極位置の検出の異常を検出するフェール判定処理手段として機能させるとともに、前記第1の磁極位置検出処理手段は、あらかじめ設定された所定の磁極位置に基づいて想定された推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させ、前記d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高調波電流を注入することによってd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を発生させ、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に含まれる誤差情報を零にするように制御を行うことによって前記センサレス磁極位置を検出することを特徴とするプログラム。
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