しかしながら、移動体通信に関する無線通信では、携帯端末等の受信無線局がさまざまなセルやエリア間を移動するという他の分野の通信には無い特徴がある。このため、受信無線局の通信相手となる送信無線局を切り替えるハンドオーバを行う必要が生じる。このハンドオーバ時に図2の受信無線局11では、切替器14において、従前の周波数帯から希望する周波数帯へ一旦切り替えてから受信信号を復調する必要があったため、周波数帯f1から周波数帯f2への又は周波数帯f2から周波数帯f1へのスムーズなハンドオーバを実現することが困難であった。
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、スムーズなハンドオーバを実現することができる送信無線局、受信無線局、無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る送信無線局は、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する、階層セル構造の無線通信システムにおける送信無線局であって、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号を検出する信号検出手段と、異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号を検出した場合に、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出するシンボル同期検出手段と、検出したシンボル同期に基づいて小セル送信無線局が送信する信号の1シンボルのDFT区間内に、大セル送信無線局からの信号のシンボル境界が存在しないように行われるシンボル送信タイミングにより、送信すべき信号を送信する信号送信手段とを有することを特徴とする。なお、上記伝送方式には、例えば、周波数帯域で分割する方式や拡散符号で分割する方式等のさまざまな伝送方式が含まれる。シンボルとは、変調された後の送信データをいい、実データ以外に、例えば同期を取るための制御情報等も含まれる。上記のキャリア周波数帯域は、キャリア周波数又はサブキャリア周波数を意味し、本発明に係る送信無線局は1つのキャリアのみでデータを送信することもありうる。また、上記の無線端末は、エリア内に位置する無線通信可能なあらゆる端末を意味し、受信無線局(例えば移動局)及び自局以外の送信無線局を含む概念である。また、「キャリア周波数帯域信号の検出」には、送信無線局が自らキャリア周波数帯域信号を検出する場合と、
送信無線局が受信無線局から同期要請信号を受信することでキャリア周波数帯域信号を検出する場合の両方を含む。
上記送信無線局では、信号検出手段が、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号を検出すると、シンボル同期検出手段が、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出し、信号送信手段が、検出されたシンボル同期に基づき導出されたシンボル送信タイミングに基づき、送信すべき信号を送信する。これにより、信号送信手段は、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号及び自局の信号のそれぞれの相関で、最適な(即ち、互いに干渉を及ぼさない)シンボル送信タイミングで信号を送信することが可能となる。これに伴い、受信無線局では、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することが可能となるため、従来のようにハンドオーバ時に「周波数の切替処理」を行う必要はなくなり、スムーズなハンドオーバを実現することができる。
また、付随的に以下の効果も得られる。ガードバンドの設定を小さく又は不要とすることができるので、周波数の有効利用が可能となる。また、同時に複数の送信無線局からの信号を受信することが可能となるので、該手段によりマルチリンク伝送を実行することができる。また、小セルを形成する既存の他の送信無線局を干渉の影響をさほど考慮することなく自由に、新たな送信無線局を配置することが可能となる。更に、複数周波数帯を受信する受信無線局の受信部分の共通化が行えるので、受信無線局の容積の縮小化、製造費用の低コスト化を行うこと可能となる。
なお、信号検出手段は、例えば、自局と比較して等価等方放射電力(Equivalent Isotropically Radiated Power:EIRP)が小さなキャリア周波数帯域信号を受信したことを検出してもよい。
上記の送信無線局では、以下の構成要件をさらに備えてもよい。即ち、本発明に係る送信無線局は、無線端末からの受信信号に基づき周波数間隔を検出する周波数間隔検出手段と、検出した周波数間隔に基づいて、当該無線端末の送信キャリア周波数と直交関係となるように、送信キャリア周波数を設定する周波数設定手段とをさらに有することを特徴とする。なお、上記の「無線端末」は、例えば、本発明に係る当該送信無線局よりも等価等方放射電力が大きなキャリア周波数帯域信号を送信する他の送信無線局を意味し、当該エリア内に位置する無線通信可能なあらゆる端末(例えば移動局等)を含む概念である。
また、本発明に係る送信無線局は、無線端末からの受信信号に基づき受信品質を測定する受信品質測定手段と、測定で得られた受信品質に基づき拡散率を設定する拡散率設定手段とをさらに有することを特徴とする。なお、上記の「無線端末」もまた、例えば、本発明に係る当該送信無線局よりも等価等方放射電力が大きなキャリア周波数帯域信号を送信する他の送信無線局を意味し、当該エリア内に位置する無線通信可能なあらゆる端末(例えば移動局等)を含む概念である。
上記の送信無線局と受信無線局とを含んで構成される無線通信システムについては、以下のように記述できる。即ち、本発明に係る無線通信システムは、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局と、送信無線局からの信号を受信する受信無線局とを含んで構成された階層セル構造の無線通信システムであって、送信無線局が、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号を検出する信号検出手段と、異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号を検出した場合に、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出するシンボル同期検出手段と、検出したシンボル同期に基づいて小セル送信無線局が送信する信号の1シンボルのDFT区間内に、大セル送信無線局からの信号のシンボル境界が存在しないように行われるシンボル送信タイミングにより、送信すべき信号を送信する信号送信手段とを有し、受信無線局が、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調する同時受信制御手段を有することを特徴とする。
上記送信無線局では、信号検出手段が、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号を検出すると、シンボル同期検出手段が、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出し、信号送信手段が、検出されたシンボル同期に基づき導出されたシンボル送信タイミングに基づき、送信すべき信号を送信する。受信無線局では、同時受信制御手段が、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することができる。これにより、送信無線局は、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号及び自局の信号のそれぞれの相関で、最適な(即ち、互いに干渉を及ぼさない)シンボル送信タイミングで信号を送信することが可能となり、受信無線局では、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することが可能となるため、従来のようにハンドオーバ時に「周波数の切替処理」を行う必要はなくなり、スムーズなハンドオーバを実現することができる。
また、付随的に以下の効果も得られる。ガードバンドの設定を小さく又は不要とすることができるので、周波数の有効利用が可能となる。また、同時に複数の送信無線局からの信号を受信することが可能となるので、マルチリンク伝送を実行することができる。また、小セルを形成する既存の他の送信無線局を干渉の影響をさほど考慮することなく自由に、新たな送信無線局を配置することが可能となる。更に、複数周波数帯を受信する受信無線局の受信部分の共通化が行えるので、受信無線局の容積の縮小化、製造費用の低コスト化を行うこと可能となる。
上記の無線通信システムでは、以下の構成要件をさらに備えてもよい。即ち、本発明に係る無線通信システムでは、受信無線局は、自局が階層セル構造における小規模セル内に移動した場合、自局が当該エリアをカバーする大規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であり、且つ、小規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であることを表す情報を、データ転送装置(例えば、ネットワーク内で受信無線局の位置登録を実現している位置登録管理サーバ又はネットワーク内のルータ等)に登録する登録手段をさらに有し、当該データ転送装置は、当該受信無線局に送信するべきデータの種別に応じて、当該データを送信する送信無線局を選択することを特徴とする。
即ち、受信無線局が、自局が階層セル構造における小規模セル内に移動した場合、自局が当該エリアをカバーする大規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であり、且つ、小規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であることを表す情報を、データ転送装置に登録し、当該データ転送装置は、当該受信無線局に送信するべきデータの種別に応じて、当該データを送信する送信無線局を選択することで、当該受信無線局に対し、マルチキャスト情報は大セル送信無線局から送信し、画像データ等のデータレートが高い個別の情報は小セル送信無線局から送信する、といったデータの種別に応じた適正なデータ送信制御を実現することができる。
なお、シンボル同期については、以下のような態様を採用することができる。即ち、本発明に係る無線通信システムは、使用するキャリア周波数帯域が異なる複数の送信無線局、及びシンボル同期の基準信号を送信するシンボル同期基準源を含んで構成され、当該複数の送信無線局は、シンボル同期基準源からの基準信号に基づくシンボル送信タイミングに基づいて、各送信無線局が送信すべき信号のシンボルを同期して送信することを特徴とする。
また、本発明に係る無線通信システムは、使用するキャリア周波数帯域が異なる複数の送信無線局を含んで構成され、当該複数の送信無線局は、有線又は無線を用いて相互に連携し、各送信無線局が送信すべき信号のシンボルを同期して送信することを特徴とする。このとき、複数の送信無線局は、相互に連携し、各送信無線局が送信すべき信号の送信キャリア周波数が互いに直交関係となるように設定することが望ましい。
本発明に係る無線通信システムは、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局と、送信無線局からの信号を受信する受信無線局とを含んで構成された階層セル構造の無線通信システムであって、受信無線局が、送信無線局に対してシンボル同期の要請を行う同期要請手段と、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調する同時受信制御手段とを有し、送信無線局が、受信無線局からシンボル同期の要請を受けた場合に、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出するシンボル同期検出手段と、検出したシンボル同期に基づいて小セル送信無線局が送信する信号の1シンボルのDFT区間内に、大セル送信無線局からの信号のシンボル境界が存在しないように行われるシンボル送信タイミングにより、送信すべき信号を送信する信号送信手段とを有することを特徴とする。
この無線通信システムでは、受信無線局の同期要請手段が、送信無線局に対してシンボル同期の要請を行うと、送信無線局では、シンボル同期検出手段が、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出し、信号送信手段が、検出されたシンボル同期に基づき導出されたシンボル送信タイミングに基づき、送信すべき信号を送信する。受信無線局では、同時受信制御手段が、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することができる。これにより、送信無線局は、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号及び自局の信号のそれぞれの相関で、最適な(即ち、互いに干渉を及ぼさない)シンボル送信タイミングで信号を送信することが可能となり、受信無線局では、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することが可能となるため、従来のようにハンドオーバ時に「周波数の切替処理」を行う必要はなくなり、スムーズなハンドオーバを実現することができる。
また、付随的に以下の効果も得られる。ガードバンドの設定を小さく又は不要とすることができるので、周波数の有効利用が可能となる。また、同時に複数の送信無線局からの信号を受信することが可能となるので、マルチリンク伝送を実行することができる。また、小セルを形成する既存の他の送信無線局を干渉の影響をさほど考慮することなく自由に、新たな送信無線局を配置することが可能となる。更に、複数周波数帯を受信する受信無線局の受信部分の共通化が行えるので、受信無線局の容積の縮小化、製造費用の低コスト化を行うこと可能となる。
本発明は、無線通信方法に係る発明として、以下のように記述することができる。本発明に係る無線通信方法は、階層セル構造の無線通信システムにおいて、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局における無線通信方法であって、当該送信無線局が、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号を検出する信号検出工程と、当該送信無線局が、異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号を検出した場合に、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出するシンボル同期検出工程と、当該送信無線局が、検出したシンボル同期に基づいて小セル送信無線局が送信する信号の1シンボルのDFT区間内に、大セル送信無線局からの信号のシンボル境界が存在しないように行われるシンボル送信タイミングにより、送信すべき信号を送信する信号送信工程とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る無線通信方法は、階層セル構造の無線通信システムにおいて、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局からの信号を受信する受信無線局における無線通信方法であって、自局が階層セル構造における小規模セル内に移動した場合、自局が当該エリアをカバーする大規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であり、且つ、小規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であることを表す情報を、無線通信システムにおけるデータ転送装置に登録する登録工程と、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調する同時受信工程とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る無線通信方法は、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局と、送信無線局からの信号を受信する受信無線局とを含んで構成された階層セル構造の無線通信システムにおける無線通信方法であって、受信無線局が、送信無線局に対してシンボル同期の要請を行う同期要請工程と、送信無線局が、受信無線局からシンボル同期の要請を受けた場合に、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出するシンボル同期検出工程と、送信無線局が、検出したシンボル同期に基づいて小セル送信無線局が送信する信号の1シンボルのDFT区間内に、大セル送信無線局からの信号のシンボル境界が存在しないように行われるシンボル送信タイミングにより、送信すべき信号を送信する信号送信工程とを有することを特徴とする。
本発明は、無線通信プログラムに係る発明として、以下のように記述することもできる。本発明に係る無線通信プログラムは、階層セル構造の無線通信システムにおいて、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局に備えたコンピュータに実行させるための無線通信プログラムであって、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号を検出する信号検出ステップと、異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号を検出した場合に、少なくとも1つの受信信号に基づき、送信するシンボル同期を検出するシンボル同期検出ステップと、検出したシンボル同期に基づき導出されたシンボル送信タイミングに基づき、送信すべき信号を送信する信号送信ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明に係る無線通信プログラムは、階層セル構造の無線通信システムにおいて、送信するシンボルを周波数軸上に並べ1又は複数のキャリア周波数帯域を用いてエリア内の無線端末に信号を送信する送信無線局からの信号を受信する受信無線局に備えたコンピュータに実行させるための無線通信プログラムであって、自局が階層セル構造における小規模セル内に移動した場合、自局が当該エリアをカバーする大規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であり、且つ、小規模セルの送信無線局からの信号を受信可能であることを表す情報を、無線通信システムにおけるデータ転送装置に登録する登録ステップと、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調する同時受信ステップとを有することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、送信無線局は、自局と異なる伝送方式の少なくとも1つのキャリア周波数帯域信号及び自局の信号のそれぞれの相関で、最適な(即ち、互いに干渉を及ぼさない)シンボル送信タイミングで信号を送信することが可能となる。これに伴い、受信無線局では、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することが可能となるため、従来のようにハンドオーバ時に「周波数の切替処理」を行う必要はなくなり、スムーズなハンドオーバを実現することができる。
また、ガードバンドの設定を小さく又は不要とすることができるので、周波数の有効利用が可能となる。また、同時に複数の送信無線局からの信号を受信することが可能となるので、マルチリンク伝送を実行することができる。また、小セルを形成する既存の他の送信無線局を干渉の影響をさほど考慮することなく自由に、新たな送信無線局を配置することが可能となる。更に、複数周波数帯を受信する受信無線局の受信部分の共通化が行えるので、受信無線局の容積の縮小化、製造費用の低コスト化を行うこと可能となる。
以下、図面を参照して本発明に係る各種の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、図3の小セル送信無線局101及び受信無線局111の機能ブロック構成図、図4の大セル送信無線局からの受信シンボルと小セル送信無線局の送信シンボルとのタイミング関係を示す図を用いて説明する。また、大セル送信無線局は周波数帯f1を使用しており、小セル送信無線局は周波数帯f2を使用している場合として説明する。なお、本発明に係る「キャリア周波数帯域」とは、キャリア周波数又はサブキャリア周波数を意味し、送信無線局は1つのキャリアのみでデータを送信することもありうる。
小セル送信無線局101では、電源投入時又は周期的に又は連続して、周波数帯f1又は該周波数帯f1の一部を受信することにより、シンボル同期検出部105が、大セル送信無線局が送信しているデータのシンボルタイミングを検出する。該検出の具体的方法は、OFDM信号を受信する受信無線局が実行する一般的な方法を用いることで実現可能である。上記シンボル同期検出部105は、本発明に係る信号検出手段、及びシンボル同期検出手段に相当する。
例えば、シンボル同期検出部105は、図8に示すように、入力された複数の異なる伝送方式の信号のそれぞれについて1シンボルDFT区間の長さだけ遅延させる遅延器301と、遅延した信号と遅延しない信号とを用いてガードインターバル長(GI)の相関を行う相関器302と、該相関値が最大のタイミングを検出する最大相関値検出器303と、複数の異なる伝送方式の信号についてそれぞれの相関で最適な(干渉を及ぼさない)タイミングを導出するタイミング導出部304とを含んだ構成とすることができる。このシンボル同期検出部105において、1シンボルDFT区間の長さだけ遅延した信号と遅延しない信号とを用いて、ガードインターバル長(GI)の相関を行い、該相関値が最大のタイミングを検出し、さらに、複数の異なる伝送方式の信号についてそれぞれの相関で最適な(干渉を及ぼさない)タイミングを導出することで可能である。また、一般的には、大セル送信無線局からの信号は、フェージングなどの影響により時間的に電力及び位相が変動していると考えられるので、検出された最大のタイミングの時間的平均化を行うことで、シンボル同期の精度を向上させることができる。
そして、該シンボル同期検出部105は、検出した該タイミングを送信部102に出力する。該送信部102では、データ入力端4から入力されるデータをOFDM伝送信号に変調すると共に、該シンボル同期検出部105から入力されるタイミングに同期させて、該変調した信号を送信する。該タイミングの同期は、図4に示したように、小セル送信無線局が送信する信号の1シンボルのDFT区間内に、大セル送信無線局からの信号のシンボル境界が存在しないように行われる。したがって、許容できる同期のズレは、ガードインターバル長(GI)である。また同期の際には、アンテナ3Aからシンボル同期検出部105までの間において生じる遅延は考慮される。
なお、小セル送信無線局101は、OFDM伝送だけでなく、OFCDM伝送に対応可能な構成を採用することができる。その場合、小セル送信無線局101は、図3で破線で示した受信品質測定部104及び拡散率設定部103をさらに有する構成となる。かかる構成については、図9(b)を用いて後述する。
ここで、小セル送信無線局101の構成につき、さらに詳細に説明する。
図9(a)には小セル送信無線局101におけるOFDM信号の送信に係る構成を示す。同図に示すシンボル同期検出部105は、前述した図8の構成とされ、大セル送信無線局からの受信信号から、1シンボルのDFT区間内に大セル送信基地局からの信号のシンボル境界が存在しないように、シンボル同期を導出する。
一方、送信キャリア設定部102Aでは、図示しない制御部からの制御信号から与えられた送信キャリア数及びサブキャリアの使用状況に基づき、送信するサブキャリアを設定する。下位セル送信無線局(「階層セル構造における下位のセルの送信無線局」を意味し、図1における小セル送信基地局に相当する)が送信しようとするシンボル系列は、シリアル/パラレル変換部102Bにより、設定されたキャリア情報に基づき、上記シンボル系列を全部又は一部のサブキャリア数分の並列データにシリアル/パラレル(S/P)変換される。そして、並列データとされたシンボル系列は、IFFT部102Cでの逆FFT(IFFT)演算により、周波数軸上で直交したマルチキャリア成分に時間/周波数変換される。最後に、ガードインターバル(GI)挿入部102Dでマルチキャリア化された各サブキャリアのシンボルにガードインターバルが挿入される。このガードインターバルの挿入は、各シンボルの最後若しくはシンボル系列中のFFTサンプルに相当する信号波形を各シンボルの先頭にコピーすることで実現する。そして、上記GI挿入部102Dは、変調した信号をシンボル送信制御部102Eに出力し、上記シンボル送信制御部102Eは、シンボル同期検出部105から出力されたシンボル同期タイミングに基づき変調したシンボル系列を送信する。
図9(b)には小セル送信無線局101におけるOFCDM信号の送信に係る構成を示す。同図に示すシンボル同期検出部105は、前述した図8の構成とされ、大セル送信無線局からの受信信号から、1シンボルのDFT区間内に大セル送信基地局からの信号のシンボル境界が存在しないように、シンボル同期を導出する。
また、大セル送信無線局からの受信信号は受信品質測定部104にも入力され、受信品質を測定される。その測定された受信品質に基づいて、拡散率設定部103は下位セル送信無線局が送信すべき信号を拡散するか否かの判断を行い、拡散する場合には拡散率を設定し、拡散符号生成部102Fに出力する。拡散符号生成部102Fは、設定された拡散率から拡散符号を割り当てる。なお、一般的な拡散符号の割り当てでも、伝送速度の異なるユーザ毎に異なる拡散符号を選択して割り当てる日本国の特開平10−290211号公報に記載の方法でも良く、あらゆる拡散符号の割当て技術を適用できる。
一方、小セル送信無線局101が送信しようとするシンボル系列(送信信号)は、多重部102Gに入力され、多重部102Gによりチャネル推定用のパイロットビットが多重化される。また、送信キャリア設定部102Aでは、拡散率設定部103からの拡散率、及び図示しない制御部からの制御信号から与えられた送信キャリア数及びサブキャリアの使用状況に基づき、送信するサブキャリアを設定する。シリアル/パラレル変換部102Bは、設定されたキャリア情報に基づき、上記シンボル系列を(全部又は一部のサブキャリア数/拡散率)分の並列データにシリアル/パラレル(S/P)変換する。上記のシリアル/パラレル変換で並列データとされたシンボル系列は、コピー部102Hで同一の情報シンボルを拡散率(SF)数と使用するサブキャリア数の関係から、連続するサブキャリア及び時間軸上にコピーされる。具体的には、拡散率SFがサブキャリア数よりも大きい場合には、サブキャリア及び時間軸上にコピーされ、拡散率SFがサブキャリア数よりも小さい場合には、サブキャリアの一部にコピーされる。このとき、同一シンボルのSF個のサブキャリアへのコピーは、メモリに入力したシンボル系列を繰り返し読み出すことで実現できる。
その後、SF個の連続する同一のシンボル系列は、固有に割り当てられた、拡散率SFの拡散符号によって、合成部102Iにて拡散(スクランブル)される。そして、制御信号より入力されたサブキャリア数に応じて、FFT演算を行う次元を決定し、そのサブキャリア数に相当する拡散シンボル系列は、IFFT部102Cでの逆FFT(IFFT)演算により、周波数軸上で直交したマルチキャリア成分に時間/周波数変換される。最後に、ガードインターバル挿入部102Dでマルチキャリア化された各サブキャリアのシンボルにガードインターバルが挿入される。このガードインターバルの挿入は、各シンボルの最後若しくはシンボル系列中のFFTサンプルに相当する信号波形を各シンボルの先頭にコピーすることで実現する。そして、上記GI挿入部102Dはシンボル送信制御部102Eに変調した信号を出力し、上記シンボル送信制御部102Eは、シンボル同期検出部105から出力されたシンボル同期タイミングに基づき変調したシンボル系列を送信する。
次に、受信無線局111の構成及び動作を説明する。
図3に示すように、受信無線局111では、アンテナ16からの信号が、周波数帯f1及び周波数帯f2の両周波数帯を通過させるフィルタ112を介して、シンボルタイミング検出部18に入力され、受信したマルチキャリア信号からシンボルタイミング(FFT演算を行うタイミングであり、FFTウィンドウタイミングとも呼ばれる)が検出される。
なお、本実施形態では、周波数帯f1及びf2の2つの周波数帯について説明しているが、3つ以上の周波数帯でも同様である。また、該フィルタ112は、同期させることが困難である別システムの電波を遮断するために用いられる。該フィルタ112を通過した周波数帯f1及び周波数帯f2の信号は、受信部15にてまとめてDFT(Discrete Fourier Transform)処理が行われた後に、それぞれ復調される。受信部15の構成については、図10を用いて後述する。
そして、該受信部15にて復調された信号は、データ出力端17から出力される。このとき出力するデータは、周波数帯f1のみ、又は周波数帯f2のみ、又は周波数帯f1とf2で伝送されているデータとすることが可能である。つまり、本発明により複数周波数帯の信号を同時に受信することが可能となるので、スムーズなハンドオーバを実行することが可能となる。
また、小セル送信無線局が電車又はバスなどのように移動体の中に設置されて該移動体の中を小セル送信無線局のセルとする場合のように、小セル送信無線局からの受信電力に対して大セル送信無線局からの受信電力が大きく変動する場合でも、上記で説明したようにシンボルの同期を行うことで干渉を低減できるので、大セル送信無線局及び小セル送信無線局からの信号を同時に復調することが可能となる。
ここで、受信無線局111(特に受信部15)の構成につき、さらに詳細に説明する。
図10(a)には、受信無線局111におけるOFDM信号の送信に係る構成を示す。同図に示すように、大セル送信無線局からの受信信号は、周波数帯f1及び周波数帯f2(大セル送信無線局から3つ以上受信している場合はそれぞれの周波数帯fn)の両周波数帯を通過させるフィルタ112を介してシンボルタイミング検出部18に入力され、受信したマルチキャリア信号からシンボルタイミング(FFT演算を行うタイミングであり、FFTウィンドウタイミングとも呼ばれる)が検出される。このシンボルタイミングの検出は、ガードインターバル区間の相関検出により行うことが出来る。ガードインターバル除去部15Aは、上記のようにしてシンボルタイミング検出部18で検出されたシンボルタイミングから、ガードインターバルの信号を除去する。その後、除去された信号は、FFT部15Bで、推定したFFTウィンドウタイミングに基づいて離散フーリエ変換(DFT)が行われ、パラレル/シリアル変換部15Cにてパラレル/シリアル(P/S)変換され、復調部15Dに入力される。なお、復調部15Dでは、異なる伝送方式の複数のキャリア周波数帯域の信号から一部の信号を選択して復調するよう構成してもよい。
なお、上記フィルタ112は、同時に受信したい複数の周波数帯の信号以外の周波数帯の信号を除去する目的であるが、特定の上位セル送信無線局(「階層セル構造における上位のセルの送信無線局」を意味し、図1における大セル送信無線局に相当する)からの信号を受信する場合には、その周波数帯を選択することにより、必要な周波数帯以外の信号を除去することが出来ることは言うまでもない。その際に、フィルタ112は、図示しない制御部からの制御信号によりフィルタリングを行う周波数帯を設定し、またFFT演算を行う周波数帯が変化することから、上記制御信号により相互相関を行う次元をFFT部15Bに通知することで、必要な周波数帯のFFT演算を行わせることも可能である。
図10(b)には、受信無線局111におけるOFCDM信号の送信に係る構成を示す。同図に示すように、大セル送信無線局からの受信信号を周波数帯f1及び周波数帯f2(大セル送信無線局から3つ以上受信している場合はそれぞれの周波数帯fn)の両周波数帯を通過させるフィルタ112を介してシンボルタイミング検出部18に入力され、受信したマルチキャリア信号からシンボルタイミング(FFT演算を行うタイミングであり、FFTウィンドウタイミングとも呼ばれる)が検出される。このシンボルタイミングの検出は、ガードインターバル区間の相関検出により行うことが出来る。ガードインターバル除去部15Aは、上記のようにしてシンボルタイミング検出部18で検出されたシンボルタイミングから、ガードインターバルの信号を除去する。その後、除去された信号は、FFT部15Bで、推定したFFTウィンドウタイミングに基づいて離散フーリエ変換(DFT)が行われ、チャネル推定部15Eでは、各サブキャリアのチャネルインパルス応答(チャネル変動)が、パイロットシンボルを用いて推定される。同相加算部15Gは、この各サブキャリアのチャネル推定値と拡散に用いた拡散符号からSF個のサブキャリア成分のOFCDMシンボルを周波数軸上で同相加算(即ち、逆拡散)して、情報シンボル系列を生成する。この逆拡散した(全サブキャリア数/拡散率)個の情報シンボルは、パラレル/シリアル変換部15Cにより、パラレル/シリアル(P/S)変換され、復調部15Dに入力される。なお、復調部15Dでは、異なる伝送方式の複数のキャリア周波数帯域の信号から一部の信号を選択して復調するよう構成してもよい。
なお、上記フィルタ112は、同時に受信したい複数の周波数帯の信号以外の周波数帯の信号を除去する目的であるが、特定の上位セル送信無線局からの信号を受信する場合には、その周波数帯を選択することにより、必要な周波数帯以外の信号を除去することが出来ることは言うまでもない。その際には、フィルタ112は、図示しない制御部からの制御信号によりフィルタリングを行う周波数帯を設定し、またFFT演算を行う周波数帯が変化することから、上記制御信号により相互相関を行う次元をFFT部15Bに通知することで、必要な周波数帯のFFT演算を行わせることも可能である。
ところで、前述した本実施形態の送信無線局、受信無線局における処理は、各無線局に備えたコンピュータにより実行される無線通信プログラムの処理として捉えることもできる。以下、送信無線局における処理(図11)、受信無線局における処理(図12)を順に説明する。
送信無線局における処理の概要は、図11のように表すことができる。同図に示すように、送信無線局は、自局と異なる伝送方式の1つ又は複数のキャリア周波数帯域信号を受信したか否かを監視し(S01:信号検出ステップ)、異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号の受信が検出された場合、受信した当該信号から、送信するシンボル同期を検出する(S02:シンボル同期検出ステップ)。そして、検出したシンボル同期に基づいて、異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号と自局からの信号とが相互に干渉しないシンボル送信タイミングを導出し、当該シンボル送信タイミングで、送信すべき信号を送信する(S03:信号送信ステップ)。
一方、受信無線局については、自局が階層セル構造における小規模セル内に移動した場合に実行される以下の特徴的な処理を、無線通信プログラムの処理として捉えることができる。図12に示すように、受信無線局は、大セル送信無線局からの信号を受信可能であり、且つ、小セル送信無線局からの信号を受信可能であることを表す情報を、ネットワークのデータ転送装置(例えば、ネットワーク内で受信無線局の位置登録を実現している位置登録管理サーバ又はネットワーク内のルータ等)に登録する(S11:登録ステップ)。例えば、上記情報を受けたデータ転送装置は、当該受信無線局に送信するべきデータの種別に応じて、当該データを送信する送信無線局を選択することで、当該受信無線局に対し、マルチキャスト情報は大セル送信無線局から送信し、画像データ等のデータレートが高い個別の情報は小セル送信無線局から送信する、といったデータの種別に応じたデータ送信制御を行うことができる。また、上記判断はデータ量やトラフィック特性(例えば、非リアルタイム、リアルタイム)等によっても送信無線局を選択できることは言うまでもなく、上記実施形態に限定されるものではない。
かかる複数のキャリア周波数帯域の信号が送信されてきた受信無線局では、当該複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調する(S12:同時受信ステップ)。
例えば、図7に示したように、受信無線局が小セル送信無線局からの信号の受信が可能な場所に移動した時に、小セル送信無線局#3のセル内に移動したことを大セル送信無線局#1又は小セル送信無線局#3を介して、前述したデータ転送装置に対して通知することで、該小セル送信無線局のセル内にいる時は、常時、大セル送信無線局と小セル送信無線局からデータを受信することが可能となる。
従って、広範囲なエリア内に位置する複数の受信無線局に同一の情報を伝送するマルチキャスト情報の送信の場合は大セル送信無線局から該マルチキャスト情報を送信し、特定の受信無線局に対する大容量情報の送信の場合は小セル送信無線局から該大容量情報をそれぞれ独立的に送信することも可能となる。
以上のように、本実施形態の送信無線局、受信無線局における処理は、各無線局に備えたコンピュータにより実行される無線通信プログラムの処理として捉えることができる。
次に、本実施形態の効果について、図5の受信無線局のDFT後の大セル送信無線局からのスペクトルと小セル送信無線局からのスペクトルの図を用いて説明する。
受信無線局におけるDFT区間の設定は、小セル送信無線局からの信号に同期させている。また、大セル送信無線局が使用している周波数帯と小セル送信無線局が使用している周波数帯の間には、ガードバンドを設けていない。つまり、全サブキャリア周波数の間隔は、同一である。大セルのセル半径は、小セルのセル半径と比較して大きいため、大セル送信無線局の等価等方放射電力(Equivalent Isotropically Radiated Power:EIRP)は、小セル送信無線局のEIRPよりも大きい。したがって、大セル送信無線局の近傍に存在する小セルの中に位置する受信無線局では、図5に示したように、大セル送信無線局からの電波の方が高い電力で受信される。
正規化した周波数が0〜1に示されている矩形型スペクトルが小セル送信無線局からの信号をDFT処理した後のスペクトルである。また、正規化した周波数が−1〜0において矩形型となっているスペクトルが、大セル送信無線局からの信号をDFT処理した後のスペクトルである。このように、本発明の同期を行うことで、小セル送信無線局が使用している周波数帯に漏れ込む干渉量を大きく低減できることが分かる。また、同期を行っても該周波数帯に漏れ込む干渉が存在するのは、増幅器におけるひずみが原因である。このようなひずみによる干渉は、熱雑音が増加した状態と同様であるので、該ひずみによる干渉に対しては、拡散変調も併せて行うことにより、該干渉を低減することが可能となる。
なお、受信無線局において、送信無線局に対してシンボル同期の要請を行う同期要請手段を設け、当該受信無線局の同期要請手段からのシンボル同期の要請をトリガーとして、送信無線局がシンボル同期検出及び送信タイミング制御を行う実施態様を採用することもできる。かかる態様では、上記と同様に、受信無線局は、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することが可能となるため、従来のようにハンドオーバ時に「周波数の切替処理」を行う必要はなくなり、スムーズなハンドオーバを実現することができる。また、ガードバンドの設定を小さく又は不要とすることができるので、周波数の有効利用が可能となる。また、同時に複数の送信無線局からの信号を受信することが可能となるので、マルチリンク伝送を実行することができる。また、小セルを形成する既存の他の送信無線局を干渉の影響をさほど考慮することなく自由に、新たな送信無線局を配置することが可能となる。更に、複数周波数帯を受信する受信無線局の受信部分の共通化が行えるので、受信無線局の容積の縮小化、製造費用の低コスト化を行うこと可能となる。
また、本発明に係る送信無線局は、基地局に限られず、移動局であっても良く、複数の移動局同士のマルチホップ接続によるパーベイシブネットワークに適用される場合には、一の移動局(受信無線局に相当)の同期要請手段が他の移動局(送信無線局に相当)にシンボル同期を要請し、他の移動局がシンボル同期検出及び送信タイミング制御を行うことで、移動局同士の自律的な送信タイミング制御を実現することができる。
さらに、小セル送信無線局でのシンボル同期の精度(安定度)は、該小セル送信無線局が固定して設置されていること、アンテナ利得が受信無線局よりも高いこと、及び該小セル送信無線局のアンテナの設置環境が受信無線局のアンテナの設置環境よりも良いことによって、受信無線局でのシンボル同期の精度(安定度)よりも高い、と考えられます。また、小セル送信無線局と受信無線局との間は、大セル送信無線局と該受信無線局との間よりも、より多くの場面において見通しの良い環境となることが想定されます。つまり、受信無線局でのシンボル同期の精度(安定度)は、大セル送信無線局に対してシンボル同期を実行する場合よりも、小セル送信無線局に対してシンボル同期を実行する場合の方が、より高い、と考えられます。
以上より、受信無線局は、小セル送信無線局に対してシンボル同期を実行することで、より安定的に大セル送信無線局からの信号を受信できる(即ち、小セル送信無線局に対してシンボルを同期させることで、等価的に、シンボルを大セルにも同期させることとなる)、と考えられます。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、図6の送信無線局と受信無線局の機能ブロック構成図を用いて説明する。本実施形態では、周波数帯f3を使用する送信無線局と、周波数帯f4を使用する送信無線局として説明する。送信無線局は、大セル送信無線局又は小セル送信無線局のいずれでも適用可能である。また、2つの周波数帯を用いた場合について説明するが、3つ以上の周波数帯を用いた場合でも同じである。
送信無線局201の送信部202と送信無線局221の送信部202は、シンボル同期基準源230から出力される信号により送信シンボルのシンボル同期が行われる。つまり、送信無線局201のデータ入力端4から入力されるデータと、送信無線局221のデータ入力端4から入力されるデータは、お互いのシンボルが同期して送信される。この時のシンボルの同期は、図4に示したように、1シンボルのDFT区間内に他送信無線局が送信する信号のシンボル境界が存在しないように行われる。図6のシンボル同期基準源230(特に、送信部202に対して同期要請信号を送信する部分)は、本発明に係る「同期要請手段」に相当する。また、本説明ではシンボル同期基準源を独立に設けたが、それ以外として、いずれかの送信無線局の中にシンボル同期基準源を設け、該シンボル同期基準源を持たない送信無線局は、該シンボル同期基準源を持つ送信無線局に同期する方法を採用してもよい。また、全ての送信無線局の中にシンボル同期基準源を設け、自局のシンボル同期基準源と他の送信無線局のシンボル同期基準源とで有線又は無線を用いて相互に連携して、シンボル同期を行う方法を採用してもよい。このとき、各送信無線局は、相互に連携し、各送信無線局が送信すべき信号の送信キャリア周波数が互いに直交関係となるように設定することが望ましい。即ち、送信無線局が、他の送信無線局からの受信信号に基づき周波数間隔を検出する周波数間隔検出手段と、検出した周波数間隔に基づいて、当該他の送信無線局の送信キャリア周波数と直交関係となるように、送信キャリア周波数を設定する周波数設定手段とを備えることとすれば、送信無線局は、自局と異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号及び自局の信号のそれぞれの相関で、最適な(互いに干渉を及ぼさない)シンボル送信タイミングで信号を送信することができる。なお、周波数設定の一例は、後述する。
受信無線局211では、アンテナ16からの信号を周波数帯f3及び周波数帯f4の両周波数帯を通過させるフィルタ112を介して受信部15に入力する。そして、該受信部15にてDFT及び復調された信号は、データ出力端17から出力される。この時の出力するデータは、周波数帯f3のみ、又は周波数帯f4のみ、又は周波数帯f3とf4で伝送されているデータとすることが可能である。
上記の第1、第2実施形態で説明したように、本発明の適用により、以下の効果が得られる。即ち、送信無線局は、自局と異なる伝送方式のキャリア周波数帯域信号及び自局の信号のそれぞれの相関で、最適な(互いに干渉を及ぼさない)シンボル送信タイミングで信号を送信することが可能となり、受信無線局では、複数のキャリア周波数帯域の信号を同時に受信して復調することが可能となるため、従来のようにハンドオーバ時に「周波数の切替処理」を行う必要はなくなり、スムーズなハンドオーバを実現することができる。
また、ガードバンドの設定を小さく又は不要とすることができるので、周波数の有効利用が可能となる。また、同時に複数の送信無線局からの信号を受信することが可能となるので、マルチリンク伝送を実行することができる。また、小セルを形成する既存の他の送信無線局を干渉の影響をさほど考慮することなく自由に、新たな送信無線局を配置することが可能となる。更に、複数周波数帯を受信する受信無線局の受信部分の共通化が行えるので、受信無線局の容積の縮小化、製造費用の低コスト化を行うこと可能となる。
ここで、周波数設定の一例について、図13〜図15を用いて説明する。大セル送信無線局等の他の送信無線局からの受信信号は、乗算器311A、311Bによって局部発振器317からの信号と乗算された後に、それぞれローパスフィルタ312A、312Bを介することにより、ベースバンド信号(rI,rQ)に変換される(乗算器311Bには(π/2)位相変換された信号が入力される)。該ベースバンド信号(rI,rQ)は、それぞれ、1シンボルDFT区間長の時間だけ遅延させるための遅延器313A、313Bによって、遅延されたベースバンド信号(r-I,r-Q)となる。次に、遅延させないベースバンド信号(rI,rQ)と遅延させたベースバンド信号(r-I,r-Q)とに対し、それぞれ乗算および加算が実行される。この処理は、遅延させない複素ベクトル信号に、遅延させた複素ベクトル信号の複素共役を乗算する処理に相当する。
図14(a)に示したように、OFDM信号の一部がガードインターバル部分にコピーされているので、乗算するタイミングが一致する場合(信号と該信号のコピー個所との乗算をする場合)、図14(b)に記載した複素平面上において、時間的に変動しないベクトルが得られる。従って、ガードインターバル長だけベクトルを積分する積分器314A、314Bでは、同一ベクトル同士の加算となるので、該積分後のベクトルの大きさは、設定された閾値以上の値となる。一方、乗算するタイミングが不一致の場合(信号と該信号のコピー個所以外との乗算をする場合)、図14(c)に記載した複素平面上において、乗算結果は、時間的に変動するベクトルとなる。従って、同位相で積分されないため、該積分後のベクトルの大きさは閾値以下の値となる。該積分後ベクトルの大きさが閾値以上で且つ最大値となるタイミングが、DFTするシンボルタイミングとなる。
しかしながら、局部発振器317の周波数がOFDM信号のいずれのサブキャリア信号の周波数とも同一でない場合は、たとえシンボルタイミングが一致している場合であっても、遅延器313A、313Bに設定された1シンボルDFT区間長の間に、該周波数の差だけ位相が回転するため、図15(a)に示すI軸との成す角がゼロのベクトルではなく、図15(b)に示すI軸との成す角がθ[rad]のベクトルが得られる。図13では、Tanメモリ315に記憶されている積分後のそれぞれの信号の振幅とθとの関係を検索することで、θ[rad]を得る。そして、周波数差計算部316において、以下の式(1)の計算をすることで、ずれている周波数の値(△f)が得られる。
Δf[Hz]=(1/2π)×(θ/T) ・・・(1)
この式(1)にて、△f[Hz]は局部発振器317の周波数とOFDM信号のそれぞれのサブキャリア信号の周波数との差の最小値であり、θ[rad]は積分後ベクトルの偏角であり、T[sec]は遅延器313A、313Bに設定された遅延時間(1シンボルDFT区間長)である。
そして、局部発振器317に対し、得られた周波数ズレを補正することで、周波数を同調させる。周波数が同調した状態は、該自局の局部発振器317が他の送信無線局からの信号の送信周波数に同調した状態であるので、該局部発振器317を該自局が送信する信号の送信周波数に用いることで、それぞれの送信無線局からの信号の送信キャリア周波数は直交関係となる。
なお、上記第1、第2実施形態における小セル送信無線局は、無線LANであっても良く、その他の小規模なエリア内の無線通信網であっても良い。
1、101、201、221…送信無線局、11、111、211…受信無線局、2、102、202…送信部、3、3A、16…アンテナ、4…データ入力端、12、13、112、212…フィルタ、14…切替器、15…受信部、15A…ガードインターバル除去部、15B…FFT部、15C…パラレル/シリアル変換部、15D…復調部、15E…チャネル推定部、15F…拡散符号設定部、15G…同相加算部、17…データ出力端、18…シンボルタイミング検出部、80…セル、90…エリア、102A…送信キャリア設定部、102B…シリアル/パラレル変換部、102C…IFFT部、102D…ガードインターバル挿入部、102E…シンボル送信制御部、102F…拡散符号生成部、102G…多重部、102H…コピー部、102I…合成部、103…拡散率設定部、104…受信品質測定部、105…シンボル同期検出部、230…シンボル同期基準源、301…1シンボルDFT区間の長さの遅延器、302…ガードインターバル長のスライディング相関器、303…最大相関値検出器、304…タイミング導出部、311A、311B…乗算器、312A、312B…ローパスフィルタ、313A、313B…遅延器、314A、314B…積分器、315…Tanメモリ、316…周波数差計算部、317…局部発振器。