JP4217596B2 - アンテナ一体型モジュール - Google Patents

Description

本発明は、通信や放送に用いられる小型の送受信ユニット等として好適なアンテナ一体型モジュールに関するものである。

近年、無線通信技術の発達に伴い、小型の送受信ユニットを組み込んだ電子機器や無線カードが種々提案されている。この種の送受信ユニットは、高周波回路が設けられた回路基板上にアンテナ素子が具備されているアンテナ一体型の高周波モジュールであって、従来のアンテナ一体型モジュールでは、高周波回路の主要部分が配設されている回路基板上の所定領域を板金製のシールドケースで覆い、回路基板上の別の領域にチップアンテナやパターンアンテナ等のアンテナ素子を設けるという構成が一般的である（例えば、特許文献１参照）。

かかる従来のアンテナ一体型モジュールにおいて、高周波回路は、回路基板の上面等に形成された配線パターンと、この配線パターンに接続されたチップ部品やＩＣ等の各種回路部品と、回路基板の底面や内層等に形成された接地導体とで構成されており、配線パターンの一部がシールドケースの外方へ延出してアンテナ素子の給電部に接続されている。また、接地導体は、回路基板に設けられたビアホール等を介してアンテナ素子の接地部に接続されていると共に、シールドケースにも接続されている。このシールドケースは高周波回路の主要部分を覆った状態で回路基板に取り付けられているため、高周波回路は電磁的にほぼシールドされた状態に保たれている。
特開２００２−２３２２２１号公報（第４−６頁、図１）

前述したように、従来のアンテナ一体型モジュールでは、回路基板上にアンテナ素子とシールドケースとが並設されており、このシールドケースが高周波回路の主要部分を覆っているため、シールドケースとアンテナ素子とを可能な限り近接させたとしても、モジュール全体として見ると平面的にやや大きなサイズになってしまい、小型化が促進しにくいという問題があった。また、従来のアンテナ一体型モジュールでは、アンテナ素子用のスペースが狭いことから、放射導体部に所望の電気長を確保するためチップアンテナ等の別体のアンテナ素子を回路基板上に実装しなければならぬことが多く、それゆえ部品点数が増えて製品のコストアップを余儀なくされるという問題があった。

本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、小型化に好適で製造コストも低減できるアンテナ一体型モジュールを提供することにある。

上記の目的を達成するために、本発明のアンテナ一体型モジュールでは、接地導体上に設けられた誘電体基板と、この誘電体基板上に設けられた接続ランドと、前記誘電体基板上に搭載された高周波回路の回路部品群と、この回路部品群の少なくとも一部を覆う金属板からなる放射導体板とを備え、前記放射導体板に給電端子片と接地端子片および脚片とを折り曲げ形成し、前記給電端子片を前記高周波回路の給電ラインに接続すると共に、前記接地端子片を前記接地導体に接続し、かつ、前記脚片を前記接続ランドに半田付けして前記放射導体板を支える構成とし、前記誘電体基板の長手方向の一端部側に前記給電端子片と接地端子片とを近接配置すると共に、この誘電体基板の長手方向の他端部側にコネクタを配設した構成とした。

このように構成されたアンテナ一体型モジュールにあっては、高周波回路の少なくとも一部を覆って接地された金属板製の放射導体板が逆Ｆ型アンテナとして動作するため、回路基板上にアンテナ素子とシールドケースとを並設する必要がなくなり、しかも、放射導体板に折り曲げられた脚片を搭載して半田付けされている接続ランドが誘電体基板を介して接地導体に対向しているため、これら接続ランドと接地導体との間に付加容量が形成されることになり、共振周波数が低下して放射導体板を小型化できる。すなわち、本発明のアンテナ一体型モジュールでは、逆Ｆ型アンテナがシールドケースを兼ねているだけでなく、この逆Ｆ型アンテナ自体の小型化も図られているため、モジュール全体を著しく小型化できると共に、部品点数の削減により製造コストを低減することができる。

上記の構成において、放射導体板に複数の脚片を折り曲げ形成し、これら脚片を誘電体基板上に設けられた各接続ランドに半田付けことが好ましい。これにより、放射導体板を誘電体基板上に安定的に支持できると共に、複数の接続ランドの大きさや配置に応じて共振周波数が変化するため、共振周波数の微調整を容易に実現できる。

また、上記の構成において、誘電体基板の長手方向の一端部側に給電端子片と接地端子片とを近接配置すると共に、この誘電体基板の長手方向の他端部側にコネクタを配設することにより、逆Ｆ型アンテナの動作時に誘電体基板の一端部側とコネクタ間で電流が流れ、モノポールアンテナやダイポールアンテナと同様に無指向性の放射パターンとなるため、パソコン等の電子機器本体にコネクタを挿着した状態で使用可能な送受信ユニットとして好適なアンテナ一体型モジュールを実現できる。

また、上記の構成において、接地導体を多層基板からなる誘電体基板の内層に形成し、この多層基板の底面に他の回路部品群を実装すると、誘電体基板の占有面積をより一層有効利用できて好ましい。

本発明のアンテナ一体型モジュールは、高周波回路の少なくとも一部を覆って接地された金属板製の放射導体板を逆Ｆ型アンテナとして動作させることにより、アンテナ素子がシールドケースを兼ねた構成となり、しかも、この逆Ｆ型アンテナの脚片に半田付けされた接続ランドと接地導体との間に付加容量が形成されることにより、共振周波数が低下して逆Ｆ型アンテナ自体の小型化も図られているため、モジュール全体を著しく小型化できると共に、部品点数の削減により製造コストを低減することができる。

発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図１は本発明の実施形態に係る無線カードの斜視図、図２は該無線カードに備えられるアンテナ一体型モジュールの平面図、図３は該アンテナ一体型モジュールの断面図である。

図１に示す無線カード１は、図示せぬパソコン等の電子機器本体の挿入口に挿着することにより、該電子機器本体と周辺機器との間で無線データの送受信を行う送受信ユニットであり、ＵＳＢコネクタ等のコネクタ部２と、後述するアンテナ一体型モジュール３と、このアンテナ一体型モジュール３を収納する合成樹脂製のケース４とを具備している。

図２と図３に示すように、アンテナ一体型モジュール３は、高周波回路が配設された回路基板５と、回路基板５上に取り付けられた金属板製のアンテナ素子６とによって主に構成されており、この回路基板５は内層に接地導体７を有する誘電体多層基板からなる。回路基板５は長方形の一端側の２隅を切り欠いた形状に形成されており、アンテナ素子６はこの回路基板５の一端側のほぼ半面を覆うように取り付けられ、前述したコネクタ部２は回路基板５の長手方向の他端側に取り付けられている。このモジュールの高周波回路は、回路基板５の上面および底面に形成された図示せぬ配線パターンと、これら配線パターンに接続されたチップ部品やＩＣ等からなる回路部品群８，９と、回路基板５の内層の前記接地導体７とで構成されており、回路基板５の上面には配線パターンと電気的に孤立した３つの接続ランド１０が形成されている。

アンテナ素子６は、回路基板５に対向して平行に配置された放射導体板６ａと、この放射導体板６ａに対して略直角に折り曲げられた給電端子片６ｂと接地端子片６ｃおよび３本の脚片６ｄとによって構成されており、回路基板５の上面に搭載された回路部品群８の一部は放射導体板６ａによって覆われている。この放射導体板６ａは回路基板５の形状に合わせて五角形状に形成されており、給電端子片６ｂと接地端子片６ｃは放射導体板６ａの隣り合う２辺が交差するコーナ部に近接した状態で形成され、各脚片６ｄは放射導体板６ａの他のコーナ部に分散した状態で形成されている。そして、給電端子片６ｂの下端は図示せぬ配線パターンの給電ラインに接続され、接地端子片６ｃの下端は図示せぬビアホール等を介して接地導体７に接続され、残りの各脚片６ｄの下端は対応する接続ランド１０に半田付けされている。すなわち、このアンテナ素子６は逆Ｆ型板金アンテナと同等の構成になっており、金属板製で接地導体７に接続されているため、高周波回路の主要部分を覆うシールドケースと見なすこともできる。

このように構成されたアンテナ一体型モジュールは、高周波回路の少なくとも一部を覆って接地された金属板製のアンテナ素子６が逆Ｆ型アンテナとして動作すると共に、高周波回路を電磁的にシールドするシールドケースとしても動作するため、回路基板５上にアンテナ素子とシールドケースとを並設する必要がなくなる。しかも、アンテナ素子６の放射導体板６ａに折り曲げ形成した各脚片６ｄがそれぞれ接続ランド１０上に搭載されて半田付けされているが、これら接続ランド１０は回路基板５の誘電体基板を介して接地導体７と対向しているので、各接続ランド１０と接地導体との間に付加容量が形成される。したがって、アンテナ素子６の共振周波数は、該付加容量が存しないと仮定した場合に比べて低くなり、それゆえ、特定の周波数で共振させるために必要な放射導体板６ａの大きさを縮小できる。すなわち、逆Ｆ型アンテナとして動作するアンテナ素子６がシールドケースを兼ねているだけでなく、アンテナ素子６自体の小型化も図られているため、モジュール全体を著しく小型化できると共に、部品点数の削減により製造コストを低減することができる。

また、このアンテナ素子６は、各脚片６ｄをそれぞれ接続ランド１０上に搭載して半田付けすることにより、放射導体板６ａを回路基板５上に安定的に支持できると共に、各接続ランド１０の大きさや配置に応じて変化する付加容量を適宜調整することにより、共振周波数を変化させることができるため、共振周波数の微調整や広帯域化を容易に実現することができる。

また、回路基板５上に載置したアンテナ素子６の給電端子片６ｂと接地端子片６ｃを該回路基板５の長手方向の一端部側に近接配置すると共に、この回路基板５の長手方向の他端部側にコネクタ部２を配設したので、アンテナ素子６の動作時に回路基板５の一端部側とコネクタ部２間で電流が流れ、モノポールアンテナやダイポールアンテナと同様に無指向性の放射パターンとなる。それゆえ、このアンテナ一体型モジュール３を内蔵アンテナを介して送受信が可能な無線カード１に適用することにより、安価で小型化に好適な無線カード１を実現できる。

また、回路基板５として内層に接地導体７を形成した誘電体多層基板を使用し、この誘電体多層基板の底面に他の回路部品群９を実装したので、回路基板５の限られた占有面積をより一層有効利用することができる。

なお、上記実施形態例では、アンテナ素子６の放射導体板６ａを五角形状に形成し、この放射導体板６ａの外縁部に３本の脚片６ｄを折り曲げ形成した場合について説明したが、放射導体板６ａの形状や脚片６ｄの本数はこれに限定されず、例えば放射導体板６ａを矩形状や円形に形成したり、２または４本以上の脚片６ｄを形成しても良い。また、放射導体板６ａに直線形状やメアンダ形状のスリットを形成することも可能であり、この場合、放射導体板６ａを流れる高周波電流の経路長が長くなって共振周波数が低下するため、アンテナ素子６をより一層小型化することができる。

また、上記実施形態例では、回路基板５上に搭載された回路部品群８の一部を放射導体板６ａで覆った場合について説明したが、この回路部品群８の全てを放射導体板６ａで覆っても良い。さらに、回路基板５として単層の誘電体基板を使用し、この誘電体基板の底面に接地導体７を形成することも可能であり、この場合、回路基板５の底面に搭載された回路部品群９を省略すれば良い。

本発明の実施形態に係る無線カードの斜視図である。 該無線カードに備えられるアンテナ一体型モジュールの平面図である。 該アンテナ一体型モジュールの断面図である。

符号の説明

１ 無線カード
２ コネクタ部
３ アンテナ一体型モジュール
５ 回路基板
６ アンテナ素子
６ａ 放射導体板
６ｂ 給電端子片
６ｃ 接地端子片
６ｄ 脚片
７ 接地導体
８，９ 回路部品群
１０ 接続ランド

Claims (3)

1. 接地導体上に設けられた誘電体基板と、この誘電体基板上に設けられた接続ランドと、前記誘電体基板上に搭載された高周波回路の回路部品群と、この回路部品群の少なくとも一部を覆う金属板からなる放射導体板とを備え、
   前記放射導体板に給電端子片と接地端子片および脚片とを折り曲げ形成し、前記給電端子片を前記高周波回路の給電ラインに接続すると共に、前記接地端子片を前記接地導体に接続し、かつ、前記脚片を前記接続ランドに半田付けして前記放射導体板を支える構成とし、前記誘電体基板の長手方向の一端部側に前記給電端子片と接地端子片とを近接配置すると共に、この誘電体基板の長手方向の他端部側にコネクタを配設したことを特徴とするアンテナ一体型モジュール。
   
2. 請求項１の記載において、前記放射導体板の複数個所に前記脚片を折り曲げ形成し、これら脚片によって前記放射導体板を前記誘電体基板上に支持したことを特徴とするアンテナ一体型モジュール。
3. 請求項１または２の記載において、前記誘電体基板が内層に前記接地導体を有する多層基板であり、この多層基板の底面に他の回路部品群が実装されていることを特徴とするアンテナ一体型モジュール。

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