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JP4213062B2 - 環境対応型クリーンガソリンおよびその製造方法 - Google Patents

環境対応型クリーンガソリンおよびその製造方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、環境への影響を低減したガソリンとその製造方法に関する。特に、硫黄分、アロマ分などを低減するとともに十分なオクタン価を確保することで、環境への影響を低減しつつ十分な運転特性を確保したガソリンに関する。
近年、自動車燃料による環境への影響が懸念されており、環境負荷の少ない自動車燃料が切望されている。ガソリンエンジン用燃料油中の硫黄分は燃焼時に排ガス触媒の性能を低下させることが知られており、10質量ppm以下、さらに1質量ppm以下に低減する要求が高まっている。加えて、ガソリン中アロマ(芳香族炭化水素)、オレフィン(不飽和炭化水素)も環境に悪影響を及ぼす可能性が指摘されつつある。一方、ガソリンエンジンを用いた自動車の運転性能を確保するためには、高いオクタン価と適切な蒸留性状を維持することが必要となる。高オクタン価燃料基材としては、例えばアロマ分(芳香族分、芳香族炭化水素含有量)に富むものが多く用いられ、排ガス中の芳香族化合物の量が増加することとなる。
また、燃料中の低沸点留分の揮散を低減させることも望まれているが、単に燃料中の低沸点留分を減少させるだけでは、運転性能、特に始動性の悪化を引き起こすという問題が生じる。さらに、現在の燃料油基材や製造プロセスを用い、ガソリン燃料の硫黄分を10質量ppm以下とする場合には、使用する基材の性状やブレンド比率によっては、製品の運転性能の悪化を引き起こすことがある。
そこで、高オクタン価成分であるアロマ、オレフィンを用いる代わりに、比較的オクタン価の高いイソパラフィンを主成分とするガソリン基材を製造する必要がある。このような基材の製造方法としては、異性化反応やアルキレーション反応が知られている。例えば、特許文献1では、オレフィンやアロマを低減し、イソパラフィン比率を高めたガソリンの製造方法を開示している。しかし、この方法では、イソパラフィンが多い場合でも50%に達しておらず、アロマ分も20%を越えている。また、特許文献2では、オレフィンやアロマを低減した環境対応型ガソリンの製造方法について開示している。しかし、この方法では、アロマ分を15〜35%含んでおり、排ガス中芳香族炭化水素の低減には未だ不十分なレベルであった。
特願2000−336374 特表2003−501513
このように、従来、オクタン価などの運転性能を維持し、同時に、硫黄分、アロマ分などを十分に低減したガソリンと、その製造方法は提案されていない。本発明の目的は、ガソリン燃料において、オクタン価などの運転性能を維持し、硫黄分、アロマ分などを十分に低減したクリーンガソリンおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、異性化工程とアルキレーション工程とを組み合わせることにより目的とするクリーンガソリンを製造できることを見出し、この発明に至った。
すなわち、本発明による環境対応型クリーンガソリンの製造方法は、(a)炭化水素からなる原料油から少なくとも120〜170℃の沸点成分を含む重質留分を分取する分留工程と、(b)アロマ分が10容量%以下の該重質留分を異性化し異性化重質留分とする異性化工程と、(c)異性化工程で発生した炭素数3および4の炭化水素を原料としてアルキレートを製造するアルキレーション工程と、(d)少なくとも前記異性化重質留分と前記アルキレートを配合してクリーンガソリンとする配合工程を有するものである。
好ましくは、(a)分留工程の原料油が、石油精製工程から得られる流動接触分解油であり、また前記分留工程においては重質留分とともに少なくとも40℃〜70℃の沸点成分を含む軽質留分を分取することを含み、該軽質留分からチオールを除去して脱硫軽質留分とする脱硫工程を有し、(b)該重質留分を異性化処理の前に核水添反応が進行する条件で水素化処理する水添工程を有し、(d)配合工程でさらに前記脱硫軽質留分を配合する。さらに、(b)異性化処理が、水素の存在下で重質留分を異性化触媒に接触させるものであり、特には、異性化触媒が、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれるIV族金属成分の1種以上を金属成分として含む担体に白金族金属成分が担持された固体酸触媒であることが好ましい。
また、本発明による環境対応型クリーンガソリンは、前記製造方法により製造される環境対応型クリーンガソリンであって、リサーチ法オクタン価が92.0以上であり、50容量%留出温度が90℃以下、アロマ分が1容量%以下、オレフィン分が20容量%以下、イソパラフィン分が60容量%以上、全硫黄分が1質量ppm以下およびリード法蒸気圧が45kPa以上、72kPa以下であり、さらに好ましくは、炭素数4の炭化水素が5容量%以下、炭素数8以上のイソパラフィン分が20容量%以上60容量%以下である。
本発明の製造方法によれば、特定の沸点範囲の留分を異性化するとともに、その異性化で副生する成分を原料としてアルキレートを製造してイソパラフィン分を増大化できるものであるため、硫黄分、アロマ分が十分に低い場合にも、運転性能を維持したクリーンガソリンを効率的に製造することができる。また、本発明のクリーンガソリンは、イソパラフィン分の含有量を増大化し、かつ蒸留性状を選択することで、硫黄分、アロマ分が十分に低くても、運転性能を維持できる。
〔原料油〕 本発明の原料油としては、石油精製工程で得られる炭化水素油やフィッシャー−トロプシュ(Fischer-Tropsch)法により合成される炭化水素を原料として得られるいわゆるGTL油を用いることができる。特には、後述の流動接触分解油が好ましく用いられる。
〔重質留分〕 重質留分は、原料油から少なくとも120〜170℃の沸点成分を含む留分を蒸留などにより分取したものである。好ましい蒸留性状は、10%留出温度が80〜130℃、特には、100〜110℃であり、95%留出温度が160〜220℃、特には、180〜200℃である。
重質留分は、アロマ分が10容量%以下、好ましくは5容量%以下、さらに好ましくは1容量%以下であり、異性化処理前に核水添反応が進行する条件で水素化処理されることが好ましいが、GTL油などを原料油とする場合には特に処理は必要ない。また、重質留分は、硫黄分は5質量ppm以下、特には1質量ppm以下、オレフィン分は2容量%以下、特には0.5容量%以下が好ましい。
〔流動接触分解油〕 接触分解油を製造するプロセスは、接触分解装置、運転条件および用いる触媒を特に限定するものでなく、公知の任意の製造工程を採用できる。接触分解装置は、無定形シリカアルミナ、ゼオライトなどの触媒を使用して、軽油から減圧軽油までの石油留分の他、重油間接脱硫装置から得られる間脱軽油、重油直接脱硫装置から得られる直脱重油、常圧残さ油などを接触分解して高オクタン価ガソリン基材を得る装置である。例えば石油学会編「新石油精製プロセス」に記載のあるUOP接触分解法、フレキシクラッキング法、ウルトラ・オルソフロー法、テキサコ流動接触分解法などの流動接触分解法、RCC法、HOC法などの残油流動接触分解法などがある。
〔軽質留分〕 軽質留分は、流動接触分解油から少なくとも40〜70℃の沸点成分を含む留分を蒸留などにより分取したものである。好ましい蒸留性状は、10%留出温度が10〜60℃、特には、30〜50℃であり、95%留出温度が40〜90℃、特には、60〜75℃である。流動接触分解油には、イソブタンで代表される炭素数4のイソパラフィンが多く含まれているので、これらを分離して後述のアルキレーションの原料とすることもできる。
〔軽質留分の脱硫工程〕 軽質留分は、脱硫工程において、チオールが除去され脱硫軽質留分となる。脱硫軽質留分の硫黄分は10ppm以下、特には1ppm以下が好ましい。具体的には、アルカリ性物質と接触させて接触分解ナフサ中のチオールを抽出する方法や硫黄化合物の吸着または収着機能をもった脱硫剤と接触分解軽質留分を接触させる方法によって接触分解軽質留分から硫黄化合物を選択的に除去する方法が好ましい方法として挙げられる。また、脱硫の方法の1つとして触媒と水素の存在下で、水素化精製処理する方法も挙げられるが、高圧の水素の存在下では、オレフィンが水素化されやすく、RON(リサーチ法オクタン価)が低下しやすい。そのため、脱硫処理は、水素が実質的に存在しない状態、または水素分圧1MPa未満で行うことが好ましい。
従来から石油精製においては、チオールを処理して製品を無臭化するためのスイートニングが行われており、酸化スイートニング法、抽出スイートニング法および抽出酸化スイートニング法の3通りに大別される。酸化スイートニング法はチオールをジスルフィド類に転化するのみであり、硫黄分を減ずることはできないが、抽出スイートニング法および抽出酸化スイートニング法は油中のチオールをアルカリ溶液中に吸収させることによって分離できるため、硫黄分を減ずることができる。公知の方法は、本発明においてアルカリ処理による脱硫方法として適用できる。具体的には、公知の文献(産業図書株式会社、石油精製技術便覧第3版、1981)に開示されているマーロックス法、ドクター法などが好ましく用いられる。スイートニングにおいては、オレフィン類はそのまま保持されるのでRONは減少しない。
〔重質留分の水添工程〕 重質留分の水素化処理は、水素の存在下、水素化能のある触媒と接触させることで、アロマ(芳香族炭化水素)をナフテン(環状脂肪族炭化水素)に変換することが好ましい。アロマ分は、10容量%以下、特には5容量%以下に低減することが好ましい。
芳香族炭化水素の核水添によりアロマ分を低減した重質留分の典型的な特性は、硫黄分が1ppm以下、アロマ分が1.0容量%以下、オレフィン分が0.1容量%以下、飽和分が99容量%以上、ナフテン分が25〜60容量%(このうち、炭素数7または8のナフテン分が10〜40容量%)である。
核水添の好ましい態様としては、用いる触媒は、白金、パラジウム、ルテニウムのうち少なくとも1種を含む触媒であり、通常、アルミナなどの無機多孔質担体にこれらの成分が担持されている。通常の反応条件は、反応温度120〜250℃、反応圧力0.5〜3.0MPa、LHSV1.0〜10h-1である。特に好ましい反応条件としては、反応温度180〜220℃、反応圧力1.8〜2.2MPa、LHSV4.0〜6.0h-1である。この工程で、アロマ分がナフテン分に核水添され、アロマ分が1.0容量%以下となる。核水添には、後述の異性化触媒よりも酸強度の低い触媒を用いることが好ましい。
核水添の前段として、水素化脱硫することが好ましく、その態様としては、用いる触媒は、モリブデン、ニッケル、コバルト、リンのうち少なくとも1種を含む触媒であり、通常、アルミナなどの無機多孔質担体にこれらの成分が担持されている。通常の反応条件は、反応温度150〜300℃、反応圧力0.5〜3.0MPa、LHSV2.0〜10h-1である。特に好ましい反応条件は、反応温度180〜220℃、反応圧力1.8〜2.2MPa、LHSV4.0〜6.0h-1である。この工程で、硫黄分が1ppm以下、オレフィン分が0.1容量%以下とすることができる。また、この水素化脱硫は核水添と同じ工程で行なうこともできる。
〔異性化処理〕 重質留分を、異性化処理を行ない異性化重質留分とする。この異性化処理により重質留分中のノルマルパラフィン(直鎖飽和炭化水素)がイソパラフィン(分岐飽和炭化水素)に変換される。異性化方法は特に限定されないが、水素雰囲気下で固体酸触媒などの異性化触媒と接触させることが好ましい。
異性化触媒としては、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種を金属成分として含む担体に白金族金属成分が担持されたものが好ましい。特には、異性化触媒としては、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種とタングステンおよびモリブデンから選ばれるVI族金属成分の1種とを金属成分として含む担体に白金族金属成分が担持されたもの(以下、白金タングステン酸ジルコニア触媒ともいう)、または、ジルコニアなどを含む担体に硫酸分と白金を担持したもの(以下.白金硫酸ジルコニア触媒ともいう)が好ましく用いられる。
白金タングステン酸ジルコニア触媒としては、IV族金属成分としてはジルコニウムが好ましく、VI族金属成分としてはタングステンが好ましい。触媒中にIV族金属成分を金属元素重量として10〜72重量%、特には20〜60重量%含むことが好ましい。また、触媒中にVI族金属成分を金属元素重量として2〜30重量%、特に5〜20重量%、さらには10〜15重量%含むことが好ましい。通常、触媒中に占める硫酸分の割合は、硫黄元素重量として0.1重量%以下である。担体は、実質的には金属酸化物から構成されることが好ましい。なお、金属酸化物は、含水金属酸化物を含むものとして定義される。
白金硫酸ジルコニア触媒としては、触媒中にジルコニウムをジルコニウム元素重量として20〜72重量%、特には30〜60重量%含むことが好ましい。また、金属酸化物の少なくとも一部分の金属成分がアルミニウムであり、触媒中にアルミニウムをアルミニウム元素重量として5〜30%、特には8〜25重量%含むことが好ましい。触媒中に占める硫酸分(SO4)の割合は、硫黄元素重量として0.7〜7重量%、好ましくは1〜6重量%、特には2〜5重量%である。硫酸分が多すぎても少なすぎても触媒活性は低下する。
用いられる異性化触媒中には、白金族金属から選ばれる1種以上の金属を含有する。ここでの白金族金属としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムが挙げられる。好ましくは白金、パラジウム、ルテニウム、特には白金が好ましく用いられる。触媒中に占める白金族金属成分の割合(白金族金属成分濃度の平均値)は、金属元素重量として、0.01〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
異性化触媒の比表面積は50〜500m2/g、好ましくは100〜300m2/g、特には140〜200m2/gである。比表面積は通常知られているBET法によって測定できる。異性化触媒の細孔構造は、細孔直径0.002〜0.05μmの範囲については窒素吸着法、細孔直径0.05〜10μmの範囲は水銀圧入法により測定できる。細孔直径0.002〜10μmの細孔容積は0.2cm3/g以上、好ましくは0.3cm3/g以上、特には0.35cm3/g〜1.0cm3/gである。好ましくは、異性化触媒は粉体でなく、成形された形状、いわゆるペレット状であり、0.5〜20mmの大きさのものを容易に得ることができ、通常、平均粒径として、0.5〜20mm、特には0.6〜5mmが好ましく用いられる。
好ましい異性化反応条件は、反応温度120〜250℃、反応圧力0.5〜5.0MPa、LHSV0.5〜5h-1であり、特に好ましい反応条件は、反応温度180〜220℃、反応圧力1.8〜2.2MPa、LHSV1.5〜3.0h-1である。副生成物のガス(イソブタンが大半)も得るような反応条件とし、ガス分を分離してアルキレーション工程の原料油として使用する。
〔アルキレーション工程〕 アルキレーション工程は、ブタンやエチレンなどの低級オレフィンにイソブタンなどの低級パラフィンを付加してアルキレートを製造する工程であり、本発明では、その原料として、異性化工程で副生したイソブタンなどの炭素数3および4の炭化水素を使用するものである。また、アルキレーション工程の原料として接触分解油からの成分を用いることが好ましい。アルキレーション工程は、硫酸に代表される酸触媒を用い、一般的に商業化されているプロセスを使用できる。例えば、石油学会編「新石油精製プロセス」に記載のあるエクソンプロセス、ストラトコプロセス、ケロッグプロセスなどがある。触媒として硫酸を用い、液相反応にて約0〜10℃で反応し、得られたイソオクタン類を触媒層である水相から分離して得ることができる。これにより、炭素数8の高オクタン価物を得る。酸触媒としては、固体超強酸も使用できる。
〔配合工程〕 本発明によるクリーンガソリンは、異性化重質留分及びアルキレート、さらに好ましくは軽質油留分を配合して製造できる。好ましい配合量は、軽質油留分が40〜70容量%、特には、50〜60容量%であり、異性化重質留分が10〜40容量%、特には、20〜30容量%であり、アルキレートが5〜30容量%、特には、10〜20容量%であり、これ以外の基材は10容量%以下、特には5容量%以下が好ましい。他の基材としては、接触改質ガソリン基材、直留ナフサを脱硫処理した基材、およびMTBE、エチルt−ブチルエーテル(ETBE)、t−アミルエチルエーテル(TAEE)、エタノール、メタノール等の含酸素ガソリン基材等、公知のガソリン基材を用いることができる。
さらに、本発明のクリーンガソリンには、当業界で公知の燃料油添加剤の1種又は2種以上を必要に応じて配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計配合量を0.1重量%以下に維持することが好ましい。本発明のガソリンで使用可能な燃料油添加剤を例示すれば、フェノール系、アミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール又はそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。
〔環境対応型クリーンガソリン〕 本発明のクリーンガソリンは、リサーチ法オクタン価が92.0以上であり、50容量%留出温度が90℃以下、アロマ分が1容量%以下、オレフィン分が20容量%以下、イソパラフィン分が60容量%以上、全硫黄分が1質量ppm以下およびリード法蒸気圧が45kPa以上、72kPa以下であり、好ましくは、炭素数4の炭化水素が5容量%以下、特には3容量%以下、炭素数8以上のイソパラフィン分が20容量%以上60容量%以下、特には22容量%以上40容量%以下である。なお、このクリーンガソリンは、内燃機関用の燃料としてのみでなく、燃料電池用燃料、例えば燃料電池用の水素を改質プロセスで製造するための燃料としても使用できる。
さらに好ましくは、50容量%留出温度が80℃以上85℃以下であり、アロマ分が0.5容量%以下、イソパラフィン分が65容量%以上80容量%以下である。
実施例
以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
〔軽質留分と重質留分〕
中東系原油の減圧軽油留分を水素化精製処理し、接触分解原料油を得た。これを流動床接触分解装置で処理し得られた接触分解ナフサからなる接触分解基材FCと、この接触分解基材FCをカット温度は85℃で分留して軽質留分となる軽質FCと重質FCを得た。接触分解基材FC、軽質FC、重質FCの性状を表1に示す。
Figure 0004213062
密度はJIS K 2249の振動式密度試験方法、リード法蒸気圧はJIS K 2258のリード法蒸気圧試験方法、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験方法によって測定した。硫黄分は、JIS K 2541の微量電量滴定式酸化法によって測定した。炭化水素成分組成はJIS K 2536のガスクロによる全成分試験方法、RONは、ヒューレッドパッカード社製PIONA装置を用いて、ガスクロマトグラフ法によって測定した。なお、飽和分は、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテンの合計量である。
〔軽質留分の抽出脱硫〕 接触分解基材FCの軽質留分(軽質FC)を、マーロックス法処理によって、チオールを抽出・除去し、硫黄分を低減させ、ストリッパーで炭素数4以下の炭化水素を分離して脱硫軽質留分となる脱硫軽質FCを得た。マーロックス法処理の条件は、常温、常圧下、水酸化ナトリウム水溶液の処理油に対する配合比は10%である。また、分離された炭素数4以下の炭化水素は、イソブタンを代表とする炭素数4のイソパラフィンを多く含み、後述のアルキレーションの原料とする。表2に脱硫軽質FCの性状を示す。
Figure 0004213062
〔重質留分の核水添と異性化〕 接触分解基材FCの重質留分(重質FC)に、水素化処理である核水添型脱硫処理をすることにより、核水添FCを得た。この核水添型脱硫処理により、水素化脱硫による硫黄分の低減のみならず、オレフィン分、アロマ分を低減させることができる。重質FCの核水添型脱硫処理に用いた触媒は、アルミナを担体とし、金属として白金を0.4重量%、ニッケルを3.4重量%、モリブデンを12.3重量%含有しているものである。反応条件は、反応温度:200℃、反応圧力:2MPa、LHSV:5h-1、H2/Oil:300L/Lとした。表2に核水添FCの性状を示す。
核水添FCを異性化して核水添・異性化FCを得た。この異性化に用いた触媒(白金・タングステン酸・ジルコニア触媒)は、金属元素重量として白金を1.6重量%、ジルコニアを37.6重量%、タングステンを15.5重量%、アルミニウムを13.7重量%含有しているものである。反応条件は、反応温度:240℃、反応圧力:2MPa、LHSV:1.5h-1、H2/Oil:300L/Lとした。表2に核水添・異性化FCの性状を示す。
〔重質留分の脱硫と異性化〕 比較のために、流動接触分解油の重質留分(重質FC)を通常の水素化脱硫することにより脱硫重質留分(脱硫FC)を得た。用いた脱硫触媒は、アルミナを担体とし、金属としてニッケルを3.4重量%、モリブデンを12.3重量%含有しているものである。反応条件は、反応温度:300℃、反応圧力:2MPa、LHSV:5h-1、H2/Oil:300L/Lとした。表2に脱硫FCの性状を示す。このような通常の水素化脱硫では、硫黄分、オレフィン分は低減するが、核水添反応は起こらず、アロマ分に変化はない。
続いて、この脱硫FCを異性化して脱硫・異性化FCを得た。この異性化に用いた触媒(白金・タングステン酸・ジルコニア触媒)は、金属として白金を1.6重量%、ジルコニアを37.6重量%、タングステンを15.5重量%、アルミニウムを13.7重量%含有しているものである。反応条件は、反応温度:240℃、反応圧力:2MPa、LHSV:1.5h-1、H2/Oil:300L/Lとした。表2に脱硫・異性化FCの性状を示す。
〔アルキレーション工程〕 接触分解装置から得られた軽質オレフィンとイソブタン、および異性化反応の分解副生成物として得られたイソブタンを原料に用いる。これらガスを反応器に供給し、硫酸の存在下、アルキレートが生産される。オレフィン類とイソブタンの比率は、40容量%対60容量%とした。過剰のイソブタンは、分離され再度原料として使用した。得られたアルキレートの性状を、表1に示した。
これらの基材を表3の配合量で配合して、実施例1および比較例1〜4のガソリンを調製した。併せて、これらの性状を表3に示す。なお、実施例および全ての比較例の反応条件は全硫黄分が1質量ppm以下となるように設定し、配合量は接触分解装置から生成する量を基に定めた。
この結果からわかるように、実施例1と比べて、比較例1では、アルキレートを配合していないため、すなわち、アルキレーション工程を有していないため、全体的に軽質分が多く、蒸気圧が高い。また、核水添異性化FCを配合していないため、すなわち、核水添工程を有していないため、異性化活性が低く、オクタン価が低い。
比較例2では、核水添異性化FCを配合していないため、すなわち、核水添工程を有していないことから、アロマ分の多い原料を異性化するため、イソパラフィンやナフテン分の生成が少なく、オクタン価が低い。これら比較例1及び2のように、核水添工程を有していない場合、異性化工程の原料油中にアロマ分が多いため異性化触媒を被毒し、十分な異性化活性を発揮されないためと思われる。
比較例3、4では、異性化工程を経た基材を用いていないため、イソパラフィン量が少なく、また、異性化工程の副生物である炭素数4の炭化水素の発生量が少ないため、配合されるアルキレート量も5容量%と実施例と比較して少なく、アルキレーション反応生成物から由来する炭素数8以上のイソパラフィン比率も低いことから、オクタン価が低い。
Figure 0004213062

Claims (5)

  1. 炭化水素からなる原料油から少なくとも120〜170℃の沸点成分を含む重質留分を分取する分留工程と、
    アロマ分が10容量%以下の該重質留分を異性化し異性化重質留分とする異性化工程と、
    異性化工程で発生した炭素数3および4の炭化水素を原料としてアルキレートを製造するアルキレーション工程と、
    少なくとも前記異性化重質留分と前記アルキレートを配合してクリーンガソリンとする配合工程を有することを特徴とする環境対応型クリーンガソリンの製造方法。
  2. 分留工程の原料油が、石油精製工程から得られる流動接触分解油であり、また前記分留工程においては重質留分とともに、少なくとも40℃〜70℃の沸点成分を含む軽質留分を分取することを含み、該軽質留分からチオールを除去して脱硫軽質留分とする脱硫工程を有し、前記重質留分を異性化工程の前に核水添反応が進行する条件で水素化処理する水添工程を有し、
    配合工程でさらに前記脱硫軽質留分を配合することを特徴とする請求項1記載の環境対応型クリーンガソリンの製造方法。
  3. 請求項1の異性化処理が、水素の存在下で重質留分を異性化触媒に接触させるものであり、
    異性化触媒が、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれるIV族金属成分の1種以上を金属成分として含む担体に白金族金属成分が担持された固体酸触媒であることを特徴とする請求項1記載の環境対応型クリーンガソリンの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造される環境対応型クリーンガソリンであって、リサーチ法オクタン価が92.0以上であり、50容量%留出温度が90℃以下、アロマ分が1容量%以下、オレフィン分が20容量%以下、イソパラフィン分が60容量%以上、全硫黄分が1質量ppm以下およびリード法蒸気圧が45kPa以上、72kPa以下である環境対応型クリーンガソリン。
  5. 炭素数4の炭化水素が5容量%以下、炭素数8以上のイソパラフィン分が20容量%以上60容量%以下である請求項4記載の環境対応型クリーンガソリン。
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