本発明は、ミキサ、電圧制御発振用回路及び位相固定ループ用回路を有するチューナー用半導体装置と、それを複数個用いて構成するダイバーシティ受信機に関するものである。
従来、ミキサ、電圧制御発振用回路(以下VCO回路という)及び位相固定ループ用回路(以下、PLL回路という)を有する チューナーに用いられる半導体装置(以下、ICという)のVCO回路及びPLL回路は常に電力を消費していた。
特許文献1は、構成の複雑化及び製造コストの上昇を抑え、VHF帯域の放送を受信する時に放送周波数による受信感度差を少なくして放送受信性能を向上するようにしたUHF及びVHF共用チューナーに関する技術を開示している。特許文献2は、最良の受信状況であるアンテナからの受信信号を常時入力でき尚かつ低廉なダイバーシティ受信用チューナーに関する技術を開示している。
図14に従来のIC及びチューナーの一例を示す。図14に示されるように、既知のIC6は、発振信号入力端子TVI14と、発振信号出力端子TVO14と、電圧制御信号出力端子T1PL14及びT2PL14と、基準発振信号端子T1OS14及びT2OS14と、受信信号端子TR14と、アンテナ同調回路ANT14と、高周波増幅回路RFA14と、中間周波増幅回路AMP14と、中間周波信号端子TIF14と、VCO回路VCO14と、PLL回路PLL14と、ミキサM14から構成される。
また、図14に示されるように、チューナー5は、IC6と、可変容量ダイオードVC14を含むLC回路LC14と、ロー・パス・フィルタLPF14と、水晶発振子XTL14から構成される。IC6の発振信号入力端子TVI14と発振信号出力端子TVO14はLC回路LC14に接続され、電圧制御信号出力端子T1PL14及びT2PL14はロー・パス・フィルタLPF14に接続され、基準発振信号端子T1OS14及びT2OS14は水晶発振子XTL14に接続される。
IC6及びチューナー5は、次のように動作する。ラジオ放送やテレビ放送の電波は、チューナー5外部のアンテナにより受信され、受信信号が受信信号端子TR14よりIC6に入力される。受信信号はIC6内部でアンテナ同調回路ANT14により同調され、高周波増幅回路RFA14で増幅される。ミキサM14は、増幅された受信信号とVCO回路VCO14により生成された局部発振信号OSC14の周波数変換を行い、中間周波信号を生成する。中間周波信号は、中間周波増幅回路AMP14により増幅された後、IC6の中間周波信号端子TIF14から出力され、チューナー5外部の復調器に渡される。
VCO回路VCO14は、発振信号入力端子TVI14及び発振信号出力端子TVO14を介して、LC回路LC14と共に局部発振信号OSC14を生成する。一方、水晶発振子XTL14及びPLL回路PLL14は、基準発振信号端子T1OS14及びT2OS14を介して基準発振信号を生成する。さらにPLL回路PLL14は、基準発振信号と局部発振信号OSC14との位相比較を行い、VCO回路VCO14に対する電圧制御信号を生成し、これを電圧制御信号出力端子T1PL14及びT2PL14から出力する。出力された電圧制御信号は、ロー・パス・フィルタLPF14により直流電圧に変換され、LC回路LC14に設けられた可変容量ダイオードVC14を駆動し、VCO回路VCO14により生成される局部発振信号OSC14の周波数を制御する。
図15に、図14に示されたVCO回路VCO14の構成及びLC回路LC14との接続を示す。VCO回路VCO14は、発振信号入力端子TVI14及び発振信号出力端子TVO14に接続された第一差動段DIF115と、局部発振信号OSC14を出力する第二差動段DIF215からなる。第一差動段DIF115は、キャパシタンスC115と、定電圧源V15と、抵抗R115 乃至R415と、差動接続されたトランジスタTR115及びTR215からなる差動入力回路DI115と、定電流回路I115からなる。第二差動段DIF215は、抵抗R515及びR615と、差動接続されたトランジスタTR315及びTR415からなる差動入力回路DI215と、定電流回路I215から構成される。発振信号入力端子TVI14と発振信号出力端子TVO14は、図15に示されるようにIC外部のLC回路LC14に接続されている。
VCO回路VCO14は、次のように動作する。第一差動段DIF115は、LC回路LC14と共に発振器を構成する。発振信号入力端子TVI14から入力されたLC回路LC14の帰還発振信号は、第一差動段DIF115により増幅され、発振信号出力端子TVO14から出力される。
第二差動段DIF215はバッファ回路を構成する。第一差動段DIF115のトランジスタ及びTR215のベースに入力される帰還発振信号は、差動入力として第二差動段DIF215の差動入力回路DI215にも入力される。第二差動段DIF215は、入力された帰還発振信号を電流モードに変換し、局部発振信号OSC14としてミキサM14へ出力する。なお、局部発振信号OSC14は差動信号としてVCO回路VCO14からミキサM14へ出力される。
ここで、第一差動段DIF115の定電流回路I115及び第二差動段DIF215の定電流回路I215は常に動作しており、第一差動段DIF115および第二差動段DIF215の電源線から接地へのパスで電流が流れ続ける。そのためVCO回路VCO14は常に電力を消費する。
図16に、図14に示されたPLL回路PLL14の構成を示す。図図に示されるように、PLL回路PLL14は、局部発振信号分周回路DIV116と、基準発振回路XOS16と、基準発振信号分周回路DIV216と、位相検波回路CMP16と、チャージポンプ回路CP16から構成される。それらの回路は、ミキサM14などのICの他の回路と共通の電源線VDD16から電力の供給を受ける。
PLL回路PLL14は、次のように動作する。基準発振回路XOS16は、基準発振信号端子T1OS14及びT2OS14を介して水晶発振子XTL14からの発振信号を受け、基準発振信号を生成する。基準発振信号は基準発振信号分周回路DIV216により分周され、位相検波回路CMP16に入力される。一方、VCO回路VCO14で生成された局部発振信号OSC14が、局部発振信号分周回路DIV116により分周され、位相検波回路CMP16に入力される。位相検波回路CMP16は、分周された二つの発振信号の位相比較を行い、位相検波信号を出力する。チャージポンプ回路CP16は前記位相検波信号から位相差に応じた電圧制御信号を生成し、電圧制御信号出力端子T1PL14及びT2PL14へ出力する。
局部発振信号分周回路DIV116及び基準発振回路XOS16並びに基準発振信号分周回路DIV216及び位相検波回路CMP16並びにチャージポンプ回路CP16の電源線VDD16には、常時電力が供給されている。したがって、それらの回路は常に電力を消費している。
ところで、従来のダイバーシティ受信機として、IC6を二つ用いた構成が知られている。かかるダイバーシティ受信機では、同一の周波数をもつ局部発振信号を、それぞれのIC6のVCO回路及びPLL回路で生成していた。
図17に、IC6を二つ用いて構成した従来のダイバーシティ受信機を示す。同図に示されるように、ダイバーシティ受信機300は、アンテナA117及びA217と、二つのチューナー5(5117及び5217)と、復調器DM117及びDM217と、二つの復調信号のうち一の復調信号を選択する比較器DCM17から構成される。
また、図17に示されるように、それぞれのチューナー5は、一つのIC6(6117又は6217)と、可変容量ダイオードVC14を含む一つのLC回路LC14と、一つのロー・パス・フィルタLPF14と、一つの水晶発振子XTL14を有する。
ダイバーシティ受信機300は、次のように動作する。アンテナA117及びA217は同一の放送を受信する。IC6117はアンテナA117からの受信信号を周波数変換する。すなわち、アンテナA117により受信された受信信号は、受信信号端子TR14よりIC6117に入力される。受信信号は、アンテナ同調回路ANT14により同調され、高周波増幅回路RFA14で増幅された後、ミキサM14に入力される。一方、IC6117のVCO回路VCO14及びPLL回路PLL14と、チューナー5117のLC回路LC14が、局部発振信号OSC117 を生成する。ミキサM14は、受信信号と局部発振信号OSC117を周波数変換し、中間周波信号を生成する。中間周波信号は中間周波増幅回路AMP14によって増幅され、IC6117の中間周波信号端子TIF14から出力され、復調器DM117に入力される。復調器DM117により生成された復調信号は、比較器DCM17に入力される。
IC6217も同様にしてアンテナA217からの受信信号を周波数変換する。復調器DM217により生成された復調信号は、比較器DCM17に入力される。
アンテナの位置や方向により受信状況が異なるため、アンテナA117の受信信号から復調器DM117により生成される復調信号と、アンテナA217の受信信号から復調器DM217により生成される復調信号は、その品質に差が生じることになる。比較器DCM17は二つの復調信号それぞれの品質を比較し、受信状況の良い受信信号から得られた一の復調信号を選択し、ダイバーシティ受信機外部へ出力する。
ここで、同一周波数の局部発振信号OSC117とOSC217がそれぞれのIC6のVCO回路及びPLL回路で生成され、受信信号の周波数変換に使用されている。さらに、別のダイバーシティ受信機の構成として、IC6と、VCO回路及びPLL回路を有していないミキサ単体ICの、二種類のICを用いたものが知られている。
図18に、2種類のICを用いて構成された他のダイバーシティ受信機を示す。図18に示されるように、ダイバーシティ受信機400は、アンテナA118及びA218と、IC6を用いたチューナー5118と、ミキサ単体IC518と、復調器DM118及びDM218と、二つの復調信号のうち一を選択する比較器DCM18から構成される。
チューナー5118は、一つのIC6(6118)と、可変容量ダイオードVC14を含む一つのLC回路LC14と、一つのロー・パス・フィルタLPF14と、一つの水晶発振子XTL14から構成される。
また、図18に示されるように、ミキサ単体IC518は、受信信号端子TR18と、アンテナ同調回路ANT18と、高周波増幅回路RFA18と、中間周波増幅回路AMP18と、中間周波信号端子TIF18と、ミキサM18から構成され、VCO回路やPLL回路は有していない。
ダイバーシティ受信機400は、次のように動作する。アンテナA118及びA218は同一の放送を受信する。IC6118はアンテナA118からの受信信号を周波数変換する。アンテナA118により受信された受信信号は、受信信号端子TR14よりIC6118に入力される。受信信号は、アンテナ同調回路ANT14により同調され、高周波増幅回路RFA14で増幅された後、ミキサM14に入力される。一方、IC6118のVCO回路VCO14及びLC回路LC14が局部発振信号OSC14 を生成する。ミキサM14は、前記受信信号と局部発振信号OSC14を周波数変換し、中間周波信号を生成する。中間周波信号は中間周波増幅回路AMP14によって増幅され、IC6118の中間周波信号端子TIF14から出力され、復調器DM118に入力される。復調器DM118により生成された復調信号は、比較器DCM18に入力される。
一方、ミキサ単体IC518はアンテナA218からの受信信号を周波数変換する。アンテナA218により受信された受信信号は、受信信号端子TR18よりミキサ単体IC518に入力される。受信信号は、アンテナ同調回路ANT18により同調され、高周波増幅回路RFA18で増幅された後、ミキサM18に入力される。ただしミキサ単体IC518はVCO回路及びPLL回路を有していないため、IC6118により生成された局部発振信号OSC14が、ミキサ単体IC518に供給され、ミキサM18における周波数変換に使用される。周波数変換後の中間周波信号は、中間周波増幅回路AMP18によって増幅され、IC518の中間周波信号端子TIF18から出力され、復調器DM218に入力される。復調器DM218により生成された復調信号は、比較器DCM18に入力される。
ダイバーシティ受信機300の比較器DCM
17と同様、ダイバーシティ受信機400の比較器DCM
18は二つの復調信号の品質を比較し、受信状況の良い受信信号から得られた一の復調信号を選択し、ダイバーシティ受信機外部へ出力する。
特開平11-127086号
特開2005-130279号
しかしながら、図17に示した従来のIC6を二つ用いて構成されたダイバーシティ受信機では、本来一つの回路で生成すれば足りる局部発振信号を、それぞれのIC6のVCO回路及びPLL回路で生成しており、不要な電力を消費しているという問題があった。
また、図18に示した2種類のICを用いて構成されたダイバーシティ受信機では、IC6とミキサ単体IC518の回路パターンやICサイズが異なるため、それぞれのICの動作特性に差異を生じ、動作特性の均質性が保たれないという問題があった。また、半導体プロセス技術の変更がある度に、IC6とミキサ単体IC518の設計をそれぞれ行わなければならず、開発コストの上昇を招くという問題があった。
そこで、本発明は、ICと、それを複数個用いて構成するダイバーシティ受信機において、不要な消費電力を削減し、同時に動作特性の均質性の向上を図り、さらに開発コストの低減を可能とする技術を提供することを目的とする。
(1)本発明にかかるICは、受信信号を局部発振信号と周波数変換するミキサと、局部発振信号をチューナー用半導体装置内部で生成する手段と、局部発振信号をチューナー用半導体装置外部から導入する手段と、局部発振信号をチューナー用半導体装置外部から導入する場合、ICの消費電力を低減する電力制御手段を備えるものである。
これにより、局部発振信号をIC外部から導入する場合、電力制御手段によりICの消費電力を低減することができ、不要な消費電力を削減できる。
(2)本発明にかかるICは、第一局部発振信号を生成するVCO回路と、VCO回路の発振を制御する電圧制御信号を生成するPLL回路と、VCO回路及び前記PLL回路の少なくとも一つの消費電力を制御する電力制御手段と、第二局部発振信号が入力される局部発振信号入力端子と、局部発振信号として第一局部発振信号又は第二局部発振信号を選択する局部発振信号選択手段と、受信信号を局部発振信号と周波数変換するミキサとを備えている。
これにより、外部発振信号が存在する場合、外部発振信号を第二局部発振信号としてICに入力し、局部発振信号選択手段がミキサで用いられる局部発振信号として第二局部発振信号を選択することにより、第一局部発振信号を生成する必要がなく、受信信号の周波数変換動作を行うことができる。また、かかる場合、電力制御手段がVCO回路及びPLL回路の少なくとも一つの電力を低減することができ、不要な消費電力を削減できる。
一方、外部発振信号が存在しない場合、VCO回路により第一局部発振信号を生成し、局部発振信号選択手段がミキサで用いられる局部発振信号として第一局部発振信号を選択することにより、受信信号の周波数変換動作を、IC単独で行うことができる。
(3)本発明にかかるICは、上記(2)の構成において、選択信号入力端子と、電力制御信号入力端子を有し、局部発振信号選択手段が、選択信号入力端子から入力される選択信号の状態により、局部発振信号として第一局部発振信号又は第二局部発振信号を選択する回路からなり、電力制御手段が、電力制御信号入力端子から入力される電力制御信号の状態によりVCO回路及びPLL回路の少なくとも一つの消費電力を制御する回路からなることを特徴とする。
これにより、局部発振信号選択手段による局部発振信号の選択と、電力制御手段によるVCO回路及びPLL回路の電力制御を、IC外部から、それぞれの端子(選択信号入力端子及び電力制御信号入力端子)を介して、独立に行うことができる。
(4)本発明にかかるICは、上記(2)の構成において、選択信号入力端子を有し、局部発振信号選択手段が、選択信号入力端子から入力される選択信号の状態により、局部発振信号として第一局部発振信号又は第二局部発振信号を選択する回路からなり、電力制御手段が、選択信号の状態によりVCO回路及びPLL回路の少なくとも一つの消費電力を制御する回路からなることを特徴とする。
これにより、局部発振信号選択手段による局部発振信号の選択と、電力制御手段によるVCO回路及びPLL回路の電力制御を、IC外部から、一の端子(選択信号入力端子)を介して同時に行うことができる。
(5)本発明にかかるICは、上記(2)乃至(4)の構成において、VCO回路が、差動接続された二つのトランジスタからなる差動入力回路と、定電流回路を有することを特徴とする。
したがって、外部発振信号が存在する場合、電力制御手段が、差動入力回路及び定電流回路の消費電力を制御し、VCO回路における不要な消費電力を削減できる。
(6)本発明にかかるICは、上記(5)の構成において、電力制御手段が、VCO回路の定電流回路の作動及び停止を制御する回路を含むことを特徴としている。
したがって、外部局部発振信号が存在する場合、電力制御手段が前記定電流回路の動作を停止することにより、VCO回路の不要な消費電力を削減できる。
(7)本発明にかかるICは、上記(2)乃至(4)の構成において、PLL回路が、第一局部発振信号を分周する第一分周回路と、基準発振信号を生成する基準発振回路と、基準発振信号を分周する第二分周回路と、第一分周回路と第二分周回路の出力信号の位相を比較する位相検波回路と、位相検波回路の出力信号からVCO回路の電圧制御信号を生成するチャージポンプ回路を有することを特徴とする。
したがって、外部発振信号が存在する場合、電力制御手段が、第一分周回路及び基準発振回路並びに第二分周回路及び位相検波回路並びにチャージポンプ回路の消費電力を制御し、PLL回路における不要な消費電力を削減できる。
(8)本発明にかかるICは、上記(7)の構成において、電力制御手段が、PLL回路の第一分周回路及び基準発振回路並びに第二分周回路及び位相検波回路並びにチャージポンプ回路に接続された電源線と、電源線に対する電力供給の作動及び停止を制御する回路を含むことを特徴としている。
したがって、外部局部発振信号が存在する場合、電力制御手段が前記電源線を介して第一分周回路及び前記基準発振回路並びに第二分周回路及び前記位相検波回路並びにチャージポンプ回路への電力供給を停止することにより、PLL回路における不要な消費電力を削減できる。
(9)本発明にかかるICは、上記(2)乃至(8)の構成において、第一局部発振信号を出力する局部発振出力端子を有することを特徴としている。
これにより、第一局部発振信号を生成するICは、局部発振出力端子から第一局部発振信号を外部発振信号として他のICへ供給できる。
(10)本発明にかかるICは、選択信号を入力する選択信号端子と、発振信号を入力する発振信号端子と、選択信号が第一の状態にあるときは、発振信号により発振して局部発振信号を生成し、選択信号が第二の状態にあるときは、発振を停止し発振信号を局部発振信号としてバイパスする、VCO回路と、選択信号が第一の状態にあるときは、VCO回路の発振を制御する電圧制御信号の生成し、前記選択信号が第二の状態にあるときは電圧制御信号の生成を停止する、PLL回路と、選択信号の状態により、VCO回路及び前記PLL回路の少なくとも一つの消費電力を制御する電力制御手段と、受信信号を前記VCO回路の出力された局部発振信号と周波数変換するミキサを有することを特徴としている。
したがって、前記ICの一の端子(前記発振信号端子)だけで、選択信号がいずれの状態でも、ミキサで周波数変換に用いられる局部発振信号を得ることができる。また、局部発振信号の生成方法を前記IC外部より一つの信号(前記選択信号)で制御できる。さらに、選択信号が第二の状態にあるときは、電力制御手段がVCO回路乃至PLL回路の少なくとも一つの消費電力を制御し、それらの回路における不要な消費電力を削減できる。
(11)本発明にかかるICは、上記(10)の構成において、VCO回路が、差動接続された二つのトランジスタからなる差動入力回路と、定電流回路を有することを特徴としている。
したがって、選択信号が第二の状態にあるときは、電力制御手段が、定電流回路及び差動入力回路の消費電力を制御し、VCO回路における不要な消費電力を削減できる。
(12)本発明にかかるICは、上記(11)の構成において、電力制御手段が、VCO回路の定電流回路の作動及び停止を制御する回路を含むことを特徴としている。
したがって、選択信号が第二の状態にあるときは、電力制御手段が、定電流回路の動作を停止することによりVCO回路の不要な消費電力を削減できる。
(13)本発明にかかるICは、上記(10)の構成において、PLL回路が、第一局部発振信号を分周する第一分周回路と、準発振信号を生成する基準発振回路と、基準発振信号を分周する第二分周回路と、第一分周回路と第二分周回路の出力信号の位相を比較する位相検波回路と、位相検波回路の出力信号から電圧制御発振用回路の電圧制御信号を生成するチャージポンプ回路を有することを特徴としている。
したがって、選択信号が第二の状態にあるときは、電力制御手段が、第一分周回路及び基準発振回路並びに第二分周回路及び位相検波回路並びにチャージポンプ回路の消費電力を制御し、PLL回路における不要な消費電力を削減できる。
(14)本発明にかかるICは、上記(13)の構成において、電力制御手段が、PLL回路の第一分周回路及び基準発振回路並びに第二分周回路及び位相検波回路並びに前記チャージポンプ回路に接続された電源線と、電源線に対する電力供給の作動及び停止を制御する回路を含むことを特徴としている。
したがって、選択信号が第二の状態にあるときは、電力制御手段が電源線を介して第一前記分周回路及び基準発振回路並びに第二分周回路及び位相検波回路並びにチャージポンプ回路への電力供給を停止することにより、PLL回路における不要な消費電力を削減できる。
(15)本発明にかかるダイバーシティ受信装置は、上記(1)のチューナー用半導体装置を有し、少なくとも一のチューナー用半導体装置1が局部発振信号をチューナー用半導体装置1内部で生成し、その他のチューナー用半導体装置2が局部発振信号をチューナー用半導体装置2外部から導入することを特徴としている。
したがって、局部発振信号をチューナー用半導体装置2外部から導入するチューナー用半導体装置2の消費電力を低減することができ、不要な消費電力を削減できる。また、同種のICを複数個用いてダイバーシティ受信装置を構成することができ、動作特性の均質性の向上を図ることができる。
(16)本発明にかかるダイバーシティ受信装置は、第一局部発振信号を局部発振信号として選択する少なくとも一個の上記(2)乃至(9)のIC1と、第二局部発振信号を局部発振信号として選択する少なくとも一個のIC2を有し、IC2の局部発振信号入力端子は、IC1の局部発振信号で駆動されることを特徴としている。
したがって、IC2は、ミキサにおける周波数変換動作にIC1で生成された局部発振信号を用いることができる。また、電力制御手段によりIC2のVCO回路及びPLL回路の少なくとも一つにおける不要な消費電力を削減できる。さらに、同種のICを複数個用いてダイバーシティ受信装置を構成することができ、ダイバーシティ受信装置の動作特性の均質性の向上を図ることができる。
(17)本発明にかかるダイバーシティ受信装置は、複数の上記(9)のICを有し、それぞれのICの局部発振信号入力端子は、他の前記ICの局部発振出力端子に接続されていることを特徴としている。
したがって、ダイバーシティ受信装置を構成する複数のIC間で、局部発振信号の生成及び供給の関係を自由に切り替えることができる。例えば、当初、局部発振信号選択手段が第一局部発振信号を選択している一のICがあるとする。そのIC のVCO回路又はPLL回路に不具合が生じた場合、そのICの局部発振信号選択手段を、第二局部発振信号を選択するように切り替えることができる。そのICは、局部発振信号選択手段が第一局部発振信号を選択している他のICから、局部発振信号の供給を受けることができ、ミキサにおける周波数変換動作を継続することができる。
(18)本発明にかかるダイバーシティ受信装置は、第一の状態を選択する少なくとも一個の上記(10)乃至(14)のIC1と、第二の状態を選択する少なくとも一個の上記(10)乃至(14)のIC2を有し、IC2の発振信号端子は、IC1の局部発振信号で駆動されることを特徴としている。
したがって、IC2は、ミキサにおける周波数変換動作にIC1で生成された局部発振信号を用いることができる。また、電力制御手段によりIC2のVCO回路及びPLL回路の少なくとも一つにおける不要な消費電力を削減できる。さらに、同種のICを複数個用いてダイバーシティ受信装置を構成することができ、ダイバーシティ受信装置の動作特性の均質性の向上を図ることができる。
ここで、「電力制御手段」とは、対象回路の消費電力を制御する手段である。対象回路の動作を活動又は停止状態にすることにより消費電力を増大又は低減する手段や、対象回路の電力を供給又は遮断することにより消費電力を増大又は低減する手段だけを意味するのではなく、電源―接地間の電流パスを結合又は分離して消費電力を増大又は低減する手段や、対象回路の駆動電圧を昇圧又は降圧することにより消費電力を増大又は低減する手段など、他の手法によるものも含む。
「局部発振信号選択手段」とは、二つの発振信号から一の局部発振信号を選択する手段である。IC外部から入力される信号の状態により一の局部発振信号を選択する手段だけでなく、IC内部で実行されるソフトウェアにより一の局部発振信号を選択する手段など、他の手法によるものであってもよい。
「受信信号」とは、ラジオ放送やテレビ放送の電波をアンテナにより受信した信号のほか、携帯電話、無線LAN、その他の無線通信の電波をアンテナにより受信した信号も含む。
「IC」は、復調器をIC内部に実装していないICのほか、復調器をIC内部に実装したものであってもよい。
「定電流回路」とは、カレントミラー定電流回路やウィルソン定電流回路を用いた定電流回路のほか、その他の実装方法による回路であってもよい。
「回路」とは、バイポーラ・トランジスタを用いて実装した回路のほか、CMOSトランジスタを用いて実装した回路、その他の実装方法による回路であってもよい。
上述したように、本発明によるとミキサ、VCO回路及びPLL回路を有するICと、それを複数個用いて構成するダイバーシティ受信機において、開発コストを低廉に抑えながら、動作特性の均質性を向上させ、不要な消費電力を削減することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1に、本発明の一実施形態によるIC及びチューナーの構成を示す。このIC及びチューナーはVHF低帯域、VHF高帯域及びUHF帯域の放送を受信する。
図1に示されるように、本発明の一実施形態によるIC2は、UHF受信信号端子TRU1 及びVHF受信信号端子TRV1 と、UHFアンテナ同調回路ANTU1及びVHFアンテナ同調回路ANTV1と、UHF高周波増幅回路RFAU1及びVHF高周波増幅回路RFAV1と、中間周波フィルタ出力端子TFO1及び中間周波フィルタ入力端子TFI1と、中間周波増幅回路AMP1と、中間周波信号端子TIF1と、UHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1と、UHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1と、UHF帯域VCO回路VCOU1と、VHF低帯域発振信号入力端子T1VIVL1と、VHF低帯域VCO回路VCOVL1と、VHF高帯域発振信号入力端子T1VIVH1と、VHF高帯域VCO回路VCOVH1と、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1と、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1と、PLL回路PLL1と、UHF帯域ミキサMU1及びVHF帯域ミキサMV1と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1を備えている。
また、図1に示されるように、チューナー1は、IC2と、バンド・パス・フィルタBPF1と、可変容量ダイオードVCU1を含むUHF帯域LC回路LCU1、可変容量ダイオードVCVL1を含むVHF低帯域LC回路LCVL1及び可変容量ダイオードVCVH1を含むVHF高帯域LC回路LCVH1と、ロー・パス・フィルタLPF1及び水晶発振子XTL1からなる。図1に示されるように、IC2のUHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1並びにUHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1がUHF帯域LC回路LCU1と接続され、VHF低帯域発振信号入力端子T1VIVL1がVHF低帯域LC回路LCVL1と接続され、VHF高帯域発振信号入力端子T1VIVH1がVHF高帯域LC回路LCVH1と接続される。また、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1はロー・パス・フィルタLPF1と接続され、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1は水晶発振子XTL1と接続される。
前記構成のIC2及びチューナー1は、次のように動作する。UHF放送を受信する場合、UHF放送の電波は、チューナー1の外部のアンテナにより受信され、そのUHF受信信号がUHF受信信号端子TRU1よりIC2に入力される。前記UHF受信信号は、IC2内部でUHFアンテナ同調回路ANTU1により同調され、UHF 高周波増幅回路RFAU1で増幅された後、UHF帯域ミキサMU1に入力される。UHF帯域ミキサMU1は、増幅されたUHF受信信号と、UHF帯域VCO回路VCOU1 により生成されたUHF帯域局部発振信号OSCU1の周波数変換を行い、UHF中間周波信号を生成する。前記UHF中間周波信号は、中間周波フィルタ出力端子TFO1からIC2外へ出力され、バンド・パス・フィルタBPF1によりろ過される。ろ過後のUHF中間周波信号は、中間周波フィルタ入力端子TFI1から再びIC2に入力される。ろ過後のUHF中間周波信号は、中間周波増幅回路AMP1により増幅された後、IC2の中間周波信号端子TIF1からIC2外へ出力され、チューナー1外部の復調器に渡される。
UHF帯域VCO回路VCOU1は、UHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1並びにUHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1を介して、UHF帯域LC回路LCU1と共にUHF帯域局部発振信号OSCU1を生成する。一方、水晶発振子XTL1及びPLL回路PLL1は、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1を介して基準発振信号を生成する。さらにPLL回路PLL1は、前記基準発振信号とUHF帯域局部発振信号OSCU1の位相比較を行い、UHF帯域VCO回路VCOU1に対する電圧制御信号を生成し、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1から出力する。出力された前記電圧制御信号はロー・パス・フィルタLPF1により直流電圧に変換され、UHF帯域LC回路LCU1に含まれる可変容量ダイオードVCU1を駆動し、UHF帯域VCO回路VCOU1により生成されるUHF帯域局部発振信号OSCU1の周波数を制御する。
VHF放送を受信する場合、VHF放送の電波は、チューナー1外部のアンテナにより受信され、そのVHF受信信号がVHF受信信号端子TRV1よりIC2に入力される。前記VHF受信信号は、IC2内部でVHFアンテナ同調回路ANTV1により同調され、VHF 高周波増幅回路RFAV1で増幅された後、VHF帯域ミキサMV1に入力される。VHF放送の帯域が低帯域である場合、VHF帯域ミキサMV1は、VHF低帯域VCO回路VCOVL1 により生成されたVHF低帯域局部発振信号OSCVL1と、増幅されたVHF受信信号の周波数変換を行い、VHF中間周波信号を生成する。また、VHF放送の帯域が高帯域である場合、VHF帯域ミキサMV1は、VHF高帯域VCO回路VCOVH1により生成されたVHF高帯域局部発振信号OSCVH1と、増幅されたVHF受信信号の周波数変換を行い、VHF中間周波信号を生成する。前記VHF中間周波信号は、中間周波フィルタ出力端子TFO1からIC2外へ出力され、バンド・パス・フィルタBPF1によりろ過される。ろ過後のVHF中間周波信号は、中間周波フィルタ入力端子TFI1から再びIC2に入力される。ろ過後のVHF中間周波信号は、中間周波増幅回路AMP1により増幅された後、IC2の中間周波信号端子TIF1からIC2外へ出力され、チューナー1外部の復調器に渡される。
VHF低帯域VCO回路VCOVL1は、VHF放送の帯域が低帯域である場合、VHF低帯域発振信号入力端子T1VIVL1を介して、VHF低帯域LC回路LCVL1と共にVHF低帯域局部発振信号OSCVL1を生成する。一方、水晶発振子XTL1及びPLL回路PLL1は、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1を介して基準発振信号を生成する。さらにPLL回路PLL1は、前記基準発振信号とVHF低帯域局部発振信号OSCVL1の位相比較を行い、VHF低帯域VCO回路VCOVL1に対する電圧制御信号を生成し、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1から出力する。出力された前記電圧制御信号はロー・パス・フィルタLPF1により直流電圧に変換され、VHF低帯域LC回路LCVL1に設けられた可変容量ダイオードVCVL1を駆動し、VHF低帯域VCO回路VCOVL1により生成されるVHF低帯域局部発振信号OSCVL1の周波数を制御する。
VHF高帯域VCO回路VCOVH1は、VHF放送の帯域が高帯域である場合、VHF高帯域LC回路LCVH1とともに、前記VHF高帯域局部発振信号OSCVH1を生成する。PLL回路PLL1等の動作はVHF低帯域の場合と同様である。
マスタ・スレーブ選択端子TMS1から入力されるマスタ・スレーブ選択信号SMS1は、UHF帯域VCO回路VCOU1及びVHF低帯域VCO回路VCOVL1並びにVHF高帯域VCO回路VCOVH1及びPLL回路PLL1に接続されている。
前記マスタ・スレーブ選択端子TMS1が接地されている場合、スレーブ・モードが選択される。スレーブ・モードでは、UHF帯域VCO回路VCOU1及びVHF低帯域VCO回路VCOVL1、並びにVHF高帯域VCO回路VCOVH1及びPLL回路PLL1はその動作を停止する。さらに、それらの回路の消費電力は後述の方法により低減される。なお、スレーブ・モードに設定されたICでは、IC外部から発振信号が入力され、それを局部発振信号として周波数変換が行われる。
マスタ・スレーブ選択端子TMS1がオープンの場合、マスタ・モードが選択される。マスタ・モードでは、UHF帯域VCO回路VCOU1及びVHF低帯域VCO回路VCOVL1並びにVHF高帯域VCO回路VCOVH1及びPLL回路PLL1がその動作を行う。なお、マスタ・モードに設定されたICでは、IC内部で生成された局部発振信号により周波数変換が行われる。
図2に、図1に示されたUHF帯域VCO回路VCOU1の構成及びマスタ・モードに設定された場合のUHF帯域LC回路LCU1との接続を示す。
図2に示されるように、UHF帯域VCO回路VCOU1 は、UHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1並びにUHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1に接続された第一差動段DIF1U2と、局部発振信号OSCU1を出力する第二差動段DIF2U2からなる。第一差動段DIF1U2は、一の電圧源VU2と、抵抗R1U2乃至R4U2と、差動接続されたトランジスタTR1U2及びTR2U2からなる差動入力回路DI1U1と、スイッチSWU2付き定電流回路I1U2からなる。第二差動段DIF2U2は、抵抗R3U2乃至R6U2と、差動接続されたトランジスタTR3U2よびTR4U2からなる差動入力回路DI2U1と、定電流回路I2U2からなる。UHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1並びにUHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1は図2に示されるようにIC外部のUHF帯域LC回路LCU1と接続されている。
前記構成のUHF帯域VCO回路VCOU1は、次のように動作する。第一差動段DIF1U2は、UHF帯域LC回路LCU1と共に発振器を構成する。UHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1から入力されたUHF帯域LC回路LCU1の帰還発振信号は、第一差動段DIF1U2により増幅され、UHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1から出力される。四つの端子を用いるのは、周波数が高いUHF帯域の局部発振信号に対して、安定した可変レンジを持たせるためである。
定電流回路I1U2のスイッチSWU2は、前記マスタ・スレーブ選択信号SMS1により制御される。前記マスタ・スレーブ選択信号SMSがマスタ・モードを示す場合、スイッチSWU2は、定電流回路I1U2を動作させる。定電流回路I1U2は差動入力回路DI1U2と共に帰還増幅回路を構成し、UHF帯域VCO回路VCOU1は通常の発振動作を行う。
第二差動段DIF2U2はバッファ回路を構成する。第一差動段DIF1U2のトランジスタTR1U2及びTR2U2のベースに入力される帰還発振信号は、差動入力として第二差動段DIF2U2の差動入力回路DI2U2にも入力される。第二差動段DIF2U2は、入力された帰還発振信号を電流モードに変換し、UHF帯域局部発振信号OSCU1としてUHF帯域ミキサMU1へ出力する。なお、かかる構成の場合、UHF帯域局部発振信号OSCU1は差動信号としてUHF帯域VCO回路VCOU1からUHF帯域ミキサMU1へ出力される。
図3に、図1に示されたUHF帯域VCO回路VCOU1の状態及びスレーブ・モードに設定された場合のUHF帯域LC回路LCU1との接続を示す。
スレーブ・モードの場合、発振信号入力端子T1VIU1はキャパシタスC1U3を介して外部発振信号により駆動され、発振信号入力端子T2VIU1はキャパシタスC2U3を介して接地される。さらに発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1はオープンであり、第一差動段DIF1U2は帰還増幅動作を行わない。第一差動段DIF1U2が帰還増幅動作を行わないため、外部の発振信号は、第一差動段DIF1U2をバイパスして、第二差動段DIF2U2へ入力される。第二差動段DIF2U2は、入力された外部発振信号を、局部発振信号OSCU1として電流モードに変換し、UHF帯域ミキサMU1へ出力する。
前記マスタ・スレーブ選択信号SMSがスレーブ・モードを示す場合、スイッチSWU2は、定電流回路I1U2の動作を停止する。その場合、UHF帯域VCO回路VCOU1の発振が停止されていることに加えて、差動入力回路DI1U2のトランジスタTR1U2及びTR2U2に電流が流れないため、第一差動段DIF1U2における不要な消費電力が削減される。
図4に、図2に示されたスイッチSWU2付き定電流回路I1U2の構成を示す。図4に示されるように、スイッチSWU2付き定電流回路I1U2は、抵抗R14乃至R84と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1のマスタ・スレーブ選択信号SMS1を受けるトランジスタTR14と、第一の電流源となるトランジスタTR24及びTR34と、第二の電流源となるトランジスタTR44及びTR54と、差動入力回路DI1U2に接続されたカレントミラー定電流回路を構成するトランジスタTR64 及びTR74から構成される。
前記構成のスイッチSWU2付き定電流回路I1U2は、次のように動作する。マスタ・スレーブ選択端子TMS1がオープンの場合、前記第一の電流源のトランジスタTR24のコレクタ電流は、第一のトランジスタTR14のベース端子へ流れ込む。そのためトランジスタTR14のコレクタ電流が流れ、前記第二の電流源のトランジスタTR44は入力電流を得る。前記第二の電流源は前記入力電流の増幅動作を行い、カレントミラー定電流回路のトランジスタTR64のコレクタ端子に電流が供給される。その結果、カレントミラー定電流回路は入力電流を得ることができ、その動作を行う。
マスタ・スレーブ選択端子TMS1が接地されている場合、第一の電流源のトランジスタTR24のコレクタ電流は、接地されたマスタ・スレーブ選択端子TMS1へ流れ込む。そのため、第一のトランジスタTR14のベース電流及びコレクタ電流が流れない。前記第二の電流源のトランジスタTR44は入力電流を得ることができないため、前記第二の電流源は増幅動作を行わず、カレントミラー定電流回路のトランジスタTR64のコレクタ端子に電流が供給されない。その結果、カレントミラー定電流回路は入力電流を得ることができず、その動作を行わない。
図5に、図1に示されたVHF低帯域VCO回路VCOVL1の構成及びマスタ・モードに設定された場合のVHF低帯域LC回路LCVL1との接続を示す。なお、VHF高帯域LC回路LCVH1の構成及び動作は、VHF低帯域VCO回路VCOVL1と、回路パラメーター以外同様であり、説明を省略する。
図5に示されるように、VHF低帯域VCO回路VCOVL1 は、VHF低帯域発振信号入力端子T1VIVL1に接続された第一差動段DIF1VL5と、局部発振信号OSCVL1を出力する第二差動段DIF2VL5からなる。第一差動段DIF1VL5は、電圧源VVL5と、キャパシタンスC1VL5乃至C3VL5と、抵抗R1VL5乃至R4VL5と、差動接続されたトランジスタTR1VL5及びTR2VL5からなる差動入力回路DI1VL5と、スイッチSWVL5付き定電流回路I1VL5からなる。第二差動段DIF2VL5は、抵抗R5VL5及びR6VL5と、差動接続されたトランジスタTR3VL5及びTR4Vl5からなる差動入力回路DI2VL5と、定電流回路I2VL5からなる。VHF低帯域発振信号入力端子T1VIVL1は図5に示されるようにIC外部のVHF低帯域LC回路LCVL1と接続されている。
前記構成のVHF低帯域VCO回路VCOVL1は、次のように動作する。第一差動段DIF1VL5は、VHF低帯域LC回路LCVL1と共に発振器を構成する。発振信号入力端子T1VIVL1から入力されたVHF低帯域LC回路LCVL1による帰還発振信号は、第一差動段DIF1VL5により増幅される。
定電流回路I1VL5のスイッチSWVL5は、前記マスタ・スレーブ選択信号SMS1により制御される。前記マスタ・スレーブ選択信号SMSがマスタ・モードを示す場合、スイッチSWVL5は、定電流回路I1VL5を動作させる。定電流回路I1VL5は差動入力回路DI1VL5と共に帰還増幅回路を構成し、VHF低帯域VCO回路VCOVL1は通常の発振動作を行う。
第二差動段DIF2VL5はバッファ回路を構成する。第一差動段DIF1VL5のトランジスタTR1VL5及びTR2VL5のベース端子に入力される帰還発振信号は、差動入力として第二差動段DIF2VL5の差動入力回路DI2VL5にも入力される。第二差動段DIF2VL5は、入力された帰還発振信号を電流モードに変換し、局部発振信号OSCVL1としてVHF帯域ミキサMV1へ出力する。なお、かかる構成の場合、局部発振信号OSCVL1は差動信号としてVHF低帯域VCO回路VCOVL1からVHF帯域ミキサMV1へ出力される。
図6に、図1に示されたVHF低帯域VCO回路VCOVL1の状態及びスレーブ・モードに設定された場合のVHF低帯域LC回路LCVL1との接続を示す。
スレーブ・モードの場合、外部発振信号がキャパシタスC1VL6を介し発振信号入力端子T1VIVL1を駆動する。第一差動段DIF1U2は帰還増幅動作を行わないため、外部発振信号は、第一差動段DIF1VL5をバイパスして、第二差動段DIF2VL5へ入力される。第二差動段DIF2VL5は、入力された外部発振信号を、局部発振信号OSCVL1として電流モードに変換し、VHF帯域ミキサMV1へ出力する。
前記マスタ・スレーブ選択信号SMSがスレーブ・モードを示す場合、スイッチSWVL5は、定電流回路I1VL5の動作を停止する。その場合、VHF低帯域VCO回路VCOVL1の発振が停止していることに加えて、差動入力回路DI1VL5のトランジスタTR1VL5及びTR2VL5に電流が流れないため、第一差動段DIF1VL5における不要な消費電力が削減される。
スイッチSWVL5付き定電流回路I1VL5の構成は、UHF帯域VCO回路VCOU1のスイッチSWU2付き定電流回路I1U2と同様であるため説明を省略する。
なお、マスタ・モードの場合でも、受信する帯域以外のVCO回路は、第一差動段の定電流回路のスイッチが制御され第一差動段の帰還増幅動作を停止することにより、発振を停止している。すなわち、定電流回路のスイッチは、マスタ・スレーブの選択による制御に加えて、受信帯域の選択でも制御されることになる。例えば、UHF放送を受信する場合は、マスタ・モードでもVHF低帯域VCO回路VCOVL1及びVHF高帯域VCO回路VCOVH1は発振を停止している。
図7に、図1に示されたPLL回路PLL1の構成を示す。図7に示されるように、PLL回路PLL1は、局部発振信号分周回路DIV17と、基準発振回路XOS7と、基準発振信号分周回路DIV27と、位相検波回路CMP7と、チャージポンプ回路CP7と、PLL電力制御回路PWC7からなる。それらの回路の電源線は、専用電源線SVDD7に接続されている。
前記構成のPLL回路PLL1は、次のように動作する。基準発振回路XOS7は、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1を介して水晶発振子XTL1の発振信号を受け、基準発振信号を生成する。前記基準発振信号は基準発振信号分周回路DIV27により分周され、位相検波回路CMP7に入力される。一方、UHF放送を受信する場合には前記UHF帯域局部発振信号OSCU1が、VHF放送を受信する場合には前記VHF低帯域局部発振信号OSCVL1又はVHF高帯域局部発振信号OSCVH1が、局部発振信号分周回路DIV17により分周され、位相検波回路CMP7に入力される。位相検波回路CMP7は、分周された二つの発振信号の位相比較を行い、位相検波信号を出力する。チャージポンプ回路CP7は前記位相検波信号から位相差に応じた電圧制御信号を生成し、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1へ出力する。
専用電源線SVDD7は、PLL電力制御回路PWC7の電力端子TP7により駆動される。PLL電力制御回路PWC7は、前記マスタ・スレーブ選択信号SMS1により制御される。
前記マスタ・スレーブ選択信号SMS1がマスタ・モードを示す場合、PLL電力制御回路PWC7は、電力端子TP7から専用電源線SVDD7に電力を供給する。よって、マスタ・モードの場合、基準発振回路XOS7及び基準発振信号分周回路DIV27並びに位相検波回路CMP7及びチャージポンプ回路CP7は電力を得る。
前記マスタ・スレーブ選択信号SMS1がスレーブ・モードを示す場合、PLL電力制御回路PWC7は専用電源線SVDD6に対する電力供給を停止する。よって、スレーブ・モードの場合、基準発振回路XOS7及び基準発振信号分周回路DIV27並びに位相検波回路CMP7及びチャージポンプ回路CP7は電力供給を停止され、PLL回路PLL1における不要な消費電力が削減される。
図8に、図7に示されたPLL電力制御回路PWC7の構成を示す。図8に示されるように、PLL電力制御回路PWC7は、抵抗R18乃至R58と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1から入力された前記マスタ・スレーブ選択信号SMS1を受ける第一のトランジスタTR18と、第一の電流源となるトランジスタTR28及びTR38と、差動接続されたトランジスタTR48 及びTR58からなる増幅回路から構成される。それらの回路は、常に電力を供給する電源線VDD8から電力を得る。電力端子TP7はトランジスタTR58のコレクタ端子に接続されている。
前記構成のPLL電力制御回路PWC7は、次のように動作する。マスタ・スレーブ選択端子TMS1がオープンの場合、第一の電流源のトランジスタTR28のコレクタ電流は、第一のトランジスタTR18のベース端子へ流れ込む。そのため第一のトランジスタTR18にコレクタ電流が流れ、増幅回路のトランジスタTR38は入力電流を得る。その結果、前記増幅回路は前記入力電流の増幅動作を行い、トランジスタTR58のコレクタ電流が電力端子TP6から専用電源線SVDD6に供給される。
マスタ・スレーブ選択端子TMS1が接地されている場合、前記第一の電流源のトランジスタTR28のコレクタ電流は、接地されたマスタ・スレーブ選択端子TMS1へ流れ込む。その結果、第一のトランジスタTR18のベース電流及びコレクタ電流が流れない。前記増幅回路のトランジスタTR38は入力電流を得ることができないため、前記増幅回路は増幅動作を行わない。その結果、トランジスタTR58のコレクタ電流が流れず、電力端子TP7から専用電源線SVDD6への電流供給が停止する。
図9に、本発明の一実施形態によるダイバーシティ受信機の構成を示す。図9に示されるように、ダイバーシティ受信機100は、UHF放送用アンテナA1U9及びA2U9と、VHF放送用アンテナA1V9及びA2V9と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1がオープンであるIC219と、バンド・パス・フィルタBPF1と、可変容量ダイオードVCU1を含むUHF帯域LC回路LCU1、可変容量ダイオードVCVL1を含むVHF低帯域LC回路LCVL1及び可変容量ダイオードVCVH1を含むVHF高帯域LC回路LCVH1と、ロー・パス・フィルタLPF1及び水晶発振子XTL1と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1が接地された一のIC229と、外部発振信号をIC219からIC229へ接続するバッファBUFU9、BUFVL9及びBUFVH9と、キャパシタンスC1U9乃至C1VH9と、復調器DM19及びDM29と、二つの復調信号のうち一の信号を選択する比較器DCM9から構成される。
前記構成のダイバーシティ受信機100は、例えばUHF放送を受信する場合、次のように動作する。
アンテナA1U9及びA2U9は同一の放送を受信する。IC219はアンテナA1U9からのUHF受信信号を周波数変換する。アンテナA1U9により受信されたUHF受信信号は、受信信号端子TRU1よりIC219に入力される。前記受信信号はIC219において、アンテナ同調回路ANTU1により同調され、高周波増幅回路RFAU1で増幅された後、ミキサMU1に入力される。IC219のマスタ・スレーブ選択端子TMS1はオープンであり、IC219はマスタ・モードに設定されている。よって、IC219のUHF帯域VCO回路VCOU1が、IC外部のUHF帯域LC回路LCU1と共にUHF帯域局部発振信号OSCU1を生成する。VHF低帯域VCO回路VCOVL1及びVHF高帯域VCO回路VCOVH1は、発振を停止している。UHF帯域ミキサMU1は、UHF受信信号とUHF帯域局部発振信号OSCU1を周波数変換し、UHF中間周波信号を生成する。前記UHF中間周波信号は、中間周波フィルタ出力端子TFO1からIC219外へ出力され、バンド・パス・フィルタBPF1によりろ過される。ろ過後のUHF中間周波信号は、中間周波フィルタ入力端子TFI1から再びIC219に入力される。ろ過後のVHF中間周波信号は、中間周波増幅回路AMP1により増幅された後、IC219の中間周波信号端子TIF1から出力され、復調器DM19に入力される。復調器DM19により生成された復調信号は、比較器DCM9に入力される。
一方、IC229はアンテナA2U9 からのUHF受信信号を周波数変換する。アンテナA2U9により受信されたUHF受信信号は、受信信号端子TRU1よりIC229に入力される。前記受信信号は、IC229において、アンテナ同調回路ANTU1により同調され、高周波増幅回路RFAU1で増幅された後、ミキサMU1に入力される。IC229のマスタ・スレーブ選択端子TMS1は接地されており、IC229はスレーブ・モードに設定されている。よって、IC229のVCO回路VCOU1、VCOVL1及びVCOVH1は定電流回路の動作が停止され、また、PLL回路PLL1は電力供給が停止することにより、不要な消費電力が削減される。IC219で生成されたUHF帯域LC回路LCU1に現れるUHF帯域局部発振信号は、バッファBUFU9及びキャパシタンスC1U9よりIC229の発振信号入力端子T1IU9に入力される。前記UHF帯域局部発振信号はIC229において、UHF帯域VCO回路VCOU1の第一差動段DIF1U2をバイパスして、第二差動段DIF2U2により局部発振信号OSCU1としてUHF帯域ミキサMU1に出力される。UHF帯域ミキサMU1は、UHF受信信号とIC219で生成されたUHF帯域局部発振信号を周波数変換し、UHF中間周波信号を生成する。前記UHF中間周波信号は、中間周波フィルタ出力端子TFO1からIC229外へ出力され、バンド・パス・フィルタBPF1によりろ過される。ろ過後のVHF中間周波信号は、中間周波フィルタ入力端子TFI1から再びIC229に入力される。ろ過後のUHF中間周波信号は、中間周波増幅回路AMP1により増幅された後、IC229の中間周波信号端子TIF1から出力され、復調器DM29に入力される。復調器DM29により生成された復調信号は、比較器DCM9に入力される。
アンテナの位置や方向により受信状況が異なるため、アンテナA1U9の受信信号から復調器DM19により生成される復調信号と、アンテナA2U9の受信信号から復調器DM2U9により生成される復調信号は、その品質に差が生じることになる。比較器DCM9は二つの復調信号それぞれの品質を比較し、受信状況の良い受信信号から得られた一の復調信号を選択し、受信機外部へ出力する。
以下、本発明の別の一実施形態を図10〜図13に基づいて説明する。図10に、本発明の一実施形態によるIC及びチューナーの構成を示す。このIC及びチューナーはUHF帯域の放送を受信する。
図10に示されるように、本発明の別の一実施形態によるIC4は、UHF受信信号端子TRU1 と、UHFアンテナ同調回路ANTU1と、UHF 高周波増幅回路RFAU1と、中間周波フィルタ出力端子TFO1及び中間周波フィルタ入力端子TFI1と、中間周波増幅回路AMP1と、中間周波信号端子TIF1と、UHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1と、UHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1と、UHF帯域VCO回路VCOU1の差動段DIF1U2と、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1と、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1と、PLL回路PLL1と、UHF帯域ミキサMU1と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1と、マルチプレクサMU10と、マルチプレクサ制御端子TMU10と、局部発振信号出力端子TEOSO10及び局部発振信号入力端子TEOSI10を備えている。
また、図10に示されるように、チューナー3は、IC4と、バンド・パス・フィルタBPF1と、UHF帯域LC回路LCU1と、ロー・パス・フィルタLPF1及び水晶発振子XTL1からなる。図10に示されるように、IC4のUHF帯域発振信号入力端子T1VIU1及びT2VIU1並びにUHF帯域発振信号出力端子T1VOU1及びT2VOU1がUHF帯域LC回路LCU1と接続される。また、電圧制御信号出力端子T1PL1及びT2PL1はロー・パス・フィルタLPF1と接続され、基準発振信号端子T1OS1及びT2OS1は水晶発振子XTL1と接続される。
前記構成のIC4及びチューナー3の構成要素の中で、図1に示された本発明の別の実施例である前記IC2及び前記チューナー1の構成要素と同一の符号を付したものは、前記IC2及び前記チューナー1と同様の動作をするため説明を省略する。
IC4の構成と前記IC2の構成の相違点は、(1)UHF帯域VCO回路VCOU1が第一差動段DIF1U2のみからなる点と、(2)マルチプレクサMU10と、マルチプレクサ制御端子TMU10、局部発振信号出力端子TEOSO10及び局部発振信号入力端子TEOSI10を備えている点である。
以下、前記相違点に注目して前記構成のIC4の動作を説明する。UHF帯域内部局部発振信号OSCIN10はUHF帯域VCO回路VCOU1の第一差動段DIF1U2とUHF帯域LC回路LCU1により生成される発振信号であり、図2に示されたUHF帯域VCO回路VCOU1の第二差動段DIF2U2でバッファされる前の信号である。一方、UHF帯域外部局部発振信号OSCEX10は局部発振信号入力端子TEOSI10からIC4に入力される。マルチプレクサMU10は、UHF帯域内部局部発振信号OSCIN10とUHF帯域外部局部発振信号OSCEX10を受け取り、マルチプレクサ制御端子TMU10から入力されたマルチプレクサ制御信号SMU10の値に従って一の信号を選択し、UHF帯域局部発振信号OSC10としてUHF帯域ミキサMU1へ出力する。
マルチプレクサ制御端子TMU10がオープンの場合、マルチプレクサMU10は局部発振信号OSC10としてUHF帯域内部局部発振信号OSCIN10を選択する。マルチプレクサ制御端子TMU10が接地されている場合、マルチプレクサMU10はUHF帯域局部発振信号OSC10としてUHF帯域外部局部発振信号OSCEX10を選択する。
また、UHF帯域内部局部発振信号OSCIN10は、局部発振信号出力端子TEOSO10からIC4の外へ出力される。
図11に、図10に示されたマルチプレクサMU10の構成を示す。図11に示されるように、マルチプレクサMU10は、キャパシタンスC111及びC211と、出力が接続されたバッファ回路BU111及びBU211から構成される。UHF帯域内部局部発振信号OSCIN1はバッファ回路BU111に入力される。UHF帯域外部局部発振信号OSCEX10はキャパシタンスC111及びC211を介して、差動入力としてバッファ回路BU211に入力される。
バッファ回路BU111は、抵抗R111乃至R411と、差動接続された二つのトランジスタTR111及びTR211からなる差動入力回路DI2IN11と、スイッチSWIN11付き定電流回路I2IN11からなる。スイッチSWIN11は、マルチプレクサ制御信号SMU10により制御される。マルチプレクサ制御端子TMU10がオープンの場合、スイッチSWIN11は、定電流回路I2IN11を動作させる。バッファ回路BU111は、UHF帯域内部局部発振信号OSCIN10を電流モードに変換し、UHF帯域局部発振信号OSC10として出力する。マルチプレクサ制御端子TMU10が接地されている場合、スイッチSWIN11は、定電流回路I2IN11の動作を停止させる。バッファ回路BU111は、定電流回路I2IN11が停止しているため、UHF帯域内部局部発振信号OSCIN10が入力されても、それを出力することができない。
バッファ回路BU211は、抵抗R511乃至R811と、差動接続された二つのトランジスタTR311及びTR411からなる差動入力回路DI2EX11と、スイッチSWEX11付き定電流回路I2EX11からなる。スイッチSWEX11は、マルチプレクサ制御信号SMU10により制御される。バッファ回路BU111とは逆に、マルチプレクサ制御端子TMU10が接地されている場合、スイッチSWEX11は、定電流回路IEX11を動作させる。バッファ回路BU211は、UHF帯域外部局部発振信号OSCEX10を電流モードに変換し、UHF帯域局部発振信号OSC10として出力する。マルチプレクサ制御端子TMU10がオープンの場合、スイッチSWEX11は、定電流回路I2EX11の動作を停止させる。バッファ回路BU211は、定電流回路I2IN11が停止しているため、UHF帯域外部局部発振信号OSCEX10が入力されても、それを出力することができない。
上述のように、バッファ回路BU111とバッファ回路BU211は、マルチプレクサ制御信号SMU10により一方は動作させ、他方は停止させられる。よって、マルチプレクサMU10は、UHF帯域内部局部発振信号OSCIN1又はUHF帯域外部局部発振信号OSCEX10の一方をUHF帯域局部発振信号OSC10として出力する。
図12に、図11に示されたバッファ回路BU211のスイッチSWEX11付き定電流回路I2EX11の構成を示す。なお、バッファ回路BU111のスイッチSWIN11付き定電流回路I2IN11は、図4に示されたスイッチSWU2付き定電流回路I1U2と同様の構成をとるため、説明を省略する。
図12に示されるように、スイッチSWEX11付き定電流回路I2EX11は、抵抗R112乃至R712と、マルチプレクサ制御端子TMU10のマルチプレクサ制御信号SMU10を受けるトランジスタTR112と、電流源となるトランジスタTR212及びTR312と、差動入力回路DI2EX11に接続されたカレントミラー定電流回路を構成するトランジスタTR412 及びTR512から構成される。
前記構成のスイッチSWEX11付き定電流回路I2EX11は、次のように動作する。マルチプレクサ制御端子TMU10がオープンの場合、電流源のトランジスタTR212のコレクタ電流は、第一のトランジスタTR112のベース端子へ流れ込む。そうすると電源線から抵抗R412を介して流れる電流は、カレントミラー定電流回路のトランジスタTR412のコレクタ端子ではなく、第一のトランジスタTR112のコレクタ端子に流れ込んでしまう。その結果、カレントミラー定電流回路は入力電流を得ることができず、その動作を行わない。
マルチプレクサ制御端子TMU10が接地されている場合、電流源のトランジスタTR212のコレクタ電流は、接地されたマルチプレクサ制御端子TMU10へ流れ込む。そうすると、第一のトランジスタTR112のベース電流及びコレクタ電流が流れず、電源線から抵抗R412を介して流れる電流は、カレントミラー定電流回路のトランジスタTR412のコレクタ端子に流れ込む。その結果、カレントミラー定電流回路は入力電流を得ることができ、その動作を行う。
図13に、前記IC4を用いた本発明の別の一実施形態によるダイバーシティ受信機の構成を示す。
図13に示されるように、ダイバーシティ受信機200は、UHF放送用アンテナA1U13及びA2U13と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1及びマルチプレクサ制御端子TMU10がオープンであるIC4113と、IC4113のためのバンド・パス・フィルタBPF1及びUHF帯域LC回路LCU1並びにロー・パス・フィルタLPF1及び水晶発振子XTL1と、マスタ・スレーブ選択端子TMS1及びマルチプレクサ制御端子TMU10が接地されたIC4213と、IC4213のためのバンド・パス・フィルタBPF1及びUHF帯域LC回路LCU1並びにロー・パス・フィルタLPF1及び水晶発振子XTL1と、IC4113の局部発振信号出力端子TEOSO10をIC4213の局部発振信号入力端子TEOSI10へ接続するバッファBUF113と、IC4213の局部発振信号出力端子TEOSO10をIC4113の局部発振信号入力端子TEOSI10へ接続するバッファBUF213と、復調器DM113及びDM213と、二つの復調信号のうち一の信号を選択する比較器DCM13から構成される。
前記構成のダイバーシティ受信機200の構成要素の中で、図9に示された本発明の別の実施例であるダイバーシティ受信機100の構成要素と同一の符号を付したものは、ダイバーシティ受信機100と同様の動作をするため説明を省略する。
ダイバーシティ受信機200の構成とダイバーシティ受信機100の構成の相違点は、(1)ICのマルチプレクサ制御端子TMU10の設定により、局部発振信号の選択が行われる点と、(2)一方のICの局部発振信号出力端子を、他方のICの局部発振信号入力端子を接続することにより、他方のICへ局部発振信号の供給が行われる点と、(3)二つのICが、マルチプレクサ制御端子TMU10及びマスタ・スレーブ選択端子TMS1の設定により相互に局部発振信号を供給できる点である。
以下、前記相違点に注目して前記構成のダイバーシティ受信機200の動作を説明する。
IC4113のマルチプレクサ制御端子TMU10はオープンであり、IC4113はUHF帯域内部局部発振信号OSCIN10をUHF帯域局部発振信号OSC10として選択する。マスタ・スレーブ選択端子TMS1もオープンであるため、IC4113はマスタ・モードに設定されており、UHF帯域VCO回路VCOU1の第一差動段DIF1U2が、IC外部のUHF帯域LC回路LCU1と共にUHF帯域内部局部発振信号OSCIN10を生成する。かかるUHF帯域内部局部発振信号OSCIN10は、局部発振信号出力端子TEOSO10へ出力され、また、マルチプレクサMU10により選択され、UHF帯域局部発振信号OSC10としてUHF帯域ミキサMU1へ出力される。
IC4213のマルチプレクサ制御端子TMU10は接地されており、IC4113はUHF帯域外部局部発振信号OSCEX10をUHF帯域局部発振信号OSC10として選択する。マスタ・スレーブ選択端子TMS1も接地されているため、IC4213はスレーブ・モードに設定されている。IC外部のUHF帯域LC回路LCU1がIC4213に接続されているが、UHF帯域VCO回路VCOU1の第一差動段DIF1U2の中で、定電流回路の動作が停止されているため、UHF帯域VCO回路VCOU1の第一差動段DIF1U2は発振を停止している。また、PLL回路PLL1は電力供給が停止することにより、電圧制御信号の生成を停止している。IC4113の局部発振信号出力端子TEOSO10から出力されたUHF帯域局部発振信号は、バッファBUF113を介してUHF帯域外部局部発振信号OSCEX10としてIC4213の局部発振信号入力端子TEOSI10に入力される。UHF帯域外部局部発振信号OSCEX10はIC4213において、UHF帯域VCO回路VCOU1の第一差動段DIF1U2をバイパスして、マルチプレクサMU10に入力される。さらに、UHF帯域外部局部発振信号OSCEX10はマルチプレクサMU10によりUHF帯域局部発振信号OSC10として選択され、UHF帯域ミキサMU1へ出力される。なお、スレーブ・モードに設定されたIC4213のUHF帯域VCO回路VCOU1は定電流回路の動作が停止され、また、PLL回路PLL1は電力供給が停止することにより不要な消費電力が削減される。
なお、IC4113のマルチプレクサ制御端子TMU10及びマスタ・スレーブ選択端子TMS1を接地に接続し、IC4213のマルチプレクサ制御端子TMU10及びマスタ・スレーブ選択端子TMS1をオープンにすれば、上述の構成とは逆に、IC4213がマスタ・モードに設定され、UHF帯域局部発振信号を生成する。IC4113はスレーブ・モードに設定され、バッファBUF213を介してIC4213からUHF帯域局部発振信号の供給を受けることになる。
本発明によるIC及びチューナーの構成の一例を示した図である。
図1に示されたIC の中のUHF帯域VCO回路の構成の一例及びマスタ・モードの場合のUHF帯域LC回路との接続を示した図である。
図1に示されたIC の中のUHF帯域VCO回路の状態及びスレーブ・モードの場合のUHF帯域LC回路との接続を示した図である。
図2に示されたUHF帯域VCO回路の中のスイッチ付き定電流回路の構成を示した図である。
図1に示されたIC の中のVHF低帯域VCO回路の構成の一例及びマスタ・モードの場合のVHF低帯域LC回路との接続を示した図である。
図1に示されたIC の中のVHF低帯域VCO回路の状態及びスレーブ・モードの場合のVHF低帯域LC回路との接続を示した図である。
図1に示されたIC の中のPLL回路の構成の一例を示した図である。
図1に示されたIC の中のPLL電力制御回路の構成の一例を示した図である。
図1に示されたIC を用いたダイバーシティ受信機の一例を示した図である。
本発明によるIC及びチューナーの別の構成の一例を示した図である。
図10に示されたIC の中のマルチプレクサの構成の一例を示した図である。
図11に示されたマルチプレクサの中のスイッチ付き定電流回路の構成の一例を示した図である。
図10に示されたIC を用いたダイバーシティ受信機の一例を示した図である。
従来のIC及びチューナーを示した図である。
従来のVCO回路の構成及びLC回路との接続を示した図である。
従来のPLL回路の構成を示した図である
ICを二つ用いて構成された既知のダイバーシティ受信機を示した図である。
2種類のICを用いて構成された既知のダイバーシティ受信機を示した図である。
符号の説明
100、200、300、400: ダイバーシティ受信機
1、3、5、5117、5217、5118: チューナー
2、219、229、4、4113、4213、6、6117、6217、6118: IC
518: ミキサ単体IC
A:アンテナ
DM:復調器
DCM:比較器
OSC*:局部発振信号
BUF*:バッファ
C*:キャパシタンス
VC*:可変容量ダイオード
LC*: LC回路
LPF:ロー・パス・フィルタ
XTL:水晶発振子
TR*: 受信端子
TIF:中間周波信号端子
TFO:中間周波フィルタ出力端子
TFI:中間周波フィルタ入力端子
TEOSO:外部局部発振信号出力端子
TEOSI:外部局部発振信号入力端子
TMS:マスタ・スレーブ選択端子
TMU:マルチプレクサ制御端子
T1VI*: VCO回路の第一の発振信号入力端子
T2VI*: VCO回路の第二の発振信号入力端子
T1VO*: VCO回路の第一の発振信号出力端子
T2VO*: VCO回路の第二の発振信号出力端子
TPL: PLL回路の電圧制御信号出力端子
TOS: PLL回路の基準発振信号端子
ANT**:アンテナ同調回路
RFA**:高周波増幅回路
AMP:中間周波増幅回路
VCO*:VCO回路
OSC*:局部発振信号
OSCEX:外部局部発振信号
OSCIN:内部局部発振信号
BU:バッファ回路
MU:マルチプレクサ
M**:ミキサ
SMS:マスタ・スレーブ選択信号
SMU:マルチプレクサ制御信号
DIF1*: VCO回路中の第一差動段
DIF2*: VCO回路中の第二差動段
DI1*:第一差動段中の差動入力回路
DI2*:第二差動段中の差動入力回路
I1*:第一差動段中の定電流回路
I2*:第二差動段中の定電流回路
I2EX:第二差動段中の定電流回路
I2IN:第二差動段中の定電流回路
SW*:定電流回路中のスイッチ
SWEX:定電流回路中のスイッチ
SWIN:定電流回路中のスイッチ
V*: VCO回路の低電圧源
PLL:PLL回路
DIV1:局部発振信号分周回路
DIV2:基準発振信号分周回路
XOS:基準発振回路
CMP:位相検波回路
CP:チャージポンプ回路
TR:トランジスタ素子
R:抵抗素子
*は、U又はVL又はVHで、各UHF帯域、VHF低帯域、VHF高帯域を意味する。
**はU又はVで、それぞれUHF放送、VHF放送を意味する。
参照符号の下付き文字は、当該参照番号が表された図番を意味する。