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JP4208492B2 - 発光素子 - Google Patents

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JP4208492B2
JP4208492B2 JP2002173528A JP2002173528A JP4208492B2 JP 4208492 B2 JP4208492 B2 JP 4208492B2 JP 2002173528 A JP2002173528 A JP 2002173528A JP 2002173528 A JP2002173528 A JP 2002173528A JP 4208492 B2 JP4208492 B2 JP 4208492B2
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淳 鎌谷
孝志 森山
聖志 三浦
学 古郡
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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機化合物を用いた発光素子に関するものであり、さらに詳しくは素子内の金属配位化合物に由来する不純物を低減することによって安定した効率の高い有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、高速応答性や高効率の発光素子として、応用研究が精力的に行われている。その基本的な構成を図1(a)・(b)に示した[例えばMacromol.Symp.125,1〜48(1997)参照]。
【0003】
図1に示したように、一般に有機EL素子は透明基板15上に透明電極14と金属電極11の間に複数層の有機膜層から構成される。
【0004】
図1(a)では、有機層が発光層12とホール輸送層13からなる。透明電極14としては、仕事関数が大きなITOなどが用いられ、透明電極14からホール輸送層13への良好なホール注入特性を持たせている。金属電極11としては、アルミニウム、マグネシウムあるいはそれらを用いた合金などの仕事関数の小さな金属材料を用い有機層への良好な電子注入性を持たせる。これら電極には、50〜200nmの膜厚が用いられる。
【0005】
発光層12には、電子輸送性と発光特性を有するアルミキノリノール錯体など(代表例は、化1に示すAlq3)が用いられる。また、ホール輸送層13には、例えばビフェニルジアミン誘導体(代表例は、化1に示すα−NPD)など電子供与性を有する材料が用いられる。
【0006】
以上の構成をした素子は整流性を示し、金属電極11を陰極に透明電極14を陽極になるように電界を印加すると、金属電極11から電子が発光層12に注入され、透明電極15からはホールが注入される。
【0007】
注入されたホールと電子は発光層12内で再結合により励起子が生じ発光する。この時ホール輸送層13は電子のブロッキング層の役割を果たし、発光層12/ホール輸送層13界面の再結合効率が上がり、発光効率が上がる。
【0008】
さらに、図1(b)では、図1(a)の金属電極11と発光層12の間に、電子輸送層16が設けられている。発光と電子・ホール輸送を分離して、より効果的なキャリアブロッキング構成にすることで、効率的な発光を行うことができる。電子輸送層16としては、例えば、オキサジアゾール誘導体などを用いることができる。
【0009】
これまで、一般に有機EL素子に用いられている発光は、発光中心の分子の一重項励起子から基底状態になるときの蛍光が取り出されている。一方、一重項励起子を経由した蛍光発光を利用するのでなく、三重項励起子を経由した燐光発光を利用する素子の検討がなされている。発表されている代表的な文献は、文献1:Improved energy transfer in electrophosphorescent device(D.F.O’Brienら、Applied Physics Letters Vol 74,No3 p422(1999))、文献2:Very high−efficiency green organic light−emitting devices basd on electrophosphorescence(M.A.Baldoら、Applied Physics Letters Vol 75,No1 p4(1999))である。
【0010】
これらの文献では、図1(c)に示す有機層の4層構成が主に用いられている。それは、陽極側からホール輸送層13、発光層12、励起子拡散防止層17、電子輸送層16からなる。用いられている材料は、化1に示すキャリア輸送材料と燐光発光性材料である。各材料の略称は以下の通りである。
Alq3:アルミ−キノリノール錯体
α−NPD:N4,N4’−Di−naphthalen−1−yl−N4,N4’−diphenyl−biphenyl−4,4’−diamine
CBP:4,4’−N,N’−dicarbazole−biphenyl
BCP:2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline
PtOEP:白金−オクタエチルポルフィリン錯体
Ir(ppy)3:イリジウム−フェニルピリミジン錯体
【0011】
【化1】
Figure 0004208492
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記、燐光発光を用いた有機EL素子では、特に通電状態の発光劣化が問題となる。燐光発光素子の発光劣化の原因は明らかではないが、一般に3重項寿命が1重項寿命より、3桁以上長いために、分子がエネルギーの高い状態に長く置かれるため、周辺物質との反応、励起多量体の形成、分子微細構造の変化、周辺物質の構造変化などが起こるのではないかと考えられている。
【0013】
いずれにしても、燐光発光素子は高発光効率が期待されるが、一方で通電劣化が問題となる。
【0014】
そこで、本発明は、高効率発光で、耐久性に優れ、長い期間高輝度を保つ発光素子及び表示装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特に金属錯体化合物に着目して、金属錯体化合物からの分解生成物が、強く初期の特性や耐久性能に影響を与えていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明の発光素子は、ガラス基板と、ITOと、以下に示すαNPDの層と、以下に示すCBPと以下に示すIr(4CF3piq)3の層と、以下に示すBCPの層と、以下に示すAlq3の層と、AlLiの層と、Alとが順次配置されている発光素子であって、前記CBPとIr(4CF3piq)3の層は不純物に1−(4−トリフルオロメチルフェニル)イソキノリンを有しており、かつ蒸着により形成される層であることを特徴とする
【化1−1】
Figure 0004208492
【0022】
【発明の実施の形態】
EL素子の発光効率を高めるためには、発光中心材料そのものの発光量子収率が大きいことは言うまでもない。しかしながら、ホスト−ホスト間、あるいはホスト−ゲスト間のエネルギー移動が如何に効率的にできるかも大きな問題となる。また、通電による発光劣化は今のところ原因は明らかではないが、少なくとも発光中心材料そのもの、または、その周辺分子による発光材料の環境変化に関連したもの、あるいは、キャリア輸送層の材料などの劣化によるものと想定される。
【0023】
本発明の発光素子は、一対の電極間に少なくとも一層の有機化合物層を有する発光素子である。発光素子の層構成としては特に限定されず、図1に示す様な構成が挙げられる。
【0024】
また、本発明の発光素子は、有機化合物層の少なくとも一層が金属配位化合物を少なくとも一種有し、金属配位化合物を有する有機化合物層に含まれる金属配位化合物の分解生成物または原料物の含有量が0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。金属配位化合物の分解生成物または原料物の含有量が0.5重量%以下であれば、耐久性に優れ、燐光発光を用いた発光素子の場合には、初期特性にも優れる。
【0025】
本発明による燐光の判定方法は、酸素失括するかどうかで判定した。化合物をクロロホルムに溶解し、酸素置換した溶液と窒素置換した溶液に光照射して、フォトルミネッセンスを比較すると、酸素置換した溶液は化合物に由来する発光がほとんど見られないのに対し、窒素置換した溶液はフォトルミネッセンスが確認できることで区別できる。以下、本発明の化合物については、特別の断りがない時は全てこの方法で燐光であることを確認している。
【0026】
ここで、金属配位化合物の分解生成物または原料物とは、例えば金属配位化合物の合成の際に用いる配位子となる合成原料等であり、精製が不十分で最初から未反応物質として金属配位化合物中に混入しているもの、蒸着時の加熱による熱分解で発生するもののいずれをも含む。
【0027】
本発明における金属配位化合物は、発光材料であることが好ましく、燐光発光性発光材料であることがより好ましく、また、イリジウム配位化合物であることが好ましく、その配位子が有機フッ素化物であることがより好ましい。
【0028】
金属配位化合物及びその分解生成物または原料物は、特に限定されないが、例えば、以下に示すようなものが挙げられる。
Ir錯体A:イリジウム−ベンゾチエニル−4−トリフルオロメチル−ピリジン−錯体
Ir錯体B:イリジウム−チエニル−4−チエニル−ピリジン−錯体
【0029】
【化2】
Figure 0004208492
【0030】
【化3】
Figure 0004208492
【0031】
【化4】
Figure 0004208492
【0032】
燐光発光とは、励起三重項状態からの発光であり、その発光効率を上げるには、励起三重項状態から基底状態への発光遷移確率を大きくすることが重要である。
【0033】
この発光遷移確率を上げるには、本発明に使用する上記発光材料のように、イリジウムや白金など原子量の大きな元素を用いる所謂重元素効果を利用するのが一般的である。さらに発光波長を可視光領域に持ってゆくには、配位子に芳香族化合物など比較的大きな分子量を持ち、かつ共役構造を持つ化合物を使うのが有効である。そのために金属・配位子ともに重い原子団を用いることになり、特にイリジウムを中心金属とする金属配位化合物などのように、発光材料の分子量が大きくなってしまう。
【0034】
一方、分子量が大きくなると真空蒸着時の昇華温度も高くなる傾向にある。本発明者の測定によると、Ir(piq)3では分子量が805であり昇華温度は267℃である。一方Alq3では分子量459で、昇華温度は202℃であった。
【0035】
よって、燐光発光性の金属配位化合物は、昇華温度が高くなり蒸着時の温度が高くなるために、真空蒸着時の熱分解が問題となる。特に赤色発光材料を得るために、芳香族化合物の配位子にさらに置換基を導入してπ電子の共役長を伸ばすため、さらに分子量は増大する傾向にある。よって赤色発光材料に関しては、蒸着時の熱分解がより起こりやすくなり、発光寿命などの素子特性を悪くする原因となっている。これは例えば、レニウム、白金、ユウロピウム、銅、等の他の金属配位化合物を用いた燐光発光材料のすべてに共通した問題である。
【0036】
以上説明したように、使用する材料の昇華温度が低ければ蒸着温度も低くなり、蒸着時の不純物量が低下し素子に通電し発光させる際の素子寿命を長くできる。また、本発明に使用している発光材料を蒸着する際、長時間熱を加え続けると分解量が増加することを確認している。従って、蒸着温度を下げることは、大量生産する際の生産安定性という面でも重要になってくる。
【0037】
本発明では、0.1nm/秒と0.5nm/秒の速度で蒸着した場合において、被蒸着物とボート内残渣について、分解物の測定を行った。その結果、加熱条件の緩やかな0.1nm/秒の方が分解物の割合が少なく、素子寿命が長くなることも見出した。
【0038】
最近、イリジウムを中心金属とする金属配位化合物で、アセチルアセトナト配位子を持ち発光効率の良いものが発表された(High−efficiencyred electrophosphorescence devices(Chihaya Adachiら、Appl.Phys.Lett.,Vol.78,No.11,12 March 2001))。
【0039】
しかし、アセチルアセトナト配位子を持つ金属錯体の安定性は、フェニルイソキノリンが2配位、アセチルアセトナトを1配位した金属配位化合物と、フェニルイソキノリンが三つ配位した3配位体で比較すると、3配位体を用いた素子の方が、素子の発光寿命が長いことを見出した。上記2つの金属配位化合物を同一条件下で蒸着した場合、蒸着時のボート内残渣、基板蒸着物の両方ともに、3配位体の方が分解物割合が少ないことが判った。このことは、アセチルアセトナト配位子を持つ2配位体は3配位体に比べて蒸着時の熱分解が多いことを示している。
【0040】
以上述べたように、昇華させる金属配位化合物の熱分解を低減させることが重要になってくる。そこで本発明ではさらに、配位子にフッ素を導入しこの昇華温度を低下させ昇華時の熱分解を低減させることを試みた。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を示しながら本発明を説明する。尚、実施例1〜18は参考例である。
【0042】
尚、発光素子の寿命(耐久特性)の測定は、初期発光強度を1000cd/m2に合わせて、発光輝度の減少を測定し、500cd/m2になるまでの時間を測定した。
【0043】
<実施例1〜4、比較例1〜2>
以下に示す層構成の素子を作製した。
ガラス基板/ITO(70nm)/αNPD(50nm)/Alq3(50nm)/AlLi(Li1.8重量%、3nm)/Al(100nm)
【0044】
有機化合物層からAl電極は、真空蒸着法(真空度10-4Pa以下)で形成した。
【0045】
金属配位化合物であるAlq3に関して、純度が99.9%以上であることを確認し、Alq3の分解性生物である配位子にプロトンが付加された、8−キノリノールが不純物として存在しないことも確認した。更に、蒸着されたAlq3層を検査したが、これにも8−キノリノールが存在しないことを確認した。
【0046】
Alq3層形成時に、8−キノリノールを表1に示す割合で共蒸着した。
【0047】
これらの素子に電圧を印加するとAlq3からの発光が確認された。また、10mA/cm2の直流電流を、ITOを陽極として、乾燥窒素中で印加して、耐久特性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004208492
【0049】
表1に示す様に、8キノリノールの含有量が0.5重量%以下で耐久性が特に良好になり、0.1重量%でさらに良くなっており、8キノリノールの含有量が耐久性能に強く影響していることがわかった。特に、8キノリノールはAlq3金属配位化合物の配位子と水素原子以外は同じ形状をしており、金属配位化合物と会合しやすく電流特性や発光特性を阻害すると考えられる。それら阻害因子である金属配位化合物の配位子に由来する化合物を取り除くことが重要である。
【0050】
本実施例では、故意に8キノリノールを混入させたが、現実にAlq3蒸着時に8キノリノールが混入されるのは、精製が不十分で蒸着前から材料中に8キノリノールが未反応物質として残っている場合と、蒸着時に加熱され、その熱で分解される場合が考えられる。
【0051】
いずれにせよ、耐久性能は金属配位化合物の分解生成物の含有量が、0.5%重量以下、好ましくは0.1重量%以下が良い。
【0052】
<実施例5〜8、比較例3〜4>
以下に示す層構成の燐光発光素子を作製した。
ガラス基板/ITO(70nm)/αNPD(50nm)/CBP:Ir(ppy)3(7%)/BCP(20nm)/Alq3(50nm)/AlLi(Li1.8重量%、3nm)/Al(100nm)
【0053】
本実施例に用いられるIr(ppy)3は、Ir(acac)3(トリス−アセチルアセトナト−イリジウム錯体)を用いて、以下の合成経路で合成した。
Ir(acac)3+フェニルピリジン→Ir(ppy)3
【0054】
前実施例の様に、金属配位化合物であるIr(ppy)3とAlq3を99.9%以上の純度に精製した。また、前実施例と同様にして、CBP:Ir(ppy)3層形成時に、フェニルピリジンを表2に示す割合で混入させた。
【0055】
こららの素子に電圧を印加するとIr(ppy)3からの発光が確認された。また、前実施例と同様に、耐久特性を評価した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
Figure 0004208492
【0057】
表2に示す様に、実施例1〜4と同様、耐久性能を向上させるためには、金属配位化合物であるIr(ppy)3からの分解生成物であるフェニルピリジンの含有量が、0.5重量%以下,好ましくは0.1重量%以下が良い。
【0058】
また、この燐光発光素子では、初期特性が分解生成物が0.5重量%以下で著しく改善される。すなわちフェニルピリジン含有量が0.5重量%と1.0重量%を比較すると同じ電圧をかけた場合に、発光輝度が2倍以上になる。この不純物の濃度が低い場合の初期特性が改善する現象は、実施例1〜4の蛍光発光素子にはない現象であり、燐光発光素子特有の現象である。
【0059】
本実施例により、燐光発光素子にも、本発明が有用であることが確認された。さらに、蛍光素子にはない初期特性も改善されることが明らかになった。
【0060】
<実施例9〜12、比較例5〜6>
発光材料として化2に示すIr錯体B(純度99.9%以上)を用い、チエニル−4−チエニル−ピリジンを表3に示す割合で混入させた以外は実施例5〜8と同様にして素子を作製し、耐久特性を評価した。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0004208492
【0062】
<実施例13〜15,比較例7>
実施例5〜8と同様の材料を用いて、同様の層構成の燐光発光素子を作製した。但し、発光材料であるIr(ppy)3は、カラム精製したもの、再結晶にて生成した物、昇華生成した物の3種を用い、精製度の差により蒸着前の純度に差を持たせた。
【0063】
予備実験として、ガラス基板にホスト材料とともにIr(ppy)3を真空蒸着した物を成分分析すると、1%(比較例7)、0.5%(実施例15)、0.2%(実施例14)、0.07%(実施例13)であった。これら不純物は、フェニルピリジンが主成分であった。
【0064】
これらの素子を用いて、これまでの実施例同様、耐久特性を評価した。結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
Figure 0004208492
【0066】
表4に示す様に、これまでの実施例と同様、本実施例においても、不純物(フェニルピリジン)含有量が0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下で、耐久性能が著しく向上することが明らかになった。
【0067】
<実施例16,比較例8>
実施例5〜8と同様の材料を用いて、同様の層構成の燐光発光素子を作製した。本実施例では、発光層の真空蒸着時の速度を0.1nm/秒(実施例16)と0.7nm/秒(比較例7)とした。
【0068】
予備実験として、ガラス基板上に発光層を蒸着した物を分析したところ、不純物含有量が0.1nm/秒(実施例16)では0.2重量%、0.7nm/秒(比較例7)では0.7重量%であった。不純物の主成分は、フェニルピリジンであった。
【0069】
これらの素子を用いて、これまでの実施例同様、耐久特性を評価した。結果を表5に示す。
【0070】
【表5】
Figure 0004208492
【0071】
表5に示す様に、蒸着速度による不純物(フェニルピリジン)濃度の差で、耐久性能が異なる。この理由は、真空蒸着の速度により、金属から外れた配位子が主たる成分の不純物が、同時に蒸着される程度に差が生じ、耐久性能を低下させたためである。
【0072】
<実施例17,比較例9>
発光材料としてIr(piq)3を用い、発光層の真空蒸着速度を0.1nm/秒(実施例17)、0.5nm/秒(比較例9)とした以外は実施例5〜8と同様にして素子を作製した。
【0073】
別途ガラス基板上に発光層として蒸着した膜を分析したところ、不純物含有量が実施例17では0.3重量%、比較例9では3.0重量%であり、不純物の主成分は、1−フェニルイソキノリンであった。尚、分析方法は成膜した膜をクロロフォルムで洗い流し、洗液をメタノールを溶離液として高圧液体クロマトグラフィー(日本分光製 紫外線検出器UV−970を使用)にかけた。不純物の含有量(重量%)は検出器の出力する成分ピークの面積を単純に比較して求めた。
【0074】
これらの素子を用いて、これまでの実施例同様、耐久特性を評価した。結果を表6に示す。
【0075】
【表6】
Figure 0004208492
【0076】
表6に示す様に、蒸着速度による不純物濃度の差で、耐久性能が異なる。この理由は、実施例16と同様に真空蒸着の速度により、金属から外れた配位子が主たる成分の不純物が、同時に蒸着される程度に差が生じ、耐久性能を低下させたためである。
【0077】
<実施例18,比較例10>
発光材料としてIr(4mpiq)3(実施例18)、Ir(4mpiq)2acac(比較例10)を用いた以外は実施例5〜8と同様にして素子を作製し、耐久特性を評価した。結果を表7に示す。
【0078】
尚、不純物の含有量は実施例17と同様にして測定した。不純物の主成分は、実施例18では1−(4−メチルフェニル)イソキノリン、比較例10では1−(4−メチルフェニル)イソキノリンとアセチルアセトンであった。
【0079】
【表7】
Figure 0004208492
【0080】
表7に示す様に成膜した膜中に存在する不純物含有量の結果から、アセチルアセトナト配位子があるacac体と3配位体では、蒸着時の熱安定性に違いがあり、3配位体の方が同一蒸着条件では蒸着時の熱分解を少なくすることができる。それに応じて素子の発光輝度の半減時間は、実施例18の方が圧倒的に長い。
【0081】
<実施例19,比較例11>
発光材料としてIr(4CF3piq)3(実施例19)とIr(4mpiq)3(比較例11)を用いた以外は実施例5〜8と同様にして素子を作製し、耐久特性を評価した。結果を表8に示す。
【0082】
尚、不純物の含有量は実施例17と同様にして測定した。不純物の主成分は、実施例19では1−(4−トリフルオロメチルフェニル)イソキノリン、比較例11では1−(4−メチルフェニル)イソキノリンであった。
【0083】
【表8】
Figure 0004208492
【0084】
表8に示す様にフッ素化したIr(4CF3piq)3とフッ素化していないIr(4mpiq)3で比較すると、蒸着時の昇華性に違いがあり、フッ素化化合物の方が不純物含有量も少なく、発光輝度の半減時間も長くなる。
【0085】
この結果、フッ素置換化合物の方が蒸着後の基板蒸着物中の分解物の量も低下することを見出した。この原因として、フッ素化化合物では分子間相互作用が低減され、昇華温度が低下したことにより、蒸着温度が低下することが主要な要因であると考えている。
【0086】
さらに、素子の発光寿命もフッ素を導入したものの方が、長くなることがわかった。
【0087】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明によれば、高効率発光で、耐久性に優れ、長い期間高輝度を保つ発光素子及び表示装置を得ることができる。更に、燐光発光素子の場合には、初期特性も改善される。
【0088】
本発明の高効率・高耐久性の発光素子は、省エネルギーや高輝度が必要な製品に応用が可能である。応用例としては表示装置・照明装置やプリンターの光源、液晶表示装置のバックライトなどが考えられる。表示装置としては、省エネルギーや高視認性・軽量なフラットパネルディスプレイが可能となる。照明装置やバックライトに関しては、本発明による省エネルギー効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の一例を示す図である。
【符号の説明】
11 金属電極
12 発光層
13 ホール輸送層
14 透明電極
15 透明基板
16 電子輸送層
17 励起子拡散防止層

Claims (1)

  1. ガラス基板と、ITOと、以下に示すαNPDの層と、以下に示すCBPと以下に示すIr(4CF3piq)3の層と、以下に示すBCPの層と、以下に示すAlq3の層と、AlLiの層と、Alとが順次配置されている発光素子であって、前記CBPとIr(4CF3piq)3の層は不純物に1−(4−トリフルオロメチルフェニル)イソキノリンを有しており、かつ蒸着により形成される層であることを特徴とする発光素子。
    Figure 0004208492
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