JP4207391B2 - 切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にエンジンのシリンダーヘッドにおけるバルブ穴の加工に用いて好適な切削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の切削工具として、本発明の発明者らは、例えば特許第2779112号や特許第2804696号などにおいて、軸線回りに回転される略円錐状の工具本体の先端にガンリーマ等の穴加工工具が上記軸線に沿って出没可能に設けられるとともに、この工具本体先端の上記穴加工工具の周辺の内周側と外周側とにはそれぞれ切刃チップが取り付けられ、さらに工具本体の外周に該工具本体がなす円錐の母線方向に沿って形成された凹溝にも、切刃チップを先端に備えたスライダーが該母線方向に摺動可能に装着されたものを提案している。ここで、上記工具本体内部に形成された取付孔には、上記軸線に平行に延びるキーを介して該工具本体と一体回転可能かつ上記軸線方向に進退可能にカップリングが取り付けられており、このカップリングには上記母線に直交するとともに上記軸線に交差する方向に連結孔が形成される一方、上記凹溝の底面には、上記取付孔に開口してこの取付孔と凹溝とを連通せしめる連通孔が形成されている。
【0003】
そして、さらに上記スライダーには、凹溝底面の上記連通孔から上記取付孔内に突出してカップリングの連結孔に出没自在に嵌挿させられる連結ピンが取付ネジなどによって取り付けられており、上記カップリングをチャックスピンドルなどによって軸線方向に進退させることにより、この連結ピンが連結孔に対して出没しながらスライダーを凹溝に沿って母線方向に摺動させるので、その先端の切刃チップもこの母線に平行に移動させられる。従って、このような構成の切削工具によれば、上記穴加工工具によってバルブ穴の内周の加工が行われる一方、このスライダーの切刃チップの移動経路が上記軸線回りになす回転軌跡を、工具本体先端の内外周の切刃チップの回転軌跡の間を結ぶように設定することにより、これらの切刃チップによって上記バルブ穴の開口部周縁の加工を、このバルブ穴の加工と正確に同軸的に行うことが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構成の切削工具において、工具本体外周の凹溝に取り付けられたスライダーを、工具本体内部の取付孔に取り付けられたカップリングの進退により連結ピンを介して上記母線方向に確実に摺動可能とするには、これら工具本体、スライダー、カップリング、および連結ピンといった部品を、それぞれに高い成形精度で製造する必要があるが、このような部品を製造するに際しては、ある程度の成形誤差や精度のばらつきが生じることは避けられない。しかるに、この点、上記従来の切削工具においては、工具本体の凹溝とスライダーとの間にはクサビ部材やスペーサーとともに調整部材が介装されており、またこのスライダーと連結ピンとの間にも両者の上記母線方向の位置を微調整する微調整機構を備えることが提案されている。
【0005】
しかしながら、この連結ピンと上記カップリングとは、従来カップリングに形成された断面円形の丸孔である上記連結孔に円柱状の上記連結ピンが単に嵌挿されて連結されているだけであるので、たとえ上記微調整機構によって連結ピンと連結孔との上記母線方向の位置が調整可能であったとしても、上記成形誤差や精度のばらつきにより工具本体の周方向においてこれら連結ピンと連結孔との位置にズレが生じてしまうと、連結ピンを連結孔に挿入してカップリングとスライダーとを連結することができなくなってしまう。その一方で、工具本体に形成された凹溝に取り付けられる限られた大きさのスライダーに、上記母線方向の位置の微調整機構に加えて、この周方向の位置を微調整する調整機構をも設けることはきわめて困難であり、またたとえそのような調整機構を設けることができたとしても、これら両方向の調整作業が甚だ煩雑となることは避けられない。
【0006】
さらに、近年のエンジンの小型化に伴うシリンダーヘッドの小型化や、小排気量エンジンに対する多バルブ化などにより、加工されるバルブ穴やその開口部の径も小さくなってきており、これに伴い上述のような切削工具もその外径の小径化すなわち小型化が要求されるようになってきている。ところが、カップリングに連結孔を形成するとともに、この連結孔に嵌挿される連結ピンをスライダーに設け、しかもこのスライダーに連結ピンの上記母線方向の位置を調整する微調整機構や、ましてや周方向の位置を調整する調整機構まで備えようとすると、このスライダーの外形寸法が大きくなることが避けられず、これに伴い工具本体自体も大きくなってしまうため、上述のような要求に応えることが甚だ困難となってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、上述のような構成の切削工具において、このような工具本体の周方向への調整機構を設けることなく、簡略な手段で、しかも確実に連結ピンを連結孔に挿入して連結することが可能であり、さらにはスライダーの大型化を防いでバルブ穴やその開口部の小径化にも対応可能な切削工具を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転される外形略円錐台状の工具本体の母線に沿って形成された凹溝に、切刃チップを備えたスライダーを上記母線方向に摺動可能に装着するとともに、上記工具本体内に形成された取付孔には、該工具本体と一体回転可能かつ上記軸線方向に進退可能に駆動部材を取り付け、上記スライダーには、上記凹溝と取付孔とを連通する連通孔に臨んで開口する連結孔を形成する一方、上記駆動部材には、上記取付孔から上記連通孔に突出して上記連結孔に出没自在に挿入される連結ピンを設けて、この連結ピンを上記連結孔に、上記母線方向に係合可能かつ上記工具本体の周方向に向けては摺動自在に嵌挿させたことを特徴とする。
【0009】
従って、このように構成された切削工具においては、まず連結孔がスライダー側に形成されるとともに、連結ピンはこのスライダーを上記母線方向に摺動させて進退駆動する駆動部材(上記従来の切削工具ではカップリング)に設けられており、すなわち、工具本体の限られた大きさの凹溝に装着されるスライダーに連結ピンやその位置を微調整する機構を設ける必要がないので、このスライダーの小型化を図って工具本体自体の小型化を促すことが可能となる。さらに、この駆動部材に設けられた連結ピンは、スライダーの連結孔に嵌挿されることによって該スライダーを上記母線方向に摺動させるだけのものであって、スライダー自体の周方向の位置は、該スライダーが凹溝に装着されることにより、この凹溝の内壁や上記クサビ部材、スペーサー等によって所定の位置に位置決めされているので、連結ピンと駆動部材とは上記母線方向にのみ係合していればよく、工具本体の周方向に係合させられる必要はない。そこで、この連結ピンを上記連結孔に対して上記周方向に向けては摺動自在としておけば、たとえこれら連結ピンやスペーサー、駆動部材に成形誤差等があって連結ピンや連結孔が周方向に所定の位置からずれていたとしても、このずれた位置で連結ピンを連結孔に嵌挿(ただし、嵌合しているのは上記母線方向のみ)することが可能となり、しかもこのずれは連結ピンと駆動部材との上記母線方向の係合には支障を来さないので、該連結ピンを介して駆動部材の進退によりスライダーを確実に摺動させることができるのである。
【0010】
ここで、このように連結ピンを連結孔に上記母線方向に係合可能かつ上記工具本体の周方向に向けては摺動自在に嵌挿させるには、この連結孔を、上記母線方向に上記連結ピンが嵌挿可能な幅で工具本体の周方向に向けて延びる長孔状に形成するのが望ましい。ただし、このように連結ピンが連結孔に対して工具本体の周方向に摺動自在であるといっても、これは、連結ピンが上記母線方向に嵌合した状態で周方向には連結孔の任意の位置に挿入可能であるということであり、組み立てられた当該切削工具においては、駆動部材を進退させることによってスライダーを摺動させても、連結ピンは連結孔内を出没する際に該連結ピンの中心軸方向に摺動するだけであって、工具本体の周方向に連結孔内を移動したりするようなことはない。また、これら連結ピンと連結孔との上記母線方向の係合をより確実にするには、上記連結孔に、上記母線方向に対向する一対の互いに平行な壁面を備えるとともに、上記連結ピンには、これらの壁面に摺接可能な一対の互いに平行な側面を形成するのが望ましい。さらに、上述のように駆動部材に連結ピンを設けた切削工具では、この連結ピンの上記母線方向の位置を微調整する微調整機構も駆動部材側に設けられることとなるが、かかる駆動部材はその大きさがスライダーに比べて元々大きく、従って微調整機構を設けたとしても工具本体の小型化が阻まれることはない。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において工具本体1は、先端側(図1および図5において左側)に向かうに従い段階的に縮径する外形略多段円錐台状をなしており、その後端部が図示されない工作機械の主軸に装着されて、図2に示す工具回転方向Tにその軸線O回りに回転されて切削加工に供される。また、この工具本体1の先端には上記軸線Oに沿ってブッシュ2が装着されており、このブッシュ2に上述したガンリーマ等の穴加工工具Gのシャンクを嵌挿して、工具本体1ごと回転しつつ該穴加工工具Gを前進させることにより、上述のようなバルブ穴の内周の仕上げ加工等が可能とされている。さらに、この工具本体1の内部には、その後端から軸線Oに沿って断面概略円形の取付孔1aが形成されており、この取付孔1aには、従来のカップリングに代えて、上記工作機械の主軸内を通して挿通される図5および図6に示すようなチャックスピンドル3の先端部がそのまま挿入され、本実施形態ではこのチャックスピンドル3が駆動部材とされている。
【0012】
上記工具本体1の先端部外周には、上記バルブ穴の開口部周縁の加工を行う3つの切刃チップ4…が設けられており、これらの切刃チップ4…のうち2つは工具本体1に直接的に取り付けられる一方、残りの一つは、工具本体1がなす円錐の母線の方向に沿って該工具本体1の外周に形成された凹溝5に摺動可能に取り付けられたスライダー6の先端に取り付けられている。ここで、上記凹溝5は、図3に示すように互いに平行な一対の対向する壁面5a,5bと、これらの壁面5a,5bに直交する底面5cとにより画成されて外周側に開口する断面「コ」字状をなしており、上記壁面5a,5bのうち工具回転方向T側を向く壁面5aにはスペーサー7が、また工具回転方向Tの後方側を向く壁面5bにはプレート8が、それぞれ上記スライダー6との間に介装されている。そして、この凹溝5の底面5cには、該凹溝5と工具本体1の上記取付孔1aとを連通する連通孔5dが、上記母線方向に延びるように形成されている。また、工具本体1の上記取付孔1aの内周には、上記母線と軸線Oとを含む平面Pに沿って該軸線Oに平行に延びるようにキー溝1bが形成されており、従って上記連通孔5dはこのキー溝1bの先端部分において取付孔1a内に開口させられることとなる。
【0013】
なお、上記スペーサー7は、工具本体1への装着状態において凹溝5の略全長に亙って延びるように形成された板状の部材であって、凹溝5の上記壁面5aおよび底面5cに密着するように一対のクランプネジ9,9によって着脱可能に取り付けられており、その凹溝5の内側、すなわち工具回転方向T側を向く側面には、図3に示すように上記母線方向に沿って延びる断面波型のセレーション溝7aが形成されている。一方、プレート8は、やはり凹溝5の略全長に亙って延びるように形成された板状部材であって、凹溝5の壁面5bとスライダー6との間に挟み込まれるようにして着脱可能とされており、その上記壁面5bに対向する側面からは貫通孔8aが穿設されている。
【0014】
また、上記スライダー6は、図1に示すように「く」字状に曲折する角柱状部材であって、その基端側が凹溝5内に配置されるとともに、先端部には上記切刃チップ4が着脱自在に取り付けられている。ここで、このスライダー6の基端部には、工具本体1への取付状態において図3に示すように上記壁面5a側、すなわち工具回転方向Tの後方側を向く一方の側面に、スペーサー7のセレーション溝7aに密着する断面波型のセレーション溝6aが形成されており、スライダー6は、このセレーション溝6aをスペーサー7のセレーション溝7aに合致させて係合させるとともに、その基端部の工具回転方向T側を向く他方の側面6bをプレート8に密着させ、さらにその下面6cを凹溝5の底面5cに密着させて、凹溝5内に上記母線方向に沿って摺動可能に取り付けられている。
【0015】
さらに、凹溝5の上記壁面5b側には、該壁面5bに垂直に工具本体1の外周面に向けて貫通する取付孔5eが上記母線方向に複数形成されており、これらの取付孔5eの上記壁面5b側の貫通部は一段小径とされるとともに、上記外周面側の開口部内周には雌ネジ部が形成され、またこれら貫通部と雌ネジ部との間にはブッシュ10が嵌挿されている。さらにまた、これらの取付孔5eにはそれぞれ、上記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が形成された頭部とプレート8の貫通孔8aに嵌挿可能な軸部とを備えた止めネジ11が取り付けられており、各止めネジ11の上記軸部の周りには皿バネ12…が外嵌されて上記貫通部から壁面5bに突出してプレート8に当接させられていて、止めネジ11のねじ込み量に応じてこの皿バネ12…がプレート8を介してスライダー6をスペーサー7側に押し付けることにより、両者のセレーション溝6a,7aを強固に係合せしめるようになされている。
【0016】
そして、このスライダー6の基端部には、その下面6cに垂直に、すなわち該スライダー6を取り付けた状態で凹溝5の上記底面5cに垂直に、上記平面Pに沿って工具本体1の外周側に向かうに従い先端側に向かうように、止まり穴状の連結孔14が形成されており、この連結孔14は、図4に示すように工具本体1の周方向に延びる長孔状に形成されていて、特に本実施形態では、工具本体1への取付状態において上記平面Pに直交する方向(図1の図面に直交する方向。図4では上下方向)に延びるように形成されている。従って、この連結孔14の上記母線方向に互いに対向する一対の壁面14a,14aも、本実施形態ではこの母線方向に垂直に配設され、かつ上記平面Pに直交する方向に沿って周方向に向け互いに平行に延設されるとともに、この延設方向における該壁面14a,14aの幅は上記母線方向の壁面14a,14a間の間隔よりも大きくされることとなる。なお、この連結孔14の延設方向の両端部には、上記壁面14a,14aの端部が断面凹円弧状に切り欠かれるようにして上記間隔が僅かに広くなる逃げ部14b,14bが形成されている。
【0017】
一方、工具本体1の上記取付孔1aに先端部が挿入される上記チャックスピンドル3は、さらに、略円筒状の外スリーブ15の内周にやはり略円筒状の内スリーブ16が軸線Oに関して同軸に嵌挿された構成とされており、外スリーブ15の内周には、軸線Oを含んで上記平面Pに直交する平面に沿うように一対のキー溝15a,15aが該軸線Oに平行に延びるように形成されるとともに、内スリーブ16の外周にはこれらのキー溝15a,15aに嵌合するキー16a,16aが取り付けられており、これにより外スリーブ15と内スリーブ16とは軸線O回りに一体に回転可能かつ該軸線O方向に互いに独立して進退可能とされている。また、内スリーブ16の先端側内周部には、工具本体1先端の上記ブッシュ2に嵌挿される穴加工工具Gのシャンクを把持して取り付けるチャック機構17が設けられている。さらに、外スリーブ15の先端部は工具本体1の上記取付孔1aに嵌挿可能な外径とされるとともに、その先端外周部には、この取付孔1aの内周に形成された上記キー溝1bに嵌合可能なキー18が取り付けられており、これにより外スリーブ15と上記工具本体1も軸線O回りに一体に回転可能かつ該軸線O方向に互いに独立して進退可能とされている。
【0018】
しかして、本実施形態では、このキー18をキー溝1bに嵌合させてチャックスピンドル3の先端部を取付孔1a内に挿入した状態において、上記平面Pに沿って連通孔5dを通り凹溝5の底面5cから該底面5cに垂直に突出するように、該キー18の先端に連結ピン19が一体に形成されて設けられており、こうして凹溝5内に突出した連結ピン19の先端部が、該凹溝5に装着されたスライダー6の上記連結孔14に嵌挿可能とされている。すなわち、この連結ピン19の先端部はその上記母線方向に沿った断面が方形状(特に本実施形態では正方形)とされ、この先端部の上記母線方向を向く一対の側面19a,19a間の幅は、スライダー6の連結孔14の上記壁面14a,14a間に嵌合可能な大きさとされるとともに、この先端部の上記平面Pに直交する方向の幅、すなわち工具本体1の周方向の幅は、この周方向に延びる長孔状とされた該連結孔14の幅よりも小さくされている。従って、このような連結ピン19が連結孔14に嵌挿されることにより、スライダー6は、チャックスピンドル3が軸線O方向に進退するのに伴って、連結ピン19先端部の上記側面19a,19aのうちの一方がこれに対向する上記壁面14a,14aの一方に当接して連結孔14に母線方向に係合可能とされ、かつ、上記工具本体1の周方向すなわち上記平面Pに直交する方向に向けては、連結孔14の幅が連結ピン19の先端部の幅より大きいため、上記側面19a,19aが上記壁面14a,14aに密着しつつ摺動自在とされた状態となる。
【0019】
なお、本実施形態では、この連結ピン19が先端に形成された上記キー18が、チャックスピンドル3の外スリーブ15先端に上記軸線O方向に僅かな範囲で進退可能、かつ所定の進退位置で固定可能に取り付けられており、このキー18の進退範囲に合わせて連結ピン19の上記母線方向の位置も微調整可能とされていて、当該連結ピン19の微調整機構20が構成されている。すなわち、本実施形態におけるこの微調整機構20では、外スリーブ15先端外周部の上記キー18が取り付けられる位置に、上記平面Pに沿って軸線Oに平行に延びるキー溝15bが形成されてキー18の基端部が嵌合され、このキー溝15bには軸線O方向に一対のクランプネジ孔15c,15cが形成される一方、キー18の上記基端部には、やはり上記軸線O方向に沿って上記クランプネジ孔15c,15cに略対応する位置に、該軸線O方向に僅かに延びる長孔状とされた挿通孔18a,18aが貫設されている。そして、これら挿通孔18a,18aにクランプネジ21,21を挿通して上記クランプネジ孔15c,15cに緩くねじ込んでおいて、キー18の軸線O方向の位置を長孔状の挿通孔18a,18aの範囲で微調整し、しかる後これらクランプネジ21,21を強くねじ込むことでキー18および上記連結ピン19が軸線O方向に所定の位置で位置決めされ、さらにこの状態でキー18から外スリーブ15にかけてピン22を打ち込むことにより、キー18および連結ピン19は強固に外スリーブ15に固定される。
【0020】
このように構成された切削工具では、上記工作機械の主軸ごと工具本体1、チャックスピンドル3、および穴加工工具Gを軸線O回りに工具回転方向Tに回転させ、工具本体1の先端に直接的に固定された上記2つの切刃チップ4,4によってバルブ穴の開口部の穴奥側と開口縁側のテーパ面を加工するとともに、回転を続けながらチャックスピンドル3の外スリーブ15を軸線O方向に移動させることにより、連結ピン19を介してスライダー6を凹溝5に沿って上記母線方向に移動させ、このスライダー6の先端に取り付けられた切刃チップ4によって上記穴奥側と開口縁側のテーパ面の間にバルブヘッドが当接するテーパ面を上記母線方向に平行に形成し、さらに回転を続けつつ、チャックスピンドル3の内スリーブ16を前進させて上記穴加工工具Gを突出させることにより、バルブの内周を所定の径に仕上げる。従って、これらの加工が工具本体1を軸線O回りに回転されたまま行われるので、上記バルブ穴の内径と開口部の3つのテーパ面とを高い同軸性をもって形成することが可能となる。
【0021】
そして、さらに上記構成の切削工具では、上記スライダー6に形成された連結孔14にチャックスピンドル3の連結ピン19を嵌挿する際に、このスライダー6の成形誤差や連結ピン19の成形誤差などにより、連結ピン19の先端部と連結孔14との嵌挿位置に工具本体1の周方向に向けてのずれが生じたりしていても、この連結孔14の上記壁面14a,14aと連結ピン19先端部の上記側面19a,19aとの平行度さえ確保されていれば、上述のように連結ピン19が連結孔14に対して工具本体1の周方向に向けて摺動自在とされているため、この周方向にずれた位置で側面19a,19aを壁面14a,14aに密着させて連結ピン19を連結孔14に嵌挿可能となり、この連結ピン19を介してチャックスピンドル3とスライダー6とを連結してチャックスピンドル3の進退に伴い確実にスライダー6を上記母線方向に摺動させることができる。従って、このような切削工具によれば、チャックスピンドル3にこの周方向における連結ピン19の位置の調整機構などを設けたりせずとも、成形誤差等によってチャックスピンドル3とスライダー6とを連結できなくなるような不具合が生じるのを防ぐことができ、これらの部品の構造の簡略化を図ることができるとともに、その製造に際して必要以上の高い成形精度を要したりすることもなくなる。
【0022】
しかも、上記切削工具においては、連結ピン19がスライダー6側ではなく駆動部材としてのチャックスピンドル3に取り付けられていて、スライダー6には連結孔14が設けられるだけであり、従ってこの連結ピン19をスライダー6に取り付けるために取付座や取付ネジを設ける必要がなく、これら取付座や取付ネジを設けるスライダー6の寸法を大きく確保する必要もなくなって、スライダー6の小型化を図ることができる。このため、このスライダー6の小型化に伴って工具本体1の小型化、すなわち、当該切削工具の小型化を図ることができるので、上記構成の切削工具によれば、近年のバルブ穴およびその開口部の小径化にも十分に対応することが可能となる。なお、チャックスピンドル3に連結ピン19を取り付けることによる該チャックスピンドル3の大型化は、このチャックスピンドル3に必要とされる大きさから比べると僅かであり、しかも本実施形態では、この連結ピン19がチャックスピンドル3に元々取り付けられている上記キー18に一体に形成されているので、こうして連結ピン19を取り付けたことによりチャックスピンドル3が大型化することはない。さらに、本実施形態では、従来のようにスライダー6がカップリングを介して進退されるのではなく、チャックスピンドル3が工具本体1の取付孔1aに直接挿入されて、その先端外周部に上記連結ピン19が設けられているので、このカップリングを必要としない分だけ取付孔1aの小径化を図って工具本体1の小型化を一層促すことができ、加えて部品数も削減することができる。
【0023】
また、本実施形態では、このように連結ピン19を連結孔14に工具本体1の周方向に向けて摺動自在に嵌挿するに際して、この連結孔14を上述のように周方向に向けて上記母線方向に直交する方向(平面Pに直交する方向)に延びる長孔状に形成しており、これによって連結ピン19の断面を上述のように正方形状とすることができる。しかるに、この点、例えばこの連結孔を断面正方形や上記母線方向に延びる長方形状に形成したりした場合には、上記連結ピンもこの連結孔に嵌挿可能かつ周方向に摺動自在なように上記母線方向に延びる断面長方形状に形成したりしなければならず、この母線方向への連結ピンと連結孔との摺接面積が小さくなったり、連結孔や連通孔が大きくならざるを得ないために スライダーや工具本体の剛性が損なわれたりするおそれも生じるが、上記構成を採る本実施形態の切削工具では、その大きさが制限されざるを得ない連結ピン19にあって、該連結ピン19を上記連結孔14に対して摺動自在としながらも、連結ピン19と連結孔14との摺接面積を確保してこの母線方向に向けて確実に係合させることが可能となるので、チャックスピンドル3の進退によってスライダー6をより精度よく摺動させることができる。なお、本実施形態では、上述のように連結ピン19の断面を正方形状としているが、連結孔14内に嵌挿された連結ピン19が周方向に摺動自在とされるのであれば、連結孔14と同様にこの周方向に延びる長方形状としたりしてもよい。
【0024】
さらに、本実施形態では、連結孔14が上記母線方向に対向する一対の互いに平行な壁面14a,14aを備えているとともに、連結ピン19は上述のように断面方形とされてこれらの壁面14a,14aに摺接可能な一対の互いに平行な側面19a,19aを備えているので、連結ピン19と連結孔14との間に一層大きな摺接面積を確保することができ、これによっても連結ピン19と連結孔14とを上記母線方向に確実に係合させることが可能となる。ただし、本実施形態ではこのように連結ピン19を断面方形として上記壁面14a,14aに摺接可能な一対の互いに平行な側面19a,19aを形成しているが、例えばこの連結ピン19を、円柱の外周面をその中心線に平行かつ互いにも平行な一対の平面によって切り欠くようにして断面樽型に形成することにより、上述のような一対の互いに平行な側面を形成するようにしてもよく、また場合によってはこのような側面を形成することなく、例えば連結ピンを連結孔14に嵌挿可能な直径の断面円形としたりすることにより、上記母線方向に係合可能かつ周方向に向けて摺動自在とすることも可能である。
【0025】
さらにまた、本実施形態では、連結ピン19が上記駆動部材としてのチャックスピンドル3に設けられているのに合わせ、このチャックスピンドル3に連結ピン19の上記母線方向の位置を微調整する微調整機構20が備えられており、上述のようにキー18に形成された長孔状の挿通孔18a,18aの範囲でキー18の軸線O方向の位置を微調整してクランプネジ21,21をねじ込み、さらにピン22を打ち込むことにより、連結ピン19の母線方向の位置も微調整されて位置決め可能とされている。しかるに、この点についても、例えばスライダー6側でその連結孔14の母線方向の位置を微調整しようとすると、このスライダー6の連結孔14が形成される部分を別部材としなければならず、スライダー6の大型化を招くことが避けられないが、上記構成によればこのような事態を避けることができて、工具本体1および当該切削工具の小型化を一層確実に促すことが可能となる。しかも、こうしてチャックスピンドル3側に微調整機構20を設けても、チャックスピンドル3が大型化する割合は小さく、また連結ピン19がキー18と一体に形成されてもいるため、上述したように工具本体1や当該切削工具の大型化を招くことはない。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、部品の成型誤差等があっても、簡略な手段で、しかしながら確実に連結ピンを連結孔に嵌挿してスライダーと駆動部材とを連結し、この駆動部材の進退に伴いスライダーを工具本体の母線方向に移動させて所定の加工面を精度良く形成することができる。そして、この連結ピンが上記駆動部材側に設けられていて、スライダーには連結孔を形成するだけでよく、従ってスライダーを小型化を促すことができて、これに伴い工具本体をコンパクトにすることができ、近年のバルブ穴やその開口部の小径化にも十分に対応することが可能な切削工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す側断面図である。
【図2】 図1に示す実施形態を軸線O方向先端側から見た正面図である。
【図3】 図1におけるYY断面図である。
【図4】 図1におけるZZ断面図である。
【図5】 図1に示す実施形態における駆動部材としてのチャックスピンドル3の側断面図である。
【図6】 図5に示すチャックスピンドル3を軸線O方向先端側から見た正面図である。
【符号の説明】
1 工具本体
3 チャックスピンドル(駆動部材)
4 切刃チップ
5 凹溝
6 スライダー
14 連結孔
14a 連結孔14の壁面
18 キー
19 連結ピン
19a 連結ピン19の側面
20 微調整機構
O 工具本体1の軸線
T 工具回転方向
Claims (4)
- 軸線回りに回転される外形略円錐台状の工具本体の母線に沿って形成された凹溝に、切刃チップを備えたスライダーが上記母線方向に摺動可能に装着されるとともに、上記工具本体内に形成された取付孔には、該工具本体と一体回転可能かつ上記軸線方向に進退可能に駆動部材が取り付けられ、上記スライダーには、上記凹溝と取付孔とを連通する連通孔に臨んで開口する連結孔が形成される一方、上記駆動部材には、上記取付孔から上記連通孔に突出して上記連結孔に出没自在に挿入される連結ピンが設けられていて、この連結ピンは上記連結孔に、上記母線方向に係合可能かつ上記工具本体の周方向に向けては摺動自在に嵌挿させられていることを特徴とする切削工具。
- 上記連結孔は、上記母線方向に上記連結ピンが嵌挿可能な幅で上記工具本体の周方向に向けて延びる長孔状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
- 上記連結孔は、上記母線方向に対向する一対の互いに平行な壁面を備えているとともに、上記連結ピンには、これらの壁面に摺接可能な一対の互いに平行な側面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削工具。
- 上記駆動部材には、上記連結ピンの上記母線方向の位置を微調整する微調整機構が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切削工具。
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