JP4195930B2

JP4195930B2 - Dispersion medium for solid materials consisting of perfluoro compounds in solid phase reaction systems

Info

Publication number: JP4195930B2
Application number: JP2003055038A
Authority: JP
Inventors: 由夫早川; 泰蔵小野
Original assignee: National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Current assignee: National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date: 2003-02-28
Filing date: 2003-02-28
Publication date: 2008-12-17
Anticipated expiration: 2023-02-28
Also published as: JP2004262844A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固相反応系における固体物質の分散媒に関するものであり、更に詳しくは、粉末状固体物質に、光、熱、超音波のような物理的なエネルギーを照射することで固相反応系における反応を効率的に行う方法、及びペルフルオロ化合物を分散媒として用いて粉末状固体物質をこれに分散し、撹拌しながら均一に、光、熱、超音波のような物理的なエネルギーを照射することを可能にして、固相反応を行う方法に関するものである。本発明は、近未来技術としてその実用化が期待されている「クリスタルエンジニアリング」を実現可能にするプラットホームを構成する基本技術を提供するものとして有用である。
【０００２】
【従来の技術】
従来、粉末状の固体物質に光照射して、光固相反応を行う例は数多くあるが、いずれもメカニカルに固体を撹拌しながら光照射するか、そのまま少量のサンプルを薄く平面に展開したものに光照射するなどの方法が採られているが、このような方法では、光が固体内部に均一に照射されないために効率良く反応が行えないなどの問題点があった。
【０００３】
このような問題に対処するために、液体に粉末状固体物質を分散して撹拌しながら光を照射することで上述の欠点を補おうとする方法自体は公知であるが、例えば、液体として水を利用すると水の持つ粘性や物質の濡れ特性が問題になり、また、反応後に水を除く操作が大変であるなどの問題も生じ、更に、水溶性の物質には適用出来ないなどの問題点があった（特許文献１〜３参照）。また、固体状物質の水に対する濡れ特性の問題を解決するためには、界面活性剤を利用するという方法（特許文献４参照）も提案されているが、反応後の処理は、界面活性剤の存在でさらに煩雑にならざるを得ない。そこで、液化炭化水素のような有機溶媒を利用するという方法も提案されている（特許文献５〜８参照）。しかしながら、従来の方法は、有機溶媒が光に対して安定でなければならない、光を吸収しない、燃焼性、爆発性、毒性など、近年、特に関心の高い環境面での多くの問題は未解決であるだけでなく、有機溶媒に溶解する物質には適用出来ないという問題もあった。
【０００４】
一方、ペルフルオロ化合物は、化学的にも物理的にも極めて安定であることが知られており（非特許文献１〜４参照）、もちろん光反応に良く用いられる紫外部の光に対しても安定であり、かつ、紫外部の光を吸収しないという優れた特性を有し、例えば、人工血液（酸素運搬輸液）（非特許文献５〜８参照）や微生物の培地（非特許文献９参照）、液体呼吸（非特許文献１０〜１１参照）、あるいは臓器保存（非特許文献１２参照）に利用されるほどに毒性が無いことが知られている。
【０００５】
また、近年、クリスタルエンジニアリングを用いた研究がさかんに行われるに至り、産業的に固相反応を利用しようとするような状況が生まれてくる可能性があるため、固体状物質について、例えば、光照射して行う光固相反応の簡便で効率的な方法の開発が望まれていた。特に、有機溶媒を用いない固相での反応は、環境を重視したグリーンケミストリーに基づく化学工業の発展が望まれる中で、極めて重要な技術となることが予想され、ここに開示したような固相での反応方法が強く望まれていた。
【０００６】
しかるに、ペルフルオロ化合物には、有機溶媒とほとんど混合しない（非特許文献１３〜１４参照）という特性もあることから、有機化合物を溶解しずらいことが予想され、光反応の分散媒体に要求される基本的な特性、即ち、光に対して安定、光を吸収しない、毒性が低い、光反応を受ける基質である固体物質を溶解しない等の性質を全て満足していることがわかる。しかしながら、これらの知識は、これまで全く個別的に別々には知られていたが、光固相反応における粉末状固体物質の分散媒体としての利用という考えには、結びついていなかった。
【０００７】
【特許文献１】
特開昭６２−２０１９０８号公報
【特許文献２】
特開昭６２−２０１９０９号公報
【特許文献３】
特開平０４−２９８５０２号公報
【特許文献４】
特開昭６０−２４８６４４号公報
【特許文献５】
特開昭５２−１０６８５０号公報
【特許文献６】
特公昭５６−３４５７７号公報
【特許文献７】
特開昭４９−６６６６２号公報
【特許文献８】
特公昭５１−１２６２４号公報
【非特許文献１】
A. V. Grosse and G. H. Cady, Ind. Eng. Chem., 1947, 39, 367-374
【非特許文献２】
D. D. Dixon and D. G. Holland, Fed. Proc. 1975, 34, 1444-1448
【非特許文献３】
K. C. Lowe, Sci. Prog. 1997, 80, 169-193
【非特許文献４】
J. G. Riess, Chem. Rev. 2001, 101, 2797-2019
【非特許文献５】
L. Clark and F. Gollan, Science, 1966, 152, 1755-1756
【非特許文献６】
横山和正、津田良夫、酸素運搬輸液“フルオゾール”in 水島裕編DDS の進歩、1995−96，東京：中山書店、1995, 228-231
【非特許文献７】
山内紘一、ペルフルオロケミカル酸素運搬体の開発状況と展望、in人工臓器1994-96.東京：中山書店,1994, 22, 955-963
【非特許文献８】
仲井邦彦、佐久間一郎、福島昭二、竹内由和、佐藤洋、北畠顕、人工血液, 2000, 8, 43-51
【非特許文献９】
K. C. Lowe, J. Fluorine Chem., 2002, 118, 19-26
【非特許文献１０】
松田兼一、平澤博之、医薬の門、2000, 10, 287-294
【非特許文献１１】
松田兼一、平澤博之、平山陽、救急医学、2002, 26, 1557-1562
【非特許文献１２】
E. Klar, Th Kraus, P. Reuter, A. Mehrabi, L. P. Fernandes, M. Angelescu, M. M. Gebhard and Ch Herfarth, Transplantation Proc., 1998, 30, 3707-3710
【非特許文献１３】
I. T. Horvath and J. Rabai, Science, 1994, 266, 72-75
【非特許文献１４】
J. H. Hildebrand and D. R. F. Cochran, J. Am. Chem. Soc., 1949, 71, 22-25
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、前記粉末状固体物質の光固相反応の簡便で効率的な方法を開発すべく種々研究を進める中で、ペルフルオロ化合物が、固体状物質の光反応を行う場合の分散媒体として極めて良い特性を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、固相反応系における固体物質の分散媒を提供することを目的とするものである。また、本発明は、粉末状固体物質の固相反応の簡便で効率的な方法を提供することを目的とするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
（１）結晶性又は非結晶性の無機及び／又は有機粉末状固体物質を、光、熱、超音波、電場又は磁場の物理的なエネルギーが与えられている物理的な場を構成する固相反応系において均一に分散させるための分散媒であって、ペルフルオロ化合物を構成成分とすることを特徴とする上記固相反応系用分散媒。
（２）結晶性又は非晶性の無機及び／又は有機粉末状固体物質を、その固相反応系において、上記物理的なエネルギーが固体内部に均一に照射又は伝搬されるような反応条件を作るために、均一に分散させるための分散媒である前記（１）に記載の分散媒。
（３）ペルフルオロエーテル系化合物、ペルフルオロ３級アミン系化合物、又はペルフルオロ炭化水素を構成成分とする前記（１）に記載の分散媒。
（４）ペルフルオロエーテル系化合物、ペルフルオロ３級アミン系化合物、又はペルフルオロ炭化水素を任意の割合で含むペルフルオロ系混合物を構成成分とする前記（１）に記載の分散媒。
（５）ペルフルオロエーテル系化合物が、ペルフルオロ−２−ｎ−ブチルテトラヒドロフラン、又はそれを主成分とするペルフルオロ系混合物である前記（３）又は（４）に記載の分散媒。
（６）ペルフルオロ３級アミン系化合物が、ペルフルオロ−トリ−ｎ−プロピルアミン、又はそれを主成分とするペルフルオロ系混合物である前記（３）又は（４）に記載の分散媒。
（７）ペルフルオロ炭化水素が、ペルフルオロデカリン（トランス体とシス体の混合物）、又はそれを主成分とするペルフルオロ系混合物である前記（３）又は（４）に記載の分散媒。
（８）ペルフルオロ炭化水素が、ペルフルオロ−１−メチルデカリン（トランス体とシス体の混合物）もしくはそれを主成分とするペルフルオロ系混合物、ペルフルオロメチルシクロヘキサンもしくはそれを主成分とするペルフルオロ系混合物、又はペルフルオロヘキサン、又はそれを主成分とするペルフルオロ系混合物である前記（３）又は（４）に記載の分散媒。
（９）前記（１）から（８）のいずれかに記載の固相反応系用分散媒を使用し、これに光、熱、超音波、電場又は磁場の物理的なエネルギーが与えられている物理的な場を構成する固相反応系を構成する結晶性又は非結晶性の固体状物質を撹拌、分散し、固相反応を行うことを特徴とする固相反応方法。
【００１０】
一般に、ペルフルオロ化合物は、分子間力が小さいことが知られており（M. Howe-Grant, Ed., Kirk-Othmer, Fluorine Chemistry: A Comprehensive Treatment, Encyclopedia Reprint Series, John Wiley & Sons, 1995, 260 ）、そのために蒸留又は気化させることでエネルギー効率の高い回収が可能となるという利便性も持ち合わせているが、本発明者らの研究によれば、ペルフルオロ化合物により、固体状物質の分散が容易で、かつ撹拌が容易となり得ることがわかった。
【００１１】
更に、ペルフルオロ化合物は、通常のハイドロカーボン系の有機溶媒と異なり、比重が大きく、粉末状固体を簡単に浮揚させることが可能であること、及び撹拌による粉末状固体粒子の分散を容易にすることもわかった。本発明は、以上に述べたような知見に基づいて完成されたものである。即ち、本発明によれば、例えば、無機化合物から有機化合物に至るまで、ほとんど全ての粉末状固体物質の光固相反応が、容易にかつ再現性良く、効率的に行う方法が提供される。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明は、上述したように、固相反応系で固体物質を分散させる分散媒であって、結晶性又は非結晶性の無機及び／又は有機粉末状固体物質をその固相反応系において、均一に分散させるためのペルフルオロ化合物からなる粉末状固体物質の分散媒に係るものである。本発明で分散媒として用いられるペルフルオロ化合物は、いずれも市販されているか、工業的に利用されている一般的な化合物である。また、現在は、市販で入手が困難でも、ペルフルオロ化合物は、グリーンケミストリーの分野で大きな注目を集め始めているフルオラス相を利用した技術の発展とともに、将来、更に、多くの化合物が入手出来るようになる可能性が大きい。
【００１３】
ここで云う分散媒とは、粉末状固体を、光、熱、超音波のような物理的なエネルギーが与えられている物理的な場を構成する空間に分散させるために用いるものを意味するものである。この分散媒の使用目的は、固体外部から与える物理的なエネルギーを固体内部に均一に、そして、粉末を構成する粒子の一つ一つに等しく影響するように粉末状固体を物理的なエネルギーが構成する空間的な場に、個々の粉末を構成する粒子を離散状態で分散させることにある。このような条件を作り出すことで始めて固相反応が産業的に利用可能になる。
【００１４】
ここで云う固相反応とは、ある化合物Ａの粉末と、ある化合物Ｂの粉末を、メカニカルに混ぜて行うような固体−固体間での反応を指すものでは無く、粉末結晶の中で化合物を構成している二重結合、三重結合あるいはジアゾ基のような反応性の官能基が十分に近い空間的な配置の結晶構造を取っているような場合に、光、熱、超音波などの物理的なエネルギーを照射すると、それが契機となって結晶相の中で反応するような場合を指す。偶然にそのような結晶構造を持つ粉末結晶が得られる場合もあれば、人工的に設計してそのような結晶構造を作製する（クリスタルエンジニアリングと一般に云われる）場合もあるが、いずれにしても、結晶構造中に反応性の基が物理的なエネルギーの照射を契機として互いに反応可能な空間的な配置にあるような結晶構成分子のパッキング構造に由来して起こる固相での反応をさして固相反応と呼んでいる。
【００１５】
従って、例えば、二重結合の場合であれば、隣接する二重結合が光エネルギーにより４員環のシクロヘキサン環を生成するか、あるいは重合して高分子化合物を生成することになる。三重結合ならば、シクロブタ−１，３−ジエン環を生成するか、又は重合してポリマーを形成することになる。ここで述べた固相反応は、固相を形成している分子構造に含まれる反応性の基が物理的なエネルギーにより反応のための活性化エネルギーを得るか、又はエネルギーを吸収して励起されることにより結晶相の中で起こる反応を指しており、上述の隣接する反応性の官能基間の反応だけを指すものでは無く、更により広い意味を有している。
【００１６】
すなわち、本発明において、固相反応は、結晶を構成する分子に含まれる反応性の基が、物理的なエネルギーの照射を契機として単独で反応を起こし、そのまま隣接分子と反応しないような場合をも含むものである。例えば、ジアゾ基を有する分子結晶を例に取ると、ジアゾ基は光により窒素を放出し、ジアゾ基が炭素に結合している場合にはカルベンを生成する。通常は、生成したカルベンは、不安定反応中間体であるから、反応性が高く隣接位置で生成したカルベンと反応して二量化する等の反応が起こるが、本発明で規定する固相反応では、固体の外から物理的なエネルギーが固相を形成する分子と相互作用することによって起こる化学的な反応全てを指しており、例えば、このカルベンの場合について云えば、隣接する分子と必ずしも反応しない場合も指している（M. Kawano, K. Hirai, H. Tomioka, and Y. Ohashi, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 6904-6908）。
【００１７】
以上、物理的なエネルギーの粉末への均一な照射について言及したが、固相反応が持つ欠点、すなわち、外部からの粉末粒子一つ一つへの作用の不均一性に由来する問題点は共通であり、本発明は、固相反応を産業的なレベルの大きなスケールで行おうとする時に伴う不均一な反応条件にかかわる共通の欠点を解決し得るものであり、どのようなガス状試薬に対しても不活性であるペルフルオロ化合物の化学的な安定性、言い換えれば、その非反応性に注目したときには、上述の固相反応は、固相を構成する分子にガス状試薬が固相の分子間隙に侵入することで反応が進行するような場合も含められる。
【００１８】
ペルフルオロ化合物が示す特別な化学的、物理的な安定性ゆえに、場合によっては、３００−４００℃の高温でも反応が可能である。また、分子間力が小さいことに起因して、低温域でも粘性が低く、例えば、ペルフルオロヘキサンを用いれば、−７０℃でも分散性を損ねること無く、粉末状の固体について、例えば、光固相反応を行える。更に、低級のペルフルオロアルカンであるテトラフルオロメタンを用いれば、−１５０℃付近まで温度を下げても問題なく反応を行える。
【００１９】
また、場合によっては、テトラフルオロメタンのような室温でガス状の化合物の場合には、加圧下に温度をかけた状態のペルフルオロ化合物を分散媒として用いて光固相反応を行うことも可能である。この場合には、特に、圧力を大気圧に戻すだけで、反応生成物は濾過をする必要もなく、簡便に取り出すことが出来るというメリットがある。
【００２０】
ペルフルオロ化合物の安定性は、光に限らず、その他の物理化学的エネルギー、例えば、熱や超音波のような波動、電場、磁場（静的、動的を問わず）などに対しても安定であることから、これらの物理的エネルギーを用いた固相反応へのペルフルオロ化合物の分散媒としての応用が可能となる。特に、従来の有機溶媒を用いた産業が、グリーンケミストリーの観点から見直されるようになると、回収が容易で、毒性、爆発性などの危険因子を回避出来る媒体であるペルフルオロ化合物を分散媒とする固相反応の産業応用が期待されるが、ここで述べた種々の物理エネルギーの固相反応への応用は、後記する実施例に含まれる光固相反応から無理なく類推される範疇の事柄であり、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【００２１】
本発明の固相反応を実施するには、基質のペルフルオロ化合物への溶解性が重要な問題となる。ペルフルオロ化合物でも、炭素数が少ない１，１，２−トリクロロ−１，２，２−トリフルオロエタンなどでは、有機化合物をかなり良く溶かしてしまう。これは、この化合物に塩素が入っていることにもよるが、一概には、そうとも云えない。なぜならば、炭素数が６のペルフルオロヘキサンには、ヘキサンのような有機溶媒が自由に混和してしまう。このようなペルフルオロ化合物の性質は、ペルフルオロ化合物の粉末状有機化合物の固相反応における分散媒としての利用にとっては、液相に溶解してしまうことで収率を低下させるだけでなく、分離精製上の問題も絡んでくる。
【００２２】
従って、ペルフルオロ化合物の分散媒としての選定に当たっては、常に、この分散させるべき粉末状固体物質の溶解性を念頭に置く必要があるが、本発明を完成するにあたって様々な検討を重ねた結果、非極性のヘキサンのような化合物は問題があるが、固相で反応をする反応性の官能基である二重結合、三重結合、ジアゾ基、ベンゼンのような芳香族基など飽和炭化水素系以外の有機化合物に対しては、炭素数が６以上のペルフルオロ化合物が目的の分散媒として利用出来、更に好ましくは炭素数が９以上のペルフルオロデカリン、ペルフルオロ−１−メチルデカリン、ペルフルオロ−トリ−ｎ−プロピルアミン、ペルフルオロ−トリ−ｎ−ブチルアミンなどが使用出来ることがわかった。特に、実施例にあるようなペルフルオロアルキル基を含む化合物では、ペルフルオロ化合物に溶解しやすくなることが知られているが、意外にも炭素数が９以上のペルフルオロデカリンや、ペルフルオロ−トリ−ｎ−ブチルアミンには、ほとんど溶解しないことがわかり、本発明の目的にかなった分散媒として利用し得ることがわかった。
【００２３】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例１
（１）測定方法及び装置
以下の実施例中に記載の赤外吸収スペクトルは、島津製作所製赤外線スペクトル装置（ＳｈｉｍａｄｚｕＦＴＩＲ−８６００ＰＣ）を用い、ＫＢｒ錠剤法で測定し、ポリエチレンフィルムによる波数補正は行なわなかった。熱分解温度は、島津製作所製の熱重量測定装置（ＴＧＡ−５０Ｈ）を用いて、アルゴン雰囲気下１０℃／分で昇温し、重量変化グラフの最大傾斜点における接線とベースラインとの交点より分解温度を求めた。
【００２４】
（２）固相反応
枝管及びマグネチックスターラー撹拌子を備えた内径３０ｍｍ、高さ１５０ｍｍの円筒型パイレックスガラス製反応容器中のペルフルオロデカリン５０ｍｌに、４−〔ペルフルオロ−（２−イソプロピル−１，３−ジメチル−ブテンイルオキシ) 安息香酸トリコサ−１０，１２−ジイニルの結晶５０ｍｇを加え、マグネチックスターラーで撹拌し分散させた。分散液に６Ｗ低圧水銀灯を浸漬し、撹拌下で反応器内部を減圧にすることにより脱気した後、アルゴンガスで置換した。反応器を冷却浴中で−１５℃に保ち、水銀灯により紫外光を１時間照射することにより、反応を行った。紫外光の照射により化合物は金属光沢を有する結晶に変化した。反応後の結晶は、吸引濾過により濾別し減圧乾燥した。未反応物をヘキサンにより抽出し、液体クロマトグラフィーにより定量することにより反応率を求めた（残存率４％、反応率９６％）。反応生成物は、有機溶媒に不溶性の金属光沢を有する固体であり、以下の特徴を持つ。
ＩＲ（ＫＢｒ）：１７２４ｃｍ^-1、（反応前の２１３９ｃｍ^-1のピークが消失）。熱分解温度３２２℃（反応前２６７℃）。
【００２５】
実施例２
実施例１と同様の装置及び試薬により、６時間の紫外光照射を行ったところ、反応率１００％で、金属光沢を有する反応生成物が得られた。
【００２６】
実施例３
実施例１と同様の装置及び試薬により、−５℃、６時間の紫外光照射を行ったところ、反応率９９％で、金属光沢を有する反応生成物が得られた。
【００２７】
実施例４
実施例１と同様の装置で、分散媒として、ペルフルオロ−トリ−ｎ−ブチルアミンを主成分とするペルフルオロ化合物で、市販されているＦＣ−４３というペルフルオロ系混合物を用いて、実施例１と同じ反応を行った。紫外光の照射により化合物は金属光沢を有する結晶に変化した。反応後の結晶は、吸引濾過により濾別し減圧乾燥した。未反応物をヘキサンにより抽出し、液体クロマトグラフィーにより定量することにより反応率を求めた（残存率２％、反応率９８％）。反応生成物は、有機溶媒に不溶性の金属光沢を有する固体であり、以下の特徴を持つ。
ＩＲ（ＫＢｒ）：１７２４ｃｍ^-1、（反応前の２１３９ｃｍ^-1のピークが消失）。熱分解温度３２４℃（反応前２６７℃）。
【００２８】
実施例５
実施例１と同様の装置で、分散媒として、ペルフルオロ系エーテル化合物の一つであるペルフルオロ−２−ｎ−ブチルテトラヒドロフランを主成分とするＦＣ−８０というペルフルオロ系混合物を用いて、実施例１と同じ反応を行った。紫外光の照射により化合物は金属光沢を有する結晶に変化した。反応後の結晶は、吸引濾過により濾別し減圧乾燥した。未反応物をヘキサンにより抽出し、液体クロマトグラフィーにより定量することにより反応率を求めた（残存率５％、反応率９５％）。反応生成物は、有機溶媒に不溶性の金属光沢を有する固体であり下の特徴を持つ。
ＩＲ（ＫＢｒ）：１７２４ｃｍ^-1、（反応前の２１３９ｃｍ^-1のピークが消失）。熱分解温度３２０℃（反応前２６７℃）。
【００２９】
比較例
ペルフルオロデカリンの代わりにテトラヒドロフランを溶媒として用いた他は、実施例１と同様の方法により、２時間の紫外光照射を行ったところ、反応生成物は全く得られなかった。
【００３０】
【発明の効果】
本発明によれば、ペルフルオロ化合物を分散媒として利用することで、光反応性の基質からなる粉末状固体物質を均一な光照射下に、効率よく光固相反応に付することが可能である。得られた光反応生成物は、濾過により簡単に取り出せ、ペルフルオロ化合物の高い揮発性のため分散媒体が生成物に残ることも無い。また、ペルフルオロ化合物に対する固体状基質の溶解度は、無視出来る程度に低いことから、そのまま繰り返し使用が可能である。また、ペルフルオロ化合物の化学的、物理的特性から、低温域から高温域に至る広い温度範囲（−１５０℃から４００℃）で反応が行え、不燃性であることから爆発の危険もなく、更に、毒性も無く回収が容易なために、低環境負荷型産業を発展させるための重要な方法論の一つを提供出来る。液相反応では達成し得ない高度に制御された反応が固相反応では可能になるが、実施例で述べた光による固相反応だけでなく、熱や超音波などの波動エネルギー、電場や磁場などの場のエネルギーを用いた固相反応やガス状試薬との固相反応に拡張が可能であることを考え合わせると、本発明が将来の産業に与える波及効果は甚だ大きい。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a solid medium dispersion medium in a solid phase reaction system. More specifically, the present invention relates to a solid phase reaction by irradiating a powdered solid substance with physical energy such as light, heat, and ultrasonic waves. A method for efficiently performing reactions in the system, and using a perfluoro compound as a dispersion medium, a powdered solid substance is dispersed therein, and uniformly irradiated with physical energy such as light, heat, and ultrasonic waves while stirring. The present invention relates to a method for performing a solid phase reaction. INDUSTRIAL APPLICABILITY The present invention is useful as providing a basic technology that constitutes a platform that can realize “crystal engineering” that is expected to be put to practical use as a near future technology.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, there are many examples of photosolid reaction by irradiating a powdered solid substance with light, all of which irradiate light while stirring the solid mechanically, or develop a small amount of sample thinly on a flat surface. In this method, there is a problem that the reaction cannot be performed efficiently because the light is not uniformly irradiated inside the solid.
[0003]
In order to cope with such a problem, a method for compensating for the above-mentioned disadvantages by dispersing a powdered solid substance in a liquid and irradiating with light while stirring is known, but for example, water as a liquid is used. When used, there are problems such as the viscosity of water and the wettability of the substance, problems such as the difficulty of removing water after the reaction, and the inability to apply to water-soluble substances. (See Patent Documents 1 to 3). Further, in order to solve the problem of the wettability property of the solid substance with respect to water, a method of using a surfactant (see Patent Document 4) has also been proposed. The existence must be further complicated. Therefore, a method of using an organic solvent such as liquefied hydrocarbon has been proposed (see Patent Documents 5 to 8). However, the conventional methods have not solved many environmental problems of particular interest in recent years, such as organic solvents must be stable to light, do not absorb light, flammability, explosiveness, toxicity, etc. In addition, there is a problem that it cannot be applied to a substance that dissolves in an organic solvent.
[0004]
On the other hand, perfluoro compounds are known to be extremely stable both chemically and physically (see Non-Patent Documents 1 to 4), and of course are stable to light in the ultraviolet region often used for photoreactions. And has an excellent property of not absorbing the ultraviolet light, for example, artificial blood (oxygen-carrying infusion) (see Non-Patent Documents 5 to 8) and microorganism medium (see Non-Patent Document 9), It is known that it is not toxic enough to be used for liquid breathing (see Non-Patent Documents 10 to 11) or organ preservation (see Non-Patent Document 12).
[0005]
In recent years, there has been a lot of research using crystal engineering, and there may be a situation where industrial use of solid-phase reactions may occur. It has been desired to develop a simple and efficient method of photosolid phase reaction performed by irradiation. In particular, the reaction in the solid phase that does not use organic solvents is expected to become a very important technology in the hope of the development of the chemical industry based on green chemistry with an emphasis on the environment. A reaction method in the phase has been highly desired.
[0006]
However, since the perfluoro compound is also hardly mixed with an organic solvent (see Non-Patent Documents 13 to 14), it is expected that the organic compound is difficult to dissolve, and is required for a dispersion medium for photoreaction. It can be seen that all of the basic characteristics, that is, the property of being stable to light, not absorbing light, having low toxicity, and not dissolving a solid substance that is a substrate that undergoes a photoreaction are satisfied. However, these knowledge have been known individually and individually, but have not been linked to the idea of using a powdered solid substance as a dispersion medium in a photosolid phase reaction.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 62-201908 [Patent Document 2]
JP 62-201909 A [Patent Document 3]
JP 04-298502 A [Patent Document 4]
JP-A-60-248644 [Patent Document 5]
Japanese Patent Laid-Open No. 52-106850 [Patent Document 6]
Japanese Patent Publication No. 56-34577 [Patent Document 7]
JP 49-66662 A [Patent Document 8]
Japanese Patent Publication No. 51-12624 [Non-Patent Document 1]
AV Grosse and GH Cady, Ind. Eng. Chem., 1947, 39, 367-374
[Non-Patent Document 2]
DD Dixon and DG Holland, Fed. Proc. 1975, 34, 1444-1448
[Non-Patent Document 3]
KC Lowe, Sci. Prog. 1997, 80, 169-193
[Non-Patent Document 4]
JG Riess, Chem. Rev. 2001, 101, 2797-2019
[Non-Patent Document 5]
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[Non-Patent Document 6]
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[Non-Patent Document 7]
Junichi Yamauchi, Development Status and Prospects of Perfluorochemical Oxygen Carriers, in Artificial Organs 1994-96. Tokyo: Nakayama Shoten, 1994, 22, 955-963
[Non-Patent Document 8]
Kunihiko Nakai, Ichiro Sakuma, Shoji Fukushima, Yukazu Takeuchi, Hiroshi Sato, Akira Kitakuma, Artificial Blood, 2000, 8, 43-51
[Non-patent document 9]
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[Non-Patent Document 10]
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[Non-Patent Document 12]
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[Non-Patent Document 14]
JH Hildebrand and DRF Cochran, J. Am. Chem. Soc., 1949, 71, 22-25
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
Under such circumstances, the present inventors have conducted various researches in order to develop a simple and efficient method of photosolid phase reaction of the powdered solid substance in view of the above prior art. The present inventors have found that the compound has extremely good characteristics as a dispersion medium when performing a photoreaction of a solid substance, and have completed the present invention.
An object of this invention is to provide the dispersion medium of the solid substance in a solid-phase reaction system. Another object of the present invention is to provide a simple and efficient method for solid-phase reaction of a powdered solid substance.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present invention for solving the above-described problems comprises the following technical means.
(1) A solid phase constituting a physical field in which a crystalline or amorphous inorganic and / or organic powdered solid substance is provided with physical energy of light, heat, ultrasonic wave, electric field or magnetic field. A dispersion medium for solid-phase reaction system , which is a dispersion medium for uniformly dispersing in a reaction system, wherein a perfluoro compound is a constituent.
(2) inorganic and / or organic pulverulent solid material crystalline or amorphous, in its solid phase reaction system, making the reaction conditions so that the physical energy is uniformly irradiated or propagate therein solid Therefore, the dispersion medium according to (1), which is a dispersion medium for uniformly dispersing.
(3) The dispersion medium as described in (1) above, which contains a perfluoroether compound, a perfluorotertiary amine compound, or a perfluorohydrocarbon as a constituent component.
(4) The dispersion medium according to (1), wherein a perfluoro ether-based compound, a perfluoro tertiary amine compound, or a perfluoro-based mixture containing a perfluoro hydrocarbon in an arbitrary ratio is a constituent component.
(5) The dispersion medium as described in (3) or (4) above, wherein the perfluoroether compound is perfluoro-2-n-butyltetrahydrofuran or a perfluoro mixture containing the perfluoroether as a main component.
(6) The dispersion medium according to the above (3) or (4), wherein the perfluoro tertiary amine compound is perfluoro-tri-n-propylamine or a perfluoro mixture containing the perfluoro-tri-n-propylamine as a main component.
(7) The dispersion medium according to (3) or (4), wherein the perfluorohydrocarbon is perfluorodecalin (a mixture of a trans isomer and a cis isomer) or a perfluoro-based mixture containing the perfluoro hydrocarbon as a main component.
(8) The perfluorohydrocarbon is perfluoro-1-methyldecalin (a mixture of a trans isomer and a cis isomer), a perfluoro mixture mainly containing it, perfluoromethylcyclohexane or a perfluoro mixture mainly containing it, or perfluoro The dispersion medium according to (3) or (4), which is hexane or a perfluoro-based mixture containing the same as a main component.
(9) The dispersion medium for a solid phase reaction system according to any one of (1) to (8) is used, and physical energy of light, heat, ultrasonic wave, electric field, or magnetic field is given thereto. A solid phase reaction method characterized by stirring and dispersing a crystalline or non-crystalline solid substance constituting a solid phase reaction system constituting a physical field to carry out a solid phase reaction.
[0010]
In general, perfluoro compounds are known to have small intermolecular forces (M. Howe-Grant, Ed., Kirk-Othmer, Fluorine Chemistry: A Comprehensive Treatment, Encyclopedia Reprint Series, John Wiley & Sons, 1995, 260 ), Therefore, it has the convenience of being able to recover with high energy efficiency by distillation or vaporization. However, according to the study by the present inventors, it is easy to disperse a solid substance with a perfluoro compound. And it has been found that stirring can be facilitated.
[0011]
Furthermore, unlike ordinary hydrocarbon organic solvents, perfluoro compounds have a large specific gravity and can easily float powdered solids, and facilitate the dispersion of powdered solid particles by stirring. I understand. The present invention has been completed based on the findings described above. That is, according to the present invention, for example, there is provided a method for performing an optical solid-phase reaction of almost all powdered solid substances easily, with good reproducibility, from inorganic compounds to organic compounds.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As described above, the present invention is a dispersion medium for dispersing a solid substance in a solid-phase reaction system, wherein a crystalline or non-crystalline inorganic and / or organic powdered solid substance is uniformly dispersed in the solid-phase reaction system. The present invention relates to a dispersion medium of a powdery solid substance made of a perfluoro compound for dispersion in a powder. The perfluoro compounds used as a dispersion medium in the present invention are all commercially available or industrially used general compounds. In addition, even though it is difficult to obtain commercially available perfluoro compounds, more and more compounds will be available in the future with the development of technology using the fluorous phase, which has begun to attract much attention in the field of green chemistry. The potential is great.
[0013]
As used herein, the dispersion medium refers to a material used to disperse a powdered solid in a space constituting a physical field to which physical energy such as light, heat, and ultrasonic waves is applied. It is. The purpose of this dispersion medium is that the physical energy applied from the outside of the solid is uniformly applied to the inside of the solid, and the physical energy is applied to the powdered solid so that each of the particles constituting the powder is equally affected. The purpose is to disperse particles constituting individual powders in a discrete state in a spatial field. Only when such conditions are created, solid-phase reactions can be used industrially.
[0014]
The solid-phase reaction referred to here does not mean a solid-solid reaction in which a certain compound A powder and a certain compound B powder are mechanically mixed. Physics such as light, heat, and ultrasonic waves when the reactive functional group such as a double bond, triple bond, or diazo group has a crystal structure with a sufficiently close spatial arrangement. When a specific energy is irradiated, it refers to a case where it reacts in the crystal phase. In some cases, a powder crystal having such a crystal structure may be obtained by chance, or in some cases, such a crystal structure may be artificially designed (generally referred to as crystal engineering). The solid phase reaction that occurs due to the packing structure of the crystal constituent molecules in which the reactive groups in the crystal structure are in a spatial arrangement capable of reacting with each other upon the irradiation of physical energy. This is called a phase reaction.
[0015]
Therefore, for example, in the case of a double bond, an adjacent double bond generates a 4-membered cyclohexane ring by light energy or polymerizes to generate a polymer compound. A triple bond will produce a cyclobuta-1,3-diene ring or polymerize to form a polymer. In the solid-phase reaction described here, the reactive group included in the molecular structure forming the solid phase obtains activation energy for the reaction by physical energy, or is excited by absorbing energy. This refers to the reaction that occurs in the crystal phase, and does not only refer to the reaction between the adjacent reactive functional groups described above, but has a broader meaning.
[0016]
That is, in the present invention, the solid-phase reaction is a case where a reactive group contained in a molecule constituting a crystal reacts alone with physical energy irradiation and does not react with an adjacent molecule as it is. Is also included. For example, taking a molecular crystal having a diazo group as an example, the diazo group releases nitrogen by light, and generates a carbene when the diazo group is bonded to carbon. Usually, since the produced carbene is an unstable reaction intermediate, a reaction such as dimerization occurs by reacting with the carbene produced at an adjacent position with high reactivity, but in the solid-phase reaction defined in the present invention, Refers to all chemical reactions that occur when physical energy from outside the solid interacts with the molecules that form the solid phase; for example, in the case of this carbene, it does not necessarily react with neighboring molecules. Cases are also indicated (M. Kawano, K. Hirai, H. Tomioka, and Y. Ohashi, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 6904-6908).
[0017]
As mentioned above, the uniform irradiation of the powder with physical energy has been mentioned. However, the disadvantages of the solid-phase reaction, that is, the problems derived from the non-uniformity of the action on the powder particles from the outside are common. The present invention can solve the common drawbacks associated with heterogeneous reaction conditions that occur when a solid-phase reaction is performed on a large scale on an industrial level. However, when focusing on the chemical stability of the inactive perfluoro compounds, in other words, non-reactivity, the above-mentioned solid-phase reaction is performed in such a way that the gaseous reagent is a molecular gap between the solid-phase molecules. It also includes the case where the reaction proceeds by invading.
[0018]
Owing to the special chemical and physical stability exhibited by perfluoro compounds, in some cases, the reaction is possible even at high temperatures of 300-400 ° C. Further, due to the small intermolecular force, the viscosity is low even in a low temperature range. For example, when perfluorohexane is used, a powdered solid can be used, for example, a photosolid phase without losing dispersibility even at −70 ° C. Can react. Furthermore, if tetrafluoromethane, which is a lower perfluoroalkane, is used, the reaction can be carried out without problems even if the temperature is lowered to around -150 ° C.
[0019]
In some cases, in the case of a gaseous compound at room temperature such as tetrafluoromethane, it is also possible to carry out a photosolid reaction using a perfluoro compound in a state of applying pressure under pressure as a dispersion medium. is there. In this case, in particular, there is an advantage that the reaction product can be easily taken out without needing to be filtered only by returning the pressure to atmospheric pressure.
[0020]
Perfluoro compounds are not only stable to light but also to other physicochemical energies, such as waves such as heat and ultrasonic waves, electric fields, and magnetic fields (whether static or dynamic). Therefore, application as a dispersion medium of a perfluoro compound to a solid phase reaction using these physical energies becomes possible. In particular, when the industry using conventional organic solvents is reconsidered from the viewpoint of green chemistry, it is easy to recover and a solid medium using a perfluoro compound, which is a medium that can avoid risk factors such as toxicity and explosiveness, as a dispersion medium. Industrial applications of phase reactions are expected, but the application of various physical energies described here to solid-phase reactions is a category that can reasonably be inferred from the photo-solid phase reactions included in the examples described later. Needless to say, it is included in the scope of the present invention.
[0021]
In carrying out the solid phase reaction of the present invention, the solubility of the substrate in the perfluoro compound becomes an important problem. Even perfluoro compounds such as 1,1,2-trichloro-1,2,2-trifluoroethane having a small number of carbon atoms dissolve organic compounds quite well. This depends on the fact that chlorine is contained in this compound, but generally it cannot be said. This is because an organic solvent such as hexane is freely mixed with perfluorohexane having 6 carbon atoms. Such a property of the perfluoro compound is not only reduced in yield by being dissolved in the liquid phase but also separated and purified for use as a dispersion medium in the solid phase reaction of the powdered organic compound of the perfluoro compound. The problem is also involved.
[0022]
Therefore, in selecting a perfluoro compound as a dispersion medium, it is always necessary to keep in mind the solubility of the powdered solid substance to be dispersed. There are problems with compounds such as polar hexane, but other than saturated hydrocarbons such as double bonds, triple bonds, diazo groups, and aromatic groups such as benzene, which are reactive functional groups that react in the solid phase. For organic compounds, perfluoro compounds having 6 or more carbon atoms can be used as the target dispersion medium, more preferably perfluorodecalin, perfluoro-1-methyldecalin, perfluoro-tri-n-propyl having 9 or more carbon atoms. It has been found that amines, perfluoro-tri-n-butylamine and the like can be used. In particular, it is known that a compound containing a perfluoroalkyl group as in Examples is easily dissolved in a perfluoro compound. Surprisingly, however, perfluorodecalin having 9 or more carbon atoms or perfluoro-tri-n- It was found that butylamine hardly dissolves and can be used as a dispersion medium for the purpose of the present invention.
[0023]
【Example】
EXAMPLES Next, although an Example demonstrates this invention concretely, this invention is not limited at all by the following examples.
Example 1
(1) Measurement method and apparatus The infrared absorption spectrum described in the following examples is measured by the KBr tablet method using an infrared spectrum apparatus (Shimadzu FTIR-8600PC) manufactured by Shimadzu Corporation, and wave number correction by a polyethylene film is performed. There wasn't. The pyrolysis temperature was raised at 10 ° C./min under an argon atmosphere using a thermogravimetric measuring device (TGA-50H) manufactured by Shimadzu Corporation, and the intersection of the tangent and the baseline at the maximum slope point of the weight change graph The decomposition temperature was determined.
[0024]
(2) To 50 ml of perfluorodecalin in a cylindrical pyrex glass reaction vessel having an inner diameter of 30 mm and a height of 150 mm equipped with a solid reaction branch tube and a magnetic stirrer stirring bar, 4- [perfluoro- (2-isopropyl-1, 3-Dimethyl-buteneyloxy) 50 mg of tricosa-10,12-diynyl benzoate crystals were added and stirred and dispersed with a magnetic stirrer. A 6 W low-pressure mercury lamp was immersed in the dispersion, deaerated by reducing the pressure inside the reactor under stirring, and then replaced with argon gas. The reaction was carried out by keeping the reactor at −15 ° C. in a cooling bath and irradiating ultraviolet light with a mercury lamp for 1 hour. The compound changed to a crystal having metallic luster by irradiation with ultraviolet light. The crystals after the reaction were separated by suction filtration and dried under reduced pressure. Unreacted substances were extracted with hexane and quantified by liquid chromatography to determine the reaction rate (residual rate 4%, reaction rate 96%). The reaction product is a solid having a metallic luster that is insoluble in an organic solvent, and has the following characteristics.
IR (KBr): 1724 cm ⁻¹ (the peak at 2139 cm ⁻¹ before the reaction disappears). Thermal decomposition temperature of 322 ° C. (267 ° C. before reaction).
[0025]
Example 2
When ultraviolet light irradiation was performed for 6 hours using the same apparatus and reagent as in Example 1, a reaction product having a metallic luster was obtained with a reaction rate of 100%.
[0026]
Example 3
When irradiation with ultraviolet light at −5 ° C. for 6 hours was performed using the same apparatus and reagents as in Example 1, a reaction product having a metallic luster was obtained at a reaction rate of 99%.
[0027]
Example 4
In the same apparatus as in Example 1, the same reaction as in Example 1 was performed using a commercially available perfluoro-based mixture called FC-43, which is a perfluoro compound mainly composed of perfluoro-tri-n-butylamine as a dispersion medium. Went. The compound changed to a crystal having metallic luster by irradiation with ultraviolet light. The crystals after the reaction were separated by suction filtration and dried under reduced pressure. Unreacted substances were extracted with hexane and quantified by liquid chromatography to determine the reaction rate (residual rate 2%, reaction rate 98%). The reaction product is a solid having a metallic luster that is insoluble in organic solvents and has the following characteristics.
IR (KBr): 1724 cm ⁻¹ (the peak at 2139 cm ⁻¹ before the reaction disappears). Thermal decomposition temperature of 324 ° C. (267 ° C. before reaction).
[0028]
Example 5
In the same apparatus as in Example 1, a perfluoro-based mixture called FC-80 mainly composed of perfluoro-2-n-butyltetrahydrofuran, which is one of perfluoro-based ether compounds, is used as a dispersion medium. The same reaction was performed. The compound changed to a crystal having metallic luster by irradiation with ultraviolet light. The crystals after the reaction were separated by suction filtration and dried under reduced pressure. Unreacted substances were extracted with hexane and quantified by liquid chromatography to determine the reaction rate (residual rate 5%, reaction rate 95%). The reaction product is a solid with a metallic luster that is insoluble in organic solvents and has the following characteristics.
IR (KBr): 1724 cm ⁻¹ (disappearing peak at 2139 cm ⁻¹ before reaction). Thermal decomposition temperature of 320 ° C. (267 ° C. before reaction).
[0029]
Comparative Example Except for using tetrahydrofuran as a solvent in place of perfluorodecalin, the reaction product was not obtained at all when irradiated with ultraviolet light for 2 hours in the same manner as in Example 1.
[0030]
【The invention's effect】
According to the present invention, by using a perfluoro compound as a dispersion medium, it is possible to efficiently subject a powdered solid substance made of a photoreactive substrate to a photosolid reaction under uniform light irradiation. . The resulting photoreaction product can be easily removed by filtration and no dispersion medium remains in the product due to the high volatility of the perfluoro compound. Moreover, since the solubility of the solid substrate with respect to the perfluoro compound is negligibly low, it can be used repeatedly as it is. In addition, because of the chemical and physical properties of perfluoro compounds, the reaction can be carried out in a wide temperature range (−150 ° C. to 400 ° C.) from a low temperature range to a high temperature range, and since it is nonflammable, there is no danger of explosion, Because it is non-toxic and easy to recover, it can provide one of the important methodologies for developing a low environmental impact industry. Highly controlled reactions that cannot be achieved with liquid phase reactions are possible with solid phase reactions, but not only solid phase reactions with light as described in the examples, but also wave energy such as heat and ultrasound, electric fields and magnetic fields. Considering that the solid phase reaction using the energy of the field or the like and the solid phase reaction with the gaseous reagent can be extended, the ripple effect of the present invention on the future industry is extremely large.

Claims

Crystalline or non-crystalline inorganic and / or organic powdered solid substances in a solid phase reaction system constituting a physical field to which physical energy of light, heat, ultrasonic waves, electric field or magnetic field is applied A dispersion medium for a solid phase reaction system , which is a dispersion medium for uniformly dispersing, wherein a perfluoro compound is a constituent.

Inorganic and / or organic pulverulent solid material crystalline or amorphous, in its solid phase reaction system, to make the reaction conditions so that the physical energy is uniformly irradiated or propagate therein solid, The dispersion medium according to claim 1, which is a dispersion medium for uniformly dispersing.

The dispersion medium according to claim 1, comprising a perfluoroether compound, a perfluoro tertiary amine compound, or a perfluorohydrocarbon as a constituent component.

The dispersion medium according to claim 1, comprising a perfluoro-based mixture, a perfluoro-tertiary amine-based compound, or a perfluoro-based mixture containing a perfluorohydrocarbon in an arbitrary ratio.

The dispersion medium according to claim 3 or 4, wherein the perfluoroether-based compound is perfluoro-2-n-butyltetrahydrofuran or a perfluoro-based mixture containing the perfluoroether as a main component.

The dispersion medium according to claim 3 or 4, wherein the perfluoro tertiary amine compound is perfluoro-tri-n-propylamine or a perfluoro mixture containing the perfluoro-tri-n-propylamine as a main component.

The dispersion medium according to claim 3 or 4, wherein the perfluorohydrocarbon is perfluorodecalin (a mixture of a trans isomer and a cis isomer) or a perfluoro-based mixture containing the perfluoro hydrocarbon as a main component.

Perfluorohydrocarbon is perfluoro-1-methyldecalin (a mixture of trans and cis) or a perfluoro mixture based on it, perfluoromethylcyclohexane or a perfluoro mixture based on it, or perfluorohexane, or The dispersion medium according to claim 3 or 4, which is a perfluoro-based mixture containing the same as a main component.

A solid field reaction system dispersion medium according to any one of claims 1 to 8 is used, and a physical field in which physical energy of light, heat, ultrasonic wave, electric field or magnetic field is applied to the medium is constituted. A solid-phase reaction method comprising stirring and dispersing a crystalline or non-crystalline solid substance constituting a solid-phase reaction system to perform a solid-phase reaction.