JP4190936B2 - 走査型プローブ顕微鏡およびその操作法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端に微小な探針を有するカンチレバーを加振しながら、サンプルに近接させた場合に探針とサンプル表面間に働く物理的な特性により、カンチレバーの振幅を変化させ、その時の振幅の変化量から、サンプルの表面形状や表面物性を測定する走査型プローブ顕微鏡の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscopy:SPM)において先端に探針が取付けられたカンチレバーを共振周波数付近で駆動しながら変位その他の物理量を検出し、画像化して観察を行うことは動的(Dynamic Force Microscopy:DFMモード)測定として公知である。従来のこの種の走査型プローブ顕微鏡は、先端に微小探針を有するカンチレバーをカンチレバーホルダに固定し、圧電素子などを用いた加振手段によりカンチレバーの共振周波数近傍の周波数で加振して、そのときの振幅を該カンチレバーの背面を鏡面とし、光てこ法などの変位検出手段により計測するものである。サンプルは、圧電素子などにより構成される3軸微動機構を備えたステージ上に載置され、X−Y平面走査とZ位置調整がなされる。サンプルは粗動機構により探針に近接され、探針とサンプル間が充分近づいていった場合、該サンプルと探針間には、原子間力などの物理的な力が作用するようになる。この物理的な力を受けることにより、加振されているカンチレバーの振幅が変化する。このときに作用する力は、探針とサンプル間の距離に依存するため、探針とサンプルを原子間力が作用する領域内に近接させて、微動機構により2次元平面内で走査させながら、カンチレバーの振幅が常に一定になるように、Z位置調整機能によりサンプルと探針間の距離を制御するとその制御量(変位)がサンプル表面の凹凸に相当するものとなる。したがって、その際の制御量を画像化することでサンプル表面のTOPO(凹凸形状)像が得られる。
【0003】
走査型プローブ顕微鏡で動的(DFMモード)測定を行う場合には、測定に先立ち図11に示すような、カンチレバーまたはプローブの共振点近傍の周波数特性を求める。この周波数特性の波形から、カンチレバーまたはプローブの共振周波数ω0 とQ値が求められる。通常、Q値は以下のような計算式から求められる。
Q=ω0/(ω2 −ω1 )
ここで、ω0はカンチレバーの共振周波数、ω1、ω2は共振周波数における振幅をAとした場合にA/21/2(註:21/2は、2の平方根を表す)となる部分と周波数特性のカーブの交点の周波数である。この式から、Q値は共振点ピークの幅によって決定され、ピークが急峻となるほど値が大きくなることがわかる。共振点近傍の周波数でカンチレバーまたはプローブを加振しながらサンプルに近接させた場合、図12に示すように、サンプルと探針との間に働く原子間力により、共振周波数がシフトすると共に振幅が変化する。その際サンプルと探針との間に働く力が引力である場合には共振周波数は低くなり、斥力である場合には反対に高くなる。カンチレバーまたはプローブは、図13に示すようにQ値が大きい方が波形の傾きが急峻となり、感度が向上する一方、制御系まで含めたシステム全体で考えた場合には、Q値があまりにも高くなりすぎると、応答が不安定となりシステムが追従できず発振の原因となる。したがって、動的走査型プローブ顕微鏡のシステムにおいて応答性と感度を両立するためには、Q値の最適化が必要となる。
【0004】
しかし、共振特性であるQ値(Qファクター)は一般的にカンチレバーの機械的構造と励振伝達効率と動作環境等に依存するものとなる。例えば高分解能や高感度の測定(Q値に感度が依存する位相測定であるMagnetic Force Microscopy:MFMなど)ではQ値を上げて測定したいのだが、このカンチレバーの機械的構造と励振伝達効率が制約条件となりその妨げとなっていた。逆に真空環境においての動的(DFMモード)SPM駆動では、空気抵抗の影響が著しく減少しするためQ値は大気環境に比較して1〜2桁も大きくなる。この場合、感度には有効だがSPM制御の観点からは測定の応答性(形状をトレースするフィードバックの早さ)が低下し、探針と試料が衝突して分解能の低下が引き起こされたり、発振を起こして測定不能に陥ることもあった。これを回避するためには極端に走査スピードを下げるなど実際問題として難点が多かった。
【0005】
さらにSPMでは表面形状だけではなく、数々の物理量を同時または非同時に測定することが可能であるが、従来技術では上述のように例えば表面形状はQ値を下げて、同時測定する(例えばMFM)はQ値を上げて測定するなどの制御ができなかったため、相互の折り合いのつく条件を最適条件として設定せざるを得なかった。
【0006】
このような状況の下で本出願人は先に特願平10−148117号(特許文献1)「走査型プローブ顕微鏡」を出願提示した。この発明は、先端に微小な探針を有するカンチレバーを加振しながら、サンプルに近接させた場合に探針とサンプル表面間に働く物理的な特性により、カンチレバーの振幅を変化させ、その時の振幅の変化量から、サンプルの表面性状を測定する走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーホルダ部において、カンチレバーのQ値のコントロールが可能となるような構造を提供するものであり、そのために、第1のアクチュエータを基板に固定し、第1のアクチュエータの加振力がカンチレバーに伝達するようにカンチレバーを載置し、カンチレバーの平板部を弾性部材に接触させ、もう一方の平板部側に第2のアクチュエータを介在させて、第2のアクチュエータでカンチレバーを弾性部材に押し付けるような構成としたものである。これによって、Qコントロールを可能としたのであるが、第2のアクチュエータによりカンチレバーを弾性部材に押し付ける機械的手段による調整であるため、最適値制御を実行させることが容易ではなかった。
【0007】
A.D.L.Humphris 等が技術雑誌「Surface Science VOL.491,No.3,pp.468-472(2001)」に発表した論文「Enhanced imaging of DNA via active quality factor control:特許文献1」には、図14に示すように、動的駆動のSPMにおけるカンチレバーの変位検出信号を可変移相器と可変ゲイン増幅器を介した信号を作り、従来の発振器の強制振動信号出力に重畳して励振信号として印加する構成を提示し、可変移相器と可変ゲイン増幅器を介したフィードバックループで粘性を制御し、Q値をコントロールする技術が示されている。そして、この文献には液中での低すぎるQ値を向上させDNA等の測定を容易にした例が紹介されている。
【0008】
また、Veeco社のホームページ(http://www.di.com/nanoscope_iv/More_functionality.htm:非特許文献2)にもSPMのコントローラであるNano Scope IVを用いたQコントロールにより、大気中で磁気テープの磁区観察をしてMFMの感度を向上させた事例が紹介されている。
しかし、これらの技術は、単にQ値をコントロールすることによりカンチレバーの機械共振点での振幅値を上昇させることがのべられているにすぎない。上記技術により機械共振点での振幅品質を示すQ値(Qファクター)を探針を試料面の極近傍へアプローチする前に整え(所望の値に固定し)たのち、従来のSPMと同様に試料表面までカンチレバー(探針)を接近させ、接近による試料との相互作用(引力・斥力)を検知して所望の極弱い力で接触し、画像取得の準備状態に入るものである。しかしながら、最初にQ値をセットした際の、サンプル面と探針間距離(Z0と呼ぶ)におけるQ値(Q0)は試料に探針が接近するに従って低下し、試料にアプローチが完了した際(高さはZE)にQ値QEまで変化する。この際Q値の変化量をΔQとするとΔQは距離変化量(ΔZ=Z0−Z)の関数のとして成り立つ。一般的にΔQが大きい場合はΔZも大きい傾向がある。この理由は空気抵抗の少ない状態Z0ではほぼ理想的な振動振幅が得られるのに対し、試料・探針間距離が小さくなるほど振動に対する空気抵抗が大きくなるため、カンチレバーの振幅動作が阻害され、必然的にQ値は低くなる。その結果所望のQ値=Q0にセットしたつもりなのに、実際に画像を取得している際にはQ=QEに変化しており、期待されるQ値の効果のQ0/QEしか得られないという現実があった。すなわち、せっかく高いQ値を設定しても、アプローチ後には低いQ値になってしまい、感度が期待したように向上できないという問題点があった。また、Qコントロールを行う場所により、実効的Q値がばらつくため、磁気力勾配も変動し、データの再現性に問題があった。この問題点は、大気環境下のQコントロールMFMにおいて顕著であるが、広くDFM測定全般でも、程度の差はあるものの問題であった。
【0009】
従来のQコントロールMFMは、測定実効時に所望のQ値に安定設定が困難であるため、高いQ値設定となった場合では、応答性が犠牲になり、特に形状測定の安定が失われてしまう、また、低いQ値設定となった場合には、磁気力勾配の高感度測定が犠牲になってしまうという問題点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−337560号公報
【非特許文献1】
A.D.L.Humphris 他2名,「Enhanced imaging of DNA via active quality factor control」,「Surface Science 」2001,VOL.491,No.3,pp.468-472
【非特許文献2】
Veeco社のホームページ“Nano Scope IV Controller”[2001年2月26日検索] http://www.di.com/nanoscope_iv/More_functionality.htm
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記したような従来の動的駆動のSPMのもつ問題点を解決すること、すなわち動的駆動のSPMにおいて変化する環境条件の中でもカンチレバーの共振付近でのQ値を最適にコントロールすることができるシステムを提供することにより、種々の物理量測定時の動作の安定性を向上させるとともに、測定感度の向上と測定値の再現性と定量性の向上をもたらすSPMを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の動的駆動のSPM は、ピエゾ等の振動を機械的な伝達によりカンチレバーを励振させる等通常の駆動方式におけるDMF 振幅制御信号に、Q を制御すべく前記カンチレバーの振動検出信号を移相器を介して速度信号とし、該信号を可変ゲイン調整した信号をつくり、該信号を励振信号に重畳させて振動制御することによって、カンチレバーの共振付近でのQ を制御できるようにした方式を採用したものであって、変化する環境条件の下で環境変化としてカンチレバーの振動に対する該カンチレバー周辺の相対的な粘性の変化に応じたQ 値の自動調整機能を備えるようにした。
【0013】
具体的にはカンチレバーの振動に対する該カンチレバー周辺の相対的な粘性の変化である環境変化に対して最適値にQを設定する機能は、ある振動振幅Aoで、Q コントロールによりQ = Aoにコントロールした場合のQ コントロールのゲインがG = Goであったとき、任意の振動振幅Aを設定する場合に、Q コントロールのゲインをG = ( A /Ao )・G oに設定することで、振動振幅の変化に伴う前記相対的な粘性の変化に基づくQ値の変化をより小さくするようにした。
【0014】
また、別途の同機能としては、探針試料間距離L を大きくするに従って、Q コントロールのゲインG をG ∝ 1 /L の関係で小さくするように制御することで、発振を防止しQ コントロール状態を再現し易くした。
【0015】
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡の操作法は、Q 値を制御せずに一度試料にアプローチし試料− 探針間距離ゼロの点 Z E を取得するステップと、このZ E を基点にΔ Z だけ探針を上昇させ、その位置でQ 値のコントロールを行い、所望のQ 値にセットするステップと、仮アプローチ後、微小距離だけ探針− 試料間を離して、再度Q カーブ測定し、再アプローチするステップを踏むことにより、測定の再現性の向上とアプローチ後の実効的Q 値の向上により、高感度測定を可能とした。
【0016】
本発明の走査型プローブ顕微鏡の操作法は、Qカーブ測定にて、Q=Q1 にコントロールし、そのときのQ コントロールのゲインをG=G1とするステップ1 と、引き続きQ カーブ測定にて、Q値を Q 2 > Q 1 の関係を保持しつつ Q2にコントロールし、そのときのQコントロールのゲインをG=G2 とするステップ2 と、前記G=G1 のパラメータをセットし、Q=Q1での低Q値による形状測定を行うステップ3と、次に前記G=G2のパラメータをセットし、Q =Q2 での高Q値による磁気力勾配測定を行うステップ4と、上記ステップ3 とステップ4をラインごと、またはピクセルごとに繰り返すことにより、形状測定を低いQ値で行うことで、応答性が向上し、磁気力勾配測定を高いQ値で行うことで、磁気力勾配の感度が向上するものである。
【0017】
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる通常の動的駆動方式における発振器の出力信号に重畳させる加算器とを備え、前記可変増幅器のゲインを調整することによりカンチレバーの共振値付近でのQを制御するものであって、更に位相測定部を備えるようにし、その入力端子には前記カンチレバーの変位信号と前記発振器の基準振動出力が接続され、該位相測定部によって両信号の位相差が検知され、位相データとして出力される。
【0018】
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる電圧制御発振器の出力信号に重畳させる加算器とを備え、前記可変増幅器のゲインを調整することによりカンチレバーの共振値付近でのQを制御するものであって、更に位相比較器を備えるようにし、該位相比較器の一方の入力端子へは前記カンチレバーの変位検出信号が入力され、他方の入力端子へは前記電圧制御発振器からの基準振動出力信号を入力するように接続し、該位相比較器は前記二つの入力信号の位相を比較し周波数データに対応した電圧値を出力し、周波数データとして用いられると共に、前記電圧制御発振器の電圧制御信号として入力端子に送られるように接続され、Q値を高く調整して大気中での原子分解能のあるFM測定が可能となる。
【0019】
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる通常の動的駆動方式における発振器の出力信号に重畳させる加算器とを備え、前記可変増幅器のゲインを調整することによりカンチレバーの共振値付近でのQを制御するものであって、更に位相比較器と電圧制御発振器を備えるようにし、該位相比較器の一方の入力端子へは前記カンチレバーの変位検出信号が入力され、他方の入力端子へは前記電圧制御発振器からの基準振動出力信号を入力するように接続し、該位相比較器は前記二つの入力信号の位相を比較し周波数データに対応した電圧値を出力し、周波数データとして用いられると共に、前記電圧制御発振器の電圧制御信号として入力端子に送られるように接続され、この電圧制御発振器の出力信号は周波数測定モードにおいてはカンチレバーの強制振動駆動源として前記発振器に代えて用いられる。
【0020】
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、安定しコントロール機能を維持するためカンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる通常の動的駆動方式における発振器の出力信号に重畳させる加算器とからなる制御ループに、基本振動の高次周波数成分を遮断するフィルタを配設するようにした。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の高分解能走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーの共振付近でのQコントロール機能を備えることで、種々の物理量測定時の動作の安定性を向上させると共に、測定感度の向上と測定値の定量性の向上にも寄与するものである。まず、本発明の基礎となるQ値コントロールを実行するQコントロールシステムの基本構成を図1に示し、その動作原理を説明する。先端に微小探針2を有するカンチレバー1をカンチレバーホルダに固定する。発振器4から供給されるカンチレバーの共振周波数近傍の周波数信号を圧電素子などを用いた加振手段3に受けて、前記カンチレバー1を励振する。該カンチレバー1の背面は鏡面となっており、光てこ法などの変位検出手段5によりそのときの振幅を検出する。該変位検出手段5で検出された変位信号はプリアンプ6によって増幅されるが、この信号は正弦波信号であるから変換器7により二乗平均化して直流信号に変換され、DFM制御信号として前記発振器4にフィードバックされる。この構成によって、まずDFM制御系が成立する。本発明のQコントロールシステムは更に前記プリアンプ6の出力信号を移相器8を介し可変ゲインアンプ9に入力し、設定された適宜のゲインに増幅された信号が加算器によって先の発振器(OSC)4の出力に重畳させた信号を作り、前記加振手段3の駆動信号とする構成を採るようにしたもので、前記ゲインを調整することで有効Q値をコントロールするものである。これはカンチレバーの粘性によるダンピング量をアクティブに変化させることに相当する。
【0022】
次にこのQコントロールの動作原理を説明する。駆動信号F(t)=Fsin(ωt)を受けて圧電素子等の加振手段によって強制振動しているカンチレバーの運動方程式は
md2Z/d2t+ηdZ/dt+kZ=Fsin(ωt)‥‥‥‥(1)
ここでmはカンチレバーの質量,ηは粘性係数,kはバネ定数,ω0は共振周波数である。この方程式の解は
Z(t)=Z0(ω,ω0,F,η)・sin(ωt+δ)‥‥‥‥(2)
ここでδは移相のズレを示す。
Q値と粘性係数η、共振周波数ω0の関係は
Q=mω0/η‥‥‥‥(3)
図1に示すシステムにおいて、カンチレバー1の変位検出信号を移相器8によりπ/2だけ位相調整した信号を、可変アンプ9で設定されたゲインGに増幅し、その信号を発振器4の正弦波強制振動に加算重畳してカンチレバーを共振させて有効Q値を制御するのであるが、移相器8によりπ/2だけ位相調整した信号sin(ωt+π/2)は変位検出信号が正弦波であるため、微分値に相当したものとなり、先のカンチレバーの運動方程式は、
md2Z/d2t+ηdZ/dt+kZ=Fsin(ωt)+Gsin(ωt+π/2)
となり、sin(ωt+π/2)の項はdZ/dtと同次となる。したがって、上の式は次式のように整理できる。
md2Z/d2t+ηeffdZ/dt+kZ=Fsin(ωt)‥‥‥‥(1')
その際の有効粘性係数ηeff は次式で表せる。
ηeff=η−G/ω‥‥‥‥(4)
この式から分かるように有効粘性係数ηeff はゲインの設定値に依存し、この値Gを変えることで調整できる。また、その際の有効Q値(Qeff)は次式で表される。
Qeff=mω/ηeff‥‥‥‥(5)
この式から分かるように有効Q値(Qeff)は有効粘性係数ηeff に依存するので、結局この有効Q値(Qeff)もゲインの設定値Gを変えることで調整できる。
【0023】
また、振動系に対してカンチレバーの変位量を位相調整した信号を可変ゲインアンプで設定されたGだけ増幅し、発振器の正弦波強制振動に加算重畳してカンチレバーを共振させて有効Q値を制御する他、カンチレバーの振動の速度を検出して可変ゲインアンプで設定されたGだけ増幅し、発振器の正弦波強制振動に加算重畳してカンチレバーを共振させて有効Q値を制御することもできる。その場合には移相器に代えて微分器を設置し、カンチレバーの変位検出値Z(t)から速度値dV/dtを得てこの信号を可変ゲイン増幅器に入力し、その出力を発振器の正弦波強制振動に加算重畳するようにすればよい。この場合、カンチレバーの運動方程式は
md2Z/d2t+ηdZ/dt+kZ=Fsin(ωt)+GdZ/dt
ここでGは可変ゲイン増幅器の設定ゲインである。この式を変形整理すると
md2Z/d2t+(η−G)dZ/dt+kZ=Fsin(ωt)‥‥‥‥(1”)
となり、有効粘性係数ηeff は次式で表せる。
ηeff=η−G‥‥‥‥(4')
この式から分かるように、この場合の有効粘性係数ηeff もゲインの設定値に依存し、この量Gを変えることで調整できる。また、その際の有効Q値(Qeff)も先の場合と同様に(5)式で表され、ゲインの設定値Gを変えることで調整できる。このことは、カンチレバーの振動が正弦波であるので、移相器によってπ/2分位相をシフトすることは変位振動を微分して速度検出したことと同義であることに他ならない。
【0024】
本発明では上記の手法によりQ値を適宜調整し、種々の物理量測定時の動作の安定性を向上させると共に、測定感度の向上と測定値の定量性の向上を図るのであるが、その使用態様として数例を示しておく。
【0025】
パターン1として、真空状態での測定においては過度に高くなるQ値をこの手法により下げるように調整して、安定した測定を可能にすることができる。図5に周波数に対するQ値と位相の関係をグラフ表示した。このグラフから分かるように、左側の特性は真空中で11000とQ値が高く位相の感度が高いのはよいとして応答性や発振による動作安定性に問題が生じるものを、QコントロールによりQ値を3300まで下げることにより、動作と感度の調整が取れる。
【0026】
パターン2としては真空状態で、過度に高くなるQ値を下げるように調整して、形状(TOPO)測定を行ない、同じQ値で他の物理量測定、例えばMFMやEFM(Electric Force Microscopy)を実行する。或いは大気状態下でQ値を高くし感度を高めて、上記のようにTOPO測定を行ない、同じQ値で他の物理量測定を実行する。
【0027】
パターン3としては真空下でQを調整し、TOPO測定を行なうときはQを下げ、他の物理量測定に際してはQ値を上げて測定する。つまり、各種測定に合わせて所望のQ値に調整して最適測定を可能にする。この場合の物理測定としては▲1▼位相測定と▲2▼周波数測定の二種類がある。
【0028】
パターン4としては大気中でのFM制御(周波数モード)を可能とする。いわゆる原子分解能のあるFM制御は大きいQ値の下でないとできなかったが、本発明のQコントロール手法により値を高く調整して大気中でのFM制御が可能となる。図6に大気中での周波数に対するQ値と位相の関係を示す。大気中でのQ値は左側に示されているように低く(この例では347)であり、位相の特性は鈍である。このQ値を本発明の手法により2604に調整して高くしたとき、位相の特性はシャープとなり検出感度が高くなっている。
【0029】
図2に示すブロック図はパターン2,3すなわち、真空状態で、過度に高くなるQ値を下げるように調整して、TOPO測定を行ない、同じQ値で位相測定を実行するか、大気状態下でQ値を高くし感度を高めて、TOPO測定を行ない、同じQ値で位相測定を実行するシステムの基本構成である。図1に示した本発明のQコントロールの基本構成に、位相測定部10を備えるようにし、その入力端子にはプリアンプ6によって増幅されたカンチレバーの変位信号と発振器4の基準振動出力が接続され、該位相測定部10によって両信号の位相差が検知され、位相データとして出力される。
【0030】
図3に示すブロック図はパターン2,3すなわち、真空状態で、過度に高くなるQ値を下げるように調整して、TOPO測定を行ない、同じQ値で周波数測定を実行するか、大気状態下でQ値を高くし感度を高めて、TOPO測定を行ない、同じQ値で周波数測定を実行するシステムの基本構成である。図1に示した本発明のQコントロールの基本構成に、位相比較器11そして電圧制御発振器(VCO)12を備えるようにし、この位相比較器11の一方の入力端子へはプリアンプによって増幅されたカンチレバーの変位検出信号が入力され、他方の入力端子へは前記VCO12からの基準振動出力信号を入力する。該位相比較器11は前記二つの入力信号の位相を比較し周波数データ(共振周波数のズレ)に対応した電圧値を出力する。この出力は周波数データとして用いられると共にVCO12の電圧制御信号として入力端子に送られる。このVCO12の出力信号は先の位相比較器11の他方の入力端子へ入力されると共にカンチレバーの強制振動駆動源として発振器4に代えて用いられる。
【0031】
このシステムにおいては、例えばTOPO測定時はスイッチSWを発振器4側に接続し、真空状態の下で可変ゲインを適当な値にしてQ値を下げて実行し、続いて他の物理量測定に際してはスイッチSWをVCO12側に接続し、可変ゲインを適当な値にしてQ値を上げて実行する。このVCO12はFM測定時の振幅の自動調整用であり、位相比較器11そしてこの電圧制御発振器(VCO)12がDFM振幅制御系における帰還路を構成している。なお、実際の回路構成においては上記の構成の他、系全体が自己発振するための調整用の移相器をプリアンプ6と位相比較回路11の間に介在配置することもある。
【0032】
図4に示すブロック図はパターン4すなわち、大気中での周波数測定を可能とするシステムの基本構成である。このシステムは発振器4を用いず、VCO12によってカンチレバーの強制振動を行なわせるもので、構成としては図3に示したシステムのDFM振幅制御系としての発振器4を含む帰還路を省略したものである。この構成だけで本発明のQコントロール手法によりQ値を高く調整して大気中での原子分解能のあるFM制御が可能となる。
【0033】
続いて、これら本発明のシステムを用いて、Q値を所望値に設定して適宜の測定を実行するする際に起きる諸問題に対処する手法について説明する。従来の大気MFMは、空気の粘性抵抗が探針−試料間距離やレバーの振動振幅に大きく影響を受けるため、実効的なQ値は環境や条件設定に大きく依存してしまい、測定結果の再現性は必ずしも良くないという問題がある。かといって従来の真空MFMではQ値が高くなりすぎ発振してしまうなど安定性の問題があった。本発明ではQ値を適宜コントロールすることができるので、この問題に対して真空状況下でQ値を低くするようにコントロールしMFMを使うことが可能となった。この場合空気が存在しないため、探針−試料間距離やレバーの振動振幅の変化に対して、Q値はほとんど変化しない。因みに図7左側に探針−試料間距離に対するQ値に変化を、真空状況下でQコントロールを行なった場合の値と、大気下でQコントロールを行なわない場合の値そして大気下でQコントロールを行なった場合の値を対比させてグラフ表示し、右側には振幅値に対するQ値に変化を、真空状況下でQコントロールを行なった場合の値と、大気下でQコントロールを行なわない場合の値そして大気下でQコントロールを行なった場合の値を対比させてグラフ表示した。この特性からこの手法により、測定結果の再現性を確保しやすくなり、真空MFMによる再現性の良い磁区観察法が提供できることが分かる。
【0034】
従来のQコントロールにおいては、最初にQ値をセットした際の、探針−試料間距離(Z0と呼ぶ)におけるQ値(Q0)は試料に探針が接近するに従って低下し、試料にアプローチが完了した際(高さはZE)にQEまで変化する。この際Q値の変化量をΔQとするとΔQは距離変化量(ΔZ=ΔZ0−Z)の関数として成り立つ。一般的にΔQが大きい場合ΔZも大きい傾向がある。この理由は空気抵抗の少ない状態Z0ではほぼ理想的な振動振幅が得られるのに対し、試料−探針間距離が小さいほど空気抵抗が大きくなり、カンチレバーの振幅動作が、阻害され、必然的にQ値は低くなり、その結果Q値に差異が生じ、所望のQ値(=Q0)にセットしたつもりなのに、実際に画像を取得している際にはQ=QEに変化しており、期待されるQ値の効果のQ0/QEしか得られないという現実があった。
【0035】
従来のQコントロールMFMは、形状測定をAM法で行い、リフトモードにより磁気力勾配測定をAM法、またはPM法、FM法で検出していたが、探針−試料間距離が比較的大きい場所でQコントロールした場合に、アプローチ後の距離変化による粘性増加は、実効的Q値の低下をもたらし、せっかく高いQ値を設定しても、アプローチ後には低いQ値になってしまい、感度が向上できないという問題点があった。また、Qコントロールを行う場所により、実効的Q値がばらつくため、磁気力勾配も変動し、データの再現性に問題があった。上記問題点は、大気QコントロールMFMにおいて顕著であるが、広くDEFM測定全般でも、程度の差はあるものの問題であった。
【0036】
上記問題点を回避するためには、できるだけΔZを小さくなるようになるべく試料直近でQ値(=Q0)をセットすればよい。具体的にはΔZ=1μm以下になる様にあらかじめ探針を試料に接近させれば、ΔQは小さくなりQ0/QEで示されるQ値のロス(低下)も抑制可能だが、この領域まで探針をマニュアルで近づけるには、探針を試料に衝突させるなどのリスクがあり、極めて困難である。そこで、本発明は以下の手順で問題を回避する。即ち
1)一度(Q値を制限せずに)試料にアプローチし試料−探針間距離ゼロ(ZE)の点を取得する。
2)この(ZE)の点を基点にΔZだけ探針を上昇させ、その位置でQ値のコントロールを行い、所望のQ値にセットする。
ここでZはカンチレバー振動振幅値の半値(A0/2)より大きくなければ(振幅による衝突が起こるため)ならない。しかしΔZは最小であることが望ましいので、通常ΔZ=(A0/2)+αであり、αを規定するならば2μm以内であることが望ましい。
なお、一般的な振動振幅系では機械共振点での共振周波数F0でDFM動作をさせることが一般的だが、必ずしもF0でなく、倍周波や全く異なる振動周波数を用いても動作させることができる。アプローチ方法は通常のDFMであってもよいし、AFM(静的駆動)であってもよい。また金属試料・導電性探針の総み合わせではSTMでも、熱的相互作用であるSThMでも良く、アプローチ方法は現状のSPMモードのすべてとの組み合わせが可能である。
3)仮アプローチ後、微小距離だけ探針−試料間を離して、再度Qカーブ測定し、再アプローチする。
この手法を採ることによって、測定の再現性を向上されることができると共に、アプローチ後の実効的Q値向上により高感度測定を可能とする。
【0037】
また、従来のQコントロールMFMでは、あるレバー振動振幅でQコントロールを行った場合、何等かの理由(例えば試料の表面状態に合わせるため)で、振動振幅を変更する場合、振動振幅による粘性抵抗の変化で、Q値が変動してしまう問題があった。この問題に対しては、本発明では次のような手法を提示する。すなわち、レバー振動振幅を大きくすると、Q値が減少し、逆にレバー振動振幅を小さくすると、Q値が増加する。ある振動振幅Aoで、QコントロールによりQ=Aoにコントロールした場合のQコントロールのゲインをG=Goとする。任意の振動振幅Aを設定する場合に、Qコントロールのゲインを例えば次の関係式で決まる値G=(A/Ao)・Goに設定して、振動振幅が変化しても、できるだけQ値の変化が少なくすむようにする。この手法を採ることにより、振幅調整におけるQ値変動が少なくなる。特に振幅を小さくする場合、実効的Qが大きくなって、発振するなどの不具合があるが、上記手段によると、そのような問題が低減される。
【0038】
更に、従来のQ コントロールM F M は、高いQ 値設定では、応答性が犠牲になり、特に形状測定の安定が失われてしまう、低いQ 値では、磁気力勾配の高感度測定が犠牲になってしまうという問題点があった。従来のQ コントロールM F M のQ 値に関るこの問題点を解決するために、本発明は、形状測定を低いQ値、磁気力勾配測定を高いQ値で制御する手法を提供する。すなわち、
1 ) Qカーブ測定にて、Q=Q1 にコントロールし、そのときのQコントロールのゲインを G=G1 とする。
2 ) 引き続きQカーブ測定にて、 値を 2( ただし、Q2> Q1 ) にコントロールし、そのときの コントロールのゲインをG=G2 とする。
3 ) G=G1 のパラメータをセットし、Q=Q1 での低Q値による形状測定を行う。
4 ) 次にG=G2 のパラメータをセットし、Q=Q2 での高Q値による磁気力勾配測定を行う。
5 ) 上記3 ) と4 ) をラインごと、またはピクセルごとに繰り返す。
この手法を採ることにより、形状測定を低いQ値で行うことで、応答性が向上し、磁気力勾配測定を高いQ 値で行うことで、磁気力勾配の感度が向上する。
【0039】
従来のQコントロールMFMでは、ある探針−試料間距離でQコントロールを行った場合、何等かの理由(例えば試料交換など)で、探針試料間を引き離す必要がある場合、探針−試料間距離の増加は粘性抵抗を減少させ、実効的Q値が大きくなるが、レバー変位信号から速度検出した信号を取り出し、もとの強制振動信号に帰還する場合に発振を引き起こしやすく、場合によってはレバーの過度の振動が加わり、レバーホルダーとの固定状態が変化し、Qコントロール状態が再現できなくなる等の問題があった。この問題に対して本発明は、Qコントロール状態にあるレバーを引き離す場合は、その距離に応じてQコントロールのゲインを制御する手法を提示する。すなわち、
1)Qコントロール無しで仮アプローチする。
2)ある微小距離だけ探針試料間距離を離す。
3)再度Qカーブ測定の際にQコントロールを行う。
4)再度アプローチして、QコントロールMFM測定を行う。
5)試料交換等の際、探針試料間距離Lを大きくするに従って、QコントロールのゲインGを小さくするように(例えばG∝1/L)制御する。
この手法を採用することにより、発振を防止し、Qコントロール状態を再現しやすくする。
【0040】
以下に本発明の手法によりQ値を最適化することにより、鮮明な顕微鏡像が得られた実証例を示す。図8の上段は大気中でハードディスクの表面をQコントロールをしないでSPMで観察したもの(この際のQ値は400)で、左側はTOPO像、右側は同じ4μm四方の領域の磁気像である。これに対し、下段はQコントロールをしてQ値を2000に上げSPMで観察したもので、左側は上段と同じ4μm四方の領域についてのTOPO像、右側は同じく磁気像である。この比較から明かなように、TOPO像についてはQ値を高くしても画像として大差はないが、磁気像についてはその解像度が高く鮮明な画像が得られている。
【0041】
また、図9に示したものはパーマロイ薄膜を試料としたもので、汎用の高モーメント探針を使用し大気中で観察したMFM像である。パーマロイ薄膜はソフト材であるため、試料面の磁気と探針の磁気の相互作用が高モーメント探針に影響し、探針磁化による検出撹乱を生じ中央の十字線が変形して判別できない。そこで、この試料を低モーメント探針を用いて観察したものを図10に示す。図中AはQ値をコントロールしない低い値(Q=400)での像であり、図中BはQコントロールしてQ=3000とした観察像である。Aの顕微鏡像は中央の十字線が変形していないものの不鮮明であるが、Bの顕微鏡像は中央の十字線が変形も無く鮮明な画像となっている。Q値の適正化により高感度のMFM像が大気状況下で得られたことを証明している。
【0042】
さて、実際に本発明に係る走査型顕微鏡を用いて試料の測定を重ねる過程で、本来のQコントロールが適正に作動しないことがまれに起こり、その現象は特にバネ定数の低い柔らかなカンチレバーを使用した場合に起こりやすいことが判明した。その現象を解析したところ、柔らかなカンチレバーを励振すると基本周波数の他に高次の周波数の振動が重畳されており、その高次の周波数の振動を変位検出手段5が検出し、位相器8で速度成分を取り出し可変ゲイン9を介して加算器にフィードバックしてしまうことが原因であることが分かった。因みにバネ定数が3N/mの市販のナノセンサのシリコンカンチレバーの共振周波数の基本波は30KHz程度であり、その高次の共振周波数は100〜150KHz程度のところにある。その共振状態での振動振幅は基本波成分より大きくなるといった現象がまま起こる。このようなカンチレバーを本発明に用いた場合、位相器8と可変ゲイン9を介して加算器にフィードバックする信号がその高調波に対応したものとなってしまう。
【0043】
この問題を解決するため、本発明者は図11に示すようにフィードバックのループ中に高次の周波数成分を遮蔽するフィルターを設置することに想到した。このフィルタの作用によりたとえ外乱等の理由でカンチレバーに高次の振動が重畳されたとしても、それがフィードバック系を介して共振を起こすことはなく、基本波による共振を状態を保持することができる。図に示した例は加算器とカンチレバーの加振手段間にローパスフィルタまたはバンドパスフィルターを配設し、基本波成分のみが加振手段3に入力されるように構成しているが、可変ゲイン9と加算器間に配設するようにしても誤動作を防止することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は変化する環境条件の中でもカンチレバーの共振付近でのQ値を最適にコントロールすることができるものであって、従来技術では不可能であった、高感度・高分解能測定を実現する。さらに異種の物理量をSPMで取得する際にそれぞれに最適なQ値を含む制御パラメータを設定することによって、個々の最適な条件での測定が可能になり双方の最高感度・分解能測定が可能となる。あわせて、今回発見されたテクニカルな点を自動化することにより、確実なQ制御を可能にし極めて定量性の高い、再現性の良い測定が実現できる。
【0045】
本発明の動的駆動のSPMは、ピエゾ等の振動を機械的な伝達によりカンチレバーを励振させる等通常の駆動方式におけるDMF振幅制御信号に、Qを制御すべく前記カンチレバーの振動検出信号を移相器を介して速度信号とし、該信号を可変ゲイン調整した信号をつくり、該信号を励振信号に重畳させて振動制御することによって、カンチレバーの共振付近でのQを制御できるようにした方式を採用したものであって、変化する環境条件の下で環境変化に応じたQ値の自動調整機能を備えるようにしたので、極めて定量性の高い、再現性の良い測定が実現できた。具体的にはQコントロールのゲインをG=(A/Ao)・Goに設定するものとし、振動振幅が変化してもQ値の変化が少なくすむようにしたり、探針試料間距離Lを大きくするに従って、QコントロールのゲインGをG∝1/Lの関係で小さくするように制御するものとし、発振を防止しQコントロール状態を再現し易くした。また、Q値を制御せずに一度試料にアプローチし試料−探針間距離ゼロ(ZE)の点を取得するステップと、この(ZE)の点を基点にΔZだけ探針を上昇させ、その位置でQ値のコントロールを行い、所望のQ値にセットするステップと、仮アプローチ後、微小距離だけ探針−試料間を離して、再度Qカーブ測定し、再アプローチするステップを踏むことにより、測定の再現性の向上とアプローチ後の実効的Q値の向上により、高感度測定を可能とした。
【0046】
更に本発明の動的駆動のSPMは、カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる通常の動的駆動方式における発振器の出力信号に重畳させる加算器とからなる制御ループに基本振動の高次周波数成分を遮断するフィルタを配設することにより、高次の周波数成分に対応した信号が重畳されることが防止でき安定したQコントロールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基礎となるQコントロール機能を備えたSPMの基本構成を示す図である。
【図2】本発明のQコントロール機能を備えたSPMであって、位相測定を行なうものの基本構成を示す図である。
【図3】本発明のQコントロール機能を備えたSPMであって、周波数測定を行なうものの基本構成を示す図である。
【図4】本発明のQコントロール機能を備えたSPMであって、大気中での周波数測定を可能とするシステムの基本構成である。
【図5】真空中での周波数に対するQ値と位相の特性を示したグラフで、Qコントロールしたものとしないものとを比較した図である。
【図6】大気中での周波数に対するQ値と位相の特性を示したグラフで、Qコントロールしたものとしないものとを比較した図である。
【図7】試料−探針距離に対するQ値の特性と、振幅値に対するQ値の特性を示したグラフである。
【図8】本発明の手法によりQ値を最適化して、鮮明な顕微鏡像が得られたことを示す実証例。
【図9】高モーメント探針を用いてソフト材試料を観察した顕微鏡像。
【図10】低モーメント探針を用いてソフト材試料を観察した顕微鏡像であって、Qコントロールしたものとしないものとを比較した図である。
【図11】本発明に係るSPMの改良型実施例を示す図である。
【図12】カンチレバーまたはプローブの共振周波数ω0 とQ値の関係を説明するグラフである。
【図13】Q値に対応した周波数と振動振幅の特性を説明するグラフである。
【図14】公知のQコントロール機能を備えたSPMの基本構成を示す図である。
【符号の説明】
1 カンチレバー 8 移相器
2 探針 9 可変ゲイン増幅器
3 加振手段 10 位相測定器
4 発振器 11 位相比較器
5 変位検出手段 12 電圧制御発振器(VCO)
6 プリアンプ 13 フィルタ
7 変換器(RMS−DC)
Claims (8)
- カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる通常の動的駆動方式における発振器の出力信号に重畳させる加算器とを備え、前記可変増幅器のゲインを調整することによりカンチレバーの共振値付近でのQを制御するものであって、
環境変化として前記カンチレバーの振動に対する該カンチレバー周辺の相対的な粘性の変化に対して、ある振動振幅A o で、QコントロールによりQ=A o にコントロールした場合のQコントロールのゲインがG=G o であったとき、任意の振動振幅Aを設定する場合に、QコントロールのゲインをG=(A / A o) ・G o に設定することで、振動振幅の変化に伴う前記の相対的な粘性の変化に基づくQ値の変化をより小さくすることで最適値にQを設定する機能を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる通常の動的駆動方式における発振器の出力信号に重畳させる加算器とを備え、前記可変増幅器のゲインを調整することによりカンチレバーの共振値付近でのQを制御するものであって、
環境変化として前記カンチレバーの振動に対する該カンチレバー周辺の相対的な粘性の変化に対して、探針試料間距離Lを大きくするに従って、QコントロールのゲインGを
G∝1 / L の関係で小さくするように制御することで、発振を防止しQコントロール状態を再現し易くすることで最適値にQを設定する機能を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1または2のいずれかに記載の走査型プローブ顕微鏡において、
更に位相測定部を備えるようにし、その入力端子には前記カンチレバーの変位信号と前記発振器の基準振動出力が接続され、該位相測定部によって両信号の位相差が検知され、位相データとして出力されることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1または2のいずれかに記載の走査型プローブ顕微鏡において、
前記カンチレバーを強制振動させる発振器が電圧制御方式であり、前記可変増幅器の出力信号を該発振器の出力信号に重畳させ、前記可変増幅器のゲインを調整することによりカンチレバーの共振値付近でのQ を制御するものであって、
更に位相比較器を備えるようにし、該位相比較器の一方の入力端子へは前記カンチレバーの変位検出信号が入力され、他方の入力端子へは前記電圧制御発振器からの基準振動出力信号を入力するように接続し、該位相比較器は前記二つの入力信号の位相を比較し周波数データに対応した電圧値を出力し、周波数データとして用いられると共に、前記電圧制御発振器の電圧制御信号として入力端子に送られるように接続され、Q 値を高く調整して大気中での原子分解能のあるF M 測定が可能となることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1または2のいずれかに記載の走査型プローブ顕微鏡において、
更に位相比較器と電圧制御発振器を備えるようにし、該位相比較器の一方の入力端子へは前記カンチレバーの変位検出信号が入力され、他方の入力端子へは前記電圧制御発振器からの基準振動出力信号を入力するように接続し、該位相比較器は前記二つの入力信号の位相を比較し周波数データに対応した電圧値を出力し、周波数データとして用いられると共に、前記電圧制御発振器の電圧制御信号として入力端子に送られるように接続され、この電圧制御発振器の出力信号は周波数測定モードにおいてはカンチレバーの強制振動駆動源として前記発振器に代えて用いられることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の走査型プローブ顕微鏡において、
カンチレバーの振動検出信号から速度を取り出す手段と、該信号を更にゲイン調整する可変増幅器と、該可変増幅器の出力信号を圧電手段等によりカンチレバーを強制振動させる発振器の出力信号に重畳させる加算器とからなる制御ループに基本振動の高次周波数成分を遮断するフィルタを配設したことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1または2のいずれかに記載の走査型プローブ顕微鏡において、
Q値を制御せずに一度試料にアプローチし探針 − 試料間距離ゼロの点 ZE を取得するステップと、この ZE の点を基点にΔZだけ探針を上昇させ、その位置でQ値のコントロールを行い、所望のQ値にセットするステップと、仮アプローチ後、微小距離だけ探針 − 試料間を離して、再度Qカーブ測定し、再アプローチするステップを踏むことにより、測定の再現性の向上とアプローチ後の実効的Q値の向上により、高感度測定を可能としたこと、を特徴とする走査型プローブ顕微鏡の操作法。 - 請求項1または2のいずれかに記載の走査型プローブ顕微鏡において、
Qカーブ測定にて、Q= Q1にコントロールし、そのときの Qコントロールのゲイン G = G1 とするステップ1 と、
引き続きQカーブ測定にて、Q値を Q2 > Q1 の関係を保持しつつ Q2 にコントロールし、そのときの Qコントロールのゲインを G = G 2 とするステップ2 と、
前記 G = G 1 のパラメータをセットし、Q = Q 1 での低Q値による形状測定を行うステップ3と、
次に前記 G = G 2 のパラメータをセットし、Q = Q 2 での高 Q値による磁気力勾配測定を行うステップ4と、
上記ステップ3とステップ4をラインごと、またはピクセルごとに繰り返すことにより、形状測定を低い Q値で行うことで、応答性を向上し、磁気力勾配測定を高い Q値で行うことで磁気力勾配の感度を向上すること、
を特徴とする走査型プローブ顕微鏡の操作法。
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