JP4180669B2 - 輸液用器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液に用いられる輸液用器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
患者に対し輸液を行う際には、輸液が収納された輸液バッグのような輸液容器と、患者の血管に穿刺し、留置する中空針と、前記輸液バッグと前記中空針とを接続する輸液ラインとが用いられる。中空針には、安全確保および中空針の汚染防止のために、筒状のプロテクタが被せられている。
【0003】
輸液容器と輸液ラインとの接続は、例えば、輸液ラインの一端に設けられた針管を輸液容器に穿刺してその流路を連通させることによりなされる。このような操作は、通常、患者のベットサイドで行われるが、例えば、輸液治療を大規模に(大量に)行う場合等には、この操作は、病室へ運ぶ前に事前にナースステーション等で行っておくこともある。
【0004】
ところで、患者に対し輸液を行うに際しては、輸液ラインおよび中空針に輸液によるプライミング(輸液の供給流路を輸液で満たす操作)を行う。このプライミングは、輸液ラインが輸液容器に導通している状態で、輸液ラインを構成する軟質のチューブの途中をクランプにより閉塞する。輸液ラインと容器の導通とクランプによる閉塞は逆の手順に行われることもある。次いで、場合によっては中空針からプロテクタを取り外した後、前記クランプによるチューブの閉塞を解除して、落差により輸液容器内の輸液を輸液ラインを介して移送し、中空針の先端から輸液が流出したら、前記クランプにより前記チューブを再び閉塞することにより行われる。
【0005】
しかしながら、このプライミングに関しては、従来、次のような欠点があった。
まず第1に、プライミング操作では、前述したように、中空針からプロテクタを一旦取り外す場合があるので、中空針が外気に触れ、中空針や輸液ラインの無菌性が損なわれる危険性がある。
【0006】
第2に、中空針の先端から輸液が流出するので、その流出した輸液が周囲に飛散し、汚染を生じる。特に先端が開口しているプロテクタの場合、著しい汚染が懸念される。
【0007】
第3に、プライミング操作が煩雑であり、その負担が大きい。すなわち、操作者は、落差によるチューブ内での輸液の移動を目で追い、薬液の先端(空気との境界)が中空針に接近したことおよび中空針の先端から流出したことを確認したら、直ちにクランプを操作してチューブを閉塞させるという作業を行う必要がある。さらに、前記第1の欠点で述べたような中空針の外気との接触による細菌汚染やプライミング操作から患者の血管に穿刺するまでの間の安全性を確保するために、プライミング後、取り外したプロテクタを再度中空針に装着するという操作が必要となる。この操作には、中空針の針先でプロテクタを把持した側の手を刺す危険性があるため、慎重を要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プライミング等の操作性に優れる輸液用器具を提供することにある。また、本発明の他の目的は、衛生的で、安全性が高く、特に、無菌性を保持し得る輸液用器具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0010】
(1) 先端側に鋭利な針先を有する中空針と、前記中空針の基端側に接続された輸液供給ラインと、前記中空針の少なくとも前記針先を被包する筒状のプロテクタとを有する輸液用器具であって、
前記プロテクタに、平均孔径が0.1〜10μmの多孔質材で構成され、気体は透過するが液体は不透過なフィルタ部材が設置されており、
前記針先を被包するよう前記プロテクタを前記中空針に装着した状態で、前記輸液供給ラインより輸液を供給し、該輸液を前記中空針内に導入して前記針先の開口より流出させ、これに伴い前記プロテクタ内の空気を前記フィルタ部材を透過させて外部に排出し、前記プロテクタの内部空間が輸液で満たされた時点で、前記フィルタ部材の液体が不透過な性質により前記輸液の供給が自動的に停止するよう構成されていることを特徴とする輸液用器具。
【0011】
(2) 前記フィルタ部材は、前記プロテクタの先端部に設置されている上記(1)に記載の輸液用器具。
【0012】
(3) 前記フィルタ部材は、菌不透過性を有している上記(1)または(2)に記載の輸液用器具。
【0013】
(4) 前記フィルタ部材は、菌不透過性を有しており、前記輸液供給ラインの途中または基端部が封止されており、これにより、前記プロテクタの内部および前記輸液供給ラインの流路が無菌状態に保持されている上記(1)または(2)に記載の輸液用器具。
【0014】
(5) 前記フィルタ部材は、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース混合エステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスルホンおよび高吸水性高分子材料等の水膨潤剤を含む多孔質焼結体よりなる群から選択された少なくとも1種の材料で構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の輸液用器具。
【0015】
(6) 前記プロテクタの先端部に拡径部が形成され、前記フィルタ部材は、前記拡径部の内部に設置されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の輸液用器具。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の輸液用器具を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の輸液用器具の実施例を示す全体外観図、図2は、図1に示す輸液用器具におけるプロテクタの構造を示す縦断面図である。なお、図2中の下側を「基端」、上側を「先端」として説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の輸液用器具1Aは、中空針2と、中空針2の基端部を支持するハブ3と、中空針2のハブ3より先端側に突出した部分を被包する筒状のプロテクタ4と、ハブ3の基端側に接続されたタコ管6と、分岐コネクタ8と、タコ管6と分岐コネクタ8とを接続するゴム管7と、ドリップチャンバ11と、分岐コネクタ8とドリップチャンバ11の流出口とを接続するチューブ9と、チューブ9の途中に設置されたクランプ10と、ドリップチャンバ11の流入側に形成された針管12とで構成されている。
【0019】
これらのうち、タコ管6と、ゴム管7と、分岐コネクタ8と、チューブ9と、クランプ10と、ドリップチャンバ11と、針管12とで、中空針2に輸液を供給する輸液供給ラインが構成される。
【0020】
中空針2は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金のような各種金属材料で構成され、その先端に鋭利な針先21を有している。中空針2の基端側は、図示しない接着剤(例えば、エポキシ樹脂)によりハブ3に固着されている。
【0021】
タコ管6は、輸液中に含まれる気泡を浮上させて除去する機能を有する。
分岐コネクタ8の分岐端は、各種ゴムのような弾性材料よりなる栓体81により封止されている。この栓体81に図示しないシリンジの針管を刺通して、薬液を注入したり、サンプリングしたりすることができる。
【0022】
チューブ9は、例えば軟質ポリ塩化ビニルのような材料で構成され、可撓性、柔軟性を有している。ゴム管7は、例えば天然ゴム、イソプレンゴム等の合成ゴムからなる。
【0023】
図示のクランプ10は、ローラクランプであり、ケーシング101に形成された溝102に沿ってローラ103を移動することにより、ローラ103がチューブ9を圧閉して閉塞し、また、該閉塞を解除することができる。
【0024】
ドリップチャンバ11は、輸液を滴下させ、輸液中の気泡を除去するとともに、輸液の供給速度を一定に保持する機能を有する。
【0025】
針管12は、輸液を貯留する輸液容器(図示せず)に刺通して使用される。輸液容器としては、可撓性を有する輸液バッグや、硬質の容器(瓶)の開口をゴム栓等で封止したものが挙げられる。
【0026】
針管12の構成材料としては、前述した各種金属材料、またはポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の硬質樹脂が挙げられる。
なお、輸液用器具1Aの未使用時には、針管12には、これを被包するキャップ(封止部材)が装着されているのが好ましい。
【0027】
図2に示すように、プロテクタ4は、筒状の部材であり、その基端部は、ハブ3に対し好ましくは気密的または液密的に嵌入されて装着される。このプロテクタ4は、ハブ3に装着された状態では、中空針2を非接触で被包する。なお、プロテクタ4の基端部は、ハブ3に対し、軽度(容易に分離可能な程度)に接着または融着されていてもよい。
【0028】
プロテクタ4の先端開口41には、フィルタ部材5が嵌め込まれている。このフィルタ部材5は、気体は透過するが液体は不透過な撥水性フィルタで構成されている。なお、フィルタ部材5は、その外周部を先端開口41の内面に対し接着剤により接着固定されていてもよい。
【0029】
このようなフィルタ部材5は、例えば、織布、不織布、多孔質フィルム、焼結体等の多孔質材またはこれらのうちの2以上を任意に組み合わせたもので構成されており、その素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース混合エステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスルホン、高吸水性高分子材料等の水膨潤剤を含む多孔質焼結体よりなる群から選択された少なくとも1種の材料が挙げられる。このフィルタ部材5は、同一または異なる素材の層を複数積層した積層体で構成されていてもよい。
【0030】
また、フィルタ部材5は、所望の撥水性を得るために、例えば、フッ素樹脂のような撥水処理が全部または一部に施されたものであってもよい。
【0031】
また、このようなフィルタ部材5は、菌不透過性を有しているものであるのが好ましい。これにより、プロテクタ4の内部および輸液供給ラインの流路を無菌状態に保持することができる。
【0032】
フィルタ部材5に菌不透過性を与える方法としては、フィルタ部材5がメンブランタイプフィルターの場合には、平均空孔径を所望に設定することが挙げられる。すなわち、フィルタ部材5の平均空孔径を0.1〜10μm 程度とするのが好ましく、0.2〜1μm 程度とするのがより好ましく、0.2〜0.45μm 程度とするのがさらに好ましい。フィルタ部材5の平均空孔径が10μm を超えると、細菌の種類によっては透過するものもあり、また、0.1μm 未満であると、通気性が低下する。さらに、除菌性を有するものであればデプスタイプフィルターでも使用可能である。
【0033】
ハブ3およびプロテクタ4の構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等が挙げられる。
【0034】
また、プロテクタ4は、内部の視認性を確保するために、透明または半透明であるのが好ましい。
【0035】
また、フィルタ部材5がプロテクタ4の先端部に設置されているので、プロテテクタ4を取り外す操作の際、フィルタ部材5がダメージを受けにくく、また、フィルタ部材5の設置が容易である、という利点がある。
【0036】
なお、フィルタ部材5の設置位置は、図示の位置に限らず、例えば、プロテクタ4の先端部側面に設置されていてもよく、あるいは、プロテクタ4の先端部以外の箇所に設置されていてもよい。また、1つのプロテクタ4に対し、複数のフィルタ部材5が設置されていてもよい。
【0037】
以上のような輸液用器具1Aは、未使用時には、菌不透過性を有する包材(図示せず)に収納され、滅菌処理が施されていることにより、少なくとも輸液用器具1Aの内部、すなわち、プロテクタ4の内部(中空針2の内部および外部)および輸液供給ラインの流路の無菌性が確保されている。
【0038】
また、フィルタ部材5が菌不透過性を有する場合には、輸液供給ラインの途中または基端部を封止しておくことにより、輸液用器具1Aを前記包材に収納しなくても、あるいは、菌不透過性を有さないような簡易な包材を使用しても、プロテクタ4の内部および輸液供給ラインの流路の無菌性を保持することができる。
【0039】
次に、輸液用器具1Aの使用方法(作用)の一例について説明する。
[1−A] 図1に示すように、プロテクタ4をハブ3に装着し、中空針2を被包した状態で、針管12を輸液剤(例えば薬液、生理食塩水等)が貯留された輸液容器(図示せず)に刺通し、接続する。このとき、クランプ10によりチューブ9の途中を閉塞(圧閉)しておく。
【0040】
[2−A] 次に、輸液供給ラインおよび中空針2に対し輸液によるプライミングを行う。このプライミングは、輸液容器をハンガー等により懸吊して高所へ置き、クランプ10のローラ103を操作してチューブ9の圧閉を解除することによりなされる。
【0041】
チューブ9の圧閉が解除されると、輸液容器内の輸液は、落差により針管12を介して流下し、ドリップチャンバ11にて滴下され、さらにチューブ19内、分岐コネクタ8、ゴム管7、タコ管6、ハブ3内を順次経て、中空針2内に導入される。輸液の一部は、中空針2の針先21の開口(先端開口)より流出する。
これにより、輸液供給ラインおよび中空針2のプライミングが完了する。
【0042】
[3−A] 従来では、輸液供給ラインにおける輸液の流れを目で追い、中空針2の先端開口から輸液が流出しことを確認したら、直ちにクランプ10を閉じて輸液の供給を停止する必要があったが、本発明においては、このような煩雑な操作は不要である。
【0043】
本発明の輸液用器具1Aでは、中空針2の先端開口から流出した輸液は、プロテクタ4の内部空間40を満たして行く。このとき、プロテクタ4内の空気は、フィルタ部材5を透過してプロテクタ4外へ排出される。プロテクタ4の内部空間40が全て輸液により満たされると、フィルタ部材5は、輸液を透過しない性質を有するため、その時点で輸液の供給が自動的に停止する。その後、適当な時期に、クランプ10を操作して、チューブ9を再び閉塞する。
【0044】
このように、輸液用器具1Aでは、プロテクタ4をハブ3に装着したままでプライミングを行うことができるので、その操作が簡単であるとともに、プライミング時に細菌汚染を生じる確率が低く、また、プロテクタ4の着脱に伴う手指等の誤穿刺の危険性もないので、患者および操作者に対する安全性が極めて高い。
【0045】
[4−A] プロテクタ4をハブ3から取り外し、露出した中空針2により、患者の血管(静脈または動脈)を確保する。プロテクタ4をハブ3から取り外すまで、プロテクタ4の内部(中空針2の内部および外部)および輸液供給ラインの流路の無菌性は維持されている。
【0046】
なお、プロテクタ4を取り外す際には、プロテクタ4の基端開口42を鉛直上方へ向けてこれを行うことにより、プロテクタ4内の輸液が溢れ出て、周囲を汚染することはない。
【0047】
[5−A] タコ管6付近を粘着テープで貼着することにより患者の皮膚に固定するとともに、ローラクランプ10を操作して、チューブ9の圧閉を解除しかつ所定の開度に調整し、所定の速度で輸液を供給する。これにより、患者に対し輸液の投与がなされる。
【0048】
図3は、本発明の輸液用器具の他の実施例を示す全体外観図、図4は、図3に示す輸液用器具におけるプロテクタの構造を示す縦断面図である。なお、図3中の右側および図4中の下側を「基端」、図3中の左側および図4中の上側を「先端」として説明する。また、輸液用器具1Aと同様の事項については、その説明を省略する。
【0049】
図3に示す輸液用器具1Bは、いわゆる翼付針を備えた輸液用器具であり、中空針13と、中空針13の基端部を支持するハブ14と、中空針13のハブ14より先端側に突出した部分を被包する筒状のプロテクタ16と、ハブ14に好ましくは一体形成された一対の翼15a、15bと、ハブ14の基端部に接続された可撓性を有するチューブ18と、チューブ18の基端部に装着されたコネクタ19とで構成されている。
【0050】
ハブ14の先端部には、中空針13を被包するようにプロテクタ16が装着されている。このプロテクタ16の先端部には、拡径部161が形成され、該拡径部161の内部には、前記フィルタ部材5と同様のフィルタ部材17が嵌合されている。なお、フィルタ部材17は、拡径部161の内面に対し、接着剤により接着固定されていてもよい。
【0051】
また、このフィルタ部材17も、菌不透過性を有するものであるのが好ましい。
ハブ14の基端側の両側部には、好ましくはハブ14と一体形成された一対の翼15a、15bが設けられている。
【0052】
この翼15a、15bは、可撓性を有し、翼15a、15bのハブ14に対する接合部付近が屈曲または湾曲することにより、開閉可能に構成されている。中空針13を生体に対し穿刺する際には、翼15a、15bを指で摘んで閉じた状態とし、穿刺の操作を行う。また、中空針13を留置する際には、翼15a、15bを開いた状態(図3に示す状態)とし、翼15a、15bを粘着テープ等で貼着して皮膚に固定する。
【0053】
チューブ18は、例えば軟質ポリ塩化ビニルのような材料で構成され、可撓性、柔軟性を有している。
【0054】
コネクタ19は、例えば、シリンジ、シリンジポンプ、輸液セット等の輸液(薬液)注入器具や前述したような輸液容器に接続可能な接続部材であり、その基端開口191は、気体不透過性または菌不透過性のフィルム(封止部材)20により気密的に封止されている。
【0055】
フィルム20は、一旦剥離、除去すると、再び貼着できないように構成され、これにより、輸液用器具1Bが使用済であるか否かを把握することができる。すなわち、タンパープルーフ性を有するものである。
【0056】
フィルム20の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、EVA、アイオノマーよりなる群から選択された少なくとも1種が挙げられる。
【0057】
また、フィルム20に変わる他の封止部材として、例えば、基端開口191に気密的に嵌入する弾性材料よりなる栓体を用いることもできる(キャップも可)。
【0058】
次に、輸液用器具1Bの使用方法(作用)の一例について説明する。
[1−B] 図3に示すように、プロテクタ16をハブ14に装着し、中空針13を被包した状態で、コネクタ19の基端からフィルム20を剥し、基端開口191に輸液注入器具を接続する。
【0059】
[2−B] 次に、輸液注入器具を操作して輸液を供給し、輸液供給ラインおよび中空針2に対し輸液によるプライミングを行う。輸液は、コネクタ19、チューブ18、ハブ14内を順次経て、中空針13内に導入される。輸液の一部は、中空針13の針先131の開口(先端開口)より流出する。
これにより、輸液供給ラインおよび中空針13のプライミングが完了する。
【0060】
[3−B] 中空針13の先端開口から流出した輸液は、プロテクタ16の内部空間160を満たして行く。このとき、プロテクタ16内の空気は、フィルタ部材17を透過してプロテクタ16外へ排出される。プロテクタ16の内部空間160が全て輸液により満たされると、フィルタ部材17は、輸液を透過しない性質を有するため、その時点で輸液の供給が自動的に停止される。
【0061】
このように、輸液用器具1Bでは、プロテクタ16をハブ14に装着したままでプライミングを行うことができるので、その操作が簡単であるとともに、プライミング時に細菌汚染を生じる確率が低く、また、プロテクタ16の着脱に伴う手指等の誤穿刺の危険性もないので、患者および操作者に対する安全性が極めて高い。
【0062】
[4−B] プロテクタ16をハブ14から取り外し、露出した中空針13により、患者の血管(静脈または動脈)を確保する。プロテクタ16をハブ14から取り外すまで、プロテクタ16の内部(中空針13の内部および外部)および輸液供給ラインの流路の無菌性は維持されている。
【0063】
中空針13を患者の血管に穿刺する際には、翼15a、15bを指で摘んで閉じ、この翼15a、15bを把持して穿刺操作を行う。
【0064】
なお、プロテクタ16を取り外す際には、プロテクタ16の基端開口を鉛直上方へ向けてこれを行うことにより、プロテクタ16内の輸液が溢れ出て、周囲を汚染することはない。
【0065】
[5−B] 翼15a、15bを開き、粘着テープ等により皮膚に固定するとともに、輸液注入器具を操作して輸液を所定速度で供給する。これにより、患者に対し輸液の投与がなされる。
【0066】
以上、本発明の輸液用器具を図示の実施例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、輸液用器具を構成する各部材は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のもと置換することができる。特に、輸液供給ラインの構成は、輸液を供給し得るものであれば、いかなる構成のものでもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の輸液用器具によれば、プロテクタを装着したままでプライミングを行うことができるので、その操作が簡単かつ短時間で行えるとともに、プライミング時に細菌汚染を生じる確率が低く、また、プロテクタの着脱に伴う手指等の誤穿刺の危険性もないので、患者および操作者に対する安全性が極めて高い。
【0068】
また、フィルタ部材の液不透過性により、プロテクタ内に輸液が満たされると輸液の供給が自動的に停止されるので、この点でも操作性に優れている。しかも、プライミングの際にフィルタ部材からの液漏れが生じず、輸液が周囲に飛散して汚染を生じることもない。
【0069】
また、フィルタ部材が菌不透過性を有する場合には、輸液用器具全体を菌不透過性を有する包材に収納しなくても、あるいは、菌不透過性を有さないような簡易な包材を使用しても、プロテクタの内部および輸液供給ラインの流路の無菌性を保持することができる。これにより、包材のコストが低減され、包材の廃棄量が低減され、包材開封の手間がなく、保管スペースの省スペース化が図れる。
【0070】
以上のことから、特に、複数の患者に対し輸液を行う場合の大量の調剤作業において、これを安全に効率よく行うことができ、有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸液用器具の実施例を示す全体外観図である。
【図2】図1に示す輸液用器具におけるプロテクタの構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明の輸液用器具の他の実施例を示す全体外観図である。
【図4】図3に示す輸液用器具におけるプロテクタの構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1A、1B 輸液用器具
2 中空針
21 針先
3 ハブ
4 プロテクタ
41 先端開口
42 基端開口
5 フィルタ部材
6 タコ管
7 ゴム管
8 分岐コネクタ
81 栓体
9 チューブ
10 クランプ
101 ケーシング
102 溝
103 ローラ
11 ドリップチャンバ
12 針管
13 中空針
131 針先
14 ハブ
15a、15b 翼
16 プロテクタ
161 拡径部
17 フィルタ部材
18 チューブ
19 コネクタ
191 基端開口
20 フィルム
Claims (6)
- 先端側に鋭利な針先を有する中空針と、前記中空針の基端側に接続された輸液供給ラインと、前記中空針の少なくとも前記針先を被包する筒状のプロテクタとを有する輸液用器具であって、
前記プロテクタに、平均孔径が0.1〜10μmの多孔質材で構成され、気体は透過するが液体は不透過なフィルタ部材が設置されており、
前記針先を被包するよう前記プロテクタを前記中空針に装着した状態で、前記輸液供給ラインより輸液を供給し、該輸液を前記中空針内に導入して前記針先の開口より流出させ、これに伴い前記プロテクタ内の空気を前記フィルタ部材を透過させて外部に排出し、前記プロテクタの内部空間が輸液で満たされた時点で、前記フィルタ部材の液体が不透過な性質により前記輸液の供給が自動的に停止するよう構成されていることを特徴とする輸液用器具。 - 前記フィルタ部材は、前記プロテクタの先端部に設置されている請求項1に記載の輸液用器具。
- 前記フィルタ部材は、菌不透過性を有している請求項1または2に記載の輸液用器具。
- 前記フィルタ部材は、菌不透過性を有しており、前記輸液供給ラインの途中または基端部が封止されており、これにより、前記プロテクタの内部および前記輸液供給ラインの流路が無菌状態に保持されている請求項1または2に記載の輸液用器具。
- 前記フィルタ部材は、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース混合エステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスルホンおよび高吸水性高分子材料等の水膨潤剤を含む多孔質焼結体よりなる群から選択された少なくとも1種の材料で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の輸液用器具。
- 前記プロテクタの先端部に拡径部が形成され、前記フィルタ部材は、前記拡径部の内部に設置されている請求項1ないし5のいずれかに記載の輸液用器具。
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