JP4175017B2 - セメントクリンカーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート建造物等の解体に伴って生じるコンクリート廃材から骨材を再生する際に生じる副産微粉をセメント原料として利用したセメントクリンカーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、資源のリサイクルの観点から、解体に伴って廃棄されるコンクリートからセメントや骨材を再生することが行われている。骨材を再生するために、通常、コンクリート廃材を所定の大きさのコンクリート塊に破砕した後、このコンクリート塊を回転式のチューブミルに供給してすりもみ処理を行う。このすりもみ処理により、各コンクリート塊が破砕、摩砕されることから、セメントペーストが取り除かれた粗骨材や細骨材の骨材を得ることができる。また、同時に、セメントペーストが粉砕されたものや骨材の一部が削り取られたものが副産微粉として回収されることになる。
【0003】
上記再生骨材は、構造用コンクリートの優良な骨材として再利用することができる。
一方、副産微粉については、土壌改良材等に利用されているものの、さらなる用途の開発が望まれていた。
【0004】
そこで、本発明者等は、副産微粉の用途について、鋭意研究を重ねたところ、セメントクリンカーの製造のために有効に利用することができるという知見を得た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、コンクリート廃材から骨材を回収する際に生じた副産微粉を有効に利用することのできるセメントクリンカーの製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、100〜500℃に加熱処理後のコンクリート塊から骨材を回収する際に生じる副産微粉を分級し、粒径が90μm以下の副産微粉を、ロータリーキルンからの排ガスを利用してセメント原料を予熱するプレヒータまたはセメント原料を焼成するロータリーキルンの窯尻側に導入し、粒径が90μm超の副産微粉を、セメント原料を粉砕する粉砕機にセメント原料の一部として導入して、上記ロータリーキルンで焼成することを特徴としている。
【0009】
上記のように構成された請求項1に記載の発明においては、副産微粉が最終的にはセメント原料の一部としてロータリーキルンに導入されて、セメントクリンカーに焼成されることになる。すなわち、副産微粉には、石灰質原料としての生石灰(CaO)および珪酸質原料としての二酸化珪素(SiO2)が多く含まれていることから、これらの反応によって珪酸三石灰(3CaO・SiO2)や珪酸二石灰(2CaO・SiO2)を確実に生成することができる。
したがって、コンクリート廃材から骨材を回収する際に生じた副産微粉をセメント原料として有効に利用することができる。
【0010】
また、石灰質原料として、炭酸カルシウム(CaCO3 )以外の生石灰や消石灰(Ca(OH)2 )が多く含まれていることから、脱炭酸による二酸化炭素(CO2 )の排出を抑えることができる。しかも、脱炭酸に必要な熱量が不要であることから、燃料を燃焼させる際に生じる二酸化炭素の排出も抑えることができる。しかも、燃料の消費量を低減することができることから、最終的にはセメント製造のためのコストの低減を図ることができる。また、通常、粘土から多く供給されるSiO2 やAl2 O3 が微粉に多く含まれているので、粘土の使用量が減る結果、粘土鉱物の脱水に要する熱量が低減される。したがって、この点もコストの低減に寄与する。さらに、微粉は90μm以上のものが20%以下であって十分に微細なものとなっており、原料粉砕工程を経ず、プレヒータに直接導入しても他の原料とよく反応するため、通常のセメント原料のような粉砕を行う必要がない。したがって、この点からもセメント製造コストの低減を図ることができる。
【0013】
また、90μm超の副産微粉を粉砕機で粉砕してから、プレヒータに供給し、90μm以下の副産微粉をプレヒータまたはロータリーキルンの窯尻側に導入しているので、結局、ロータリーキルンには、例えば90μm以下の微細に粉砕された副産微粉を供給することができる。したがって、ロータリーキルンにおいて、効率よくセメントクリンカーを製造することができる。また、90μm超の副産微粉は粉砕機に投入される前の段階で、すでに相当に細かく粉砕されているので、通常のセメント原料を粉砕する場合に比較して、その粉砕に要するエネルギの低減を図ることができる。したがって、セメント製造コストの低減を図ることができる。そして、この方法は、原料の粒度がより小さなものでないと焼成が困難な早強セメントクリンカーや低熱セメントクリンカーの焼成時に特に有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態としてのセメントクリンカーの製造方法を説明する。
図1は、セメントクリンカーの製造方法を実施するためのセメント製造設備の概略構成図であり、図2は、コンクリート廃材から骨材を回収するための骨材再生設備を示す図であり、図3は、骨材再生設備で発生した副産微粉を分級する微粉分級処理設備を示す図である。
【0016】
図2図において、1はコンクリート塊Aを加熱するための充填型加熱炉である。この充填型加熱炉1は、円筒炉壁1aの上部に連続的に供給されるコンクリート塊Aを一定の温度で所定時間加熱した後、円筒炉壁1aの下部からテーブルフィーダ(図示せず)を介して連続的に排出するようになっている。加熱は、灯油等を燃焼させることによって生じた熱風を円筒炉壁1aの下方位置の周囲および中央から供給し、円筒炉壁1a内を上昇させることにより行うようになっている。
【0017】
上記コンクリート塊Aは、コンクリート建造物の解体に伴って生じたコンクリート廃材を破砕機によって20〜40mmに破砕したものである。この破砕機としては、例えば固定歯と可動歯との間にコンクリート廃材を挟んで破砕するジョークラッシャや、高速で回転するハンマーの衝撃力を利用してコンクリート廃材を破砕するハンマークラッシャや、コンクリート廃材を遠心力によって高速で飛散させることにより、すでに周囲に存在するコンクリート塊Aに衝突させ、その際の衝撃力で破砕する遠心破砕機等の乾式のものが用いられる。
【0018】
また、コンクリート塊Aは、最大寸法で5mm未満のものを篩で排除したものを充填型加熱炉1に投入することが好ましい。すなわち、このように5mm未満のコンクリート塊Aを排除することによって、充填型加熱炉1における垂直方向の上方への熱風の通りが良くなり、コンクリート塊Aが均一の温度に加熱されることになる。コンクリート塊Aの加熱温度としては、100〜500℃、好ましくは300〜350℃に設定することが後述する粗骨材ミル2や細骨材ミル3におけるすりもみ処理で、骨材からセメントペーストを効率よく取り除く上で好ましい。なお、この実施の形態では300〜350℃に設定している。
【0019】
そして、上記のように100〜500℃に設定したのは、100℃未満では、コンクリート塊A中のセメントペーストを脆弱化する上で効果が薄いとともに、セメントペースト等の脱水に多くの時間がかかるからである。また、500℃超の温度ではコンクリート塊中の粗骨材や細骨材に変質や劣化が生じるおそれがあるからである。そして、この点を考慮すると、実際に加熱する温度は、300〜350℃が好ましい。
【0020】
充填型加熱炉1で加熱処理を受けた後のコンクリート塊Aは、粗骨材ミル2および細骨材ミル3に順次送られてすりもみ処理がなされるようになっている。
【0021】
粗骨材ミル2は、二重ドラム型のもので構成されており、外ドラム21と、この外ドラム21の内側に同軸状に設けられた内ドラム22と、この内ドラム22内に投入された複数のすりもみ媒体23とを備えている。
【0022】
外ドラム21および内ドラム22は、ともに円筒状の外周壁を有し、その軸線が供給口22a側から搬出口22b、21a側に向かって斜め下方に傾けられた状態で、その軸線回りに回転駆動されるようになっている。内ドラム22には複数の貫通孔が形成されているとともに、その外周に網目サイズが4.5mm程度の網部22cが巻き付けられている。網部22cは、内ドラム22内ですりもみ処理によって生じた4.5mm以下のモルタルCを篩い分けて外ドラム21側に移動させるようになっている。すりもみ媒体23は、耐磨耗性を有する鋼球によって構成されたものであり、コンクリート塊Aに対する破砕、摩砕によって、粗骨材BからモルタルCを分離するようになっている。
【0023】
また、上記供給口22aは、粗骨材ミル2の軸線方向の一端における内ドラム22の内側に位置しており、搬出口22bは、粗骨材ミル2の軸線方向の他端における内ドラム22の内側に位置しており、もう一つの搬出口21aは、粗骨材ミル2の軸線方向の他端における内ドラム22と外ドラム21との間に位置している。このため、充填型加熱炉1から供給されたコンクリート塊Aは、供給口22aから内ドラム22内に入り、同内ドラム22内ですりもみ処理されて粗骨材Bとなったものは搬出口22bから搬出されて細骨材ミル3に供給され、すりもみ処理時に内ドラム22から網部22cを介して外ドラム21側に流出したモルタルCは搬出口21aから搬出されて細骨材ミル3に供給されるようになっている。
【0024】
細骨材ミル3は、円筒状の外周壁を有し、その軸線が供給口3a側から搬出口3b側に向けて斜め下方に傾けられた状態で、その軸線回りに回転駆動されるようになっている。この細骨材ミル3は、粗骨材ミル2で分別されたモルタルCを、粗骨材Bをすりもみ媒体として利用するようになっている。このすりもみ処理により、モルタルCにおける細骨材Dからセメントペーストが破砕、摩砕により分離されることになる。
【0025】
細骨材ミル3において製造された細骨材Dおよび粗骨材Bは、骨材分級設備4に送られ、細骨材Dと粗骨材Bとに分級されるようになっている。骨材分級設備4は、篩目が5mmの振動篩41を備えており、振動篩41を通過した骨材を細骨材Dとして回収し、振動篩41を通過せず篩い上となった骨材を粗骨材Bとして回収するようになっている。
【0026】
一方、細骨材ミル3で細骨材Dが製造されることに伴って、副産微粉が生じることになる。この副産微粉は、細骨材ミル3内を供給口3aから搬出口3bに流れ、微粉分級処理設備5に吸引される空気の流れによって、回収されるようになっている。また、粗骨材ミル2、骨材分級設備4において発生した副産微粉についても、微粉分級処理設備5に吸引される空気の流れによって、回収されるようになっている。また、上述した空気の流れは、粒径が150μm以下の副産微粉を移送することが可能な速さに設定されている。
【0027】
微粉分級処理設備5は、図3に示すように、第1の分級器51と、第2の分級器52と、バグフィルタ53とを備えたもので構成されている。第1の分級器51は、空気の流れによって運ばれてきた150μm以下の副産微粉のうち、90μm超の副産微粉の通過を阻止し、90μm以下の副産微粉の通過を許容するものである。この第1の分級器51で捕らえた90μm超で150μm以下の副産微粉は、粗の副産微粉Eとしてタンク51aに貯蔵するようになっている。なお、粗の副産微粉Eは、細骨材Dの粒度調整に利用し、余ったものをタンク51aに貯蔵するようにしてもよい。
【0028】
第2の分級器52は、第1の分級器51を通過した90μm以下の副産微粉のうち、30μm超の副産微粉の通過を阻止し、30μm以下の副産微粉の通過を許容するものである。この第2の分級器52で捕らえられた30μm超で90μm以下の副産微粉は、細の副産微粉Fとしてタンク52aに貯蔵するようになっている。
【0029】
バグフィルタ53は、第2の分級器52を通過した30μm以下の副産微粉を回収するフィルタを備えたもので構成されている。このバグフィルタ53で捕らえられた30μm以下の副産微粉は、微細の副産微粉Gとしてタンク53aに貯蔵するようになっている。また、図4は、150μm以下の全副産微粉について、粒径と累積頻度との関係について実測した結果を示している。この図から、粒径が30μm以下の副産微粉は、全副産微粉の約60重量%に達し、粒径が90μm以下の副産微粉は、全副産微粉の約80重量%に達していることがわかる。
【0030】
また、150μm以下の副産微粉について化学分析と熱分析の結果に基づき成分組成を求めたものを表1および表2に示す。表1から、副産微粉全体では、セメント水和物の成分と骨材の成分とがそれぞれ50重量%の割合で存在していることがわかる。さらに、表2から、30μm超で150μm以下の副産微粉では、SiO2 (酸化珪素)成分が56.5重量%と多いことから骨材の成分が多く含まれていることがわかるとともに、CaO成分が17.6重量%と少ないことからセメント水和物の成分が少ないことがわかる。これに対して、30μm以下の副産微粉では、SiO2 成分が40.4重量%と少なくなっていることから骨材の成分が少なくなっていることがわかるとともに、CaO成分が32.6重量%と多くなっていることからセメント水和物の成分が多くなっていることがわかる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
また、上述したタンク52aに蓄えられた細の副産微粉Fおよびタンク53aに蓄えられた微細の副産微粉Gは、図1に示すように、セメント製造設備におけるプレヒータ61の上端部にセメント原料の一部として導入して、ロータリーキルン62でセメントクリンカーに焼成するようになっている。一方、タンク41aに蓄えられた粗の副産微粉Eは、セメント原料を粉砕する粉砕機71にセメント原料の一部として導入して、プレヒータ61を介してロータリーキルン62でセメントクリンカーに焼成するようになっている。すなわち、タンク51a、52a、53aに蓄えられた150μm以下のすべての副産微粉は、セメントとして再利用可能になっている。
【0034】
なお、30μm以下の微細の副産微粉Gについては、活性度が高いことから、強度の落ちない程度にセメントに混ぜて使用したり、地盤改良材等の固化材として使用してもよい。
【0035】
一方、セメント製造設備は、図1に示すように、セメント原料80を粉砕する粉砕機71と、粉砕されたセメント原料80を予熱するプレヒータ61と、セメントクリンカー焼成用のロータリーキルン62と、焼成したセメントクリンカーを冷却するクリンカークーラー63を主要部とするもので構成れている。
【0036】
上記プレヒータ61は、サスペンションプレヒータと呼ばれるもので、複数のサイクロン61a〜61dを上下方向にダクト61h〜61kでつないだ構成をなしている。そして、最上位置のダクト61hには、粉砕機71で粉砕されたセメント原料80および粗の副産微粉Eが実線矢印で示すように、シュート64を介して投入されるようになっている。また、最上位置のダクト61hには、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gがシュート64を介して投入されるようにもなっている。投入されたセメント原料80や副産微粉E、F、Gは、サイクロン61a〜61d及びダクト61h〜61kを経由しながら順次降下する。一方、排ガスは、誘引ファン66により吸引され、破線矢印に示すようにセメント原料80等と反対に順次上昇してプレヒータ61から流出することになる。
【0037】
これにより、投入されたセメント原料80および副産微粉E、F、Gは、排ガスの熱で徐々に加熱された後、最下位置のサイクロン61dに供給され、次いでシュート67及びロータリーキルン62の窯尻側に位置する接続ハウジング68を経て、ロータリーキルン62に導入される。ロータリーキルン62には、クリンカークーラー63から供給されてくる高温空気とバーナ65から送られてくる焼成用の燃料81が導入され、セメント原料および副産微粉はロータリーキルン62内を回転しながら移動する間に焼成され、焼成されたセメントクリンカーはクリンカークーラー63で冷却されて系外に排出される。
【0038】
さらに、誘引ファン66より排出された排ガスは、乾燥機70及び粉砕機71に送り込まれる。乾燥機70及び粉砕機71では、それぞれプレヒータ61の排ガスの熱を利用して効率よくセメント原料80を乾燥してから粉砕する。ただし、粗の副産微粉Eは、加熱すりもみ処理により充分乾燥した状態になっているので、乾燥機70を介さずに粉砕機71に送り込まれる。乾燥機70及び粉砕機71で利用された排ガスは、誘引ファン66より排出されたときに含んでいたダストの他に、乾燥、粉砕中に生じた微粉をも含む。これらのダストや微粉を含む排ガスは、集塵機73でダスト等が除去された後、誘引ファン72により誘引され、煙突74より大気に放出される。
【0039】
次に、上記骨材再生設備の作用効果について説明する。この骨材再生設備においては、5mm以上のコンクリート塊Aを充填型加熱炉1で加熱処理するようにしているので、熱風が各コンクリート塊Aの間の隙間を流れやすくなる。このため、コンクリート塊Aの加熱時間の短縮を図ることができるとともに、加熱炉1に投入されたコンクリート塊Aを一定の温度で均一に加熱することができる。したがって、セメントペーストを均一に脱水脆弱化させることができるので、加熱後のすりもみ処理において、粗骨材や細骨材からセメントペーストを効率よく確実に分離することができる。
【0040】
また、粗骨材ミル2においては、モルタルCが網部22cから外ドラム21側に移動するので、モルタルCにおける細骨材が鋼球のすりもみ媒体23によって過度に粉砕されることがない。すなわち、細骨材がすりもみ媒体23によってさらに小さなものに粉砕されるのを防止することができる。
【0041】
一方、細骨材ミル3においては、粗骨材Bをすりもみ媒体として使用し、鋼球等のすりもみ媒体を使用していないので、すりもみ処理に要するコストの低減を図ることができるとともに、細骨材Dが鋼球等の比重の大きなすりもみ媒体によってさらに細かく粉砕されてしまうのを防止することができる。また、粗骨材Bについても細骨材DやモルタルC等によって仕上げ処理をすることができる利点がある。
【0042】
さらに、粗骨材ミル2、細骨材ミル3および骨材分級設備4において発生した副産微粉を微粉分級処理設備5で回収することができるので、作業環境の悪化を防止することができる。そして、微粉分級処理設備5においては、各分級器51、52と、バグフィルタ53によって、副産微粉を上述した所定の粒度範囲ごとに、粗の副産微粉E、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gに分級することができる。
【0043】
一方、上記副産微粉を用いたセメントクリンカーの製造方法は、骨材再生設備において発生した副産微粉を微粉分級処理設備5で分級して上記タンク51a、52a、53aにそれぞれ蓄えられた副産微粉E、F、Gを、プレヒータ61にセメント原料の一部として供給した後、ロータリーキルン62内に導入して焼成する方法を採用している。
【0044】
そして特に、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gを、プレヒータ61の上端部にシュート64を介して導入し、粗の副産微粉Eを、粉砕機71に導入してさらに細かく粉砕してから、シュート64を介してプレヒータ61に導入する方法を採用している。
【0045】
上記のように構成されたセメントクリンカーの製造方法においては、副産微粉E、F、Gが最終的には所定の粒径以下のセメント原料となってロータリーキルン62に導入されて、セメントクリンカーに焼成されることになる。すなわち、副産微粉E、F、Gが表1および表2に示すように、生石灰(CaO)および二酸化珪素(SiO2 )を多く含んでいることから、これらの反応によって珪酸三石灰(3CaO・SiO2 )や珪酸二石灰(2CaO・SiO2 )を確実に生成することができる。
したがって、コンクリート廃材から骨材を回収する際に生じた副産微粉をセメント原料として有効に利用することができる。
【0046】
また、副産微粉E、F、Gには炭酸カルシウム(CaCO3 )以外のカルシウム源として生石灰(CaO)や消石灰(Ca(OH)2 )が多く含まれていることから、脱炭酸による二酸化炭素(CO2 )の排出を抑えることができる。しかも、脱炭酸に必要な熱量が不要であることから、燃料を燃焼させる際に生じる二酸化炭素の排出量の低減を図ることができる。しかも、燃料の消費量を低減することができることから、最終的にはセメント製造のためのコストの低減を図ることができる。また、通常、粘土から多く供給されるSiO2 やAl2 O3 が微粉に多く含まれているので、粘土の使用量が減る結果、粘土鉱物の脱水に要する熱量が低減される。したがって、この点もコストの低減に寄与する。さらに、微粉は90μm以上のものが20%以下であって十分に微細なものとなっており、原料粉砕工程を経ず、プレヒータに直接導入しても他の原料とよく反応するため、通常のセメント原料のような粉砕を行う必要がない。したがって、この点からもセメント製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
また、副産微粉E、F、Gは必ずプレヒータ61を通ることになるので、万一、これらの副産微粉E、F、Gに水分が含まれるようなことがあったとしても、この水分を取り除いて所定の温度に加熱した後の副産微粉E、F、Gをロータリーキルン62に供給することができる。したがって、効率よくセメントクリンカーを製造することができる。
【0048】
さらに、粗の副産微粉Eを粉砕機71で粉砕しているので、例えば90μm以下の粉砕された副産微粉のみを、プレヒータ61およびロータリーキルン62に供給することができる。したがって、ロータリーキルン62において、効率よくセメントクリンカーを製造することができる。また、粗の副産微粉Eは粉砕機に投入される前の段階で、すでに相当に細かく粉砕されているので、通常のセメント原料を粉砕する場合に比べて、その粉砕に要するエネルギを低減することができる。したがって、セメント製造コストの低減を図ることができる。そして、この方法は、原料の粒度がより小さなものでないと焼成が困難な早強セメントクリンカーや低熱セメントクリンカーの焼成時に特に有効である。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態としてのセメントクリンカーの製造方法を図5を参照して説明する。ただし、図1に示す構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その共通する構成要素についての説明を省略する。
【0050】
この第2実施形態では、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gをプレヒータ61ではなく、接続ハウジング68に供給している。すなわち、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gを、ロータリーキルン62の窯尻側に位置する接続ハウジング68に供給し、該ロータリーキルン62で焼成するようにしている。
【0051】
上記のように構成されたセメントクリンカーの製造方法においては、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gをロータリーキルン62の入り口側である窯尻側に導いているので、プレヒータ61等の圧損を低下させ、例えば誘引ファン66の電力を低減させることができるとともに、より直接的かつ短時間でセメントクリンカーに焼成することができる。すなわち、副産微粉は、100〜500℃の加熱によって水分や化学的結合水が取り除かれた状態になっているとともに、90μm以下に粉砕された状態になっているので、ロータリーキルン62の窯尻側に直接的に投入した場合でも、ロータリーキルン62で効率よくセメントクリンカーに焼成することができる。
【0052】
なお、粗の副産微粉E、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gを、接続ハウジング68、シュート64および粉砕機71のずれか一個所に集中させて供給してもよく、また、例えば、粗の副産微粉Eは粉砕機71に、細の副産微粉Fはシュート64からプレヒータ61に、微細の副産微粉Gは接続ハウジング68に、というようにそれぞれ複数個所に分散させて供給するようにしてもよい。また、粗の副産微粉Eを細骨材Dの粒度調整に使用し、微細の副産微粉Gを固化材として使用した場合に、細の副産微粉Fのみを接続ハウジング68、シュート64および粉砕機71のずれか一個所あるいは複数個所に供給するようにしてもよい。
【0053】
また、ロータリーキルン62の窯尻側を、上述の各実施形態では接続ハウジング68の位置を意味するものとしたが、この窯尻側としては、ロータリーキルン61における接続ハウジング68側の開口端すなわち上流側の開口端の位置であってもよく、またロータリーキルン61における上記開口端近傍の内側部分としての窯尻部の位置であってもよい。すなわち、副産微粉E、F、Gは、ロータリーキルン62の上流側の開口端や窯尻部に供給するようにしてもよい。ただし、粗の副産微粉Eのように粒径の大きな副産微粉については、粉砕機71に供給することが好ましいことは上述した通りである。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、副産微粉に、石灰質原料としての生石灰(CaO)および珪酸質原料としての二酸化珪素(SiO2)が多く含まれていることから、これらの反応によって珪酸三石灰(3CaO・SiO2)や珪酸二石灰(2CaO・SiO2)を確実に生成することができる。
したがって、コンクリート廃材から骨材を回収する際に生じた副産微粉をセメント原料として有効に利用することができる。
【0055】
また、石灰質原料として、炭酸カルシウム(CaCO3 )以外の生石灰(CaO)や消石灰(Ca(OH)2 )が多く含まれていることから、脱炭酸による二酸化炭素(CO2 )の排出を抑えることができる。しかも、脱炭酸に必要な熱量が不要であることから、燃料を燃焼させる際に生じる二酸化炭素の排出も抑えることができる。しかも、燃料の消費量を低減することができることから、最終的にはセメント製造のためのコストの低減を図ることができる。また、通常、粘土から多く供給されるSiO2 やAl2 O3 が微粉に多く含まれているので、粘土の使用量が減る結果、粘土鉱物の脱水に要する熱量が低減される。したがって、この点もコストの低減に寄与する。さらに、微粉は90μm以上のものが20%以下であって十分に微細なものとなっており、原料粉砕工程を経ず、プレヒータに直接導入しても他の原料とよく反応するため、通常のセメント原料のような粉砕を行う必要がない。したがって、この点からもセメント製造コストの低減を図ることができる。
【0058】
さらに、90μm超の副産微粉を粉砕機で粉砕してから、プレヒータに供給し、90μm以下の副産微粉をプレヒータまたはロータリーキルンの窯尻側に導入しているので、結局、ロータリーキルンには、例えば90μm以下の微細に粉砕された副産微粉を供給することができる。したがって、ロータリーキルンにおいて、効率よくセメントクリンカーを製造することができる。また、90μm超の副産微粉は粉砕機に投入される前の段階で、すでに相当に細かく粉砕されているので、通常のセメント原料を粉砕する場合に比較して、その粉砕に要するエネルギの低減を図ることができる。したがって、セメント製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態としてのセメントクリンカーの製造方法の実施に直接使用するセメント製造設備を示す概略構成図である。
【図2】同セメントクリンカーの製造方法で使用する副産微粉を産出する骨材再生設備を示す概略構成図である。
【図3】上記骨材再生設備における微粉分級処理設備を示す概略構成図である。
【図4】上記骨材再生設備において産出した副産微粉の粒径と累積頻度との関係を測定した結果を示す図である。
【図5】この発明の第2実施形態としてのセメントクリンカーの製造方法の実施に直接使用するセメント製造設備を示すの概略構成図である。
【符号の説明】
61 プレヒータ
62 ロータリーキルン
68 接続ハウジング(窯尻側の部分)
80 セメント原料
A コンクリート塊
B 粗骨材(骨材)
D 細骨材(骨材)
E 粗の副産微粉(副産微粉)
F 細の副産微粉(副産微粉)
G 微細の副産微粉(副産微粉)
Claims (1)
- 100〜500℃に加熱処理後のコンクリート塊から骨材を回収する際に生じる副産微粉を分級し、粒径が90μm以下の副産微粉を、ロータリーキルンからの排ガスを利用してセメント原料を予熱するプレヒータまたはセメント原料を焼成するロータリーキルンの窯尻側に導入し、粒径が90μm超の副産微粉を、セメント原料を粉砕する粉砕機にセメント原料の一部として導入して、上記ロータリーキルンで焼成することを特徴とするセメントクリンカーの製造方法。
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