JP4174712B2 - トロイダル型無段変速機のトラニオンの高周波焼入れ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機として利用可能なトロイダル型無段変速機(CVT)のトラニオンの高周波焼入れ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、図7および図8に略示するようなトロイダル型無段変速機を使用することが一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、入力軸1と同心に第1のディスクである入力側ディスク2を支持し、入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に、第2のディスクである出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸5,5を中心として揺動するトラニオン6,6が設けられている。各トラニオン6,6には、パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、入力側および出力側の両ディスク2,4の間に挟持されている。
【0003】
入力側および出力側の両ディスク2,4の互いに対向する内側面2a,4aの断面はそれぞれ、枢軸5を中心とする円弧或いはこのような円弧に近い曲線を回転させて得られる凹面を成している。そして、球状の凸面に形成された各パワーローラ11,11の周面11a,11aが各内側面2a,4aに当接されている。
【0004】
入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置12が設けられている。この押圧装置12は、入力側ディスク2を出力側ディスク4に向けて弾性的に押圧している。また、押圧装置12は、入力軸1と共に回転するカム板13と、保持器14により保持された複数個(例えば4個)のローラ15,15とから構成されている。また、カム板13の片側面(図7および図8の左側面)には、周方向に亙って凹凸面であるカム面16が形成され、入力側ディスク2の外側面(図7および図8の右側面)にも同様のカム面17が形成されている。そして、複数個のローラ15,15は、入力軸1に対して放射方向に延びる軸を中心に回転できるように、支持されている。
【0005】
このような構成のトロイダル型無段変速機においては、入力軸1を回転させると、その回転に伴ってカム板13が回転し、カム面16によって複数個のローラ15,15が、入力側ディスク2の外側面に設けられたカム面17に押圧される。この結果、入力側ディスク2が複数のパワーローラ11,11に押圧されると同時に、1対のカム面16,17と複数個のローラ15,15の転動面との押し付け合いに基づいて、入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、各パワーローラ11,11を介して、出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定された出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合であって、入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5,5を中心として各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図7に示すように、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。
【0007】
反対に、増速を行なう場合には、各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図8に示すように、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。各変位軸9,9の傾斜角度を図7と図8との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比が得られる。
【0008】
図9および図10には、より具体化されたトロイダル型無段変速機の一例が示されている。なお、図7および図8と共通する構成部材に関しては、以下、同一符号を付して、その詳細な説明または図示を省略する。
図9に示されるように、ケーシング101の内側には、入力軸1が回転自在に支持されている。入力軸1の外周には、円管状の伝達軸103が支持されている。この場合、伝達軸103は、入力軸1と同心的に配設されており、入力軸1に対して回転できる。
【0009】
伝達軸103の両端寄り部分には、第1および第2の入力側ディスク2,2がそれぞれ、ボールスプライン96を介して支持されている。この場合、第1および第2の入力側ディスク2,2は、その内側面2a,2a同士を互いに対向させた状態で同心的に配置されるとともに、ケーシング101の内側で互いに同期して回転できる。
【0010】
伝達軸103の中間部の周囲には、第1および第2の出力側ディスク4,4がスリーブ109を介して支持されている。スリーブ109の中間部の外周面には、出力歯車110が一体に設けられている。この出力歯車110は、伝達軸103と同心的に配置されるとともに、伝達軸103の外径よりも大きな内径を有している。また、出力歯車110は、一対の転がり軸受112を介して、ケーシング101内に設けられた支持壁111に回転自在に支持されている。
【0011】
第1および第2の出力側ディスク4,4は、スリーブ109の両端部にスプライン係合されている。この場合、出力側ディスク4,4は、それぞれの内側面4a,4aを互いに反対方向に向けた状態で配置されている。したがって、入力側ディスク2と出力側ディスク4は、その内側面2a,4a同士が互いに対向している。
【0012】
図10に示されるように、ケーシング101の内側であって、出力側ディスク4,4の側方位置には、両ディスク4,4を両側から挟む状態で一対のヨーク113a,113bが支持されている。これら一対のヨーク113a,113bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン6の両端部に設けられた枢軸5を揺動自在に支持するため、ヨーク113a,113bの四隅には、円形の支持孔118が設けられるとともに、ヨーク113a,113bの幅方向の中央部には、円形の係止孔119が設けられている。
【0013】
一対のヨーク113a,113bは、ケーシング101の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト20a,20bにより、僅かに変位できるように支持されている。これらの支持ポスト20a,20bはそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク4の内側面4aとの間にある第1キャビティ21および第2キャビティ22にそれぞれ対向する状態で設けられている。なお、ポスト20aには、トラニオン6の傾転量を規制する傾転ストッパ150が設けられている。
【0014】
したがって、ヨーク113a,113bは、各支持ポスト20a,20bに支持された状態で、その一端部が第1キャビティ21の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ22の外周部分に対向している。
【0015】
第1および第2のキャビティ21,22は同一構造であるため、以下、第1キャビティ21のみについて説明する。
【0016】
第1キャビティ21には、一対のトラニオン6が設けられている。トラニオン6の両端部には同心的に枢軸5が設けられており、これらの枢軸5は一対のヨーク113a,113bの一端部に揺動且つ軸方向に変位自在に支持されている。すなわち、枢軸5は、ヨーク113a,113bの一端部に形成された支持孔118の内側に、ラジアルニードル軸受26によって支持されている。ラジアルニードル軸受26は、その外周面が球状凸面で且つその内周面が円筒面である外輪27と、複数本のニードル28とから構成されている。
【0017】
トラニオン6の中間部にはそれぞれ、円孔30が設けられている。また、各円孔30には変位軸31が支持されている。変位軸31はそれぞれ、互いに平行で且つ偏心した支持軸部33と枢支軸部34とを有している。このうち、支持軸部33は、円孔30の内側に、ラジアルニードル軸受35を介して支持されている。また、枢支軸部34の周囲には、別のラジアルニードル軸受38を介して、パワーローラ11が支持されている。
【0018】
なお、第1および第2キャビティ21,22毎に一対ずつ設けられた変位軸31は、第1および第2キャビティ21,22毎に、入力軸1および伝達軸103に対して180度反対側に位置して設けられている。また、変位軸31の各枢支軸部34が各支持軸部33に対して偏心している方向は、入力側ディスク2,2と出力側ディスク4,4の回転方向に関して同方向となっている。また、偏心方向は入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、パワーローラ11は、入力軸1および伝達軸103の長手方向に沿って僅かに変位できるように支持されている。その結果、トロイダル型無段変速機により伝達されるトルクの変動に基づく構成部材の弾性変形量の変動等に起因して、パワーローラ11が入力軸1および伝達軸103の軸方向に変位する傾向となった場合でも、構成部材に無理な力が加わることがなく、その変位を吸収することができる。
【0019】
また、パワーローラ11の外周面とトラニオン6の中間部内周面との間には、パワーローラ11の大端面から順に、スラスト玉軸受39と、滑り軸受あるいはニードル軸受等のスラスト軸受40とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受39は、パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11の回転を許容する。また、スラスト軸受40は、パワーローラ11からスラスト玉軸受39の外輪41に加わるスラスト荷重を支承しつつ、枢支軸部34および外輪41が支持軸部33を中心に揺動することを許容する。
【0020】
トラニオン6の一端部にはそれぞれ、駆動ロッド42が結合されている。また、これらの駆動ロッド42の中間部外周面には、駆動ピストン43が固着されている。この駆動ピストン43は、駆動シリンダ44内に油密に嵌装されている。そして、駆動ピストン43がトラニオン5を軸方向に変位させるためのアクチュエータを構成している。
【0021】
図9に示されるように、入力軸1と一方の入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置45が設けられている。この押圧装置45は、カム板46と複数のローラ48とを備えており、入力軸1の回転に基づいて一方の入力側ディスク2を他方の入力側ディスク2に向け押圧しつつ回転させる。この場合、カム板46は、入力軸1の中間部にスプライン係合されるとともに、軸方向に亘る変位を阻止された状態で支持されており、入力軸1と共に回転する。また、複数のローラ48は、保持器47に転動自在に保持されている。
【0022】
このように構成されたトロイダル型無段変速機の運転時、入力軸1の回転は、押圧装置45を介して、一方の入力側ディスク2に伝えられ、この入力側ディスク2と他方の入力側ディスク2とが互いに同期して回転する。入力側ディスク2,2の回転は、パワーローラ11を介して、出力側ディスク4,4に伝えられる。出力側ディスク4,4の回転は、出力歯車110により取り出される。
【0023】
入力軸1と出力歯車110との間の回転速度比を変える場合には、制御弁(図示しない)の切換えに基づいて、第1および第2のキャビティ21,22に対応してそれぞれ一対ずつ設けられた駆動ピストン43を、各キャビティ21,22毎に互いに逆方向に同じ距離だけ変位させる。これらの駆動ピストン43の変位に伴って、一対ずつ合計4個のトラニオン6がそれぞれ逆方向に変位し、一方のパワーローラ11が下側に、他方のパワーローラ11が上側にそれぞれ変位する。その結果、各パワーローラ11の周面と、入力側ディスク2,2の内側面2a,2a、出力側ディスク4,4の内側面4a,4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、その力の向きの変化に伴って、トラニオン6がヨーク113a,113bに枢支された枢軸5を中心として逆方向に揺動する。この結果、パワーローラ11の周面と、入力側ディスク2,2、出力側ディスク4,4との当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車110との間の回転速度比が変化する。
【0024】
ところで、パワーローラ11を回転自在に支持し且つ枢軸5を中心に傾転するトラニオン6は、パワーローラ11から大きな荷重を受けるため、ズブ焼きにすると、疲労破壊強度が無くなる。そのため、硬度が要求されるトラニオン6の部位のみに高周波焼入れを施すことが一般に行われている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開平11−132302号公報
【特許文献2】
特開平11−201250号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
トラニオン6には、硬さが要求される機能面が幾つかあるが、硬さが必ず必要となるトラニオン6の部位は、図11に示されるように、枢軸5を傾転可能に軸支するラジアルニードル軸受26の転送表面部S2と、傾転ストッパ150との当たり部S1である。
【0026】
しかしながら、ラジアルニードル軸受26の転送表面部S2および傾転ストッパ150との当たり部S1は、設計的に位置が互いに近くなる場合が多く、図11に示されるように、両者S1,S2の高周波焼入れ範囲が重なることも多い(図11には、両者S1,S2の重なり部分がXで示されている)。そして、このような高周波焼入れ範囲が重なる部分Xでは、焼きなまりや、高周波焼き割れが発生し、トラニオン6の耐久性が問題となる。
【0027】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、焼き入れ範囲が重なってしまう場合でも、硬度が必要とされる部位の耐久性を所望の程度に確保できるトロイダル型無段変速機のトラニオンの高周波焼入れ方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、入力側ディスクと出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラを回転自在に支持し、入力側ディスクおよび出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転するトロイダル型無段変速機のトラニオンに高周波焼入れ処理を施す高周波焼入れ方法において、前記トラニオンは、前記枢軸を中心とするトラニオン傾転量を規制するための傾転ストッパと当接する当接部と、前記枢軸を傾転可能に軸支するラジアルニードル軸受の転送表面部とを有し、前記傾転ストッパとの前記当接部に高周波焼入れ処理が施された後に、テンパー処理が施され、その後に、前記ラジアルニードル軸受の前記転送表面部に高周波焼入れ処理が施されることを特徴とする。
【0029】
請求項1に記載された発明においては、焼き入れ範囲が重なってしまう場合であっても、ラジアルニードル軸受の転送表面部の硬さを所望の硬さに確保でき、また、焼き割れの発生を防止できる。
【0030】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載されたトロイダル型無段変速機のトラニオンの高周波焼入れ方法において、前記テンパー処理におけるテンパー温度は、テンパー処理後に前記当接部の硬度がHv550以下となる温度に設定されることを特徴とする。
【0031】
請求項2に記載された発明においては、焼入れ歪みに対する靭性が向上する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、トロイダル型無段変速機のトラニオンに特徴があり、その他の構成および作用が前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図7〜図11と同一の符号を付してその詳細な説明を省略することにする。
【0035】
図1〜図3は本発明の第1の実施形態を示している。本実施形態では、トラニオン6の中で最も確実に硬さが要求される部位がラジアルニードル軸受26の転送表面部S2であることに着目し、傾転ストッパ150との当たり部(当接部)S1に高周波焼入れ処理(高周波HT)を施した後に、ラジアルニードル軸受26の転送表面部S2に高周波焼入れ処理を施すようにする。
【0036】
具体的には、図3のフローチャートに示されるように、最初に、傾転ストッパ150との当たり部S1に高周波焼入れ処理を施し(ステップS1)、その後、5時間以内に、テンパー処理を行なう(ステップS2)。この場合、テンパー温度は、テンパー処理後に当たり部S1の硬度がHv550以下となる温度に設定される。なお、図1には、傾転ストッパ150との当たり部S1に高周波焼入れ処理を施した状態が斜線で示されている。
【0037】
このテンパー処理が完了したら、今度は、ラジアルニードル軸受26の転送表面部S2に高周波焼入れ処理を施し(ステップS3)、その後、5時間以内に、テンパー処理を行なう(ステップS4)。なお、図2には、ラジアルニードル軸受26の転送表面部S2に高周波焼入れ処理を施した状態が斜線で示されている。
【0038】
このように、本実施形態において、トラニオン6は、枢軸5を中心とするトラニオン6の傾転量を規制するための傾転ストッパ150と当接する当接部S1と、枢軸5を傾転可能に軸支するラジアルニードル軸受26の転送表面部S2とを有し、傾転ストッパ150との当接部S1に高周波焼入れ処理が施された後に、テンパー処理が施され、その後に、ラジアルニードル軸受26の転送表面部S2に高周波焼入れ処理が施されて成る。したがって、焼き入れ範囲が重なってしまう場合であっても、ラジアルニードル軸受26の転送表面部S2の硬さを所望の硬さに確保できる。
【0039】
また、高周波焼入れ範囲が重なる場合では、硬度が高い部分へ焼入れをすることとなり、再焼入れ時の歪みに対して硬度の高い部分に靭性が不足する。そのため、焼き割れが発生することがある。しかしながら、本実施形態のように、傾転ストッパ150と当接する当接部S1への焼入れ後、テンパー処理を行なうことにより、高周波焼入れが重なる部分の靭性アップと応力解放を望めるため、焼き割れが発生しにくくなる。
【0040】
また、本実施形態において、傾転ストッパ150との当たり部S1のテンパー処理におけるテンパー温度は、テンパー処理後に当接部S1の硬度がHv550以下となる温度に設定されている。したがって、焼入れ歪みに対する靭性が向上する。
【0041】
また、本実施形態では、傾転ストッパ150との当たり部S1に高周波焼入れ処理が施された後、5時間以内に、テンパー処理が行なわれる。したがって、高周波焼入れ処理後のおき割れを防止することができる。
【0042】
図4〜図6は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態において、トラニオン6の当接部S1に対する高周波焼入れ処理範囲は、図4に示されるように、転送表面部S2に対する高周波焼入れ処理範囲とが重ならないように、所定の範囲Pに限定されている。また、本実施形態においても、当接部S2に高周波焼入れ処理が施された後に、転送表面部S2に高周波焼入れ処理が施される。また、図6に示されるように、傾転ストッパ150は、トラニオン6の傾転時にトラニオン6の高周波焼入れ処理範囲P以外の部位を逃がす逃げ部150aを中央部に有しており、これにより、トラニオン6の高周波焼入れ処理範囲Pとのみ当接するようになっている。なお、このような構成のトラニオン6および傾転ストッパ150が組み込まれたトロイダル型無段変速機の要部断面図が図5に示されている。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された発明によれば、焼き入れ範囲が重なってしまう場合であっても、ラジアルニードル軸受の転送表面部の硬さを所望の硬さに確保でき、また、焼き割れの発生を防止できる。
【0044】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、焼入れ歪みに対する靭性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るトラニオンの傾転ストッパとの当たり部に高周波焼入れ処理を施した状態を示しており、(a)はトラニオンをその軸方向から見た図、(b)はパワーローラが支持される側から(a)のトラニオンを見た図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るトラニオンのラジアルニードル軸受の転送表面部に高周波焼入れ処理を施した状態を示しており、(a)はトラニオンをその軸方向から見た図、(b)はパワーローラが支持される側から(a)のトラニオンを見た図である。
【図3】本発明における高周波焼入れ処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るトラニオンに高周波焼入れ処理を施した状態を示しており、(a)はトラニオンをその軸方向から見た図、(b)はパワーローラが支持される側から(a)のトラニオンを見た図、(c)は(a)のC−C線に沿う断面図、(d)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るトラニオンを組み込んだトロイダル無段変速機の要部断面図である。
【図6】(a)は図5のE方向から見たトラニオンおよび傾転ストッパの側面図、(b)は、(a)の状態からトラニオンを傾転させてトラニオンの当たり部(高周波焼入れ部)のみを傾転ストッパに当接させた状態を示す側面図である。
【図7】従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大減速時の状態で示す側面図である。
【図8】従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大増速時の状態で示す側面図である。
【図9】従来の具体的構造の一例を示す断面図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図11】従来のトラニオンに高周波焼入れ処理を施した状態を示しており、(a)はトラニオンをその軸方向から見た図、(b)はパワーローラが支持される側から(a)のトラニオンを見た図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
11 パワーローラ
11a 周面
26 ラジアルニードル軸受
150 傾転ストッパ
150a 逃げ部
S1 当たり部(当接部)
S2 転送表面部
Claims (2)
- 入力側ディスクと出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラを回転自在に支持し、入力側ディスクおよび出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転するトロイダル型無段変速機のトラニオンに高周波焼入れ処理を施す高周波焼入れ方法において、
前記トラニオンは、前記枢軸を中心とするトラニオン傾転量を規制するための傾転ストッパと当接する当接部と、前記枢軸を傾転可能に軸支するラジアルニードル軸受の転送表面部とを有し、
前記傾転ストッパとの前記当接部に高周波焼入れ処理が施された後に、テンパー処理が施され、その後に、前記ラジアルニードル軸受の前記転送表面部に高周波焼入れ処理が施されることを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオンの高周波焼入れ方法。 - 前記テンパー処理におけるテンパー温度は、テンパー処理後に前記当接部の硬度がHv550以下となる温度に設定されることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機のトラニオンの高周波焼入れ方法。
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