JP4171928B2 - 定着装置及び画像記録装置 - Google Patents
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Description
熱ロール方式は、例えば内部にヒータを備えた金属性の加熱定着ロールと、それに圧接する弾性を持つ加圧定着ロールとを基本構成とし、この一対の定着ロールにより形成される定着ニップ域に記録材を搬入させることにより、トナー像を加熱・加圧定着させるものである。
しかし、このような熱ロール方式では、定着ロールの熱容量が大きいため、定着ロール表面を定着温度まで上げるのには非常に多くの時間を要していたため、ウォーミングアップに時間がかかり、また、ファーストプリントを速くするためには、スタンバイ状態を設けて常時定着ロールを加熱状態に置いておくことが必要であった。
ところが、最近では、この種の問題を解決するために、できる限り定着ロールの熱容量を低下させることで、スタンバイ状態を設けなくても済むレベルになってきた。
このフィルム加熱方式は、耐熱性フィルムと加圧部材との間に搬入される画像定着すべき記録材と順方向に同一速度で耐熱性フィルムを走行移動させ、該耐熱性フィルムと加圧部材との圧接で形成される定着ニップ域に記録材を通過させることにより、記録材の顕画像担持面を耐熱性フィルムを介してヒータで加熱し、記録材の顕画像に熱エネルギを付与して軟化・溶融せしめ、次いで、定着ニップ域通過後の耐熱性フィルムと記録材とを分離点で離間させることを基本とする装置である。
また、ヒータとしてハロゲンランプや低熱容量のサーマルヒータが用いられている。
すなわち、耐久性や高速化等のために高剛性の厚肉のロールやフィルムを用いた場合、熱伝導が悪くなったり、熱容量が大きくなって熱応答性が低下してしまい、急速に加熱可能な状態を達成できなくなる。
言い換えれば、厚肉ロールやフィルムが熱抵抗となってヒータから被加熱材である記録材への熱伝達を損なう虞れがあるため、省エネルギ・クイックスタート性が損なわれる。
これは、磁場発生手段、例えば磁性体である芯材と励磁コイルとを組み合わせることによって発生する磁場を励磁回路(例えば励磁コイルに高周波を与える回路)で変化させ、その発生磁場の中に電磁誘導発熱層(導電性部材[誘導磁性材、磁界吸収導電材]など)が含まれる被加熱体としてのロールやフィルムを通過させ、磁界の発生消滅の繰り返し(変動磁界)によってロールやフィルムの中の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させるものである。
この態様においては、前記渦電流が電磁誘導発熱層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的に被加熱材である記録材に密着するロールやフィルムのみが発熱するから、熱効率の優れた加熱装置が提供される。
このとき、ロールやフィルムの表層近くに電磁誘導発熱層を設けるようにすれば、ロールやフィルムの表層近くを直接発熱させることが可能になるので、ロールやフィルム基層の熱伝導率、熱容量によらず急速に加熱できる利点がある。
これにより、省エネルギ・クイックスタート性を損なうことなく、ロールやフィルム基層の高剛性の厚膜化を図り、耐久性・高速化に対処することが可能である。
すなわち、
1) 励磁コイルが巻かれる長尺な芯材(コア)が一体成型されていたため、長手方向に対して発熱量を調整することが困難である。
2) 長尺なコアに巻かれる励磁コイルは長手方向両端にて折り返されるパターンを具備するが、この励磁コイルの両端折返し部では磁場の集中により異常加熱現象が発生する。このことによって長手方向に亘る温度の不均一化が発生し、加熱定着装置において部分昇温に起因する定着画像の光沢むらやホットオフセットの発生原因になる懸念がある。
3) また、熱ロール方式においては、フィルム加熱方式より、定着ニップ域において中央よりも端部の方が放熱量が大きいため、記録材に与える熱量を均一にできず、端部で加熱不足・定着不良を起こしたり、フィルム加熱方式とは逆に中央でトナーがフィルムへオフセットするという技術的課題がある。
4) 更に、加熱領域よりも幅の狭い記録材としての用紙を通過した場合に、非通紙領域の熱が消費されないために、その領域だけ温度が高くなるという技術的課題もある。
このような技術的課題(温度の不均一課題)を解決する先行例としては、例えば以下のものが挙げられる。
・特許文献1は、電磁誘導加熱装置において、被加熱体加熱部長手にわたり良熱伝導性を有する部材を配置する事によって、熱の放散により温度分布を補正しようとするものである。
・特許文献2は、定着ロールの内部に配した励磁コイルの巻き径が励磁コイルの長手方向両端部を中央部より大きくする事によって、ロール両端部の発熱を大きくして均一な温度分布を得るものである。
・特許文献3は、励磁コイルと定着ロール内の電磁誘導発熱層との距離について、両端部を中央部より狭くする事により、両端部における磁束の吸収を大きくして発熱量を増大して端部の温度の落ち込みを補正するものである。
・特許文献4は、励磁コイルのコアに記録サイズに応じた複数の巻き線を具備させ、通過する記録材に対応した発熱を選択できるようにして温度の均一化を達成するものである。
・特許文献6は、定着ロール内に複数のコアを配設すると共に、夫々のコアに励磁コイルを巻回し、各励磁コイルの接続構造として、並列接続と直列接続とを適宜組みあわせ、定着ロールの温度分布を略均一にするものである。
・特許文献7は、電磁誘導発熱性部材(被加熱体)両端部において、励磁コイルを進行方向に対して傾けるように配置する事によって、発熱量を増大させ、温度の均一化を達成するものである。
・特許文献8は、励磁コイルのコアの形状を両端部でテーパ形状とする事により、両端部で吸収される磁束を大きくして温度分布を均一化するものである。
・特許文献9は、被加熱体の発熱がキューリー地点近傍で減少する事を利用した自己温度制御特性によって温度の均一化を達成するものである。
また、いずれの先行例にあっても、被加熱体の温度分布を均一化することを企図しているが、目的に合致した発熱分布を自由に得ることは何等配慮されていない。
ことを特徴とする定着装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る定着装置において、前記磁束調整部材が移動自在に配置され、移動することにより磁束調整度合が可変せしめられることを特徴とする定着装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る定着装置において、前記磁束調整部材が透磁率の低い材料からなる導電部材であることを特徴とする定着装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る定着装置において、前記磁束調整部材が導電性ループであり、この導電性ループを開閉するスイッチング素子により磁束調整度合が可変せしめられることを特徴とする定着装置である。
請求項5に係る発明は、請求項2乃至4いずれかに係る定着装置において、前記磁束調整部材が、寸法の異なる記録材に応じて磁束調整度合が可変せしめられることを特徴とする定着装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5いずれかに係る定着装置と、この定着装置にて定着可能な未定着像を作成する作像手段とを備えたことを特徴とする画像記録装置である。
請求項7に係る発明は、電磁誘導発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる被加熱体を兼用する像担持搬送体と、この像担持搬送体の電磁誘導発熱層に向かって対向配置されて電磁誘導発熱層に作用する磁束を生成する磁場発生手段と、像担持搬送体上に未定着像を作成する作像手段と、像担持搬送体の磁場発生手段に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する定着装置とを備え、前記電磁誘導発熱層が非磁性の金属で構成されており、前記磁場発生手段が、前記像担持搬送体に対向配置され、記録材の通過領域に対応する部位の電磁誘導発熱層が貫かれる磁束を生成し且つ生成された磁束が像担持搬送体を貫くように分布させられる励磁コイルと、前記像担持搬送体のうち当該像担持搬送体を挟んで励磁コイルの反対側で且つ前記励磁コイルにて生成された磁束が及ぶ範囲に対向配置され、前記磁束により誘導電流が流れることによって、当該対向部に対応する前記電磁誘導発熱層領域に作用する励磁コイルの磁束が低減する方向に変化させられる磁束調整部材とを有することを特徴とする画像記録装置である。
同図において、本発明の基本的構成は、少なくとも電磁誘導発熱層2を有する被加熱体1と、この被加熱体1の電磁誘導発熱層2に向かって対向配置されて電磁誘導発熱層2に作用する磁束を生成する励磁コイル4とを備え、前記磁束の作用にて加熱された被加熱体1の熱により記録材上の未定着像を加熱定着する定着装置において、前記励磁コイル4の磁束が鎖交するように配置されて電磁誘導発熱層2へ作用する磁束が変化せしめられる磁束調整部材6を設けたものである。
特に、本発明は、前記電磁誘導発熱層2が非磁性の金属で構成されており、前記電磁誘導発熱層2に作用する磁束を生成する磁場発生手段3が、前記被加熱体1に対向配置され、記録材の通過領域に対応する部位の電磁誘導発熱層2が貫かれる磁束を生成し且つ生成された磁束が被加熱体1を貫くように分布させられる励磁コイル4と、前記被加熱体1のうち当該被加熱体1を挟んで励磁コイル4の反対側で且つ前記励磁コイル4にて生成された磁束が及ぶ範囲に対向配置され、前記磁束により誘導電流が流れることによって、当該対向部に対応する前記電磁誘導発熱層2領域に作用する励磁コイル4の磁束が低減する方向に変化させられる磁束調整部材6とを有することを特徴とするものである。
また、電磁誘導発熱層2とは、磁束による電磁誘導現象に起因して発熱するものであれば、銅、金、銀、アルミニウム等の非磁性の導電性材料を始め、ニッケル、鉄、ニッケル−コバルト合金、強磁性ステンレスなどの強磁性体金属等適宜選定してよい。
更に、図1に示す態様では、磁場発生手段3として励磁コイル4を要件としているが、磁場の生成効率を上げるという観点からすれば、コア5を設け、このコア5に励磁コイル4を巻き付ける態様が好ましい。
また、磁束調整部材6とは、励磁コイル4の磁束の一部に鎖交することによって電磁誘導作用が生じ、前記磁束に変化を与えるものであれば全て含む。
ここで、磁束調整部材6の代表的な態様としては、単数あるいは複数回導電線材を巻装した導電性ループが挙げられる。
この場合において、導電部材としては単一の導線でも差し支えないが、導線を束ねた束線であってもよい。
更に、導電部材の巻き数については単数に限られず、複数回であってもよく、導電性ループの巻き数により電磁誘導作用の程度を調整可能に設定することが可能である。
この場合、導電部材は、導電性ループのようにループ構造である必要はなく、単なる板状、ブロック状など、励磁コイル4の磁束の一部が鎖交することによってその周囲に誘導電流が誘導される形状であればよい。
また、磁束調整部材6のレイアウトについては、励磁コイル4の磁束の一部が鎖交する位置であれば任意に選定して差し支えない。
例えば励磁コイル4と略同一平面上に設ける場合には、励磁コイル4の内周縁若しくは外周縁の近傍に磁束調整部材6を配置すればよいが、これに限られるものではなく、例えば被加熱体1を挟んで励磁コイル4とは反対側に磁束調整部材6を配置するようにしてもよいし、あるいは、励磁コイル4を挟んで被加熱体1とは反対側に磁束調整部材6を配置するようにしてもよい。
尚、磁束調整部材6としては、励磁コイル4のホルダ上に設けて、励磁コイル4と一体に設けるようにしてもよい。
このように、磁場発生手段3としては適宜選定可能であるが、本発明では、磁束調整部材6は被加熱体1を挟んで励磁コイル4とは反対側に配置される態様が採用されている。
よって、励磁コイル4の磁束の中で局所的に大きい個所があり、これを弱めたいという要請下においては、磁束調整部材6は、電磁誘導発熱層2へ作用する励磁コイル4の磁束のうち周囲より大きい個所に対応する磁束部分が鎖交するように配置されればよい。
すなわち、図1に示すように、電磁誘導の法則より、磁場発生手段3の励磁コイル4の磁束と鎖交する位置に磁束調整部材6(図1では導電性ループを例示)を配置すると、磁束調整部材6には鎖交する磁束の変化割合に比例した起電力が生じ、磁束調整部材6には誘導電流が流れる閉回路(鎖交回路)が形成される。
このとき、その起電力の方向、あるいは、起電力が生じて流れる電流の方向はその電流によって生ずる磁束が、鎖交磁束の変化を妨げる方向である。
すなわち、図1において、励磁コイル4の磁束が磁束調整部材6と鎖交する割合が変化しようとしたときに、それを妨げる磁束を作る方向に誘導電流が流れ、この誘導電流によって所定の起電力が生じるのである。
要するに、本発明は電磁誘導の法則を用いたものである。つまり、励磁コイル4の近傍に磁束調整部材6を設けることによって励磁コイル4と磁束調整部材6との間に相互インダクタンスを作用させることによって、励磁コイル4から電磁誘導発熱層2へ作用する磁束を制御するものであり、それによって、電磁誘導発熱層2に生ずる発熱量を制御するのである。
このため、磁束の強い領域に選択的に磁束調整部材6を設けることによって、例えば加熱領域全域にわたって磁束の均一化を達成する事が可能となり、それによって温度の均一化が達成される。
このとき、磁束が特に強い領域では、磁束調整部材6として例えば導電性ループを使用する態様では、鎖交回路を構成する導電性ループの巻き数を多くする事によって、相互インダクタンスを増大させる方法を用い、その部分の大きな発熱を押さえて温度の均一化を達成することが可能である。
この場合、図1に示す態様は、上述した電磁誘導加熱を利用した定着装置に加え、更に、磁束調整部材6による磁束調整度合が可変せしめられる調整可変手段7を設けるようにすればよい。
この調整可変手段7の可変方法については、単なる調整の有無は勿論のこと、調整度合を多段階に変化させるものも含む。
また、調整可変手段7の代表的な態様としては、磁束調整部材6としての導電性ループを開閉するスイッチング素子である態様が挙げられる。
一方、調整可変手段7の別の態様としては、磁束調整部材6を移動自在に支持し、励磁コイル4の磁束の一部に対する磁束調整部材6の鎖交領域を変化させる態様が挙げられる。
ここで、磁束調整部材6の移動態様としては、磁束調整部材6を直線移動させたり、回転させる等適宜選定して差し支えない。
今、図1において、例えば励磁コイル4及び磁束調整部材6からの磁束分布が均一な磁束であっても、被加熱体1から消費される熱量が局所的な場合には、被加熱体1の温度が不均一になる。このような場合に、熱量が消費されないところに予め磁束調整部材6を設けておくことによってその領域の磁束を減少して、温度分布の均一化が可能となる。
ところが、被加熱体1から熱量が消費される個所が変化する場合があり、この場合には、それぞれの熱量消費パターンに応じて磁束調整部材6からの磁束調整度合を変化させることが必要になる。
このような状況下において、磁束調整部材6に調整可変手段7を付加する態様が必要になる。
例えば被加熱体1の全領域から熱量が消費される場合との温度分布の両立を図るために、予め設けた磁束調整部材6に調整可変手段(例えばスイッチング素子又は移動手段)7を設けておき、被加熱体1全領域から熱量が消費される場合には、磁束調整部材6を働かないようにし(例えば導電性ループであれば鎖交回路を開いたり、励磁コイル4からの磁束が鎖交しない位置に移動させるなど)、つまり相互インダクタンスが作用しないようにして誘導電流が生じないようにすれば、いずれの場合でも均一温度分布を得る事が可能となる。
ここで、画像記録装置における電磁誘導加熱の利用態様としては例えば以下のものがある。
本発明に係る画像記録装置の一つの態様は、未定着像を作成する作像手段と、この作像手段にて作成された未定着像を記録材に定着する定着装置とを備え、この定着装置として上述した電磁誘導加熱を利用した定着装置を使用したものである。
これは、転写同時定着タイプの画像記録装置の定着装置以外に電磁誘導加熱装置(被加熱体1を兼用する像担持搬送体,磁場発生手段3)を適用したものであり、ここでいう定着装置の中で、少なくとも押圧して転写、定着する点としたのは、押圧部材による加圧転写、定着を基本とするが、静電転写、定着をも付加することを排除しない趣旨である。
また、磁束調整部材6は、励磁コイル4の内周縁若しくは外周縁の近傍に配置されていてもよいし、あるいは、被加熱体1としての像担持搬送体を挟んで励磁コイル4とは反対側に配置されていてもよいし、あるいは、励磁コイル4を挟んで被加熱体1としての像担持搬送体とは反対側に配置されるようにしてもよいが、本態様の画像記録装置では、被加熱体1としての像担持搬送体を挟んで励磁コイル4とは反対側に配置される態様が採用される。
また、本態様の画像記録装置においては、更に、磁束調整部材6による磁束調整度合が可変せしめられる調整可変手段7を設けるようにしてもよい。
このように、記録材の非通過領域に磁束調整部材6を配置することで、電磁誘導発熱層2への磁束を低減し、発熱度合を抑えることが可能になる。
すなわち、記録材の非通過領域では記録材による放熱がないため、発熱分布が不均一になり易いという技術的課題を解消する点で好ましい。
また、このような画像記録装置において、寸法の異なる記録材に対応して、磁束調整部材6による磁束調整作用を異ならせるには、図1に示すように、更に、電磁誘導加熱装置に、磁束調整部材6による磁束調整度合が可変せしめられる調整可変手段7を設け、寸法の異なる記録材に応じて調整可変手段7による磁束調整度合を変化させ、記録材の通過領域以外の領域に対応した部位に対し磁束調整部材6による磁束調整作用を働かせるようにすればよい。
特に、本発明によれば、前記電磁誘導発熱層が非磁性の金属で構成されており、被加熱体の電磁誘導発熱層に作用する磁束を生成する磁場発生手段が、記録材の通過領域に対応する部位の電磁誘導発熱層が貫かれる磁束を生成し且つ生成された磁束が被加熱体を貫くように分布させられる励磁コイルと、被加熱体のうち当該被加熱体を挟んで励磁コイルの反対側で且つ励磁コイルにて生成された磁束が及ぶ範囲に対向配置され、前記磁束により誘導電流が流れることによって、当該対向部に対応する電磁誘導発熱層領域に作用する励磁コイルの磁束が低減する方向に変化させられる磁束調整部材とを有するので、被加熱体の電磁誘導発熱層の発熱分布を局所的に低減させるような場合に、当該被加熱体の電磁誘導発熱層の発熱分布低減部位に作用する磁束分布を、励磁コイル及び磁束調整部材で被加熱体を挟んで直接的に調整することができる。このため、前記被加熱体の発熱分布低減部位が不必要に昇温する事態を抑えることが可能になり、その分、被加熱体の発熱分布として、目的に合致した所望の発熱分布を容易に得ることができる。
更に、本発明に係る画像記録装置によれば、記録材へ画像記録する際に必要な発熱分布として、目的に合致した所望の発熱分布を容易に得ることができるため、高品質の画像出力を容易に得ることができる。
◎実施の形態1
図2は、本発明の基本的構成(段落〔0015〕参照)を適用した加熱定着装置の実施の形態1を示す模式図である。
同図において、加熱定着装置は、一対の張架ロール31,32間に掛け渡される定着ベルト10と、この定着ベルト10の一方の張架ロール31に対向する部位に押圧せしめられて定着ベルト10との間に定着ニップ域を形成する加圧ロール30と、定着ベルト10内に設けられ、定着ベルト10を幅方向に沿って電磁誘導加熱する磁場発生装置15とを備えている。
同図において、定着ベルト10は、その内周側から順に例えばポリイミド層からなるベース層11と、このベース層11上に積層される例えば金属製の電磁誘導発熱層(以下、実施の形態では必要に応じて発熱層と略記する)12と、この外面に積層した弾性層13と、その外面に積層した離型層14との複合構造である。
尚、ベース層11と発熱層12、発熱層12と弾性層13、弾性層13と離型層14との間の接着のため、各層間にプライマ層(図示せず)を設けてもよい。
ベース層11としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、結晶性ポリマー、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。厚さとしては10〜1000μmが好ましい。特に25〜75μmが最適である。ベース層11の厚さが10μmよりも小さい場合には強度が得られず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えるとベルトとしての柔軟性が確保できない。
その厚みは、磁性体の金属の場合には、次の式で表される表皮深さより厚くかつ100μm以下にすることが好ましい。
ここで、表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]との関係で
σ=503×(ρ/fμ)1/2
と表される。
磁性体の金属の発熱層12の厚さは好ましくは20〜100μmがよい。
発熱層12の厚みが20μmよりも小さいとほとんどの電磁エネルギが吸収しきれないため磁場の遮蔽が必要になる。また、発熱層12が100μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。従って、発熱層12の厚みは20〜100μmが好ましい。
また、非磁性の金属の場合には、表皮深さが数百μmとなり表皮深さより厚くすると抵抗が小さくなりすぎてしまい、十分なジュール発熱が得られない。この場合は、薄膜の金属を用いることによって磁性金属の場合と同様な発熱量を得る事ができる。この場合の好ましい厚みは1〜20μmである。1μm以下では、抵抗が大きくなりすぎて十分な発熱が得られなくなる。
カラー画像を印刷する場合、特に写真画像などでは記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、記録材Pの凹凸あるいはトナー層の凹凸に加熱面(離型層14)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低い。
弾性層13の硬度は、硬度が高すぎると記録材Pあるいはトナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層13の硬度としては60°(JIS―A)以下、より好ましくは30°(JIS―A)以下がよい。
6×10−4〜2×10−3[cal/cm・sec・deg.]がよい。
熱伝導率λが6×10−4[cal/cm・sec・deg.]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定着ベルトの表面(離型層14)における温度上昇が遅くなる。また、熱伝導率λが2×10−3[cal/cm・sec・deg.]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
よって熱伝導率λは6×10−4〜2×10−3[cal/cm・sec・deg.]がよい。より好ましくは6×10−4〜1.5×10−3[cal/cm・sec・deg.]がよい。
尚、白黒定着専用の場合には、あえて弾性層13を必要としない場合もある。この場合は、熱抵抗が少なくなる分クイックスタート化や省エネが達成されるが、定着後の画質は弾性体のある場合より劣る。
離型層14の厚さは1〜30μmが好ましい。離型層14の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足するといった問題が発生する。また、離型層14が30μmを超えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の離型層14の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層13の効果がなくなってしまう。
一方、定着ベルト10の他方の張架ロール32はテンションロールとして使用されており、このテンションロール32は、定着ベルト10にテンションを加えることにより定着ベルト10を安定して回転させる。
そして、テンションロール32の両端には、定着ベルト10の端部を規制・保持するフランジ部材32aが固定的に取り付けられている。このフランジ部材32aは、定着ベルト10の回転時に該定着ベルト10の端部を受けて定着ベルトの幅方向の寄り移動を規制する役目をする。
そして、加圧ロール30には図示外の押し上げ機構で押し上げ力を作用させている。これにより、駆動ロール31と加圧ロール30の上面とが定着ベルト10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ域が形成される。
この駆動ロール31の回転駆動による該駆動ロール31と定着ベルト10の内面との摩擦力で該定着ベルト10に回転力が作用して、定着ベルト10は矢示の時計方向に駆動ロール31の回転周速度に略対応した周速度をもって回転する。
ここで、磁場発生装置15と発熱層12との間の距離は極力小さい方がよいのであるが、設計可能な範囲で最小値になるように設計するのがよい。
本実施の形態においては、定着ベルト10と磁場発生装置15とは非接触で配設されている。これは熱容量の大きい磁場発生装置15と定着ベルト10が接触することによる定着ベルト10の温度が低下するのを防止するためである。本例では、定着ベルト10と磁場発生装置15との距離は図示外の位置決め機構によってh(例えば略1mm)になるように設定される。
また、磁性コア17は高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは周波数が100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。
上記絶縁被覆は定着ベルト10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよい。本実施の形態において、例えばポリイミドによる被覆を用いるようにすれば、耐熱温度は260℃である。ここで、励磁コイル18の外部から圧力をかけて密集度を向上させてもよい。
本実施の形態では、導電性ループ51は例えばホルダ19上に固定配置されているが、その保持構造についてはこれに限られるものではない。
また、この導電性ループ51には、励磁コイル18の磁束と鎖交した場合大きな誘導電流が生ずる。
ここで、導電性ループ51の電気抵抗が大きい場合には、導電性ループ51内部でジュール発熱が生じる。その熱エネルギは定着ベルト10の発熱層12の発熱には使われないのでエネルギロスとなる。これを防ぐために、導電性ループ51の抵抗はできる限り小さいのが望ましい。
特に、高周波電流での表皮効果を考慮して、本実施の形態では、励磁コイル18に使っている束線と略同様な構成のもの、すなわち、コイル(線輪)を構成する導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を、複数回巻いたものを用いることが好ましい。この場合、導電性ループ51のジュール発熱は数ワット以下であり、効率低下にはならない。
今、図2及び図5に示すように、加熱定着装置を作動させる場合には、駆動ロール(張架ロール)31を駆動回転させる一方、図示外の励磁回路により励磁コイル18に交番電流を流し、励磁コイル18から図4に示すような交番磁束を生成させるようにすればよい。
このとき、磁性コア17に導かれた交番磁束Cは定着ベルト10の発熱層12に渦電流を発生させる。この渦電流は該発熱層12の固有抵抗によって発熱層12にジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは発熱層12を通る磁束の密度によって決まる。
そして、発熱層12からの熱は 弾性層13・離型層14を介して定着ベルト10を加熱する。
一方、定着ベルト10は駆動ロール31の回転駆動により回転し、電磁誘導加熱により加熱された定着ベルト10は定着ニップ域へと移動していき、定着ニップ域で所定の温度に温度調整される。
この定着ニップ域を定着ベルト10と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程において、定着ベルト10の電磁誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像tが記録材Pに加熱定着される。
本実施の形態において、トナーとして低軟化物質が含有されたトナーを使用する場合には、加熱定着装置にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けなくてもよいが、低軟化物質の含有していないトナーを使用した場合には、オイル塗布機構を設けるようにするのがよい。また、低軟化物質が含有されたトナーを使用した場合でも、オイル塗布や冷却分離を行ってもよいことは勿論である。
図6は磁場発生装置15による定着ベルト10の発熱分布を示す模式図である。
尚、同図において、P1,P2は磁場発生装置15の励磁コイル18の両端折返し部位置を示す(図5参照)。
同図において、実線は導電性ループ51からなる鎖交回路(図中では回路と略記)がない場合を示すものであり、励磁コイル18の両端部に対応した個所での昇温現象は、励磁コイル18の長手方向両端での折返し部では、磁束が局所的に集中することに起因する。
この導電性ループ51には、励磁コイル18の磁束の時間的変化の割合に比例した起電力が生じ、そのために誘導電流が流れる。その流れる方向はその電流によって生ずる磁束が鎖交磁束の変化を妨げる方向である。
これによって、定着ベルト10の幅方向両端付近の発熱層12に鎖交する励磁コイルの磁束は弱められ、昇温現象が減少する。
これにより、導電性ループ51からなる鎖交回路が存在する態様では、図6に点線で示すように、定着ベルト10の幅方向の温度分布が均一に保たれる。
本実施の形態において、例えば巻き数3の導電性ループ51を設けたことによる、インダクタンスの変化を調べたところ、本例では50μヘンリーから42μヘンリーに減少し、その分だけ定着ベルト10の両端部の発熱量が押えられることが確認された。
すなわち、本実施の形態の磁場発生装置15は、励磁コイル18と導電性ループ51との間に相互インダクタンスを作用させる事によって、定着ベルト10の発熱層12に作用する磁束を制御するものであり、それによって前記発熱層12に生ずる発熱量を制御するのである。
更に、導電性ループ51の設置個所としては、必ずしもホルダ19上である必要はなく、従って、励磁コイル18と同一面に設けなくてもよい。つまり、励磁コイル18からの磁束の一部と鎖交する位置であればどこでもよい。
例えば励磁コイル18と同一面上に設けられない場合には、図8(a)に示すように、導電性ループ51が励磁コイル18を挟んで定着ベルト10の発熱層12とは反対側に配置してもよいし、あるいは、定着ベルト10の発熱層12が非磁性体で励磁コイル18の磁束の多くを透過できるような場合には、図8(b)に示すように、導電性ループ51を定着ベルト10の発熱層12を挟んで励磁コイル18と反対側に配置してもよい。
この態様において、導電板52は、励磁コイル18からの磁束の一部が鎖交すると、その周囲に誘導電流がループ状に流れ、導電性ループ51に相当する鎖交回路を形成し、励磁コイル18からの磁束を調整するように働く。
本実施の形態において、導電板52として、厚さ2mmの銅板で前述の導電性ループ51と同じ外形形状にしたものを同じ場所に設け、インダクタンスの変化分を調べたところ、本例では50μヘンリーから47μヘンリーに減少し、その分だけ定着ベルト10の両端部の発熱量が押さえられることが確認された。
定着ロールの場合には、構造体としての強度が必要であるので、その肉厚は100μm以上となる。
そして、構造体そのものが電磁誘導性材料(電磁誘導発熱層となる材料)である時、この厚さで十分なジュール発熱をするには強磁性体金属が必要である。その材料はニッケル、鉄、強磁性SUS、ニッケル―コバルト合金などがある。
一方、構造体が電磁誘導性材料でない場合、例えばセラミックスや定着ベルト10のベース層11で述べた耐熱性樹脂の場合には、その構成はベース層11の厚さだけが定着ベルトの場合と異なるだけで、その他の発熱層12、弾性層13、離型層14は同じである。
図10は本発明が適用された加熱定着装置の要部(磁場発生装置)を示す説明図である。
同図において、磁場発生装置15は、実施の形態1と同様に、定着ベルト10(図2参照)の幅方向に沿って延びる長尺な絶縁製ホルダ19を有し、このホルダ19上に磁性コア17を配設すると共に、この磁性コア17の周囲に励磁コイル18を巻き付け保持し、更に、励磁コイル18両端の折返し部18aの内側近傍に導電性ループ51(又は導電板52)を配設することで、定着ベルト10の幅方向全域に均一な発熱分布を得ようとするものである。
ところが、定着ベルト10が幅方向全域に均一な発熱分布であっても、記録材(用紙)の通過する通紙幅が発熱領域より小さい小サイズ紙を連続的に通過した場合には、非通紙領域の熱が消費されないため、その部分の温度が通紙領域に比較して高くなる現象が起こり、定着ベルト10の発熱分布が不均一になる場合がある。
尚、図10において、符号Xは記録材としての用紙通過時の側端基準位置を示す通紙基準位置、WLは大サイズ紙(本例ではフルサイズ紙)の幅寸法、WSは小サイズ紙の幅寸法を夫々示す。
このとき、励磁コイル18からの磁束のうち非通紙部領域に対応する部分の磁束が閉じた導電性ループ53を鎖交することになり、導電性ループ53には誘導電流が流れる鎖交回路が形成される。これに伴って励磁コイル18の磁束を妨げる方向に磁束が生成され、励磁コイル18からの磁束が減少し、その分、非通紙部領域に対応した定着ベルト10部分では、図11に実線から点線で示すように、発熱が抑えられる。
このため、小サイズ紙が通過する場合でも、定着ベルト10の非通紙部領域が不必要に昇温する事態は有効に回避される。
このとき、励磁コイル18からの磁束のうち非通紙部領域に対応する部分の磁束は導電性ループ53部分を鎖交することになるが、導電性ループ53が開いているため、この導電性ループ53には誘導電流が流れる鎖交回路が形成されない。このため、導電性ループ53からは励磁コイル18の磁束を妨げる磁束は生成されず、励磁コイル18の磁束は妨げられない。
それゆえ、大サイズ紙が通過する場合には、導電性ループ53は何等働かず、定着ベルト10は幅方向全域に亘って均一に加熱される。
このように、導電性ループ53のスイッチ54の開閉を行う事により、大サイズ紙と小サイズ紙の両方のサイズの温度分布の均一化を容易に達成する事が可能である。
また、導電性ループ53のスイッチ54を開いたときのインダクタンスは50μmヘンリーのままで変わらない。
この態様においては、例えば小サイズ紙が通過する条件下では、図12に実線で示す位置(非通紙部領域に対応した位置)に導電性ループ55を移動配置するようにすればよく、定着ベルト10の非通紙部領域が不必要に昇温することを防止することができる。
一方、大サイズ紙が通過する条件下では、図12に二点鎖線で示す位置(励磁コイル18の磁束が鎖交しない位置)に導電性ループ55を移動配置するようにすればよく、この場合、励磁コイル18による磁束が導電性ループ55を鎖交することはなく、導電性ループ55による磁束調整は働かず、定着ベルト10は幅方向全域に亘って均一に加熱される。
この態様によれば、小サイズ紙が通過する場合には、図13に実線で示すように、励磁コイル18からの磁束の一部が導電性ループ58に鎖交するように導電性ループ58を回転移動させればよく、この場合には、定着ベルト10の非通紙部領域が不必要に昇温することを防止することができる。
一方、大サイズ紙が通過する条件下では、図13に二点鎖線で示すように、導電性ループ58を回転移動させるようにすればよく、この場合、励磁コイル18による磁束が導電性ループ58を鎖交することはなく、導電性ループ58による磁束調整は働かず、定着ベルト10は幅方向全域に亘って均一に加熱される。
例えばラダー状の導電性ループに複数のスイッチを設け、適宜スイッチを切替選択することで導電性ループの作用領域を可変にしたり、十分に大きい導電性ループを移動可能とし、各種サイズに対応した非通紙部領域に合わせて導電性ループを移動させる等、適宜選定して差し支えない。
図14は本発明が適用された画像記録装置の実施の形態3を示す説明図である。
本実施の形態に係る画像記録装置は、中間転写型の電子写真カラープリンタであり、実施の形態1又は2に係る加熱定着装置100を組み込んだものである。尚、実施の形態1又は2と同様な構成要素については実施の形態1又は2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
同図において、101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
感光体ドラム101の周りには、帯電ロールなどの帯電装置102、レーザスキャナなどの光学ユニット110、各色成分毎の現像装置104(具体的にはイエロ現像装置104Y,マゼンタ現像装置104M,シアン現像装置104C,ブラック現像装置104K)、中間転写ドラム105、クリーナ107等の画像形成デバイスが配置されている。
次いで、その帯電処理面に光学ユニット110から出力されるビーム103による目的の画像情報の走査露光処理を受ける。光学ユニット110は、図示外の画像読取装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したビーム103を出力し、感光体ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像を形成する。尚、109は光学ユニット110からの出力ビーム103を感光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
上記の回転中間転写ドラム105面に合成形成されたカラートナー像は、該回転中間転写ドラム105と転写ロール106との接触ニップ部である二次転写部T2において、該二次転写部T2に図示外の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材Pの表面に転写される。転写ロール106は記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム105面側から記録材P面側へ合成カラートナー像を順次に一括転写する。二次転写部T2を通過した記録材Pは中間転写ドラム105の表面から分離されて加熱定着装置100へ搬入され、未定着トナー像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレイに排出される。
また、転写ロール106も常時は中間転写ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105から記録材Pに対するカラートナー像の二次転写実行過程において中間転写ドラム105に記録材Pを介して接触状態に保持される。
また、両面画像プリントモード、あるいは多重画像プリントモードも実行できる。両面画像プリントモードの場合は、加熱定着装置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは図示外の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー像転写を受け、再度、加熱定着装置100に導入されて2面に対するトナー像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
多重画像プリントモードの場合は、加熱定着装置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー像転写を受け、再度、加熱定着装置100に導入されて2回目のトナー像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
図15は本発明が適用された画像記録装置の実施の形態4を示す説明図である。
本実施の形態に係る画像記録装置は、中間転写ベルトを用いた転写同時定着タイプであり、中間転写ベルトを被加熱体とした電磁誘導加熱装置を組み込んだものである。
同図において、この画像記録装置は、表面に静電電位の差による潜像が形成される感光体ドラム211を備えており、この感光体ドラム211の周囲に、感光体ドラム211表面を略一様に帯電する帯電装置212と、感光体ドラム211に各色信号に応じたレーザ光を照射して潜像を形成するレーザスキャナ213及びミラー214等からなる露光部と、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容し、感光体ドラム211上の潜像を各色トナーにより可視化するロータリ型現像装置215と、一定方向に循環移動が可能に支持された無端状の中間転写ベルト220と、中間転写ベルト220を挟んで感光体ドラム211と対向するように配置され、トナー像を中間転写ベルト220に転写する一次転写ロール217と、転写後の感光体ドラム211表面を清掃するクリーニング装置218と、感光体ドラム211の表面を除電する除電ランプ219とを有している。
更に、中間転写ベルト220の周回方向における加圧ロール223との対向位置の上流側には、中間転写ベルト220の背面側からトナー像を加熱する電磁誘導加熱装置230を有している。
尚、図15において、符号206は定着済みの記録材を排出する排出ロール、207は排出された記録材を収容する排出トレイである。
上記ロータリ型現像装置215は、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックのトナーをそれぞれ収容する4台の現像器215C、215M、215Y、215Kを備えており、各現像器215C〜215Kが感光体ドラム211と対向するように回転可能に支持されている。各現像器215C〜215K内には、表面にトナー層を形成して感光体ドラム211との対向位置に搬送する現像ロールが設けられている。この現像ロールには、所定の交流に所定の直流を重畳した電圧が印加され、電界の作用によりトナーが感光体ドラム211上の潜像に転移されるようになっている。また、各現像器215C、215M、215Y、215K内には、トナーホッパ216からそれぞれトナーが補給される。
一方、電磁誘導加熱装置230は、中間転写ベルト220を被加熱体とし、中間転写ベルト220の背面側に実施の形態1又は2に示す磁場発生装置15を配設したものである。
感光体ドラム211は、図中矢印の向きに回転し、帯電装置212によって略一様に帯電された後、レーザスキャナ213から原稿のイエロ画像信号に従ってパルス幅変調されたレーザ光が照射され、感光体ドラム211上にイエロ画像に相当する静電潜像が形成される。このイエロ画像用の静電潜像は、ロータリ型現像装置215により予め現像位置に定置されたイエロ用現像器215Yによって現像され、感光体ドラム211上にイエロトナー像が形成される。
一方、感光体ドラム211は、クリーニング装置218によって表面が清掃された後、再び帯電装置212により略一様に帯電され、次のマゼンタの画像信号に従ってレーザスキャナ213からレーザ光が照射される。
引き続いて、上述のプロセスがそれぞれシアン及びブラックに対して行われ、中間転写ベルト220上へ4色分の転写が終了したとき、若しくは最終色のブラックの転写途中において、給紙ユニット200内に収容される記録材(用紙)が給紙ロール201により給紙され、レジストロール202及び記録材ガイド204を経由して中間転写ベルト220の二次転写部Yに搬送される。
特に、本実施の形態では、実施の形態1の磁場発生装置15を組み込んだ場合には、例えば中間転写ベルト220の幅方向全域の発熱分布を常時均一にすることが可能になり、また、実施の形態2の磁場発生装置15を組み込んだ場合には、サイズの異なる記録材に対応し、記録材Pが通過しない非通紙部領域に対応する中間転写ベルト220部分へ作用する磁束を抑制することが可能になり、記録材が小サイズであっても大サイズであっても、記録材通過後に非通紙部領域に対応する中間転写ベルト220が部分的に昇温する事態はなく、記録材通過後の中間転写ベルト220の発熱分布を常時均一に保つことができる。
その後、トナー像が転写定着された記録材は、排出ロール206を通って排出トレイ207上に排出され、フルカラーの画像形成が終了する。
転写定着領域Bの入口でトナー及び中間転写ベルト220は室温の記録材と当接する。トナーが記録材と接触した瞬間のトナー温度がトナー軟化点温度より低いと、トナーと記録材との界面に働く接着力が十分でないため定着不良が発生する。このため、記録材と接触した瞬間のトナー温度が少なくともトナー軟化点温度以上となるように、電磁誘導加熱装置230による加熱量を制御する必要がある。
Claims (7)
- 少なくとも電磁誘導発熱層を有する被加熱体と、この被加熱体の電磁誘導発熱層に向かって対向配置されて電磁誘導発熱層に作用する磁束を生成する磁場発生手段とを備え、前記磁束の作用にて加熱された被加熱体の熱により記録材上の未定着像を定着する定着装置において、
前記電磁誘導発熱層は非磁性の金属で構成されており、
前記磁場発生手段は、前記被加熱体に対向配置され、記録材の通過領域に対応する部位の電磁誘導発熱層が貫かれる磁束を生成し且つ生成された磁束が被加熱体を貫くように分布させられる励磁コイルと、
前記被加熱体のうち当該被加熱体を挟んで励磁コイルの反対側で且つ前記励磁コイルにて生成された磁束が及ぶ範囲に対向配置され、前記磁束により誘導電流が流れることによって、当該対向部に対応する前記電磁誘導発熱層領域に作用する励磁コイルの磁束が低減する方向に変化させられる磁束調整部材とを有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
前記磁束調整部材は移動自在に配置され、移動することにより磁束調整度合が可変せしめられることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2記載の定着装置において、
前記磁束調整部材は透磁率の低い材料からなる導電部材であることを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
前記磁束調整部材は導電性ループであり、この導電性ループを開閉するスイッチング素子により磁束調整度合が可変せしめられることを特徴とする定着装置。 - 請求項2乃至4いずれかに記載の定着装置において、
前記磁束調整部材は寸法の異なる記録材に応じて磁束調整度合が可変せしめられることを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至5いずれかに記載の定着装置と、
この定着装置にて定着可能な未定着像を作成する作像手段とを備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 電磁誘導発熱層を有し且つ未定着像が担持搬送せしめられる被加熱体を兼用する像担持搬送体と、
この像担持搬送体の電磁誘導発熱層に向かって対向配置されて電磁誘導発熱層に作用する磁束を生成する磁場発生手段と、
像担持搬送体上に未定着像を作成する作像手段と、
像担持搬送体の磁場発生手段に対向する部位の下流位置に配設され且つ像担持搬送体上で溶融した未定着像を記録材上に少なくとも押圧して転写、定着する定着装置とを備え、
前記電磁誘導発熱層は非磁性の金属で構成されており、
前記磁場発生手段は、前記像担持搬送体に対向配置され、記録材の通過領域に対応する部位の電磁誘導発熱層が貫かれる磁束を生成し且つ生成された磁束が像担持搬送体を貫くように分布させられる励磁コイルと、
前記像担持搬送体のうち当該像担持搬送体を挟んで励磁コイルの反対側で且つ前記励磁コイルにて生成された磁束が及ぶ範囲に対向配置され、前記磁束により誘導電流が流れることによって、当該対向部に対応する前記電磁誘導発熱層領域に作用する励磁コイルの磁束が低減する方向に変化させられる磁束調整部材とを有することを特徴とする画像記録装置。
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