JP4167451B2 - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法及びインクジェット記録用インクカートリッジ - Google Patents
インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法及びインクジェット記録用インクカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置を用いて、特に普通紙複写機用紙(PPC用紙)等に、文字、画像、記号などの情報を記録するインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は従来より被記録材を選ばない優れた記録方法として知られており、記録装置、記録方法、記録材料などについて研究開発が盛んに行われてきた。
しかしながら、実際には、従来から開発、商品化されてきたインクジェット記録装置においては、インクジェット用紙、インクジェット用トランスペアレンシーフィルムと称されるようなインクジェット用に特に開発された専用の被記録材を用いないと、1)良好な定着性、2)いわゆる「切れ」の良い、文字、画像の周辺部分にボケ、にじみ(以下フェザリングと称する)の生じない記録画像、3)光学的濃度(Optical Density:OD)の高い記録画像、を得ることが困難であった。普通紙複写機用紙(PPC用紙)、レター用紙、ボンド用紙、葉書、便せん、封筒、レポート用紙等のオフィス、家庭などで一般的に使われているような紙、及び一般に市販されているようなトランスペアレンシーフィルム(OHPフィルム)等の被記録材に従来から知られているようなインクジェット記録装置で記録を行った場合、前記1)〜3)の特性を同時に満足させることはできていない。
【0003】
インクジェット用紙を用いれば前記の特性を満足させることは可能であるが、インクジェット用紙は一般的に高価である。また、一般に片面コート紙が用いられるため、コートしていない面に記録を行うと定着性、印字品位が著しく低下するという欠点がある。これらの問題が、インクジェット記録装置の一層の普及を妨げる原因の一つになっていた。
【0004】
そこで、前記1)〜3)の特性を得るために様々な開発が行われてきた。例えば次のような従来技術が開示されている。
(1)特開昭56−57862号公報、特開昭57−102970号公報、特開昭57−102971号公報に示されるようなpH13程度の強アルカリ性インク。
(2)常温では固体のワックス状のインクを加熱して溶融状態で吐出させることにより記録を行う方法(特開昭61−159470号公報、特開昭62−48774号公報、特開昭56−57862号公報など)。
(3)非水溶性の有機溶剤を液媒体として使った油性のインクを用いて記録を行う方法など。
【0005】
また、上記1)の良好な定着性を得るための従来技術としては次のようなものが開示されている。
(4)特開昭55−29546号公報で示されるような界面活性剤を多量に含むインク。
(5)特開昭56−49771号公報で示されるようなグリセリンとN−メチル−2−ピロリドンと直接染料とcmc以下の量の低表面張力の界面活性剤を組み合わせたインク。
(6)特開昭56−57862号公報、特開昭57−102971号公報で示されるようなインクのpHを強アルカリ性にして、更にフッ素系の界面活性剤を添加したインク。
【0006】
しかし、(1)の従来技術は、インクが強アルカリ性で取扱上危険性がある。
また、ロジン等をサイズ剤として用いた酸性紙には定着性が良好で印字品位も良好な印字が行えるが、近年日本においても生産量が増加してきたアルキルケテンダイマー、無水ステアリン酸等を用いた中性紙では定着性が大幅に低下する。さらには、印字品位についても若干低下する傾向がみられる。
また、この強アルカリ性のインクは紙の内部への浸透力が大きいためか、裏抜けしやすく、両面記録がきわめて困難であるという欠点もある。
【0007】
(2)の従来技術は、前記の特性1)〜3)を満足する優れた方法ではあるが、印字部分が盛り上がり、印字物を何枚も重ねて放置しておくと印字が転写したり、紙同士がくっついた状態になってしまうという欠点が知られている。さらには、インクを加熱する手段が必要になるので装置が複雑になってしまうという問題もある。
【0008】
(3)の従来技術は、定着性が特に優れている方法であるが、インクに含まれている有機溶剤の臭気、安全性に対する配慮が必要である。したがって、缶の底、箱の外側等に製造ロツト番号を印字するような工業的な用途にしか使われておらずオフィス、一般家庭で使うような状況にはなっていない。
【0009】
(4)のインクを使う従来技術は、特開昭55−80477号公報及び特開昭56−49771号公報で明らかにされているように印字品質に問題があり優れた方法であるとはいえない。
【0010】
(5)のインクを使う従来技術は、その実施例でも明らかにされているように印字後のインクの乾燥速度(本発明でいうところの「定着性」)が8〜15秒程度である。この乾燥速度は、従来知られていたインクに比べれば確かに定着性が優れているといえるが、実際に記録装置を使う立場に立ってみると8〜15秒という時間は長く感じられる。また、用紙によっては、記録装置からでてきた印字物をすぐに手に取ると手がインクで汚れることもある。さらには、用紙によってはフェザリングが顕著となることもある。したがって、なお一層の改善が望まれるものである。
【0011】
(6)の従来技術のインクについては定着時間を5秒以下にすることもできる。定着性についてはきわめて優れたインクであることは本発明者らも確認したものである。しかし、前記(1)の方法について説明したところで明らかにしたように、安全性、中性紙上での定着性・印字品位、裏抜け性に問題があり、好ましいものではない。
【0012】
また、一般的には、オフィス、一般家庭用としての用途を考え、臭気、安全性、インクの取扱性などを考慮すると水性インクを用いることが望ましい。しかし、水性インクを用いる場合、一般的に被記録材に指紋等の汚れがついていたりするとその部分だけフェザリングが発生しやすくなる傾向がある。また、紙によっては紙の表と裏では印字品位が著しく変わる場合もある。したがって、被記録材をインクジェット記録装置にセットする場合に被記録材の取扱に細心の注意が必要であるという問題もあった。
【0013】
更に、従来からよく知られているような、水溶性染料を1〜5重量%、グリコール類の様な水溶性有機溶剤を20〜50重量%含有した水性のインクを用いたマルチノズルのインクジェット記録装置はノズルから水などが蒸発してしまうことがある。そのため、印字を行わない(印字に使わない)ノズルが印字途中においてさえ目詰まりすることがある。例えば「−」を繰り返し120秒程度印字させた後、「1」を印字させると「−」を印字する際に使用したノズルは正常に吐出するが、そのほかのノズルは不吐出になってしまい、正しく「1」が印字できないというような問題を生じることもあった。
【0014】
また、印字後しばらく(例えば土日休みを想定して2昼夜程度)、記録装置を放置しておくと、ノズルからの水分の蒸発に基づくインクの粘度上昇によって起こると思われる不吐出現象はよく観察される。そのため、記録装置を使い始めるたびに不吐出現象を解決するための操作をする必要が生じるのでインクジェット記録装置は使いにくいといわれることもよくあった。
【0015】
この様なトラブルは、インクを飛翔させるのに使うエネルギーが比較的小さい記録装置を使う場合に比較的多く見受けられる。すなわち、ピエゾ素子を使ったインクジェット記録装置に比べて、バブルジェット記録装置の方が吐出エネルギーが小さいためか、特にバブルジェット記録装置でよくみられるものであり、さまざまな改善策が考案されている。
しかし、この改善策は、記録装置にキャップ、ポンプなどの様々な回復装置を組み込む必要があるため、インクジェット記録装置を複雑で、高価なものにする原因の一つとなっている。
【0016】
また、前記した1)〜3)の要求の他にも次のような要求がある。
4)異なる色間の境界のにじみ(カラーブリード)のない画像を得る。
5)両面印刷にも耐えうる裏抜けの少ない画像を得る。
6)耐水性や耐光性などの堅牢性が高い画像を得る。
【0017】
これらの要求を解決し、染料系水性インクの普通紙適性を改善すべく、顔料を着色剤として使用した水性インクが提案されている。
顔料系水性インクを普通紙に用いた場合、堅牢性の優れた画像を得ることができる。しかし、裏抜けは染料系水性インクに比べて優れるものの両面印刷を行うにはいまだ不充分なものである。
顔料を水性インクの色材として用いるためには、水性媒体中に顔料を安定して分散することが要求される。一般に、顔料は分散性がよくないため、均一分散系を得るためには、分散剤を添加して顔料を水性媒体中に分散させる方法がとられている。しかしながら、この分散剤を使用する方法によっても充分に満足し得る分散性が得られていない。このため、顔料を分散させたインクは長期保存安定性に劣るという問題があった。
【0018】
一方、インクは、インクジェット記録に用いられる場合、インクジェット記録ヘッドの微細な先端から安定な液滴となって吐出される性質を具備することが要求される。また、インクジェット記録ヘッドのオリフィスの乾燥によって固化等しないことが必須である。
しかしながら、分散剤が含有されたインクは、インクジェット記録に用いられた場合、分散剤を形成している樹脂が記録ヘッドのオリフィス等に付着してしまう。この樹脂が再溶解されないと、記録ヘッドは、目詰まりやインクの不吐出等の問題が発生する場合がある。
特に、長期間使用されていない記録ヘッドは、ノズル等の目詰まりが起こり易い。さらに、ノズルキャップ内や吸引用チューブ等の維持機構に増粘したインクが堆積し、維持機構の機能を損なう怖れもある。
また、印字を一時休止した場合、又は空白のある文書や画像の印字中に空白に対応するノズルに印字の休止期間ができた場合にも、目詰まりなどを原因としてインク滴の噴射方向が乱れてしまうことがある。いわゆる、印字不良(間欠吐出不良)等が発生してしまう可能性がある。
さらに、分散剤を含む水性顔料インクは、粘稠なため、長時間にわたる連続吐出及び高速印字を行う際にノズル先端までの経路で抵抗を起こし、吐出が不安定になり、スムーズな記録が困難になるという問題があった。
【0019】
このような問題に対しては次のような従来技術が提案されている。
(a)黒色系顔料インクに関しては、例えば、特開平5−186704号公報や特開平8−3498号公報に開示された従来技術がある。この従来技術は、カーボンの表面に親水性基を導入することによって、分散剤を使用することなく安定に分散させることができるいわゆる自己分散型カーボンブラックについて開示されている。
(b)カラー顔料系インクに関しては、例えば、特表2000−513396に開示された従来技術がある。この従来技術は、分散剤を使用することなく安定に分散させることのできるカラー顔料が開示されている。
【0020】
しかしながら、インクジェット記録用インクとして特表2000−513396のカラー顔料を使用した場合にも間欠吐出不良の問題は解決されていない。
このように、自己分散型カラー顔料も含めて従来のカラー顔料インクでは、顔料の含有率を上げることができていない。また、普通紙での高速印字を可能とするような浸透性の高い従来のインク処方と組み合わせても、良好な色調や高い画像濃度は得られていない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、第一に、次の1)乃至5)の特性を有する、従来にない優れたインクジェット記録用インク、記録方法、記録装置、記録カートリッジを提供することを目的とする。
1)被記録面を選択せず(紙、フィルムなどの表面物性、材質、裏表の影響を受けにくく)、
2)濃度(OD)の高い、
3)印字品位がよく、フェザリングのほとんどない記録が可能であり、
4)定着性がきわめて良好であり、
5)更には、特に複雑な回復装置を使うことなく、信頼性が高く、いつでも直ちに正常な印字が行える。
【0022】
また、本発明は、第二に、以下の性能を具備し、特にインクジェット記録用カラーインクに好適なインクジェット記録用インク、記録方法、記録装置、記録カートリッジを提供することを目的とする。
1)特にインクジェット記録方法を用いて普通紙に高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れている。
2)良好な色調である。
3)高い画像濃度が得られる。
4)文字、画像の周辺部分にボケ、にじみ(以下フエザリングと称する)の生じない鮮鋭度の高い記録画像が得られる。
5)異なる色間の境界にじみ(カラーブリード)が極めて少ない。
6)両面印刷にも耐えうる裏抜けの少ない画像が得られる。
7)耐水性や耐光性などの画像の堅牢性を与える。
【0023】
また、本発明は、第三に、安全性が高いインクで、複雑な漢字、斜線部や曲線部の滑らかで自然な再現記録が可能なインクジェット記録用インク、記録方法、記録装置、記録カートリッジを提供することを目的とする。
【0024】
さらに、本発明は、第四に、耐水性のよい記録画像を得ることが可能なインクジェット記録用インク、記録方法、記録装置、記録カートリッジを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は以下の手段によって達成される。
即ち、本発明は、アニオン又はノニオン系界面活性剤と、
炭素数8以上11以下のポリオール及びグリコールエーテルから選ばれる少なくとも1種と、
1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンから選ばれる少なくとも1種と、グリセリンと、を含む湿潤剤と、
顔料と、
水と、を含み、
前記水の含有量が57.8wt%以下であり、
粘度が5mPa・sec(25℃)以上であり、顔料固形分濃度が6wt%以上であることを特徴とするインクジェット記録用インクである。
【0026】
(2)炭素数8以上11以下のポリオール又はグリコールエーテルが2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのいずれかである前記(1)に記載のインクジェット記録用インクである。
【0027】
(3)顔料が、少なくとも1種の親水性基が直接に有機顔料の表面に結合された自己分散型有機顔料、及び少なくとも1種の親水性基が他の原子団を介して有機顔料の表面に結合された自己分散型有機顔料のいずれかである前記(1)〜(2)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(4)顔料固形分濃度が8wt%以上20wt%以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(5)自己分散型顔料の平均粒径が0.16μm以下である前記(3)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(6)湿潤剤対顔料の重量比が0.5以上8.0以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(7)湿潤剤対顔料の重量比が3.0以上5.0以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(8)湿潤剤の含有量が30〜40wt%である前記(1)から(7)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(9)粘度が8mPa・sec以上20mPa・sec以下(25℃)である前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(10)アニオン又はノニオン系界面活性剤の含有量が0.1wt%以上5wt%以下である前記(1)〜(9)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
(11)アニオン又はノニオン系界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選ばれる少なくとも1種である前記(1)から(10)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
【化1】
(前記式(I)中、R 1 :分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基、m:3〜12、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム又はアルカノールアミン)
【化2】
(前記式(II)中、R 2 :分岐していてもよい炭素数5〜16のアルキル基、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン)
【化3】
(前記式(III)中、R:分岐していてもよい炭素数6〜14の炭素鎖、k:5〜20)
【化4】
(前記式(IV)中、Rは分岐していてもよい炭素数6〜14の炭素鎖、n:5〜20)
【化5】
(前記式(V)中、R’は分岐していてもよい炭素数6〜14の炭素鎖、m,n:m,n≦20)
【化6】
(前記式(VI)中、p、qは0〜40)
(12)下記一般式(VII)で表される化合物を含む前記(1)〜(11)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
【化7】
(前記式(VII)中、nは5、7、8の整数を表す。)
(13)ポリオール類、ラクタム類、尿素類及び/又は糖類を含む前記(1)〜(12)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
【0028】
また、本発明に係るインクジェット記録方法は、これらのインクを用い、次の印字条件において印刷を行うことを特徴とする。
1電気信号により飛翔するインク液滴1個の体積(Mj)が5〜43pl(ピコリットル)、
液滴の速さ(Vj)が6〜20m/sec、
周波数が1KHz以上、
解像度が300dpi以上の範囲で、
ワンパス印字条件で記録を行う。
【0029】
本発明に係るインクジェット記録装置は、上記したインクジェット記録方法により印刷を行うことを特徴とする。
本発明に係るインクカートリッジは、上記したインクを収容したことを特徴とする。
本発明に係る記録物は、上記インクジェット記録装置により被記録媒体上に上記インクで印刷されたことを特徴とする。
【0030】
上記記録用インクの第1の特徴は、炭素数8以上11以下のポリオール又はグリコールエーテルとアニオン又はノニオン系界面活性剤を用いることにより、ヘッド部材への濡れが良くなり8cps(25℃)以上の高粘度インクの使用でもでも周波数応答性が向上し、吐出安定性が格段に向上したことである。
【0031】
上記記録用インクの第2の特徴は、5cps以上、好ましくは8cps(25℃)以上の高粘度インクを用いることにより印字品位が格段に向上したことである。従来のインクジェットプリンターに用いられてきた3cps(25℃)程度の低粘度インクではインク中の水分が約70%であるが、8cps(25℃)程度の高粘度インクでは約50%以下になり、インク滴が紙面上に着弾するときの水分蒸発率が2.0乃至3.0倍も高くなる。このために高濃度の顔料が紙面上で凝集する速さも速くなり滲み(フェザリング)がほとんどなくなる。
【0032】
上記記録用インクの第3の特徴は、インク中の顔料濃度が6wt%以上、好ましくは8wt%以上にすることである。顔料濃度を高めることにより、インクの粘度が高くなり、顔料が紙面上で凝集し易くなり画像濃度(OD)が向上すると共にフェザリングもほとんどなくなる。
【0033】
上記記録用インクの第4の特徴は、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれる少なく1種類以上の高粘度の湿潤剤を用いたことである。特に、グリセリンとその他の前記湿潤剤とを混合した高粘度の湿潤剤の使用が好ましい。高粘度の湿潤剤を用いると、高顔料濃度と相まって高粘度のインクを達成できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のインク組成物は、次の構成よりなるインク粘度が5cps以上、好ましくは8cps(25℃)以上の記録用インクである。印字するための着色材として顔料と、それを溶解、分散させるための溶剤とを必須成分とし、更に添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤とがある。湿潤剤1と2を混合するのは各々の湿潤剤の特徴を活かすためと粘度調整ができるためである。
【0035】
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1(グリセリン)
(3)湿潤剤2(1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれる少なくとも1種類)
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオン又はノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上11以下のポリオール又はグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調整剤
(10)純水
以下、上記(1)〜(10)のインクの各構成要素について説明する。
【0036】
上記(1)の顔料:
本発明に用いる顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0037】
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6乃至20重量%程度が好ましく、より好ましくは8乃至12重量%程度である。
【0038】
本発明において好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0039】
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
【0040】
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
【0041】
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
【0042】
本発明の好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調製するのに用いられる公知の分散剤を使用することができる。
【0043】
分散剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0044】
本発明の好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000乃至50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000乃至30,000、最も好ましくは7,000乃至15,000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。すなわち、分散剤の添加量は、顔料1重量部に対して0.06〜3重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.125〜3重量の範囲である。
【0045】
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6重量%乃至20重量%含有し、0.05μm乃至0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5,000から100,000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤がすくなくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
次に、インクジェット記録用カラーインクに好適に用いられる顔料(色材)を以下に説明する。
【0046】
上記顔料(色材)としては、少なくとも一種の親水性基がカラー顔料の表面に直接若しくは他の原子団を介して結合した分散剤を使用することなく安定に分散させることができる自己分散型カラー顔料を用いる。この顔料を用いることで、従来のインクの様に、カラー顔料を分散させるために分散剤を含有させる必要がなくなる。自己分散型カラー顔料は、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適に用いられる。
【0047】
アニオン性に帯電したカラー顔料表面に結合されている親水性基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO3NHCOR等が挙げられる。式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす。
これらの中で、−COOM、−SO3Mを親水性基として有するものを好ましく用いる。上記親水性基中の「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、有機アンモニウムとしては、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。
【0048】
アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法(カラー顔料表面に−COONaを導入する方法など)としては、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0049】
カチオン性に帯電したカラー顔料表面に結合されている親水性基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく用いられ、より好ましくは下記に挙げる第4級アンモニウム基の少なくとも一つがカラー顔料表面に結合されたものが色材として好ましく使用される。
【0050】
【化9】
【0051】
上記した様な親水基が結合されたカチオン性の自己分散型カラー顔料を製造する方法としては公知のいずれの方法を採用してもよい。例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル基を結合させる方法としては、カラー顔料を3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法がある。
【0052】
【化10】
【0053】
また、親水性基が、他の原子団を介してカラー顔料の表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基などが挙げられる。
親水性基が他の原子団を介してカラー顔料の表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−C2H4COOM、−PhSO3M、−C5H10NH3+等が挙げられるが、勿論、本発明はこれらに限定されない。
【0054】
このように、本実施の形態に係る水性顔料インクに用いられる自己分散型カラー顔料は、カラー顔料表面の親水性基によってカチオン性もしくはアニオン性に帯電している。そのため、イオンの反発によって水分散性を有し、また、親水性基により親水性も向上している。したがって、長期間放置されても、顔料の粒径や粘度が増大したりすることなく水性媒体中に安定して分散される。
【0055】
自己分散型カラー顔料は、1種類に限定されるものではなく、2種以上を混合して使用して色調を調整してもよい。また、自己分散型カラー顔料に加えて染料を使用してインクの色調を調整してもよい。
【0056】
カラー顔料としては、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドンおよび(チオ)インジゴイドなどが挙げられる。
【0057】
フタロシアニンブルーの代表的な例は、銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(ピグメントブルー15)などが挙げられる。
【0058】
キナクリドンの代表的な例は、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19およびピグメントバイオレット42などが挙げられる。
【0059】
アントラキノンの代表的な例は、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)およびピグメントレッド226(ピラントロンレッド)をなどが挙げられる。
ピレリンの代表的な例は、ピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マルーン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)およびピグメントレッド224などが挙げられる。
【0060】
(チオ)インジゴイドの代表的な例は、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36およびピグメントバイオレット38などが挙げられる。
【0061】
複素環式イエローの代表的な例は、ピグメントイエロー117およびピグメントイエロー138などが挙げられる。
【0062】
他の適切な着色顔料の例は、例えば、The Colour Index、第三版(The Society of Dyersand Colourists,1982)などに記載されている。
【0063】
上記(2)乃至(4)の湿潤剤と水溶性有機溶剤:
本発明のインクは水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶媒が使用される。これら水溶性有機溶媒は複数混合して使用してもよい。
湿潤剤と水溶性有機溶媒の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0064】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等。
【0065】
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200乃至600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
【0066】
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここでn=2乃至5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1乃至40重量%、好ましくは0.5乃至30重量%の範囲が適当である。
【0067】
顔料と湿潤剤の比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルプレート上で顔料の乾燥が進み吐出不良をもたらす。
湿潤剤の配合量は10乃至50wt%であり、これに対して顔料濃度は6wt%以上、好ましくは8乃至20wt%であるので、湿潤剤と顔料固形分の両者の比は0.5乃至8.0となるが、より好ましくは2.0乃至6.0であり、最も好ましくは3.0乃至5.0の範囲である。この範囲にあるインクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好である。
【0068】
上記(5)の界面活性剤:
界面活性剤は特に限定されないが、アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
前記界面活性剤は、単独又は二種以上を混合して用いることができる。
【0069】
上記(6)の炭素数8以上11以下のポリオール又はグリコールエーテル:
本発明に用いる炭素数8以上11以下のポリオール又はグリコールエーテルは、25℃の水中において0.1乃至4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオール及び/又はグリコールエーテルを記録用インク全重量に対して0.1乃至10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性及び周波数安定性が得られることが分かった。
(1)2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
溶解度:4.2%(20℃)
(2)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
溶解度:2.0%(25℃)
25℃の水中において0.1乃至4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1乃至4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のインクを作製することが可能となる。
【0070】
上記(7)のエマルジョン:
本発明の記録用インクには樹脂エマルジョンが添加されているのが好ましい。
樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5乃至100nm程度である。
【0071】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。
例えば、アクリル系樹脂又はスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステル又はスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1乃至5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60乃至400重量部、好ましくは100乃至200の範囲が適当である。
【0072】
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などが挙げられる。
【0073】
本発明に使用するインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1乃至40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1乃至25重量%の範囲である。
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
【0074】
上記(8)乃至(10)の添加剤:
本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
【0075】
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
【0076】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0077】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0078】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0079】
その他、目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
【0080】
次に本発明の記録液を収容した記録液カートリッジ及び記録液カートリッジを具備するインクジェット記録装置について、図面を参照して説明するが、以下は構成例のひとつに過ぎず、本発明になんら限定を加えるものではない。
【0081】
図1は本発明の記録液を収容した記録液収容部を備えたインクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である。
このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側板1、2間に主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4でキャリッジユニット5を主走査方向に摺動自在に支持している。キャリッジユニット5には、それぞれイエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクをそれぞれ吐出する4個のヘッド6を、その吐出面(ノズル面)6aを下方に向けて搭載し、またキャリッジユニット5のヘッド6の上側には4個のヘッド6に各々インクを供給するための各色のインク供給体である4個のインクカートリッジ7y、7m、7c、7kを交換可能に搭載している。
【0082】
そして、キャリッジユニット5は主走査モータ8で回転される駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)9と従動プーリ(アイドラプーリ)10との間に張装したタイミングベルト11に連結して、主走査モータ8を駆動制御することによってキャリッジ5、即ち4個のヘッド6を主走査方向に移動するようにしている。
【0083】
また、側板1、2をつなぐ底板12上にサブフレーム13、14を立設し、このサブフレーム13、14間に用紙16を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬送ローラ15を回転自在に保持している。そして、サブフレーム14側方に副走査モータ17を配設し、この副走査モータ17の回転を搬送ローラ15に伝達するために、副走査モータ17の回転軸に固定したギヤ18と搬送ローラ15の軸に固定したギヤ19とを備えている。
【0084】
さらに、側板1とサブフレーム12との間には、ヘッド6の信頼性維持回復機構(以下、「サブシステム」という。)21を配置している。サブシステム21は、各ヘッド6の吐出面をキャッピングする4個のキャップ手段22をホルダ23で保持し、このホルダ23をリンク部材24で揺動可能に保持して、キャリッジユニット5の主走査方向の移動でホルダ23に設けた係合部25にキャリッジユニット5が当接することで、キャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフトアップしてキャップ手段22でインクジェットヘッド6の吐出面6aをキャッピングし、キャリッジユニット5が印写領域側へ移動することで、キャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフトダウンしてキャップ手段22がインクジェットヘッド6の吐出面6aから離れるようにしている。
【0085】
なお、キャップ手段22は、それぞれ吸引チューブ26を介して吸引ポンプ27に接続すると共に、大気開放口を形成して、大気開放チューブ及び大気開放バルブを介して大気に連通している。また、吸引ポンプ27は吸引した廃液を、ドレインチューブ等を介して図示しない廃液貯留槽に排出する。
さらに、ホルダ23の側方には、インクジェットヘッド6の吐出面6aをワイピングする繊維部材、発泡部材或いはゴム等の弾性部材からなるワイピング手段であるワイパブレード28をブレードアーム29に取付け、このブレードアーム29は揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回転によって揺動させるようにしている。
【0086】
次に、インクカートリッジ7について、図2、図3を参照して説明する。ここで、図2は記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図、図3はインクカートリッジの正断面図である。
インクカートリッジ7は、図3に示すように、カートリッジ本体41内に所要の色のインクを吸収させたインク吸収体42を収容してなる。カートリッジ本体41は、上部に広い開口を有するケース43の上部開口に上蓋部材44を接着又は溶着して形成したものであり、例えば樹脂成型品からなる。また、インク吸収体42は、ウレタンフォーム体等の多孔質体からなり、カートリッジ本体41内に圧縮して挿入した後、インクを吸収させている。
【0087】
カートリッジ本体41のケース43底部には記録ヘッド6へインクを供給するためのインク供給口45を形成し、このインク供給口45内周面にはシールリング46を嵌着している。また、上蓋部材44には大気開放口47を形成している。
そして、カートリッジ本体41には、装填前の状態で、インク供給口45を塞ぐと共に装填時や輸送時などのカートリッジ取扱い時、或いは真空包装時による幅広側壁に係る圧力でケース43が圧縮変形されて内部のインクが漏洩することを防止するため、キャップ部材50を装着している。
【0088】
また、大気開放口47は、図2に示すように、酸素透過率が100ml/m2以上のフィルム状シール部材55を上蓋部材44に貼着してシールしている。このシール部材55は大気開放口47と共にその周囲に形成した複数本の溝48をもシールする大きさにしている。このように大気開放口47を酸素透過率が100ml/m2以上のシール部材55でシールすることで、インクカートリッジ7を透気性のないアルミラミネートフィルム等の包装部材を用いて減圧状態で包装することにより、インク充填時やインク吸収体42とカートリッジ本体41との間に生じる空間A(図3参照)にある大気のためにインク中に気体が溶存したときでも、シール部材55を介してインク中の空気が真空度の高いカートリッジ本体41外の包装部材との間の空間に排出され、インクの脱気度が向上する。
【0089】
また、図4には、本発明の記録液を収容した記録液収容部と、記録液滴を吐出させるためのヘッド部を備えた記録カートリッジの構成例を示し説明する。
すなわち、記録ユニット30は、シリアルタイプのものであり、インクジェットヘッド6と、このインクジェットヘッド6に供給される記録液を収容するインクタンク41と、このインクタンク41内を密閉する蓋部材とで主要部が構成される。インクジェットヘッド6には、記録液を吐出するための多数のノズル32が形成されている。記録液はインクタンク41から、図示しないインク供給管を介して、やはり図示しない共通液室へと導かれ、電極31より入力される記録装置本体からの電気信号に応じて、ノズル32より吐出される。
【0090】
このようなタイプの記録ユニットは、構成上、安価に製造できるタイプのヘッド、いわゆるサーマル方式、バブル方式と呼ばれる、熱エネルギーを駆動の動力源とするヘッドに適した構造である。本発明の記録液は、バブルやサーマル方式等の記録方法において、成分(A)を添加することによって、熱素子への濡れ性が改良されるため、量の添加量でも吐出安定性及び周波数安定性が得られ、かつ安全性も高く、非常に適している。
【0091】
ここでは、前述のようなシリアル型インクジェット記録装置を説明したが、本発明の記録液は、ノズルを千鳥など任意の配列で、目的とする画像の解像度と同じか数分の1程度の密度に集積し、記録媒体の幅以上に配列させた、いわゆるラインヘッドを有する記録装置に適用することも可能である。
また、ここでいう記録装置とは、PCやデジカメ用の出力プリンタのみならず、ファックスやスキャナ、電話などと組み合わせた複合的な機能を有する装置であっても構わない。
【0092】
(製造例)
次に、本発明に係るインクジェット記録用インクの製造例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの製造例に限定されて解釈されるものではない。
【0093】
顔料の表面処理
黒としては、ファーネス法、チャンネル法で製造されるかーボンブラックで、1次粒子が15nmから40nm、BET吸着法による比表面積が50乃至300m2/g、DBP吸油量が40乃至150ml/100g、揮発分が0.5乃至10%、pH2乃至9を有するものが使用され、特にpH6以下の酸性カーボンブラックが高濃度で好ましい。また次亜塩素酸化処理したカーボンブラックやスルホン化剤処理したカーボンブラック、ジアゾニュウム化合物にて処理してスルホン酸、カルボン酸等のアニオン性解離基を導入したカーボンブラックがさらに好ましい。
イエロー顔料としてはベンチジン骨格を含まないC.Iピグメントイエロー74、128、138が好ましい。マゼンタ顔料としてはキナクリドン系のC.I.ピグメントレッド122、209が好ましい。シアンはフタロシアニン化合物であるC.I.ピグメントブルー15:3やアルミ配位フタロシアニン、無金属フタロシアニンが好ましい。これらカラー有機顔料も表面処理によりスルホン酸基、カルボン酸基が導入された顔料はさらに分散安定性が優れ、分散剤なしに分散安定性が得られるものは自己分散顔料として好適に用いることができる。
また表面をカプセル化した顔料やポリマーをグラフトした顔料等も分散安定性に優れ信頼性の高いインクとすることができる。
【0094】
製造例1(次亜塩素酸処理したカーボンブラック1)
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック(キャボット社製、商品名モナーク1300)300gを水1000ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100乃至105℃で8時間攪拌した。
この液に更に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)100gを加え、横型分散機で3時間分散した。得られたスラリーを水で10倍に希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整し、電導度0.2mS/cmまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。遠心処理により粗大粒子を除き、さらに1ミクロンのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック分散液1とした。マイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は95nmであった。
【0095】
製造例2(スルホン化剤処理したカーボンブラック2)
市販のカーボンブラック顔料(デグサ社製「プリンテックス#85」)150gをスルホラン400ml中に良く混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140乃至150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウエットケーキを得る。このカーボンブラックウエットケーキを2000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮し顔料濃度10重量%のカーボンブラック分散液とした。このものを1ミクロンのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック液2とした。平均粒子径は80nmであった。
【0096】
製造例3(ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液3)
表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で攪拌した。5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間攪拌した。得られたスラリーを10倍に希釈し遠心処理し粗大粒子を除き、pHをジエタノールアミンにて調整しpH8乃至9とし、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。このものをポリプロピレンの0.5μmフィルターにてカーボンブラック分散液3とした。平均粒子径は99nmであった。
【0097】
製造例4(ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液4)
2リットルの水と43gのスルファニル酸を含む約75℃の溶液を、攪拌しながら、230m2/gの表面積と70ml/100gのDBPAを有する202gのカーボンブラックに添加した。この混合物を攪拌しながら室温まで冷やし、26.2gの濃硝酸を添加した。水中の亜硝酸ナトリウムの20.5gの溶液を添加した。4−スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩を作製し、これをカーボンブラックと反応させた。発生した泡立ちが停止するまで分散系を攪拌した。得られたスラリーを希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整しpH8−9として粗大粒子を遠心処理にて除き、引き続いて限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。このものをポリプロピレンの1μmフィルターにて濾過しカーボンブラック分散液4とした。平均粒子径は95nmであった。
【0098】
製造例5(表面化学処理したカラー顔料分散液(イエロー分散液1、マゼンタ分散液1、シアン分散液1))
イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のイエロー顔料分散液1とした。平均粒子径70nmであった。
同様にマゼンタ顔料としてC.I.ピグメントマゼンタ122を用いて顔料濃度15%のマゼンタ顔料分散液1を作製した。平均粒子60nmであった。
同様にシアン顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用いて顔料濃度15%のシアン顔料分散液1を作製した。平均粒子径80nmであった。
【0099】
製造例6(自己分散型フタロシアニン顔料の調製(シアン色))
20gのフタロシアニンブルー(ピグメントブルー15:3)を4.0gのスルファニル酸と混合した。この混合物を70℃のウォーターバス中のビーカーに入れた。このビーカーに、74.32gの蒸留水中に溶解した1.68gの亜硝酸ナトリウムからなる溶液を急速に混合しながら加え、顔料入りのスラリーを形成した。この溶液に、塩化水素酸を加え、スラリーのpHを2に調節した。 マグネティックスターラーを用いて1時間、スラリーを70℃において急速に混合し、その後、70℃で炉内で乾燥させた。
得られた材料は、乾燥した、C6H4SO3 −NA+基を有する、改質された着色顔料であった。
表面改質された着色顔料である試料6gを、ソックレー抽出器中においてメタノールを用いて10時間抽出し、あらゆる反応副生成物を除去し、そして再乾燥した。得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0100】
製造例7(自己分散型キナクリドン顔料の調製(マゼンタ色))
製造例6の手順により、表面改質されたキナクリドン顔料を調製したが、フタロシアニンブルーの代わりに、ホスタパームピンクE顔料(ピグメントレッド122)を用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0101】
製造例8(自己分散型イエロー顔料の調整(イエロー色))
製造例6の手順により、表面改質されたイエロー顔料を調製したが、フタロシアニンブルーの代わりに、ピグメントイエロー74を用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0102】
製造例9(自己分散型イエロー顔料の調整(カチオン性))
製造例6の手順により、表面改質されたイエロー顔料を調製したが、フタロシアニンブルーの代わりに、ピグメントイエロー74を用いた。スルファニル酸の代わりにN−(4−アミノフェニル)ピリジウムクロリドを用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0103】
本発明では界面活性剤を使用することで記録紙への濡れ性を改善することができる。好ましい界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。より具体的にはアニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩(I)、及び/又は炭素鎖が5乃至7の分岐していてもよいアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸(II)を用いることで普通紙特性も改善され、さらに着色剤の溶解分散安定性が選られる。
【化11】
(R1:炭素数6乃至14の分岐していてもよいアルキル基、m:3乃至12、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム又はアルカノールアミン)
【0104】
【化12】
(R2:炭素数5乃至16の分岐していてもよいアルキル基、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン)
【0105】
さらに、本発明の界面活性剤の対イオンとしてリチウムイオン及び下記一般式で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムを用いることにより界面活性剤が優れた溶解安定性を示す。好ましい非イオン系の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである一般式(III)、アセチレングリコール系界面活性剤である一般式(IV)の活性剤が挙げられる。これらを併用することによりさらに相乗効果として浸透性が挙げられ、これにより色境界にじみが低減され、また文字にじみも少ないインクが得られる。
【0106】
【化13】
(Rは分岐していてもよい6乃至14の炭素鎖、k:5乃至20)
【0107】
【化14】
(Rは分岐していてもよい炭素数6から14の炭素鎖、n:5乃至20)
【0108】
また、一般式(V)や(VI)表される化合物も採用できる。
【0109】
【化15】
(R’は分岐していてもよい炭素数6から14の炭素鎖、m,n:m,n≦20)
【0110】
【化16】
(p、qは0乃至40)
【0111】
以上の所謂普通紙に記録することにより高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。ただし、pHが9以上では保存時に(II)の活性剤では分解による物性変化が起こりやすいため(II)を用いる場合はpHを6乃至9とすることが好ましい。
なお、このインクのpHを6以上にすることによりインクの保存安定性が得られ、また、オフィスで使用されているコピ−用紙や用箋等はpHが5乃至6のものが多く、これらの記録紙にインクを9乃至60μmの微細な吐出口より吐出し重量が3ng乃至50ngの液滴として5乃至20m/sで飛翔させ、単色での付着量を1.5g/m2から30g/m2としてJIS P−8122試験法によるステキヒトサイズ度が3秒以上の所謂普通紙に記録することにより高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。ただし、pHが9以上では保存時に(II)の活性剤では分解による物性変化が起こりやすいため(II)を用いる場合はpHを6乃至9とすることが好ましい。
【0112】
本発明に用いることができる一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)で表わされる活性剤の添加量は0.05乃至10重量%の間でプリンターシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性をあたえることが可能である。ここで0.05%以下ではいずれの場合も2色重ね部の境界でのにじみが発生し、10重量%以上添加する場合は化合物自体が低温で析出しやすことがあり信頼性が悪くなる。
【0113】
次に本発明に用いる界面活性剤(I)、(II)を具体的に遊離酸型で示す。
【0114】
【化17】
【0115】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載の各成分の量(%)は重量基準である。また、ここで使用しているエマルジョンは、前記のマイクロジェルE−1002、E−5002、ボンコート4001、ボンコート5454、SAE−1014あるいはサイビノールSK−200である。
【0116】
(実施例1)
下記処方のインク組成物を作製し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
カーボン分散液1 8.0%(カーボンブラック固形分濃度)
トリエチレングリコール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−1)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0117】
(実施例2)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
カーボン分散液2 10.0%(カーボンブラック固形分濃度)
プロピレングリコール 30.0%
グリセロール 10.0%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
具体例(I−2)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0118】
(実施例3)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
カーボン分散液3 12.0%(カーボンブラック固形分濃度)
ジプロピレングリコール 20.0%
グリセロール 10.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−3)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0119】
(実施例4)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
カーボン分散液4 10.0%(カーボンブラック固形分濃度)
1,3−ブタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−4)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0120】
(実施例5)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
エマルジョン被覆型カーボンブラック分散液(花王社製)
9.0%(カーボンブラック固形分濃度)
2,3−ブタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 3.0%
具体例(I−5)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0121】
(実施例6)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型カーボンブラック分散液(東洋インキ社製)
10.0%(カーボンブラック固形分濃度)
ジプロピレングリコール 15.0%
グリセロール 15.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−6)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0122】
(実施例7)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
カルボキシル基付加型カーボンブラック(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)分散液
13.0%(カーボンブラック固形分濃度)
1,3−プロパンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 5.0%
具体例(II−1)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0123】
(実施例8)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
スルホン基付加型カーボンブラック(キャボット・スぺシャルティ・ケミカルズ・インク社製)分散液
14.0%(カーボンブラック固形分濃度)
1,4−ブタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
具体例(II−2)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0124】
(実施例9)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
カルボキシル基付加型カーボンブラック(オリエント化学工業社製)分散液
10.0%(カーボンブラック固形分濃度)
1,5−ペンタンジオール 15.0%
グリセロール 15.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0%
具体例(II−3)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0125】
(実施例10)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
マイクロカプセル包含型カーボンブラック(大日本インキ化学工業社製)分散液
11.0%(カーボンブラック固形分濃度)
1,6−ヘキサンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 3.0%
具体例(II−4)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0126】
(実施例11)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
高分子分散剤分散型カーボンブラック(大日精化工業社製)分散液
8.0%(カーボンブラック固形分濃度)
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
具体例(III)の活性剤(R=C6、k=5) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0127】
(実施例12)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
界面活性剤分散型カーボンブラック(富士色素社製)分散液
8.0%(カーボンブラック固形分濃度)
1,2,6−ヘキサントリオール 30.0%
グリセロール 10.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
具体例(IV)の活性剤(R=C6、n=5) 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0128】
(実施例13)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
カルボキシル基付加型自己分散型カーボンブラック分散液(大成化工社製)
10.0%(カーボンブラック固形分濃度)
トリメチロールプロパン 20.0%
グリセロール 20.0%
2−ピロリドン 4.0%
具体例(V)の活性剤(R=6、n=2、m=3) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0129】
(実施例14)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
高分子分散剤分散型カーボンブラック(御国色素社製)分散液
8.0%(カーボンブラック固形分濃度)
トリメチロールエタン 22.5%
グリセロール 7.5%
具体例(VI)の活性剤(p+q=15、p+q=0の混合) 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0130】
(シアン顔料インク)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
シアン分散液1 6.0%(シアン顔料固形分濃度)
尿素 22.5%
グリセロール 7.5%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
ECTD−3NEX
(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0131】
(マゼンタ顔料インク)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
マゼンタ分散液1 6.0%(マゼンタ顔料固形分濃度)
1,3−ジメチルイミダゾリジノン 15.0%
グリセロール 15.0%
2−ピロリドン 5.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0132】
(イエロー顔料インク)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
イエロー分散液1 6.0%(イエロー顔料固形分濃度)
マルチトース 25.0%
グリセロール 15.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
ディスパノールTOC(日本油脂製ノニオン系界面活性剤) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0133】
(比較例1)
下記処方のインク組成物を作製し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
カルボキシル基付加型カーボンブラック分散液
(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)
5.0%(カーボンブラック固形分濃度)
エチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
2−ピロリドン 2.0%
ECTD−3NEX
(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0134】
(比較例2)
下記組成物を用いる以外は比較例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
高分子分散剤分散型カーボンブラック分散液(大日精化工業社製)
5.0%(カーボンブラック固形分濃度)
ジエチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0135】
(比較例3)
下記組成物を用いる以外は比較例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
界面活性剤分散型カーボンブラック分散液(富士色素社製)
5.0%(カーボンブラック固形分濃度)
トリエチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0%
ディスパノールTOC(日本油脂社製ノニオン系界面活性剤)1.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0136】
(比較例4)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
高分子分散剤分散型カーボンブラック分散液
5.0%(カーボンブラック固形分濃度)
エチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
2−ピロリドン 2.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0137】
(比較例5)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型カーボンブラック分散液(大成化工社製)
5.0%(カーボンブラック固形分濃度)
ジエチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ製アニオン系界面活性剤) 1.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0138】
実施例1〜14のインク組成物とシアン、マゼンタ、イエロー顔料インク及び比較例1〜5のインク組成物の顔料濃度、湿潤剤濃度及びインク粘度を表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
(実施例15)
下記処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
自己分散型フタロシアニン顔料 8.0%
トリエチレングリコール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−1)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0141】
(実施例16)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型キナクリドン顔料 10.0%
プロピレングリコール 30.0%
グリセロール 10.0%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
具体例(I−2)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0142】
(実施例17)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(PY74) 10.0%
1,3−ブタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−4)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0143】
(実施例18)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型シアン顔料 9.0%
2,3−ブタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 3.0%
具体例(I−5)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0144】
(実施例19)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型キナクリドン顔料 10.0%
ジプロピレングリコール 15.0%
グリセロール 15.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−6)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0145】
(実施例20)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(PY74) 13.0%
1,3−プロパンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 5.0%
具体例(II−1)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0146】
(実施例21)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型シアン顔料 14.0%
1,4−ブタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
具体例(II−2)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0147】
(実施例22)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型キナクリドン顔料 10.0%
1,5−ペンタンジオール 15.0%
グリセロール 15.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0%
具体例(II−3)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0148】
(実施例23)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(PY74) 11.0%
1,6−ヘキサンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
2−ピロリドン 3.0%
具体例(II−4)の活性剤 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0149】
(実施例24)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(カチオン性処理 PY74) 8.0%
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
一般式(III)の活性剤(R=C6、k=5) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0150】
(実施例25)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型シアン顔料 8.0%
1,2,6−ヘキサントリオール 30.0%
グリセロール 10.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
一般式(III)の活性剤(R=C6、n=5) 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0151】
(実施例26)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型キナクリドン顔料 10.0%
トリメチロールプロパン 20.0%
グリセロール 20.0%
2−ピロリドン 4.0%
一般式(V)の活性剤(R=6、n=2、m=3) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0152】
(実施例27)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(PY74) 8.0%
トリメチロールエタン 22.5%
グリセロール 7.5%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
一般式(VI)の活性剤(p+q=15、p+q=0の混合) 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0153】
(実施例28)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型シアン顔料 6.0%
尿素 22.5%
グリセロール 7.5%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
ECTD−3NEX
(日光ケミカルズ社製、アニオン系界面活性剤) 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0154】
(実施例29)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型キナクリドン顔料 6.0%
1,3−ジメチルイミダゾリジノン 15.0%
グリセロール 15.0%
2−ピロリドン 5.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ社製、アニオン系界面活性剤) 2.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0155】
(実施例30)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(PY74) 6.0%
マルチトース 25.0%
グリセロール 15.0%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0%
ディスパノールTOC(日本油脂社製、ノニオン系界面活性剤)2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0156】
(ブラック顔料インク)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
ジアゾ化合物処理したカーボン分散液 12.0%
(カーボンブラック固形分換算)
ジプロピレングリコール 20.0%
グリセロール 10.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0%
具体例(I−3)の活性剤 2.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0157】
(比較例6)
下記処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
自己分散型シアン顔料 5.0%
エチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
2−ピロリドン 2.0%
ECTD−3NEX
(日光ケミカルズ社製、アニオン系界面活性剤) 1.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0158】
(比較例7)
下記組成物を用いる以外は比較例6と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型キナクリドン顔料 5.0%
ジエチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ社製、アニオン系界面活性剤) 1.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0159】
(比較例8)
下記組成物を用いる以外は比較例6と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
自己分散型イエロー顔料(PY74) 3.0%
トリエチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0%
ディスパノールTOC
(日本油脂社製、ノニオン系界面活性剤) 1.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0160】
(比較例9)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
高分子分散型キナクリドン顔料(PR122) 4.0%
(顔料固形分)
エチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
2−ピロリドン 2.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ社製、アニオン系界面活性剤) 1.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0161】
(比較例10)
下記組成物を用いる以外は実施例15と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
界面活性剤分散型フタロシアニン顔料(PB15:3) 3.0%
(顔料固形分)
ジエチレングリコール 15.0%
グリセロール 5.0%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0%
ECTD−6NEX
(日光ケミカルズ社製、アニオン系界面活性剤) 1.0%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0%
エマルジョン 3.0%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2%
イオン交換水 残量
【0162】
実施例15〜30のインク組成物とブラック顔料インク及び比較例6〜10のインク組成物の顔料濃度、湿潤剤濃度及びインク粘度を表2に示す。
【0163】
【表2】
【0164】
次に上記実施例1〜30及び比較例1〜10について下記の試験を行った。結果を表3、表4に示す。
1)画像の鮮明性
インクジェットプリンターEM−900(セイコーエプソン社製)にて、ヘッドの駆動電圧、周波数、パルス幅を変え、下記の各紙に印刷を行った。印刷パターンは、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラー顔料インクは100%dutyで印字し、本発明の黒インクを充填したブラックインクは文字を同時に印刷した。印字条件は、Mjが35pl、Vjが20m/sec、周波数が1kHz、記録密度は360dpi、ワンパス印字とした。
キャノン社製バブルジェット方式のインクジェットプリンターBJC430とHP社製バブルジェット方式のインクジェットプリンターhp diskjet815のBKカートリッジにインクをつめ、印字条件、Mjが35pl、Vjが20m/sec、周波数が1kHz、記録密度は360dpi、ワンパス印字でべた及び文字を印字した。
リコー社製インクジェットプリンターIPSiO Jet300のヘッドの駆動電圧、周波数、パルス幅を変え、下記1)2)と条件にしてワンパス印字でべた及び文字を印字した。
【0165】
印字乾燥後、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、画像濃度を目視及び反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)により総合的に調べ、評価基準にしたがって判定した。用いた印刷試験用紙を以下に示す。
1)マイペーパー(NBSリコー社製)
2)紙源S・再生紙(NBSリコー社製)
3)PB紙(キャノン社製)
4)マルチエース(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)
5)やまゆり紙(本州製紙社製、再生紙)
6)LH紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)
7)Xerox 4024紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)
8)Neenah Bond紙(キンバリークラーク社製)
【0166】
判定基準
◎:全紙滲みの発生なく鮮明な印刷である。
○:一部の用紙(再生紙)にひげ状の滲みの発生がある。
△:全紙にひげ状の滲みの発生がある。
×:文字の輪郭がはっきりしないほど滲みが発生している。
【0167】
2)画像の乾燥性
印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけインクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。いずれの紙でも10秒以内で乾燥した場合に○と判定した。
【0168】
3)保存安定性
各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、70℃でそれぞれの条件下で3カ月保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈殿物析出の有無を調べた。どの条件で保存しても、物性等の変化がないものを○とした。
【0169】
4)印字休止時の信頼性
リコー社製プリンタIPSiO Jet300のヘッドを用いてプリンタ動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間(秒)で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその信頼性を評価した。
【0170】
【表3】
【0171】
【表4】
【0172】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係るインクジェット記録用顔料濃度が6wt%以上、少なくとも1種類以上の上記湿潤剤を含み、さらにC8〜11のポリオール、グリコールエーテルと界面活性剤を含み、インク粘度が5.0cps(25℃)以上の高粘度のインクジェット記録用インク組成物によれば、良好なインクジェット記録が行なえる。特に、このインク組成物をMjが5乃至43pl、Vjが6乃至20m/sec、周波数が1KHz以上、解像度が300dpi以上、ワンパス印字条件において使用すれば、普通紙にレーザープリンター並の高品位画質を得ることができる。(フェザリングとカラーブリードがレーザー並、画像濃度:1.4乃至1.5/従来1.1乃至1.2)。
更に、紙面上で顔料が凝集するため従来に比べて裏抜けが格段に少なくなり、両面印字が可能となった(裏抜け濃度:0.02乃至0.04/従来0.2乃至0.3)。
【0173】
本発明による顔料濃度が6wt%以上、好ましくは8wt%以上で、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤を含むインク粘度が5.0cps以上、好ましくは8.0cps以上の高粘度のインク組成物では、Mjが5〜35pl、Vjが6〜20m/sec、周波数が1KHz以上、解像度が300dpi以上、ワンパス印字条件において、普通紙にレーザープリンター並の高品位画質を可能とすることができた(フェザリングとカラーブリードがレーザー並、画像濃度:1.4〜1.5/従来1.1〜1.2)。
さらに、紙面上で顔料が凝集するため従来に比べて裏抜けが格段に少なくなり、両面印字が可能となった(裏抜け濃度:0.02〜0.04/従来0.2〜0.3)。
特に、このようなインクジェット記録用カラーインクは、従来の浸透系インクの問題点であるフェザリングや印字濃度の低下、カラーブリード等の画像品質を解決できる。
【0174】
また、炭素数8以上、11以下のポリオールと上記一般式(I)〜(VI)で表されるの界面活性剤の相互作用により、顔料濃度が6wt%以上、8.0cps以上の高粘度であっても、ほとんどの被記録材に対して速やかに定着し、十分な耐マーカー性も得られる。また、ヘッド部材への濡れがよくなり、インク組成物気泡排出性の向上し、周波数応答性の向上し、吐出安定性が格段に向上した。
【0175】
また、インク組成物が高顔料濃度で高粘度インクであっても、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤の効果により、従来の高顔料・高粘度インクに比べノズルの目詰まりが無く、安定した印字が可能となった。また、従来の高顔料・高粘度インクに比べ保存安定性が格段に向上した。
【0176】
また、湿潤剤がグリセリンと前記グリセリン以外の湿潤剤のいずれか1種とすれば、高粘度の湿潤剤とグリセリンを混合した高粘度の湿潤剤が得られ、高顔料濃度と相まって高粘度のインクを達成できる。
【0177】
また、顔料濃度を前記した範囲内に設定すれば、インクの粘度が高くなり、顔料が紙面上で凝集し易くなり、画像濃度(OD)が向上すると共にフェザリングもほとんどなくなる。
【0178】
また、表面にカルボキシル基、スルホン基、カルボニル基、又はヒドロキシル基を有する自己分散型顔料を用いれば、水中における顔料の分散性を良好にできる。
【0179】
また、湿潤剤対顔料の重量比を前記した範囲内におさめれば、顔料を安定に分散させ、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好となる。
【0180】
また、インクの粘度を前記した範囲内に設定すれば印字品位が格段に向上する。このような高粘度インクではインク中の水分が約50%以下になり、インク滴が紙面上に着弾するときの水分蒸発率が2.0〜3.0倍も高くなる。このために高濃度の顔料が紙面上で凝集する速さも速くなり滲み(フェザリング)がほとんどなくなる。
【0181】
また、ポリオール又はグリコールエーテルを2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールとすると、インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性及び周波数安定性が得られる。
【0182】
また、一般式(VII)で表される化合物を含めれば、高浸透性のインク中の色材を紙面上に留めることができ、画像濃度(OD)を高めると共にフェザリングを低減することができる。
【0183】
また、ポリオール類、ラクタム類、尿素類又は糖類を含めれは、好ましい湿潤性が得られる。
【0184】
本発明によるインクジェット記録方法は、上記インクを用いてインクジェット記録を行うため、従来問題とされたフェザリングや印字濃度の低下、カラーブリード等の画像品質の改良された高品位の画質を得ることができる。
また、記録ヘッドのノズルプレートの表面に撥インク性皮膜層が共析メッキにより形成されたインクジェット記録装置と上記本発明のインクを用いて記録すれば、インク滴の大きさの変化や吐出不良といった問題が防止され、フェザリングや印字濃度の低下、カラーブリード等の発生がない高品位の画質を得ることができる。
【0185】
本発明によれば、高浸透特性で、かつ高い信頼性、安全性と優れた画像特性が可能となる記録液を収容した記録液カートリッジおよびこのカートリッジを具備した記録装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した記録液を収容するインクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の構成例を示す概略正面図。
【図2】記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図。
【図3】インクカートリッジの正断面図。
【図4】記録ヘッドと一体化された記録ユニットの外観斜視図。
【符号の説明】
3 主支持ガイドロッド
4 支持ガイドロッド
5 キャリッジユニット
6 ヘッド
7y、7m、7c、7k インクカートリッジ
9 駆動プーリ
10 従動プーリ
11 タイミングベルト
15 搬送ローラ
16 用紙
21 サブシステム
22 キャップ手段
23 ホルダ
24 リンク部材
25 係合部
26 吸引チューブ
27 吸引ポンプ
30 記録ユニット
31 電極
32 ノズル
41 カートリッジ本体
42 インク吸収体
43 ケース
44 上蓋部材
46 シールリング
45 インク供給
47 大気開放口
55 フィルム状シール部材
Claims (22)
- アニオン又はノニオン系界面活性剤と、
炭素数8以上11以下のポリオール及びグリコールエーテルから選ばれる少なくとも1種と、
1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンから選ばれる少なくとも1種と、グリセリンと、を含む湿潤剤と、
顔料と、
水と、を含み、
前記水の含有量が57.8wt%以下であり、
粘度が5mPa・sec(25℃)以上であり、顔料固形分濃度が6wt%以上であることを特徴とするインクジェット記録用インク。 - 炭素数8以上11以下のポリオール又はグリコールエーテルが2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのいずれかである請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 顔料が、少なくとも1種の親水性基が直接に有機顔料の表面に結合された自己分散型有機顔料、及び少なくとも1種の親水性基が他の原子団を介して有機顔料の表面に結合された自己分散型有機顔料のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 顔料固形分濃度が8wt%以上20wt%以下である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 自己分散型顔料の平均粒径が0.16μm以下である請求項3から4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 湿潤剤対顔料の重量比が0.5以上8.0以下である請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 湿潤剤対顔料の重量比が3.0以上5.0以下である請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 湿潤剤の含有量が30〜40wt%である請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 粘度が8mPa・sec以上20mPa・sec以下(25℃)である請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- アニオン又はノニオン系界面活性剤の含有量が0.1wt%以上5wt%以下である請求項1から9のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- アニオン又はノニオン系界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選ばれる少なくとも1種である請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 下記一般式(VII)で表される化合物を含む請求項1から11のいずれかに記載のイ ンクジェット記録用インク。
- ポリオール類、ラクタム類、尿素類及び/又は糖類を含む請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 請求項1から13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクに、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかを作用させてインク吐出を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
- インク滴一滴の容量(Mj)が5〜43pl、インク滴の速度(Vj)が6〜20m、周波数1KHz以上、解像度が300dpi以上、ワンパス印字条件において記録を行う請求項14に記載のインクジェット記録方法。
- 記録装置本体又はインクカートリッジに設けられた記録ヘッドのノズルプレートの表面に撥インク性皮膜層が共析メッキにより形成されたインクジェット記録装置と、請求項1から13のいずれかに記載のインクを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1から13のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを収容したインク収容部を備えたことを特徴とするインクジェット記録用インクカートリッジ。
- さらに、インクを吐出させるためのインクジェット記録ヘッド部を備えた請求項17に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
- インクジェット記録ヘッド部が、ノズルプレートの表面に撥インク性皮膜層が共析メッキにより形成された請求項18に記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
- インクジェット記録ヘッド部が、ノズル径が30μm以下のノズルを有する請求項17から19のいずれかに記載のインクジェット記録用インクカートリッジ。
- 請求項1から13のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを収容したインク収容部若しくはインクカートリッジと、前記インクをエネルギーの作用により滴化し吐出させるためのインクジェット記録ヘッド部若しくは当該ヘッド部を備えた記録ユニットとを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項19に記載のインクジェット記録装置により記録が行われた記録物。
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