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JP4166642B2 - 共連続体構造を有する樹脂及びその製造方法、並びに用途 - Google Patents

共連続体構造を有する樹脂及びその製造方法、並びに用途 Download PDF

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JP4166642B2 JP2003272865A JP2003272865A JP4166642B2 JP 4166642 B2 JP4166642 B2 JP 4166642B2 JP 2003272865 A JP2003272865 A JP 2003272865A JP 2003272865 A JP2003272865 A JP 2003272865A JP 4166642 B2 JP4166642 B2 JP 4166642B2
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Description

本発明は、例えば、樹脂成形物等への塗料やプライマーとして又は接着剤等として有用な樹脂に関する。
ポリオレフィン系樹脂は一般に生産性が良く、各種成形性にも優れ、しかも軽量で防錆かつ耐衝撃性がある等といった多くの利点がある。したがって、自動車や船舶等の内装や外装、家電や家具、雑貨、建築の材料等として広範囲の用途に使用されている。
ポリオレフィン系樹脂は、一般にポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂等に代表される極性を有する合成樹脂とは異なり、非極性かつ結晶性である。したがって、汎用の塗料や接着剤では、ポリオレフィン系樹脂成形物に対して塗装や接着を行う事は非常に困難である。そこで、そのような成形物に塗装や接着を行う際は、その表面をプライマー処理したり、あるいは活性化することにより表面への密着性を改良したりしている。例えば自動車用バンパーに関しては、その表面をトリクロロエタン等のハロゲン系有機溶媒でエッチング処理することにより塗膜との密着性を高めたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の前処理をした後に塗装や接着を行う方法がある。しかしながら、これら処理を実施する為には多大な設備費が必要となり、施工に長時間を要し、更には仕上がりが一様にならず表面処理状態に差が生じ易い。
一方、密着性を改良した塗料組成物として、例えば、ポリオレフィンにマレイン酸を導入した組成物(特許文献1等)、塩素化変性ポリオレフィンを主成分とした組成物(特許文献2等)が提案されている。しかしながら、これらは、ポリオレフィン系樹脂成形物等に対する密着性には優れるものの、耐候性に劣る。したがって、通常はプライマーとしての使用、あるいは耐候性が不要とされる箇所への使用に限られ、これらを耐候性が必要とされる箇所へ塗装する場合は、通常は、操作が煩雑なツーコート仕上げが必要となる。
また、前処理を施すことなく優れた密着性を発現でき、かつ優れた耐候性を有するワンコート仕上げ処理可能な塗料の開発も進められている。例えば、アクリル系単量体と塩素化ポリオレフィンを共重合させて得られる樹脂(特許文献3等)、水酸基含有アクリル−塩素化ポリオレフィン共重合体とイソシアナート化合物からなる塗料組成物(特許文献4)が提案されている。しかしながら、これらは塩素を含有するので環境への影響が懸念されている。
また、ポリオレフィン中に不飽和結合を導入する方法(特許文献5、特許文献6等)、有機過酸化物を導入する方法(特許文献7等)、2官能性有機過酸化物を用いる方法(特許文献8等)も提案されている。これらは、何れもポリオレフィンとラジカル重合性不飽和モノマーとの反応性を向上させ方法である。しかしながら、これら方法においては多くの場合、特に粘性の問題から希薄な濃度で反応させなければならず、ポリオレフィンへのグラフト共重合効率が低く、ラジカル重合性不飽和モノマーのホモポリマーを生じ易い。したがって、得られる樹脂溶液は非常に分離を起こし易く、通常はそのままのものを使用することができないという欠点が有り、さらにこれらを塗工したものはベタツキを生じるという欠点も有る。
また、ポリオレフィンとアルミニウム等の金属との接着に関しては、例えば、変性ポリプロピレンの樹脂分散体(特許文献9等)が提案されている。しかしながら、この樹脂分散体においては、塗膜のベタツキを低減する必要から融点の高い原料を使用しており、それ故にヒートシール温度が高いという欠点が有る。
特公昭62−21027号公報 特公昭50−10916号公報 特開昭58−71966号公報 特開昭59−27968号公報 特開平1−123812号公報 特開平2−269109号公報 特開平1−131220号公報 特開昭64−36614号公報 特開昭63−12651号公報
本発明は、上述した各従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち、本発明の目的は、非極性材料と極性材料の双方の基材に対して塗膜としての優れた密着性を示し、さらに耐候性にも優れ、樹脂溶液の状態において樹脂が分離し難く、低温でのヒートシール性にも優れた樹脂及びその製造方法、並びにその用途を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究及び検討を重ねてきた結果、特定の組成及び構造を有する樹脂が上記目的達成のために極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の共連続体構造を有する樹脂は、[1]2種以上のα−オレフィンを重合し
て得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)と、[2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)混在するポリマー・アロイにおいて、これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとることを特徴とする
更に本発明の共連続体構造を有する樹脂は、[1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものと、[2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)混在するポリマー・アロイにおいて、これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとることを特徴とする
更に本発明の共連続体構造を有する樹脂の製造方法は、有機溶媒中、2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したのち、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)を、(A)/(C)=20/80〜80/20の質量比で反応させる工程を有し、[1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものと、[2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)とが混在するポリマー・アロイにおいて、これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとる樹脂を製造することを特徴とする
更に本発明の共連続体構造を有する樹脂の製造方法は、有機溶媒中、2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性し、ポリオレフィン(B)を混合したのち、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)を、[(A)+(B)]/(C)=20/80〜80/20の質量比で反応させる工程を有し、[1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、およびポリオレフィン(B)と、[2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)とが混在するポリマー・アロイにおいて、これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとる樹脂を製造することを特徴とする
更に本発明は、本発明の樹脂からなる塗膜を形成する塗料又は接着剤、並びにそれらを基材上に塗布、硬化してなる塗膜である。
本発明の樹脂は、熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものと、特定の重合体(D)とが共連続体構造を形成しているので、両方の樹脂特性を良好に併せ持ち、例えば無処理ポリオレフィン系樹脂のフィルム、シート、成形物等の非極性材料並びに金属や汎用塗料等の極性材料の双方に対して優れた密着性を示す。さらに、溶媒により溶解した状態においては、その樹脂溶液は分離現象を起こすことなく高濃度の状態でスプレー塗工等が可能である。しかも、得られる塗膜の表面にはベタツキが無く、低温でのヒートシール性にも優れている。したがって、本発明の樹脂は、例えば、ポリオレフィン、合成ゴム、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等からなる各種樹脂の成形品や、鋼板、アルミニウム等の金属に対して使用する塗料、プライマー、接着剤等の用途に非常に有用である。
更に、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したものを使用して、有機溶媒中、その変性熱可塑性エラストマーの存在下に単量体(C)を特定量加えて反応させれば、その樹脂溶液を塗布硬化して得た樹脂塗膜においては、特に、後述する図1に示すような非常に微細な共連続体構造が形成され、より良好な特性が得られる。
本発明において「共連続体構造」とは、
[1]熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、及び所望によりポリオレフィン(B)と、
[2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)と、
が混在するポリマー・アロイにおいて、これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとることを意味する。すなわち、このような相分離構造を有する樹脂複合体の相分離の形態は、基本的には海島構造ではなく、3次元的な網目構造をとる。ただし、共連続体構造とは、主な構造として網目構造を有するものを意味し、例えば部分的に相が途切れた箇所が有っても、また一部に海島構造が存在していても構わない。本発明において、共連続体構造における網目の寸法は、塗膜の厚さ方向において0.0001〜5μmの範囲内が好ましく、0.0005〜2μmの範囲内がさらに好ましい。
共連続体構造は、例えば透過型電子顕微鏡により確認することができる。具体的には、例えば、図1は後述する実施例1の樹脂溶液の塗膜の断面の透過型電子顕微鏡写真であるが、この写真から、両部分[1]及び[2]の各相が共に連続し網目構造が形成されていることが分かる。なお、図1の写真の黒色部分が上記部分[1]に相当し、白色部分が上記部分[2]に相当する。さらに、図2は代表的な相分離構造を例示する模式図である。このうち、(a)及び(c)は海島構造を模式的に示すものであり、(b)は本発明における共連続体構造を模式的に示すものである。すなわち、透過型電子顕微鏡による観察において、その相分離構造が図2の(a)及び(c)のような海島構造ではなく、(b)のような共連続体構造であるならば、その樹脂は共連続体構造を有する樹脂であると判断することができる。
なお、共連続体構造を有する樹脂複合体としては、例えば、特開2001−240718号公報、特開2002−372607号公報等に提案されたものがある。これら公報に記載の通り、異なる樹脂(例えば、架橋重合体と熱可塑性樹脂、或いはアクリル系樹脂とスチレン系樹脂)を混合して共連続体構造を形成し、破断強度、破断伸度、耐衝撃性等の力学的特性あるいは光拡散特性を改善する技術は知られている。しかしながら、本発明におけるような[1]熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、及び所望によりポリオレフィン(B)と、[2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)と、により共連続体構造を形成した樹脂は知られておらず、更には、この新たな樹脂によって、塗料、プライマー、接着剤等の用途に必要とされる特性、例えば基材に対する密着性、スプレー塗工性、非ベタツキ性、ヒートシール性等が改善されることも知られていなかった。また更には、有機溶媒中において、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したもの存在下に単量体(C)を特定量加えて反応させれば、より微細な共連続体構造が得られ、より良好な特性が得られることも知られていなかった。すなわち本発明は、単に共連続体構造を形成した点のみを特徴とするものではなく、使用する成分の種類及び製法の点においても特徴を有するものである。
本発明に用いる熱可塑性エラストマー(A)としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィンの単独重合体又はこれらを2種類以上用いて得た共重合体からなる熱可塑性エラストマーが挙げられる。代表的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、及びその他の重合体等からなる熱可塑性エラストマーを使用できる。特に、エチレン、プロピレン及びブテンからなる群より選ばれた1種以上のα−オレフィンを主成分として用い、また必要に応じて他のα−オレフィンも併用し、2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系共重合体からなる熱可塑性エラストマーが好ましい。具体的には、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体等からなる熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
α−オレフィンの単独又は共重合体の重量平均分子量(以下「Mw」と記す)は、5千〜20万が好ましく、1万〜10万がより好ましく、4万〜10万が特に好ましい。
さらに、熱可塑性エラストマー(A)としては、例えば、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−共役ジエンランダム共重合体の水素添加物等からなるスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることもできる。スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、具体的にはスチレン−共役ジエンのジブロック共重合体の水素添加物、スチレン−共役ジエン−スチレンのトリブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。また共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、2〜60質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましい。さらに、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物の場合は、そのスチレン含有量は3〜40質量%が特に好ましく、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の水素添加物の場合は、そのスチレン含有量は5〜45質量%が特に好ましい。また、スチレン系熱可塑性エラストマーのMwは、5千〜50万が好ましい。さらに、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物の場合は、そのMwは3万〜50万がより好ましく、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体の水素添加物の場合は、そのMwは5千〜30万がより好ましい。
以上挙げた各種の熱可塑性エラストマーは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明においては、熱可塑性エラストマー(A)を変性せずに使用することもできるが、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したものを使用することが好ましい。このような変性樹脂は特に限定されないが、例えば、特公昭62−21027号公報等に記載の方法により製造できる。
熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものは、例えば、上述した各種の熱可塑性エラストマー又はそれらの2種以上の混合物に、官能基を含有した単量体を反応させて得られる。ここで用いる官能基を含有した単量体は、一部に反応しないものを含んでいてもよい。官能基としては、酸及び/又は水酸基が好ましい。
官能基を含有した単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有ビニル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド等の窒素化合物;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の無水カルボン酸類;などが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
官能基を含有した単量体の添加量は、熱可塑性エラストマー(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。
本発明においては、熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したものに、ポリオレフィン(B)を併用することが好ましい。具体的には、有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したものに対して、加熱下においてポリオレフィン(B)を混合し、これを使用することができる。すなわち、本発明においては、更にポリオレフィン(B)を含む樹脂も好適な形態の一つである。
ポリオレフィン(B)としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ヘキセン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体又はこれらを2種類以上用いて得た共重合体が挙げられる。また、異なる種類のポリオレフィンを2種以上混合して用いても良い。特に、ポリプロピレンからなる基材に対して使用する塗料、プライマー、接着剤を製造する場合は、ポリオレフィン(B)を導入することが好ましい。この場合、特に、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、又はこれら2種以上の混合物を用いることが好ましい。また、これら共重合体のプロピレン成分は、50モル%以上であることが好ましい。
ポリオレフィン(B)のMwは、5千〜20万が好ましく、1万〜10万がより好ましく、3万〜10万が特に好ましい。
本発明においては、熱可塑性エラストマー(A)又は又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したもの(及び所望によりポリオレフィン(B))と、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)とが、共連続体構造を形成する。
単量体(C)中、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアモノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル類及びこれらのモノエステル化物;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル類;ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナート等のイソシアナート基含有ビニル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類;その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、エチレン、プロピレン、C4〜C20のα−オレフィン等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートを示す。これら単量体は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、これら単量体の単独重合体又は重合体をセグメントに有し、その末端にビニル基を有するマクロモノマー類等も使用できる。
単量体(C)は、その一部又は全部がα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体であれば良い。単量体(C)の一部としてα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を用いる場合は、単量体(C)の残りの部分は、その他の共重合可能な単量体とすれば良い。共重合可能な単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の無水カルボン酸類が挙げられる。
単量体(C)の使用量は、熱可塑性エラストマー(A)及び単量体(C)の合計100質量部を基準として、20〜80質量部が好ましい。また、ポリオレフィン(B)を用いる場合は、単量体(C)の使用量は、熱可塑性エラストマー(A)、ポリオレフィン(B)及び単量体(C)の合計100質量部を基準として、20〜80質量部が好ましい。
本発明において、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものを使用する場合は、有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したのち、単量体(C)を加えて反応させることが好ましい。また、更にポリオレフィン(B)も使用する場合は、有機溶媒中、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性し、ポリオレフィン(B)を混合したのち、単量体(C)を加えて反応させることが好ましい。この場合は、少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A)と、単量体(C)の少なくとも一部とが反応してなる樹脂が得られる。
これらの反応に用いる有機溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;などが挙げられる。これら有機溶媒は、2種以上を混合して用いても構わない。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素がより好ましい。脂肪族炭化水素の中では、C6〜C20の脂肪族炭化水素が特に好ましく、脂環式炭化水素の中では、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが特に好ましい。
有機溶媒の量は、熱可塑性エラストマー(A)、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性された樹脂とポリオレフィン(B)の混合物と有機溶媒からなる樹脂溶液において、その不揮発分が2〜50質量%となるような量が好ましい。
熱可塑性エラストマー(A)、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものの樹脂溶液、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものとポリオレフィン(B)の混合物の樹脂溶液に、単量体(C)を加えて反応させる際には、樹脂溶液にラジカルを発生させて反応させることが好ましい。ラジカル発生させる為には、例えば、光重合開始剤の存在下に光を照射する方法、有機過酸化物を添加する方法など公知の方法を使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、アントラキノン、クロルアントラキノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン、ジフェニルスルファイド、ジチオカーバメイト、2−クロルチオキサントン、α−クロロメチルナフタレンアントラセン、3,3'−4,4'−テトラ−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、光重合開始剤には、ミヒラーケトン、トリメチレンアミン、アルキルモルフォリン等のアミンを併用して用いても良い。光重合開始剤の使用量は、熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの及びポリオレフィン(B)の混合物と、単量体(C)との合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。光重合開始剤の使用量をこの範囲内とすることにより、反応の安定性に大きな効果が現れる。
有機過酸化物としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。中でも、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。分子内にtert−ブチル基及び/又はベンジル基を有する有機過酸化物は水素引抜能力が比較的高く、ポリオレフィンとのグラフト率を向上させる効果がある。有機過酸化物の使用量は、熱可塑性エラストマー(A)又は熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの及びポリオレフィン(B)の混合物と、単量体(C)との合計100質量部に対して、2〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。有機過酸化物の使用量をこの範囲内とすることにより、反応の安定性に大きな効果が現れる。有機過酸化物は、使用量にもよるが、一括で添加すると反応液が比較的ゲル化を起こし易くなるので、少量ずつ時間をかけて又は多回数に分けて少量ずつ添加していくことが好ましい。
なお、光重合開始剤や有機過酸化物以外の開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタ酸)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオアミド)等のアゾ化合物も使用可能である。
単量体(C)を反応させる為には、例えば、熱可塑性エラストマー(A)、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものの樹脂溶液、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものとポリオレフィン(B)の混合物の樹脂溶液に対して、単量体(C)と光重合開始剤や有機化酸化物等をフィードしながら反応させても良い。また例えば、熱可塑性エラストマー(A)、熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものの樹脂溶液、或いは熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものとポリオレフィン(B)の混合物の樹脂溶液に予め単量体(C)を混合し、その後光重合開始剤や有機化酸化物等をフィードしながら反応させても良い。この単量体(C)が重合反応することにより、重合体(D)が生成する。
本発明の樹脂は、上述した各成分以外に例えば第3成分として、油脂類、油脂類の誘導体、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれた1種以上の成分を含んでいても良い。このような第3成分は、例えば、単量体(C)の反応工程において、添加することができる。
油脂類としては、例えば、アマニ油、大豆油、ヒマシ油及びこれらの精製物等が挙げられる。油脂類の誘導体としては、例えば、無水フタル酸等の多塩基酸と、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール等の多価アルコールとを骨格としたものを油脂(脂肪酸)で変性した短油アルキッド樹脂、中油アルキッド樹脂、長油アルキッド樹脂、さらに天然樹脂、合成樹脂及び重合性モノマーで変性したロジン変性アルキッド樹脂、フェノール変性アルキッド樹脂、エポキシ変性アルキッド樹脂、アクリル化アルキド樹脂、ウレタン変性アルキッド樹脂等が挙げられる。これら油脂類及びその誘導体は2種以上を併用することもできる。第3成分として油脂類及び油脂類の誘導体を用いた樹脂組成物は、安定性が良く、また他樹脂との相溶性も良好で、ピール強度も格段にアップする。特に、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸、精製ヒマシ油を含むものは効果が大きい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラック等をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイド又はエチレンオキサイドを付加してグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂等が挙げられる。また、多官能アミンをエポキシ基に付加したアミン変性エポキシ樹脂等を用いても良い。さらに、脂肪族エポキシ樹脂、脂環エポキシ樹脂、ポリエーテル系エポキシ樹脂等を用いることもできる。これらエポキシ樹脂は2種以上を併用することもできる。
ポリエステル樹脂は、カルボン酸成分とアルコール成分を縮重合して得られる。このカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸及びその低級アルコールエステル;パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸;安息香酸等の1価カルボン酸;などが挙げられる。これらカルボン酸成分は2種以上を併用することもできる。アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−ペンタンジオール、2,2'−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAのエチレノキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらアルコール成分は2種以上を併用することもできる。そして、ポリエステル樹脂は1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を併用しても何ら構わない。
第3成分は、反応器中へフィードしながら添加しても良いし、また最初に反応器内に仕込んで使用することも可能である。第3成分の添加量は、樹脂成分100質量部に対して通常は0.5〜60質量部、好ましくは2〜40質量部である。また、ラジカルを発生させ反応させる工程の後に添加しても構わない。
以上説明したような有機溶媒中における反応により得た樹脂溶液については、例えば、反応時の溶媒を脱溶媒した後、所望の溶媒を添加して樹脂を溶解・分散させる方法、或いは所望の溶媒を添加した後、反応時の溶媒を脱溶媒する方法等により、所望の溶媒組成の樹脂溶液に変更することもできる。
この樹脂溶液は、例えば、塗料、プライマー、接着剤等のコーティング剤として特に有用である。また、樹脂が構成単位として、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等を含み、活性水素及び/又は水酸基を持つ場合は、その活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤を樹脂溶液に混合して使用することもできる。例えば、活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤の一つである分子内にイソシアナート基を有する硬化剤と混合することで、ウレタン結合を有する塗料、プライマー及び接着剤として非常に有用である。具体的には、活性水素及び/又は水酸基を有する樹脂を主剤とし、その活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤を含有する塗料や接着剤等により得られる塗膜は、例えば塩素化変性ポリオレフィン系の塗料等により得られる塗膜と比較してより優れた耐候性を示すので好ましい。
分子内にイソシアナート基を有する硬化剤としては、例えば、フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート類;ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアナート類;イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート等の脂環族ジイソシアナート類;その他、イソシアナート化合物の一種又は二種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、キシリレングリコール、ブチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の3価アルコール等の多価アルコールとの付加物、イソシアナート基と反応可能な官能基を有する低分子量ポリエステル樹脂との付加物、又はそれらと水等との付加物、又はビュレット体、ジイソシアナート同士の重合体、さらに低級1価アルコール、メチルエチルケトオキシム等公知のブロック剤でイソシアナート基をブロックしたもの等が挙げられる。イソシアナートプレポリマーを使用する場合についても、例えば、ジブチルチンジラウレート、トリエチルアミン等の外部触媒を添加することができる。
また、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル等の少なくとも1種とホルムアルデヒドから合成される樹脂であって、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級アルコールによってメチロール基の1部又は全部をアルキルエーテル化したようなアミノ樹脂も硬化剤として使用することができる。
樹脂溶液と活性水素及び/又は水酸基と反応可能な硬化剤は、任意の割合で使用する事ができる。例えば、イソシアナート基を有する硬化剤を使用する場合、その配合割合は、活性水素とイソシアナート基の当量比で0.5:1.0〜1.0:0.5が好ましく、0.8:1.0〜1.0:0.8がより好ましい。また、アミノ樹脂を硬化剤として使用する場合は、溶液中の樹脂/アミノ樹脂の固形分質量比で95/5〜20/80が好ましく、90/10〜60/40がより好ましい。
更に必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止剤等の各種安定剤、無機顔料、有機顔料等の着色剤、カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤等の成分を含有させることもできる。
この樹脂溶液を、例えば、塗料、プライマー、接着剤等のコーティング剤として使用する場合、これを成形品等の基材表面に塗布する方法は、特に限定されない。特に、噴霧塗布が好適であり、例えば、スプレーガンで成形品等の表面に吹き付けることにより塗布できる。この塗布は、通常、常温にて容易に行なうことができる。また、塗布後の乾燥方法も特に限定されず、自然乾燥や加熱強制乾燥等により、適宜乾燥できる。このような乾燥・硬化塗膜は、塗装膜として非常に有用であるが、プライマーとしても広範囲の用途に適用可能である。例えば乾燥後の表面に、静電塗装、吹き付け塗装、刷毛塗り等により他の塗料を塗布することも可能である。他の塗料は特に限定されず、例えば、溶媒型熱可塑性アクリル樹脂塗料、溶媒型熱硬化性アクリル樹脂塗料、アクリル変性アルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、メラミン樹脂塗料等が挙げられる。
この樹脂溶液を特に塗料として用いる場合は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体からなる成形品、ポリプロピレンと合成ゴムからなる成形品等の表面への上塗りとして好適に用いることができる。更には、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、更には鋼板や電着処理鋼板等に対しても用いることができる。
この樹脂溶液を特にプライマーとして用いる場合は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とする塗料又は接着剤等のプライマーとして有用である。また、これら塗料又は接着剤に混合して各種被塗物表面への塗料等の密着性を改善するとともに、より鮮映性等に優れる塗膜を形成させるために使用することもできる。
この樹脂溶液を特に接着剤として用いる場合は、金属同士、ポリオレフィン同士、或いは金属とポリオレフィンとの接着剤やヒートシール剤として、塗膜にベタツキがなく、優れた接着性能及び密着性能を発現する。また、ヒートシールにおいては低温でその性能を発現する。これらは、PTP包装用接着剤、ラミネート用接着剤としても使用する事ができる。
以上の通り、樹脂溶液を例えば塗料、プライマー、接着剤等のコーティング剤として使用した場合、これを基材上に塗布し、硬化反応及び/又は乾燥等の手法により硬化して得られる塗膜は、本発明の樹脂から成る塗膜、すなわち共連続体構造を有する樹脂からなる塗膜となる。したがって、この塗膜は非常に優れた特性を示す。例えば、この塗膜は、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなる成形品、ポリプロピレンと合成ゴムからなる成形品、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いた成形品、鋼板や電着処理鋼板等の基材に対して好適である。
更に、上述のコーティング剤以外の用途においても利用可能である。例えば、これら成形品や鋼板や電着処理鋼板等の表面への塗料の付着性を改善するため、或いは塗装後の塗膜の柔らかさを付与するためのプライマーや、添加剤として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、及びエポキシ樹脂等の塗料又は接着剤に混合して、好適に用いることができる。また、樹脂フィルムや樹脂シート等を本発明の樹脂から製造することも可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
攪拌機、温度計、還流冷却装置及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、熱可塑性エラストマーとしてプロピレン−ブテン−エチレン共重合体(商品名ベストプラスト750、デグサヒュルス(株)製)100部と、イソパラフィン系有機溶媒(商品名シェルゾールTG、シェルジャパン(株)製)150部を仕込み、窒素置換しながら130℃に加熱昇温した。次いで、この中に、官能基を有する単量体として不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトン(商品名プラクセルFM−3、ダイセル化学工業(株)製)を5部添加し、分散させた。その後、tert−ブチルパーオキサイド(以下、PBDと略記する)を5部添加して2時間反応させ、イソパラフィン系有機溶媒をさらに200部添加して、熱可塑性エラストマーの一部が官能基で変性されたものの溶液を得た。
次いで、反応器内を130℃に保持したまま、メチルメタクリレート50部、イソブチルメタクリレート17部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトン20部、メタクリル酸3部及びPBD1部から成る混合液を、4時間かけてフィードした。フィード終了から30分後に135℃に昇温し、更に30分後にイソパラフィン系有機溶媒100部とPBD0.5部を添加し、更に1時間後にPBD0.5部を添加した。このPBD添加から30分後に160℃に昇温し、更に1時間放置して反応させて、樹脂溶液を得た。
図1は、本実施例の樹脂溶液を後述の方法により塗料として調製し、基材上に塗布硬化して形成した塗膜の断面の透過型電子顕微鏡写真である。ここで、黒色部分は変性した熱可塑性エラストマーであり、白色部分は重合体(D)である。この写真から、両相が共に連続して3次元的な網目構造を形成していることが分かる。すなわち、この電子顕微鏡観察により、本実施例の樹脂が共連続体構造を有することを確認した。
[実施例2]
使用する溶媒の全てをメチルシクロヘキサンに変更し、全工程における重合温度を97℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例3]
4時間かけてフィードする混合液として、メチルメタクリレート40部、イソブチルメタクリレート17部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトン20部、メタクリル酸3部、油性ポリオール(商品名オレスターC1000、三井武田ケミカル(株)製)10部、PBD0.9部から成る混合液を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例4]
官能基を有する単量体としてメタクリル酸を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例5]
官能基を有する単量体として無水マレイン酸を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例6]
プロピレン−ブテン−エチレン共重合体の量を70部に変更し、かつイソパラフィン系有機溶媒を200部添加した後に、更にポリオレフィン(B)としてプロピレン−ブテン共重合体(商品名宇部タックUT2715、宇部興産(株)製)を30部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例7]
工程の最後において、PBD添加から30分後に160℃に昇温した後、更に30分後にPBDを3部添加してから2時間放置して反応させたこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例8]
工程の最後において、PBD添加から30分後に160℃に昇温した後、更に30分後にPBDを3部添加してから2時間放置して反応させたこと以外は、実施例6と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例9]
熱可塑性エラストマーとして水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(商品名ダイナロン1320P、JSR(株)製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例10]
熱可塑性エラストマーとして水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(商品名ダイナロン1320P、JSR(株)製)を使用したこと以外は、実施例4と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例11]
熱可塑性エラストマーとして水素添加スチレン−イソプレン共重合体(商品名セプトン2002、クラレ(株)製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例12]
熱可塑性エラストマーとして水素添加スチレン−イソプレン共重合体(商品名セプトン2002、クラレ(株)製)を使用したこと以外は、実施例4と同様の方法で樹脂溶液を得た。
[実施例13]
実施例2で得た樹脂溶液(固形分100部)に、更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを50部添加し、常圧下加熱して溶媒を50部除去し、樹脂溶液を得た。
[実施例14〜20]
実施例1、4、6、7、9、11、13で得た各樹脂溶液に、硬化剤(商品名D−170HN、三井武田ケミカル(株)製)を、OH/NCO=1/1(モル比)となるようにそれぞれ混合し、硬化剤含有樹脂溶液を得た。
[実施例21〜27]
実施例1、4、6、7、9、11、13で得た各樹脂溶液(固形分100部)に、酸化チタン顔料(商品名Tipeqe−CR93、石原産業(株)製)を30部添加し、さらにキシレン/トルエン/酢酸エチル=1/1/1の割合で混合した有機溶媒を40部添加し、チタン顔料含有樹脂溶液を得た。
[実施例28〜34]
実施例21〜27の各樹脂溶液に、硬化剤(商品名D−170HN、三井武田ケミカル(株)製)を、OH/NCO=1/1(モル比)となるようにそれぞれ混合し、硬化剤及びチタン顔料含有樹脂溶液を得た。
[比較例1]
攪拌機、温度計、還流冷却装置及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、熱可塑性エラストマーとしてプロピレン−ブテン−エチレン共重合体30部と、イソパラフィン系有機溶媒50部を仕込み、窒素置換しながら130℃に加熱昇温した。次いで、この中に、官能基を有する単量体として不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトンを1.5部添加し、分散させた。その後、PBDを1.5部添加して2時間反応させ、イソパラフィン系有機溶媒をさらに300部添加して、熱可塑性エラストマーの一部が官能基で変性されたものの溶液を得た。
次いで、反応器内を130℃に保持したまま、メチルメタクリレート85部、イソブチルメタクリレート28.9部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート17部、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトン34部、メタクリル酸5.1部及びPBD1.7部から成る混合液を、4時間かけてフィードした。フィード終了から30分後に135℃に昇温し、更に30分後にイソパラフィン系有機溶媒100部とPBD0.8部を添加し、更に1時間後にPBD0.8部を添加した。このPBD添加から30分後に160℃に昇温し、更に1時間放置して反応させて、樹脂溶液を得た。
[比較例2]
攪拌機、温度計、還流冷却装置及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、熱可塑性エラストマーとしてプロピレン−ブテン−エチレン共重合体170部と、イソパラフィン系有機溶媒を250部仕込み、窒素置換しながら130℃に加熱昇温した。次いで、この中に、官能基を有する単量体として不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトンを8部添加し、分散させた。その後、PBDを8部添加して2時間反応させ、イソパラフィン系有機溶媒をさらに100部添加して、熱可塑性エラストマーの一部が官能基で変性されたものの溶液を得た。
次いで、反応器内を130℃に保持したまま、メチルメタクリレート15部、イソブチルメタクリレート5.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3部、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエーテル修飾イプシロン−カプロラクトン6部、メタクリル酸0.9部及びPBD0.3部から成る混合液を、4時間かけてフィードした。フィード終了から30分後に135℃に昇温し、更に30分後にイソパラフィン系有機溶媒100部とPBD0.15部を添加し、更に1時間後にPBD0.15部を添加した。このPBD添加から30分後に160℃に昇温し、更に1時間放置して反応させて、樹脂溶液を得た。
[評価]
以上の各実施例及び比較例に対して以下の評価を行った。結果は表1〜表4に示す。
<樹脂溶液の安定性>
得られた樹脂溶液を、室温と40℃、それぞれの条件で1ヶ月静置し、溶液の状態を評価した。1ヶ月の経過後、分離及び沈殿がともに確認されなかったものを「○」、分離及び/又は沈殿の観察されたもので攪拌にて容易に分散できるものを「△」、分離及び/又は沈殿の観察された攪拌にて容易に分散できないものを「×」とした。
<塗膜の観察>
塗膜の断面の観察は、透過型電子顕微鏡(商品名H−7000、日立製作所(株)製)を用いた。試料は、四酸化ルテニウムで染色された超薄切片で行ない、共連続体構造をとるものを「あり」、とらないものを「なし」とした。
<スプレー適性>
塗装ガン(商品名ワイダースプレーガンW−88−13H5G、岩田塗装機工業(株)製)を使用し、霧化圧4kg/cm2、ノズル1回転開き、塗装ブース内の温度30℃にて各樹脂溶液をスプレーし、糸曳きが発生するか否かを観察し、発生しなかったものを「○」、1本でも発生したものを「×」とした。
<塗膜評価>
(1)ポリプロピレン基材での評価:
得られた樹脂溶液に製造時と同じ溶媒を更に添加し、25℃下、フォードカップNo.4での落下秒数が15±2秒となるように調整した。次いで、イソプロピルアルコールで表面を拭いたポリプロピレン(商品名J700、三井住友ポリオレフィン(株)製)の角板に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように噴霧塗布し、80℃で20分乾燥し、塗膜を得た。この塗膜について、碁盤目剥離試験を行い、かつ塗膜表面のベタツキを指触にて評価した。更に、この塗膜に白色の上塗り塗料を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、室温にて10分間放置した後、80℃のオーブンに入れ20分間焼き付け処理を行い塗膜を得た。この塗膜について、碁盤目剥離試験を行った。また、耐候性試験を行い、試験後の光沢保持率と、碁盤目剥離の評価を行った。なお、剥離強度試験は、上記塗膜に白色の上塗り塗料を乾燥後の膜厚が40μmになるように塗布したものを用いて行なった。
また、実施例21〜34で得た樹脂溶液については、更に紫外線吸収剤(商品名TINUVIN327)と酸化防止剤(商品名IRGANOX1330)を添加して、上塗りなしの塗膜についても耐候性試験を行い、試験後の光沢保持率と、碁盤目剥離の評価を行った。なお、紫外線吸収剤、酸化防止剤の添加量は、各樹脂組成物の樹脂分に対しそれぞれ0.2%ずつである。
(2)オレフィン系熱可塑性エラストマー(タフマー)基材での評価:
得られた樹脂溶液に製造時と同じ溶媒を更に添加し、25℃下、フォードカップNo.4での落下秒数が15±2秒となるように調整した。次いで、イソプロピルアルコールで表面を拭いたオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名タフマーA4070、三井化学(株)製)の角板に、乾燥後の膜厚が5μmとなるように噴霧塗布し、80℃で20分乾燥し、塗膜を得た。この塗膜について、碁盤目剥離試験を行った。更に、この塗膜に白色の上塗り塗料を乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布し、室温にて10分間放置した後、80℃のオーブンに入れ20分間焼き付け処理を行い塗膜を得た。この塗膜について、碁盤目剥離試験を行った。
(3)オレフィン系熱可塑性エラストマー(ミラストマー)基材での評価:
オレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名ミラストマー8030、三井化学(株)製)の角板を用いたこと以外は、上記(2)と同様にして評価した。
上記評価法(1)〜(3)において、上塗り塗料としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂(商品名オレスターQ186、三井化学(株)製、不揮発分50%、水酸基価30KOHmg/g)に、紫外線吸収剤(商品名TINUVIN327)を樹脂分に対して0.2%、酸化防止剤(商品名IRGANOX1330)を樹脂分に対して0.2%、酸化チタン顔料(商品名Tipeqe−CR93、石原産業(株)製)を樹脂分に対して30%となる様に分散させた主剤と、NCOを含有する硬化剤(商品名MTオレスターNM89−50G、三井武田ケミカル(株)製、不揮発分50%、NCO%=6%)を、OH/NCO=0.95となる様に混合して調製したものを用いた。
また、碁盤目剥離試験は、JIS−K−5400の碁盤目剥離試験方法に準じ、碁盤目を付けた試験片を作製し、粘着テープ(商品名セロテープ、ニチバン(株)製)を碁盤目上に貼り付けた後、速やかに90°方向に引っ張って剥離させ、碁盤目100個の中、剥離されなかった碁盤目数にて評価した。
また、剥離強度の測定は、塗膜を1cm幅で切れ目を入れ、その端部を剥離した後、端部を50mm/分の速度で180°方向に引張り剥離強度を測定し、剥離強度が1300g/cm以上のものを「○」、500g/cm以上1500g/cm未満のものを「△」、500g/cm未満のものを「×」として示した。
また、耐候性試験は、JIS−K−5400の促進耐候性試験方法に準じ、サンシャインカーボンアーク灯式で評価を行い、500時間後の60度鏡面光沢度(JIS−K−5400)により、その測定値の保持率(%)=(試験後の光沢度/初期の光沢度)×100を算出し、光沢保持率80%以上で変色が認められなかったものを「○」、60%以上80%未満のものを「△」、60%未満のものを「×」とし示した。
<ヒートシール試験>
実施例1〜20及び比較例1〜2で得た樹脂溶液に更に製造時と同じ溶媒を添加し、不揮発分10%の溶液を調製した。次いで、アルミ箔上に乾燥後の膜厚が2μmとなるようにバーコーターで塗布し、風乾した後、200℃にセットしたエアオーブン中で20秒間加熱し、均一透明な塗工箔を作製した。この塗工箔とポリプロピレンシート(商品名 東セロ#500T−T)をJISZ1707に準拠した方法により、120℃で1秒間、0.098MPaの圧力を懸けてヒートシールした。このようにして得た試験片を、幅15mmの短冊状に切り、180°剥離試験を常温で行った。ピール強度が1500g/15mm以上のものを「○」、500g/15mm以上1500g/15mm未満のものを「△」、500g/15mm未満のものを「×」とし示した。
実施例1の樹脂溶液の塗膜の断面の透過型電子顕微鏡写真である。 代表的な三種の相分離構造を例示する模式図であり、(a)及び(c)は海島構造を模式的に示し、(b)は本発明における共連続体構造を模式的に示す。

Claims (14)

  1. [1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)と、
    [2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)混在するポリマー・アロイにおいて、
    これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとること
    を特徴とする共連続体構造を有する樹脂。
  2. [1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものと、
    [2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)混在するポリマー・アロイにおいて、
    これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとること
    を特徴とする共連続体構造を有する樹脂。
  3. 少なくとも一部が官能基で変性された熱可塑性エラストマー(A)と、単量体(C)の少なくとも一部とが反応してなる請求項2に記載の共連続体構造を有する樹脂。
  4. 前記熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性させたのち、
    前記α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)を加えて反応させることを特徴とする請求項2に記載の共連続体構造を有する樹脂。
  5. 官能基が、酸及び/又は水酸基である請求項2〜4のいずれか1項に記載の共連続体構造を有する樹脂。
  6. 前記部分[1]及び/または[2]の相が、部分的に途切れた箇所を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の共連続体構造を有する樹脂。
  7. 前記部分[1]および[2]の相の一部が、海島構造であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の共連続体構造を有する樹脂。
  8. 更にポリオレフィン(B)を含む請求項1〜の何れか1項記載の共連続体構造を有する樹脂。
  9. 前記熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性し、上記ポリオレフィン(B)を混合したのち、
    前記α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)を加えて反応させることを特徴とする請求項8に記載の共連続体構造を有する樹脂。
  10. 有機溶媒中、2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性したのち、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)を、(A)/(C)=20/80〜80/20の質量比で反応させる工程を有し、
    [1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたものと、
    [2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)とが混在するポリマー・アロイにおいて、
    これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとる樹脂を製造すること
    を特徴とする共連続体構造を有する樹脂の製造方法。
  11. 有機溶媒中、2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部を官能基で変性し、ポリオレフィン(B)を混合したのち、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(
    C)を、[(A)+(B)]/(C)=20/80〜80/20の質量比で反応させる工程を有し、
    [1]2種以上のα−オレフィンを重合して得たオレフィン系重合体である熱可塑性エラストマー(A)の少なくとも一部が官能基で変性されたもの、およびポリオレフィン(B)と、
    [2]α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体を少なくとも含む単量体(C)から得られる重合体(D)とが混在するポリマー・アロイにおいて、
    これら両部分[1]及び[2]がそれぞれ相構造を持ち、かつ部分[1]及び[2]の相がどちらも3次元的に連続してなる相分離構造をとる樹脂を製造すること
    を特徴とする共連続体構造を有する樹脂の製造方法。
  12. 請求項1〜の何れか1項記載の樹脂からなる塗膜を形成する塗料。
  13. 請求項1〜の何れか1項記載の樹脂からなる塗膜を形成する接着剤。
  14. 請求項12に記載の塗料又は請求項13に記載の接着剤を基材上に塗布、硬化してなる塗膜。
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