JP4163981B2 - スローアウェイチップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳鉄や鋼の切削に用いるスローアウェイタイプの切削チップ、特に鋼の切削に好適なスローアウェイチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋳鉄や鋼の切削に上下面を途中で裏返して両面を使用するような両主面をすくい面として使用する、いわゆるネガタイプのスローアウェイチップが用いられており、切屑の排出性向上のためにすくい面にチップブレーカを形成したり、切刃の強度を高めて損傷等を防ぐためにすくい面の外周にランド面を設ける方法が知られている。また、かかるスローアウェイチップにおいては、一般的に切刃の欠損防止を目的として、切刃およびランド面の高さを中央面よりも若干低くしておき、着座面に配置されたとき切刃が着座面に直接接触しないように設計されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来のスローアウェイチップでは着座面に配置された切刃部が着座面から浮いた状態となるために、特に衝撃が大きい切削条件で加工すると強い衝撃によって拘束力が不十分な着座面側の切刃部に微振動が発生してホルダの座面に断続的に衝突してしまい、かえってこの着座面側の切刃が欠損(裏欠け)したり、前記微振動に起因するビビリ振動が発生しやすく切削に使用する切刃にもチッピングが発生したり、被削材の加工面粗度が悪くなるという問題があった。
【0004】
そこで、後述する特許文献2では、チャンファリング部、切刃、ランド面、ブレーカ溝および中央面(設置面)と続く構成からなるスローアウェイチップにおいて、切刃に続くランド面を中央面と同じ高さとすることによって着座面に配置した切刃と設置面との間に切屑が入り込んだり、がたつきが発生して欠損することを防止することが記載されている。また、同号文献ではブレーカを形成することによって切削抵抗を低減することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−39306号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−277307号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2のスローアウェイチップでは、切削抵抗の低減、および裏欠け(着座面側の切刃が欠損すること)の抑制には効果があり、セラミック工具が主として使用されるFCやFCD等の脆くて切屑がフレーク状となって長く延びない鋳鉄の切削では問題ないものの、広い領域にわたって緩やかに湾曲するブレーカを形成しているために、特に鋼等の切屑が切れにくい被削材に対しては切屑が絡みつきやすく、切削に使用する切刃と被削材との間に切屑を噛み込んだりして切削が安定して行えないという問題があった。また、同特許文献2ではブレーカ溝の幅が広く、着座面全面に対する設置面となる割合を十分に確保しているとはいえず,拘束力強化の点でも大きなマイナス要因となっていた。
【0008】
さらに、単純にブレーカ溝の幅を狭くしただけでは切屑を湾曲させて切断するブレーカの効果がなくなったり、ブレーカ形状を狭くて深い形状とすると切屑を系外に排出する切屑の流れ性が損なわれて切屑が切削に使用する切刃やブレーカ溝周辺に詰まってしまう等の不具合が生じる恐れがあった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的はチップのすわりを安定させて強い衝撃がかかるような切削条件によってもチップが振動して裏欠けや切刃のチッピングが発生することを防止でき、切屑の排出性にも優れ、安定して平滑な加工面に仕上げることができるスローアウェイチップを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、主面の周縁部から切刃、ランド面、ブレーカ溝および設置面となる中央面と続く構成からなるスローアウェイチップにおいて、ランド面と中央面とを同じ高さとしてこの面が着座面に配置された際にランド面が中央面とともに設置面をなすこと、および、このともに設置面となるランド面と中央面とを連結する連結部も設置面をなし、かつ、前記ブレーカ溝の形状を、前記ランド面側R1面と、該R1面に連続するR2面と、該R2面に連続するとともに中央面側のR3面との3つの面で形成するとともに、前記R1面の曲率半径:r1および前記R2面の曲率半径:r2および前記R3面の曲率半径:r3が、r3>r1>r2である、すなわちランド面側が所定の急な傾斜で、かつ中央面側が所定の比較的緩やかな傾斜となるような変形略V形状としてブレーカ溝全体の幅を極力狭くすることによって、着座面でのすわりの安定性を維持したまま、切屑を適度に湾曲させて分断できるとともに切屑を系外へスムーズに排出させることも問題なくて切屑排出性に優れることから、鋼等のねばい被削材を用いて強い衝撃がかかるような条件で切削する場合や、鋼と鋳鉄とが貼り合わされたような複合部材を切削する場合に対しても安定した切削が可能となることが大きな特徴である。
【0011】
すなわち、本発明のスローアウェイチップは、略平板状のチップ本体部を備え、該チップ本体部の2つの主面がすくい面と着座面を、側面が逃げ面をなし、前記両主面と前記逃げ面とのそれぞれの交差稜部分の少なくともコーナー部に切刃を有する両面使用可能なスローアウェイチップにおいて、前記2つの主面は、該各主面の周縁部に形成されたランド面と、該ランド面の内側に形成されたブレーカー溝と、前記ランド面から内側にブレーカー溝をはさんで形成された中央面と、前記ランド面と前記中央面とを連結する連結部と、を有、前記ブレーカー溝は、前記ランド面側R1面と、該R1面に連続するR2面と、該R2面に連続するとともに中央面側のR3面との3つの面で形成されるとともに、前記R1面の曲率半径:r1および前記R2面の曲率半径:r2および前記R3面の曲率半径:r3が、r3>r1>r2であるとともに、一方の前記主面が前記着座面となるとき前記中央面と前記ランド面と前記連結部とがともに設置面となるよう同じ高さに設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、前記中央面は、前記ランド面に向かって延びる突起部を突起部を有していることにより、チップのすわりをより安定させることができるとともに、中央面のみが設置面となるような従来のチップを長期間にわたって使用することによって座面のチップの中央面端部が接触する領域が切削時の衝撃によりくぼんだホルダにチップを取り付けるような場合であっても安定したすわりを維持することができるという利点がある。
【0016】
また、前記突起部は、前記コーナー部に向かって延びている第1突起部を備えていることが、すわりの安定性と切削抵抗の低減および切屑の排出性をより最適化することができる点で望ましい。
【0017】
さらに、前記突起部は、前記連結部と前記第1突起部との間に位置するとともに、前記コーナー部に隣接する辺部に向かって延びる第2突起部を備えていることが望ましい。
【0018】
また、前記スローアウェイチップの中心からチップ周縁部までの長さ(L1)に対する前記スローアウェイチップの中心から前記突起部先端までの長さ(L2)の比(L2/L1)が0.7〜0.95であること、また、前記主面における前記中央面および前記ランド面の面積比率が50〜90%であることが着座面におけるすわりの安定性および切屑の排出性を高める点で望ましい。
【0019】
さらには、前記ランド面の幅が0.2〜0.5mmであることが、切刃強度を維持しチップのすわりを安定させるとともに、切削抵抗の低減およびブレーカ部へ効果的に切屑を誘導できて切屑排出性が向上する点で望ましい。
さらに、前記中央面は、分割溝によって複数のブロックに分割されていることが望ましい。
またさらに、前記分割溝は、前記連結部の両側に形成されていることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のスローアウェイチップ(以下、単にチップと称す。)1について、図1に示す概略斜視図およびA−A断面の要部についての模式図である図2を用いて説明する。
【0021】
図1によれば、チップ1は略平板状の多角形からなり、すくい面および着座面を形成する主面2と側面に逃げ面3を有し、逃げ面3と主面2との交点に切刃4(切削に使用する切刃4a、着座面に位置する切刃4b)を有する。さらに、両主面2a,2bの少なくとも切刃4をなす周縁部にランド面5を、このランド面5から内側にブレーカ溝6をはさんで中央面7を設けている。ここで、すくい面および着座面をなす両主面2a,2bは途中で裏返してそれぞれ着座面およびすくい面として使用することができ、つまり両面使用可能である。
【0022】
本発明によれば、両主面2a,2bにおいて、着座面2bとなるとき中央面7とランド面5とがともに設置面となるようにランド面5の高さと中央面7の高さとを同じとすることが大きな特徴であり、これによって着座面2b側に設置されたとき着座面2bのうちで最も拘束力が弱く切削時の衝撃の影響を受けて振動しやすく、かつ裏欠けしやすい周縁部に存在するランド面5が中央面7とともに設置面(すわり面)となることから、チップ1のホルダ20の座面21に対するすわりの安定性が大幅に向上する結果、切削時に着座面2bに配置される切刃4b部分が浮くことがなく裏欠けやビビリ振動が発生することを抑制することができる。
【0023】
なお、ランド面5と中央面7の高さを同じにするには、予めランド面5と中央面7の高さをともに設定値よりも高くなるように調整した焼結体を作製した後、ランド面5と中央面7を同時に平面研削加工を施すことによって調整可能である。また、ランド面5の高さと突起部8の高さが加工ばらつき等によって0.05mm以下の差(ΔH≦0.05mm)が生じた場合であっても本発明の効果は失われない。
【0024】
また、本発明によれば、図2に示すように、切刃4およびランド面5に続くブレーカ溝6を、ブレーカ溝の深さhが0.1mm〜0.6mm、特に0.15mm〜0.3mm、ブレーカ溝の幅wが0.7mm〜2mm、特に1mm〜1.8mm、前記ランド面側からブレーカ底面までの幅w1が0.3mm〜1.5mm、特に0.3mm〜0.7mm、該ブレーカ底面から前記中央面までの幅w2が0.5mm〜1.7mm、特に0.75mm〜1.5mmの形状としたことが重要であり、これによって、極力狭いブレーカ溝6の幅wで効果的に切屑排出性を高めることができ切削抵抗が増大することを抑制できるとともに、すわりの安定性を維持することができる。
【0025】
すなわち、hが0.1mmよりも浅いと切屑を湾曲させる効果がなくなって切屑がそのまま中央面側に延びてしまい切屑を切刃と被削材との間に噛み込んでしまう。
逆にhが0.6mmよりも深いと切屑が詰まりやすくなってビビリが発生しやすく、また切刃に大きな衝撃がかかって欠損してしまう。また、wが0.7mmよりも短いとブレーカとしての機能を発揮することが困難となり切屑がブレーカ溝6上部を素通りしてそのまま中央面側に延びてしまい切屑を切刃と被削材との間に噛み込みやすく、逆にwが2mmよりも長いと切屑の分断効果が小さくて特に鋼等のねばい被削材を用いた場合には切屑を安定して分断することができず、また、着座面2bのすわり安定性が低下してしまうとともに設置面となる中央面領域が小さくなってすわりが不安定となる。
【0026】
さらに、w1が0.2mmよりも短いと切刃に大きな衝撃がかかって切刃が欠損してしまい、逆にw1が0.7mmよりも長いと切屑を湾曲させる効果がなくなってしまう。また、w2が0.75より小さいと切削抵抗が大きくなりすぎて切刃2aが欠損しやすくなったりビビリ振動の発生によって切刃4bに裏欠けが発生する恐れがある。
【0027】
ここで、ブレーカ溝6は、前記ランド面5側から、切削抵抗を低減する点で第1の壁面10の曲率半径r1が12mm〜18mm、特に15mm〜17mmである曲面と、切屑の流れを損なわずに効率よく湾曲させることができるとともにブレーカ溝6(ブレーカ)の長さを短くしてすわりを確保する点で第2の壁面11の曲率半径r2が0.1mm〜0.6mm、特に0.1mm〜0.3mmである曲面と、切屑をスムーズに排出するとともに切屑のつまりによる工具損傷を防ぐ点で第3の壁面12の曲率半径r3が50mm以上である曲面または平面とからなる3つの壁面を滑らかにつないでいることが、切削抵抗を低減して耐欠損性を向上させ、切屑の排出をスムーズにし、切屑のつまり等による損傷を防ぐブレーカとしての効果に加えて、すわりとなる中央面7の面積比率を高める点で望ましい。また、ブレーカ溝6とランド面5とのなす角α1は7°〜25°、特に9°〜15°、また中央面7とブレーカ溝6とのなす角α2は4°〜30°、特に4°〜8°であることが切屑のスムーズな排出の点で望ましい。
【0028】
また、両主面2a、2bの周縁部において、切刃4として使用しない位置15にてランド面5と中央面7とを連結して前記設置面となる連結部16を設けると、切削時にチップ1自体がたわむことを抑制してビビリ振動や着座面2b側で切刃4bに浮きが生じてホルダ20の設置面21に衝突することをさらに抑制できる。
【0029】
なお、図1、3において中央面7には分割溝18が設けられて中央面7は複数ブロックに分割されており、かかる構成によれば、中央面7のコーナー部13に近い部分とコーナー部13から遠い部分とが異なる焼成収縮率となり焼成時に変形することを予め調整することができる。
【0030】
さらに、中央面7に、ランド面5に向かって延びる突起部8を少なくとも1つ設けておけば、従来の中央面のみが設置面となるチップを長期間にわたって使用したことによりホルダ側中央面(設置面)の端部に相当する部分にくぼみ22が生じてしまったような設置面21を有するホルダにチップ1を配置した場合でも、ランド面5に近い位置に存在する突起部8が設置面としての機能を果たすので、切刃4aを含むランド面5に負担をかけることがない。また、一方の主面2aをすくい面として使用し切刃4aが摩耗や欠損してランド面5が損傷した状態のチップ1を裏返して配置した際に切刃4aの損傷したランド面5が設置面として機能しない場合においても、ランド面5の損傷した部分に代わってランド面5に近い位置に存在する突起部8が設置面としての機能を果たすことから、安定したすわりを維持することができる。
【0031】
ちなみに、本実施例のように中央面7と突起部8とランド面5とが設置面になるような構成であれば、ホルダ20の設置面21に対し全体的に力がかかるため、上記のように長期間にわたって使用したとしてもホルダ20の設置面21にくぼみ22が生じてしまうようなことはない。
【0032】
ここで、中央面7から各コーナー部13へ向かうように形成された突起部8A(第1突起部)の先端形状は、両辺が凹曲線をなして先細りするような尖頭状,両辺が直線をなして先細りするような尖頭状、両辺が凸曲線をなして先細りするような尖頭状、単純に丸く突出したような形状のいずれであっても構わないが、両辺が凹曲線をなして先細りするような尖頭状とすることが、ブレーカ溝6と中央面7との適正な領域を調整してすわり安定性と切屑処理性とを両立する点で望ましい。
さらに、前記突起部の両脇が傾斜面をなして一端沈み込んだ後前記ランド面に向かって上昇する形状としたことによって、切削条件によって切屑の排出方向が変化するような場合においても安定して高い切屑処理性を確保できるとともに、前記コーナー部先端から少し離れた辺部を切刃として使用する場合でも良好な切屑処理性、低い切削抵抗によるびびり振動の抑制が可能である。
【0033】
また、チップ1の突起部8の一つがコーナー部13に向かって延びていることによってよりすわりが安定するとともに、コーナー部13に向かう突起部8の延長にブレーカ溝6を設けることよって、切屑の排出方向を一定にできてより効果的なブレーカ機能を発揮することができることから、切削抵抗をより低減することができる。さらに、コーナー部13以外の辺部に向かう突起部8(第2突起部)も1つ以上設けることがすわりの安定性をより向上できるとともに、突起部8B,8B間に挟まれたコーナー部13近傍の辺部にもブレーカ溝として機能するブレーカ溝6’が形成されることから、このコーナー部13近傍の辺部を切刃として使用する際にも切削抵抗が低く、かつ切屑処理性に優れた切刃として使用できる点で望ましい。
【0034】
また、主面2の中心から主面2の周縁部までの長さL1に対する中心から突起部先端8aまでの長さL2の比(L2/L1)が0.7以上、特に0.8〜0.95であることが、着座面におけるすわり安定性および切屑処理性と切削抵抗低減の点で望ましい。
【0035】
さらには、主面2における中央面7とランド面5の総面積、すなわち設置面となる比率が50〜90%、特に80〜90%であることが、着座面におけるすわり安定性および切屑処理性と切削抵抗低減の点で望ましい。
【0036】
さらに、切刃4におけるランド面5の幅を0.2〜0.5mmとすることが切刃の強度、およびチップ1の着座面(設置面)におけるすわりの安定性を高めて裏欠けに対する強度を高めるとともに、切屑の排出性の向上や切削抵抗の増大防止により欠損およびチッピングを防止する点で望ましい。
【0037】
なお、図1によれば、チップ1の中央には取付孔9が形成され、この取付孔9にボルト等(不図示)を螺合してネジ止め固定する構造となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ネジを用いない、いわゆるクランプオン方式の固定であってもよい。
【0038】
また、切刃4はシャープエッジでもよいが、切刃4の刃先強度を高めてチッピングおよび欠損を防ぐことができる点で切刃4にC面(チャンファリング面)またはR面(Rホーニング面)加工を施すことが望ましい。
【0039】
さらに、図1において、複数のコーナー部13、13周辺に対称となるようにランド面5と0.5mm以下の間隔で近接する突出部8Bを形成しておき、かつ突起部8B先端の高さがランド面5に向かって10〜60度の傾斜角度で次第に低くなる形状としておけば、この突起部8Bの先端とランド面5との間隔を主面加工時に各コーナー部13、13が均等な高さに加工されているかの目印として目視で確認することができ、加工が容易に行えるとともに加工時の並行度のばらつきを防止することができる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
WC粉末に対してCoを11重量%添加した混合粉末を、プレス成形でチップの形状が表1に示す型式、寸法でチップの主面が図1のような絵柄となるように成形して真空焼成した後、焼結体の両主面を研磨(両頭研磨)して中央面とランド面の高さを表1のように調整した(試料No.1〜10)。なお、加工に際しては図1の各コーナー部13に形成した突起部8Aの形状を成形時のランド面との幅を0.2mm、突起部8Aからランド面に向かって45°の傾斜で低くなるように設定して各突起部先端とランド面との隙間(w)を目視確認しながら研磨することによって、容易かつ寸法精度の高い加工が可能であった。そして、上記各試料に対してランド面の周縁部にブラシを用いてRホーニング処理を施した後、CVD法によってチップ表面にTiCN:2μm−Al2O3:2μm−TiN:0.2μmからなる硬質膜を順にコーティングした後、さらに切刃部の硬質膜の一部を砥石にてわずかに研磨してスローアウェイチップを作製した。
【0041】
(実施例2)
実施例1のチップに対して主面の図柄を図5に示すような全周ブレーカ模様とする以外は実施例1と同様に表1の形状のチップを作製した(試料No.11)。
【0042】
(比較例)
実施例のチップに対して、主面をブレーカのない単一平面とする以外は実施例と同様に表1のチップを作製した(試料No.12)。
【0043】
【表1】
【0044】
得られたチップについて、チップを平板の上に置いたときの周縁部(ランド面の周縁端)と平板との隙間の最大値ΔH(mm)、および顕微鏡を用いて各突起部先端とランド面との距離(L2/L1)の平均値、ブレーカ溝の形状を測定し表1に示した。
【0045】
また、得られたチップを用いて以下の条件での切削試験を行い、測定器を用いて切削時のうきの測定を行い、チップが欠損に至るまでの切削時間、裏欠け箇所の数、切屑の状態および被削材の加工面状態の観察を行った。また、切削試験は1つの試料につき、図1における主面2b側の3つの切刃4aで行った後、裏返して裏面の3つの切刃4bで行い、その結果については平均値を算出し、表2に示した。なお、切屑処理性については下記切削条件のうちの切込みと送りを下記範囲で変えた領域で全般的に切屑処理性が良好であったかどうかを比較して判定した。
【0046】
切削条件
切削速度:150m/min
切込み :0.7〜3mm
送り :0.2〜0.5mm/rev
被削材 :SCM435
切削状態:湿式
【表2】
【0047】
表2より、ランド面と中央面の少なくとも突起部を同じ高さ(h≦0.05mm)とし、かつ所定のブレーカ形状からなる試料No.1〜4および11では、すべての切刃において切削時におけるチップ周縁部のうきが10μm以下であり、切削寿命が300秒以上と長く、また、切刃以外の部位での欠損等の裏欠けが3個以下と少ないことに加え、切削している切刃部分のチッピングも無く、加工面の面粗度、切屑処理の状態とも良好な切削性能を示した。特に、図1のように中央面に突起部のある形状からなる試料No.1〜4では、裏欠けも全くなく、また使用後に裏返して加工する際にすわりが悪くなる等の不具合もなく、安定した切削性能を示した。
【0048】
これに対して、ランド面が突起部の高さより低い試料No.5では、うきが50μm以上と大きく、これに起因して裏欠けが大量に発生した。また早期に切刃の欠損が発生したということで耐欠損性が悪いことに加え、びびりによって加工面の面状態も悪かった。
【0049】
また、ブレーカ溝を設けなかった試料No.12では、ブレーカ溝が存在しないことにより切屑処理性が悪いことに加え、切削抵抗が高くなることにより切れ味が悪くなり、結果として被削材の加工面が粗雑となった。
【0050】
さらに、ブレーカ溝の形状が所定の範囲から外れる試料No.6〜10では、うきの発生は小さかったが、切屑処理性が悪く、切屑の延び過ぎや詰まり、あるいは噛み込み等の不具合が発生して切削加工を途中で止めなければならない状況となった。また、そのために途中で切刃に欠損が発生し、かつ被削材の加工面も悪かった。
【0051】
ちなみに上述した実施例ではTタイプのチップでの結果を示したが、表1の試料No.1の各寸法を満たす形状のCタイプ(CNMG120408)とDタイプ(DNMG150408)の試料を作製し、同様の切削試験及び各種観察を行ったが、切屑処理性が良好であるとともにうきの発生や裏欠けも生じることなく、加工面状態も良好であり、切削時間もそれぞれ400sec、300secと長寿命であった。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明のスローアウェイチップでは、主面の周縁部から切刃、ランド面、ブレーカ溝および設置面となる中央面の構成からなるスローアウェイチップにおいて、ランド面と前記中央面とを連結する連結部を有し、該連結部とランド面と中央面とを同じ高さとして、着座面に配置されたとき連結部とランド面が中央面とともに設置面をなすとともに、ブレーカー溝は、前記ランド面側R1面と、該R1面に連続するR2面と、該R2面に連続するとともに中央面側のR3面との3つの面で形成するとともに、前記R1面の曲率半径:r1および前記R2面の曲率半径:r2および前記R3面の曲率半径:r3が、r3>r1>r2となるよう設けて、ランド面側が所定の急な傾斜で中央面側が所定の比較的緩やかな傾斜となるような変形V形状としてブレーカ溝の幅を所定範囲に制御することによって、着座面でのすわりの安定性を維持したまま切屑を湾曲させて分断できるとともに系外へスムーズに排出させる切屑排出性に優れることから、鋼等のねばい被削材について強い衝撃がかかるような切削条件に対しても安定した切削が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスローアウェイチップの例を示した概略斜視図である。
【図2】図1のスローアウェイチップのA−A断面の要部模式図である。
【図3】図1のスローアウェイチップの平面図である。
【図4】図1乃至3のスローアウェイチップをホルダに設置した状態を示す模式図である。
【図5】実施例2のチップについて主面形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1:スローアウェイチップ
2:主面
3:逃げ面
4:切刃
4a:切削に使用する切刃
4b:ホルダの座面と接する(着座面)切刃
5:ランド面
6:ブレーカ溝
7:中央面
8:突起部
8a:突起部先端
8A:各コーナー部に向かう突起部
8B:加工時の目印に使用する突起部
9:取付け孔
10:先端側のR面(r1)
11:R底面(r2)
12:中央面側のR面(r3)
ΔH:ランド面と中央面の高さの差
Claims (9)
- 略平板状のチップ本体部を備え、該チップ本体部の2つの主面がすくい面と着座面を、側面が逃げ面をなし、前記両主面と前記逃げ面とのそれぞれの交差稜部分の少なくともコーナー部に切刃を有する両面使用可能なスローアウェイチップにおいて、
前記2つの主面は、該各主面の周縁部に形成されたランド面と、
該ランド面の内側に形成されたブレーカー溝と、
前記ランド面から内側にブレーカー溝をはさんで形成された中央面と、
前記ランド面と前記中央面とを連結する連結部と、を有し、
前記ブレーカー溝は、前記ランド面側R1面と、該R1面に連続するR2面と、該R2面に連続するとともに中央面側のR3面との3つの面で形成されるとともに、前記R1面の曲率半径:r1および前記R2面の曲率半径:r2および前記R3面の曲率半径:r3が、r3>r1>r2であるとともに、
一方の前記主面が前記着座面となるとき前記中央面と前記ランド面と前記連結部とがともに設置面となるよう同じ高さに設けられていることを特徴とするスローアウェイチップ。 - 前記中央面は、前記ランド面に向かって延びる突起部を有していることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイチップ。
- 前記突起部は、前記コーナー部に向かって延びている第1突起部を備えていることを特徴とする請求項2記載のスローアウェイチップ。
- 前記突起部は、前記連結部と前記第1突起部との間に位置するとともに、前記コーナー部に隣接する辺部に向かって延びる第2突起部を備えていることを特徴とする請求項3記載のスローアウェイチップ。
- 前記スローアウェイチップの中心からチップ周縁部までの長さ(L1)に対する前記スローアウェイチップの中心から前記突起部先端までの長さ(L2)の比(L2/L1)が0.7〜0.95であることを特徴とする請求項3または4記載のスローアウェイチップ。
- 前記中央面は、分割溝によって複数のブロックに分割されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のスローアウェイチップ。
- 前記分割溝は、前記連結部の両側に形成されていることを特徴とする請求項6記載のスローアウェイチップ。
- 前記主面における前記中央面および前記ランド面の面積比率が50〜90%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載のスローアウェイチップ。
- 前記ランド面の幅が0.2〜0.5mmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載のスローアウェイチップ。
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