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JP4161607B2 - 巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置 - Google Patents

巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム等単体では達成できない特性を付与する目的で絶縁性金属酸化物等の蒸発物質をフィルム面に成膜する巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックフィルム等単体では達成できない特性を付与する為、金属、有機・無機化合物等を各種の成膜技術によりフィルム面に成膜した各産業用途向けの新素材が開発されている。各種の物質を成膜する際、いろいろな方法があるが、本発明に関するような、金属や金属酸化物等を薄膜成膜する方法には、真空蒸発源の区分により、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等がある。特に、プラスチックフィルム等の蒸着用の基材がウェブシートである場合は、真空蒸着法による薄膜成膜法が広く利用されている。
【0003】
真空蒸着法においては、被蒸着体の形態から、3つの方式があり、▲1▼バッチ方式:成形品の蒸着方式、▲2▼巻き取り式半連続方式:ロール状のウェブシートが対象で真空系の中で巻き出し・蒸着・巻き取り後、大気系に再度戻し、蒸着製品を取り出す方式、▲3▼巻き取り式完全連続方式:ロール状のウェブシートが対象でアンワインダー(巻き出し装置)とリワインダー(巻き取り装置)を大気系に配置し、蒸着ドラムや蒸発源を真空系に配置してロール状のウェブシートに蒸発物質を蒸着する方式であって、一般的にair to air方式と呼ばれる完全連続方式で生産性が高い特徴がある方式である。
【0004】
ロール状のウェブシートに蒸発物質を蒸着する場合は、特に巻き取り式半連続方式が普及している。その巻き取り式真空蒸着装置の構成要素と作業工程の概略、更に真空蒸着装置の内部構造について記述する。先ず、構成要素は、ロール状ウェブシート、蒸発源、蒸発物質、蒸着ドラム、真空系統、アンワインダー(巻き出し装置)、リワインダー(巻き取り装置)、ガイドロール等である。
【0005】
次に作業工程の概略について記述する。先ず前準備として真空蒸着装置の扉を開け、ロール状のプラスチックフィルム等のウェブシートをアンワインダー(巻き出し装置)にセットし、アンワインダーと蒸着ドラム間に配置されているガイドロールを介して、前記ウェブシートを蒸着ドラムまで走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)との間に配置されているガイドロールを介して、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取り、前記ウェブシートへの蒸発物質の蒸着準備が終了する。
【0006】
次に、真空蒸着装置の扉を閉じて、真空ポンプにより、真空蒸着装置内の真空吸引定圧室と隔壁により分割された真空蒸着室を所定の真空環境にする。アンワインダーから前記ウェブシートを繰り出し、ガイドロールを介して走行させた前記ウェブシートに、蒸着ドラムの下部に配置されている蒸発源から蒸発物質を各種の方法で加熱蒸発させて前記ウェブシートに蒸着させる。蒸着ドラムは冷却されているので前記ウェブシートに蒸発物質を再結晶化させて固着させる。更に、リワインダー側のガイドロールを介して蒸着された前記ウェブシートはリワインダーに巻き取られる。
【0007】
真空蒸着装置の内部構造は、真空吸引定圧室と真空蒸着室に隔壁で分割されている。真空吸引定圧室はアンワインダー、ガイドロール、張力制御装置、速度制御装置、位置制御装置、蒸着ドラムの一部、リワインダー等が配置されている。真空蒸着室は蒸着ドラムの一部と蒸発源とその加熱装置等が配置されている。真空蒸着装置本体の周辺に付属して配置されている真空ポンプにより、真空吸引定圧室は真空度が1×100MPa程度、隔壁を介して設けた真空蒸着室は1×10-2MPa(SI単位)程度にセットされる。2つに室が隔壁で分割されているので、真空吸引定圧室で前記ウェブシートから発生したガスなどの不純物(ダスト)は、真空蒸着室での蒸着時に悪い影響を与えることは少ない。また、逆に真空蒸着室に配置されている蒸発源からの放射熱は、真空吸引定圧室への影響は少ないので前記ウェブシートへの熱の影響は少ない。
【0008】
昨今、前記ウェブシートへの蒸発物質の蒸着目的が、単なる金属光沢を付与する装飾目的やガスバリア性を有するアルミ箔の代替目的から、臭気を吸着するなど特殊な化学的性能、或いは光の反射防止など特殊な物理的性能付与を目的とした前記ウェブシートへの薄膜成膜が増加している。そのため基材となる前記ウェブシート自身や蒸発物質も用途、要求品質、成膜条件に適合することが、品質の良い薄膜を得るための重要なファクターである。
【0009】
例えば、真空蒸着法に適した前記ウェブシートについて述べると、次のようなことが必要とされている。▲1▼蒸発物質との密着性を高めたり、蒸着面の平滑性を向上させる為、真空の環境下で水分、残留溶剤、可塑剤、未反応モノマー等のガスを極力放出しないこと、▲2▼蒸発物質との密着性を高める為、前記ウェブシート表面は蒸発物質との相溶性を有すること、▲3▼蒸発源からの輻射熱と蒸発物質の凝縮熱により、前記ウェブシートが熱収縮変形を起こさないようにする為、耐熱性を有すること。▲4▼ロール状で連続的に蒸着加工するので、その間におけるしわ、たるみ、硬度ムラ発生防止の為、前記ウェブシートは厚みが均一であること、前記ウェブシートのしわや巻きズレを防止する為にも前記ウェブシートは適度な滑り性を有すること等が前記ウェブシートに求められている。
【0010】
現在、これらの要求に比較的対応できるウェブシートとしては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート)やポリプロピレンフィルム等ポリオレフィン系の樹脂からなるプラスチックフィルムが使用されている。
【0011】
次に、蒸発源となる蒸発物質も従来は、主にアルミ(Al)等の単体金属が使用されていたが、前記ウェブシートにバリア性や、環境にやさしいエコロジー性、食品包装されたままの状態で電子レンジを使用して調理できる利便性等を兼ね備えた性能を有することを目的として、酸化珪素(SiO2)やアルミナ(Al23)等の絶縁性金属酸化物を使用する必要性が出てきた。
【0012】
真空蒸着法も、加熱方法により、▲1▼間接抵抗法、▲2▼直接抵抗加熱法(ワイヤフィード法)、▲3▼高周波誘導加熱法、▲4▼電子ビーム法(electoron beam、略してEB法)の4つの方法があるが、蒸発物質が酸化珪素やアルミナ等の絶縁性金属酸化物を使用する場合は、電子ビーム法が最適である。
【0013】
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発物質に直接、電子ビームを照射して加熱蒸発させる方法で、特に蒸発物質が酸化珪素やアルミナ等の絶縁性金属酸化物の真空蒸着法として注目されている。電子ビームは、蒸発物質表面を加熱する熱源で、蒸発物質表面上をスキャンして、電子ビームがあたった部分でエネルギーを変換し、蒸発物質を蒸発させる。電子ビームの最大の特徴は、高融点の金属はもとより、酸化珪素やアルミナのような絶縁性金属酸化物を蒸着できることにある。
【0014】
蒸発物質が金属単体のような導電体の場合は、蒸着膜の密着性の向上を目的に行う、前記ウェブシートのグロー放電プラズマ処理が帯電の除去にも効果があった。ところが、絶縁性を有する酸化珪素やアルミナのような蒸発物質の場合には、蒸発物質への電子ビーム照射に伴なって、蒸発物質から放出される2次電子が多量に発生し、前記ウェブシートに入射する為、グロー放電プラズマ処理による帯電除去効果は完全でなく蒸着ドラムから前記ウェブシートを剥離する時、帯電による剥離放電が発生し、蒸着膜が損傷・破壊されるという問題が指摘されている。
【0015】
これらの対策として、例えば特開平05−86470号に示されているように、絶縁体フィルム表面の極性を測定し、帯電極性と逆極性の電位を印加して、初期帯電を除去し、更に高周波グロー放電プラズマにより、更なる帯電除去と負電位化処理を巻き出しロールとコーティングドラムとの間で施し、絶縁体フィルム表面を一様な負電位にすることにより絶縁性物質からなる蒸発材料の蒸着時に入射してくる2次電子を、電気的に反発して入射を減少させる方法により、2次電子による絶縁体フィルムの帯電に起因するコーティングドラムとの剥離放電を抑止する方法がある。
【0016】
また、特開平07−150355号に示されているように、高分子フィルム等の基材に蒸着した後、蒸着ドラムから剥離する部分に当該蒸着ドラムに接するように接地された導電性を有する補助ロールにより除電する方法等、前記ウェブシートの帯電に起因する問題を解決するためにいろいろな解決方法が提案され前記ウェブシートが蒸着ドラムから剥離する際の剥離放電は抑止された。
【0017】
しかしながら、これらの方法でも、蒸発物質から放出された2次電子を前記ウェブシートから完全に除去できず、前記ウェブシートに帯電したままの2次電子の負の電荷が、リワインダーに巻き取られる直前に巻き取り張力により、前記ウェブシートの表裏がスリップ摩擦を起こし、そのエネルギーで異常放電し、前記ウェブシートの表裏を溶融させ、前記ウェブシート同士が溶着(ブロッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招く問題が新たに指摘されている。
【0018】
更に、真空蒸着装置の真空吸引定圧室内部の圧力が変動すると、前記ウェブシートの帯電をグロー放電プラズマ型の除電装置で除去する時、グロー放電プラズマが安定して励起する圧力範囲外となり、除電効果が不安定であることも指摘されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、巻き取り式電子ビーム真空蒸着法による酸化珪素やアルミナ等の絶縁性金属酸化物の蒸発物質を前記ウェブシートに蒸着すると、前記ウェブシートが、絶縁性蒸発物質から放出される2次電子の入射により、前記ウェブシートに負の電荷が帯電する。これらは、特開平05−86470号、特開平07−150355号等により解決方法が提案され、前記ウェブシートが蒸着ドラムから剥離する際の2次電子の帯電に起因する剥離放電による蒸着膜の損傷・破壊を招く問題は解決された。
【0020】
しかしながら、これらの方法でも、蒸発物質から放出された2次電子を前記ウェブシートから完全に除去できず、前記ウェブシートに帯電したままの2次電子の負の電荷が、リワインダーに巻き取られる直前に巻き取り張力により、前記ウェブシートの表裏がスリップ摩擦を起こし、そのエネルギーで異常放電し、前記ウェブシートの表裏を溶融させ、前記ウェブシート同士が溶着(ブロッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招く問題が新たに指摘されている。
【0021】
更に、真空蒸着装置の真空吸引定圧室内部の圧力が変動すると、前記ウェブシートの帯電をグロー放電プラズマ型の除電装置で除去する時、グロー放電プラズマが安定して励起する圧力範囲外となり、除電効果が不安定であることも指摘されている。
【0022】
本発明は、上記のような課題を解決する為に成されたもので、本発明の請求項1に係る発明は、アンワインダーから連続的に送り出されるプラスチックフィルムからなるウェブシートを、真空吸引定圧室内に設置された所定走行ラインにて走行させてリワインダーで巻き取ると共に、前記走行ラインの途中に配置されている真空蒸着室にて蒸着ドラム上で、電子ビームを照射して蒸散する絶縁性の物質からなる蒸発物質の蒸気を前記ウェブシートに連続的に蒸着するように構成された巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置において、蒸発物質が放出する2次電子の入射に起因する前記ウェブシートの負電荷の帯電を除去する直流電源を使用した陰極グロー放電プラズマ型除電装置を前記リワインダーの直前に配置し、蒸着された前記ウェブシートを、前記除電装置の平行な陰極と接地対極との間に走行させて、該ウェブシートの負電荷の帯電を除去することを特徴とする巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置である。
【0023】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置14において、前記定圧室15内部の圧力を不活性ガス13の供給によって常に一定に保持することにより、前記ウェブシート2の除電効果を安定化させることを特徴とする巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置の実施の形態を以下に詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明による巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置の全体概略図である。図1において、前記真空蒸着装置14の扉を開け、ロール状のプラスチックフィルムによるウェブシート2をアンワインダー(巻き出し装置)1にセットし、アンワインダー1と蒸着ドラム4間に配置されているアンワインダー側のガイドロール3を介して、蒸着ドラム4まで走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)6との間に配置されているリワインダー側のガイドロール5を介して、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取り、前記ウェブシートの蒸着準備を完了する。
【0027】
次に、真空蒸着装置14の扉を閉じて、真空吸引定圧室15の真空ポンプ接続口17と真空蒸着室16の真空ポンプ接続口18とで接続されている真空ポンプより、真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15と真空蒸着室16を所定の真空環境にする。アンワインダー1から前記ウェブシート2を繰り出し、ガイドロール3を介して、蒸着ドラム4の下部に配置されている蒸発源8から、蒸発物質7を電子ビーム20で加熱し、蒸発させて前記ウェブシート2に蒸着する。蒸着ドラム4は冷却されているので前記ウェブシート2に蒸発物質7を再結晶化させ固着させる。更に、リワインダー側のガイドロール5を介して蒸着された前記ウェブシート2はリワインダー6に巻き取られる。
【0028】
巻き取り式真空蒸着装置14の内部構造は、隔壁9により真空吸引定圧室15と真空蒸着室16に分割されている。真空吸引定圧室15はアンワインダー1、ガイドロール3、蒸着ドラム4の一部、除電装置10、リワインダー6の他、制御系として張力制御装置、速度制御装置、位置制御装置等が配置されている。真空蒸着室16は蒸着ドラムの一部と蒸発源8や電子ビーム照射装置等が配置されている。真空蒸着装置14の周辺に付属して配置されている真空ポンプにより、真空吸引定圧室15は真空度が1×100MPa程度、真空蒸着室16は1×10-2MPa程度にセットされる。2つに室が隔壁9によって分割されているので、真空環境下で前記ウェブシート2から発生したガスなどの不純物、真空蒸着室16での蒸着時に悪い影響を与えることは少ない。また、逆に真空蒸着室16に配置されている蒸発源8からの放射熱は、真空吸引定圧室15への影響は少ないので前記ウェブシート2への熱の影響は少ない。
【0029】
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発物質7に直接、電子ビーム20を照射して加熱蒸発させる方法で特に、蒸発物質7が酸化珪素やアルミナ等の絶縁性金属酸化物の真空蒸着には最適である。電子ビーム20は、蒸発物質7表面を加熱する熱源で、蒸発物質7表面上をスキャンして、電子ビーム20があたった部分でエネルギーを変換し、蒸発物質7を蒸発させる。電子ビーム20の最大の特徴は、高融点の金属はもとより、酸化珪素やアルミナのような絶縁性金属酸化物からなる蒸発物7を蒸着できることにある。
【0030】
従来、蒸発物質7が金属単体のような導電体の場合は、蒸着膜の密着性の向上を目的に行う、前記ウェブシート2のグロー放電プラズマ処理が帯電の除去にも効果があった。ところが、前記の絶縁性を有する酸化珪素やアルミナのような蒸発物質7の場合には、蒸発物質7への電子ビーム20照射に伴なって、蒸発物質7から放出される2次電子の量が多く発生し、前記ウェブシート2に入射する為、グロー放電プラズマの前処理だけでは完全に帯電を除去できず、その解決方法がいろいろと提案され前記ウェブシート2が蒸着ドラムから剥離する際の2次電子の帯電に起因する剥離放電による蒸着膜の損傷・破壊を招く問題は解決された。
【0031】
しかしながら、前記ウェブシート2に帯電した2次電子の負の電荷の除去が完全でなく、リワインダー6に巻き取られる直前に巻き取り張力により、前記ウェブシート2の表裏がスリップ摩擦を起こし、そのエネルギーで異常放電し、前記ウェブシート2の表裏を溶融させ、前記ウェブシート2同士が溶着(ブロッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招くという問題が新たに発生した。
【0032】
そこで、いろいろな解決方法を検討した結果、前記ウェブシート2に残存する2次電子の負の電荷を除去する除電装置10を、前記ウェブシート2を巻き取るリワインダー6の直前に配置することが最適であることが判明した。
【0033】
更に、巻き取り式真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15内部の圧力が変動すると、グロー放電プラズマが安定して励起する圧力範囲外となり、除電効果が不安定であることも指摘されている。
【0034】
そこで巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置14の周辺に、真空計11、アルゴンガス流量制御装置12からなるアルゴンガス供給装置を配置して、アルゴンガスの供給を適宜自動的に行い、真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15内部の圧力を常に一定に保持すると、除電装置10による前記ウェブシート2の帯電を除電する効果が安定することも判明した。
【0035】
図2は、図1における前記ウェブシート2が走行する電極が平行プレート型の陰極グロー放電プラズマ型除電装置10の概略構成断面図である。
【0036】
図2において、10aは直流電源、10bは陰極、10cは接地対極をそれぞれ示している。ここで、陰極10b、接地対極10cは、図示のように平行プレート型となっている。
【0037】
【実施例】
上記発明の実施例を下記に図1と図2を用いて説明する。
【0038】
〈実施例1〉
図1に示すような、真空蒸着装置14の扉を開け、アンワインダー(巻き出し装置)1にロール状の前記ウェブシート2をセットし、アンワインダー1と蒸着ドラム4間に配置されているアンワインダー側のガイドロール3を介して、蒸着ドラム4まで走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)6との間に配置されているリワインダー側のガイドロール5を介して、リワインダー(巻き取り装置)6に巻き取り、前記ウェブシート2の蒸着準備を完了する。
【0039】
次に、蒸発物質7としては、酸化珪素(SiO2)[アルミナ(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カルシュウム(CaO)、酸化バリュウム(BaO)等の酸化物も使用可能]を蒸発源8にセットした。
【0040】
次に、真空蒸着装置14の扉を閉じて、真空吸引定圧室15の真空ポンプ接続口17と真空蒸着室16の真空ポンプ接続口18とで接続されている真空ポンプより、真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15を真空度が1×100MPa程度、真空蒸着室16は1×10-2MPa程度になるまで排気した。
【0041】
次に、真空計11、アルゴンガス流量制御装置12からなるアルゴンガス供給装置から、真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15内部にアルゴンガスの供給を適宜自動的に行った。真空蒸着装置14の真空吸引定圧室15内部の圧力を常に一定に保持したので、除電装置10の除電効果も安定した。
【0042】
次に、除電装置10の直流電源10Aを入れ作動させ、グロー放電プラズマを除電装置10に発生させた。
【0043】
次に、アンワインダー1から前記ウェブシート2を繰り出し、ガイドロール3を介して、走行させ、蒸着ドラム4上で電子ビーム20を照射して酸化珪素(SiO2)を前記ウェブシート2上に連続的に蒸着した。更に、リワインダー側のガイドロール5を介して蒸着された前記ウェブシート2は、安定したグロー放電プラズマを発生している除電装置10を通過することにより、蒸着の際に前記ウェブシート2に入射した2次電子の負の電荷はグロー放電プラズマにより発生する陽イオンにより中和された。その結果、リワインダー6に巻き取る直前に発生する帯電に起因する異常放電も起こらず、蒸着膜の損傷・破壊のない前記ウェブシート2をリワインダー6に巻き取った。
【0044】
〈比較例1〉
比較例として、除電装置10を作動させないで、その他は実施例1と同様の方法で蒸着を行っ た結果、2次電子の負電荷は中和されず、リワインダー6に巻き取られる直前に巻き取り張力に より、前記ウェブシート2の表裏がスリップ摩擦を起こし、そのエネルギーで異常放電が発生し 、前記ウェブシート2の表裏を溶融させ、前記ウェブシート2同士が溶着(ブロッキング)して 蒸着膜の損傷・破壊を招いてしまった。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、プラスチックフィルム等単体では達成できない特性を付与する目的で、巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置で絶縁性のある金属酸化物等の蒸発物質を成膜する際、蒸発物質から放出される2次電子がプラスチックフィルム等のウェブシートに負電荷の帯電をもたらし、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取られる直前に異常放電を起こし、前記ウェブシートの表裏を溶融させ、前記ウェブシート同士が溶着(ブロッキング)して蒸着膜の損傷・破壊を招く問題を解決し、均一で高品質な蒸着膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置の全体構成図。
【図2】本発明における陰極グロー放電プラズマ型除電装置の概略構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1・・・アンワインダー(巻き出し装置)
2・・・プラスチックフィルム等のウェブシート
3・・・アンワインダー側ガイドロール
4・・・蒸着ドラム
5・・・リワインダー側ガイドロール
6・・・リワインダー(巻き取り装置)
7・・・蒸発物質
8・・・蒸発源
9・・・真空吸引定圧室と真空蒸着室の隔壁
10・・・陰極グロー放電プラズマ型除電装置
10a・・・直流電源
10b・・・陰極 10c・・・接地対極
11・・・真空計
12・・・アルゴンガス流量制御装置
13・・・アルゴンガス供給口
14・・・真空蒸着装置
15・・・真空吸引定圧室
16・・・真空蒸着室
17・・・真空吸引定圧室用真空ポンプ接続口
18・・・真空蒸着室用真空ポンプ接続口
19・・・電子ビーム放射装置接続口
20・・・電子ビーム

Claims (2)

  1. アンワインダーから連続的に送り出されるプラスチックフィルムからなるウェブシートを、真空吸引定圧室内に設置された所定走行ラインにて走行させてリワインダーで巻き取ると共に、前記走行ラインの途中に配置されている真空蒸着室にて蒸着ドラム上で、電子ビームを照射して蒸散する絶縁性の物質からなる蒸発物質の蒸気を前記ウェブシートに連続的に蒸着するように構成された巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置において、蒸発物質が放出する2次電子の入射に起因する前記ウェブシートの負電荷の帯電を除去する直流電源を使用した陰極グロー放電プラズマ型除電装置を前記リワインダーの直前に配置し、蒸着された前記ウェブシートを、前記除電装置の平行な陰極と接地対極との間に走行させて、該ウェブシートの負電荷の帯電を除去することを特徴とする巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置。
  2. 請求項1記載の巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置において、前記真空吸引定圧室内部の圧力を不活性ガスの供給によって常に一定に保持することにより、前記ウェブシートの除電効果を安定化させることを特徴とする巻き取り式電子ビーム真空蒸着装置。
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