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JP4160469B2 - ロータコア鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロータコア鋼板の製造方法に関し、詳しくは、永久磁石式モータ用のロータコアを形成するためのロータコア鋼板の製造方法に関する。
永久磁石式同期モータは、電気自動車やハイブリッド電気自動車、また、燃料電池自動車などの駆動用モータとして用いられている。
このような永久磁石式同期モータの中には、永久磁石をロータに内蔵したタイプのモータがある。これを永久磁石内蔵モータ(以下、IPMモータと称する)と称している。
図7および8は、このようなIPMモータにおける従来のロータコア形状の例を示す平面図である。
図示するロータコア100は、いずれも8極ロータである。また、このロータコア100は、磁石1極に対する磁石挿入用開口部101が1個である。なお、磁石挿入用開口部101からロータコア100の外周部までの間の部分をアウターブリッジ部15と称する。
モータは高出力、小型化を狙うために高速回転化が図られているが、モータの最高速回転数はロータコアに使われている電磁鋼板の強度に制限される。具体的には、ブリッジ部の強度に依存する。特に、ロータが回転することにより内蔵される磁石に遠心力が働くため、前記のアウターブリッジ部15に大きな応力が働くことになる。
高速回転化を達成するためのごく単純な発想としては、ロータコアに使用する電磁鋼板の強度を上げることが考えられる。しかし機械的強度の高い電磁鋼板は鉄損が大きいので高速回転時に鉄損による発熱現象が顕著となるため、モータの冷却、特にロータやロータ軸の冷却が必要になるなどの課題がある。
そこで、高速回転時に発熱量の低い鉄損の低い電磁鋼板、すなわち機械的強度はそれほど高くない汎用の電磁鋼板を用いて、高速回転化を達成できるロータとして、より高速な回転を実現するために、磁石挿入用開口部の最も応力が集中すると考えられる部分を、図9および10に示すように円弧形状105に形状を変更し、最も応力が集中しやすいアウターブリッジ部での応力集中を拡散させた技術がある(特許文献1参照)。なお、図9および10は、1極部分の半分の拡大図である。
また、高速回転化を可能にするための他の従来技術として、図11に示すように、1極に対する磁石が2個に分割されるように、磁石挿入用開口部102および103が分割されて、磁石間の真ん中にセンターブリッジ部16を設けた技術がある(特許文献2参照)。このようにセンターブリッジ部が設けてあるので遠心耐力がさらに増して高速回転化が可能になる。なお、図15(a)は平面図、図15(b)は1極部分の拡大図である。
特開2001−16809号公報 特開2002−112481号公報
しかしながら、このような磁石挿入用開口部の形状を変えたり、またセンターブリッジ部を設けたりした場合は、それぞれある程度の高速回転化が可能となるものの、用いている電磁鋼板そのものの強度によって回転数の向上に限界がある。このためより一層の高速回転化を可能とするための技術が求められている。
そこで、本発明の目的は、高速回転時に発熱量の低い鉄損の低い電磁鋼板を用いて、さらなる高速回転化を可能にするロータコア鋼板の製造方法を提供することである。
本発明は鋭意検討の結果なされたもので、低鉄損の電磁鋼板を使い、強度の必要とされるブリッジ部を加工硬化させ、さらに加熱処理によって熱履歴を与えることで強化を図り、上記課題を解決したものである。
すなわち本発明は、円板形状をした電磁鋼板よりなり、複数積層することで磁石を内蔵するモータのロータコアを形成するために用いられるロータコア鋼板の製造方法であって、1極当たり2個の磁石を挿入するために、前記ロータコア鋼板の内部で円周方向に並んで設けられた2つの開口部の間で当該2つの開口部のそれぞれの開口端から当該2つの開口部の間の中心にまで至らない範囲、および当該2つの開口部の前記ロータコア鋼板の外周部に近い側の開口端から前記ロータコア鋼板の外周部に至らない範囲を加工硬化する段階と、前記加工硬化後の前記ロータコア鋼板を所定温度で加熱処理する段階と、を有することを特徴とするロータコア鋼板の製造方法である。
本発明によれば、低鉄損の電磁鋼板を用いて、高速回転化を可能にすることができる。また、鉄損を増加させずに高速回転化を可能にすることができるため、モータ性能(トルク、効率)への影響もほとんどなく、より一層高速回転化の改善を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用したロータコア鋼板を示す図面であり、図2は、このロータコア鋼板に設けられている磁石挿入用開口部部分の拡大図である。
このロータコア鋼板1は、ロータコアを積層して形成するための1枚のロータコア鋼板である。そしてロータコアとして形成した際に、1極当たり2個の磁石を挿入するために2つの磁石挿入用開口部2および3が設けられている。
そして、この2つの磁石挿入用開口部2および3には、それぞれの外周側部分であるアウターブリッジ部15と、1極の中の開口部同士の間の部分であるセンターブリッジ部16に、他の部分より硬い硬化部(外周側硬化部11および開口部間硬化部12)を有する。
アウターブリッジ部15の硬化部11は、磁石挿入用開口部2、3の最も外周側(外周側開口端)からロータコアの外周部4に至らない範囲に形成されている。すなわち、この外周側硬化部11のさらに外周側には、硬化されていない部分が存在する。
また、開口端が相対しているセンターブリッジ部16の開口部間硬化部12は、それぞれの開口端から両開口端の中心Cに至らない範囲に形成されている。すなわち、硬化部同士の間には硬化されていない部分が存在する。
ここで磁石を抱えるブリッジ部は、アウターブリッジ部15、センターブリッジ部16のいずれでもよく、1極に対して磁石挿入用開口部が1つの場合は、アウターブリッジ部15のみとなり、本実施の形態のように、1極に対して2つの磁石挿入用開口部がある場合には、アウターブリッジ部15とセンターブリッジ部16の両方に硬化部を設けることが好ましい。
ここで磁石に働く遠心力に基づいて高い応力が働く部位は、磁石挿入用開口部の外周側部分と、開口端が相対している部分である。
したがって、この遠心力に基づいて高い応力が働く部分に、他の部分よりも硬い外周側硬化部11と開口部間硬化部12を設けたことで、電磁鋼板全体を低鉄損のまま、回転中に応力の最も集中する部分を強化することができるので、高速回転化を可能にすることができる。そして、この硬化部を効果的に形成させる方法が本発明である。
本発明を適用した本実施の形態におけるロータコア電磁鋼板の製造方法は、まず、外周側硬化部11および開口部間硬化部12に当たる部位を加工硬化する。そして、この加工硬化を施したロータコア電磁鋼板を加熱処理するものである。
金属は一般に容易に塑性変形するが、それはミクロスコピックには転位が発生、増殖し、転位が運動することにより、すべりが発生することによる。
また、電磁鋼板のような軟鋼では、塑性変形させた後、加温することで強度が増すという現象が知られており、ストレインエージングと呼ばれている。これは軟鋼中に含まれている炭素原子(C)および窒素原子(N)が転位の応力場により転位の周りに吸い寄せられ転位を固着するため、転位が動きにくくなるためである。
加工硬化はよく知られているように、転位が増殖した状態で起こっている。電磁鋼板には一般に20〜30ppm程度のCおよびNが含まれている。したがって、加工硬化させた状態でさらに加温すれば、CおよびNの転位の固着により、強度向上が期待できるのである。
このように加工硬化に加えて加熱処理により温度履歴を与えることで、外周側硬化部11または開口部間硬化部12にはより一層の強度向上効果がもたらされるものである。
加熱処理は、温度が200〜350℃であることが好ましい。これは、加熱によって電磁鋼板中に含まれるC、Nが拡散することに起因していわゆるストレインエージングという現象が起こって強度が向上するのであるが、この温度で実施すると、その温度域で拡散が効果的に起こると推定され、結果として有効に強度向上が図れるからである。なお、この温度範囲を外れると、たとえば200℃未満では、十分なストレインエージングという現象が起こらないため、熱履歴によるさらなる強度の向上が望めないために好ましくない。一方、350℃を超えて高温になりすぎると転位構造が変わってしまい、いわゆる鋼が鈍るといったことが生じてしまうので好ましくないものである。
この加熱処理は、もちろんロータコア鋼板単体で実施してもよいが、ロータコアを形成する際の焼き嵌め工程において実施することもできる。
ロータコアを形成する際は、複数のロータコア鋼板を積層して、この積層体にロータ軸を焼き嵌めにて取り付けるのであるが、その際、ロータコア鋼板からなる積層体が加熱されることになる。そこで、加工硬化後のロータコア鋼板を1枚1枚加熱処理するのではなく、この焼き嵌めを上記温度範囲で行うことにより、わざわざ1枚1枚のロータコア鋼板を加熱処理しなくても済むようになる。したがって、ロータを形成する際の焼き嵌め工程を利用することで、加熱処理のため工程を追加する必要がない。
前記の加工硬化は、プレスによる塑性加工、レーザーピーニング処理のいずれか一方またはそれらを組み合わせて行うことが好ましい。
たとえば、プレスによる塑性加工では、ブリッジ部に段差を設けることでロータ強度向上が図れることがこれまでの検討からわかっており、特にプレスにより段差を設けた場合には塑性変形による加工硬化が発生するので強度向上効果が著しい。
図3は、片側からプレス加工を行って段差を設けた場合の断面図であり、図3(a)は図2のA1−A2断面(アウターブリッジ部)であり、図3(b)は図2のB1−B2断面(センターブリッジ部)である。
なお、このようなプレスによる加工硬化は、両面からプレスして両面に段差がつくように加工硬化してもよい。
一方、レーザーピーニング処理による強化メカニズムは、衝撃波による加工硬化である。このレーザーピーニング処理は、たとえば、小畑稔他「パルス状レーザー照射による応力改善技術−SUS304鋼に対する応力改善効果の検討」(「材料」、第49巻、第2号、193−199ページ、平成12年、2月発行)、また、特開平7−246483号公報などにあるものと同様の方法によって実施することができる。
このレーザーピーニング処理は、水中で実施されるが、より好ましくは油中での実施である。後に実施例中においても説明するが、レーザーピーニング処理時にレーザー光が電磁鋼板に当たりプラズマが発生し、その際に油が分解して発生する炭素原子が電磁鋼板の表層に入るため、その後の加熱処理によるストレインエージング現象による強度向上効果が増すものと考えられる。
このように、本発明を適用した実施の形態によって得られるロータコア鋼板は、それを積層して製造したロータコアを形成することにより、従来よりも一層の高速回転に耐えることが可能となる。したがって、小型軽量化が可能となり、たとえば電気自動車などの車両駆動用モータに好適に使用できる。
また、本実施の形態によって得られるロータコア鋼板においては、1極に対して複数の永久磁石が用いられる場合に、それに対応して1極当たり複数設けられている開口部同士の間にも開口部間硬化部を設けたので、このような1極に対して複数の永久磁石が用いられる場合においても高速回転化を可能にすることができるのである。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
まず、本発明の効果を確認するために以下の解析を行った。
図11に示した従来のロータコアをFEM弾性解析にて、回転状態における磁石に働く遠心力に基づく応力分布を求めた。その解析の結果、アウターブリッジ部の磁石側、および、センターブリッジ部の付け根部に応力集中部があることがわかった。
また、1枚のロータコア鋼板よりなるダミーロータを試作し、ロータスピンテストを行って、どのようにロータにおいて塑性変形が開始し進行するのかを検討した。
ここでダミーロータとは、ロータコア鋼板1枚からなり、磁石の挿入口には電磁鋼板1枚分に相当するダミー磁石を入れた。またワイヤカットにてロータ形状を得た。
このロータスピンテストにおいては、予め、どの回転数で塑性変形が始まり、進行するかを、上記応力解析より予測し、テストを止める回転数をきめ、何水準かの回転数におけるロータサンプルを得た。塑性変形の度合いはエッチピット法により、エッチピットの発生している領域の面積の大きさにより見積もった。その結果、塑性変形はフォンミーゼスストレスの分布における、アウターブリッジ部、センターブリッジ部の応力集中部より開始することがわかった。しかも、塑性変形が開始するのは、最大応力(フォンミーゼスストレス)が、その材料(電磁鋼板)の引張試験より求めた降伏応力の値に達するとき(回転数)であることがわかった。
もちろん、回転数が塑性変形開始回転数より増すにつれて、塑性変形は進行する。なお、外径において寸法変化が明らかに認められる状態は、塑性変形が進行し、ブリッジ部を貫通してからである(エッチピット発生領域の観察等より確認することができた)。
なお、ロータスピンテストは、大気との摩擦熱の影響を排除するため、排気減圧されたチャンバー内において室温にて実施した。
また、磁石ブリッジ部の静的な強度を測定した。図4は、この静的強度を測定するための方法およびそのための冶具を説明するための説明図である。
静的強度の測定は引張試験により行った。引張試験は、1枚のロータコア鋼板を、図示するように、磁石1極分(この場合は60度分)の部分が移動しないように、図示符号25で示す部分を径方向で拘束する。そして、磁石挿入用開口部には磁石形状をした治具21、22を入れる。治具21、22のセンター(重心位置)にはピン穴がありピン23、24が入れてある。治具21、22は、ピン2324に対して回転自在である。また、治具21、22は、磁石挿入用開口部2、3のロータ径方向外側の辺の直線部のみで図示のように接触している。
そして、このピン2324を上方(図中矢印F方向)に引っ張ったときの変位と力(荷重)の関係を実測した。
引張試験に用いたロータコア鋼板は、厚さ0.35mmの電磁鋼板(市販の35H300)を6極用に外径100mmで打ち抜いて作製した(以下の説明における各サンプルおよび各実施例における素材はいずれもこれと同じである。また、すべてのサンプルとも磁石挿入用開口部の大きさは同じである)。そして、この打ち抜き後のままのサンプル、レーザーピーニング処理による加工硬化のみを実施したサンプル、およびプレスにより加工硬化のみを実施したサンプルについて測定した。
図5は、これらサンプルの測定結果である変位と荷重の関係を示すグラフである(ただし、プレスにより加工硬化のみを実施したサンプルについてはグラフ上に図示していない)。図中、「打抜」が打ち抜き後のままのサンプル、「LP」がレーザーピーニング処理によるサンプルである。
図5から、いずれのサンプルにおいても応力−歪曲線と似た関係になっていることがわかる。
すなわち、変位−荷重曲線は直線的に立ち上がるが、やがて直線から外れてくる。これは応力集中部において降伏が起こり始める(塑性変形が始まる)からである。さらに変位が増すと加工硬化しながら塑性変形する。ここで図5において、打ち抜き後のままのサンプルでは、10μm変位を示す直線からずれたところでの力は210Nとなっている。以下においては10μm変位での力を降伏力(あるいは強度)と定義して用いる。打ち抜き後のままのサンプルでは、ブリッジ部強度は210Nとなる。
また、ロータコア鋼板におけるロータスピンテストにおける強度と上記静的強度の関係も把握できている。ロータスピンテストにおいては、回転数を増すにつれて、径は指数関数的に増加する(永久変形が残る)。径が規定した量だけ(たとえば20μm)増加する回転数を使用限界回転数と定義することにすると、上記打ち抜きのみのロータコア鋼板の場合は20.8krpmになる。静的引張強度の高いロータコア鋼板ほど使用限界回転数は高くなっている。
さらに、ロータコア鋼板について上記した静的引張のFEM弾性解析も実施した。その応力分布は回転状態における応力分布と類似の応力分布となっている。特に、応力集中部の位置は同じになっている。
一方、レーザーピーニング処理をしたサンプルは、レーザーピーニング処理の条件として、グリーンのパルスレーザにより、エネルギー:60mJ、スポット径:φ0.4mm、パルス密度:50P/mmにより水中で実施した。この場合の引張強度試験でのブリッジ部強度は約250Nであった。
また、図示していないが、プレスによる加工硬化を行ったサンプルは、アウターブリッジ部15およびセンターブリッジ部16ともに、磁石挿入側から、約3%の段差(約10μmのへこみ段差(図3参照))が付くようにプレスにて硬化させた。このサンプルの場合、ブリッジ部強度は約250Nであった。
その後さらに、上記各サンプルと同じ条件で加工硬化を行った(または行っていない)サンプルを用いて、熱処理条件を変えて実験を行った。
(実施例1)
図6は、温度条件ごとの引張試験結果を示すグラフである。縦軸は加熱処理してない場合の強度(F0)で規格化(F/F0)した。
まず、前述したプレスにて約3%の段差を設けて加工硬化したロータコア鋼板のサンプルに、250℃にて1時間の加熱を試みた。なお、加熱は空気中にて行った(以下でも同様)。
引張試験によるブリッジ部の強度は約5.6%上昇していた。なお、上昇率は、加熱処理前の状態での引張試験による強度を基準とするものである(以下、他の実施例についても同様)。
さらに、温度条件を把握するため、温度条件を変えて試験した。各温度における保持時間は1時間とした。引張試験は室温にて実施した。
同図からわかるように、200℃以上350℃以下の温度範囲で良好な特性が得られた。すなわち、熱処理しない場合よりも引張強度が向上している。
さて、5%程度の上昇率は、数値としては小さい印象があるが、ここでのブリッジ部強度は約250Nであって、それがさらに5%増加することになるので、非常に有効であることがわかる。
(実施例2)
前述したレーザーピーニング処理により加工硬化したロータコア鋼板のサンプルに、250℃で1時間加熱処理した。この場合には引張強度は約5%上昇した。
(実施例3)
実施例1と同様に、プレスにて段差を設けて加工硬化したロータコア鋼板のサンプルに、さらに上述したレーザーピーニング処理条件にてレーザーピーニング処理による加工硬化を実施した後、250℃、1時間の加熱処理を行った。この場合の引張強度の上昇は約3%であった。
この場合も、熱処理によって強度が上昇している。ただ上昇率が低いのは、そもそも基準の強度が高いためと推定される(ここで基準となるのは、プレスによる加工硬化後、さらにレーザーピーニング処理による加工硬化を行い、熱処理していないサンプルである)。
(実施例4)
レーザーピーニング処理による加工硬化は、水中ばかりでなく、油中でも行える。レーザー光に対して透明な媒質であれば可能である。
本実施例4では、鉱油中にてのレーザーピーニング処理を実施した。レーザーピーニング処理を鉱油中で行った以外の条件は、実施例2と同様である。
この場合には強度上昇は約7%であった。この場合に、前述した実施例2よりも上昇率が高くなっているのは、レーザー光が電磁鋼板に当たりプラズマが発生するがその際に油が分解して発生した炭素原子が電磁鋼板の表層に入り、それが、加熱処理によってさらに、ストレインエージング現象による強度向上効果が増したものと考えられる。
(実施例5)
前述したプレスにて約3%の段差を設けて加工硬化したロータコア鋼板のサンプルを用いてロータコア積層体を形成し、ロータ軸を焼き嵌めにて取り付けロータコアを形成した。このとき、焼き嵌めは、300℃程度にロータコア鋼板積層体を加熱して行った。
焼き嵌め温度を経験させたロータ積層体から1枚のロータコア鋼板を抜き出し、引張試験を行った。強度上昇率は約6%であった。このことから、焼き嵌め工程の温度条件を上述した温度条件、すなわち、200〜350℃にすることで、1枚1枚のロータコア鋼板にわざわざ加熱処理を行う工程を設けることなく焼き嵌め工程を利用して、ロータコア鋼板に熱履歴を与えることが可能であることがわかる。
(実施例6)
前述した実施例1で試作したロータコア鋼板(プレスによる加工硬化後、250℃、1時間の加熱処理)を用いて、複数枚積層しロータコアとし、出力60kW狙いのモータを仕立てて、モータとしての評価を行った。比較例として、打ち抜きのままのロータコア鋼板を用いたロータコアも試作した。なお、ロータ軸の取り付けには焼き嵌めは用いず、キー溝取り付けとした。モータ評価は、ロータコアのみを組み替えることにより実施した。
18000rpm、60kWでの効率を比較したところ、本実施例6のロータコアを用いた場合の方が、比較例のロータコアよりも効率が上回っていた。主な要因はトルクが増大していることによると考えられる。したがって、ブリッジ部にプレスにより段差を設け、かつ250℃の温度を経験させたことによるロータコア鉄損の増加は僅少であり、問題ないという結論が導けた。
以上説明した各実施例では、電磁鋼板の板厚0.35mmの場合しか例示していないが、他の板厚の場合、たとえば0.20mmなどでも本発明が適用できることはいうまでもない。
また、上述した各実施の形態および実施例では、1極当たり2つの磁石挿入用開口部を設けたロータコア鋼板を用いているが、これに限らず、1つの磁石挿入用開口部を設けたロータコア鋼板のアウターブリッジ部に適用することで、回転数を向上させることが可能である。
また、1極当たり2つの磁石挿入用開口部を設けたロータコア鋼板の場合においても、アウターブリッジ部とセンターブリッジ部の両方に硬化部を設けるばかりではなく、いずれか一方のみに適用した場合でも、回転数の向上が見込まれる。さらには、従来技術として紹介した図9や図10のような磁石挿入用開口部の形状を変更した形態においても適用可能であり、さらなる高速回転化を図ることができる。
また、上述した各実施の形態および実施例は、あくまでも本発明の例示に過ぎず、当業者により本発明の技術思想の範囲内においてさまざまな変形形態が可能であり、このような変形形態も本発明に含まれるものである。
本発明を適用したロータコア鋼板を示す図面である。 ロータコア鋼板に設けられている磁石挿入用開口部部分の拡大図である。 片側からのプレス加工を行った部分の断面図である。 引張試験方法およびそのための冶具を説明するための説明図である。 引張試験の測定結果を示すグラフである。 温度条件ごとの引張試験結果を示すグラフである。 従来のロータコア形状の例を示す平面図である。 従来のロータコア形状の例を示す平面図である。 磁石挿入用開口部の最も応力が集中すると考えられる部分の形状を変更した従来の技術を示す部分拡大平面図である。 磁石挿入用開口部の最も応力が集中すると考えられる部分の形状を変更した従来の技術を示す部分拡大平面図である。 1極に対する磁石が2個に分割されるように磁石挿入用開口部分割されている従来の技術を示す部分拡大平面図である。
符号の説明
1…ロータコア鋼板
2、3…磁石挿入用開口部
11…外周側硬化部
12…開口部間硬化部
15…アウターブリッジ部
16…センターブリッジ部

Claims (7)

  1. 円板形状をした電磁鋼板よりなり、複数積層することで磁石を内蔵するモータのロータコアを形成するために用いられるロータコア鋼板の製造方法であって、
    1極当たり2個の磁石を挿入するために、前記ロータコア鋼板の内部で円周方向に並んで設けられた2つの開口部の間で当該2つの開口部のそれぞれの開口端から当該2つの開口部の間の中心にまで至らない範囲、および当該2つの開口部の前記ロータコア鋼板の外周部に近い側の開口端から前記ロータコア鋼板の外周部に至らない範囲を加工硬化する段階と、
    前記加工硬化後の前記ロータコア鋼板を所定温度で加熱処理する段階と、
    を有することを特徴とするロータコア鋼板の製造方法。
  2. 前記2つの開口部は、開口部同士が隣接している側の開口端が前記ロータコア鋼板の中心に近く、開口部同士が隣接していない側の開口端が前記ロータコア鋼板の外周部に近くなる形状に開口されていることを特徴とする請求項1記載のロータコア鋼板の製造方法。
  3. 前記加熱処理する段階における所定温度は、200〜350℃であることを特徴とする請求項1または2記載のロータコア鋼板の製造方法。
  4. 前記加熱処理する段階は、前記ロータコア鋼板を前記ロータコアに形成する際に、前記ロータコア鋼板を積層し、ロータ軸を当該積層したロータコア鋼板に焼き嵌める焼き嵌め工程において実施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のロータコア鋼板の製造方法。
  5. 前記加工硬化する段階は、プレスによる塑性加工処理であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のロータコア鋼板の製造方法。
  6. 前記加工硬化する段階は、レーザーピーニング処理であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のロータコア鋼板の製造方法。
  7. 前記レーザーピーニング処理は、油中で実施されることを特徴とする請求項記載のロータコア鋼板の製造方法。
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