JP4151106B2 - 自動変速機の故障検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動変速機の故障検出装置、特に、自動変速機がニュートラル状態で固定されるニュートラル故障及び車速検出故障の検出装置に関し、車両用自動変速機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、自動車等の車両に搭載される自動変速機は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素を選択的に締結して切り換えることにより、運転状態に応じてギヤ段を自動的に設定するように構成されたもので、この自動変速機には、上記各摩擦要素と、上記トルクコンバータに備えられたロックアップクラッチとに対する作動圧の供給を制御して、これらを締結もしくは解放させる油圧制御回路が設けられる。
【0003】
この場合、油圧制御回路により、上記各摩擦要素とロックアップクラッチとに供給される作動圧を制御してギア段の制御およびロックアップクラッチの締結、解放の制御を行なうように構成されるが、この油圧制御回路には、上記作動圧の生成、給排、調圧等を行う各種のソレノイドバルブが備えられ、電気的な制御信号によってこれらのソレノイドバルブの作動を制御することにより、上記摩擦要素やロックアップクラッチに供給される作動圧を制御するようになっている。
【0004】
ところで、上記のような構成の場合、ソレノイドバルブに故障が生じると、運転状態に応じて出力される変速指令に対して所要の摩擦要素が締結されず或は解放されないため、指令通りのギヤ段が得られず、或はロックアップクラッチの締結、解放が指令通りに行われないことになる。
【0005】
そこで、従来においては、当該車両の運転開始時に各ソレノイドバルブに対して故障検出信号を出力し、各ソレノイドバルブにおける断線や短絡等の電気的故障の有無を予め検出することが行われているが、ソレノイドバルブは、上記のような電気的故障が発生していない場合においても、プランジャのスティック(執着)や異物の噛み込みによるシール不良等の所謂機能故障により正しく作動しなくなることがあり、この場合、電気的には故障は検出されないのに、ギヤ段が指令とは異なるギヤ段になったり、ロックアップクラッチが指令とは異なる状態になる等、変速制御やロックアップ制御が正しく行えないことになる。
【0006】
この問題に対しては、運転状態に応じて出力される変速指令およびロックアップ指令に対し、実際のギヤ段やロックアップクラッチの状態がどのようになっているかを検出し、その検出結果に基づいてソレノイドバルブの機能故障を判定して、所定のフェールセーフ制御を実行することが考えられている。
【0007】
その場合、ギヤ段が指令とは異なるギヤ段になるギヤ故障については、例えば、入力回転数と車速とから演算される実際のギヤ比と、指令されたギヤ段のギヤ比とを比較することにより検出することが可能であり、また、ロックアップクラッチが指令とは異なる状態になるロックアップ故障については、トルクコンバータの入力部材と出力部材との間のスリップ量に基づいて検出することが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなギヤ故障やロックアップ故障等とは別に、ドライブレンジ(Dレンジ)等の走行レンジが選択されているのも拘らず、駐車レンジ(Pレンジ)やニュートラルレンジ(Nレンジ)等の非走行レンジのときのように、自動変速機における変速歯車機構がニュートラル状態となるニュートラル故障が生じることがあり、このようなニュートラル故障を検出することによってもまたその検出結果に基づいてソレノイドバルブの機能故障判定を行なうことが考えられている。
【0009】
このようなニュートラル故障を検出するものとして、特開平2−159460号公報には、レンジがPレンジでもNレンジでもなく、アイドルスイッチ、フットブレーキスイッチ、パーキングブレーキスイッチが全てオフである場合において、車速が所定車速以下の状態が所定時間以上継続したときには、ニュートラル故障であると判断する技術が開示されている。すなわち、車両が走行していて然るべき条件のもとにおいて車速が上がらないということは、走行レンジで締結されるべき摩擦要素に対する作動圧制御に異常があって該摩擦要素が締結されず、或いは解放されて、動力の伝達が自動変速機の変速歯車機構において途切れ、その結果、ニュートラル状態が発生しているものと判定するのである。
【0010】
この場合、車速は、変速歯車機構の出力回転数に基づいて検出されるのが通例であり、該出力軸の回転数を検出する車速センサが一般に設けられる。しかし、上記公報に開示されている判定方法では、この車速を検出する車速センサに故障が生じているとも考えられる。つまり、車速センサに故障があるから車速が所定車速以下にしか検出されないのであって、ニュートラル故障は発生していないと判断することもできるし、また、ニュートラル故障があるから車速が所定車速以下にしか検出されないのであって、車速センサには故障が発生していないと判断することもできる。したがって、ニュートラル故障と車速検出故障とのどちらの故障が生じているのかが判定できないため、これら両故障判定の精度の低下が避けられない。
【0011】
そこで、本発明は、自動変速機における変速歯車機構がニュートラル状態となるニュートラル故障と、車速センサの故障を検出する車速検出故障との両故障判定の精度を向上させ、誤判定が生じないようにすることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明に係る自動変速機の故障検出装置は次のように構成したことを特徴とする。
【0013】
まず、本願の請求項1に記載の発明(以下「第1発明」と記す)は、トルクコンバータと、該トルクコンバータを介してエンジンからの動力が入力される変速歯車機構と、該変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える複数の摩擦要素と、これらの摩擦要素に供給される作動圧を制御して上記変速歯車機構のギヤ段を制御する油圧制御回路とを有する自動変速機の故障検出装置であって、選択されたレンジを検出するレンジ検出手段と、該レンジ検出手段で走行レンジが検出されているにも拘らず変速歯車機構がニュートラル状態で固定されるニュートラル故障の有無を判定するニュートラル故障判定手段と、変速歯車機構の出力回転数に基づいて車速を検出する車速検出手段と、該車速検出手段の故障の有無を判定する車速検出故障判定手段とが備えられ、この車速検出故障判定手段が、上記ニュートラル故障判定手段でニュートラル故障がないと判定されたときに限り、その判定を行なうように構成されていることを特徴とする。
【0015】
そして、請求項2に記載の発明(以下「第2発明」と記す)は、上記第1発明において、変速歯車機構の入力回転数を検出する入力回転数検出手段と、ブレーキの作動を検出する制動検出手段とが備えられ、ニュートラル故障判定手段は、上記制動検出手段でブレーキの作動が検出され、且つ、車速検出手段で車速が零であることが検出された場合において、上記入力回転数検出手段で検出される変速歯車機構の入力回転数が所定値以上であるときに、ニュートラル故障があると判定するものであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明(以下「第3発明」と記す)は、上記第1発明において、変速歯車機構のギヤ段として、発進時に設定される発進用の第一のギヤ段と、この第一ギヤ段で締結される摩擦要素が同じく締結される複数の第二のギヤ段と、上記第一ギヤ段で締結される摩擦要素が締結されない第三のギヤ段とが設けられていると共に、ニュートラル故障判定手段が上記第一ギヤ段においてニュートラル故障があると判定したときには、該第一ギヤ段に代えて、上記第三ギヤ段を設定するギヤ段変更手段と、このギヤ段変更手段で設定された第三ギヤ段で発進することを許可する発進許可手段とが備えられていることを特徴とする。
【0017】
次に、請求項4に記載の発明(以下「第4発明」と記す)は、上記第3発明において、ニュートラル故障判定手段は、第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、この第三ギヤ段についてはニュートラル故障の有無を判定しないことを特徴とする。
【0018】
次に、請求項5に記載の発明(以下「第5発明」と記す)は、上記第4発明において、ギヤ段変更手段は、第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、該第三ギヤ段に代えて、第二ギヤ段を設定すると共に、ニュートラル故障判定手段は、この第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を判定することを特徴とする。
【0019】
次に、請求項6に記載の発明(以下「第6発明」と記す)は、上記第5発明において、エンジンの始動から停止までの一運転期間中にニュートラル故障判定手段が第一ギヤ段及び複数の第二ギヤ段のそれぞれにおいてニュートラル故障があると判定したときにニュートラル故障を確定するニュートラル故障確定手段が備えられ、このニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定されたときには、その確定が行なわれたのち及びその確定が行なわれた運転期間の次の運転期間以降は、ニュートラル故障判定手段は、ニュートラル故障の有無の判定を行なわず、且つ、ギヤ段変更手段は、発進時に第三ギヤ段を設定する一方で、上記ニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定される前にエンジンが停止されたときには、次の運転期間中において、ギヤ段変更手段は、第一、第三、第二の各ギヤ段をこの順に設定し、且つ、ニュートラル故障判定手段は、これらのうちの第一、第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を再び判定し直すことを特徴とする。
【0020】
一方、請求項7に記載の発明(以下「第7発明」と記す)は、上記第1発明において、変速歯車機構のギヤ段として、発進時に設定される発進用の第一のギヤ段と、この第一ギヤ段で締結される摩擦要素が同じく締結される複数の第二のギヤ段と、上記第一ギヤ段で締結される摩擦要素が締結されない第三のギヤ段とが設けられていると共に、ニュートラル故障判定手段が上記第一ギヤ段においてニュートラル故障があると判定したときには、該第一ギヤ段に代えて、上記第二ギヤ段を設定するギヤ段変更手段が備えられ、ニュートラル故障判定手段は、このギヤ段変更手段で設定された第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を判定し、且つ、エンジンの始動から停止までの一運転期間中に上記ニュートラル故障判定手段が上記第一ギヤ段及び複数の第二ギヤ段のそれぞれにおいてニュートラル故障があると判定したときにニュートラル故障を確定するニュートラル故障確定手段が備えられて、このニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定されたときには、その確定が行なわれたのち及びその確定が行なわれた運転期間の次の運転期間以降は、ニュートラル故障判定手段は、ニュートラル故障の有無の判定を行なわず、且つ、ギヤ段変更手段は、発進時に上記第三ギヤ段を設定する一方で、上記ニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定される前にエンジンが停止されたときには、次の運転期間中において、ギヤ段変更手段は、第一、第二の各ギヤ段をこの順に設定し、且つ、ニュートラル故障判定手段は、これらの各第一、第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を再び判定し直すことを特徴とする。
【0021】
そして、請求項8に記載の発明(以下「第8発明」と記す)は、上記第1発明において、変速歯車機構の入力回転数を検出する入力回転数検出手段が備えられ、車速検出故障判定手段は、レンジ検出手段で走行レンジが検出され、且つ、上記入力回転数検出手段で検出される変速歯車機構の入力回転数が所定値以上である場合において、車速検出手段で検出される車速が零であるときに、該車速検出手段の故障があると判定するものであることを特徴とする。
【0022】
上記のように構成することにより、本願の各発明によれば次の作用が得られる。
【0023】
まず、第1発明によれば、ニュートラル故障判定手段でニュートラル故障がないと判定されたときに限って、車速検出故障判定手段による車速検出故障の有無の判定が行なわれるから、この車速検出故障の有無の判定が行なわれるときにはニュートラル故障がないことが確認されおり、したがって、その車速検出故障の判定においては誤判定がなく、その判定精度が確保できる。
【0024】
また、ニュートラル故障判定手段でニュートラル故障があると判定されたときには、車速検出故障判定手段による車速検出故障の有無の判定が行なわれないから、ニュートラル故障がある状態で車速検出故障の有無の判定を行なったときにニュートラル故障が原因なのか車速検出故障が原因なのかの区別がつかずに誤って車速検出故障があると判定するようなことがなく、その判定精度が確保できる。
【0025】
つまり、ニュートラル故障判定と車速検出故障判定とを極力切り分けて行なうようにしたことによって、両故障判定の精度の向上が図られることになる。
【0028】
そして、第2発明によれば、特に、ニュートラル故障の有無の判定が具体化され、ブレーキがかかった状態で車速が零であるときに、変速歯車機構の入力回転数が所定値以上であることをもって、ニュートラル故障が発生しているものと判定する。
【0029】
つまり、ニュートラル故障の有無の判定が、変速歯車機構の入力側と出力側とがつながっていないことを車速の低い状態のもとで検出することによって行なわれることになる。
【0030】
また、第3発明によれば、特に、発進用の第一ギヤ段においてニュートラル故障が発見されたときには、ギヤ段が、該第一ギヤ段で締結されるべき摩擦要素が締結されることのない第三ギヤ段に変更され、そして、この第三ギヤ段で発進することが許可される。したがって、通常用いられる発進用ギヤ段が達成されない場合の対応として代替のギヤ段で車両の運転を続けることが可能となり、立ち往生することがなくなる。
【0031】
さらに、第4発明によれば、特に、上記第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、この第三ギヤ段についてはニュートラル故障の有無の判定が行なわれない。
【0032】
つまり、この場合、代替させる第三ギヤ段では、第一ギヤ段において締結されない故障が発見された摩擦要素がそもそも締結されることがないのであるから、この第三ギヤ段で締結される他の摩擦要素の締結に故障がなければ該第三ギヤ段は達成可能となる。そして、この第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、該第三ギヤ段にはニュートラル故障がなく、第三ギヤ段が達成され、第三ギヤ段で実際に走行でき、また走行したのであるから、そのような場合にまでニュートラル故障の検出をしても意味がない。したがって、ニュートラル故障判定手段は、走行したのちの停車時には、この第三ギヤ段についてのニュートラル故障の検出を行なわず、これにより、いたずらに無駄な故障判定を行なうことが回避される。
【0033】
さらに、第5発明によれば、特に、同じく上記第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、ギヤ段が、該第三ギヤ段から、第一ギヤ段で締結されるべき摩擦要素が同じく締結されることになる複数の第二ギヤ段に変更され、そして、これらの第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無の判定が行なわれる。
【0034】
この場合、第二ギヤ段では、第一ギヤ段において締結されない故障が発見された摩擦要素がやはり締結されることになるのであるから、第一ギヤ段のときと同じくその摩擦要素の締結に故障が発見されればこれらの第二ギヤ段もまた達成不能となる。
【0035】
したがって、これらの第二ギヤ段についてニュートラル故障の検出を行なうことは有意義なことであり、そして、その結果、やはり第一ギヤ段のときと同じく摩擦要素の締結に故障が発見されれば、それだけ、このニュートラル故障の判定に信憑性が帯びてくることになり、判定精度が増すことになる。また、第二ギヤ段が複数設けられているから、それだけより一層故障判定の信憑性及び精度が増大することになる。
【0036】
そして、第6発明によれば、特に、エンジンの始動から停止までの一運転期間の間に、上記第一ギヤ段及び複数の第二ギヤ段のそれぞれにおいてニュートラル故障が検出されたときに、該ニュートラル故障が確定されるので、このニュートラル故障の確定は、単一のギヤ段での判定の結果だけではなく、異なる複数のギヤ段での判定の結果であり、信憑性のある、精度のよい確定となる。
【0037】
そして、このニュートラル故障の確定が行なわれたのち以降は、もはやニュートラル故障の有無を判定しても無駄であるから、ニュートラル故障判定手段はその検出、判定を行なわない。
【0038】
一方、このニュートラル故障が確定されたときは、通常用いられる発進用の第一ギヤ段及び第二ギヤ段がそれぞれ達成されないことがわかっており、且つ、第三ギヤ段が達成されることがわかっているから、発進時には、この第三ギヤ段が設定される。これにより、上記確定が行なわれた以降の一運転期間中はもとより、次にエンジンを始動させたときにおいても車両を発進、走行させることが可能となる。
【0039】
これに対して、上記ニュートラル故障の確定が行なわれる前に一運転期間が終了したときには、次の運転期間中に、再度、ギヤ段が第一、第三、第二の順に設定され、そして、これらのうちの第一、第二ギヤ段についてのニュートラル故障の検出が最初から行なわれる。このように判定を改めて最初からやり直すのは、前回の運転期間中に得られた判定結果が残っていると、その前回の結果と、今回の運転期間中に新たに得られた判定結果との不一致等により、判定結果が錯綜し、ニュートラル故障の確定に誤判断が生じるのを防ぐためである。
【0040】
一方、第7発明によれば、発進用の第一のギヤ段においてニュートラル故障があると判定されたのちの他のギヤ段の設定の順序が異なり、上記のように第一ギヤ段のあと第三ギヤ段次いで第二ギヤ段と設定するのではなく、第一ギヤ段のあと第二ギヤ段次いで第三ギヤ段と設定する。
【0041】
そして、第一ギヤ段と第二ギヤ段とについてニュートラル故障の有無の判定が行なわれ、その結果、これらの各ギヤ段でニュートラル故障が検出されたときにニュートラル故障が確定されるから、その確定までの途中で、ニュートラル故障の有無の判定が行なわれず、走行するかもしれない第三ギヤ段を設定する場合に比べて、早期にニュートラル故障が確定することになる。そして、そののち、第三ギヤ段が設定されることにより、車両の発進、走行が可能となる。
【0042】
そして、第8発明によれば、特に車速検出故障の有無の判定が具体化され、走行レンジで変速歯車機構への入力回転数が所定値以上である場合、したがって変速歯車機構の出力回転数もゼロではなく相当する回転数以上となるべき場合に、車速検出手段で検出される車速が零であることをもって、上記出力回転数を検出する車速検出手段に故障が生じているものと判定する。
【0043】
このように、車速検出手段が回転数を検出する変速歯車機構の出力回転数によらず、変速歯車機構の入力回転数によって、車両が走行していて然るべき状態であることの判断としたのは、不測のエンスト等が発生した場合の誤判定を回避するためである。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0045】
まず、図1により、この実施の形態に係る自動変速機10の機械的構成を説明する。
【0046】
この自動変速機10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該トルクコンバータ20の出力により駆動される変速歯車機構30と、該機構30の動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素41〜45およびワンウェイクラッチ46とを有し、これらによりD,S,Lレンジ等の前進レンジにおける1〜4速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0047】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して変速歯車機構30側に出力されるようになっている。
【0048】
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0049】
一方、上記歯車変速機構30は、それぞれ、サンギヤ31a,32aと、これらのサンギヤ31a,32aに噛み合った複数のピニオン31b,32bと、これらのピニオン31b,32bを支持するピニオンキャリヤ31c,32cと、ピニオン31b,32bに噛み合ったインターナルギヤ31d,32dとを有する第1、第2遊星歯車機構31,32で構成されている。
【0050】
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構31のサンギヤ31aとの間にフォワードクラッチ41が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構32のサンギヤ32aとの間にリバースクラッチ42が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構32のピニオンキャリヤ32cとの間に3−4クラッチ43がそれぞれ介設されているとともに、第2遊星歯車機構32のサンギヤ32aを固定する2−4ブレーキ44が配置されている。
【0051】
さらに、第1遊星歯車機構31のインターナルギヤ31dと第2遊星歯車機構32のピニオンキャリヤ32cとが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ45とワンウェイクラッチ46とが並列に配置されているとともに、第1遊星歯車機構31のピニオンキャリヤ31cと第2遊星歯車機構32のインターナルギヤ32dとが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。そして、この出力ギヤ13の回転が伝動ギヤ2,3,4および差動機構5を介して左右の車軸6,7に伝達されるようになっている。
【0052】
ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦要素41〜45およびワンウェイクラッチ46の作動状態とギヤ段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。なお、この表1において、(◯)は当該摩擦要素が締結される場合を示す。また、ローリバースブレーキ45の欄における(◎)はLレンジでのみ締結されることを示す。
【0053】
【表1】
次に、上記各摩擦要素41〜45に設けられた油圧室に対して作動圧を給排する油圧制御回路100について説明する。
【0054】
ここで、上記摩擦要素のうち、バンドブレーキでなる2速および4速用の2−4ブレーキ44は、作動圧が供給される油圧室としてアプライ室44aとリリース室44bとを有し、アプライ室44aのみに作動圧が供給されているときに該2−4ブレーキ44が締結され、リリース室44bのみに作動圧が供給されているとき、両室44a,44bとも作動圧が供給されていないとき、および両室44a,44bとも作動圧が供給されているときに、2−4ブレーキ44が解放されるようになっている。また、その他の摩擦要素41〜43,45は単一の油圧室を有し、その油圧室に作動圧が供給されているときに、当該摩擦要素が締結されるようになっている。
【0055】
図2に示すように、この油圧制御回路100には、主たる構成要素として、ライン圧を生成するレギュレータバルブ101と、手動操作によってレンジの切り換えを行うためのマニュアルバルブ102と、変速時に作動して各摩擦要素41〜45に通じる油路を切り換えるローリバースバルブ103、バイパスバルブ104、3−4シフトバルブ105およびロックアップシフトバルブ106と、これらのバルブ103〜106を作動させるための第1、第2オンオフソレノイドバルブ(以下「オンオフSV」と記す)111,112と、これらのオンオフSV111,112に供給される元圧を生成するソレノイドレデューシングバルブ(以下「レデューシングバルブ」と記す)107と、第1オンオフSV111からの作動圧の供給先を切り換えるソレノイドリレーバルブ(以下「リレーバルブ」と記す)108と、各摩擦要素41〜45の油圧室に供給される作動圧の生成、調整、排出等の制御を行う第1〜第3デューティソレノイドバルブ(以下「デューティSV」と記す)121,122,123等が備えられている。
【0056】
ここで、上記オンオフSV111,112およびデューティSV121〜123はいずれも3方弁であって、上、下流側の油路を連通させた状態と、下流側の油路をドレンさせた状態とが得られるようになっている。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断されるので、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出することがなく、オイルポンプ12の駆動ロスが低減される。
【0057】
なお、オンオフSV111,112はONのときに上、下流側の油路を連通させる。また、デューティSV121〜123はOFFのとき、即ちデューティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比率)が0%のときに全開となって、上、下流側の油路を完全に連通させ、ONのとき、即ちデューティ率が100%のときに、上流側の油路を遮断して下流側の油路をドレン状態とするとともに、その中間のデューティ率では、上流側の油圧を元圧として、下流側にそのデューティ率に応じた値に調整した油圧を生成するようになっている。
【0058】
上記レギュレータバルブ101は、オイルポンプ12から吐出された作動油の圧力を所定のライン圧に調整する。そして、このライン圧は、メインライン200を介して上記マニュアルバルブ102に供給されるとともに、上記レデューシングバルブ107と3−4シフトバルブ105とに供給される。
【0059】
このレデューシングバルブ107に供給されたライン圧は、該バルブ107によって減圧されて一定圧とされた上で、ライン201,202を介して第1、第2オンオフSV111,112に供給される。
【0060】
そして、この一定圧は、第1オンオフSV111がONのときには、ライン203を介して上記リレーバルブ108に供給されるとともに、該リレーバルブ108のスプールが図面上(以下同様)右側に位置するときは、さらにライン204を介してバイパスバルブ104の一端の制御ポート104aにパイロット圧として供給され、該バイパスバルブ104のスプールを左側に付勢する。また、この一定圧は、リレーバルブ108のスプールが左側に位置するときは、ライン205を介して3−4シフトバルブ105の一端の制御ポート105aにパイロット圧として供給され、該3−4シフトバルブ105のスプールを右側に付勢する。
【0061】
また、第2オンオフSV112がONのときには、上記レデューシングバルブ107からの一定圧は、ライン206を介してバイパスバルブ104に供給されるとともに、該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置するときは、さらにライン207を介してロックアップコントロールバルブ106の一端の制御ポート106aにパイロット圧として供給され、該コントロールバルブ106のスプールを左側に付勢する。また、バイパスバルブ104のスプールが左側に位置するときは、ライン208を介してローリバースバルブ103の一端の制御ポート103aにパイロット圧として供給され、該ローリバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0062】
さらに、レデューシングバルブ107からの一定圧は、ライン209を介して上記レギュレータバルブ101の調圧ポート101aにも供給される。その場合に、この一定圧は、上記ライン209に備えられたリニアソレノイドバルブ(以下「リニアSV」と記す)131により例えばエンジン負荷等に応じて調整され、したがって、レギュレータバルブ101によってライン圧がエンジン負荷等に応じて調整されることになる。
【0063】
なお、上記3−4シフトバルブ105に導かれたメインライン200は、該バルブ105のスプールが右側に位置するときに、ライン210を介して第1アキュムレータ141に通じ、該アキュムレータ141にライン圧を導入する。
【0064】
一方、上記メインライン200からマニュアルバルブ102に供給されるライン圧は、D,S,Lの各前進レンジでは第1出力ライン211および第2出力ライン212に、Rレンジでは第1出力ライン211および第3出力ライン213に、また、Nレンジでは第3出力ライン213にそれぞれ導入される。
【0065】
そして、上記第1出力ライン211は第1デューティSV121に導かれ、該第1デューティSV121に制御元圧としてライン圧を供給する。この第1デューティSV121の下流側は、ライン214を介してローリバースバルブ103に導かれているとともに、該バルブ103のスプールが右側に位置するときには、さらにライン215を介して2−4ブレーキ44のアプライ室44aに導かれ、また、上記ローリバースバルブ103のスプールが左側に位置するときには、さらにライン216を介してローリバースブレーキ45の油圧室に導かれる。ここで、上記ライン214からはライン217が分岐され、第2アキュムレータ142に導かれている。
【0066】
また、上記第2出力ライン212は、第2デューティSV122および第3デューティSV123に導かれ、これらのデューティSV122,123に制御元圧としてライン圧をそれぞれ供給するとともに、3−4シフトバルブ105にも導かれている。この3−4シフトバルブ105に導かれたライン212は、該バルブ105のスプールが左側に位置するときに、ライン218を介してロックアップシフトバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプールが左側に位置するときに、さらにライン219を介してフォワードクラッチ41の油圧室に導かれる。
【0067】
ここで、上記フォワードクラッチライン219から分岐されたライン220は3−4シフトバルブ105に導かれ、該バルブ105のスプールが左側に位置するときに、前述のライン210を介して第1アキュムレータ141に通じるとともに、該バルブ105のスプールが右側に位置するときには、ライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bに通じる。
【0068】
また、第2出力ライン212から制御元圧が供給される上記第2デューティSV122の下流側は、ライン222を介して上記リレーバルブ108の一端の制御ポート108aに導かれてパイロット圧を供給し、該リレーバルブ108のスプールを左側に付勢するとともに、上記ライン222から分岐されたライン223はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ103のスプールが右側に位置するときに、さらにライン224に通じる。
【0069】
このライン224からは、オリフィス151を介してライン225が分岐されているとともに、この分岐されたライン225は3−4シフトバルブ105に導かれ、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置するときに、ライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bに導かれる。
【0070】
また、上記ライン224からオリフィス151を介して分岐されたライン225からは、さらにライン226が分岐されているとともに、このライン226はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが右側に位置するときに、ライン227を介して3−4クラッチ43の油圧室に導かれる。
【0071】
さらに、上記ライン224は直接バイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが左側に位置するときに、上記ライン226を介してライン225に通じる。つまり、ライン224とライン225とが上記オリフィス151をバイパスして通じることになる。
【0072】
また、第2出力ライン212から制御元圧が供給される第3デューティSV123の下流側は、ライン228を介してロックアップシフトバルブ106に導かれ、該バルブ106のスプールが右側に位置するときに、上記フォワードクラッチライン219に連通する。また、該ロックアップシフトバルブ106のスプールが左側に位置するときには、ライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに通じる。
【0073】
さらに、マニュアルバルブ102からの第3出力ライン213はローリバースバルブ103に導かれ、該バルブ103にライン圧を供給する。そして、該バルブ103のスプールが左側に位置するときに、ライン230を介してリバースクラッチ42の油圧室に導かれる。
【0074】
また、同じく第3出力ライン213から分岐されたライン231はバイパスバルブ104に導かれ、該バルブ104のスプールが右側に位置するときに、前述のライン208を介してローリバースバルブ103の制御ポート103aにパイロット圧としてライン圧を供給し、該ローリバースバルブ103のスプールを左側に付勢する。
【0075】
以上の構成に加え、この油圧制御回路100には、コンバータリリーフバルブ109が備えられている。このバルブ109は、レギュレータバルブ101からライン232を介して供給される作動圧を一定圧に調圧した上で、これをライン233を介してロックアップシフトバルブ106に供給する。そして、この一定圧は、ロックアップシフトバルブ106のスプールが右側に位置するときには、前述のライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに供給され、また、上記ロックアップシフトバルブ106のスプールが左側に位置するときには、ライン234を介してロックアップクラッチ26のリヤ室26bに供給されるようになっている。
【0076】
ここで、ロックアップクラッチ26は、フロント室26aに上記一定圧が供給されることにより解放されるとともに、リヤ室26bに一定圧が供給されたときに締結されるようになっているが、この締結時において、ロックアップシフトバルブ106のスプールが左側に位置するときは、上記第3デューティSV123で生成された作動圧がフロント室26aに供給されることにより、この作動圧に応じた締結力が得られるようになっている。
【0077】
また、この油圧制御回路100においては、前述のように、レギュレータバルブ101によって調整されるライン圧を、リニアSV131からの制御圧により、例えばエンジン負荷に応じた油圧に制御されるが、レンジに応じたライン圧の制御も行われるようになっている。つまり、上記マニュアルバルブ102から導かれて、D,S,LおよびNレンジでメインライン200に通じるライン235が、レギュレータバルブ101の減圧ポート101bに接続されており、上記D,S,LおよびNレンジでは、Rレンジよりライン圧の調圧値を低くするようになっている。
【0078】
一方、図3に示すように、この油圧制御回路100における上記第1、第2オンオフSV111,112、第1〜第3デューティSV121〜123およびリニアSV131を制御するコントローラ300が備えられている。
【0079】
このコントローラ300には、当該車両の車速を検出する車速センサ301、エンジン負荷としてのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ302、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ303、運転者によって選択されたレンジを検出するインヒビタスイッチ304、変速歯車機構30への入力回転数であるタービンシャフト27の回転数を検出するタービン回転数センサ305、変速歯車機構30の出力回転数を検出する出力回転数センサ306、作動油の油温を検出する油温センサ307等からの信号が入力され、これらのセンサおよびスイッチ301〜307からの信号が示す当該車両ないしエンジンの運転状態等に応じて、上記オンオフSV111,112、デューティSV121〜123およびリニアSV131の作動を制御するようになっている。
【0080】
次に、この第1、第2オンオフSV111,112および第1〜第3デューティSV121〜123の作動状態と各摩擦要素41〜45の油圧室に対する作動圧の給排状態の関係を各ギヤ段ごとに説明する。
【0081】
ここで、第1、第2オンオフSV111,112および第1〜第3デューティSV121〜123の各変速段ごとの作動状態の組み合せ(ソレノイドパターン)は、次の表2に示すように設定されている。
【0082】
この表2中、(○)は、オンオフSV111,112についてはON、デューティSV121〜123についてはOFFであって、いずれも、上流側の油路を下流側の油路に連通させて元圧をそのまま下流側に供給する状態を示す。また、(×)は、オンオフSV111,112についてはOFF、デューティSV121〜123についてはONであって、いずれも、上流側の油路を遮断して、下流側の油路をドレンさせた状態を示す。さらに、第3デューティSV123についての(×(デューティ))は、下流側をドレンし、または下流側にデューティ制御で作動圧を生成させることを示す。
【0083】
【表2】
まず、1速(Lレンジの1速を除く)においては、表2および図4に示すように、第3デューティSV123のみが作動して、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として作動圧を生成しており、この作動圧がライン228を介してロックアップシフトバルブ106に供給される。そして、1速では該ロックアップシフトバルブ106のスプールが右側に位置することにより、上記作動圧は、さらにライン219を介してフォワードクラッチ41の油圧室にフォワードクラッチ圧として供給され、これにより該フォワードクラッチ41が締結される。
【0084】
ここで、上記ライン219から分岐されたライン220が3−4シフトバルブ105およびライン210を介して第1アキュムレータ141に通じていることにより、上記フォワードクラッチ圧の供給が緩やかに行われる。
【0085】
次に、2速の状態では、表2および図5に示すように、上記の1速の状態に加え、第1デューティSV121も作動し、第1出力ライン211からのライン圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン214を介してローリバースバルブ103に供給されるが、この時点では該ローリバースバルブ103のスプールが右側に位置することにより、さらにライン215に導入され、2−4ブレーキ44のアプライ室44aにサーボアプライ圧として供給される。これにより、上記フォワードクラッチ41に加えて2−4ブレーキ44が締結される。
【0086】
なお、上記ライン214はライン217を介して第2アキュムレータ142に通じているから、上記サーボアプライ圧の供給ないし2−4ブレーキ44の締結が緩やかに行われる。そして、このアキュムレータ142に蓄えられた作動油は、後述するLレンジの1速への変速に際してローリバースバルブ103のスプールが左側に移動したときに、ライン216からローリバースブレーキ45の油圧室にプリチャージされる。
【0087】
また、3速の状態では、表2および図6に示すように、上記の2速の状態に加えて第2デューティSV122も作動し、第2出力ライン212からのライン圧を元圧として作動圧を生成する。この作動圧は、ライン222およびライン223を介してローリバースバルブ103に供給されるが、この時点では該バルブ103のスプールが右側に位置することにより、さらにライン224に導入される。
【0088】
そして、この第2デューティSV122で生成された作動圧は、上記ライン224からオリフィス151を介してライン225に導入されて3−4シフトバルブ105に導かれるが、この時点では該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置することにより、さらにライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bにサーボリリース圧として供給される。これにより、2−4ブレーキ44が解放される。
【0089】
また、上記ライン224からオリフィス151を介して分岐されたライン225からはさらにライン226が分岐されているから、上記作動圧は該ライン226によりバイパスバルブ104に導かれるとともに、この時点では該バイパスバルブ104のスプールが右側に位置することにより、さらにライン227を介して3−4クラッチ43の油圧室に3−4クラッチ圧として供給される。したがって、3速では、フォワードクラッチ41と3−4クラッチ43とが締結される一方、2−4ブレーキ44が解放されることになる。
【0090】
なお、この3速の状態では、上記のように第2デューティSV122が作動圧を生成し、これがライン222を介してリレーバルブ108の制御ポート108aに供給されることにより、該リレーバルブ108のスプールが左側に移動する。
【0091】
また、この3速の状態でロックアップクラッチ26が締結される場合は、表2および図7に示すように、上記3速の状態に対して、まず第2オンオフSV112が作動することにより、レデューシングバルブ107(図2参照)からの一定圧が該第2オンオフSV112、ライン206、バイパスバルブ104およびライン207を介してロックアップシフトバルブ106の制御ポート106aに供給され、該ロックアップシフトバルブ106のスプールを左側に移動させる。このとき、フォワードクラッチ41の油圧室には、ライン212からの作動圧が3−4シフトバルブ105およびライン218等を介して供給され、該フォワードクラッチ41が締結状態に保持される。
【0092】
また、このとき、ロックアップクラッチ26においては、リヤ室26bにライン233,234を介してコンバータリリーフバルブ109(図2参照)からの一定圧が供給された状態で、第3デューティSV123により、フロント室26a内の作動圧が排出もしくはデューティ制御により調整される。これにより、該ロックアップクラッチ26が締結状態もしくはスリップ状態に制御される。
【0093】
さらに、4速の状態では、表2および図8に示すように、3速の状態に対して、第3デューティSV123が作動圧の生成を停止する一方、第1オンオフSV111が作動する。
【0094】
この第1オンオフSV111の作動により、ライン201からの一定圧がライン203を介してリレーバルブ108に供給されることになるが、上記のように、このリレーバルブ108のスプールは3速時に左側に移動しているから、上記一定圧がライン205を介して3−4シフトバルブ105の制御ポート105aに供給されることになり、該バルブ105のスプールが右側に移動する。
【0095】
そのため、2−4ブレーキ44のリリース室44bに通じるライン221と、フォワードクラッチ41に通じるライン219から分岐されたライン220とが該3−4シフトバルブ105を介して接続され、2−4ブレーキ44のリリース室44bとフォワードクラッチ41の油圧室とが連通する。
【0096】
そして、上記のように第3デューティSV123が作動圧の生成を停止して下流側をドレン状態とすることにより、上記2−4ブレーキ44のリリース室44bとフォワードクラッチ41の油圧室内の作動圧が、ロックアップシフトバルブ106およびライン228を介して該第3デューティSV123でドレンされることになる。これにより、2−4ブレーキ44が再び締結されるとともに、フォワードクラッチ41が解放される。
【0097】
また、この4速の状態でロックアップクラッチ26が締結される場合は、表2および図9に示すように、3速の場合と同様に、第2オンオフSV112が作動することによりロックアップシフトバルブ106のスプールが左側に移動する。そして、これに伴って、ロックアップクラッチ26においては、リヤ室26bにライン233,234を介して一定圧が供給された状態で、フロント室26a内の作動圧が上記第3デューティSV123によって排出もしくはデューティ制御され、該ロックアップクラッチ26が締結状態もしくはスリップ状態に制御される。
【0098】
そして、この4速の状態では、3−4シフトバルブ105のスプールが右側に位置していることにより、フォワードクラッチ41に通じるライン219と、2−4ブレーキ44のリリース室44bに通じるライン221とがライン220を介して連通した状態で、上記ロックアップシフトバルブ106に導かれるが、これらのライン219,221は、上記のように該ロックアップシフトバルブ106のスプールが左側に位置することにより、さらにライン218を介して上記3−4シフトバルブ105に導かれ、該バルブ105のドレンポート105bに連通する。
【0099】
したがって、4速の状態でロックアップクラッチ26が締結されるときには、フォワードクラッチ圧およびサーボリリース圧は第3デューティSV123によって排圧されている状態から、3−4シフトバルブ105のドレンポート105bからドレンされる状態に切り換わることになり、これにより、フォワードクラッチ41の解放状態および2−4ブレーキ44の締結状態が保持されることになる。
【0100】
一方、Lレンジの1速では、表2および図10に示すように、第1、第2オンオフSV111,112および第1、第3デューティSV121,123が作動し、この第3デューティSV123によって生成された作動圧が、Dレンジ等の1速と同様に、ライン228、ロックアップシフトバルブ106およびライン219を介してフォワードクラッチ41の油圧室にフォワードクラッチ圧として供給され、該フォワードクラッチ41が締結される。また、このとき、ライン220、3−4シフトバルブ105およびライン210を介して第1アキュムレータ141に作動圧が導入されることにより、上記フォワードクラッチ41の締結が緩やかに行われるようになっている点も、Dレンジ等の1速と同様である。
【0101】
また、第1オンオフSV111の作動により、ライン203、リレーバルブ108、ライン204を介してバイパスバルブ104の制御ポート104aにパイロット圧が供給され、該バルブ104のスプールが左側に移動する。そして、これに伴って、第2オンオフSV112からの作動圧が、ライン206、バイパスバルブ104およびライン208を介してローリバースバルブ103の制御ポート103aに供給され、該バルブ103のスプールが左側に移動する。
【0102】
したがって、第1デューティSV121で生成された作動圧がライン214、ローリバースバルブ103およびライン216を介してローリバースブレーキ45の油圧室にローリバースブレーキ圧として供給され、これにより、フォワードクラッチ41に加えてローリバースブレーキ45が締結され、エンジンブレーキが作動する1速が得られる。
【0103】
さらに、Rレンジでは、表2および図11に示すように、第1、第2オンオフSV111,112および第1〜第3デューティSV121〜123が作動する。ただし、第2、第3デューティSV122,123については、マニュアルバルブ102によって第2出力ライン212からの元圧の供給が停止されているから、作動圧を生成することはない。
【0104】
このRレンジでは、上記のように、第1、第2オンオフSV111,112が作動するから、前述のLレンジの1速の場合と同様に、バイパスバルブ104のスプールが左側に移動し、これに伴ってローリバースバルブ103のスプールも左側に移動する。そして、この状態で第1デューティSV121で作動圧が生成され、これがローリバースブレーキ圧としてローリバースブレーキ45の油圧室に供給される。
【0105】
一方、Rレンジでは、マニュアルバルブ102から第3出力ライン213にライン圧が導入され、このライン圧が、上記のようにスプールが左側に移動したローリバースバルブ103、およびライン230を介してリバースクラッチ42の油圧室にリバースクラッチ圧として供給される。したがって、上記リバースクラッチ42とローリバースブレーキ45とが締結されることになる。
【0106】
次に、図3に示すコントローラ300によるフェールセーフ制御、特に上記第1、第2オンオフSV111,112および第1〜第3デューティSV121〜123の機能故障に対するフェールセーフ制御について説明する。
【0107】
まず、上記各ソレノイドバルブの構成を説明すると、オンオフSV111(オンオフSV112も同様)は、図12に示すように、本体111aの端面に上流側(油圧源側)ポート111bが、周面に下流側(摩擦要素側)ポート111cとドレンポート111dとがそれぞれ設けられているとともに、上記上流側ポート111bと下流側ポート111cとの間を遮断して該下流側ポート111cをドレンポート111dに連通させる状態と、上流側ポート111bと下流側ポート111cとを連通させてドレンポート111dを遮断する状態とに、ボール部材111eを介して切り換えるプランジャ111fが備えられている。さらに、このプランジャ111fを、上記上流側ポート111bと下流側ポート111cとを遮断する方向(a方向)に付勢するスプリング111gと、通電時にプランジャ111fに上記スプリング111gの付勢力と反対方向(b方向)の電磁力を作用させるコイル111hとが備えられ、このコイル111hに、前述のコントローラ300から制御信号としてオンオフ信号が供給されるようになっている。
【0108】
したがって、このオンオフSV111(112)によれば、上記オンオフ信号がOFFのとき(通電されていないとき)には、図示のように、スプリング111gの付勢力によりプランジャ111fが上流側ポート111bと下流側ポート111cとの間を遮断する位置に保持されて、油圧源側から摩擦要素側への作動油の供給が停止されるとともに摩擦要素側がドレンされ、また、オンオフ信号がONとなってコイル111hが通電されたときには、該コイル111hで発生する電磁力によりプランジャ111fが上記スプリング111gの付勢力に抗してb方向に移動して、上流側ポート111bと下流側ポート111cとが連通することにより、油圧源側からの作動油が摩擦要素側へ供給されることになる。
【0109】
また、デューティSV121(デューティSV122,123も同様)は、図13に示すように、本体121aの周面に、上流側(油圧源側)ポート121bと、下流側(摩擦要素側)ポート121cと、ドレンポート121dとが設けられているとともに、c方向に移動したときに下流側ポート121cに対して上流側ポート121bを連通させてドレンポート121dを遮断し、これとは反対のd方向に移動したときには、下流側ポート121cに対してドレンポート121dを連通させて上流側ポート121bを遮断するプランジャ121eが備えられている。さらに、このプランジャ121eを上記c方向に付勢するスプリング121fと、通電時にプランジャ121eに上記スプリング121fの付勢力と反対方向のd方向に電磁力を作用させるコイル121gとが備えられ、このコイル121gに前述のコントローラ300から一定周期でON,OFFを繰り返すデューティ信号が制御信号として供給されるようになっている。
【0110】
そして、このデューティ信号のうちのOFF信号の供給時には、上記プランジャ121eがc方向に移動して下流側ポート121cに対して上流側ポート121bが連通することにより、摩擦要素側へ供給される作動油の圧力が増圧され、また、ON信号の供給時には、該プランジャ121eがd方向に移動して上記下流側ポート121cに対してドレンポート121dが連通することにより、摩擦要素側へ供給される作動油の圧力が減圧されるようになっている。
【0111】
したがって、このデューティSV121(122,123)によれば、前述のように、デューティ率(1ON−OFFサイクル中のON時間の比率)が小さいほど摩擦要素側に供給される作動圧が高くなり、デューティ率0%、即ち完全にOFFの状態で元圧がそのまま摩擦要素側へ供給されることになる。
【0112】
ところで、この種のソレノイドバルブ111,112,121〜123は、コントローラ300から上記のようなオンオフ信号やデューティ信号が正常に供給されているにも拘らず、機能故障、即ち異物の噛み込み等によるプランジャのスティックやリーク、或はスプリングの折損によるプランジャの作動不良等の機械的な故障により、摩擦要素に対する油圧の給排動作や調圧動作が制御信号通りに行われないことがあり、この場合、運転状態等に応じて出力される指令通りのギヤ段が得られず、或はロックアップクラッチのON(締結)、OFF(解放)の状態が指令通りにならず、或はNレンジ等の非走行レンジからDレンジ等の走行レンジへの切り換え操作時における摩擦要素のエンゲージ動作が指令通りに行われなくなるおそれが生じる。
【0113】
そこで、コントローラ300は、ギヤ段が指令と一致しているか否か、或はロックアップクラッチ26の状態が指令と一致しているか否か、或はエンゲージ動作が指令通りに行われているか否か等を判別し、指令通りでない場合に、その異常の態様から、各ソレノイドバルブ111,112,121〜123のうち、どのソレノイドバルブについて、どのような機能故障を生じているかを判定するとともに、その判定結果に応じて適切なフェールセーフ制御を行うようになっているのである。
【0114】
ここで、ソレノイドバルブの機能故障と、これによって生じるギヤ段およびロックアップクラッチ26の異常との関係をまとめると、次の表3に示すようになる。
【0115】
なお、この表3中、各ソレノイドバルブについての「OFF故障」とは、信号がONであるのにOFFの状態となる機能故障であって、オンオフSV111,112については、油圧源側から摩擦要素側へ作動圧が供給されない状態になることであり、デューティSV121〜123については、油圧源側から摩擦要素側へ作動圧が供給される状態になることである。また、「ON故障」とは、信号がOFFであるのにONの状態となる機能故障であって、オンオフSV111,112については、油圧源側から摩擦要素側へ作動圧が供給される状態になることであり、デューティSV121〜123については、油圧源側から摩擦要素側へ作動圧が供給されない状態になることである。
【0116】
また、以下の説明では、例えばギヤ段を4速、ロックアップクラッチ26をOFFとする指令を「4速指令」、ギヤ段を4速、ロックアップクラッチ26をONとする指令を「4速ロックアップ指令」等といい、また、実際のギヤ段が指令と異なるギヤ段になったりニュートラルになったりする異常を「ギヤ故障」、ロックアップクラッチ26がONの指令に対してOFFとなる異常を「ロックアップOFF故障」、OFFの指令に対してONとなる異常を「ロックアップON故障」といい、さらに、エンゲージ動作が指令通りに行われない異常を「エンゲージ故障」という。
【0117】
そして、各ソレノイドバルブの「OFF故障」および「ON故障」に対し、「ギヤ故障」、「ロックアップOFF故障」、「ロックアップON故障」または「エンゲージ故障」が生じていない場合を(○)、いずれかの故障が生じている場合を(×)として、表3の内容を書き直すと、表4に示すようになる。
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
ここで、上記表3、表4の内容について具体的に説明すると、まず、第1オンオフSV111のOFF故障時には、4速指令時にギヤ段がニュートラルになるギヤ故障と、4速ロックアップ指令時にギヤ段が3速となるギヤ故障とが発生する。
【0120】
つまり、図8に示す4速の状態において、第1オンオフSV111がOFFとなると、ライン203,205から3−4シフトバルブ105の制御ポート105aへのパイロット圧の供給が停止されて、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置することになり、そのため、第2デューティSV122で生成されている3−4クラッチ圧がライン225から該3−4シフトバルブ105およびライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bに供給される。その結果、該2−4ブレーキ44が解放され、ギヤ段がニュートラルとなるのである。
【0121】
また、図9に示す4速ロックアップの状態において、第1オンオフSV111がOFFとなり、上記の場合と同様に、3−4シフトバルブ105の制御ポート105aへのパイロット圧の供給が停止されて、該3−4シフトバルブ105のスプールが左側に位置すると、第2デューティSV122で生成されている3−4クラッチ圧が2−4ブレーキ44のリリース室44bに供給されて該2−4ブレーキ44が解放されるとともに、第2出力ライン212からのライン圧が該3−4シフトバルブ105、ライン218、ロックアップシフトバルブ106およびライン219を介してフォワードクラッチ41の油圧室に供給され、該フォワードクラッチ41が締結されることになる。その結果、ギヤ段は指令とは異なる3速となるのである。
【0122】
また、第1オンオフSV111のON故障時には、3速ロックアップ指令時にギヤ段が4速となるギヤ故障が発生する。
【0123】
つまり、図7に示す3速ロックアップの状態において、第1オンオフSV111がONとなると、ライン203、リレーバルブ108およびライン205を介して3−4シフトバルブ105の制御ポート105aにパイロット圧が供給されて、該3−4シフトバルブ105のスプールが右側に位置する。そのため、2−4ブレーキ44のリリース室44bとフォワードクラッチ41の油圧室とが、ライン221、3−4シフトバルブ105、ライン220およびライン219を介して連通するとともに、これら両室内の作動圧がロックアップシフトバルブ106およびライン218を介して該3−4シフトバルブ105のドレンポート105bからドレンされ、その結果、2−4ブレーキ44が締結されると同時にフォワードクラッチ41が解放され、これによりギヤ段が指令とは異なる4速となるのである。
【0124】
また、第2オンオフSV112のOFF故障時には、3速ロックアップ指令時にギヤ段がニュートラルとなるギヤ故障と、4速ロックアップ指令時にロックアップクラッチ26が締結されないロックアップOFF故障とが発生する。
【0125】
つまり、図7に示す3速ロックアップの状態において、第2オンオフSV112がOFFとなると、ライン206、バイパスバルブ104およびライン207からロックアップシフトバルブ106の制御ポート106aへのパイロット圧の供給が停止されて、該ロックアップシフトバルブ106のスプールが右側に位置することになり、そのため、フォワードクラッチ41の油圧室内の作動圧が、ライン219、ロックアップシフトバルブ106およびライン228を介して第3デューティSV123でドレンされることになる。その結果、フォワードクラッチ41が解放され、ギヤ段がニュートラルとなるのである。
【0126】
また、図9に示す4速ロックアップの状態において、第2オンオフSV112がOFFとなり、上記の場合と同様に、ロックアップシフトバルブ106の制御ポート106aへのパイロット圧の供給が停止されて、該ロックアップシフトバルブ106のスプールが右側に位置すると、ライン233からの一定圧が該ロックアップシフトバルブ106およびライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aに供給されることになる。その結果、ロックアップクラッチ26がON指令であるにも拘らず、解放されることになるのである。
【0127】
また、第2オンオフSV112のON故障時には、4速指令時にロックアップクラッチ26が締結されるロックアップON故障が発生する。
【0128】
つまり、図8に示す4速の状態において、第2オンオフSV112がONとなると、ライン206、バイパスバルブ104およびライン207を介してロックアップシフトバルブ106の制御ポート106aにパイロット圧が供給され、該ロックアップシフトバルブ106のスプールが左側に位置することになる。そのため、ライン233からの一定圧が該ロックアップシフトバルブ106およびライン234を介してロックアップクラッチ26のリヤ室26bに供給されると同時に、フロント室26aの作動圧は、ライン229、ロックアップシフトバルブ106およびライン228を介して第3デューティSV123からドレンされることになる。その結果、ロックアップクラッチ26は、指令とは異なる締結状態となるのである。
【0129】
一方、第1デューティSV121のOFF故障時には、1速指令時にギヤ段が2速になるギヤ故障が発生する。
【0130】
つまり、図4に示す1速の状態において、第1デューティSV121がOFF(デューティ率0%)となると、該第1デューティSV121からライン214にライン圧がそのまま出力され、これがローリバースバルブ103およびライン215を介して2−4ブレーキ44のアプライ室44aに供給されることになる。その結果、2−4ブレーキ44が締結されて、ギヤ段が2速になるのである。
【0131】
また、この第1デューティSV121のON故障時には、2速指令時にギヤ段が1速になるギヤ故障と、4速指令時および4速ロックアップ指令時にギヤ段がニュートラルになるギヤ故障とが発生する。
【0132】
つまり、図5に示す2速の状態において、第1デューティSV121がON(デューティ率100%)となると、上記のOFF故障時の場合と反対に、該第1デューティSV121からライン214、ローリバースバルブ103およびライン215を介して2−4ブレーキ44のアプライ室44aに供給されていた作動圧が該第1デューティSV121からドレンされ、そのため、2−4ブレーキ44が解放されてギヤ段が1速になるのである。
【0133】
また、図8に示す4速の状態および図9に示す4速ロックアップの状態において、第1デューティSV121がONとなると、上記の場合と同様にして、2−4ブレーキ44のアプライ室44aに供給されていた作動圧がドレンされるため、2−4ブレーキ44が解放されることになるが、この場合は、フォワードクラッチ41が締結されていないので、ギヤ段はニュートラルになるのである。
【0134】
また、第2デューティSV122のOFF故障時には、1速指令時および2速指令時にギヤ段が3速になるギヤ故障が発生する。
【0135】
つまり、図4に示す1速の状態において、第2デューティSV122がOFFとなると、該第2デューティSV122からライン222にライン圧が出力され、これがローリバースバルブ103、ライン224、ライン226、バイパスバルブ104およびライン227を介して3−4クラッチ43の油圧室に供給されることになり、その結果、該3−4クラッチ43が締結され、ギヤ段が3速になるのである。
【0136】
また、図5に示す2速の状態おいて、第2デューティSV122がOFFとなると、同様にして、該第2デューティSV122から出力されるライン圧が3−4クラッチ43に供給されて、該3−4クラッチ43が締結されると同時に、さらにライン225から3−4シフトバルブ105およびライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bにライン圧が供給されて2−4ブレーキ44が解放され、その結果、この場合もギヤ段が3速になるのである。
【0137】
また、第2デューティSV122のON故障時には、3速指令時および3速ロックアップ指令時にギヤ段が2速になるギヤ故障と、4速指令時および4速ロックアップ指令時にギヤ段がニュートラルになるギヤ故障とが発生する。
【0138】
つまり、図6に示す3速の状態および図7に示す3速ロックアップの状態において、第2デューティSV122がONとなると、上記のOFF故障時の場合と反対に、該第2デューティSV122からライン222、ローリバースバルブ103ライン224、ライン226、バイパスバルブ104およびライン227を介して3−4クラッチ43の油圧室に供給されていた3−4クラッチ圧と、上記ライン224からライン225、3−4シフトバルブ105およびライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bに供給されていたサーボリリース圧とが該第2デューティSV122からドレンされる。その結果、3−4クラッチ43が解放されると同時に2−4ブレーキ44が締結され、ギヤ段が2速になるのである。
【0139】
また、図8に示す4速の状態および図9に示す4速ロックアップの状態において、第2デューティSV122がONとなると、上記の場合と同様にして、3−4クラッチ圧がドレンされることになるが、この場合は、フォワードクラッチ41が締結されていないので、ギヤ段はニュートラルになるのである。
【0140】
さらに、第3デューティSV121のOFF故障時には、4速指令時にギヤ段が3速になるギヤ故障と、4速ロックアップ指令時にロックアップクラッチ26が締結されないロックアップOFF故障とが発生する。
【0141】
つまり、図8に示す4速の状態において、第3デューティSV123がOFFとなると、該第3デューティSV123からライン228にライン圧がそのまま出力され、これがロックアップシフトバルブ106およびライン219を介してフォワードクラッチ41の油圧室に供給されると同時に、上記ライン219からライン220、3−4シフトバルブ105およびライン221を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bにも供給されることになる。その結果、フォワードクラッチ41が締結されると同時に2−4ブレーキ44が解放され、ギヤ段が3速になるのである。
【0142】
また、図9に示す4速ロックアップの状態において、第3デューティSV123がOFFとなると、該第3デューティSV123からライン228、ロックアップシフトバルブ106おおよびライン229を介してロックアップクラッチ26のフロント室26aにライン圧が供給され、その結果、該ロックアップクラッチ26が指令とは異なる解放状態となるのである。
【0143】
さらに、この第3デューティSV123のON故障時には、1速指令時、2速指令時および3速指令時にギヤ段がニュートラルになるニュートラル故障が発生するとともに、停車状態でのエンゲージ動作時においては、摩擦要素が締結されないエンゲージ故障が発生する。
【0144】
つまり、図4に示す1速の状態、図5に示す2速の状態および図6に示す3速の状態において、第3デューティSV123がONとなると、該第3デューティSV123からライン228、ロックアップシフトバルブ106およびライン219を介してフォワードクラッチ41の油圧室に供給されていた作動圧が該第3デューティSV123からドレンされ、或はこの作動圧がフォワードクラッチ41の油圧室に供給されないことになる。そのため、フォワードクラッチ41が解放され或は締結されず、ギヤ段がニュートラルになり、或はエンゲージ故障により1〜3速での発進が不能となるのである。
【0145】
以上のようにして、各ソレノイドバルブの機能故障時に、故障したソレノイドバルブの種類およびその態様に応じて、各指令時にギヤ故障、ロックアップOFF故障、ロックアップON故障およびエンゲージ故障が発生することになるが、このことから、ギヤ故障、ロックアップOFF故障、ロックアップON故障およびエンゲージ故障の有無を、そのときの指令の種類に関連付けて検出することにより、どのソレノイドバルブがどのような態様の機能故障を生じているかが判別できることになる。
【0146】
そこで、前述のコントローラ300は、各指令の出力時におけるギヤ故障、ロックアップOFF故障、ロックアップON故障およびエンゲージ故障の有無を検出することにより、機能故障を生じているソレノイドバルブとその故障の態様とを特定し、その特定した結果に応じたフェールセーフ制御を行うようになっているのである。
【0147】
その場合に、機能故障を生じているソレノイドバルブを特定するためには、上記のギヤ故障等の有無を、表4に示す全ての指令時についてそれぞれ検出する必要はない。
【0148】
例えば、1速指令時にギヤ段が1速以外の状態になるギヤ故障が発生した場合、その原因としては、第1デューティSV121のOFF故障、第2デューティSV122のOFF故障、および第3デューティSV123のON故障が挙げられるので、この1速指令時におけるギヤ故障の検出だけでは、機能故障を生じているソレノイドバルブを特定することはできないが、2速指令時にギヤ故障が発生しなければ、上記の1速ギヤ故障の原因は第1デューティSV121のOFF故障に特定でき、また、2速指令時にもギヤ故障が発生したが、3速指令時には発生しなければ、この1速ギヤ故障の原因を第2デューティSV122のOFF故障に特定できるのである。
【0149】
このようにして、一部の指令時におけるギヤ故障やロックアップOFF,ON故障、或はエンゲージ故障の有無を検出するだけで、どのソレノイドバルブがどのような機能故障を生じているかを特定することができるのであり、そこで、前述のコントローラ300は、機能故障を生じているソレノイドバルブを特定するための条件としてのギヤ故障等の有無を、できるだけ少ない種類の指令時に絞って検出し、既に故障したソレノイドバルブが特定されている状態で、不必要にギヤ故障等の検出を行う無駄を回避するようになっている。
【0150】
特に、高車速時にしか出力されないため、その出力頻度が少ない4速ロックアップ指令の出力時におけるギヤ故障等の有無は、機能故障を生じているソレノイドバルブを特定するための条件として必要不可欠な場合に限って検出するようになっており、これにより、正確でしかも迅速なソレノイドバルブの故障判定を行うように図られている。
【0151】
そして、以上のような観点から、この実施の形態においては、表4に示す各指令時におけるギヤ故障等の有無のうち、表5に示すもののみをソレノイドバルブの故障判定のための条件として用いるように設定されている。
【0152】
なお、4速指令時におけるギヤ故障については、ニュートラルになるギヤ故障か3速になるギヤ故障かを判別するようになっている。これは、第1オンオフSV111のOFF故障と第3デューティSV123のOFF故障とを識別するためには、この4速ギヤ故障がニュートラルになるギヤ故障か、3速になるギヤ故障かを区別する必要があるからである。
【0153】
また、第3デューティSV123のON故障による1〜3速指令時のギヤ故障はニュートラルになるものであるが、これには、前述のように、ギヤ故障としての場合と、エンゲージ故障としての場合とがある。
【0154】
なお、表5に示す他のギヤ故障については、実際のギヤ段が指令と一致するか異なるかのみが判別される。また、3速指令時および3速ロックアップ指令時には、いずれのソレノイドバルブが故障しても、ロックアップON故障及びロックアップOFF故障は生じないので、これらの指令のもとでのロックアップON故障及びロックアップOFF故障の判定は行わない。
【0155】
【表5】
以下、上記のようなソレノイドバルブの機能故障判定制御およびその結果に応じたフェールセーフ制御について、コントローラ300の動作を示すフローチャートに従って具体的に説明する。
【0156】
まず、故障判定制御のメインプログラムを図14に示すフローチャートに従って説明すると、コントローラ300は、まず、このプログラムのステップS1で、バッテリ電源がONになった直後か否かを判定し、直後であれば、ステップS2で以下の制御で用いる全てのKAM(キープ・アライブ・メモリ)フラグをリセットする。
【0157】
ここで、KAMフラグは、イグニッションスイッチがOFFとなっても記憶内容が保持されるフラグであって、上記のようにバッテリ電源がONとなった直後にのみリセットされるようになっている。
【0158】
そして、このKAMフラグとして、以下の制御では、第1、第2オンオフSV111,112および第1〜第3デューティSV121〜123のOFF故障用の第1DCKAMフラグXOS1OF1k、XOS2OF1k、XDS1OF1k〜XDS3OF1k、同じくON故障用の第1DCKAMフラグXOS1ON1k、XOS2ON1k、XDS1ON1k〜XDS3ON1k、同じくOFF故障用の第2DCKAMフラグXOS1OF2k、XOS2OF2k、XDS1OF2k〜XDS3OF2k、同じくON故障用の第2DCKAMフラグXOS1ON2k、XOS2ON2k、XDS1ON2k〜XDS3ON2kが用いられ、これらのフラグが全てリセットされる。
【0159】
なお、「DC」とは「ドライビングサイクル」の略で、イグニッションスイッチのON後、該スイッチのOFFまでの期間を意味し、上記各フラグ名称の末尾の「1k」は1回目のドライビングサイクルでセットされるKAMフラグを、「2k」は2回目のドライビングサイクルでセットされるKAMフラグを示す。
【0160】
次に、ステップS3で、イグニッションスイッチがONになった直後か否かを判定し、直後のとき、即ち上記のドライビングサイクルが新たに開始された直後であればステップS4を実行し、以下の制御で用いる全故障、正常フラグをリセットする。
【0161】
ここで、このステップS4でリセットされるフラグとしては、各ギヤ段毎のギヤ故障フラグXGR1f〜XGR3f、XGR4Nf、XGR43f、ロックアップOFF故障フラグXLOFf、ロックアップON故障フラグXLONf、エンゲージ故障フラグXENf、各ギヤ段毎のギヤ正常フラグXGR1s〜XGR4s、ロックアップOFF正常フラグXLOFs、ロックアップON正常フラグXLONs、エンゲージ正常フラグXENs、並びに第1、第2オンオフSV111,112および第1〜第3デューティSV121〜123のOFF故障フラグXOS1OFf、XOS2OFf、XDS1OFf〜XDS3OFf、同じくON故障フラグXOS1ONf、XOS2ONf、XDS1ONf〜XDS3ONfがある。
【0162】
なお、上記各フラグ名称の末尾の「f」は故障フラグであることを示し、「s」は正常フラグであることを示す。
【0163】
そして、ステップS5で、図3に示す各センサおよびスイッチ301〜307からの信号に基づき、車速VEL、スロットル開度TVO、エンジン回転数ESPD、シフトレバーにより選択されたレンジ、変速歯車機構30への入力回転数であるタービン回転数TREV、変速歯車機構30の出力回転数OREV、作動油の油温TMP等の運転状態に関する各種の値を読み込む入力処理を行うとともに、ステップS6,S7で、これらの値のうちの例えば車速VELとスロットル開度TVO等に基づき、レンジごとに予め設定されたプログラムに従ってギヤ段を切り換える変速制御と、ロックアップクラッチ26のON,OFFの制御とを行う。
【0164】
次に、コントローラ300は、ステップS8で、上記の各正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsの全てがセットされているか否かを判定する。
【0165】
そして、これらの正常フラグの全てがセットされたとき、即ち、以下の故障、正常判定制御において全て正常であると判定されたときは、以後の制御を実行することなく、プログラムのステップS1にリターンするが、これらの正常フラグは上記ステップS4でイグニッションスイッチのON直後にリセットされているから、各ドライビングサイクルごとに、以下の判定制御で全ての正常フラグがセットされるまでは、次にステップS9を実行することになる。
【0166】
このステップS9では、上記の各ソレノイド故障フラグXOS1OFf、XOS2OFf、XDS1OFf〜XDS3OFf、XOS1ONf、XOS2ONf、XDS1ONf〜XDS3ONfのいずれかがセットされているか否かを判定する。
【0167】
そして、これらの故障フラグのうちの少なくとも1つがセットされているときは、後述するフェールセーフ制御を実行することになるが、これらの故障フラグも上記ステップS4でイグニッションスイッチのON直後にリセットされているから、後述するソレノイド機能故障判定制御でいずれかのソレノイドバルブの故障が判定されるまでは全てリセットされた状態にあり、したがって、次にステップS10以下を実行することになる。
【0168】
つまり、ステップS10では、油温TMPが所定油温KTP1より低いか否か、ステップS11では、当該変速機が変速動作中か、或は例えばNレンジからDレンジへの操作に伴ってニュートラル状態から走行状態へ移行するエンゲージ動作中か否かを判定し、油温TMPが所定油温KTP1以上であり、かつ、変速機が変速動作中でもエンゲージ動作中でもないとき、換言すれば、変速機が安定した状態にあるときに、ステップS12で車速VELが所定車速KVL1以上か否かを判定する。
【0169】
そして、VEL≧KVL1のとき、即ち以下のギヤ故障、正常判定等の制御を正確に行うのに必要な最低限の車速以上で走行しているときには、ステップS13,S14,S15で、ギヤ段が指令されたギヤ段であるか否かを判定するギヤ故障、正常判定制御、ロックアップクラッチ26がON指令に対してOFFの状態となるロックアップOFF故障を生じているか否かを判定するロックアップOFF故障、正常判定制御、および同じくロックアップクラッチ26がOFF指令に対してONの状態となるロックアップON故障を生じているか否かを判定するロックアップON故障、正常判定制御を行う。
【0170】
一方、車速VELが上記所定車速KVL1より低い停車時或は低車速時には、ステップS16で、エンゲージ正常フラグXENsがセットされているか否かを判定する。このフラグは、イグニッションスイッチのON直後に上記ステップS4でリセットされているから、当初はステップS16からステップS17を実行し、エンゲージ動作の異常が発生しているか否かを判定するエンゲージ故障、正常判定制御を行う。
【0171】
そして、以上の各故障、正常判定制御の結果に基づき、ステップS18でソレノイドバルブの機能故障の有無を判定するソレノイド機能故障判定制御を行い、さらにステップS19で、その結果に応じたフェールセーフ制御を行う。
【0172】
また、上記ステップS16で、エンゲージ正常フラグXENsがセットされていることを判定すれば、次にステップS20を実行し、図3に示す車速センサ301の故障の有無を判定する車速センサ故障判定制御を行う。
【0173】
つまり、この車速センサ故障判定制御は、当該車両が走行しているのに車速センサ301の出力が0であるときに故障と判定するものであるから、車両の停止時に行っても正しい結果は得られないのであり、そこで、エンゲージ故障、正常判定制御において、エンゲージ動作が正しく行われず、車両が走行できないと判定されたときには、この車速センサ故障判定制御を行わないようにし、このような状態で判定することによる誤判定を防止するようになっているのである。これにより、車速センサ301の出力を用いる以下に説明する各制御や当該自動変速機の変速制御、ロックアップ制御等が良好に行われることになる。
【0174】
なお、ステップS13〜S15およびステップS17による各故障、正常判定制御において全て正常と判定とされ、全正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsがセットされたときには、上記のように、そのドライビングサイクルではステップS8で動作を終了し、以後、故障、正常判定の制御を行わないことになるが、これは、その後、故障、正常判定制御を行った場合の誤判定を防止するためである。
【0175】
つまり、全正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsがセットされた後、例えば1速でギヤ故障が発生し、ギヤ故障、正常判定制御により1速ギヤ故障フラグXGR1fがセットされると、表5から明らかなように、そのギヤ故障は、第1デューティSV121のOFF故障による場合と、第2デューティSV122のOFF故障による場合と、第3デューティSV123のON故障による場合とがあるにも拘らず、正常フラグXGR2s〜XGR4sがセットされたままであるから、直ちに第1デューティSV121のOFF故障の発生と判定してしまうことになり、誤判定のおそれが生じるのである。そこで、全正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsが一旦セットされると、以後、そのドライビングサイクルでは故障、正常判定制御を禁止し、上記のような誤判定を防止するようになっているのである。
【0176】
また、上記のように、正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsの全てがセットされる前においても、ステップS13〜S15およびステップS17による各故障、正常判定制御の結果に基づき、ステップS18でソレノイド故障フラグXOS1OFf、XOS2OFf、XDS1OFf〜XDS3OFf、XOS1ONf、XOS2ONf、XDS1ONf〜XDS3ONfのいずれか1つがセットされると、以後、そのドライビングサイクルでは故障、正常判定制御を禁止し、前述のように、ステップS9から直ちにステップS19のフェールセーフ制御を行うことになる。
【0177】
これは、いずれかのソレノイドバルブの機能故障が発生すれば、その後、その状態のまま他のソレノイドバルブの故障を判定しても正しい判定は期待できないからであり、そこで、いずれか1つのソレノイドバルブについての故障判定フラグがセットされれば、そのドライビングサイクルでは、それ以後、故障、正常判定制御を行わず、誤判定を防止するようにしているのである。
【0178】
次に、このメインプログラムにおける各判定制御の具体的動作を順次説明する。
【0179】
まず、メインプログラムのステップS13のギヤ故障、正常判定制御は、図15、図16にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、このプログラムで、コントローラ300は、ステップS31で、タービン回転数TREVと出力回転数OREVとから現時点のギヤ比GR(=TREV/OREV)を算出し、その上で、まずギヤ故障判定を行う。
【0180】
即ち、ステップS32〜S34で、現在出力している変速指令が1〜4速のいずれであるかを判定する。そして、1速指令時にはステップS32からステップS35〜S39を実行し、まずステップS35でスロットル開度TVOが比較的小さな所定開度KTV0より大きく、タービン回転数TREV等が安定していることを確認した上で、ステップS36でギヤ比GRが1速のギヤ比G1と2速のギヤ比G2の中間の値に設定された第1所定ギヤ比KG1より小さいか否かを判定する。
【0181】
ここで、図17に示すように、ギヤ比GRがこの第1所定ギヤ比KG1より小さくなる(高変速段側)のは、変速指令が1速であるにも拘らず、実際のギヤ比GRが2〜4速に相当するギヤ比になっている場合であり、ギヤ故障が発生したことになる。
【0182】
そして、この場合は、ステップS37でギヤ故障タイマTGfの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS38でその値が所定値TG1以上となったことを判定したとき、即ち上記のようなギヤ比の異常が所定時間継続したときに、ステップS39で1速故障フラグXGR1fをセットし、同時に1速正常フラグXGR1sをリセットする。
【0183】
なお、スロットル開度TVOが所定開度KTV0以下のとき、およびギヤ比GRが上記第1所定ギヤ比KG1より小さくないときは、上記ステップS35またはS36からステップS40を実行してギヤ故障タイマTGfをリセットし、その上で後述するギヤ正常判定制御を行う。また、ギヤ比GRが上記第1所定ギヤ比KG1より小さい場合において、ギヤ故障タイマTGfの値が所定値TG1に達するまでの間は、上記ステップS40によるタイマTGfのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0184】
また、2速指令時には、ステップS33からステップS41〜S44を実行し、まずステップS41で、ギヤ比GRが上記第1所定ギヤ比KG1より大きいか否か、或は2速のギヤ比G2と3速のギヤ比G3の中間の値に設定された第2所定ギヤ比KG2より小さいか否かを判定する。
【0185】
ここで、図18に示すように、ギヤ比GRが第1所定ギヤ比KG1より大きくなる(低変速段側)のは、変速指令が2速であるにも拘らず、実際のギヤ比GRが1速に相当するギヤ比になっている場合であり、また、第2所定ギヤ比KG2より小さくなる(高変速段側)のは、実際のギヤ比GRが3〜4速に相当するギヤ比になっている場合であり、いずれの場合にもギヤ故障が発生したことになる。
【0186】
そして、この場合は、ステップS42でギヤ故障タイマTGfの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS43でその値が所定値TG2以上となったことを判定したとき、即ち上記のようなギヤ比の異常が所定時間継続したときに、ステップS44で2速故障フラグXGR2fをセットし、同時に2速正常フラグXGR2sをリセットする。
【0187】
なお、ギヤ比GRが上記第1所定ギヤ比KG1より大きくなく、かつ、第2所定ギヤ比KG2より小さくないときは、上記ステップS41からステップS40を実行してギヤ故障タイマTGfをリセットし、その上で後述するギヤ正常判定制御を行う。また、ギヤ比GRが上記第1所定ギヤ比KG1より大きくまたは第2所定ギヤ比KG2より小さい場合において、ギヤ故障タイマTGfの値が所定値TG2に達するまでの間は、上記ステップS40によるタイマTGfのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0188】
また、3速指令時には、ステップS34からステップS45〜S48を実行し、まずステップS45で、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きいか否か、或は3速のギヤ比G3と4速のギヤ比G4の中間の値に設定された第3所定ギヤ比KG3より小さいか否かを判定する。
【0189】
ここで、図19に示すように、ギヤ比GRが第2所定ギヤ比KG2より大きくなる(低変速段側)のは、変速指令が3速であるにも拘らず、実際のギヤ比GRが1〜2速に相当するギヤ比になっている場合であり、また、第3所定ギヤ比KG3より小さくなる(高変速段側)のは、実際のギヤ比GRが4速に相当するギヤ比になっている場合であり、いずれの場合にもギヤ故障が発生したことになる。
【0190】
そして、この場合も、2速指令時の場合と同様に、ステップS46でギヤ故障タイマTGfの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS47でその値が所定値TG3以上となったことを判定したとき、即ち上記のようなギヤ比の異常が所定時間継続したときに、ステップS48で3速故障フラグXGR3fをセットし、同時に3速正常フラグXGR3sをリセットする。
【0191】
なお、この場合も、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きくなく、かつ、第3所定ギヤ比KG3より小さくないときは、上記ステップS45からステップS40を実行してギヤ故障タイマTGfをリセットし、その上で後述するギヤ正常判定制御を行う。また、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きくまたは第3所定ギヤ比KG3より小さい場合において、ギヤ故障タイマTGfの値が所定値TG3に達するまでの間は、上記ステップS40によるタイマTGfのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0192】
さらに、4速指令時には、ステップS34からステップS49を実行し、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きいか否か、或は4速のギヤ比より小さな値に設定された第4所定ギヤ比KG4より小さいか否かを判定する。
【0193】
ここで、4速指令時におけるギヤ故障としては、前述のように、ギヤ段がニュートラルの状態になる場合と、3速のギヤ比になる場合とがあり、図20に示すように、ギヤ比GRが第2所定ギヤ比KG2より大きくなる(低変速段側)場合、或は第4所定ギヤ比KG4より小さくなる(高変速段側)場合は、ギヤ段がニュートラル状態になる4速ニュートラル故障が発生している場合である。
【0194】
この場合、ステップS50でギヤ故障タイマTGfの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS51でその値が所定値TG4以上となったことを判定したとき、即ち上記のようなギヤ比の異常が所定時間継続したときに、ステップS52で4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfをセットし、同時に4速正常フラグXGR4sをリセットする。
【0195】
一方、上記ステップS49で、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きくなく、かつ、第4所定ギヤ比KG4より小さくないことを判定したときは、次にステップS53を実行して、ギヤ比GRが、3速のギヤ比G3の低変速段側および高変速段側にそれぞれ所定偏差α3L,α3Hで設定した3速ギヤ比上限値KG3L(G3+α3L)と3速ギヤ比下限値KG3H(G3−α3H)の間にあるか否かを判定する。ここで、これらの所定偏差α3L,α3Hは、後述するギヤ正常判定の制御において、3速指令時の正常判定のために用いられるものである。
【0196】
そして、ギヤ比GRが、上記上限値KG3Lと下限値KG3Hの間にあるとき、即ち変速指令が4速であるにも拘らず、ギヤ比GRが3速に相当する値となる4速3速故障が発生した場合には、ステップS54でギヤ故障タイマTGfの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS55でその値が所定値TG5以上となったことを判定したとき、即ち上記のようなギヤ比の異常が所定時間継続したときに、ステップS56で4速3速故障フラグXGR43fをセットすると同時に、4速正常フラグXGR4sをリセットする。
【0197】
なお、これらの場合も、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きくなく、かつ第4所定ギヤ比KG4より小さくなく、しかも、3速ギヤ比の上限値KG3Lと下限値KG3Hの間にもないときは、上記ステップS53からステップS40を実行してギヤ故障タイマTGfをリセットし、その上で後述するギヤ正常判定制御を行う。また、ギヤ比GRが上記第2所定ギヤ比KG2より大きくまたは第4所定ギヤ比KG4より小さい場合、或は3速ギヤ比上限値KG3Lと3速ギヤ比下限値KG3Hの間にある場合において、ギヤ故障タイマTGfの値が所定値TG4またはTG5に達するまでの間は、上記ステップS40によるタイマTGfのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0198】
ここで、上記ギヤ故障タイマTGfは、カウントアップの途中であっても、変速指令が切り換わったときにリセットされるようになっている。
【0199】
以上のようにして、ギヤ比が指令されたギヤ段のギヤ比に一致しているか否かによりギヤ故障の有無を判定するとともに、ギヤ故障が発生すれば、そのギヤ段についてのギヤ故障フラグをセットするとともに、ギヤ故障フラグをリセットする。そして、コントローラ300は、次にステップS57で、そのギヤ故障がイグニッションスイッチのON後、最初に発生したものであるか否かを判定し、最初のものである場合には、ステップS58で全ての正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsを一旦リセットした後、ステップS59以下のギヤ正常判定を行う。
【0200】
なお、上記ステップS57,S58の処理を行う理由については、後に詳しく説明する。
【0201】
ギヤ正常判定においては、まず、ステップS59,S60,S61で、現在出力している変速指令が1〜4速のいずれであるかを判定する。そして、1速指令時には、ステップS59からステップS62〜S66を実行し、まずステップS62で、スロットル開度TVOが所定開度KTV0より大きく、タービン回転数TREV等が安定していることを確認した上で、ステップS63で、ギヤ比GRが、図17に示すように、1速のギヤ比G1の低変速段側および高変速段側にそれぞれ所定偏差α1L,α1Hで設定した1速ギヤ比上限値KG1L(G1+α1L)と1速ギヤ比下限値KG1H(G1−α1H)の間にあるか否かを判定する。
【0202】
そして、この上限値KG1Lと下限値KG1Hの間にあるときには、ギヤ比GRは正常であると判定し、ステップS64でギヤ正常タイマTGsの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS65でその値が所定値TG6以上となったことを判定したとき、即ちギヤ比の正常状態が所定時間継続したときに、ステップS66で1速正常フラグXGR1sをセットする。
【0203】
ここで、上記の高変速段側の偏差α1Hは、1速のギヤ比G1とギヤ故障判定のための第1所定ギヤ比KG1との差(偏差β1H)よりも小さく、したがって、1速のギヤ比G1の高変速段側に、故障判定および正常判定のいずれもが行われない不感帯が設定されていることになる。
【0204】
なお、スロットル開度TVOが上記所定開度KTV0以下のとき、およびギヤ比GRが上記の上限値KG1Lと下限値KG1Hの間にないときには、上記ステップS62またはS63からステップS67を実行してギヤ正常タイマTGsをリセットする。また、ギヤ比GRが上限値KG1Lと下限値KG1Hの間にある場合において、ギヤ正常タイマTGsの値が所定値TG6に達するまでの間は、上記ステップS67によるタイマTGsのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0205】
また、2速指令時には、ステップS60からステップS68〜S71を実行し、まずステップS68で、ギヤ比GRが、図18に示すように、2速のギヤ比G2の低変速段側および高変速段側にそれぞれ所定偏差α2L,α2Hで設定した2速ギヤ比上限値KG2L(G2+α2L)と2速ギヤ比下限値KG2H(G2−α2H)の間にあるか否かを判定する。
【0206】
そして、この上限値KG2Lと下限値KG2Hの間にあるときにはギヤ比GRは正常であると判定し、ステップS69でギヤ正常タイマTGsの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS70でその値が所定値TG7以上となったことを判定したとき、即ちギヤ比の正常状態が所定時間継続したときに、ステップS71で2速正常フラグXGR2sをセットする。
【0207】
ここで、上記の低変速段側および高変速段側の偏差α2L,α2Hは、2速のギヤ比G2とギヤ故障判定のための第1所定ギヤ比KG1および第2所定ギヤ比KG2との差(偏差β2L,β2H)よりも小さく、したがって、2速のギヤ比G2の低変速段側および高変速段側に、故障判定および正常判定のいずれもが行われない不感帯が設定されていることになる。
【0208】
なお、ギヤ比GRが上記の上限値KG2Lと下限値KG2Hの間にないときには、上記ステップS68からステップS67を実行してギヤ正常タイマTGsをリセットする。また、ギヤ比GRが上限値KG2Lと下限値KG2Hの間にある場合において、ギヤ正常タイマTGsの値が所定値TG7に達するまでの間は、上記ステップS67によるタイマTGsのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0209】
また、3速指令時には、ステップS61からステップS72〜S75を実行し、まずステップS72で、ギヤ比GRが、図19に示すように、3速のギヤ比G3の低変速段側および高変速段側にそれぞれ所定偏差α3L,α3Hで設定した3速ギヤ比上限値KG3L(G3+α3L)と3速ギヤ比下限値KG3H(G3−α3H)の間にあるか否かを判定する。
【0210】
そして、この上限値KG3Lと下限値KG3Hの間にあるときにはギヤ比GRは正常であると判定し、ステップS73でギヤ正常タイマTGsの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS74でその値が所定値TG8以上となったことを判定したとき、即ちギヤ比の正常状態が所定時間継続したときに、ステップS71で2速正常フラグXGR2sをセットする。
【0211】
ここで、この3速の場合も、上記の低変速段側および高変速段側の偏差α3L,α3Hは、3速のギヤ比G3とギヤ故障判定のための第2所定ギヤ比KG2および第3所定ギヤ比KG3との差(偏差β3L,β3H)よりも小さく、したがって、3速のギヤ比G3の低変速段側および高変速段側に、故障判定および正常判定のいずれもが行われない不感帯が設定されていることになる。
【0212】
なお、ギヤ比GRが上記の上限値KG3Lと下限値KG3Hの間にないときには、上記ステップS72からステップS67を実行してギヤ正常タイマTGsをリセットする。また、ギヤ比GRが上限値KG3Lと下限値KG3Hの間にある場合において、ギヤ正常タイマTGsの値が所定値TG8に達するまでの間は、上記ステップS67によるタイマTGsのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0213】
さらに、4速指令時には、ステップS61からステップS76〜S79を実行し、まずステップS76で、ギヤ比GRが、図20に示すように、4速のギヤ比G4の低変速段側および高変速段側にそれぞれ所定偏差α4L,α4Hで設定した4速ギヤ比上限値KG4L(G4+α4L)と4速ギヤ比下限値KG4H(G4−α4H)の間にあるか否かを判定する。
【0214】
そして、この上限値KG4Lと下限値KG4Hの間にあるときにはギヤ比GRは正常であると判定し、ステップS77でギヤ正常タイマTGsの値を1づつカウントアップするとともに、ステップS78でその値が所定値TG9以上となったことを判定したとき、即ちギヤ比の正常状態が所定時間継続したときに、ステップS79で4速正常フラグXGR4sをセットする。
【0215】
ここで、この4速の場合は、上記の高変速段側の偏差α4Hは、4速のギヤ比G4と4速ニュートラル故障判定のための第4所定ギヤ比KG4との差(偏差β4H)よりも小さく、したがって、4速のギヤ比G4の高変速段側に、故障判定および正常判定のいずれもが行われない不感帯が設定されていることになる。また、低変速段側の偏差α4Lは、4速のギヤ比G4と4速3速故障判定のための3速ギヤ比下限値KG3H(G3−α3H)との差(偏差β4L)よりも小さく、したがって、4速のギヤ比G4の低変速段側に、故障判定および正常判定のいずれもが行われない不感帯が設定されていることになる。その結果、4速については、4速ニュートラル故障、4速3速故障および正常の各判定領域間にそれぞれ不感帯が設定されることになる。
【0216】
なお、この場合も、ギヤ比GRが上記の上限値KG4Lと下限値KG4Hの間にないときには、上記ステップS76からステップS67を実行してギヤ正常タイマTGsをリセットする。また、ギヤ比GRが上限値KG4Lと下限値KG4Hの間にある場合において、ギヤ正常タイマTGsの値が所定値TG9に達するまでの間は、上記ステップS67によるタイマTGsのリセットを行うことなく、上記の制御を繰り返す。
【0217】
ここで、上記ギヤ正常タイマTGsは、カウントアップの途中であっても、変速指令が切り換わったときにリセットされるようになっている。
【0218】
以上のようにして、1〜4速の各ギヤ段について、それぞれギヤ故障、正常の判定が行われ、各ギヤ故障フラグXGR1f〜XGR3f、XGR4Nf、XGR43f、および各ギヤ正常フラグXGR1s〜XGR4sの全てがセットもしくはリセットされることになる。
【0219】
その場合に、1〜3速指令時におけるギヤ故障、正常判定については、故障判定のためのギヤ比の領域と正常判定のためのギヤ比の領域との間に不感帯が設けられており、また、4速指令時におけるギヤ故障、正常判定については、4速ニュートラル故障判定のためのギヤ比の領域と、4速3速故障判定のためのギヤ比の領域と、正常判定のためのギヤ比の領域との間にそれぞれ不感帯が設けられており、したがって、ギヤ比GRの値によっては、故障判定と正常判定の両者とも行われない場合がある。
【0220】
つまり、故障判定は、実ギヤ比(GR)の目標ギヤ比に対する偏差が相当大きく、或はそのときの変速指令とは異なるギヤ段のギヤ比に近い場合に限り行われ、また、正常判定は、実ギヤ比の目標ギヤ比に対する偏差がかなり小さい場合に限って行われるのであり、これにより、例えば摩擦要素のスリップ等によりギヤ比がいずれのギヤ段のギヤ比であるかが判別できないような状態と、ソレノイドバルブの機能故障によりギヤ段が指令とは異なるギヤ段となるギヤ故障とが区別され、ギヤ故障の誤判定が確実に防止されることになる。そして、これに伴い、後述するプログラムによるソレノイドバルブの機能故障の誤判定が回避されるとともに、フェールセーフ制御が正しく行われることになる。
【0221】
また、この実施の形態では、前述のように、4速指令時における4速3速故障判定のための3速ギヤ比G3に対する所定偏差α3L,α3Hが、3速指令時における正常判定のための所定偏差としても用いられるので、異なる判定のための偏差が共通化されることになって、メモリ容量の削減や制御動作の簡素化が図られることになる。
【0222】
ここで、上記ステップS57,S58の処理を実行する理由を説明すると、前述のように、全ての正常フラグXGR1s〜XGR3s、XLOFs、XLONs、XENsがセットされると、メインプログラムのステップS8で制御は終了することになるが、それ以前において、いくつかの正常フラグがセットされている状態で、例えば1速でギヤ故障が発生した場合、前述のように、そのギヤ故障の原因としては、第1デューティSV121のOFF故障、第2デューティSV122のOFF故障、および第3デューティSV123のON故障の可能性があるが、例えばこの故障判定の前に2〜4速についての正常フラグXGR2s〜XGR4sがセットされていると、1速でのギヤ故障の発生だけで第1デューティSV121のOFF故障の発生と判定することになり、誤判定のおそれが生じる。
【0223】
したがって、このような場合、既にセットされている正常フラグを一旦リセットし、改めてギヤ故障、正常判定等の制御を行った上で、どのソレノイドバルブの機能故障が発生したかを判定しなければならないのであり、そのために、上記ステップS57,S58により、最初のギヤ故障を判定したときに全ての正常フラグを一旦リセットするのである。
【0224】
次に、図14に示すメインプログラムのステップS14のロックアップOFF故障、正常判定制御について説明する.
この制御は、図21にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まず、コントローラ300は、ステップS81で現在運転者によって選択されているレンジがDレンジであるか否かを判定し、Dレンジであるときは、ステップS82で、エンジン回転数ESPDとタービン回転数TREVとからロックアップクラッチ26のスリップ回転数SLP(=ESPD−TREV)を算出する。
【0225】
次に、ステップS83で、ロックアップクラッチ26を締結すべきことを指示するロックアップON指令が出力されているか否かを判定し、このON指令が出力されているときは、ステップS84で上記スリップ回転数SLPが第1所定回転数KSP1より大きいか否かを判定する。
【0226】
そして、図22に示すように、SLP>KSP1の場合、即ちロックアップクラッチ26のスリップ回転数SLPが比較的大きな場合には、該ロックアップクラッチ26がON指令に反して解放状態となるロックアップOFF故障が発生しているものと判定し、ステップS85でロックアップOFF故障タイマTLOFfを1づつカウントアップするとともに、ステップS86でその値が所定値TLF1以上となったことを判定したとき、即ちロックアップOFF故障の状態が所定時間継続したときに、ステップS87でロックアップOFF故障フラグXLOFfをセットする。
【0227】
一方、上記ステップS84でスリップ回転数SLPが第1所定回転数KSP1以下であると判定された場合は、ステップS88で上記ロックアップOFF故障タイマTLOFfをリセットした上で、ステップS89でスリップ回転数SLPが、上記ロックアップOFF故障判定のための第1所定回転数KSP1より小さな値の第2所定回転数KSP2より小さいか否かを判定する。
【0228】
そして、図22に示すように、SLP<KSP2のとき、即ちスリップ回転数SPLが十分小さいときは、ロックアップON指令の通りにロックアップクラッチ26は締結状態にあると判定し、次にステップS90でロックアップOFF正常タイマTLOFsを1づつカウントアップするとともに、ステップS91でその値が所定値TLF2以上となったことを判定したとき、即ちロックアップクラッチ26の正常状態が所定時間継続したときに、ステップS92で、ロックアップOFF故障フラグXLOFfをリセットし、同時にロックアップOFF正常フラグXLOFsをセットする。
【0229】
ここで、「ロックアップOFF正常」とは、ロックアップON指令時にOFF故障を生じることなく、正しくON状態となっていることを意味する。
【0230】
さらに、上記ステップS89で、スリップ回転数SLPが第2所定回転数KSP2以上であると判定したときは、ステップS93でロックアップOFF正常タイマTLOFsをリセットする。この場合、ロックアップOFF故障タイマTLOFfおよび正常タイマTLOFsがともにリセットされることになる。
【0231】
つまり、図22に示すように、スリップ回転数SLPの領域において、ロックアップOFF故障判定のための第1所定回転数KSP1とロックアップOFF正常判定のための第2所定回転数KSP2との間には、ロックアップOFF故障タイマTLOFfおよび正常タイマTLOFsがともにカウントアップされない不感帯が設けられており、スリップ回転数SLPがこの不感帯を超えて大きくなったときに初めて故障判定がなされ、また、該スリップ回転数SLPがこの不感帯より小さくなったときに初めて正常判定が行われるようになっているのである。
【0232】
これにより、ロックアップOFF故障判定および正常判定がともに精度よく行われるとともに、故障、正常をスリップ回転数SLPの1つの所定値の前後で判定する場合のように、その所定値近辺で正常判定と故障判定とが繰り返し行われるといった制御のハンチングが防止され、その結果、この判定結果に基づくソレノイドバルブの機能故障の判定ないしこれに対処するためのフェールセーフ制御が良好に行われることになる。
【0233】
次に、図14に示すメインプログラムのステップS15のロックアップON故障、正常判定制御について説明する。
【0234】
この制御は、図23にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まず、コントローラ300は、ステップS101,S102で、4速の変速指令が出力されているか否か、および4速ギヤ正常フラグXGR4sがセットされているか否かを判定し、4速指令が出力されており、かつ、4速ギヤ故障が生じていないとき、即ち4速の状態でギヤ段の異常が生じていないときに、次に、ステップS103でロックアップOFF指令が出力されているか否かを判定し、この指令が出力されていれば、以下のロックアップON故障、正常判定制御を実行する。
【0235】
ここで、このロックアップON故障、正常の判定制御を4速指令時にのみ行うのは、ソレノイドバルブの機能故障によっては、他のギヤ段でロックアップON故障が発生しないからである。
【0236】
また、4速ギヤ正常フラグXGR4sがセットされている場合にのみ行うのは、4速ギヤ故障、特に4速ニュートラル故障が発生している場合には、ロックアップクラッチ26の解放時にもスリップ量が余り大きくならないため、ON故障が発生しているものと誤判定する可能性があるからである。
【0237】
そして、4速指令が出力されており、かつ4速ギヤ正常フラグXGR4sがセットされている場合において、ロックアップOFF指令が出力されている場合、コントローラ300は、次にステップS104で、エンジン回転数ESPDとタービン回転数TREVとからロックアップクラッチ26のスリップ回転数SLP(=ESPD−TREV)を算出し、ステップS105でこのスリップ回転数SLPの絶対値が所定回転数KSP3より小さいか否かを判定する。
【0238】
この所定回転数KSP3は、ロックアップクラッチ26のスリップ回転数SLPがこれより小さいときには該クラッチ26が締結されているものと考えられる回転数であり、したがって、図24に示すように、ロックアップOFF指令時において、|SLP|<KSP3のときは、原則としてロックアップON故障が発生しているものと判定する。そして、次にステップS106で、ロックアップON正常タイマTLONsをリセットした上で、ロックアップON故障時の制御を実行する。
【0239】
つまり、ステップS107,S108,S109で、スロットル開度TVOが第1所定開度KTV1より大きいか否かを判定し、この第1所定開度KTV1以下のときは、これより小さい第2所定開度KTV2より大きいか否かを判定し、さらに、この第2所定開度KTV2以下のときは、全閉(TVO=0)か否かを判定する。
【0240】
ここで、図25に示すように、上記第2所定開度KTV2は、ノーロードライン、即ちエンジン回転数ESPDをその時点の値に保持するのに必要なスロットル開度TVOの特性を示すラインの高負荷側に設定されており、したがって、上記ステップS107〜S109は、スロットル開度TVOの領域を、ノーロードラインを含む領域Z0を除いた上で、該ラインより高負荷側の領域を高負荷領域Z1と中負荷領域Z2とに分割し、さらに該ノーロードラインより低負荷側の全閉領域Z3を設定するものとなる。
【0241】
そして、スロットル開度TVOがこれらの領域Z1〜Z3のうちのいずれの領域に属するかを判定し、高負荷領域Z1(TVO>KTV1)に属するときは、ステップS110で第1ロックアップON故障タイマTLON1fを1づつカウントアップし、中負荷領域Z2(KTV1≧TVO>KTV2)に属するときは、ステップS111で第2ロックアップON故障タイマTLON2fを1づつカウントアップし、さらに全閉領域Z3(TVO=0)に属するときは、ステップS112で第3ロックアップON故障タイマTLON3fを1づつカウントアップする。
【0242】
なお、ノーロードラインを含む領域Z0に属するときは、いずれのON故障タイマもカウントアップせず、以下の故障判定を行わない。
【0243】
一方、上記ステップS105で、スリップ回転数SLPの絶対値が所定回転数KSP3以上であると判定されたときは、ロックアップクラッチ26はOFF指令通りに解放された状態にあると判定し、ステップS113で上記第1〜第3ロックアップON故障タイマTLON1f〜TLON3fをリセットするとともに、ステップS114でロックアップON正常タイマTLONsを1づつカウントアップする。
【0244】
その後、コントローラ300は、ステップS115,S116,S117で、上記第1、第2、第3ロックアップON故障タイマTLON1f、TLON2f、TLON3fの値が第1、第2、第3所定値TLN1、TLN2、TLN3よりそれぞれ大きくなったか否かを判定し、第1ロックアップON故障タイマTLON1fの値が第1所定値TLN1より大きくなり、第2ロックアップON故障タイマTLON2fの値が第2所定値TLN2より大きくなり、かつ、第3ロックアップON故障タイマTLON3fの値が第3所定値TLN3より大きくなったときに、ステップS118で、ロックアップON故障フラグXLONfをセットし、同時にロックアップON正常フラグXLONsをリセットする。
【0245】
ここで、「ロックアップON正常」とは、ロックアップOFF指令時にON故障を生じることなく、正しくOFF状態となっていることを意味する。
【0246】
また、上記ステップS115〜S117で、第1〜第3ロックアップON故障タイマTLON1f〜TLON3fの値の少なくとも1つが、第1〜第3所定値TLN1〜TLN3のうちの対応するものより大きくなっていないと判定されたときは、ステップS119でロックアップON正常タイマTLONsの値が所定値TLN4より大きくなったか否かを判定し、大きくなったと判定されたときに、ステップS120でロックアップON正常フラグXLONsをセットする。
【0247】
このようにして、ロックアップOFF指令の出力時において、ロックアップクラッチ26のスリップ回転数SLPの絶対値が所定回転数KSP3より小さいことを判定したときに、直ちにロックアップON故障が発生しているとは判定せず、スロットル開度TVOの各領域Z1〜Z3のそれぞれにおいて、スリップ回転数SLPの絶対値が所定回転数KSP3より小さい状態が継続した時間を各ロックアップON故障タイマTLON1f〜TLON3fによりそれぞれ積算し、いずれの領域においても、スリップ回転数SLPが小さな状態が所定時間以上継続した時点で初めてロックアップON故障の判定を行うようになっているのである。これにより、スロットル開度TVOが頻繁に変化する場合でも、ロックアップON故障の判定が精度よく行われることになる。
【0248】
また、上記各タイマTLON1f〜TLON3fの積算中であっても、スリップ回転数SLPが所定回転数KSP3以上となれば、ステップS113でこれらのタイマTLON1f〜TLON3fを直ちにリセットし、ロックアップON故障判定動作を終了するので、このロックアップON故障の判定が行われた場合、その判定の精度はきわめて高いものとなる。
【0249】
さらに、ロックアップON故障のためのスロットル開度TVOの領域として、ノーロードラインを含む領域Z0を除いているので、この故障判定が一層正確に行われることになる。
【0250】
つまり、上記のノーロードラインを含む領域Z0は、エンジンにより変速機側を駆動している状態と変速機側からエンジンを駆動している状態との移行領域であって、ロックアップクラッチ26が解放されている状態においても、その入、出力側間に回転差が余り生じない領域である。したがって、この領域でスリップ回転数SLPの絶対値が所定回転数KSP3より小さくなることがあっても、それがロックアップON故障によるものとは限らないのである。
【0251】
そこで、スリップ回転数SLPの絶対値が所定回転数KSP3より小さい場合でも、上記領域Z0においてはロックアップON故障タイマのカウントアップを行わないようにしているのであり、これにより、ロックアップクラッチ26が解放されているのにロックアップON故障が発生しているとの誤判定が防止され、このロックアップON故障の判定が一層正確に行われることになるのである。
【0252】
ここで、上記各タイマTLON1f〜TLON3fについてそれぞれ設定された所定値TLN1〜TLN3は、高負荷領域Z1についての所定値TLN1が最も短い値に、全閉領域Z3についての所定値TLN3が最も長い値に設定されている。これは、判定のための時間を、運転頻度の少ない高負荷領域Z1では短くし、運転頻度の多い全閉領域Z3では長くすることにより、高い判定精度を確保しながら、全体としての判定時間を抑制するためである。つまり、運転頻度の少ない領域での判定時間を長くすると、判定結果が得られるまでに長時間を要することになるのである。
【0253】
なお、図25の例では、スロットル開度TVOの領域をロックアップON故障の判定を行う高負荷領域Z1、中負荷領域Z2、および故障判定を行わないノーロードラインを含む領域Z0に画成する第1、第2所定開度KTV1,KTV2を一定の値としたが、図26に示す例のように、ノーロードラインの所定量高負荷側で該ラインに沿って設定されて車速が高くなるほど大きくなる特性を有する第2所定開度KTV2′と、さらにその高負荷側に設定されて該第2所定開度KTV2′と同様の特性を有する第1所定開度KTV1′とにより、スロットル開度TVOの領域を、全閉領域Z3′の他に、故障の判定を行う高負荷領域Z1′、中負荷領域Z2′と故障判定を行わないノーロードラインを含む領域Z0′とに画成してもよい。
【0254】
これによれば、ロックアップON故障が発生したものと誤判定されるおそれがあるため、この判定が行われない領域が必要最小限に制限されることになり、したがって、図25の例よりも広い領域でロックアップON故障の判定が行われることになって、判定精度が向上することになる。
【0255】
また、いずれの例によっても、ノーロードラインを含む領域Z0,Z0′では、不要な判定動作が回避されるので、それだけ判定結果が速やかに得られることになる。
【0256】
次に、メインプログラムのステップS17によるエンゲージ故障、正常判定制御について説明する。
【0257】
この制御は、図27にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、コントローラ300は、まずステップS131で、作動油の油温TMPが、摩擦要素の締結が良好に行われないようなごく低温の所定温度KTP2より低いか否かを判定し、この温度KTP2より低いときは、このエンゲージ故障、正常判定制御を中止する。
【0258】
一方、油温TMPが上記所定温度KTP2以上のときは、ステップS132で現在運転者によって選択されているレンジが1〜4速の自動変速が行われるDレンジであるか否かを判定し、Dレンジであるときは、ステップS133で、そのレンジに切り換えられてから所定時間TIMが経過したか否かを判定する。
【0259】
その場合に、この所定時間TIMはレンジの切り換えに伴う過渡的な状態が終了するまでの時間として設定されており、図28に示すように、油温TMPが低いほど長い時間に設定される。これは、作動油は油温TMPが低いほど粘性が高くなり、エンゲージ操作後、摩擦要素の油圧室に導入されるまでの時間が長くなることに対応させるためである。
【0260】
そして、上記所定時間TIMが経過すれば、次にステップS134によりブレーキペダルが踏み込まれているか否か、即ち当該車両が停車しているか否かを判定し、停車しているときは、ステップS135でタービン回転数TREVが所定回転数KTR1より大きいか否かを判定する。
【0261】
この所定回転数KTR1はゼロに近い回転数であって、Dレンジでの停車状態でタービン回転数TREVがこの所定回転数KTR1より大きい場合、変速歯車機構30はニュートラル状態のままで、フォワードクラッチ41のエンゲージに異常があるものと判断され、次にステップS136,S137で、エンゲージ正常タイマTENsをリセットするとともに、エンゲージ故障タイマTENfを1づつカウントアップする。
【0262】
そして、この故障タイマTENfの値が所定値TE1より大きくなったとき、即ち上記フォワードクラッチ41のエンゲージ異常が検出されてから所定時間が経過したときに、ステップS139,S140,S141で、その時点の変速指令が1速、2速、3速のいずれであるかを判定し、1速の場合には、ステップS142で1速エンゲージ故障仮フラグXEN1tをセットし、2速の場合には、ステップS143で2速エンゲージ故障仮フラグXEN2tをセットし、3速の場合には、ステップS144で3速エンゲージ故障仮フラグXEN3tをセットする。
【0263】
ここで、エンゲージ故障は、停車中に検出されるものであるから、まず変速指令が1速のときに検出され、このとき、上記のように1速エンゲージ故障仮フラグXEN1tがセットされる。そして、後述するエンゲージ故障時のフェールセーフ制御としてのギヤ段選択制御により、フォワードクラッチ41が締結されなくても達成される4速が選択され、この4速て発進した後、次に停車したときには上記ギヤ段選択制御により今度は2速指令が出力される。そして、この2速指令のもとでもタービン回転数TREVが上記所定回転数KTR1より大きい等のエンゲージ故障が検出されれば、次に2速エンゲージ故障仮フラグXEN2tがセットされるとともに、同じく4速が選択されて発進する。そして、次の停車時には3速指令が出力されるが、この3速指令のもとでの発進時にもエンゲージ故障が検出されれば、さらに3速エンゲージ故障仮フラグXEN3tがセットされ、同じく4速が選択されて発進する。
【0264】
そして、このようにして、1〜3速エンゲージ故障仮フラグXEN1t〜XEN3tが全てセットされれば、ステップS145からステップS146を実行し、エンゲージ故障を確定するためのエンゲージ故障フラグXENfをセットする。なお、このとき、上記ギヤ段選択制御においては1〜3速指令の出力が禁止され、4速発進が確定される。
【0265】
一方、以上のような停車状態でのエンゲージ故障判定動作において、ステップS135で、タービン回転数TREVが所定回転数KTR1以下であると判定すれば、コントローラ300は、ステップS147で上記エンゲージ故障タイマTENfをリセットするとともに、ステップS148で変速指令が4速であるか否かを判定する。
【0266】
そして、4速以外の場合、即ちフォワードクラッチ41が締結されるギヤ段である1速〜3速のいずれかであって、タービン回転数TREVが上記所定回転数KTR1以下のときは、該フォワードクラッチ41のエンゲージが正常に行われたものと判定し、次にステップS149でエンゲージ正常タイマTENsを1づつカウントアップするとともに、その値が所定値TE2より大きくなったとき、即ち正常なエンゲージ動作が検出されてから所定時間が経過したときに、ステップS150からステップS151を実行し、エンゲージ正常フラグXENsをセットすると同時に、上記の1〜3速エンゲージ故障仮フラグXEN1t〜XEN3tをリセットする。
【0267】
ここで、上記のように、1速指令のもとでエンゲージ故障が判定されたときに、2速および3速指令のもとでのエンゲージ故障の判定を行うことなく、直ちに4速で発進するようにしたのは、この2速、3速指令のもとでの判定も行っていると、最終的に4速で発進する場合に、その発進までにかなり長い時間がかかることになり、運転者に違和感を与えるからである。
【0268】
なお、各変速指令のもとでのエンゲージ故障の判定にあまり時間を要しない場合や、その時間があまり問題とならない場合には、1速指令のもとで故障が判定されたときに直ちに4速発進をさせず、発進前に2速、3速指令のもとでの故障判定を連続的に行うようにしてもよい。
【0269】
以上のようにして、コントローラ300は、ギヤ故障、正常判定、ロックアップOFF故障、正常判定、ロックアップON故障、正常判定およびエンゲージ故障、正常判定の各制御を実行しながら、その判定結果を用いて、メインプログラムのステップS18のソレノイドバルブの機能故障判定制御を行う。
【0270】
この制御は図29〜図31にフローチャートを示すプログラムに従って次のように行われる。
【0271】
まず、ステップS161で、1速正常フラグXGR1s、2速正常フラグXGR2s、3速正常フラグXGR3sおよび4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第1オンオフSV111のOFF故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、コントローラ300は、上記第1オンオフSV111のOFF故障が発生したものと判断する。そして、ステップS162で第1オンオフSV−OFF故障フラグXOS1OFfをセットするとともに、この時点では第1オンオフSV−OFF故障第1DCKAMフラグXOS1OF1kはセットされていないから、ステップS163からステップS164を実行し、これをセットする。
【0272】
この第1DCKAMフラグXOS1OF1kの値は、イグニッションスイッチのOFF後も保持されるから、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS161で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS163からステップS165を実行することになり、第1オンオフSV−OFF故障第2DCKAMフラグXOS1OF2kをセットする。このようにして、第1オンオフSV111のOFF故障が第1、第2ドライビングサイクルにおいて連続して判定され、第1、第2DCKAMフラグXOS1OF1k、XOS1OF2kがともにセットされたときに、該第1オンオフSV111のOFF故障が確定される。
【0273】
次に、ステップS166で、1速正常フラグXGR1s、2速正常フラグXGR2s、3速故障フラグXGR3f、4速正常フラグXGR4sおよびロックアップOFF正常フラグXLOFsがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段およびロックアップクラッチ26についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第1オンオフSV111のON故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第1オンオフSV111のON故障が発生したものと判断する。そして、ステップS167で第1オンオフSV−ON故障フラグXOS1ONfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS168からステップS169を実行し、第1オンオフSV−ON故障第1DCKAMフラグXOS1ON1kをセットする。
【0274】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS166で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS168からステップS170を実行し、第1オンオフSV−ON故障第2DCKAMフラグXOS1ON2kをセットする。これにより、該第1オンオフSV111のON故障を確定する。
【0275】
次に、ステップS171で、1速正常フラグXGR1s、2速正常フラグXGR2s、3速正常フラグXGR3s、4速正常フラグXGR4sおよびロックアップOFF故障フラグXLOFfがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段およびロックアップクラッチ26についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第2オンオフSV112のOFF故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第2オンオフSV111のOFF故障が発生したものと判断する。そして、ステップS172で第2オンオフSV−OFF故障フラグXOS2OFfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS173からステップS174を実行し、第2オンオフSV−OFF故障第1DCKAMフラグXOS2OF1kをセットする。
【0276】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS171で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS173からステップS175を実行し、第2オンオフSV−OFF故障第2DCKAMフラグXOS2OF2kをセットする。これにより、該第2オンオフSV112のOFF故障を確定する。
【0277】
次に、ステップS176で、1速正常フラグXGR1s、2速正常フラグXGR2s、3速正常フラグXGR3s、4速正常フラグXGR4sおよびロックアップON故障フラグXLONfがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段およびロックアップクラッチ26についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第2オンオフSV112のON故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第2オンオフSV112のON故障が発生したものと判断する。そして、ステップS177で第2オンオフSV−ON故障フラグXOS2ONfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS178からステップS179を実行し、第2オンオフSV−ON故障第1DCKAMフラグXOS2ON1kをセットする。
【0278】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS176で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS178からステップS180を実行し、第2オンオフSV−ON故障第2DCKAMフラグXOS2ON2kをセットする。これにより、該第2オンオフSV112のON故障を確定する。
【0279】
次に、ステップS181で、1速故障フラグXGR1f、2速正常フラグXGR2s、3速正常フラグXGR3sおよび4速正常フラグXGR4sがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第1デューティSV121のOFF故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第1デューティSV121のOFF故障が発生したものと判断する。そして、ステップS182で第1デューティSV−OFF故障フラグXDS1OFfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS183からステップS184を実行し、第1デューティSV−OFF故障第1DCKAMフラグXDS1OF1kをセットする。
【0280】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS181で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS183からステップS185を実行し、第1デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS1OF2kをセットする。これにより、該第1デューティSV121のOFF故障を確定する。
【0281】
次に、ステップS186で、1速正常フラグXGR1s、2速故障フラグXGR2f、3速正常フラグXGR3sおよび4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第1デューティSV121のON故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第1デューティSV121のON故障が発生したものと判断する。そして、ステップS187で第1デューティSV−ON故障フラグXDS1ONfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS188からステップS189を実行し、第1デューティSV−ON故障第1DCKAMフラグXDS1ON1kをセットする。
【0282】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS186で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS188からステップS190を実行し、第1デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS1ON2kをセットする。これにより、該第1デューティSV121のON故障を確定する。
【0283】
次に、ステップS191で、1速故障フラグXGR1f、2速故障フラグXGR2f、3速正常フラグXGR3sおよび4速正常フラグXGR4sがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第2デューティSV122のOFF故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第2デューティSV122のOFF故障が発生したものと判断する。そして、ステップS192で第2デューティSV−OFF故障フラグXDS2OFfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS193からステップS194を実行し、第2デューティSV−OFF故障第1DCKAMフラグXDS2OF1kをセットする。
【0284】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS191で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS193からステップS195を実行し、第2デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS2OF2kをセットする。これにより、該第2デューティSV122のOFF故障を確定する。
【0285】
次に、ステップS196で、1速正常フラグXGR1s、2速正常フラグXGR2s、3速故障フラグXGR3fおよび4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第2デューティSV122のON故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第2デューティSV122のON故障が発生したものと判断する。そして、ステップS197で第2デューティSV−ON故障フラグXDS2ONfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS198からステップS199を実行し、第2デューティSV−ON故障第1DCKAMフラグXDS2ON1kをセットする。
【0286】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS196で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS198からステップS200を実行し、第2デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS2ON2kをセットする。これにより、該第2デューティSV122のON故障を確定する。
【0287】
次に、ステップS201で、1速正常フラグXGR1s、2速正常フラグXGR2s、3速正常フラグXGR3sおよび4速3速故障フラグXGR43fがいずれもセットされているか否かを判定する。この各ギヤ段についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第3デューティSV123のOFF故障の場合の組み合わせであるから、この組み合わせが成立している場合、上記第3デューティSV123のOFF故障が発生したものと判断する。そして、ステップS202で第3デューティSV−OFF故障フラグXDS3OFfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS203からステップS204を実行し、第3デューティSV−OFF故障第1DCKAMフラグXDS3OF1kをセットする。
【0288】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS201で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS203からステップS205を実行し、第3デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS3OF2kをセットする。これにより、該第3デューティSV123のOFF故障を確定する。
【0289】
次に、ステップS206で、エンゲージ故障フラグXENfおよび4速正常フラグXGR4sがいずれもセットされているか否かを判定する。上記エンゲージ故障フラグXENfは、前述のように1速〜3速指令のいずれのもとでもエンゲージ故障が発生した場合にセットされるものであるから、上記のギヤ段およびエンゲージ動作についての故障、正常の組み合わせは、表5から明らかなように、第3デューティSV123のON故障の場合の組み合わせとなり、この組み合わせが成立している場合、上記第3デューティSV123のON故障が発生したものと判断する。そして、ステップS207で第3デューティSV−ON故障フラグXDS3ONfをセットするとともに、上記の場合と同様に、ステップS208からステップS209を実行し、第3デューティSV−ON故障第1DCKAMフラグXDS3ON1kをセットする。
【0290】
また、次のドライビングサイクルにおいて、上記ステップS206で、再び上記の故障、正常の組み合わせが成立していると判定したときには、今度はステップS208からステップS210を実行し、第3デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS3ON2kをセットする。これにより、該第3デューティSV123のON故障を確定する。
【0291】
そして、コントローラ300は、次にステップS211で、ギヤ、ロックアップOFF、ロックアップONおよびエンゲージの各正常フラグXGR1s〜XGR4s、XLOFs、XLONs、XENsの全てがセットされているか否かを判定する。そして、これらの正常フラグの全てがセットされている場合、ステップS212で、上記の各第1DCKAMフラグXOS1OF1k、XOS2OF1k、XDS1OF1k〜XDS3OF1k、XOS1ON1k、XOS2ON1k、XDS1ON1k〜XDS3ON1kをリセットする。
【0292】
これにより、最初のドライビングサイクルでいずれかのソレノイドバルブについて故障判定が行われ、対応する第1DCKAMフラグがセットされても、次のドライビングサイクルで、その故障が判定されなかった場合は、当該第1DCKAMフラグがリセットされることになる。
【0293】
したがって、さらに次のドライビングサイクルで再び同じソレノイドバルブについての故障判定が行われても、改めて第1DCKAMフラグがセットされるだけで第2DCKAMフラグはセットされず、その時点では、当該ソレノイドバルブの故障判定が確定しないことになる。つまり、同じソレノイドバルブについての故障判定が2回のドライビングサイクルで連続して判定されない限りその故障判定が確定されず、これにより、この故障判定の高い信頼性が確保されることになるのである。
【0294】
次に、故障判定制御として、メインプログラムのステップS20の車速センサ故障判定制御について説明する。
【0295】
この制御は図32にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、コントローラ300は、まずステップS221で車速センサ301の出力信号が示す車速VELがゼロであるか否かを判定し、ゼロの場合に、ステップS222で車速センサ正常タイマTVSsをリセットする。次に、ステップS223で、運転者によって選択されているレンジがDレンジ等の走行レンジであるか否かを判定し、走行レンジであれば、さらにステップS224でタービン回転数TREVが所定回転数KTR2より大きいか否かを判定する。
【0296】
そして、上記のように車速センサ301の出力信号が車速ゼロを示している状態において、走行レンジが選択されており、かつタービン回転数TREVが所定回転数KTR2より大きく、当該車両が走行していると考えられる場合には、コントローラ300は車速センサ301に異常が発生しているものと判定する。そして、次にステップS225で車速センサ故障タイマTVSfを1づつカウントアップするとともに、その値が所定値TS1より大きくなったとき、即ち車速センサ301の異常状態が初手時間継続したときに、ステップS226からステップS227を実行し、車速センサ故障フラグXVSfをセットする。
【0297】
一方、車速センサ301の出力信号が車速ゼロを示している状態において、走行レンジが選択されていないとき、またはタービン回転数TREVが所定回転数KTR2より大きくないときは、当該車両が停止していると考えられるから、車速センサ301の車速ゼロの出力信号は正常な信号であると判定する。そして、上記ステップS223またはステップS224からステップS228を実行し、上記車速センサ故障タイマTVSfをリセットする。
【0298】
また、車速センサ301の出力信号が示す車速VELがゼロでない場合には該車速センサ301は正常であると判断し、コントローラ300は、ステップS221からステップS229を実行して車速センサ故障タイマTVSfをリセットするとともに、ステップS230で車速センサ正常タイマTVSsを1づつカウントアップする。そして、その値が所定値TS2より大きくなったとき、即ち車速センサ301の正常状態が所定時間継続したときに、ステップS231からステップS232を実行し、車速センサ故障フラグXVSfをリセットする。
【0299】
このようにして車速センサ301の故障判定が行われ、その結果に応じて変速制御やロックアップ制御が行われることになるが、この車速センサ故障判定制御は、図14のメインプログラムの説明で述べたように、エンゲージ故障、正常判定制御によりエンゲージ正常が判定されている場合(XENs=1)、即ち当該車両が走行可能なときにのみ行われる。したがって、エンゲージ故障が発生している状態でこの車速センサ故障判定制御を行うことによる誤判定が回避される。
【0300】
つまり、エンゲージ故障が発生している場合、選択されているレンジが走行レンジであり、かつタービン回転数TREVが所定回転数KTR2より大きくても、当該車両は停止していることになり、したがって、この状態で車速センサ301の出力信号が示す車速VELがゼロであるか否かにより、該車速センサ301の故障、正常を判定すると、誤判定を招くことになるのである。そこで、エンゲージ故障が生じている場合には車速センサ301の故障判定を禁止し、このような誤判定を防止するようになっているのである。
【0301】
以上のような各種の故障判定制御によって得られた結果に基づき、コントローラ300は、メインプログラムのステップS19として所定のフェールセーフ制御を行うようになっており、次にこのフェールセーフ制御について説明する。
【0302】
このフェールセーフ制御は図33にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、ステップS241でギヤ故障時のギヤ段選択制御を、ステップS242でエンゲージ故障時のギヤ段選択制御を、ステップS243でソレノイド機能故障時のギヤ段選択制御を、ステップS244でギヤ故障時のライン圧制御を、ステップS245でソレノイド機能故障時の変速制御を、さらにステップS246で警告ランプ制御を行う。
【0303】
上記ステップS241のギヤ故障時のギヤ段選択制御は、図34にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まずステップS251,S252,S253で、1速故障フラグXGR1f、2速故障フラグXGR2f、3速故障フラグXGR3fがセットされているか否かを判定する。
【0304】
そして、まず1速故障フラグXGR1fがセットされている場合には、ステップS254で1速指令の出力を禁止するとともに、1速に代わるギヤ段として2速を採用し、2〜4速間での変速制御を行わせる。また、2速故障フラグXGR2fがセットされている場合には、ステップS255で2速指令の出力を禁止するとともに、2速に代わるギヤ段として3速を採用し、1,3,4速間での変速制御を行わせる。さらに、3速故障フラグXGR3fがセットされている場合には、ステップS256で3速指令の出力を禁止するとともに、3速に代わるギヤ段として4速を採用し、1,2,4速間での変速制御を行わせる。
【0305】
また、ステップS257で、4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfまたは4速3速故障フラグXGR43fがセットされているか否かを判定し、いずれか一方のフラグがセットされている場合には、ステップS258で車速VELが所定車速KVL2以下か否かを判定する。そして、所定車速KVL2以下のときは、ステップS259で4速を禁止するともに、4速に代わるギヤ段として3速を採用し、1〜3速間での変速制御を行わせる。
【0306】
ここで、上記所定車速KVL2は、図35に示すようにスロットル開度TVOが大きくなるほど高車速となるように設定されているが、この所定車速KVL2の特性は、変速制御で用いられる変速マップの3,4速間の変速ラインに対応する。
【0307】
そして、所定車速KVL2以下の場合に4速が禁止されると、上記のようにギヤ段は3速に設定されることになるが、この場合は車速VELが所定車速KVL2より低く、もともと変速マップの3速の領域に属する場合であるから、4速を禁止して3速に設定することによるエンジン回転数ESPDの異常な上昇や駆動力の急激な増大等が問題となることはなく、通常通りの3速での走行が可能となる。
【0308】
また、上記のように、所定車速KVL2は、3,4速間の変速ラインに対応させて高スロットル開度側ほど高車速側の値となるように設定されているから、車速VELがこの所定車速KVL2より高い高車速時であって、4速が禁止されない(3速に設定されない)場合でも、アクセルペダルの踏み込みに伴うスロットル開度TVOの増大時には、図35に矢印アで示すように、車速VELが所定車速KVL2以下になって3速に設定されることになり、したがって、運転者の加速要求に応答可能となる。
【0309】
一方、4速ギヤ故障が発生し、上記4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfまたは4速3速故障フラグXGR43fがセットされた場合において、車速VELが上記所定車速KVL2より高い高車速時の場合は、直ちには4速指令の出力を禁止せず、車速VELが上記所定車速KVL2以下に低下した後に、或はステップS260でブレーキペダルの踏み込みを判定したときに、ステップS259を実行して4速指令の出力を禁止する。
【0310】
つまり、高車速時に直ちに4速を禁止してギヤ段を強制的に3速に設定すると、エンジンのオーバーランが発生したり、加速中においては駆動力の急激な増大による車輪のスリップが発生したりするおそれがあるので、車速VELが十分低下した後に4速を禁止し、3速に設定するのである。
【0311】
そして、特にブレーキの作動により車速の低下や駆動力の減少が予測される状態となったときには、実際に車速VELが上記所定車速KVL2以下に低下していなくても4速を禁止して3速に設定する。これにより、エンジンのオーバーラン等のおそれがない場合に、いたずらに車速VELの低下を待つことなく、速やかに3速に設定して通常の走行を可能とするとともに、ブレーキペダルの踏み込みによって示される運転者の減速要求に対し、ギヤ段を3速に設定してエンジンブレーキを作動させるようにしているのである。
【0312】
なお、車速VELが所定車速KVL2以下に低下するまで或はブレーキペダルが踏み込まれるまでの間において、4速指令を出力している間は、ギヤ段は3速になるかニュートラルになるかのいずれかであるが、ニュートラルになった場合でも、車速VELが所定車速KVL2以下に低下して4速が禁止されれば3速に設定されることになり、この状態で走行することになる。
【0313】
そして、この場合、3速になった後、車速VELが上昇して所定車速KVL2より高くなったときに4速指令を再び出力するとギヤ段は再びニュートラルになり、その結果、ニュートラルと3速とを繰り返すことになる。しかし、車速VELが一旦所定車速KVL2以下に低下して4速指令の出力が禁止されると、再び所定車速KVL2より高くなってもその禁止は解除されず、再度4速指令が出力されることはない。したがって、上記のようなニュートラルと3速とを繰り返すといった事態は生じない。
【0314】
ここで、上記の例では、所定車速KVL2より高い高車速時でも、ブレーキペダルが踏み込まれれば、4速指令の出力を禁止してギヤ段を3速に設定するようにしたが、これに代え、図35に鎖線で示すように、所定車速KVL2の高車速側に第2の所定車速KVL2′を設定し、ブレーキペダルを踏み込んでいない場合には低車速側の所定車速KVL2を、ブレーキペダルを踏み込んだときには高車速側の第2の所定車速KVL2′を採用するようにしてもよい。
【0315】
これによれば、ブレーキペダルを踏み込んでいないときには、車速VELが低車速側の所定車速KVL2以下に低下するまで4速指令の出力禁止(3速の設定)が実行されないが、車速の低下が予測されるブレーキペダルの踏み込み時には、高車速側の第2の所定車速KVL2′まで低下した時点で4速指令の出力禁止(3速の設定)が実行され、上記の場合と同様に、エンジンのオーバーラン等を回避しながら、いたずらに車速VELが低車速まで低下するのを待つことなく、速やかに3速での走行が可能となり、また、運転者の減速要求に対して速やかにエンジンブレーキが作動することになる。
【0316】
なお、このギヤ故障時におけるギヤ段選択制御における各変速指令の出力禁止の措置は、各ギヤ故障フラグとともに次のドライビングサイクルの開始時にはリセットされるので、次のドライビングサイクルでは改めてギヤ故障、正常判定制御およびその結果に基づくギヤ段選択制御が行われることになる。これにより、ソレノイドバルブの機能故障の判定に際し、ギヤ故障等が2回のドライビングサイクルで連続的に発生するか否かを判定することが可能となるのである。
【0317】
また、各ギヤ段を禁止したときには、その代わりのギヤ段として禁止したギヤ段に隣接したギヤ段を採用しているが、これは運転者に与える違和感をできるだけ少なくするためであり、特に、2,3速を禁止したときに、そのシフトアップ側のギヤ段である3,4速をそれぞれ採用するのは、シフトダウン側のギヤ段を採用すると、運転者の予期しないエンジン回転数の上昇や駆動力の増大が起こりうるからである。
【0318】
次に、図33のフローチャートのステップS242のエンゲージ故障時のギヤ段選択制御について説明する。
【0319】
この制御は図36にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まず、ステップS271,S272,S273で、1〜3速エンゲージ故障仮フラグXEN1t〜XEN3tの全てがセットされているか否か、1速エンゲージ故障仮フラグXEN1tと2速エンゲージ故障仮フラグXEN2tとがセットされているか否か、および1速エンゲージ故障仮フラグXEN1tのみがセットされているか否かを判定する。
【0320】
これらの仮フラグXEN1t〜XEN3tは、図27にフローチャートを示す前述のエンゲージ故障、正常判定制御において、1〜3速の各変速指令のもとでフォワードクラッチ41のエンゲージ故障が判定されたときにそれぞれセットされるもので、最初は1速エンゲージ故障フラグXEN1tのみがセットされる。
【0321】
したがって、図36のプログラムでは、ステップS271〜S273から、まずステップS274を実行し、前回の制御ループにおいても1速エンゲージ故障仮フラグXEN1tがセットされていたか否かを判定する。そして、最初にエンゲージ故障が判定されたときには、前回の制御ループではこのフラグXEN1tはセットされていなかったからステップS275,S276を実行し、4速発進フラグX4STをセットするとともに、1〜3速指令の出力を禁止する。これにより、当該車両は4速で発進することになる。
【0322】
そして、次回以降の制御ループでは、上記ステップS274からステップS277を実行し、4速で発進して所定車速(例えば20Km/h)以上で走行した後、停車したとき、即ち4速での発進が確実に行われたと判定したときには、ステップS278,S279で上記の4速発進フラグX4STをリセットするとともに、1速指令の出力を禁止する。
【0323】
これにより、停車した直後に2速の変速指令が出力される状態となり、次の発進時には、2速で発進することになるが、この場合もエンゲージ故障が判定されると、図27のプログラムで2速エンゲージ故障仮フラグXEN2tがセットされるため、今度は上記ステップS272からステップS280を実行することになる。
【0324】
そして、上記の場合と同様にして、前回の制御ループにおいて2速エンゲージ故障仮フラグXEN2tがセットされていたか否かを判定し、最初の判定時には前回の制御ループではこのフラグXEN2tはセットされていなかったから次にステップS281,S282を実行し、4速発進フラグX4STをセットするとともに、1〜3速指令の出力を禁止する。したがって、この場合も、車両は4速で発進することになる。そして、次回以降の制御ループでは、上記ステップS280からステップS283を実行し、4速で発進して所定車速以上で走行した後、停車したときには、ステップS284,S285で上記の4速発進フラグX4STをリセットするとともに、今度は1速指令および2速指令の出力を禁止する。したがって、この時点で3速指令が出力される状態となり、次の発進時には3速で発進することになる。
【0325】
そして、この3速での発進時にもエンゲージ故障が判定されると、図27のプログラムで3速エンゲージ故障仮フラグXEN3tがセットされるため、今度は上記ステップS271からステップS286,S287を実行し、4速発進フラグX4STをセットするとともに、1〜3速指令の出力を禁止する。したがって、この場合は4速指令のみが出力可能となる。
【0326】
このようにして、通常の1速指令のもとでエンゲージ故障が発生した場合は、フォワードクラッチ41が締結されなくても達成される4速で一旦発進した後、次の発進は2速指令のもとで行い、また、この場合もエンゲージ故障が発生すれば、同じく一旦4速で発進した後、次の発進は3速指令のもとで行う。そして、この場合もエンゲージ故障が発生すれば、4速指令のみを出力可能とし、その後は4速で、発進、走行することになる。そして、1〜3速指令のいずれのもとでもエンゲージ故障が発生したときにエンゲージ故障が確定され、その結果が他のフェールセーフ制御で用いられる。
【0327】
次に、図33のフローチャートのステップS243のソレノイドバルブの機能故障時のギヤ段選択制御について説明する。
【0328】
この制御は図37にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まずステップS291で、1速指令に対してギヤ段が1速にならないギヤ故障の原因となるソレノイドバルブの機能故障、具体的には、表3、表4から明らかなように、第1デューティSV121のOFF故障、第2デューティSV122のOFF故障、および第3デューティSV123のON故障のいずれかが確定しているか否か、つまり第1デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS1OF2k、第2デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS2OF2k、第3デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS3ON2kのいずれか1つがセットされているか否かを判定する。
【0329】
これらのKAMフラグはイグニッションスイッチのOFF後も保持されるから、上記各第2DCKAMフラグのいずれか1つがセットされたときには、次のドライビングサイクル以降ではその開始直後にステップS292を実行することになり、したがって、1速が達成できないときには、1速指令の出力が運転開始当初から禁止されることになる。そして、この場合、前述のギヤ故障時のギヤ段選択制御の場合と同様に、1速の代わりに2速が採用される。
【0330】
次に、ステップS293で、2速指令に対してギヤ段が2速にならないギヤ故障の原因となるソレノイドバルブの機能故障、具体的には、第1デューティSV121のON故障、第2デューティSV122のOFF故障、および第3デューティSV123のON故障のいずれかが確定しているか否か、つまり第1デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS1ON2k、第2デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS2OF2k、第3デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS3ON2kのいずれか1つがセットされているか否かを判定する。
【0331】
そして、上記各第2DCKAMフラグのいずれか1つがセットされたときには、次のドライビングサイクル以降ではその開始直後にステップS294を実行し、2速指令の出力を運転開始当初から禁止するとともに、2速の代わりに3速を採用する。
【0332】
また、ステップS295で、3速指令に対してギヤ段が3速にならないギヤ故障の原因となるソレノイドバルブの機能故障、具体的には、第2デューティSV122のON故障、および第3デューティSV123のON故障のいずれかが確定しているか否か、つまり第2デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS2ON2k、第3デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS3ON2kのいずれか1つがセットされているか否かを判定する。
【0333】
そして、上記各第2DCKAMフラグのいずれか1つがセットされたときには、次のドライビングサイクル以降ではその開始直後にステップS296を実行し、3速指令の出力を運転開始当初から禁止するとともに、3速の代わりに4速を採用する。
【0334】
また、ステップS297で、4速指令に対してギヤ段が4速にならないギヤ故障の原因となるソレノイドバルブの機能故障、具体的には、第1オンオフSV111のOFF故障、第1デューティSV121のON故障、第2デューティSV122のON故障、および第3デューティSV123のOFF故障のいずれかが確定しているか否か、つまり第1オンオフSV−OFF故障第2DCKAMフラグXOS1OF2k、第1デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS1ON2k、第2デューティSV−ON故障第2DCKAMフラグXDS2ON2k、第3デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS3OF2kのいずれか1つがセットされているか否かを判定する。
【0335】
そして、上記各第2DCKAMフラグのいずれか1つがセットされたときには、次のドライビングサイクル以降ではその開始直後にステップS298を実行し、4速指令の出力を運転開始当初から禁止するとともに、4速の代わりに3速を採用する。
【0336】
このようにして、いずれかの第2DCKAMフラグがセットされて、対応するソレノイドバルブの機能故障が確定した場合には、以後のドライビングサイクルでは、改めて故障判定動作を行うことなく、達成できないギヤ段の指令の出力を禁止した状態での変速制御を行う。
【0337】
これにより、各ドライビングサイクルの開始ごとにソレノイドバルブの機能故障を判定する無駄が省かれるとともに、運転開始直後からフェールセーフ制御が実行されて良好な走行性が確保されることになる。なお、この状態は、例えば当該ソレノイドバルブが修理或は交換された後、バッテリ電源がONされたときに解消される。
【0338】
次に、図33のフローチャートのステップS244のギヤ故障時のライン圧制御について説明する。
【0339】
この制御は図38にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、ステップS301で4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfまたは4速3速故障フラグXGR43fがセットされているか否か、ステップS302で3速故障フラグXGR3fがセットされているか否か、ステップS303で2速故障フラグXGR2fがセットされているか否か、ステップS304で1速故障フラグXGR1fがセットされているか否かをそれぞれ判定する。
【0340】
そして、4速ニュートラル故障フラグXGR4Nfまたは4速3速故障フラグXGR43fがセットされているとき、3速故障フラグXGR3fがセットされているとき、および2速故障フラグXGR2fがセットされているときは、ステップS305でライン圧が最大になるように油圧制御を行う。具体的には、図2に示すリニアSV131によってレギュレータバルブ101の調圧ポート101aに供給される制御圧を調整することにより、ライン圧を最大とする。
【0341】
これらのライン圧を最大にする制御は、ギヤ故障状態での発進時に、トルク伝達に関与する摩擦要素のトルク伝達容量が十分に確保されるようにするためである。
【0342】
つまり、前述のエンゲージ故障により4速発進する場合(図36のステップS276,S282,S287)等において、さらに4速ギヤ故障等のために3速で発進する場合、フォワードクラッチ41と3−4クラッチ43とがトルクを伝達することになるが、その場合に、3−4クラッチ43は通例は発進時には用いられないのでトルク伝達容量の設定があまり大きくなく、そのため、3速発進時にトルク伝達容量が不足することになるのである。そこで、4速ギヤ故障時における3速発進に際し、3−4クラッチ43のトルク伝達容量確保のためにライン圧を最大とするのである。
【0343】
また、3速発進する場合において3速ギヤ故障が生じているときは、3速の代わりに4速が採用されるので4速で発進することになり、このとき、2−4ブレーキ44と3−4クラッチ43とがトルクを伝達することになるが、この場合も3−4クラッチ43のトルク伝達容量が不足するので、ライン圧を最大とする。
【0344】
さらに、2速発進する場合において2速ギヤ故障が生じているときは、2速の代わりに3速が採用されるので、上記の4速ギヤ故障の場合と同様に3速で発進することになり、この場合も3−4クラッチ43のトルク伝達容量が不足することになるので、ライン圧を最大とする。
【0345】
一方、1速故障フラグXGR1fがセットされている場合には、上記のようなライン圧を最大にする制御は行われず、正常時のライン圧に保持される。
【0346】
つまり、1速ギヤ故障時は2速で発進することになるが、この2速発進は正常時においても行われるものであって、2速発進時にトルクを伝達するフォワードクラッチ41と2−4ブレーキ44とは予め2速発進に必要なトルク伝達容量が得られるように設定されている。したがって、この場合は、ライン圧を上昇させる制御は行われず、正常時のライン圧を保持する。これにより、不必要なライン圧の上昇によるポンプ駆動損失の増大が回避され、ひいてはギヤ故障時に常にライン圧を高くする場合に比較して、燃費性能が向上することになる。
【0347】
次に、図33のフローチャートのステップS245のソレノイド機能故障時の変速制御について説明する。
【0348】
この制御は第1デューティSV121のOFF故障時における変速制御に関するもので、図39にフローチャートを示すプログラムに従って次のように行われる。
【0349】
まず、ステップS311で第1デューティSV−OFF故障フラグXDS1OFfまたは第1デューティSV−OFF故障第2DCKAMフラグXDS1OF2kのいずれかがセットされているか否かを判定し、セットされている場合に、ステップS312で、変速制御で用いられる変速マップの3−2シフトダウン変速ラインを、図40に実線で示すように変速点がスロットル開度TVOが大きくなるほど高車速側となる通常のラインから、鎖線で示すように、変速点がスロットル開度TVOに拘らず常に所定車速KVL3となる直線状の変速ラインに変更する。
【0350】
これは、第1デューティSV121のOFF故障時における3−2トルクディマンドのシフトダウン変速時の変速ショックの問題に対処するものである。
【0351】
つまり、3−2変速は、第2デューティSV122をOFFからONに切り換えて3−4クラッチ圧およびサーボリリース圧を排出することにより、3−4クラッチ43を解放し、かつ2−4ブレーキ44を締結することにより行われるが(図5、図6参照)、アクセルペダルの踏み込みによるトルクディマンドの3−2シフトダウン変速の場合、図41に実線で示すように、第1デューティSV121のデューティ制御によってサーボアプライ圧を一時的に低下させる制御が行われる。
【0352】
これは、2−4ブレーキ44の締結力を低減させることにより、3−4クラッチ43の解放動作によるタービン回転数の上昇を円滑に行わせるためであり、その後、3−4クラッチ43がほぼ完全に解放された時点でサーボアプライ圧を再び上昇させることにより、2−4ブレーキ44を完全に締結する。
【0353】
しかし、第1デューティSV121のOFF故障が発生すると、上記のようなサーボアプライ圧を一時的に低下させる制御を行うことができなくなり、図41に鎖線イで示すように、サーボアプライ圧が高い状態で3−4クラッチ圧およびサーボリリース圧が排出されることになる。そのため、サーボリリース圧の排出開始により、3−4クラッチ43の解放に先立って2−4ブレーキ44が締結されることになり、その結果、3−4クラッチ43と2−4ブレーキ44とが共に締結されたインターロック状態が発生し、このとき大きな変速ショックが発生するのである。
【0354】
そこで、上記のように第1デューティSV121のOFF故障の発生時には、変速マップの3−2シフトダウン変速ラインを、変速点がスロットル開度TVOに拘らず常に所定車速KVL3となる変速ラインに変更することにより、アクセルペダルの踏み込み(スロットル開度TVOの増大)による3−2トルクディマンドのシフトダウン変速が発生しないようにしているのであり、これにより、上記のような不具合が回避されることになる。
【0355】
なお、上記のように3−2シフトダウン変速ラインを直線状の変速ラインに変更する場合に、図40に示す例では、低スロットル開度側では、変速点が高車速側に移行し、高スロットル開度側では変速点が低車速側に移行するように変更されている。
【0356】
これにより、低スロットル開度側では、例えば登坂路への進入により、図40に矢印ウで示すように、車速VELが低下して3−2シフトダウン変速が行われるときに、この変速が早期に行われることになり、これに伴う駆動力の増大により登坂路への進入による車速の低下が抑制されることになる。
【0357】
また、高スロットル開度側では、矢印エで示すように、同じく車速VELの低下により3−2シフトダウン変速が行われるときに、この変速が遅延されて3速の状態が長く維持されることになる。したがって、エンジン騒音が問題になり易い高スロットル開度領域でエンジン回転数の上昇が抑制されることになり、エンジン騒音の問題が低減されることになる。
【0358】
また、第1デューティSV121のOFF故障が発生している場合、図39のステップS313で現在2−3変速中か否かを判定し、この変速中であるときには、ステップS314で第2デューティSV122をOFFにし、このデューティSV122の2−3変速中における油圧制御を禁止する。
【0359】
つまり、2−3変速は、第2デューティSV122をONからOFFに切り換えることにより3−4クラッチ圧およびサーボリリース圧を供給して、3−4クラッチ43を締結し、かつ2−4ブレーキ44を解放することにより行うのであるが(図5、図6参照)、このとき、図42に実線で示すように、第1デューティSV121のデューティ制御によってサーボアプライ圧を一時的に低下させて2−4ブレーキ44の締結力を低減させるとともに、第2デューティSV122をデューティ制御して3−4クラッチ圧(およびサーボリリース圧)を棚圧状に制御する(符号オ参照)ことが行われる。
【0360】
これは、2−3変速時に、2−4ブレーキ44と3−4クラッチ43とが同時に締結状態になることによる変速ショックの発生を回避しながら、該3−4クラッチ43を円滑に締結するためであるが、その場合に、上記第1デューティSV121のOFF故障によりサーボアプライ圧が低下しないと、2−4ブレーキ44が完全に締結された状態で、3−4クラッチ圧を棚圧状態に制御することになり、このとき、3−4クラッチ43が所謂半クラッチ状態で激しく滑ることになって摩耗が促進されるとともに、いつまでもタービン回転数が低下しないため、バックアップタイマによって強制的に終了されるまで変速動作が終了せず、変速時間が著しく長くなるのである。
【0361】
そこで、第1デューティSV121のOFF故障が発生したときには、図42に符号カで示すように、2−3変速時における第2デューティSV122による3−4クラッチ圧の棚圧制御を禁止し、該第2デューティSV122をONから直接OFFにして、3−4クラッチ43を速やかに締結するようにしているのであり、これにより、上記のような不具合が防止されることになる。
【0362】
次に、図33のフローチャートのステップS246の警告ランプ制御について説明する。
【0363】
この制御は、図43にフローチャートを示すプログラムに従って行われ、まずステップS321で、1速故障フラグXGR1f、2速故障フラグXGR2f、3速故障フラグXGR3f、4速ニュートラル速故障フラグXGR4Nfまたは4速3速故障フラグXGR43fのいずれかがセットされているか否かを判定する。そして、ギヤ故障が発生し、上記の故障フラグのいずれかがセットされているときには、ステップS322で運転席前面のインスツルメントパネル等に備えられているOD−OFFランプを点滅させる。
【0364】
また、ステップS323で、ロックアップOFF故障フラグXLOFf、またはロックアップON故障フラグXLONfのいずれかがセットされているか否かを判定し、いずれかのフラグがセットされているときには、上記のギヤ故障の場合と同様に、ステップS322でOD−OFFランプを点滅させる。
【0365】
さらに、ステップS324で、エンゲージ故障フラグXENfがセットされているか否かを判定し、セットされているときは、同じく上記ステップS322でOD−OFFランプを点滅させる。
【0366】
このOD−OFFランプは、運転者がDレンジにおけるオーバードライブギヤ段(4速)を禁止するためにOD−OFFスイッチを操作したときに点灯するものであるが、ギヤ故障、ロックアップOFF故障、ロックアップON故障、またはエンゲージ故障が発生したときに上記のようにして点滅することにより、ギヤ故障等の発生が運転者に告知されることになる。
【0367】
ここで、このOD−OFFスイッチおよびOD−OFFランプに代え、同様の機能を有するホールドスイッチおよびホールドランプが備えられている場合があり、この場合は、ギヤ故障等の発生時に、このホールドランプを点滅させることになる。
【0368】
また、この警告ランプ制御においては、ステップS325で、各ソレノイドOFF故障第2DCKAMフラグXOS1OF2k、XOS2OF2k、XDS1OF2k〜XDS3OF2k、および各ソレノイドON故障第2DCKAMフラグXOS1ON2k、XOS2ON2k、XDS1ON2k〜XDS3ON2kのいずれかがセットされているか否かを判定する。そして、いずれかのフラグがセットされているときは、ステップS326でMILランプを点灯させる。
【0369】
このMILランプは、エンジンの排気浄化システムの異常時に点灯するもので、運転席前面のインスツルメントパネル等に備えられることがあるものであるが、いずれかのソレノイドバルブの故障時において上記第2DCKAMフラグの1つがセットされたときには、排気浄化システムの異常を招くものとしてこのMILランプを点灯させるのであり、これにより、運転者に排気浄化システムに異常が発生したことが告知されることになる。
【0370】
なお、図38にフローチャートを示すギヤ故障時のライン圧制御において、ライン圧を最大に上昇させる制御を行ったとき、変速時に摩擦要素を締結させる作動圧が高くなって変速ショックが発生し易くなり、運転者に違和感を与える可能性がある。そこで、図38のステップS305によるライン圧を最大にする制御を行ったときには、これをランプの点灯もしくは点滅により運転者に告知するようにしてもよい。
【0371】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、ニュートラル故障の判定精度及び車速検出故障の判定精度がそれぞれ確保され、誤判定が回避できる。したがって、この故障判定結果に基づくソレノイドバルブの機能故障の判定やそれに応じたフェールセーフ制御等が適正に実行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の実施の形態に係る自動変速機の機械的構成を示すスケルトン図である。
【図2】 同自動変速機の油圧制御回路図である。
【図3】 同油圧制御回路に備えられた各ソレノイドバルブに対する制御システム図である。
【図4】 1速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図5】 2速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図6】 3速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図7】 3速ロックアップの状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図8】 4速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図9】 4速ロックアップの状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図10】 Lレンジ1速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図11】 後退速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図である。
【図12】 オンオフソレノイドバルブの構造を示す断面図である。
【図13】 デューティソレノイドバルブの構造を示す断面図である。
【図14】 故障判定制御のメインプログラムを示すフローチャートである。
【図15】 ギヤ故障、正常判定制御のプログラムの前半部を示すフローチャートである。
【図16】 同プログラムの後半部を示すフローチャートである。
【図17】 同プログラムで用いられる1速ギヤ故障、正常判定のためのギヤ比の領域図である。
【図18】 2速ギヤ故障、正常判定のためのギヤ比の領域図である。
【図19】 3速ギヤ故障、正常判定のためのギヤ比の領域図である。
【図20】 4速ギヤ故障、正常判定のためのギヤ比の領域図である。
【図21】 ロックアップOFF故障、正常判定制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図22】 同プログラムで用いられるロックアップOFF故障、正常判定のためのスリップ回転数の領域図である。
【図23】 ロックアップON故障、正常判定制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図24】 同プログラムで用いられるロックアップON故障、正常判定のためのスリップ回転数の領域図である。
【図25】 同プログラムで用いられるスロットル開度の領域図である。
【図26】 同じく他の例を示す領域図である。
【図27】 エンゲージ故障、正常判定制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図28】 同プログラムで用いられる油温に対する所定時間の特性図である。
【図29】 ソレノイド機能故障判定制御のプログラムの前部を示すフローチャートである。
【図30】 同プログラムの中間部をを示すフローチャートである。
【図31】 同プログラムの後部を示すフローチャートである。
【図32】 車速センサ故障判定制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図33】 フェールセーフ制御のメインプログラムを示すフローチャートである。
【図34】 ギヤ故障時のギヤ段選択制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図35】 同プログラムで用いられる所定車速の特性図である。
【図36】 エンゲージ故障時のギヤ段選択制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図37】 ソレノイド機能故障時のギヤ段選択制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図38】 ギヤ故障時のライン圧制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図39】 ソレノイド機能故障時の変速制御のプログラムを示すフローチャートである。
【図40】 同プログラムで用いられる3−2変速ラインの特性図である。
【図41】 同制御による3−2変速時の油圧特性図である。
【図42】 同制御による2−3変速時の油圧特性図である。
【図43】 警告ランプ制御のプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 自動変速機
20 トルクコンバータ
26 ロックアップクラッチ
30 変速歯車機構
41〜45 摩擦要素
100 油圧制御回路
111,112 オンオフソレノイドバルブ
121〜123 デューティソレノイドバルブ
300 コントローラ
Claims (8)
- トルクコンバータと、該トルクコンバータを介してエンジンからの動力が入力される変速歯車機構と、該変速歯車機構の動力伝達経路を切り換える複数の摩擦要素と、これらの摩擦要素に供給される作動圧を制御して上記変速歯車機構のギヤ段を制御する油圧制御回路とを有する自動変速機の故障検出装置であって、選択されたレンジを検出するレンジ検出手段と、該レンジ検出手段で走行レンジが検出されているにも拘らず変速歯車機構がニュートラル状態で固定されるニュートラル故障の有無を判定するニュートラル故障判定手段と、変速歯車機構の出力回転数に基づいて車速を検出する車速検出手段と、該車速検出手段の故障の有無を判定する車速検出故障判定手段とが備えられ、この車速検出故障判定手段が、上記ニュートラル故障判定手段でニュートラル故障がないと判定されたときに限り、その判定を行なうように構成されていることを特徴とする自動変速機の故障検出装置。
- 変速歯車機構の入力回転数を検出する入力回転数検出手段と、ブレーキの作動を検出する制動検出手段とが備えられ、ニュートラル故障判定手段は、上記制動検出手段でブレーキの作動が検出され、且つ、車速検出手段で車速が零であることが検出された場合において、上記入力回転数検出手段で検出される変速歯車機構の入力回転数が所定値以上であるときに、ニュートラル故障があると判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の故障検出装置。
- 変速歯車機構のギヤ段として、発進時に設定される発進用の第一のギヤ段と、この第一ギヤ段で締結される摩擦要素が同じく締結される複数の第二のギヤ段と、上記第一ギヤ段で締結される摩擦要素が締結されない第三のギヤ段とが設けられていると共に、ニュートラル故障判定手段が上記第一ギヤ段においてニュートラル故障があると判定したときには、該第一ギヤ段に代えて、上記第三ギヤ段を設定するギヤ段変更手段と、このギヤ段変更手段で設定された第三ギヤ段で発進することを許可する発進許可手段とが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の故障検出装置。
- ニュートラル故障判定手段は、第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、この第三ギヤ段についてはニュートラル故障の有無を判定しないことを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の故障検出装置。
- ギヤ段変更手段は、第三ギヤ段で発進したのち停車したときには、該第三ギヤ段に代えて、第二ギヤ段を設定すると共に、ニュートラル故障判定手段は、この第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を判定することを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の故障検出装置。
- エンジンの始動から停止までの一運転期間中にニュートラル故障判定手段が第一ギヤ段及び複数の第二ギヤ段のそれぞれにおいてニュートラル故障があると判定したときにニュートラル故障を確定するニュートラル故障確定手段が備えられ、このニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定されたときには、その確定が行なわれたのち及びその確定が行なわれた運転期間の次の運転期間以降は、ニュートラル故障判定手段は、ニュートラル故障の有無の判定を行なわず、且つ、ギヤ段変更手段は、発進時に第三ギヤ段を設定する一方で、上記ニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定される前にエンジンが停止されたときには、次の運転期間中において、ギヤ段変更手段は、第一、第三、第二の各ギヤ段をこの順に設定し、且つ、ニュートラル故障判定手段は、これらのうちの第一、第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を再び判定し直すことを特徴とする請求項5に記載の自動変速機の故障検出装置。
- 変速歯車機構のギヤ段として、発進時に設定される発進用の第一のギヤ段と、この第一ギヤ段で締結される摩擦要素が同じく締結される複数の第二のギヤ段と、上記第一ギヤ段で締結される摩擦要素が締結されない第三のギヤ段とが設けられていると共に、ニュートラル故障判定手段が上記第一ギヤ段においてニュートラル故障があると判定したときには、該第一ギヤ段に代えて、上記第二ギヤ段を設定するギヤ段変更手段が備えられ、ニュートラル故障判定手段は、このギヤ段変更手段で設定された第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を判定し、且つ、エンジンの始動から停止までの一運転期間中に上記ニュートラル故障判定手段が上記第一ギヤ段及び複数の第二ギヤ段のそれぞれにおいてニュートラル故障があると判定したときにニュートラル故障を確定するニュートラル故障確定手段が備えられて、このニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定されたときには、その確定が行なわれたのち及びその確定が行なわれた運転期間の次の運転期間以降は、ニュートラル故障判定手段は、ニュートラル故障の有無の判定を行なわず、且つ、ギヤ段変更手段は、発進時に上記第三ギヤ段を設定する一方で、上記ニュートラル故障確定手段でニュートラル故障が確定される前にエンジンが停止されたときには、次の運転期間中において、ギヤ段変更手段は、第一、第二の各ギヤ段をこの順に設定し、且つ、ニュートラル故障判定手段は、これらの各第一、第二ギヤ段についてニュートラル故障の有無を再び判定し直すことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の故障検出装置。
- 変速歯車機構の入力回転数を検出する入力回転数検出手段が備えられ、車速検出故障判定手段は、レンジ検出手段で走行レンジが検出され、且つ、上記入力回転数検出手段で検出される変速歯車機構の入力回転数が所定値以上である場合において、車速検出手段で検出される車速が零であるときに、該車速検出手段の故障があると判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の故障検出装置。
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