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JP4149098B2 - 水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法及び水膨潤性医療用高分子ゲル - Google Patents

水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法及び水膨潤性医療用高分子ゲル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法及び該製造法により製造される水膨潤性医療用高分子ゲルに関する。本発明の製造法によれば、これまで困難であったポリイオンコンプレックスゲルの組成を精密に制御できるため、生成したポリイオンコンプレックスゲルの膨潤度、生分解性、抗血栓性などの性能を自由自在に設計することができ、型中で硬化させることによって容易にポリイオンコンプレックスゲルの成型品を得ることが可能である。このように、本発明は水膨潤性がある医療用高分子ゲルの製造法として好適であり、さらに成形、加工が可能であるため、得られた高分子ゲルはとくに医療用として好適であることは勿論、従来適用が難しかった用途への応用も可能である。
【0002】
【従来の技術】
アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの混合により形成されるポリイオンコンプレックス(以下、PECと略称する)ゲルは、化学的共有結合を利用した高分子架橋とは異なり、イオン性基を有する高分子間のクーロン力による架橋であるため毒性の高い架橋剤を必要としない。この特徴は医療用高分子ゲルの製造手段としては理想的である。また、PEC架橋体は、透水性、イオン選択透過性、抗血液凝固性などの特性を有し、医療分野において、透析膜、コンタクトレンズ、止血剤・接着剤・シーラント、薬剤放出デバイスを構成する材料、細胞および酵素を固定化する担体マトリクスなどに使用され、その重要性はますます高まっている。
【0003】
そのため、各用途に最適な性状、組成を実現できるPECゲルの製造法が望まれているが、通常の条件ではアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーを混合すると瞬時にPECが生成し、生成したPECは一般的な溶媒には不溶となるため、目的とする性状への成形・加工が困難であることがPECゲルを各種用途へ展開するにあたって最大の問題点となっている。
【0004】
この難点を克服するため、これまで多くのPECゲル製造法が提案されている。例えば、特開昭50−123179号公報及び特開昭50−8879号公報に、高分子電解質の希薄溶液中に対して、それとは反対電荷を有する高分子電解質の溶液を滴下して生成した不定形のPECゲルの沈殿を利用する方法が開示されている。しかしながら、PECは一般的な溶媒に不溶であるため、こうして調製された不定形のPECゲルを例えば膜などの形態に成形するには、特殊な三成分系溶媒に溶解させる必要がある(例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編、機能性高分子、共立出版、556〜557頁、菊池ら、日本化学会誌、1985年、1465頁)。そのため、それぞれ個別のPECについて最適な三成分系溶媒の組成を検討しなくてはならず、これが必ずしも発見できるとは限らない。また、三成分系溶媒は毒性の強い物質を含むこともあり、生成した膜の洗浄工程に多大な労力を必要とするという問題も指摘されている。
【0005】
また、PECを製造する別の方法として、特開平3−234770公報に、界面に生成するポリイオンコンプレックス架橋体を利用する界面形成法が開示されている。しかしながら、この方法ではきわめて薄い膜状のPECゲルしか製造することができず、PECゲルの組成を制御することも非常に難しい。したがって、上述したような方法では医療用途に適したPECゲルの成型品を製造することは困難である。
【0006】
一方、このような三成分系溶媒を用いないPECの可溶化溶媒も提案されている。例えば、特開昭55−161802号公報、特開昭55−161803号公報、特開昭55−161804号公報、特開昭55−161805号公報などには、アンモニア水溶液などが特定のアニオン性ポリマーとカルボキシメチル化キトサンから生成するPECゲルの可溶化溶媒として有効であることが記載されている。しかしながら、この方法は、アニオン性ポリマーとカルボキシメチル化キトサンを混合し、不定形のPECゲルを沈殿させる方法であるので、PECゲルの組成を自由に設計することは難しい。また、成形する際に溶解したPECゲルの溶液をある程度乾燥する必要があるため、形状はフィルム状、繊維状のものに限定されてしまう。
【0007】
さらに、特開平1−156341号公報に、ギ酸水溶液に直接カルボキシメチル化セルロースとキトサンを混合溶解して、その後溶媒を除去することによってPECゲルを製造する方法も提案されている。しかし、この方法はカルボキシメチル化セルロースとキトサンの組み合わせに限定されること、ギ酸水溶液を使用することによる毒性の問題が不可避であること、溶媒除去を前提としているため得られるPECゲルは従来の界面形成法と同様、乾燥された膜、又はフィルム状のものに限定されるという問題点がある。
【0008】
このようにPECゲルは非常に幅広い利用分野を潜在的に有しているにも関わらず、ゲル組成の制御、製膜や精密な形状を有するものへの成形などの操作が難しく、分子構造や組成など自由な設計は困難である。とくに精密な形状を有するPECを従来法により製造することは不可能であり、PECゲルの医療用途への適用が制限されていた。
【0009】
以上のような難点を克服するため、近年においても任意に成形・加工が可能なPECゲルを製造する方法が検討され続けている。その例として、特開平8−104720号公報に、マトリックス重合法と呼ばれる制御可能なPECゲルの製造法が開示されている。この方法によれば、型により成形されたPECゲルを得ることは可能であるが、生成したPECゲルにはしばしば毒性の高いモノマーが残留していることがあり、このような残留モノマーを除去するための煩雑な工程が必要とされる。したがって、この方法でもPECを用いる架橋方法の利点を十分に生かし切れた方法であるとは言い難い。
【0010】
一方、ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス、第50巻、2021頁、1993年(J.Appl.Polym.Sci.,50,2021(1993))に、型による成形が可能なPECゲルの製造法が開示されている。これは、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーを高い塩濃度の溶媒中で加熱して均一に溶解し、冷却、洗浄することにより、均一な組成のPECゲルを得る方法である。しかしながら、この方法は、ごく一部のアニオン性多糖類とキトサン(カチオン性ポリマー)の組み合わせにのみ有効であること、熱により分解が促進されるポリマーへの適用は困難であること、さらに生成したPECゲルに含まれる多量の塩の除去が必要であることなどが問題であり、用途に応じたアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの組み合わせを選択することが難しく、後処理工程も煩雑となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、これまでに提案されている従来技術では、PECゲルの組成を精密に制御してPECゲルの特性を設計すること、並びに目的に応じて成形・加工して精密な形状(例えば、繊維状、フィルム状、シート状、塊状など)にすることは困難であり、これらを可能とするPECゲルの製造法が待望されていた。したがって本発明の目的は、PECゲルの組成を精密に制御することができ、目的に応じて成形・加工して精密な形状にすることのできるPECゲルの製造法及び組成が均一な水膨潤性PECゲルの成形・加工品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討し、刺激によりイオン性基を生成することのできる機能団を二つ以上有する水溶性ポリマーとそれらの対イオン基を二つ以上有する水溶性ポリマーを混合して混合液を調製し、この混合液を直接基材へコーティングしたり、精密な鋳型への導入、繊維化、フィルム・シート化、マイクロビーズ化、塊状化など適当な形状へ成形・加工した後、刺激によりイオン性基の生成を誘起してPECゲルを形成させることにより上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、刺激によりイオン性基を生成することのできる機能団を二つ以上有する水溶性ポリマーおよびそれらの対イオン基を二つ以上有する水溶性ポリマーを混合して目的の形状に成形もしくは加工した後、刺激によりイオン性基の生成を誘起してポリイオンコンプレックスを形成させることを特徴とする水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法である。本発明のもう一つの発明は、この製造法により得られる水膨潤性医療用高分子ゲルである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、刺激により生成するイオン性基とは、刺激により生成するアニオン性基又はカチオン性基であり、本発明における水溶性ポリマーは、このようなイオン性基を生成することのできる機能団を少なくとも二つ以上有する必要がある。刺激によってアニオン性基を生成することのできる機能団を有する水溶性ポリマー(以下、このような水溶性ポリマーをアニオン性ポリマー前駆体と略称する)は、カチオン性の水溶性ポリマーとクーロン力によるイオン結合を殆ど形成しないため、均一な混合物(以下、未架橋PE混合物と略称する)を容易に製造することができる。逆に刺激によってカチオン性基を生成することのできる機能団を少なくとも二つ以上有する水溶性ポリマー(以下、カチオン性ポリマー前駆体と略称する)もアニオン性の水溶性ポリマーとクーロン力によるイオン結合を殆ど形成しないため、未架橋PE混合物を容易に製造することができる。
【0015】
未架橋PE混合物は、溶媒を含むか又は含まない状態で目的の形状に成形・加工される。未架橋PE混合物中のアニオン性ポリマー前駆体又はカチオン性ポリマー前駆体は、刺激を与えることでイオン性基を生成することができるため、未架橋PE混合物は容易にPECを形成して各種の溶媒に対して不溶性の成形された高分子ゲルとすることができる。この成形されたPECゲルを構成するアニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーは水溶性であるため、得られたPECゲルは水膨潤性となる。
【0016】
本発明における刺激とは、前述したアニオン性ポリマー前駆体又はカチオン性ポリマー前駆体に対してそれぞれアニオン性基、カチオン性基の生成を促す物理的、化学的な刺激であり、化学物質、光、熱、超音波などを例示することができる。なかでも、化学物質又は光は本発明の効果の発現が著しく好ましい。化学物質と光を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
刺激として化学物質を用いる場合は、未架橋PE混合物に含まれる化学物質が機能団へ触媒的に作用してイオン基を生成させることもできるし、機能団に対して化学的に結合することによりイオン基を生成させることもできる。また、そのままでは刺激として不活性である化学物質を未架橋PE混合物に予め添加しておき、光又は熱などを与えることで不活性な化学物質を刺激として作用できる活性な状態へと変化させ、上記機能団に作用させることによってイオン性基を生成させることもできる。さらに、刺激としては不活性な化学物質である触媒およびその基質を未架橋PE混合物に予め添加しておく方法も行い得る。このとき刺激として活性な化学物質(触媒反応の生成物)へ基質が徐々に変化して上記機能団に作用するが、必要に応じて光又は熱を与えて触媒反応を加速してもよい。このような刺激を作用させるのと同時に、冷却又は加熱を行うことによってイオン性基の生成を制御することができる。
【0018】
このような刺激として用いられる化学物質は、成形・加工された未架橋PE混合物に直接混合させるか、又は含浸させることで浸透させる。刺激として不活性な状態の化学物質は、予め未架橋PE混合物に含有させて成形・加工することができるし、成形・加工された未架橋PE混合物に含浸させることもできる。この場合、光又は熱を第一の刺激として作用させることにより、刺激として不活性な化学物質を活性な状態へ変化させてイオン性基を生成することができる。
【0019】
刺激に使用される光とは紫外光および可視光を指しており、これらが直接的にイオン性基を生成できる機能団に作用することによって機能団が変化し、イオン性基が生成してもよい。光を刺激として作用させるのと同時に、冷却又は加熱を行うことによってイオン性基の生成を制御することもできる。以上のような刺激の態様が考えられ、目的に応じて適宜選択することができる。これらの刺激は、刺激によりイオン基を生成できる機能団の特性に応じて最適なものが選ばれる。
【0020】
アニオン性ポリマー前駆体に含有され、刺激によりアニオン性基を生成する機能団とは、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、燐酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基がカチオン性基とクーロン的な結合を行わないように改変されているものであって、このような機能団としては、刺激によってアニオン性基を生成できるもの(以下、改変アニオン性基と略称することがある)であればとくに限定されるものではない。アニオン性ポリマー前駆体に含有される二つ以上の改変アニオン性基は必ずしも同じ種類である必要はない。カルボキシル基はアニオン性基として一般的であり、また比較的容易にカチオン性基とイオン的な結合をしないように改変できるので好ましいアニオン性基である。
【0021】
カルボキシル基の改変は保護基によりノニオン性もしくはカチオン性に変換することによってなされる。カルボキシル基を改変する具体的な方法としては、例えばメチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、シリルエステル、チオエステル、オキサゾール、オキサゾリン、オルソエステルなどのグリーンおよびウッツ著、プロテクティブ グループ イン オーガニック シンセシス、第2版、ジョン ワイリー アンド サンズ、1991年(Theodra W.Green,Peter G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Second Edition,John Wiley & Sons,1991)に記載されている置換エステル型などのカルボキシル基の保護基を利用する方法があげられる。このとき同時に記載されている酸、アルカリ触媒、水素添加触媒、水素などの脱保護条件を刺激として用いることでカルボキシル基の生成を実現することができる。
【0022】
この中でとくに好ましい保護基はエステル型保護基であり、上述した脱保護条件を刺激とし、さらに場合に応じて熱を加えることでカルボキシル基を生成することができる。また、バイオオーガニック アンド メディカル ケミストリー レターズ、第7巻、1243頁、1997年(Bioorg.Med.Chem.Lett.,7,1243(1997))などに記載のCaged Acidを改変アニオン性基として用い、刺激として光を照射して直接カルボキシル基の生成を行うことも可能である。さらに、カルボキシル基は特開平4−218561号公報などに開示されているようなビニルエーテル型保護基によっても容易にアニオン性を失って改変され、改変されたアニオン性基は、酸触媒、熱又はその両方を刺激として与えることでアニオン性基を生成する。カルボキシル基を生成させることのできる機能団としては以上のような例を示すことができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0023】
アニオン性ポリマー前駆体は、上述の概念によって規定されたような改変アニオン性基を含有する水溶性のポリマーであればとくに限定されるものではない。このようなアニオン性基、とくにカルボキシル基の改変は既に存在しているアニオン性ポリマーのアニオン性基に対して上述した方法で行えばよいが、この場合、アニオン性ポリマーの全アニオン性基のうち10mol%以上が改変されているのが好ましい。さらに好ましくは50mol%以上である。
【0024】
アニオン性ポリマー前駆体として利用できるアニオン性ポリマーとしては、天然高分子系ポリマー及び合成高分子系ポリマーをあげることができる。このうち、天然高分子系ポリマーとしては、例えば、アルギン酸ナトリウム、カゼイン、カラギーナン、キサンタンガム、ケラタン硫酸、ジェランガム、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸、フコイダン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペクチン、ポルフィランなどの多糖類、核酸類およびこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体などを例示することができる。通常はノニオン性である多糖類をカルボキシル化、硫酸化、燐酸化などを行った多糖類を使用することもでき、このような例としては、カルボキシメチル化セルロース、カルボキシメチル化デキストラン、デンプンリン酸エステル、デキストラン硫酸などをあげることができる。
【0025】
また、天然高分子系ポリマーとしてポリアミノ酸を使用することもできる。ポリアミノ酸(タンパク質)としては、天然物由来の酸性タンパク質、例えばペプシン、リボヌクレアーゼT1や、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチンなどをスクシニル化などの手法を用いてカルボキシル化した修飾タンパク質などを利用することができる。さらに、酸性アミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸を単独で重合したもの、もしくはこれらと他のアミノ酸との共重合体を公知の方法を用いて人工的に合成したものも使用することができる。単独重合体としてはα−ポリ−L−グルタミン酸、α−ポリ−L−アスパラギン酸、γ−ポリ−L−グルタミン酸などが例示される。
【0026】
合成高分子系ポリマーとしては、各種のモノマーの組み合わせにより様々な機能を発現する高分子素材を製造することができるので、実質的に重付加反応又は重縮合反応により製造できる全ての合成高分子が含まれる。重付加反応により製造できるアニオン性ポリマーとしては、アニオン性モノマー単位として例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類又はこれらの塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はこの塩、スチレンスルホン酸又はこの塩、ビニルホスホン酸又はこの塩などを単独で重合したものがあげられる。これらのアニオン性モノマー単位と他のモノマー単位とを任意の割合で共重合したものであってもよい。
【0027】
重縮合反応により製造できるアニオン性ポリマーとしては、高分子学会高分子実験学編集委員会編、機能性高分子、共立出版、413〜415頁に記載されている高分子化合物を使用することができる。また、アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ、第29巻、138頁、1990年(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29,138(1990))などに記載されている末端官能基がアニオン性基である樹状高分子(デンドリマー)などもアニオン性ポリマーとして使用することができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0028】
アニオン性ポリマー前駆体を調製する別の方法としては、改変アニオン性基を含有する変性剤を適当な官能基を有するポリマーに作用させて合成することもできる。改変アニオン性基を有する変性剤とは、例えばカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、α,β−不飽和カルボニル基などの特定のポリマーに共有結合させ得る官能基および改変アニオン性基を同一分子内に有するものであれば何でもよい。また、改変アニオン性基を含有するモノマー単位を合成し、これを単独で、又は他の共重合成分と付加重合又は縮重合してアニオン性ポリマー前駆体とすることもできる。
【0029】
以上のような概念のもとで製造されたアニオン性ポリマー前駆体がカチオン性ポリマーと混合され、未架橋PE混合物が製造される。アニオン性ポリマー前駆体と混合されるカチオン性ポリマーにおいて、カチオン性基とは、アンモニウム基、即ち第一級、第二級、第三級アミノ基、グアニジノ基、アミジノ基などの無機酸塩又は有機酸塩、第四級アンモニウム基、スルホニウム基、オキソニウム基、およびホスホニウム基などを指し、カチオン性ポリマーとしては、実質的にこれらのカチオン基を少なくとも2つ以上含む高分子であれば何でもよい。カチオン性ポリマーに含有される二つ以上のカチオン性基は必ずしも同じ種類である必要はない。カチオン性ポリマーとして利用できるポリマーは、大きく分けて天然高分子系ポリマー、合成高分子系ポリマーであり、目的とする性能を発現できるように両者を混合して用いてもよい。
【0030】
天然高分子系ポリマーとしては、カチオン性基を有する多糖類、例えば、部分脱アセチル化キチン、キトサン、部分マレイル化キトサン、部分スクシニル化キトサン、カルボキシメチル化キトサンなどのキチン、キトサン誘導体や、N,N−ジエチルアミノエチル化などによりアミノ化された天然ではカチオン性ではない多糖類、例えばジエチルアミノエチル化デキストラン、ジエチルアミノエチル化セルロースなどがあげられる。天然高分子系ポリマーとしてポリアミノ酸も使用可能であり、ポリアミノ酸(タンパク質)としては天然物由来の塩基性タンパク質、例えばリボヌクレアーゼ、リゾチームや、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチンなどをジアミン化合物によってアミノ化した修飾タンパク質などを利用することができる。また、塩基性アミノ酸および複素環式アミノ酸であるリジン、オルニチン、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジンを単独で重合したもの、もしくはこれらと他のアミノ酸との共重合体を公知の方法を用いて人工的に合成したものを使用することもできる。単独重合体としてはα−ポリ−L−リジン、ε−ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニンなどが例示される。
【0031】
カチオン性ポリマーとして利用できる合成高分子系ポリマーには、前述したような、実質的に重付加反応又は重縮合反応により製造できる全ての合成高分子が含まれる。重付加反応により製造できるカチオン性ポリマーとしては、カチオン性モノマー単位として例えば、N,N−アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩、N−アルキルビニルピリジニウム塩などのカチオン性モノマーを単独で重合したものか、又はこれらのカチオン性モノマー単位と他のモノマー単位とを任意の割合で共重合したものを使用することができる。さらに、例えばN−ビニルアセトアミドやN−ビニルホルムアミドを単独で重合するか、他のモノマー単位と共重合して得られたポリマーを加水分解しても、カチオン性モノマー単位としてビニルアミンを含有するカチオン性ポリマーを得ることができる。
【0032】
重縮合反応により製造できるカチオン性ポリマーとしては、高分子学会高分子実験学編集委員会編、機能性高分子、共立出版、402〜413頁に記載されている高分子化合物を例示することができる。さらに、アジリジン誘導体の開環重合によって得られるポリエチレンイミン、アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ、第29巻、138頁、1990年(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29,138(1990))などに記載されている末端官能基がカチオン性基である樹状高分子(デンドリマー)などもカチオン性ポリマーとして例示されるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0033】
カチオン性ポリマー前駆体に含有され、刺激によりカチオン性基を生成する機能団とは、アンモニウム基(第一級、第二級、及び第三級アミノ基、グアニジノ基、アミジノ基などの無機酸塩又は有機酸塩、又は第四級アンモニウム基)、オキソニウム塩、スルホニウム塩などのカチオン性基がアニオン性基とクーロン的な結合を行わないように、ノニオン性又はアニオン性基へ改変されているものであって、刺激によってカチオン基を生成するものであればよく、とくに限定されるものではない(以下、刺激によってカチオン基を生成するものを改変カチオン性基と略称することがある)。カチオン性ポリマー前駆体に含有される二つ以上の改変カチオン性基は必ずしも同じ種類である必要はない。但し、アニオン性基とイオン結合を行わないように改変する容易さを考慮すると、カチオン性基としてアンモニウム基を利用するのが好ましい。
【0034】
アンモニウム基のうち、第一級、第二級アミノ基の無機酸塩・有機酸塩を改変するには、例えば、グリーンおよびウッツ著、プロテクティブ グループ イン オーガニック シンセシス、第2版、ジョン ワイリー アンド サンズ、1991年(Theodra W.Green,Peter G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Second Edition,John Wiley & Sons,1991)に記載されているアミノ保護基などを利用すればよい。保護された第一級、第二級アミノ基の脱保護すなわちカチオン性基の生成も同時に記載されている脱保護方法を実施することで達成される。また、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物などの環状ジカルボン酸無水物を用いて第一級、第二級アミノ基を一旦保護して、アニオン性ポリマーと混合して未架橋PE混合物とすることも可能である。これらは酸性溶液中で容易に脱保護され、これによってアニオン性基とイオン的結合を形成し得るアンモニウム基(第一級、第二級アミノ基の無機酸、有機酸塩)へと変換することができる。
【0035】
アンモニウム基(第一級、第二級、第三級アミノ基、グアニジノ基、アミジノ基などの無機酸・有機酸塩)をアニオン性基とイオン結合を行わないように改変する方法として、中和したアンモニウム基を用いる方法がある。これは、第一級、第二級、第三級アミノ基、グアニジノ基、アミジノ基などの無機酸・有機酸塩を適当なアルカリ性物質で一旦中和した状態でアニオン性ポリマーと混合し、その後に無機酸、有機酸を混合溶液中で発生又は添加してアンモニウム基とし、PECゲルを形成させるものである。この場合、カチオン性基を生成させる刺激は、pHの低下である。
【0036】
pHを低下させる酸としては、例えば塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、塩素酸、次亜塩素酸、リン酸、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムなどの無機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸などの飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸類、メタクリル酸、ケイヒ酸、グルコン酸、ヒドロキシ酪酸、ピルビン酸、メトキシ酢酸などの置換飽和又は不飽和カルボン酸類、リンゴ酸、イタコン酸、酒石酸、シトラコン酸、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類などがあげられる。また、例えばD.D.ペリン、B.デンプシー著、辻啓一訳、「緩衝液の選択と応用−水素イオン・金属イオン」講談社サイエンティフィック、1981年、127〜155頁などに記載されている好ましくはpHが9以下の緩衝液を用いることもできる。これらの酸又は緩衝液を未架橋PE混合物にそのまま添加したり、含浸したり、混合液中で発生させるかなどの方法でpHを低下させる。
【0037】
また、光を第一の刺激として酸を発生させることも可能で、例えばジャーナル オブ フォトポリマー サイエンス アンド テクノロジー、第2巻、279頁、1989年(J.Photopolym.Sci.Tech.,2,279(1989)などに記載されているような光カチオン重合の開始剤や、前述したCaged Acidなどをあげることができる。さらに、例えば、丸尾文治、田宮信雄監修「酵素ハンドブック」朝倉書店、1982年などに記載されているエステラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、グルコースオキシダーゼなどの、生成物として酸を発生できる酵素を触媒として利用して、それぞれの酵素に最適な基質を添加することで酸を発生させることができる。以上のような刺激として用いる酸発生系が例示されるがこれに限定されるものではない。
【0038】
カチオン性ポリマー前駆体は、上述の概念によって規定されるような改変カチオン性基を含有する水溶性ポリマーであればとくに限定されるものではない。このようなカチオン性基の改変は既に存在しているカチオン性ポリマーのカチオン性基に対して行ってもよいが、カチオン性ポリマーの全カチオン性基のうち10mol%以上が改変されているのが好ましく、50mol%以上がさらに好ましい。
【0039】
カチオン性ポリマー前駆体として利用できるカチオン性ポリマーとしては、天然高分子系ポリマー及び合成高分子系ポリマーをあげることができる。このうち、
天然高分子系ポリマーとしては、カチオン性基を有する多糖類、例えば、部分脱アセチル化キチン、キトサン、部分マレイル化キトサン、部分スクシニル化キトサン、カルボキシメチル化キトサンなどのキチン、キトサン誘導体や、N,N−ジエチルアミノエチル化などによりアミノ化された、天然ではカチオン性ではない多糖類、例えばジエチルアミノエチル化デキストラン、ジエチルアミノエチル化セルロースなどがあげられる。ポリアミノ酸を使用することもでき、ポリアミノ酸(タンパク質)としては天然物由来の塩基性タンパク質、例えばリボヌクレアーゼ、リゾチームや、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチンなどをジアミン化合物によってアミノ化した修飾タンパク質などを利用することができる。また、塩基性アミノ酸および複素環式アミノ酸であるリジン、オルニチン、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジンを単独で重合したもの、もしくはこれらと他のアミノ酸との共重合体を公知の方法を用いて人工的に合成したものを使用することができる。単独重合体としてはα−ポリ−L−リジン、ε−ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニンなどが例示される。
【0040】
カチオン性ポリマー前駆体の原料として利用できる合成高分子系ポリマーには、実質的に重付加反応又は重縮合反応により製造できる全ての合成高分子が含まれる。重付加反応により製造できるカチオン性ポリマーとしては、カチオン性モノマー単位として例えば、N,N−アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩、N−アルキルビニルピリジニウム塩などのカチオン性モノマーを単独で重合したものか、又はこれらのカチオン性モノマー単位と他のモノマー単位と任意の割合で共重合したものを使用することができる。さらに、例えばN−ビニルアセトアミドやN−ビニルホルムアミドを単独で重合するか、他のモノマー単位と共重合して得られたポリマーを加水分解しても、カチオン性モノマー単位としてビニルアミンを含有するカチオン性ポリマーを得ることができる。
【0041】
重縮合反応により製造できる高分子化合物としては、高分子学会高分子実験学編集委員会編、機能性高分子、共立出版、402〜413頁に記載されている構造のものが同時に記載されている方法により合成でき、カチオン性ポリマーとして使用することができる。さらに、アジリジン誘導体の開環重合によって得られるポリエチレンイミン、アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ、第29巻、138頁、1990年(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29,138(1990))などに記載されている末端官能基がカチオン性基である樹状高分子(デンドリマー)などもカチオン性ポリマーとして例示されるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0042】
カチオン性ポリマー前駆体を調製する別の方法としては、改変カチオン性基を含有する変性剤をポリマーの適当な官能基に作用させてカチオン性ポリマー前駆体を合成することもできる。改変カチオン性基を有する変性剤とは、例えばカルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、α,β−不飽和カルボニル基などの特定のポリマーに共有結合させ得る官能基と改変カチオン性基を同一分子内に有するものであれば何でもよい。また、改変カチオン性基を含有する重合性モノマー単位を用い、単独又は他の共重合成分と付加重合又は縮重合してポリカチオン前駆体とすることもできる。
【0043】
以上のような概念のもとで製造されたカチオン性ポリマー前駆体がアニオン性ポリマーと混合され、未架橋PE混合物が製造される。カチオン性ポリマー前駆体と混合されるアニオン性ポリマーにおいて、アニオン性基はカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、燐酸基、ホスホン酸基などを指し、アニオン性ポリマーとしては、実質的にこれらのアニオン性基を少なくとも2つ以上含む高分子であれば何でもよい。アニオン性ポリマーに含有される二つ以上のアニオン性基は必ずしも同じ種類である必要はない。アニオン性ポリマーとして利用できるポリマーは大きく分けて天然高分子系ポリマー又は合成高分子系ポリマーであり、目的とする性能を発現できるように両者を混合して用いてもよい。
【0044】
天然高分子系素材としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、カゼイン、カラギーナン、キサンタンガム、ケラタン硫酸、ジェランガム、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸、フコイダン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペクチン、ポルフィランなどの多糖類、核酸類およびこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体などがあげられる。また、通常はノニオン性である多糖類をカルボキシル化、硫酸化、燐酸化などを行った多糖類を使用することもでき、このような例としては、カルボキシメチル化セルロース、カルボキシメチル化デキストラン、デンプンリン酸エステル、デキストラン硫酸などをあげることができる。
【0045】
また、天然高分子系ポリマーとしてポリアミノ酸を使用することもできる。ポリアミノ酸(タンパク質)としては天然物由来の酸性タンパク質、例えばペプシン、リボヌクレアーゼT1や、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチンなどをスクシニル化などの手法を用いてカルボキシル化した修飾タンパク質などが利用できる。また、酸性アミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸を単独で重合したもの、もしくはこれらと他のアミノ酸との共重合体を公知の方法を用いて人工的に合成したものを使用することができる。単独重合体としてはα−ポリ−L−グルタミン酸、α−ポリ−L−アスパラギン酸、γ−ポリ−L−グルタミン酸などが例示される。
【0046】
合成高分子系ポリマーとしては、各種のモノマーの組み合わせにより様々な機能を発現する高分子素材を製造することができるので、実質的に重付加反応又は重縮合反応により製造できる全ての合成高分子が含まれる。重付加反応により製造できるアニオン性ポリマーとしては、アニオン性モノマー単位として例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類又はこれらの塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はこの塩、スチレンスルホン酸又はこの塩、ビニルホスホン酸又はこの塩などを単独で重合したもの、又はこれらのアニオン性モノマー単位と他のモノマー単位とを任意の割合で共重合したものがあげられる。
【0047】
重縮合系高分子としては、高分子学会高分子実験学編集委員会編、機能性高分子、共立出版、413〜415頁に記載されている構造のものが同時に記載されている方法により合成できる。また、アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ、第29巻、138頁、1990年(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29,138(1990))などに記載されている末端官能基がアニオン性基である樹状高分子(デンドリマー)などもアニオン性ポリマーとして使用することができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0048】
改変アニオン性基、改変カチオン性基はそれぞれアニオン性ポリマー前駆体、カチオン性ポリマー前駆体に二つ以上、アニオン性基、カチオン性基もそれぞれアニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーに二つ以上含まれている必要がある。これ以下の含有数であると未架橋PE混合物を成形・加工した後に刺激を付与しても成形されたPECゲルを製造することが困難となる。
【0049】
以上に例示されたような態様のアニオン性ポリマー(又はその前駆体)、カチオン性ポリマー(又はその前駆体)の実質的に全てが本発明の水膨潤性のPECゲルの製造に使用できる。しかし、生体との親和性や安全性を考慮し、さらには生体内埋め込み材料として本発明の水膨潤性のPECゲルを用いる場合には、PECゲルを構成する水溶性のアニオン性ポリマー(又はその前駆体)、カチオン性ポリマー(又はその前駆体)のうち少なくとも一方が多糖類、又はポリアミノ酸(タンパク質)又はそれらの誘導体よりなるものであるのが好ましい。
【0050】
イオン性基を生成させる刺激のうち化学物質は、前述したように改変アニオン性基、改変カチオン性基の種類に応じて酸性物質、アルカリ性物質、水素添加触媒、水素などが用いられるが、中でも酸性物質は未架橋PE混合物に含まれるアニオン性ポリマー前駆体やカチオン性ポリマー前駆体への作用を制御しやすい点で特に好ましい。
【0051】
カチオン性ポリマー前駆体とアニオン性ポリマー、又はアニオン性ポリマー前駆体とカチオン性ポリマーの混合は溶媒が存在していてもいなくてもよく目的に応じて自由に選択できる。但し、適当な溶媒に溶かした状態で混合するのが好ましい場合が多い。利用できる溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ヘキサンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどであり、より好ましくは水、アルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドである。これらは目的に応じて混合して用いてもよい。カチオン性ポリマー(又はその前駆体)、アニオン性ポリマー(又はその前駆体)はこれらの溶媒に溶解されて混合されてもよいし、溶媒を添加せずに混合してその後に溶媒を添加して未架橋PE混合物の状態にしてもよく、目的に応じて選択し得る。
【0052】
カチオン性ポリマー前駆体とアニオン性ポリマー、又はアニオン性ポリマー前駆体とカチオン性ポリマーの混合比は目的に応じて任意に設定できる。刺激を与えて形成したPECゲルは、力学的強度の観点から、イオン性基のモル比(アニオン性基(mol)/カチオン性基(mol))が0.01〜100の範囲となるように混合するのが好ましい。
【0053】
このとき最終的に得られるPECゲルが目的の機能を発現するように複数以上のアニオン性ポリマー前駆体及び複数以上のカチオン性ポリマー前駆体を使用してもよいし、それぞれ複数以上のカチオン性ポリマー及び複数以上のアニオン性ポリマーと混合してもよい。本発明における未架橋PE混合物においては、ポリマー ニュース、第16巻、106頁、1991年(Polymer News,16,106(1991))に記載されるようなラダー構造、スクランブル構造のPECをほとんど形成しない状態となっている。従って、イオン結合が三次元化して架橋体を生成するようなことは少なくとも成形・加工の工程が終了するまではほとんど起こらない。その結果、不溶物などの生成を最低限度に抑えてPECゲルの成型品とすることが可能である。本発明によるアニオン性ポリマー前駆体、カチオン性ポリマー前駆体をそれぞれカチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーと混合した時に不定形のPECゲル沈殿が生成する場合は、NaCl、KCl、酢酸ナトリウムなどの無機、有機塩類を添加することにより容易にPECを破壊して、未架橋PE混合物を作製することができる。
【0054】
未架橋PE混合物の成形又は加工とは、PECを形成していない流動性のある状態の未架橋PE混合物を医用材料として利用できる形、例えば糸状、膜状、管状、粒状、不織布状、塊状などの特定の形を付与する工程を指している。この工程の後に、未架橋PE混合物に対して刺激を与えることによってその形状が保持されたPECゲルが得られる。例えば、紡糸口金から未架橋PE混合物を吐出して刺激を与えれば糸状のPECゲルとなり、精密な鋳型へ導入して刺激を与えることによって精密な形状をしたPECゲルを製造することが可能である。また、未架橋PE混合物を平板上に流延して刺激を与えれば、任意の厚みを持つ膜状のPECゲルを得ることができるし、適当な溶媒中でエマルジョン化した未架橋PE混合物に対して刺激を与えることで粒子状のPECゲルを得ることも可能である。さらに未架橋PE混合物を任意の容器中などに存在させて刺激を与えることで、塊状のPECゲルを製造できるし、発泡剤などを用いてスポンジ状にすることもできる。このような成形、加工の方法は目的に応じて任意に選択できこれらに限定されるものではない。
【0055】
未架橋PE混合物の成形又は加工のもう一つの態様として、他の基材や部位に塗布、コーティング、含浸、付着又は埋没するなどを例示することができる。他の基材や部位とは、例えばガーゼ、編織布、不織布、綿状体、糸状体、フィルム、多孔性スポンジ、ゴム、プラスチック、金属、人工臓器、生体組織の表面、切断面、傷口などである。この場合、未架橋PE混合物は他の基材や部位に塗布、コーティング、含浸、付着、又は埋没した後、刺激により架橋を行い、硬化させてPECゲルを生成する。
【0056】
溶媒に溶解して未架橋PE混合物を、前述したような形状に成形、加工した後、未架橋のまま脱溶媒を行って乾燥品とし、その後に刺激により架橋することも可能である。当然、溶媒を含んだまま架橋させることも可能であるし、これを乾燥させて脱溶媒することも可能である。さらに必要に応じて溶媒、例えば水に溶解されている未架橋PE混合物を成形・加工した後に刺激によってゲル化させて、他の溶媒、例えばアルコール系溶媒やアセトン中に浸漬して溶媒置換することもできるし、溶媒置換されたPECゲルを乾燥することもできる。
【0057】
製造されたPECゲルは水膨潤性であり、次式で定義される膨潤度が0.1〜5000であるものを指している。
膨潤度=[Wg1(水膨潤ゲル)−Wg2(乾燥ゲル)]/Wg2(乾燥ゲル)
Wg2(乾燥ゲル)は乾燥したPECゲルの重量であり、Wg1(水膨潤ゲル)は乾燥PECゲル又は溶媒を含むPECゲルを24時間以上イオン交換水に浸漬した後の重量である。 膨潤度がこの範囲を超えて高くなると、水膨潤PECゲルの強度が低くなりすぎ目的を達せられないことがある。本発明の方法によって製造されるPECゲルは水膨潤性であるが、水を含む状態、水をほとんど含まない状態又は水を全く含まない状態で使用することができ、目的に応じて適宜選択される。以下、本発明を参考例、実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0058】
【実施例】
実施例1
アルギン酸ナトリウム−α−ポリ−L−リジンPECゲルの製造
α−ポリ−L−リジン塩酸塩(ペプチド研究所製、分子量約8000以上)62mgをイオン交換水2.6mLに溶解し、1MのNaOH水溶液を0.4mL加えて中和することによってα−ポリ−L−リジン溶液を調製した。1.2mLのα−ポリ−L−リジン水溶液を2.5mLの2重量%アルギン酸ナトリウム(和光純薬製、300〜400cP)水溶液に加えて攪拌し、未架橋PE混合物を作製した。該未架橋PE混合物には沈殿などは認められなかった。この未架橋PE混合物を直径2.5cmの円形ガラスビンに入れて脱泡し、上から0.5重量%酢酸水溶液をスプレーしてカチオン性基を生成させ、表面を硬化させた。その後ゆっくりと0.5重量%酢酸水溶液を10mL加えて2時間静置して硬化させた。PECゲルをガラスビンから取り外してイオン交換水100mLに24時間浸漬して円筒形の半透明なPECゲルを得た。このPECゲルの膨潤度は92.4であった。
【0059】
実施例2
実施例1と同様にして調製したα−ポリ−L−リジン水溶液0.8および0.4mLをそれぞれ2.5mLの2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液に加え攪拌した。この未架橋PE混合物を直径2.5cmの円形ガラスビンに入れて脱泡し、上から0.5重量%酢酸水溶液をスプレーしてカチオン性基を生成させ、表面を硬化させた。その後ゆっくりと0.5重量%酢酸水溶液を10mL加えて2時間静置して硬化させた。PECゲルをガラスビンから取り外してイオン交換水100mLに24時間浸漬して円筒形の半透明なPECゲルを得た。表1に実施例1の結果と合わせて組成と膨潤度について示した。この結果から、カチオン性ポリマーであるα−ポリ−L−リジンの混合量に応じて膨潤度を制御できることは明らかである。
【0060】
【表1】
Figure 0004149098
【0061】
比較例1
ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス、第50巻、2021頁、1993年に記載のPECヒドロゲル製造法によるアルギン酸−α−ポリ−L−リジンPECゲルの製造
α−ポリ−L−リジン塩酸塩25mgを1.2mLの10%NaCl水溶液に溶解することによってα−ポリ−L−リジン溶液を調製した。また、50mgのアルギン酸ナトリウムを2.5mLの10%NaCl水溶液に溶解してアルギン酸ナトリウム溶液を調製した。両溶液を70℃に加熱して混合したところ、混合直後に沈殿が生成し、成形されたPECゲルを得ることができなかった。
【0062】
実施例3
アルギン酸ナトリウム−ポリアリルアミンPECゲルの製造
2.5mLの2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液に10重量%ポリアリルアミン水溶液(日東紡製PAA−10L−10C、分子量約10万)を150mg加えた。この混合溶液を直径2.5cmの円形ガラスビンに入れて脱泡し、上から0.5重量%酢酸水溶液をスプレーして表面を硬化させた。その後ゆっくりと0.5重量%酢酸水溶液を10mL加えて2時間静置して硬化させた。PECゲルをガラスビンから取り外してイオン交換水100mLに24時間浸漬して円筒形の白化したPECゲルを得た。このPECゲルの膨潤度は20.5であった。
【0063】
実施例4
2.5mLの1重量%ヒアルロン酸ナトリウム(キューピー製HA−Q、分子量53万〜133万)水溶液に50重量%ポリエチレンイミン水溶液(アルドリッチ製、分子量約75万)をイオン交換水で10倍に希釈したものを60mg加えた。この混合溶液を直径2.5cmの円形ガラスビンに入れて脱泡し、上から0.5重量%酢酸水溶液をスプレーして表面を硬化させた。その後ゆっくりと0.5重量%酢酸水溶液を10mL加えて2時間静置して硬化させた。PECゲルをガラスビンから取り外してイオン交換水100mLに24時間浸漬して円筒形の半透明なPECゲルを得た。このPECゲルの膨潤度は514.2であった。
【0064】
実施例5
205mgのα-ポリ−L−リジン塩酸塩を16mLのイオン交換水に溶解し、2MのNaOH水溶液を0.62mL加えてα-ポリ−L−リジン水溶液を調製した。2mLの2重量%デキストラン硫酸ナトリウム(和光純薬製、分子量約5000)水溶液に3mLのアルギン酸ナトリウムを加えて混合し、さらにα-ポリ−L−リジン水溶液を4mL加えて混合攪拌して未架橋PE混合物を作製した。該混合物をテフロントレー上に流延し85℃で2時間乾燥してフィルム化した。フィルムを50mLの2重量%酢酸水溶液に15時間浸漬して硬化させた。硬化したフィルムを100mLのイオン交換水で48時間洗浄して乾燥後、元素分析で組成評価を行った。その結果、硬化前組成物の元素分析におけるN/S比が1.34であったのに対し、硬化・洗浄後のN/S比は1.54であった。また、このPECゲルの膨潤度は58.3であった。この結果は、本発明の方法により組成設計を自由に行うことができることを示している。
【0065】
参考例1
部分マレイル化キトサンの合成
0.64gのキトサン(君津化学工業製、Fグレード)を20mLの2重量%酢酸水溶液に溶解し、120mLのメタノールを加えて攪拌した。激しく攪拌しながら0.4gの無水マレイン酸(和光純薬製)を10mLのメタノールに溶解したものを加えてすぐに攪拌を止めた。室温で一晩静置して、生成したゲル状物を減圧乾燥した。乾燥後、0.3MのNaOH水溶液を60mL加えて固体を溶解し、不要物を遠心分離により取り除いた。溶液を大量のイオン交換水に対して透析することで精製した。不純物を取り除いた部分マレイル化キトサン水溶液を凍結乾燥して無色固体を得た。収量は0.58gであった。
【0066】
実施例6
アルギン酸ナトリウム−部分マレイル化キトサンPECゲルの製造
2.5mLの2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液に、参考例1で合成した部分マレイル化キトサンの2重量%水溶液を2.5mL加えた。この混合溶液を直径2.5cmの円形ガラスビンに入れて脱泡し、上から4重量%酢酸水溶液をスプレーして表面を硬化させた。その後ゆっくりと4重量%酢酸水溶液を200mL加えて22時間静置して硬化させた。PECゲルをガラスビンから取り外してイオン交換水200mLに24時間浸漬して円形の白化したPECゲルを得た。このゲルの膨潤度は67.9であった。
【0067】
実施例7
刺激として光を用いたアルギン酸−部分マレイル化キトサンPECゲルの製造2.5mLの2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液に対して参考例1で合成した部分マレイル化キトサンの2重量%水溶液を2.5mL加え混合した。この溶液に、70mgのアデカオプトマーSP−150(旭電化製)と150mgのβ−シクロデキストリン(和光純薬製)を0.5gのジメチルスルホキシドに溶解したものを加え、僅かに懸濁した混合溶液を得た。この混合溶液の一部を0.5mmの厚さでガラス板に挟み、ベルト式UV照射装置(Toscure1000、ベルト速度1m/分)を3回通すことにより硬化させた。生成した厚さ0.5mmのPECゲルをイオン交換水中に浸漬し洗浄することによって、PECゲルシートを得た。このPECゲルの膨潤度は88.5であった。
【0068】
実施例8
酵素による酸発生を用いたアルギン酸−部分マレイル化キトサンPECゲルの製造
1.5mLの2重量%アルギン酸ナトリウム水溶液に、参考例1で合成した部分マレイル化キトサンの2重量%水溶液を1.5mL加えて混合した。この溶液に、6.8mgのグルコースオキシダーゼ(和光純薬製)を0.1mLの20mMリン酸バッファー(pH=7.0)に溶解して調製した酵素水溶液を全量加え、さらに0.3gのD−(+)−グルコース(和光純薬製)を0.5mLのイオン交換水に溶解したものを加えて未架橋PE混合物を得た。この混合物の一部を円錐形の型内に導入して37℃で1時間硬化させた。生成した円錐形のPECゲルをイオン交換水中に浸漬し、洗浄することによって、円錐形PECゲルを得た。このPECゲルの膨潤度は145.2であった。
【0069】
比較例2
ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス、第50巻、2021頁、1993年に記載のPECヒドロゲル製造法によるアルギン酸−キトサンPECゲルの製造
25mgのキトサンを2.5mLの6%NaCl水溶液に溶解してキトサン溶液を調製した。また、25mgのアルギン酸ナトリウムを2.5mLの6%NaCl水溶液に溶解してアルギン酸溶液を調製した。両溶液を70℃に加熱して混合したところ、混合直後に沈殿が生成して成形されたPECゲルを得ることができなかった。
【0070】
参考例2
部分2,3−ジメチルマレイル化α−ポリ−L−リジンの合成
0.1gのα−ポリ−L−リジン塩酸塩をpHが9.0の0.1Mホウ酸バッファーに溶解した。これに169mgの2,3−ジメチルマレイン酸無水物(アルドリッチ製)を1mLの乾燥ジメチルホルムアミドに溶解した溶液を滴下した。滴下している間、2MのNaOH水溶液を添加してpHを9付近に保った。滴下終了後さらに30分間攪拌して、反応溶液をpHが9.0の20mMホウ酸バッファーに対して透析を行い精製した。部分2,3−ジメチルマレイル化α−ポリ−L−リジン溶液を凍結乾燥して無色粉末を得た。収量は98mgであった。1H−NMRにより分析した結果、α−ポリ−L−リジンの全アミノ基に対して約70モル%が2,3−ジメチルマレイル化されていた。
【0071】
実施例9
1.0gのアルギン酸ナトリウムを50mLの50mMリン酸バッファー(pH=6.0)に攪拌しながら溶解した。このアルギン酸ナトリウム溶液1mLに、参考例2で合成した部分2,3−ジメチルマレイル化α−ポリ−L−リジンの2重量%水溶液(5%酢酸でpHを6に調整した)を1mL加えて混合した。この混合溶液の一部を円錐形の型内に導入して37℃で1時間硬化させた。生成した円錐形のPECゲルをイオン交換水中に浸漬し洗浄することによって、円錐形PECゲルを得た。このゲルの膨潤度は101.7であった。
【0072】
参考例3
N−トリメチルアンモニウム化α−ポリ−L−リジンの合成
0.1gのα−ポリ−L−リジン塩酸塩をpHが9.0の0.1Mホウ酸バッファーに溶解した。これに760mgのジメチル硫酸(キシダ化学製)を1mLの乾燥ジメチルホルムアミドに熔解した溶液を氷冷下で徐々に滴下した。滴下している間、2MのNaOH水溶液を添加してpHを9付近に保った。一晩攪拌後、反応溶液をイオン交換水に対して透析を行い精製して凍結乾燥し、無色粉末を得た。収量は86mgであった。1H−NMRにより分析した結果、α−ポリ−L−リジンの全アミノ基のうち約60%がN−トリメチルアンモニウム化されていた。
【0073】
実施例10
アルギン酸プロピレングリコールエステル(フナコシ製、エステル化度75%以下)を5重量%NaCl水溶液に溶解し、2重量%溶液を調整した。この溶液1mLに、参考例3で合成したN−トリメチルアンモニウム化α−ポリ−L−リジンを5重量%NaCl水溶液に溶解して1重量%溶液としたもの1mLを加えて60℃で混合した。この混合液を円形のガラスビンに移して冷却するときわめて脆弱なゲルが生成した。このゲルの表面に、10mMのNaOH水溶液をゆっくりと加えて50℃で4時間反応させアニオン基、即ちカルボキシル基を発生させた。生成したゲルを取り出して50mMのリン酸バッファー(pH=7.0)に48時間浸漬して洗浄し、円筒形の強靱なPECゲルを得た。このゲルの膨潤度は52.2であった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法によれば、ポリアニオンとポリカチオンのポリイオンコンプレックス形成を刺激によって形成させることができるので、ポリアニオン、ポリカチオンの種類に限定されず水膨潤性ゲルを製造することが可能である。さらにこの製造法では、これまで困難であったポリイオンコンプレックスゲルの組成を精密に制御できるため、生成したポリイオンコンプレックスゲルの膨潤度などの性能を自由自在に設計できる。また、型中で硬化させることも可能であるので容易にポリイオンコンプレックスゲルの成型品を得ることができ、各種医療用途の成形ゲルを製造することができる。

Claims (7)

  1. 刺激によりイオン性基を生成することのできる機能団を二つ以上有する水溶性ポリマーおよびそれらの対イオン基を二つ以上有する水溶性ポリマーを混合して目的の形状に成形もしくは加工した後、刺激によりイオン性基の生成を誘起してポリイオンコンプレックスを形成させることを特徴とする水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法。
  2. 該水溶性ポリマーの少なくとも一方が、多糖類、ポリアミノ酸又はそれらの誘導体である請求項1に記載の水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法。
  3. 該刺激が化学物質又は光である請求項1又は2記載の水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法。
  4. 該化学物質が酸性物質である請求項3記載の水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法。
  5. 該刺激が酸性物質で、該イオン性基がカチオン性基である請求項1〜4いずれかに記載の水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法。
  6. 該カチオン性基が、アンモニウム基である請求項5に記載の水膨潤性医療用高分子ゲルの製造法。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の製造法により得られる水膨潤性医療用高分子ゲル。
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