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JP4142803B2 - ブラシレスモータ - Google Patents

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JP4142803B2
JP4142803B2 JP11528999A JP11528999A JP4142803B2 JP 4142803 B2 JP4142803 B2 JP 4142803B2 JP 11528999 A JP11528999 A JP 11528999A JP 11528999 A JP11528999 A JP 11528999A JP 4142803 B2 JP4142803 B2 JP 4142803B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用の送風機ファンの駆動などに好適なアウタロータ形のブラシレスDCモータにおいて、電機子コイルを流れる電流の切り替えタイミングを最適化したブラシレスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両に搭載されるモータ、例えば空調装置に用いられる送風機ファンの回転駆動用モータには、電機子コイルに流れる電流の方向を整流子とブラシを用いて切り替えるDCモータが用いられてきた。
【0003】
この従来の車両搭載のDCモータでは、電源に車両のバッテリーを用い、定電圧電源で駆動する。このためブラシを用いたDCモータの回転制御では、電源電圧を分圧抵抗によって分圧して用いる。例えばバッテリー電圧が12Vで、DCモータを3Vで駆動する場合、残りの9Vは分圧抵抗に印加され、熱となって消費される。このため、分圧抵抗で消費される電力が無駄になってエネルギー効率が良くない。さらにブラシによるしゅう動音が騒音発生の原因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、DCモータをブラシレス構造とし、電源電圧のデューティを可変(パルス幅制御)して回転制御した場合、ロータ磁極の検出位置から電機子コイルを流れる電流を切り替えるタイミングによって、トルクの発生効率が変化する。またその切替タイミングによって、モータとその収納ケースとの共鳴によるうなり音の大きさも変化する。
【0005】
上記トルクの発生効率が最大となる切替タイミングと、うなり音が最小となる切替タイミングとは異なり、効率を優先すればうなり音が大きくなり、うなり音を小さくすれば、効率が低下する。
【0006】
そこで本発明は、送風機ファンなどに用いるDCモータをブラシレス構造とし、電機子コイル電流の切り替えタイミングを最適制御して省エネルギーかつ低騒音なブラシレスモータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明のブラシレスモータは、モータの内周側に電機子を配置したアウタロータ形のブラシレスDCモータにおいて、ステータ(3)に配置された電機子コイル(4)を流れる電流を切り替えるスイッチング素子(Q1〜Q6)と、ロータ(1)に取り付けられた界磁用永久磁石(2)に対し一定の遅れ角にてロータ(1)と一体に取り付けられ、ロータ(1)の回転位置を示すセンサマグネット(5)と、前記ステータ(3)に取り付けられ、前記センサマグネット(5)による磁界の方向を検出する磁気センサ(IC1〜IC3)と、この磁気センサ(IC1〜IC3)からの磁界方向変化検出を受けて、ロータ(1)の回転速度を算出し、この回転速度に応じた、前記センサマグネット(5)の界磁用永久磁石(2)に対する遅れ角を進める進角制御のための進角量を出力する進角制御手段(12a)と、前記磁気センサ(IC1〜IC3)からの磁界方向変化検出を受けて、前記進角量に応じた進角制御を行い、スイッチング素子(Q1〜Q6)の電流切り替えタイミングを制御するタイミング制御手段(12b)とを具備し、前記進角制御手段(12a)は、回転速度の算出を、前記ロータ(1)の回転周期に相当する前記センサマグネット(5)の磁界方向変化の時間間隔に基づいて行うことを特徴とする。
【0008】
以上の構成によって、モータの回転速度に応じて、界磁用永久磁石の回転位置に対し、スイッチング素子の電流切り替えタイミングを制御し、特に、前記進角制御手段(12a)による回転速度の算出が、前記ロータ(1)の回転周期に相当する前記センサマグネット(5)の磁界方向変化の時間間隔に基づいて行われ、回転周期内に発生する回転速度の算出誤差の要因が相殺される。
【0009】
さらに、前記進角制御手段(12a)が、前記ロータ(1)の回転速度が低速時には前記遅れ角の進角量を少なく制御し、高速時には前記遅れ角の進角量を多く制御することによって、モータが低速回転のとき、低騒音となることを優先し、モータが高速回転のとき、高効率であることを優先する制御を行う。
【0010】
また、前記進角制御手段(12a)が、前記ロータ(1)の回転速度に応じて前記遅れ角の進角量を滑らかに変化させることによって、モータの回転速度に応じて、スイッチング素子の電流切り替えタイミングを滑らかに変化させる。
【0012】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のブラシレスモータは、モータの回転速度に応じて、界磁用永久磁石の回転位置に対し、スイッチング素子の電流切り替えタイミングを制御するので、モータ効率や騒音を考慮して、電機子コイルを流れる電流の切り替えタイミングを最適制御できる。
【0013】
本発明の請求項2に記載のブラシレスモータは、相対的に騒音発生が問題となるモータが低速回転のとき、高効率であることよりも低騒音となることを優先し、相対的に効率が問題となるモータが高速回転のとき、低騒音であることよりも高効率であることを優先する制御を行うので、省エネルギーかつ低騒音なブラシレスモータを提供できる。
【0014】
本発明の請求項3に記載のブラシレスモータは、モータの回転速度に応じて、界磁用永久磁石の回転位置に対し、スイッチング素子の電流切り替えタイミングを滑らかに変化させるので、回転トルクの変化が穏やかで、滑らかな回転を得られる。
【0015】
本発明の請求項4または請求項5に記載のブラシレスモータは、センサマグネットがN極とS極とを複数対有するか、または磁気センサが複数個配置されているので、ロータが1回転する間に複数回磁界方向の変化を検出でき、ロータの回転速度が変化しても、その変化に追随して高速応答で、きめ細かくタイミング制御できる。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載のブラシレスモータは、進角制御手段によりロータの回転周期に相当するセンサマグネットの磁界方向変化の時間間隔に基づいて回転速度を算出して、回転周期内に発生する回転速度の算出誤差の要因を相殺するため、正確な回転速度に基づいた制御が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係るブラシレスモータの実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るブラシレスモータの第1の実施の形態を適用したブラシレスモータを下側から見た下面図であり、(a)はトルク発生効率が良くなる構成例、(b)は低騒音となる構成例を示す。本図に示すブラシレスモータは、車両用空調装置の送風機ファンの駆動に用いられ、三相2極巻線のアウタロータ形のブラシレスDCモータであり、内周側のステータに電機子コイル、外側のロータに界磁用永久磁石を備えたものである。
【0019】
ステータ3には、各突出部3a〜3fをコアとして電機子コイル4a〜4fが三相に配置され、その外側には、90度間隔でメインマグネット(界磁用永久磁石)2を備えたロータ1が配置されている。このロータ1の回転位置を示すセンサマグネット5は、N極とS極とが2対、ロータ1の回転中心に対し均等角度に配置され、ロータ1と一体に回転するシャフト6に取り付けられている。このセンサマグネット5による磁界の方向を検出するホールIC1〜3(磁気センサ)が、ステータ3の内周に120度間隔で均等配置されている。
【0020】
ブラシレスDCモータでは、メインマグネット2の検出位置から電機子コイル4a〜4fを流れる電流を切り替えるタイミングによって、発生するトルクが変化する。ロータ1の回転位置を示すセンサマグネット5を、図1(a)に示すようにメインマグネット2に対し遅れ角30度でシャフト6に取り付けた場合、最も発生トルクが大きくなり、効率が良くなる。図1(b)に示すように遅れ角42度のときは、モータの振動周波数とモータ収納ケースの固有振動周波数との共鳴によるうなり音が最も小さくなる。本実施の形態では、センサマグネット2を、一例として遅れ角44度でシャフト6に取り付けている。これは、機構的な誤差などによって、うなり音が最も小さくなる遅れ角には幅があり、通常最もうなり音の小さくなる遅れ角42度に対し、余裕をみて、遅れ角44度で取り付けて、その誤差を電気的な進角制御で補うためである。なお、▲1▼は電流経路が短く、他の電機子コイルに比べ2倍の電流が流れているコイルを示す。▲2▼は電機子コイル3c(3f)とメインマグネット2との反発力による正回転トルク発生位置、▲3▼は電機子コイル3a(3d)とメインマグネット2との反発力による逆トルク発生位置を示す。
【0021】
図2は、本実施の形態のブラシレスモータの制御回路部のブロック図である。センサ信号検出回路11は、ホールIC1〜3からセンサマグネット5の磁界方向変化検出を受けて、それぞれの反転信号を生成し、非反転信号と合わせて六信号からなるセンサ信号としてマイクロコンピュータ12に入力する。これは、本実施の形態で用いるマイクロコンピュータ12が、入力信号の立ち下がりエッジのみを検出するため、立ち上がりエッジを立ち下がりエッジに変換して検出するためである。このマイクロコンピュータ12内の処理では、進角制御手段12aにて、センサ信号を受けて、その磁界方向変化検出の周期からモータの回転速度を算出し、この回転速度に応じた、センサマグネット5の界磁用永久磁石2に対する遅れ角を進める進角制御のための進角量を出力する。次にタイミング制御手段12bにて、センサ信号、進角量、および空調制御装置(図示せず)からモータを回転指示する回転指示信号(PWM信号)を受けて、進角量に応じた進角制御を行い、モータ駆動回路13を介してMOSFET(スイッチング素子)Q1〜Q6の電流切り替えタイミングを制御する。
【0022】
図3(a)は、本実施の形態のブラシレスモータの制御回路部の進角制御を行わない場合のタイミングチャートであり、(b)は、このタイミングで制御されるMOSFET(Q1〜Q6)の接続関係を示す。センサマグネット5は、N極とS極とが90度ごとに配置されるため、ホールICからの磁界方向変化検出信号は、ロータ1が1回転する間に2周期変化する。これによって、ロータの回転を2倍細かくタイミング制御することができる。また、ホールICを均等間隔で3個配置したことによって、ロータの回転を3倍細かくタイミング制御することができる。この均等間隔で配置されたホールIC1〜3からの磁界方向変化検出に基づき、ロータ1が1回転する間にMOSFET(Q1〜Q6)のオン/オフを計12回スイッチングし、オンとなるMOSFETの組み合わせによって、電機子コイル4a〜4fを流れる電流の方向を切り替える。
【0023】
図4は、(a)がロータ回転位置、(b)がそのときの制御に用いるホールIC信号およびMOSFETの導通状態との対応関係を示す。ロータ回転角0度のときはホールIC3からの信号を用い、MOSFET(Q1),(Q5)が導通状態となる。MOSFET(Q1)が電源側、MOSFET(Q5)が接地側となり、接続点Uと接続点Vとの間に電圧が印加される。
【0024】
図5は、ホールIC3切替時の各コイルの通電状態と、メインマグネット2に対するセンサマグネット5の遅れ角による位置を示す図である。MOSFET(Q1)と(Q5)がオンし、U側(Q1)が電源電圧となり、V側(Q5)が接地される。電流経路S1をU側(+)→コイル4f→コイル4c→V側(GND)とし、電流経路S2をU側(+)→コイル4e→コイル4b→コイル4a→コイル4d→V側(GND)とすると、電流経路S1は抵抗値が半分のため、電流値が2倍となる(図1の▲1▼)。この電流値が2倍となるコイルとメインマグネット2との間には、他のコイルと比べ特に強い反発力を生じ、逆トルクを打ち消す強い回転トルクを生じる。
【0025】
図6は、(a)がロータ回転角30度の場合を示し、(b)がそのときの制御に用いるホールIC信号およびMOSFETの導通状態との対応関係を示す。ロータ回転角30度のときはホールIC1からの信号を用い、MOSFET(Q3),(Q5)が導通状態となる。MOSFET(Q3)が電源側、MOSFET(Q5)が接地側となり、接続点Wと接続点Vとの間に電圧が印加される。
【0026】
図7は、ホールIC1切替時の各コイルの通電状態と、メインマグネット2に対するセンサマグネット5の遅れ角による位置を示す図である。MOSFET(Q3)と(Q5)がオンし、W側(Q3)が電源電圧となり、V側(Q5)が接地される。電流経路S3をU側(+)→コイル4a→コイル4d→V側(GND)とし、電流経路S4をU側(+)→コイル4b→コイル4e→コイル4f→コイル4c→V側(GND)とすると、電流経路S3は抵抗値が半分のため、電流値が2倍となる。
【0027】
図8は、ホールICからの信号に基づき、MOSFETの出力切替制御信号を出力するタイミングチャートであり、(a)はセンサ(ホールIC)からの入力信号、(b)はMOSFETのゲート信号を示す。
【0028】
(a)に示すSAH,SALは、それぞれホールIC1からの信号およびその反転信号を示す。同様にSBH,SBLは、それぞれホールIC2からの、SCH,SCLは、それぞれホールIC3からの信号およびその反転信号を示す。以上の6信号によって、ロータの30度回転ごとにきめ細かくタイミングを制御することができる。しかも回転数の変化に対する応答性の高い制御を可能としている。
【0029】
(b)は、進角制御時のMOSFETに出力するゲート信号を示し、AT,BT,CTはハイサイド(電源側)、AB,BB,CBはローサイド(接地側)のMOSFETに対するゲート信号を示す。本実施の形態では、上記センサ入力の6信号の立ち下がりによって、MOSFETのゲート信号をタイミング制御する。この場合、各センサ信号の立ち下がりに対応して、次の立ち下がりに相当するタイミング(ロータ1の30度回転相当)を予測して、MOSFETのゲート信号をオン/オフ制御する。その際、センサ信号の立ち下がりエッジ間の時間からロータの回転速度を算出し、その回転速度に対応した進角制御のための進角量を求める。そして、MOSFETのゲート信号をオン/オフ制御する際、その進角量に応じた制御を行い、タイミング制御する。なお、センサ信号の立ち上がりエッジを用いても同様の制御を行うことができる。
【0030】
図9は、モータの回転数に対する進角制御量の対応関係を示し、(a)は進角量を角度で表し、(b)は進角量を時間で表す。(a)に示すようにモータの回転数が1800rpmまでは進角量を0として、機構的に固定された遅れ角D(例えば44度)でMOSFETの出力をオン/オフ制御する。これは、モータの起動時などは、モータの回転速度が安定せず、センサ信号の立ち下がりエッジ間の時間からロータの回転速度を算出し、その回転速度に対応した進角制御を行うと、センサ信号の立ち下がり検出から次の立ち下がりを予測する予測制御が実際の回転数とずれを生じ、進角量が実際の回転数とは合わないものとなるからである。すなわち回転速度が安定しない間に進角制御を行うと、回転トルクに変動を生じ回転むらの原因となるので、一定の回転速度に達するまで、機構的に固定された遅れ角すなわち低騒音となる遅れ角でMOSFETの出力をオン/オフ制御し、進角制御を行わない。
【0031】
モータの回転数が1800rpmに達すると進角制御を開始し、2500rpmまでの間は遅れ角をDからD−8に直線的に滑らかに連続変化させる。遅れ角を急激に変化させると、回転トルクも急激に変化し、回転むらの原因とるので、これを避けるため、遅れ角を滑らかに連続変化させる。モータの回転数が2500rpm以上では、8度進角制御を行い、遅れ角をD−8(36度)とする。
【0032】
マイクロコンピュータのソフトウェア制御にて、上記回転数に応じた制御を行うために、(b)に示すモータ回転数に対応した進角時間制御を行う。まず、モータ回転数が1800rpmまでは進角制御を行わないので、センサ信号の立ち下がりエッジを検出すると、その検出からすぐにMOSFETの出力をオン/オフ制御する。
【0033】
モータ回転数が1800rpmに達すると進角制御を開始し、図8に示されたようにロータ1の30度回転ごとにセンサ信号を受けて、次の立ち下がりに相当するタイミング(ロータ1の30度回転相当)を予測してMOSFETのゲート信号をオン/オフ制御する。すなわちモータ回転数が1800rpm(周期:33.3msec)のとき、ロータが30度回転に要する時間は2.78msecであり、2500rpm(周期:24msec)のとき、ロータが30度回転に要する時間は2msecなので、センサ信号の立ち下がりエッジからこの30度回転に要する時間経過した後、MOSFETのゲート信号をオン/オフ制御する。2500rpmのとき、8度進角制御を行うためには、ソフトウェアによる進角時間を(2−0.533)msecとする。
【0034】
以上説明したように、第1の実施の形態では、30度回転に要する時間から、ロータの回転数を算出し、算出された回転数に応じて進角時間を決定するので、高速応答が可能で、きめ細かい制御が可能となっている。
【0035】
ここで、図10(a)において、ホールIC1〜IC3で検出されるセンサマグネットからの磁気信号を、同図(b)において、この磁気信号をホールIC内部のコンパレータ(図示せず)により2値化して出力される出力信号をそれぞれ示す。
【0036】
本図に示すように、磁気信号を入力するコンパレータのしきい値レベルは、本図の矢印14aで示すように標準値に対する所定のばらつき範囲内で許容されるので、その出力信号のエッジ(極性切り替りタイミング)にもばらつきが生じる可能性がある。従って、異なるホールICからの出力信号のエッジに基づいて回転数を検出する場合にあっては、それぞれコンパレータのしきい値が同一ではないために、これが算出される回転数の誤差の要因となる。
【0037】
また、本図(a)に実線で示すように、各磁気信号は、理想的には互いに120度の位相差をもってホールICに入力されるべきだが、実際には、破線で示すように、理想とは異なった波形を示す。その要因としては、以下のものが挙げられる。
【0038】
第1の要因としては、はんだ付け等の作業のばらつきにより、理想的には均等間隔で配置固定されるべきホールICの間隔が、不均等となることが挙げられる。これにより、本図の矢印14bで示すような時間軸に対するずれが生じている。第2の要因としては、磁化工程でのばらつきによりセンサマグネットの着磁状態が不均等になることが挙げられる。このため、磁気信号には、本図の矢印14cで示すような歪みが生じている。
【0039】
従って、本図に示すように、実際のホールICの出力信号における、理想に対するエッジタイミングのばらつきは、コンパレータのしきい値レベルによる電気的な要因に、上記の機械的な要因を加えたものとなる。このため、理想的なエッジ間周期(この図の場合30度)に対する実際の周期が変動することとなる。そして、このように、回転角が360度に満たないエッジ間周期からモータ回転数を算出した場合には、その算出誤差が増大し、正確な回転数での進角制御が困難となる可能性がある。
【0040】
そこで、ロータの回転周期、即ち360度回転に相当するエッジ間周期から回転数を算出するように構成された本発明のブラシレスモータの第2の実施の形態を説明する。この実施の形態では、ロータの回転角360度に相当するエッジ間周期から回転数を算出することで、これより短いエッジ間周期(例えば30度)での検出によっては顕在化してしまう上記第1および第2の要因の影響を防止している。加えて、同一のホールICでの検出により、コンパレータ間のしきい値レベルの差による、回転数の誤差発生をキャンセルしている。
【0041】
図11は、第2の実施の形態において回転数誤差を低減可能とする原理を説明するためのタイミングチャートである。
【0042】
ホールIC1〜IC3からは、本図に示すように、理想的には均等な位相差をもった出力信号が得られ、その1周期は正確に回転角360度となるべきだが、本実施の形態にあって電気角2周期分に相当するロータの1周期時間内には、実際には、上記説明した要因により、立ち下がりエッジにおけるずれaおよびcと、立ち上がりエッジにおけるずれbおよびdが存在する。
【0043】
ところが、ロータの1周期分に相当するエッジ間周期を検出する方法を採ることにより、これらずれが相殺して、本図に示すように、ほぼ回転角360度に相当する正確な周期が検出可能となる。
【0044】
図12は、進角制御手段12aにおける回転数算出の動作を示すフローチャートであり、進角量を決定する前段階として繰返し実行されるものである。
【0045】
本図におけるステップS1においては、進角制御手段12aは、回転指示が入力されている状態においてマイクロコンピュータ12の所定の割込みポートにセンサ信号検出回路11からの信号エッジ(立上がりあるいは立ち下がり)が検出されたときに、内部タイマーをリセットするとともに、エッジ数を積算するための変数iを0(零)に初期化する。そして、上述の割込みポートに入力される信号のエッジ(立上がりあるいは立ち下がり)により、この処理に割込みがかかると、ステップS3において進角制御手段12aは、変数iを繰上げ、エッジ数を積算する。そして、ステップS5においては、変数iが、ロータ1周期に相当する所定の数(この実施の形態では4)であるか否かを判定し、ここでNOと判定されると次の割込みがかかるのを待ち、次の割込みにより再びステップS3を行う。一方、ステップS5において、YESと判定されると、進角制御手段12aは、次のステップS7において、内部タイマーを停止させて、ロータ1周期を計測する。そして、ステップS9においては、計測されたロータ1周期の逆数(回転数)を算出し、ステップS11においては、算出された回転数に応じたソフトウェアによる進角時間tを決定して、次回の進角制御に使用する。その際、進角時間t(sec)は、進角量をα(度)、ロータ1周期をT(sec)とすると、
t=T×(30−α)/360
として求める。尚、ブラシレスモータが作動している間は、以上の動作が逐次実行されるようになっている。
【0046】
以上の説明から明らかなように、この第2の実施の形態では、回転数の算出をロータの回転周期に相当するエッジ間周期に基づいて行うため、誤差の少ない正確な回転数算出ができ、正確な回転数での進角制御が可能となる。
【0047】
これ以降は、本発明に係るブラシレスモータの第1の実施の形態および第2の実施の形態に共通な特性を説明する。
【0048】
図13は、センサマグネット5のメインマグネット2に対する遅れ角と騒音レベルとの関係を示す。回転数が2400rpmでは、送風音による影響で遅れ角によるうなり音成分がマスクされてしまい、騒音レベルが一定となる。回転数が900rpmでは、送風音が小さくなるので、相対的にうなり音成分が大きくなり、遅れ角が大きくなるにつれ騒音が小さくなる。このことから、特に低回転数領域では、遅れ角を大きくすることによる低騒音化の効果が大きい。
【0049】
図14は、センサマグネット5のメインマグネット2に対する遅れ角とモータ効率との関係を示す。遅れ角30度程度でモータ効率が最大となり、その結果回転トルクが最大となる。上記の遅れ角と騒音レベルとの関係を考慮すると、高回転数領域では、遅れ角を変えても騒音が変化しないので、モータ効率を優先した遅れ角に設定することによって、高効率なモータを得ることができる。
【0050】
以上のことから、ロータの回転速度が低速時には遅れ角の進角量を少なく制御し、高速時には遅れ角の進角量を多く制御することによって、回転数によって低騒音と高効率とを最適な割合で両立した制御ができる。
【0051】
図15は、モータ回転数とその騒音の12次成分との遅れ角による関係の変化を示す。例えば1000rpmすなわち毎秒16.7回転のとき12次成分は200Hzとなり、モータとその収納ケースとの共鳴により、うなり音が極大となる。さらに回転数が高くなると、うなり音よりも送風音が大きくなりマスクされてしまう。
【0052】
図16は、モータ回転数とその騒音の24次成分との遅れ角による関係の変化を示す。例えば500rpmすなわち毎秒8.3回転のとき24次成分は200Hzとなり、モータとその収納ケースとの共鳴により、うなり音が極大となる。さらに回転数が高くなると、うなり音よりも送風音が大きくなりマスクされてしまう。
【0053】
以上述べたように本発明のブラシレスモータを車両用空調装置の送風機ファンの駆動用に用いることによって、低回転時すなわち送風量が少ないときは低騒音で、高回転時すなわち送風量が多いときは高効率運転によって省エネルギーでかつ高トルクな回転力を得ることができ、これを回転数によって最適な割合に制御して、快適な空調環境を得ることができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、車両用空調装置の送風機ファンの駆動用ブラシレスモータとして説明したが、例えば、車両用エンジンのラジエータ冷却ファンにも同様に適用でき、さらに室内用空調装置の送風機ファンなどにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブラシレスモータの第1の実施の形態の下面図であり、(a)はトルク発生効率が良くなる構成例、(b)は低騒音となる構成例を示す図である。
【図2】図1に示した形態における制御回路部のブロック図である。
【図3】(a)は、ブラシレスモータの制御回路部のタイミングチャートであり、(b)は、MOSFETの接続関係を示す図である。
【図4】(a)がロータ回転位置、(b)がホールIC信号およびMOSFETの導通状態との対応関係を示す図である。
【図5】ホールIC3切替時の各コイルの通電状態と、メインマグネットに対するセンサマグネットの遅れ角による位置を示す図である。
【図6】(a)がロータ回転角30度の場合を示し、(b)がホールIC信号およびMOSFETの導通状態との対応関係を示す図である。
【図7】ホールIC1切替時の各コイルの通電状態と、メインマグネットに対するセンサマグネットの遅れ角による位置を示す図である。
【図8】(a)はセンサ(ホールIC)からの入力信号、(b)はMOSFETのゲート信号を示すタイミングチャートである。
【図9】モータの回転数に対する進角制御量を示す図であって、(a)は進角量を角度で表し、(b)は進角量を時間で表す図である。
【図10】モータの回転数算出誤差の要因を説明した図である。
【図11】本発明に係るブラシレスモータの第2の実施の形態における回転数算出誤差を低減する原理を説明したタイミングチャートである。
【図12】図11に示した形態における回転数算出のための処理過程を説明したフローチャートである。
【図13】センサマグネットのメインマグネットに対する遅れ角と騒音レベルとの関係を示す図である。
【図14】センサマグネットのメインマグネットに対する遅れ角とモータ効率との関係を示す図である。
【図15】モータ回転数とその騒音の12次成分との関係を示す図である。
【図16】モータ回転数とその騒音の24次成分との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…ロータ,2…メインマグネット(界磁用永久磁石),3…ステータ,4a〜f…電機子コイル,5…センサマグネット,6…シャフト,11…センサ信号検出回路,12…マイクロコンピュータ,13…モータ駆動回路,IC1〜3…ホールIC(磁気センサ),▲1▼…2倍の電流が流れているコイル,▲2▼…正回転トルク発生位置,▲3▼…逆トルク発生位置。

Claims (5)

  1. モータの内周側に電機子を配置したアウタロータ形のブラシレスDCモータにおいて、
    ステータ(3)に配置された電機子コイル(4)を流れる電流を切り替えるスイッチング素子(Q1〜Q6)と、
    ロータ(1)に取り付けられた界磁用永久磁石(2)に対し一定の遅れ角にてロータ(1)と一体に取り付けられ、ロータ(1)の回転位置を示すセンサマグネット(5)と、
    前記ステータ(3)に取り付けられ、前記センサマグネット(5)による磁界の方向を検出する磁気センサ(IC1〜IC3)と、
    この磁気センサ(IC1〜IC3)からの磁界方向変化検出を受けて、ロータ(1)の回転速度を算出し、この回転速度に応じた、前記センサマグネット(5)の界磁用永久磁石(2)に対する遅れ角を進める進角制御のための進角量を出力する進角制御手段(12a)と、
    前記磁気センサ(IC1〜IC3)からの磁界方向変化検出を受けて、前記進角量に応じた進角制御を行い、スイッチング素子(Q1〜Q6)の電流切り替えタイミングを制御するタイミング制御手段(12b)とを具備し、
    前記進角制御手段(12a)は、回転速度の算出を、前記ロータ(1)の回転周期に相当する前記センサマグネット(5)の磁界方向変化の時間間隔に基づいて行うことを特徴とするブラシレスモータ。
  2. 前記進角制御手段(12a)が、前記ロータ(1)の回転速度が低速時には前記遅れ角の進角量を少なく制御し、高速時には前記遅れ角の進角量を多く制御することを特徴とする請求項1記載のブラシレスモータ。
  3. 前記進角制御手段(12a)が、前記ロータ(1)の回転速度に応じて前記遅れ角の進角量を滑らかに変化させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスモータ。
  4. 前記センサマグネット(5)は、N極とS極とが複数対、ロータ(1)の回転中心に対し均等角度に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のブラシレスモータ。
  5. 前記磁気センサ(IC1〜IC3)が、前記ステータ(3)周囲に均等角度にて複数個配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のブラシレスモータ。
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