以下、図面を参照しながら本発明のトイレ装置について、その好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(第一実施形態)
本発明に係る排出物処理システムの第一の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態の排出物処理システム100は、図1に示すように、人1が生活する家屋2で発生した、し尿16及び生活雑排水18を処理するものであり、し尿16を処理して堆肥化するトイレ装置(し尿処理装置)20と、生活雑排水18を処理する生活雑排水処理装置50と、を備えている。
ここで、生活雑排水18とは、生活排水のうち、し尿16を除くもののことである。
トイレ装置20は、トイレ4内に設置されている。トイレ装置20は、糞11や尿12を合わせたし尿16とおがくず30aとを混合・攪拌することにより堆肥19を生成する。生成した堆肥19は、適宜、家庭菜園3等に散布される。
一方、生活雑排水処理装置50は、家屋2の近くの地中に埋設されており、風呂場5の浴槽5aからの排水13や台所6のシンク6aからの排水14を合わせた生活雑排水18を、ライン8を通して受け入れて土壌層101,102,103,104と接触させて処理し、処理済み液をライン9を通して排水溝90に排出する。
続いて、図2を参照して、トイレ装置20について説明する。
トイレ装置20は、便器4a、便器4aと連通する容器24、容器24内に設けられたスクリュー26、スクリュー26を回転させるモータ28、おがくず等の多孔質材30aが蓄えられている多孔質材用容器30、容器24内のガスを吸引するファン32、及びトイレ装置20を制御する制御装置36を主として備えている。このトイレ装置20は、バイオトイレとも言われ、し尿を処理する際に水を加えない非水洗式のトイレである。
便器4aは、人が排泄する糞11や尿12を受けて、下方に接続された容器24に供給する。
容器24は、便器4aから供給された糞11や尿12を受け入れる、プラスチック製や金属製の容器である。容器24内には、容器24外に設けられたモータ28によって水平軸周りに回転するスクリュー26が設けられており、容器24内の内容物24bが攪拌される。
また、容器24には、開閉可能なフタ24aが設置されており、必要に応じて容器24の内部の点検や内部からの堆肥19等の取出が可能となっている。
多孔質材用容器30には、多孔質材30aが蓄えられている。ここで、多孔質材30aは、多孔質の材料であれば特に限定されず、おがくず、籾殻、やし殻等の有機多孔質材、活性炭やゼオライト等の無機多孔質材を利用できる。特に、処理後の堆肥を緑農地に散布することを考えると、腐食化、堆肥化の可能な有機多孔質材が好ましく、特に、し尿の分解効率の高いおがくずを用いることがより好ましい。
この多孔質材用容器30は、粉体供給バルブ34を介して容器24に接続されており、所定量の多孔質材30aを容器24内に供給可能である。
ファン32は、容器24内の空気を一定量吸引し外部に排出する物であり、このファン32からの排気は、図1の家屋2の外に排出されるようになっている。
制御装置36は、いわゆるCPUを備えるコンピュータである。この制御装置36には、ファン32、多孔質材30a用の粉体供給バルブ34及びモータ28が接続されており、例えば、定期的に、あるいは、トイレの使用時等に、これらファン32、粉体供給バルブ34及びモータ28の駆動を制御し、臭気の排出、多孔質材30aの容器24内への供給及び容器24の内容物24bの攪拌を行う。
ここで、容器24の内容物24bとは、糞11や尿12に加えて、多孔質材用容器30から供給される多孔質材30aを含むものである。
続いて、図3を参照して生活雑排水処理装置50について説明する。
本実施形態に係る生活雑排水処理装置50は、いわゆる傾斜土槽式といわれるものである。この生活雑排水処理装置50は、直方体状の容器52を備えている。容器52内には、垂直に配置されると共に下端が容器52の底面から所定距離離間された板状の分離壁53が設けられている。
この分離壁53は、容器52内を、分離壁53よりも図示左側の土壌層部55aと、分離壁53よりも図示右側の排出ライン部55bとに区画している。
土壌層部55aは、水平に延びる複数の分離板61〜64によって上下方向に複数の領域71〜74に区画されている。ここで、分離板を上から61,62,63,64とし、分離板61より上を領域71、分離板61と分離板62との間を領域72、分離板62と分離板63との間を領域73、分離板63と分離板64との間を領域74とする。各領域71〜74の高さはほぼ同等とされている。
分離板61〜64には、それぞれ、各領域71〜74に存在する水を直下の領域に向けて排出させるための貫通孔である排水口81,82,83,84がそれぞれ形成されている。ここで、排水口81〜84は、分離板61〜64の一端又は他端に互い違いに設けられている。具体的には、排水口81,83は、それぞれ分離板61,63の一端側(図示右端側)に設けられている一方、排水口82,84は、分離板62,64の他端側(図示左端側)に形成されている。ここで、排水口81〜84の具体的形状としては、例えばスリットやメッシュ、多孔板等が挙げられる。
各分離板61〜64の表面は排水口81〜84に向かって下る傾斜面61a,62a,63a,64aとされている。
各分離板61〜64の各傾斜面61a〜64a上には、上方に向かって突出し、傾斜面61a,62a,63a,64aの傾斜の方向と直交する水平方向(図3の紙面と垂直な方向)に延在する遮水板56が、傾斜方向に離間して3つそれぞれ設けられている。
そして、各領域71〜74内において分離板61〜64上、すなわち、傾斜面61a〜64a及び排水口81〜84上には、土壌が堆積されて土壌層101、102,103,104を形成している。
この土壌層101〜104における土壌は特に限定されないが、団粒土壌を用いることが好ましく、例えば、焼赤玉土、鹿沼土、ゼオライト、軽石、黒ボク土等の団粒土壌をろ材として用いることができる。これらのような団粒土壌を用いると、土壌中を生活雑排水が流通し易いため、目詰まりを起こしにくくなって、メンテナンスコストを削減できる。団粒土壌の粒径は、例えば、1〜10mmである。また、このような土壌にはミミズ等、土壌中の有機物等を捕食する動物類が生息していることが好ましく、これによって、更に目詰まりを防止できる。
一方、容器52の底部には、容器52の底部に溜る処理済水76をくみ上げるためのポンプ68と、このポンプ68の駆動を制御する水位センサ69が設けられている。水位センサ69は、容器52内の水位が、最下の分離板64より下である所定の水位を上回った場合にポンプ68を駆動する。ポンプ68は、ライン9を介して処理済み水を排水溝90にくみあげる。
生活雑排水18を受け入れるライン8は、容器52の天井の内の図示左側、すなわち、分離板61の他端側と面する位置に開口されている。以上で本実施形態に係る排出物処理システム1000の構成の説明を終了する。
ここで、このような排出物処理システム1000は、あらたに新設することもできるが、図4に示すような既設の単独処理浄化槽を有する排出物処理システム1000を改造することによって、さらに低コストに上述の排出物処理システム100を得ることができる。
ここで、この既設の排出物処理システム1000は、トイレ4の水洗便器1004からの水洗水を含むし尿16を、ライン1020を介して単独処理浄化槽1050が受け入れ、単独処理浄化槽1050からの処理済み水はライン1007を介して排水溝90に放流される。このような単独処理浄化槽1050は、通常、上流側から順に、嫌気ろ床1052、好気ろ床1054、沈殿部1056を有している。また、生活雑排水18は、浄化槽を通ることなく排水溝90からそのまま放流される。
このような排出物処理システム1000を改造する場合には、この単独処理浄化槽105の容器をそのまま上述の生活雑排水処理装置50の容器52として利用する。具体的には、単独処理浄化槽1050中の仕切壁等の内部構造体を取り除いた上で、この単独処理浄化槽105内に分離壁53、分離板61〜64、土壌層101〜104等を形成すればよい。
続いて、このような排出物処理システム100の作用について説明する。
人1が家屋2内で生活すると、トイレ4ではし尿16が、風呂場5や台所6では生活雑排水18が発生する。
そして、し尿16は、便器4aからトイレ装置20の容器24内に入る。ここで、容器24内には、多孔質材用容器30から粉体供給バルブ34を介して、あらかじめ、あるいは、使用中等に適宜、多孔質材30aが投入される。そして、スクリュー26が作動することにより、容器24内でし尿16と多孔質材30aとが攪拌・混合される。
これによって、し尿16の水分が適切に多孔質材30aに吸収されると共に、さらに、この多孔質材30aが担体となって好気性の菌が効率よく増殖する。従って、し尿16が発酵・分解し、においの少ないかつ減容、減重量された状態の腐植質の有機物となる。
ここで、容器24内において、し尿16やその発酵・分解物は、水分の少ない状態に所定期間おかれ、かつ、発酵時には60℃程度やそれ以上にまで昇温されるため減菌された状態となる。また、し尿16から発生するアンモニア等の臭気ガスも多孔質材30aによってかなりの部分が吸着されると共に、ファン32によって外部に排出されるので不快なにおいはほとんどない。なお、ファン32によって容器24内の水分が水蒸気として排出されるため、し尿の脱水はより効率よく進む。
また、多孔質材30aとしておがくず等の有機多孔質材を用いた場合には、有機多孔質材自身も分解・発酵により腐植化・堆肥化がなされることとなる。そして、このようにして容器52内に蓄積した堆肥は、適宜排出されて、好適な有機肥料として、家庭菜園3等に散布できる。このような堆肥からは、有機物、窒素、リン等は溶解しにくい。
一方、生活雑排水18は、ライン8を介して生活雑排水処理装置50に供給される。ライン8から供給された生活雑排水18は、まず、領域71における土壌層101内を図示矢印方向に、すなわち、土壌層101の厚み方向と交差する方向に流下しつつ土壌と接触し、その後排水口81から領域72に落下して領域72の土壌層102を図示矢印方向に流下し、続いて、同様にして、排水口82、土壌層103、排水口83、土壌層104、排水口84を介して容器52の底部に到達して貯留される。
このとき、生活雑排水18は、各土壌層101〜104中を流れる際に、土壌中の微生物による有機物の分解、硝化、脱窒、リンの吸着、懸濁物質のろ過作用を受けることにより浄化され、低BOD、低窒素、低リン、低SSの処理済み水76となる。このような処理済み水76が、容器52の底部に所定量溜ると、ポンプ68によってくみ上げられて排水溝90に排出される。
ここで、土壌層101〜104に対して、生活雑排水18を層の厚みに対して交差する方向に流通させて接触させているので、曝気の必要性がなくなる程度まで土壌層101〜104の厚みを薄くしても十分効率よく土壌と生活雑排水18とを接触できる。曝気することなく土壌の大部分を好気性雰囲気に保つためには、土壌層101の厚みを、例えば、10mm〜100mmとすることが好ましい。
さらに、このような土壌層101〜104が上下に多段に形成されているので、生活雑排水18が各土壌層101〜104内を順番に流れて十分に長い距離土壌と接触する。したがって、コンパクトかつ十分な処理能力を有する生活雑排水処理装置50が実現されている。
また、各土壌層101〜104の底面が傾斜面61a〜64aとされているので、生活雑排水18の流れがスムーズとされて、目詰まりが生じにくい。また、分離板61〜64は、それぞれ遮水板56を有するので、生活雑排水18の偏流防止が図られると共に、土壌層101〜104の底部に嫌気性領域ができて脱窒微生物による窒素の低減を確実に行うことができている。
このように、本実施形態に係る排出物処理システム100によれば、まず、トイレ装置20において、し尿16を多孔質材30aと混合して攪拌することによりし尿16を堆肥化している。このため、このようにして得られた堆肥を緑農地等に散布することができる。したがって、し尿由来の窒素やリン等をほとんど水域に放出することなく、し尿由来の有機物、窒素、りん等を土壌中に固体状のままでリサイクルすることができる。これによって、従来廃棄物として扱われさらに水で薄められて処理され水域を汚染する主要な原因であったし尿を資源化することができるという画期的な効果が奏される。ここで、トイレ装置20には、生ゴミを投入してもよく、この場合でも同様にして堆肥が生成される。このようにして、し尿や生ゴミを堆肥化することにより、し尿や生ゴミの堆積は1/5程度にまで減容化される。さらに、水洗しないので、水の節約もでき、例えば、水洗トイレを用いた場合に比べてトータルで家庭の水の使用量を約1/3節約することができ、水資源の枯渇問題を解決可能となる。
また、生活雑排水処理装置50によって、生活雑排水18を土壌と接触させているので、生活雑排水18から懸濁物質、有機物、りん、窒素等を十分に除去することができる。したがって、単独処理浄化槽を備えた場合に比べて極めて環境への負荷を小さくできる。
また、本実施形態では、合併処理浄化槽を用いる場合と異なり、上述のようにし尿16を生活雑排水18と混合せず別々に処理している。したがって、生活雑排水18を処理する生活雑排水処理装置50の処理負荷が合併処理浄化槽ほど大きくならない。これにより、生活雑排水処理装置50の容積を合併処理浄化槽に比べて十分に小型化することができ、合併処理浄化槽を導入するのに比してイニシャルコストが十分に低くなる。また、処理済み水に含まれて排出される有機物や窒素、リンの総量も、合併処理浄化槽を用いた場合に比べても十分に低減される。具体的には、合併処理浄化槽を設置した場合に比べて、例えば、T−N及びT−Pの排出量をそれぞれ1/4以下に削減することができる。
また、し尿のみを処理する単独処理浄化槽1050から、本実施形態に係る排出物処理システム100に変更する場合、生活雑排水処理装置50の容積は、既設の単独処理浄化槽1050の容量で十分である。したがって、単独処理浄化槽1050(例えば5人用で通常0.85m3)から合併処理浄化槽(5人用で通常2.5m3)に切り替える時のように、あらたに地中等に槽を新設する必要なく、既存の単独処理浄化槽1050内を改造するのみで、本実施形態に係る生活雑排水処理装置50とすることができる。したがって、単独処理浄化槽1050からの切り替えのコストは、合併処理浄化槽に切り替える際に比べて極めて低くなる。
詳しくは、平成12年において浄化槽は878万基あるが、そのうち723万基が単独処理浄化槽(82%)である。そして、特に人口密度の低い地域では、単独処理浄化槽の新設が禁止されたため、合併処理浄化槽の設置が求められている。しかし、合併処理浄化槽の設置には一基あたり例えば80−100万円を要し、国等からの補助があっても50万円程度の出費が必要である。また、処理後の水質も、窒素、リン等が多く、富栄養化を抑制する効果がほとんどない。さらに、汚泥の回収処理のために年間4〜5万円程度の経費を要すると共に、汚泥の処理場が必要となる。
しかしながら、本実施形態においては、し尿をトイレ装置20で水を加えず乾式に処理するので、生活雑排水処理装置50の容積は既設置の単独処理浄化槽1050の容積で十分であり、単独処理浄化槽による排出物処理システムから、本実施形態のような高度処理をおこなう排出物処理システム100への転換が極めて低コストでできる。具体的には、量産が進めば、単独処理浄化槽による排出物処理システムから合併処理浄化槽による排出物処理システムに転換するのに比べて概ね1/2のコスト、例えば、一システムあたり50万円程度で本排出物処理システム100への転換が可能となり、従来の半額程度になる。したがって、国等の補助があるとすると個人負担はさらに低額となり、普及を急速に進めることが出来る。また、この生活雑排水処理装置50によれば汚泥の発生も少ない。
以上をまとめると、本実施形態では、生活に由来するし尿や生ゴミが直接養分として大地に還元され、廃棄物でなく資源として用いられることとなり、し尿や生ごみの処理コストが低くなる。一方、生活雑排水は低コストかつ高度に処理されて公共水域に流入する。したがって、河川、湖沼、内海、内湾、貯水池等の水域や地下水域等の公共用水域の再生・保全をしつつ、し尿や生ゴミ等の再資源化をすることができ、環境低負荷・資源循環型社会の構築の上で欠かせないパラダイムシフト技術となる。
なお、このような排出物処理システム100は、例えば、次のような地域に設けるとより効果的となる。例えば、(1)水環境の改善が強く求められている地域、(2)水道用水の枯渇が懸念されている地域、(3)有機農業の推進が求められている地域である。
まず、水環境の改善が強く求められている地域では、河川、湖沼、貯水池、内湾、等の水環境を改善することが可能であり、とくに、水道水源となっている貯水池上流域の水質改善により、飲料水の水質改善効果が計れる。また、下水道や集落排水事業の伸展などで水道用水の使用が増加して渇水のリスクが増加しているような地域では、水道水の節約により渇水の恐れを低減することが可能となる。さらに、有機農業の推進が求められている地域では、自家用菜園において有機農業を実践しておいしい野菜/果実の収穫を体験させることで農家の有機農業への参加を推進させることが可能となる。
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態に係る排出物処理装置について図5を参照して説明する。本実施形態の排出物処理装置において、第一実施形態と異なる点は、生活雑排水処理装置150のみであるので、以下この生活雑排水処理装置150についてのみ説明する。
本実施形態の生活雑排水処理装置150が、第一実施形態に係る生活雑排水処理装置50と異なる主な点は、容器52に隣接するバッファタンク152を設けた点と、バッファタンク152中にさらに間欠定量ポンプ115を設けた点である。
バッファタンク152は、ライン8を介して送られてくる生活雑排水18を一時的に貯留しておく容器である。
一方、間欠定量ポンプ115は、バッファタンク152内の生活雑排水18を間欠的にかつ定量的に容器52内の領域71に対して供給する。
この間欠定量ポンプ115は、容器117と、この容器117の上面に開口しブロワ119からのエアを三方コック121を介して容器117内に供給するエアノズル123と、容器117の底面に開口し外部から容器117内への生活雑排水18の供給のみを許可する逆止弁125と、容器117内の下部に開口し、容器107と容器52の領域71内を連通する連通管127を備えている。なお、間欠定量ポンプ115は一例であり、本実施形態の以外の構造の物でも良い。
このような生活雑排水処理装置150においては、まず、ライン8を介して生活雑排水18がバッファタンク152に貯留する。あらかじめ、三方コック121は、容器117と大気とを連通しているので、逆止弁125を介してバッファタンク152内の生活雑排水18が容器117内に充填される。つづいて、所定時間毎に、三方コック121を切り替えて、ブロワ119とエアノズル123とを連通すると、容器117内にエアが供給され、容器117内の生活雑排水18aが押し出されて連通管127を介して領域71に移送される。このとき、バッファタンク152内の生活雑排水18が逆止弁125から外部に出ることはない。続いて、所定時間経過後に三方コック121を切り替えて、大気と容器117とを連通すると、再び逆止弁125から容器117内に生活雑排水18が流入する。
このようにして、三方コック121の切り替えによるエアの供給・遮断を定期的にタイマー等により行うことにより、間欠的かつ定量的に生活雑排水18を領域71に供給できる。これによれば、生活雑排水処理装置150は、バッファタンク152を有しているので、家屋2において、風呂場5の浴槽5aからの排水が流れ込む場合等、一度に大量の生活雑排水18が流入する場合にでも、各土壌層101〜104の処理負荷を一定に保ことができ、効率の良い処理が可能となっている。
(第三実施形態)
続いて、第三実施形態に係る排出物処理装置について図6を参照して説明する。本実施形態の排出物処理装置が第一実施形態と異なる点は、生活雑排水処理装置250のみであるので、以下この生活雑排水処理装置250についてのみ説明する。
本実施形態の生活雑排水処理装置250は、容器252と、この容器252内の底面252a寄りに水平に設けられ容器252内を上下に区画する透水性の分散板254と、ライン8を介して供給される生活雑排水18を容器252の底面252aと分散板254との間に供給する供給パイプ256、さらに、容器252内における底面252aと分散板254との間の水を外部に排出する排出ノズル258と、排出ノズル258に接続されたバルブ262と、容器252の分散板254上に形成された土壌層260を備えている。バルブ262を介して排出される処理済み水は、ポンプ270等を利用して排水溝90へ移送される。
このような生活雑排水処理装置250においては、予めバルブ262を閉じておいてから供給パイプ256によって容器252内に生活雑排水18を供給し、土壌層260を所定の時間浸漬し、その間に土壌中の微生物でBOD、窒素の除去を行い、また、土壌中にリンを吸着させる。所定時間経過後、バルブ262を開放して、処理済み水を排出して、土壌層260を空気に暴露させる。このような土壌を用いた生活雑排水処理装置250でも、生活雑排水18の処理が好適に行える。なお、浸漬回数の好適な条件としては、例えば、1日6回程度であり、浸漬時間の好適な条件は4〜8時間程度が好ましい。
(第四実施形態)
続いて、第四実施形態に係る排出物処理装置について図7及び図8を参照して説明する。本実施形態の排出物処理装置が第三実施形態と異なる点は、生活雑排水処理装置350のみであるので、以下この生活雑排水処理装置350についてのみ説明する。
本実施形態の生活雑排水処理装置350は、バッファタンク152、及び第三実施形態と同様の容器252を有している。容器252内の底面252a寄りには、容器252内を上下に区画するべく水平に設けられた透水性の分散板254が設けられている。また容器252には、容器252内における底面252aと分散板254との間の水を外部に排出する排出ノズル258が設けられ、排出ノズル258には、バルブ262及びこのバルブ262を介して処理済み水を排水溝90へ移送するポンプ270がそれぞれ接続されている。また、容器252の分散板254上には、土壌層260が形成されている。
そして、土壌層260の上部260aにおける表面に近い部分にはトレンチ装置302が設けられている。トレンチ装置302は水平方向に延びる樋状のトレンチ304を有している。トレンチ304内には、トレンチ304にそって延びるトレンチパイプ306が設けられている。トレンチパイプ306には、トレンチパイプ306内から生活雑排水を外部に排出するための貫通孔308が、トレンチパイプ306の長さ方向に多数並んで形成されている(図8参照)。トレンチ304内には、トレンチパイプ306を覆うように砂利310が充填されている。
一方、図7に示すように、バッファタンク152内には、ライン8を介して生活雑排水が供給される。また、バッファタンク152内には、バッファタンク152内の生活雑排水18を間欠的にかつ定量的に容器252内のトレンチパイプ306に対して供給する間欠定量ポンプ115が設けられている。
この間欠定量ポンプ115は、容器117と、この容器117の上面に開口しブロワ119からのエアを三方コック121を介して容器117内に供給するエアノズル123と、容器117の底面に開口し外部から容器117内への生活雑排水18の供給のみを許可する逆止弁125と、容器117内の下部に開口し、容器107と容器252のトレンチパイプ306とを連通する連通管127と、を備えている。なお、間欠定量ポンプ115は一例であり、本実施形態の以外の構造の物でも良い。
このような生活雑排水処理装置350によれば、予めバルブ262を閉じておいてから間欠定量ポンプ115によってバッファタンク152からトレンチ装置302内に間欠的かつ定量的に生活雑排水18を供給する。供給された生活雑排水18は、トレンチ装置302から溢流して土壌層260の上部260aを流下して土壌層260の下部260bを浸漬する。生活雑排水が流下する土壌層260の上部260aは比較的好気的雰囲気であるので生活雑排水中の有機物の分解や硝化が行われる一方、生活雑排水に浸漬される土壌層260の下部260bは比較的嫌気雰囲気となるので硝化された窒素成分の脱窒が行われる。また、リンは、土壌層260のいずれの場所でも吸着される。
そして、例えば、一定時間毎にバルブ262を開放し、ポンプ270により処理済み水を排出することにより、土壌層260の上部260aが常時空気に暴露し、かつ、土壌層260の下部260bが常時生活雑排水に浸漬されるようにする。バルブ262やポンプ270は、タイマーにより間欠定量ポンプ115の移送量に応じた時間間隔で定期的に駆動される構成とすればよい。また、容器252内に水位センサ(不図示)を設け、この水位センサの検出信号等によりバルブ262やポンプ270を駆動してもよい。ここで、容器252内の水面の位置が、概ね、土壌層260の深さの下から1/3程度となるように、バルブ262やポンプ270の駆動タイミングを制御することが好ましい。このような生活雑排水処理装置350でも、生活雑排水18の処理が好適に行える。
ここで、従来の5人用の単独処理浄化槽(1m3)を改造して本実施形態の生活雑排水処理装置350にする場合には、例えば、バッファタンクの容量を0.4m3、土壌が充填される容器252の大きさを0.4m3とすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。
例えば、上記実施形態では、生活雑排水処理装置50,150,250,350は地中に埋設されているが、生活雑排水18をポンプ等により供給可能であれば生活雑排水処理装置50,150,250,350は地上に設置されていても構わない。
また、生活雑排水処理装置も上述の物に限られず、他の方法により生活雑排水18と土壌とを接触させる方法でもよい。
また、上記実施形態では、糞と尿とを混合して処理するトイレ装置20を採用しているが、糞と尿とを分離する便器を有して糞と尿とを別々に回収し、糞と尿とを分離した状態でそれぞれ分解・発酵等の処理をさせるいわゆる糞尿分離型のトイレ装置を利用しても良い。この場合は、糞による堆肥と、尿による肥料とを分離して得ることができるので、高度な再資源化ができる。また、においの発生も少ない。
また、生活雑排水処理装置50,150,250,350に対して、風呂場5やトイレ4以外の例えば、洗面所等からの排水を供給しても良いことは言うまでもない。
一方、事情により生活雑排水処理装置50等の容積が十分でない場合には、例えば、大量の排水を短時間の内に供給する風呂場5の浴槽5aからの排水13を、台所6のシンク6aからの排水14に比較して汚染負荷が少ないとして、排水溝90等に直接放流しても本発明の効果を奏することはできる。
20…トイレ装置(し尿処理装置)、50,150,250,350…生活雑排水処理装置、52…容器、61a,62a,63a,64a…傾斜面、16…し尿、18…生活雑排水、30a…多孔質材、101,102,103,104,260…土壌層(土壌)。