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JP4135881B2 - 樹脂組成物およびこれを用いた成形体と部品 - Google Patents

樹脂組成物およびこれを用いた成形体と部品 Download PDF

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正雄 中島
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智啓 伊藤
憲治 上杉
正敏 近澤
孝 武井
彰一郎 矢野
孝志 澤口
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し得る、微小なシリカ化合物に代表される金属酸化物(充填材)を透明樹脂に分散させた樹脂組成物およびその製造方法並びにこれを用いた成形体と部品に関するものであり、車両用の樹脂部品用途として有用な樹脂組成物およびその製造方法並びにこれを用いた成形体と部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機ガラスやプラスチックレンズ等の光学用途に利用し得る透明樹脂としては、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等が提案されている。有機ガラスが用いられる理由としては、無機ガラスに比べ耐衝撃性、軽量性、成形性に優れるためで、特にメタクリル系樹脂は光線透過率が高く、光散乱性が小さく透明性に優れ、耐候性に優れることから用途、使用量ともに増加している。
【0003】
樹脂製ウィンドウの従来技術として特開平11−343349号公報が一例として挙げられるが、PMMAに疎水化したシリカ球状微粒子を添加したもので、透明性があり、表面硬度は向上するが、剛性不足であり、かつ熱膨張率が大きいという残された課題があり、実用には適していない。
【0004】
また、ゾルゲル法による有機−無機ポリマーハイブリッド(中條善樹著,季刊化学総説No.42,無機有機ナノ複合物質,日本化学会,(1999))では、海島構造の海がシリカで、島が樹脂であるが、これは、硬度はあるが、可撓性や耐衝撃性が不足する。
【0005】
またアミノ基の表面処理剤で、ゾルゲル法でのシリカの表面を処理すると、海のシリカ全体に拡散して、効率良く処理できない。
【0006】
また、ゾルゲル法でのシリカでは、繊維状のように補強効果のある形状に定めることができないので、有効な補強効果が得られないと言う問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
従来の透明樹脂(有機ガラス)および複合材料においては以下のような問題がある。
【0008】
有機ガラスは、先に挙げた利点を有する反面、無機ガラスに比べ剛性が低く、例えば、車両のフロントウィンドウ等の大型かつある程度の剛性が要求される部位に適用しようとする場合、厚みを増す必要があり軽量化効果は望めない。
【0009】
一方、ガラス繊維等の充填材を添加すると透明性が低下し視界確保に問題が生じる。そこで、先述のようにガラス繊維の代わりにナノオーダーの層状クレーを分散させ複合材とする方法が考えられるが、透明性が不十分であり、着色の問題も生じる。また要求物性を満足するまでには剛性が上がらず、むしろ充填材とポリマーの界面強度が不十分なため非充填の有機ガラスに比べ耐衝撃性が低下するという問題も生じる。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、他の性能、特に透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し得る、微小なシリカ化合物に代表される金属酸化物(充填材)を透明な母材樹脂に配合分散させた樹脂組成物およびその製造方法並びにこれを用いた成形体と部品を提供することを目的としている。
【0011】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、樹脂組成物を構成するポリマーと微小なシリカ化合物の界面相互作用をイオン結合を用いて増加させることで、他の性能を犠牲にすることなく剛性を向上できることを見出し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、上記目的を達成するための本発明は、充填材とイオン結合を形成可能な官能基を有する重合体または共重合体中に、該充填材である微小な金属酸化物の表面を該重合体または共重合体とイオン結合可能な官能基を有する様に表面改質した該金属酸化物が均一に配合分散されており、該充填材と該重合体または共重合体とがイオン結合されていることを特徴とする樹脂組成物である。
【0013】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明によれば、請求項ごとに次のような効果を奏することができる。
【0014】
請求項1に記載の発明にあっては、充填材とイオン結合を形成可能な官能基を有する重合体または共重合体中に、該充填材である微小な金属酸化物の表面を該重合体または共重合体とイオン結合可能な官能基を有する様に表面改質した該金属酸化物が均一に配合分散されており、該充填材と該重合体または共重合体とがイオン結合されていることを特徴とする樹脂組成物とすることにより、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し得る上記充填材である微小な表面改質した金属酸化物を配合分散させた樹脂組成物を提供することができる。
【0015】
より詳しくは可視光線波長よりも小さい微小な表面改質した金属酸化物を凝集することなく、上記重合体または共重合体に分散配合することによって、該重合体または共重合体の光線透過率を低減することなく、従来の透明樹脂単独に比べて、剛性向上、熱膨張率低減、表面硬度向上を得ることができる。
【0016】
また、従来のゾルゲル法による有機/無機複合材に比べ、海が重合体または共重合体(樹脂)であり、島が微小な表面改質した金属酸化物(充填材)であるという構造のため、可撓性に優れ、耐衝撃性にも優れる。
【0017】
さらに、充填材の原料である微小な金属酸化物の表面のみに上記重合体または共重合体とイオン結合可能な官能基を導入することのできる表面改質剤を使用することで、充填材の表面改質効率を大幅に高める事ができるので、上記重合体または共重合体と表面改質した金属酸化物との間のイオン結合による密着力を強めることができ、補強効果を向上することもできる。
【0018】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1の具体的な実施形態の1つであり、上記重合体または共重合体として、アミノ基とイオン結合を形成可能な官能基を有する少なくとも1種類の不飽和単量体とアクリル系モノマーの共重合体であるアクリル系コポリマーを用い、また上記充填材として、表面に水酸基を有する微小な金属酸化物の表面の水酸基の一部をアミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小な金属酸化物を用いてなるものである。したがって、上記請求項1で説明したと同様の種々の作用効果を奏することができるものである。特に、請求項2の発明は、請求項1の好適な実施形態であることから、請求項1で説明した種々の作用効果をより一層高いレベルで実現することができるものである。
【0019】
すなわち、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し得る微小な金属酸化物を配合分散させた樹脂組成物を提供することができる。より詳しくは可視光線波長よりも小さい、上記微小な表面改質した金属酸化物を凝集することなく、上記アクリル系コポリマーに分散配合することによって、アクリル系コポリマーの光線透過率を低減することなく、従来の透明樹脂単独に比べて、剛性向上、熱膨張率低減、表面硬度向上を得ることができる。
【0020】
また、従来のゾルゲル法による有機/無機複合材に比べ、海がアクリル系コポリマーで、島が微小な表面改質した金属酸化物とする構造となるため、可撓性に優れ、耐衝撃性にも優れる。
【0021】
さらに、微小な金属酸化物の表面のみに上記アミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基を導入することのできる表面改質剤が使用され、表面改質効率が大きいので、上記アクリル系コポリマーと微小な表面改質した金属酸化物との間のイオン結合による密着力が大きく、補強効果が大きくなる。
【0022】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項2に記載の樹脂組成物において、表面に水酸基を有する微小な金属酸化物がシリカの場合に、該シリカ表面のシラノール基の一部をアミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小なシリカ化合物をイオン結合によって均一に配合分散されていることを特徴とするため、上記請求項2に記載の作用効果を奏する上で、該樹脂組成物を構成するポリマーと微小なシリカ化合物との界面相互作用をイオン結合を用いてより一層増加させることができ、他の性能を犠牲にすることなく剛性を向上できる点において、好適な実施態様の1つであるといえる。また、微小な金属酸化物として、シリカを用いたのは、後述するように、粒子状(球状)のシリカのほか、本発明の樹脂組成物の物性を高める上で極めて有用な、該粒子状のシリカが複数個連結した鎖状シリカや網目状シリカを用いることができるためである。
【0023】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項3に記載の樹脂組成物において、上記不飽和単量体が有する官能基が、上記シリカ表面を改質したアミノ基(詳しくは、上記シリカ表面のシラノール基の一部をアミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小なシリカ化合物の表面に導入されているアミノ基)とイオン結合をすることを特徴とすることにより、表面処理したシリカ化合物のアミノ基とモノマーの官能基とのイオン結合が重合工程で期待できるので、シリカ微粒子と樹脂の密着力が大きくなり、補強効果が大きくなる点で有利である。
【0024】
請求項5に記載の発明にあっては、請求項3に記載の樹脂組成物において、上記不飽和単量体が有する官能基が、シリカ表面を改質したアミノ基(詳しくは、上記と同じ)とイオン結合をするカルボキシル基および/またはスルホン酸基であることを特徴とすることにより、アクリル系コポリマーの有する不飽和単量体起因のこれら官能基と、表面処理後のシリカ化合物のアミノ基との間でより強いイオン結合を形成可能である点で特に有用である。これにより、ポリマーと微小なシリカ化合物の界面相互作用が向上し、その結果、樹脂組成物の剛性が向上する。また一般に、ポリマーに充填材を配合すると衝撃強度が減少するが、本発明の樹脂組成物は上記のように強い界面相互作用を有するため、衝撃強度の低下は実用上僅かである点でも有利である。
【0025】
請求項6に記載の発明にあっては、請求項2に記載の樹脂組成物において、上記不飽和単量体の質量分率が、アクリル系コポリマーに対して最大30質量%であることを特徴とすることにより、上述した微小なシリカ化合物との界面相互作用の向上が図られ、またアクリル系コポリマーの吸湿性が大きくなることもなく、寸法安定性や耐久性が悪化することもないので、当該特性を犠牲にすることもなく、請求項2〜5に記載の作用効果を奏することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明にあっては、請求項3に記載の樹脂組成物において、上記シリカ表面の表面改質剤はシラノール基と反応性があり、表面改質後には、アクリル系コポリマーのカルボキシル基またはスルホン酸基とイオン結合をするアミノ基を有することを特徴とすることにより、剛性向上のため樹脂組成物を構成するポリマーと微小なシリカ化合物の界面相互作用をイオン結合を用いて増加させることができ、また該樹脂組成物の製造段階において、ポリマー中へ分散するシリカ化合物の濃度が不足し、十分な効果が望めないというような問題を生ずることもない点で有利である。
【0027】
請求項8に記載の発明にあっては、請求項7に記載の樹脂組成物において、上記シラノール基との反応性のある官能基はクロル基、メトキシ基あるいはエトキシ基のいずれかであることを特徴とすることにより、上記シラノール基との反応性に優れ、請求項7に記載の作用効果をより向上させることができる点で有利である。
【0028】
請求項9に記載の発明にあっては、請求項2〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物において、上記アクリル系コポリマーは、メタクリル系単量体およびまたはアクリル系単量体から合成されるアクリル樹脂を主成分とすることを特徴とすることにより、透明性、剛性、硬度などのバランスの点で特に有利である。
【0029】
請求項10に記載の発明にあっては、請求項3に記載の樹脂組成物において、上記微小なシリカ化合物の質量分率が、樹脂100質量%に対して0.1〜50質量%であることを特徴とすることにより、剛性向上の効果が顕著であり、また透明性の低下や比重の増加などを招くこともなく、こうした特性を犠牲にしなくてもよく、また衝撃強度の低下も抑えることができる点で有利である。
【0030】
請求項11に記載の発明にあっては、請求項3に記載の樹脂組成物において、上記微小なシリカ化合物は、粒子状、鎖状および網目状よりなる少なくとも1種で、最大長さが380nm以下であることを特徴とすることにより、剛性向上の効果代が低下することもなく、また微細加工上の困難さを要することもなく工業的にもコスト的にも現実的であり、さらに透明性の大幅な低下を招くこともなく、こうした特性を犠牲にしなくてもよい点で有利である。
【0031】
請求項12に記載の発明にあっては、請求項3に記載の樹脂組成物において、上記微小なシリカ化合物は、粒子状、鎖状および網目状よりなる少なくとも1種で、平均1次粒径が5〜50nmであることを特徴とすることにより、非結晶性で透明な樹脂である請求項1の重合体若しくは共重合体または請求項2のアクリル系コポリマーの強度、剛性を改良すべく、透明性を確保し得る可視光線波長380nm以下の最長径を有する微粒子連結体を構成する上で、該平均1次粒径を用いて鎖状あるいは網目状に連結することで容易に達成することができる点で有利である。
【0032】
請求項13に記載の発明にあっては、請求項1〜12に記載の樹脂組成物を製造する方法であって、アミノ基とイオン結合形成可能な官能基を有する不飽和単量体とアクリル系モノマーを混合した溶液を調製し、これにシリカ表面のシラノール基の一部をアミノ基、および、またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小なシリカ化合物を、直接あるいは分散媒に均一に分散して、重合開始前、あるいは重合工程中に添加混合し、該不飽和単量体と該アクリル系モノマーを重合することを特徴とすることにより、シリカ化合物の表面が表面改質されていないと、シリカ化合物は水溶媒中により多く分散してしまい、回収される重合物中のシリカ化合物濃度が上がらず、剛性の向上は見込めないが、本発明の製造方法においては、表面の一部が表面処理されたシリカ化合物を用いているので、このような問題は生じず、工業的に好ましい重合法を選択することができる。
【0033】
さらに、表面処理したシリカのアミノ基とモノマーの官能基とのイオン結合が重合工程で期待できるので、樹脂組成物を構成するシリカ化合物とポリマーとの密着力が大きくなり、補強効果が大きくなる。特に、本発明の製造方法では、シリカ表面のみに表面改質剤を使用することができる。そのため、表面改質効率の大きいシリカ化合物を用いることができる。その結果、シリカ化合物と樹脂の密着力をより一層高めることができ、補強効果の更なる向上を図ることもできる。
【0034】
請求項14〜32及び36〜43は、請求項1〜12に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を用いた各種用途に関するものであり、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、高温時にソリなどが抑制可能な上記樹脂組成物を使用することで、大型かつ剛性および耐衝撃性に対する要求性の強い車両用途に有効に使用でき、特に視野の確保に強い要求性のある樹脂製ウィンドウ等の諸用途としても有効に使用できる。すなわち、本発明の樹脂組成物による透明性や衝撃強度が高く、熱膨張率が低くかつ剛性に優れるという特性を活かして、軽量化と成形の自由度が要求される無機ガラス代替用途としての樹脂ウィンドウ(特に、熱線付き樹脂製ウィンドウ);自動車の内外装部品成形体及び車両用外板;樹脂製ワイパーシステム;樹脂製ドアミラーステイ;樹脂製ピラー;樹脂成形体;樹脂製ミラー;樹脂製ランプリフレクター;樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース;樹脂製冷却装置部品;大気と連通した中空構造および/または密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体;ひとつの部品に二種類以上の機能が付与される一体成形部品;可動部と非可動部を有する成形体;ならびに炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器など、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、高温時にソリなどが抑制可能な上記樹脂組成物を使用することで、大型かつ剛性および耐衝撃性に対する要求性の強い車両用途に有効に使用できる。例えば、樹脂ウィンドウを例にとれば、従来の無機ガラスの自動車のウインドウは周囲を機械加工で仕上げることが必要であるが、この樹脂組成物を用いて射出成形して樹脂ウィンドウを成形すると、周囲の加工は不必要で生産性は向上する。また、一般的なガラス繊維強化樹脂のリサイクル性は、せん断応力を繰り返し受けることによってガラス繊維が壊れ、その物性は徐々に低下していくが、本発明の樹脂組成物を用いた樹脂ウィンドウのリサイクル性は、微小なシリカ化合物を用いているためせん断応力を受けにくく、物性の低下代が小さいのも特徴である。同様に、従来の自動車用の樹脂成形品、金属部品、ガラス部品などに代えて、この樹脂組成物を用いて、射出成形、押出成形、ブロー成形により上記の特性を持つデザイン自由度の大きい自動車用の樹脂成形品ないし部品を得ることができるものである。
【0035】
請求項33は、請求項1〜12に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を用いた樹脂シートを金型に挿入し、該挿入積層体間に加圧流体を注入して中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法であり、不要の工程を増加させることなく自動車用樹脂一体成形体を製造できる。
【0036】
請求項34は、請求項1〜12に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を金型に充填し、溶融樹脂内に加圧流体を注入して中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法であり、不要の工程を増加させることなく自動車用樹脂一体成形体を製造できる。
【0037】
請求項35は、請求項1〜12に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を用いた樹脂シートを金型に挿入し、シートに溶融樹脂を金型に充填し、溶融樹脂内に加圧流体を注入して中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法であり、不要の工程を増加させることなく自動車用樹脂一体成形体を製造できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をその作用・効果と共に詳述する。
【0039】
本発明に係る樹脂組成物は、充填材とイオン結合を形成可能な官能基を有する重合体または共重合体(以下、これらを単にポリマーとも称する。)中に、該充填材である微小な金属酸化物の表面を該重合体または共重合体とイオン結合可能な官能基を有する様に表面改質した該金属酸化物が均一に配合分散されており、該充填材と該重合体または共重合体とがイオン結合されていることを特徴とするものである。
【0040】
好ましくは、上記ポリマーの好適な実施形態の1種である、アミノ基とイオン結合を形成可能な官能基を有する少なくとも1種類の不飽和単量体とアクリル系モノマーの共重合体であるアクリル系コポリマーに、上記充填材の好適な1種である、表面に水酸基を有する微小な金属酸化物の表面の水酸基の一部をアミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小な金属酸化物が、イオン結合によって均一に配合分散されていることを特徴とするものである。
【0041】
ここで、上記表面に水酸基を有する微小な金属酸化物とは、表面に水酸基を有するシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどである。また、上記充填材である表面改質した微小な金属酸化物の好適な例の1種として、表面に水酸基を有するシリカでの詳細を以下に述べるが、本発明がこれらに制限されるべきものではなく、表面に水酸基を有するチタニアやアルミナなどの他の金属酸化物においても同様である。
【0042】
まず、上記充填材である表面改質した微小な金属酸化物の好適な例であるシリカ化合物とは、表面に水酸基、具体的には、シラノール基(−Si−OH)を有するシリカ微粒子を原料として、その表面がアミノ基を有する有機化合物(表面改質剤の1種である。)で表面改質されていることを特徴とするものである。すなわち、表面改質前のシリカ微粒子は、シリカ表面の珪素原子に水酸基が結合したシラノール基となっており、上記表面改質剤で表面改質されているシリカ微粒子の表面では、シリカ微粒子の表面の水酸基の一部を上記表面改質剤により、ポリマーとイオン結合可能な官能基であるアミノ基および/または該アミノ基を有するアルキル基、を有する様に表面改質されているといえる。
【0043】
上記シリカ化合物(充填材である表面改質した微小な金属酸化物)は、表面改質前の水酸基の15〜50%が表面改質されているのが好ましく、より好ましくは20〜45%である。また、表面改質前のシリカ微粒子は、シリカ表面のすべての珪素原子に水酸基が結合しているものとする。かかるシリカ微粒子を好適に用いることができるからである。
【0044】
本発明では、剛性向上のため樹脂組成物を構成するポリマーと微小なシリカ化合物(充填材)との界面相互作用をイオン結合を用いて増加させることができるものである。一方、シリカ表面がアミノ基を有する有機化合物(表面改質剤)で表面改質されていないと、樹脂組成物の製造段階において、ポリマー中へ分散するシリカ化合物の濃度が不足し、十分な効果が望めないものとなる。
【0045】
上記シリカ表面の改質処理を行なうための物質(上記表面改質剤)としては、特に限定されないが、シリカ化合物の原料であるシリカ表面の水酸基、具体的にはシラノール基(−Si−OH)と反応可能な有機化合物が望ましく、特にシリカ化合物の原料であるシリカ表面の水酸基、具体的にはシラノール基(−Si−OH)と反応性があり(すなわち、シラノール基との反応性のある官能基を有し)、表面改質後には、充填材であるポリマー、なかでもアクリル系コポリマーのカルボキシル基またはスルホン酸基とイオン結合をするアミノ基を有する有機化合物が望ましいものである。ここで、上記シラノール基との反応性のある官能基としては、特に制限されないが、シラノール基との反応性に優れる、クロル基、メトキシ基またはエトキシ基のいずれかであることが望ましいが、2種類以上の官能基が含まれていてもよい。
【0046】
上記シリカ表面の改質処理を行なうための物質(表面改質剤)の具体例としては、例えば、アミノアルキルアルコキシシラン系化合物、アミノアルキルクロロシラン系化合物等の有機ケイ酸化合物が挙げられる。これら有機ケイ酸化合物のうちアミノアルキルアルコキシシラン系化合物の例としては、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、アミノアルキルクロロシラン系化合物の例としては、3−アミノプロピルジメチルクロロシラン、4−アミノブチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。シリカ微粒子の表面改質処理を行なうための物質(表面改質剤)は、1種単独で用いられていてもよいし、2種以上を併用されていてもよい。
【0047】
これらシリカ表面の改質処理を行なうための物質であるアミノ基を有する有機化合物による、シリカ化合物の原料であるシリカ表面の処理方法(表面改質方法)としては、液相法と気相法があるが、本発明では何れを用いてもよい。
【0048】
また、本発明の樹脂組成物を構成する微小なシリカ化合物(充填材)の形状については、特に限定されず、一般的な略球状(粒子状)だけでなく、直方体や板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状、網目状なども用いることができる。これは、透明性を確保し、強度および弾性率を向上する上で、後述する実施例に示すように、繊維のような直線形状(鎖状)や網目状であっても有用な効果が認められているためである。
【0049】
このため、本発明の樹脂組成物を構成するポリマーとして好適に用いられる非結晶性で透明な樹脂の強度、剛性を改良するのに、上記微小なシリカ化合物(充填材)として透明性を確保し得る可視光線波長380nm以下の無機微粒子連結体を、該非結晶性で透明な樹脂中に均一に分散混合する方法を用いることができる。この無機微粒子連結体は、円柱状の無機微粒子、例えば、表面改質した円柱状の微小なシリカ化合物が、その長さ方向に複数個連結し鎖状となり、条件によっては網目状をなす形状を有しているものである。
【0050】
上記円柱状の無機微粒子としては、その太さ(円柱の直径)が5〜10nmであり、長さ(円柱の高さ)が7〜50nmの粒子を好適に用いることができる。
【0051】
また、上記無機微粒子連結体は、上記円柱状の無機微粒子を4〜7個長さ方向に化学結合し、該無機微粒子が鎖状あるいは網目状に連結してなるものである。さらに、透明性を確保するため、該無機微粒子連結体の最長部分の長さ(最大長さ)は、可視光線波長である380nm以下、好ましくは28〜350nmである。また、強度および弾性率向上のために、該無機微粒子連結体の長さと太さの比は9〜35を有するのが望ましい。かかる無機微粒子連結体を非結晶性で透明な樹脂中にイオン結合によって均一に配合分散した樹脂組成物では、高い透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく保持したまま、より一層の剛性の向上を図ることができる。
【0052】
ここで、表面改質前の無機微粒子連結体を構成し得る無機微粒子としては、上記シリカのほか、チタニア、ジルコニア、アルミナ等が好適に使用できるが、特にシリカすなわち酸化ケイ素が最も好適に使用できる。シリカは透明性を有し、低比重で、その表面の改質が容易で樹脂との界面相互作用をイオン結合を用いて増加させる上で有利なためである。このような表面改質前の無機微粒子連結体を製造するには、例えば、ケイ酸ナトリウム(Na2O・SiO2:水ガラス)を原料とし、イオン交換によってナトリウムを除去して、核ゾル(約5nm)を得て、これらの微小粒子を液中で単独で成長させ、10〜100nmの鎖状のシリカ微粒子連結体とすることができる。この際、該微粒子の成長過程で網目状のシリカ微粒子連結体とすることもできる。この溶液を濃縮すれば、網目状または鎖状の無機微粒子連結体のコロイダルシリカが得られる。こうした表面改質前の無機微粒子連結体には市販品を使用することもでき、例えば、表面改質前のシリカ微粒子連結体としては、日産化学株式会社製のスノーテックス−UP、これをイオン交換でナトリウムを除去したスノーテックスOUPなどの鎖状のシリカ微粒子連結体が好ましく使用できる。
【0053】
これら表面改質前の無機微粒子連結体の表面改質法については、上記粒子状のシリカ微粒子で説明した表面改質法と同様にして行うことができる。
【0054】
本発明の樹脂組成物を構成するポリマーは、充填材とイオン結合を形成可能な官能基を有する重合体および/または共重合体であればよく、特に限定されないが、具体的な実施態様としては、充填材表面のアミノ基とイオン結合を形成可能な官能基を有する少なくとも1種類の不飽和単量体の重合体、あるいは該不飽和単量体と、該不飽和単量体と共重合し得る単量体との共重合体が挙げられるが、本発明の樹脂組成物を構成するポリマーはこれらに制限されるべきものではない。以下、本発明の樹脂組成物を構成するポリマーとして、かかる具体的な実施形態を中心に説明する。
【0055】
本発明における少なくとも1種類の不飽和単量体は、シリカ微粒子の表面を改質して導入されたアミノ基(すなわち、シリカ微粒子の表面を改質して得られたシリカ化合物表面のアミノ基)とイオン結合を形成可能な官能基を有することを特徴とする。アミノ基とイオン結合を形成可能であれば官能基の種類は特に限定されないが、より強いイオン結合を形成可能であるという理由から好ましくは、カルボキシル基、あるいはスルホン酸基がよい。
【0056】
これらカルボキシル基、あるいはスルホン酸基を有する不飽和単量体は、1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよく、カルボキシル基を有する不飽和単量体とスルホン酸基を有する不飽和単量体と併用し、これらと共重合し得る単量体、特にアクリル系モノマーとの共重合体を用いることで、両官能基の特徴を同時にもたせてもよい。
【0057】
本発明の不飽和単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルメタクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸およびスルホプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0058】
本発明における上記不飽和単量体と共重合しコポリマーをなすもう一方の単量体としては限定されないが、メタクリル系単量体および/またはアクリル系単量体(以下、単にアクリル系モノマーともいう)が特に好ましい。
【0059】
これらアクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
【0060】
これら不飽和単量体と共重合しうるもう一方の単量体は、1種単独または2種類以上を混合して用いてもよいが、透明性、剛性、硬度等のバランスからメチルメタクリレートが主成分であることが好ましい。より好ましくは、上記不飽和単量体と共重合しうるもう一方の単量体全量に対してメチルメタクリレートが70質量%以上である。尚、例中の例えばメチル(メタ)アクリレートは、メチルメタクリレートとメチルアクリレートの両者を意味している。
【0061】
本発明に係る樹脂組成物の好適な一実施形態は、上述の不飽和単量体と、上述のアクリル系モノマーとの共重合体であるアクリル系コポリマーに、上述の微小なシリカ化合物が配合、分散していることを特徴とする。
【0062】
かかる好適な一実施形態では、樹脂組成物中の微小なシリカ化合物表面のアミノ基が、アクリル系コポリマーの有する不飽和単量体起因の官能基と強いイオン結合を形成することによって、該アクリル系コポリマーと微小なシリカ化合物の界面相互作用が向上し、その結果、樹脂組成物の剛性が向上する。また一般に、ポリマーに充填材を配合すると衝撃強度が減少するが、本発明の樹脂組成物では上記のように強い界面相互作用を有するため、衝撃強度の低下は実用上僅かである。
【0063】
上記アクリル系コポリマーは、アクリル系モノマーから合成されるアクリル樹脂を主成分とするものが望ましい。
【0064】
具体的には、本発明におけるアクリル系コポリマーに対する不飽和単量体の質量分率は、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。不飽和単量体の質量分率が0.1質量%未満では上述した微小なシリカ化合物との界面相互作用の著しい向上が認められない場合があり、30質量%を超えるとアクリル系コポリマーの吸湿性が大きくなり、寸法安定性や耐久性が悪化する場合がある。ただし、アクリル系コポリマーに対する不飽和単量体の質量分率は、本発明の必須構成要件ではなく、上記範囲に制限されるべきものではなく、上記範囲を外れる場合であっても、従来の有機ガラス等の用途に用いられる透明樹脂や複合材料に比して、本発明に有用な作用が認められるものであれば、本発明の範囲に含まれるものである。
【0065】
本発明における樹脂組成物に対する微小なシリカ化合物の質量分率は、0.1〜50質量%が好ましい。微小なシリカ化合物の質量分率が0.1質量%未満では剛性向上の効果がほとんど認められない。50質量%を超えると透明性の低下や比重の増加が生じ本発明の目的とするところに反する場合がある。また衝撃強度の低下も無視できないものとなる。より好ましくは1〜35質量%である。ただし、本発明の樹脂組成物に対する微小なシリカ化合物の質量分率は、本発明の必須構成要件ではなく、上記範囲に制限されるべきものではない。例えば、後述する実施例6に示すように、上記範囲を外れる場合であっても、従来の有機ガラス等の用途に用いられる透明樹脂や複合材料に比して、本発明の効果が認められるものであれば、本発明の範囲に含まれるものである。
【0066】
本発明における微小なシリカ化合物の直線距離で最も長い部分の長さ(以下、単に長径ともいう。)は、その形状によらず1〜380nmが好ましい。1nm未満では剛性向上の効果代が低下し、また1nm未満とするには困難を要し工業的にもコスト的にも現実的でない。380nmを超えると透明性の低下が顕著になり本発明の目的とするところに反する場合がある。より好ましくは5〜200nmがよい。ただし、本発明における微小なシリカ化合物の長径は、本発明の必須構成要件ではなく、上記範囲に制限されるべきものではない。例えば、後述する実施例4に示すように、上記範囲を外れる場合であっても、従来の有機ガラス等の用途に用いられる透明樹脂や複合材料に比して、本発明の効果が認められるものであれば、本発明の範囲に含まれるものである。
【0067】
本発明における微小なシリカ化合物の平均1次粒径は、その形状によらず5〜50nmが高い透明性を確保しうる点から好ましい。これは、先に説明した該無機微粒子連結体を構成する無機微粒子の大きさの範囲と同様であり、かかる範囲を外れる場合には、高い透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく保持したまま、より一層の剛性の向上を図るのが困難な場合がある。ここで、平均1次粒径とは、微小なシリカ化合物(充填材)の形状が粒子状である場合には、当該粒子状のシリカ化合物の直線距離で最も長い部分の長さの平均値をいい、また無機微粒子連結体のような繊維のような直線形状(鎖状)の場合には、該無機微粒子連結体等の鎖状のシリカ化合物を構成するのに用いる無機微粒子(これを、1次粒子という)の直線距離で最も長い部分の長さの平均値をいう。このほか、直方体や板状、枝分かれした分岐形状、網目状のシリカ化合物においても、その構造が、上記粒子状シリカ化合物と同様に1つの粒子ないし構造物からなる場合には、上記粒子状のシリカ化合物の定義が適用でき、一方、上記鎖状のシリカ化合物と同様に複数の微粒子(1次粒子)で構成される場合には、上記鎖状のシリカ化合物の定義が適用できる。
【0068】
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂ウィンドウの製造方法としては、押出成形、圧縮成形、射出成形、真空圧空成形など、樹脂ウィンドウの製品ないし部品の使用用途、形状などに合わせて適宜選択すればよい。一般的なガラス繊維強化樹脂のリサイクル性は、せん断応力を繰り返し受けることによってガラス繊維が壊れ、その物性は徐々に低下していくが、本発明の樹脂組成物を用いた樹脂ウィンドウのリサイクル性は、微小なシリカ化合物を用いているためせん断応力を受けにくく、物性の低下代が小さいのも特徴である。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、充填材とイオン結合を形成可能な官能基を有する単量体成分(さらに好ましくは該単量体成分と共重合しうるメタクリル系単量体および/またはアクリル系単量体などの他の単量体成分)を含有する溶液を調製し、これに該充填材である、微小な金属酸化物の表面を適当な表面改質剤により該単量体成分中の上記官能基とイオン結合可能な官能基を有する様に表面改質した該金属酸化物を、直接あるいは分散媒に均一に分散して、重合開始前あるいは重合工程中に添加混合し、上記単量体成分(さらには該単量体成分と共重合しうるメタクリル系単量体および/またはアクリル系単量体などの他の単量体成分)を重合することを特徴とする。これにより、充填材である表面改質した微小な金属酸化物の上記官能基と、上記単量体成分の上記官能基とのイオン結合が重合工程で生じるので、該充填材と重合により得られる樹脂(重合体および/または共重合体)との界面相互作用が増加することで密着力が大きくなり、補強効果が大きくなる。
【0070】
本発明の製造方法の具体的な実施態様としては、微小なシリカ化合物表面のアミノ基とイオン結合形成可能な官能基を有する不飽和単量体とアクリル系モノマーとを混合した溶液を調製し、これにシリカ微粒子表面を有機化合物で表面改質した微小なシリカ化合物を、直接あるいは分散媒に均一に分散して、重合開始前あるいは重合工程中に添加混合し、不飽和単量体とアクリル系モノマーを重合することを特徴とする。
【0071】
上記実施態様の具体例としては、上記不飽和単量体とメタクリル系単量体および/またはアクリル系単量体とを、適当な溶媒中で混合し、もしくは溶媒を用いず混合し、これに微小なシリカ化合物を直接もしくは適当な分散媒に均一に分散したものを混合し、その後に適当な重合開始剤を添加し重合させる。
【0072】
重合方法としては、一般的なラジカル重合法である塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、沈殿重合等から用途、設備等に応じて適宜選択できるが、本発明の産業上の利用分野で示したような成形用途の場合、工業的には懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。このとき、シリカ化合物の表面が、当該重合工程で重合される重合体または共重合体とイオン結合可能な官能基を有する様に表面改質されていないと、シリカ化合物は溶媒(分散媒)中により多く分散してしまい、回収される重合物たる樹脂組成物中のシリカ化合物濃度が上がらず、剛性の向上は見込めない。しかし、本発明の製造方法においては、表面の一部が表面改質されたシリカ化合物を用いているので、このような問題は生じず、工業的に好ましい重合法を選択することができる。
【0073】
尚、上述の説明において適宜使用可能とされてなる溶媒ないし分散媒の種類は、用いる重合法に合わせて適宜選択でき、例えば、水、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。重合開始剤としても適宜選択でき、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。尚、重合後に、得られた樹脂組成物を沈降回収するのに用いられる凝固用溶剤の種類は、用いる重合法に合わせて適宜選択でき、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。
【0074】
本発明の樹脂組成物は、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、また熱膨張率が低く、高温時にソリなどを抑制し得るという特性を兼ね備えているため、これらの機能が要求される部材に好適であり、例えば、内装材では計器盤の透明カバー並びに外装材では窓ガラス(ウィンドウ)やヘッドランプ、サンルーフ及びコンビネーションランプカバー類などの、自動車や家電そして住宅に用いられる透明部材・備品に適している。特に、本発明の樹脂組成物は、軽量化と成形の自由度が要求される無機ガラス代替用途としての樹脂製ウィンドウ(特に、熱線付き樹脂製ウィンドウ);車両用内外装部品成形体及び車両用外板;樹脂製ワイパーシステム;樹脂製ドアミラーステイ;樹脂製ピラー;樹脂成形体;樹脂製ミラー;樹脂製ランプリフレクター;樹脂製エンジンルーム内カバー及びケース;樹脂製冷却装置部品;大気と連通した中空構造および/または密閉された中空構造を有する樹脂一体成形体;一の部品に異なる2種以上の機能が付与される一体成形部品;可動部と非可動部を有する成形体;ならびに炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器で、その効果を有効に発揮できる。
【0075】
すなわち、請求項14〜32及び36〜43は、本発明に係る樹脂組成物の用途に関するものである。
【0076】
以下、本発明に係る樹脂組成物の用途について詳述する。
【0077】
本発明に係る樹脂組成物用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を用いた車両用内外装部品成形体及び車両用外板である。
【0078】
本発明の樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、剛性に優れ、さらに高耐熱性であり、熱膨張率が低く、熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、車両用の内外装部品成形体や車両用外板の用途に好適である。例えば、図1で示すような、ドアモール1、ドアミラーのフレーム枠2、ホイールキャップ3、スポイラー4、バンパー5、ウィンカーレンズ6、ピラーガーニッシュ7、リアフィニッシャー8、ヘッドランプカバー(図示せず)等の車両用外装部品成形体、図2(a)や図2(b)で示すような、フロントフェンダー21、ドアパネル22、ルーフパネル23、フードパネル24、トランクリッド25、バックドアパネル(図示せず)等の車両用外板が挙げられる。
【0079】
本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ワイパーシステム、樹脂製ドアミラーステイ、樹脂製ピラーである。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、透明性、耐衝撃性、剛性に優れ、さらに高耐熱性であり、熱膨張率が低く、熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えば、ワイパーシステム、ドアミラーステイやピラー等のような視界の向上が要求される部品の用途に好適である。
【0081】
従来のワイパーシステムは、黒色塗装仕上げの鋼鉄と黒色のゴムで構成され、低速作動時に視界が妨げられるという課題があった。また、従来のドアミラステイは、外板と同色もしくは黒色塗装仕上げの樹脂製であり、右左折時の視界が妨げられるという課題があった。また、従来のピラーは鋼鉄製であり、フロントピラー、センターピラーは通常走行時や右左折時、リアピラーは後方移動時や後方確認時に視界が妨げられるという課題があった。
【0082】
これらの部品に透明な樹脂材料を使用できれば視界は向上するが、高い剛性や耐熱性、熱時/成形時の寸法安定性も要求されることから、従来の透明樹脂材料では実現が難しかった。これに対して、透明性に優れ、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する本発明の樹脂組成物を上記したような透明材として用いることで、これらの課題が解決可能となり、透明な上記部品が得られる。これらの部品の透明化は視界向上だけでなく、意匠性の向上にも寄与できると期待される。
【0083】
本発明のワイパーシステムの一実施態様を、図3に模式的に示す。図3に示されるように、ワイパーシステム30は、ワイパーアーム31とワイパーブレード32から構成され、ワイパーアーム固定用ナット穴33を中心として半弧を描くように作動する。ワイパーブレード32は、弾性を有する支持部品と軟らかいゴム部品とから構成されている。本発明のワイパーシステムにおいては、ワイパーアームとワイパーブレードの支持部品の少なくとも1つに本発明の樹脂組成物を透明材として用いたものである。なお、本発明のワイパーシステムにおけるワイパーブレードのゴム部品については、耐久性が高く比較的透明性の高いシリコンゴム等を用いるのが好ましい。また、ワイパーブレードの支持部品は、本発明の樹脂組成物に適量のアクリルゴム成分を加えた樹脂−ゴム混合組成物を用いて調製してもよい。ワイパーブレードの支持部品に適度な弾性を与えることができるからである。このような樹脂−ゴム混合組成物としては、例えば、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、アクリルゴム成分(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルやその共重合体等で、例えば、日本ゼオン株式会社製、Nipol AR31がある)を1〜30質量部添加したものがある。
【0084】
本発明のドアミラーステイおよびピラーは、本発明の樹脂組成物のみを透明材として用いてもよいが、例えば、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は、少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層(1層以上)にも該樹脂組成物から成る層を設けることができる。このように多層積層体とすることで、本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。多層積層体を用いる場合の各層の厚さは、最終的な成形品の厚さと積層数から至適な厚さを選択することができる。このような多層積層体とする場合の他の樹脂材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン/メチルメタアクリレート共重合体がある。また、製造方法や構成は特に限定されず、それぞれ単独の部品としてもよいし、例えば、ドアミラーステイとフロントピラーや各ピラーと樹脂ルーフパネルを後記する一体成形体の製造方法等によって一体化してもよい。
【0085】
本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂成形体である。
【0086】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性、耐衝撃性にも優れるため、透明部と不透明部を併せもつ部品の用途に好適である。このような透明部と不透明部を併せもつ部品用途に、透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成る樹脂成形体を適用してなる例として、自動車部品を例に説明する。
【0087】
自動車には、例えば、各種ランプ類やカバー、ガラスのような透明な部品と、例えば、外板や各種内装部品のような不透明な部品が混在している。これらの部品にはそれぞれ透明性、剛性、耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、耐薬品性等、異なる様々な特性が要求されるため、従来、樹脂材料ではこれら透明な部品と不透明な部品の一体化は難しかった。これに対して、高剛性、高耐熱性、低線膨張率、低成形収縮率、高耐薬品性という特徴を有する本発明の樹脂組成物を少なくとも透明材として使用することで、これらの課題が解決可能になる。さらに、透明な部品と不透明な部品を一体成形することにより部品点数及び工程数の削減、部品重量の低下が可能になる。また、数種の部品を一体で形成できるため、従来分割されていた外形線が一つの連続するラインで形成できることから、部品外観の向上が図れる。
【0088】
例えば、透明性を必要とするヘッドランプは、その周囲に存在するバンパ、フロントグリル、フェンダ、フードといった別々の(透明または不透明な)部品と接している。これら透明部・不透明部を一体成形することにより部品点数の削減が可能である(図4を参照のこと)。さらに従来は個々の部品を一つずつ組みつけていたが、一体化された部品一つを組み付ければよいため、組み立て時の工程数も削減できる。また、本発明の樹脂組成物は、高い耐熱性を有するため、ランプの熱源が近くても樹脂が溶けてしまうなどの問題も発生しない。従来のヘッドランプは、ポリカーボネート樹脂製でできており、耐光性が低く、太陽光に暴露されると黄変するため、表層にコーティングしなければならなかったが、本発明の材料(樹脂組成物)を用いることにより、このような課題も解決される。
【0089】
また、例えば、透明性を必要とする自動車用ガラスには、ドアに付属するサイドガラスとバックドアガラス、リアフェンダーとルーフに接着してあるリアクウォーターガラスとリアガラス等がある。本発明の樹脂組成物を少なくとも透明部に用いることにより、これらとガラスとの一体成形部品を得ることができる。例えば、サイドガラスとバックドアガラスは、ドアアウターとドアインナーとの間にガラスが配置されているが、本発明の材料(樹脂組成物)を用いて内部に中空部を形成することにより、ドアアウター・ドアインナー・ガラスを一体型でかつ同時に成形することができ、部品点数を削減することができる(図4を参照のこと)。あるいは、予めドアアウターとドアインナーとを用いて内部に中空部を形成させ、該中空部に本発明の樹脂組成物を流し込むことで、ドアアウター・ドアインナー・ガラスを一体に成形することができる。なお、ドアロック、ワイパーモーター等は後工程で部品の中空部に設置する。同様にして、ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスとを一体化することもできる。
【0090】
また、例えば、本発明の材料(樹脂組成物)が持つ透明かつ高強度・高剛性の特徴を利用して、構造用部品の部分的な透明化にも適用できる。例えば、ルーフの一部に本発明の樹脂組成物を用いると該部分を透明にすることができ、ガラス製サンルーフを設けなくとも透明なルーフを得ることができる。このように、本発明の樹脂組成物を使用して、樹脂成形体の一部が透明部であり他の部分が不透明部である、高強度・高剛性を保持した構造用部品とすることもできる。なお、不透明部は着色していてもよい。
【0091】
また、例えば、自動車用内装材としてインストルメントパネルがあるが、計器類、その透明なカバー、クラスターリッドは別部品で作られている。図5は、本発明に係る透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形した例として、インストルメントパネルと計器類のカバーとの一体化の例を示す模式図である。図5に示すように、本発明の材料(樹脂組成物)を用いることにより、透明樹脂部と不透明樹脂部が一体で成形できるため、予めインストルメントパネル51と計器類のカバー52を同時に(一体的に)成形しておき、インストルメントパネルに数種の部品を集約することで、部品点数を削減し、かつ軽量化を図ることができる。
【0092】
また、例えば、ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスを一体成形することにより、自動車の内装取り付け時にリアクウォーターガラスも一緒に取り付けることができ、部品取り付けの工数削減が図れる(図4を参照のこと)。ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスだけには限らず、その他の部品の組み合わせにも適用できる。
【0093】
図4に、本発明に係る透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成る樹脂成形体の車両用外装部品用途の一例として、ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体、ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体、ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体、バックドア・ガラス一体樹脂成形体およびドア・ガラス一体樹脂成形体を示す説明図であって、これらの車両用外装部品の位置を解説したワゴン車のリアサイドからの外観斜視図を示す。図4に示すように、ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体41、上記ピラーガーニッシュとリアクウォーターガラスとを一体化した樹脂成形体である、ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体42、ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体43、バックドア・ガラス一体樹脂成形体44およびドア・ガラス一体樹脂成形体45等を一体樹脂成形体とすることができる。
【0094】
本発明における透明部と不透明部とを有する樹脂成形体において、着色した不透明部の樹脂成形体を得るには、着色した原料樹脂を用いる方法、不透明部に塗装または印刷して着色する方法、または不透明樹脂として着色シートを使用する方法等がある。
【0095】
着色した原料樹脂の調製方法としては、原料樹脂に予め顔料を分散させておく方法の他、原料樹脂ペレットと顔料ペレットを同時に溶融・混練させ、射出成形機を用いて金型内に射出して着色樹脂を得る方法がある。該着色樹脂を用いて本発明の樹脂成形体を製造するには、続いて金型を開き、または溶融樹脂通過経路を新たに作り、別のシリンダを用いて金型の空隙部に透明溶融樹脂を射出すればよい。これによって透明部と着色した不透明部とを有する樹脂成形体を製造することができる。なお、不透明樹脂を先に射出するか透明樹脂を先に射出するかはどちらでも良い。
【0096】
塗装または印刷により着色した不透明部を形成するには、予め透明樹脂を溶融して目的の樹脂成形体を形成し、その後該樹脂成形体の表面または裏面から塗装または印刷を施して着色および不透明性を確保する方法である。溶融樹脂の賦形前に塗装または印刷を施し、その後に賦形することもできる。
【0097】
不透明樹脂として着色シートを使用する場合には、予め着色された不透明シートを予備賦形しておき金型内に配置し、続いて溶融透明樹脂を金型内に注入し、樹脂を冷却固化させ、その後に金型より取り出せば、本発明の樹脂成形体を得ることができる。
【0098】
また、上記方法によれば、例えばルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体として、ガラス部が透明部であり、ルーフとフェンダとが不透明である樹脂成形体に限られず、ガラスの上部とルーフの一部が透明部であり、フェンダとガラスおよびルーフの残部が不透明の樹脂成形体とすることもできる。
【0099】
更に、本発明の透明部と不透明部とが一体成形された樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物のみ(一部、顔料等により着色する場合を含む)によって構成できるが、例えば、本発明の樹脂組成物と他の樹脂とを積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。このように多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、多層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さは、樹脂成形体の用途に応じて適宜選択することができる。
【0100】
本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂製ウィンドウ、特に好ましくは熱線付き樹脂製ウィンドウ、樹脂製ミラー、樹脂製ランプリフレクター、樹脂製エンジンルーム内カバーおよびケース、樹脂製冷却装置部品である。
【0101】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性、透明性にも優れるため、例えば樹脂製ウィンドウや樹脂製ミラー、ランプリフレクター、エンジンルーム内カバーおよびケース等の部品の用途に好適であり、部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。更に本発明の樹脂組成物を透明材として用いることで、透明性が要求される部品の材料代替が可能になり、防曇性や視界の向上が図られる。
【0102】
図6は、本発明に係る樹脂製ミラー、樹脂製ウィンドウを示す説明図であって、これらの車両用部品の位置を解説したセダン系自動車の平面図である。例えば、図6に示すように、リアウィンドウ63、ドアウィンドウ(サイドウィンドウ)62、フロントウィンドウ61などの樹脂製ウィンドウは、防曇機能を付与するため、成形体の内部あるいは表面に加熱可能な熱線ヒータを設けることがある。このような場合では、ウィンドウは、風雨を防ぐための部品として、図6のように車両の前面と後面そして側面のドアに設置されるが、その使用面積は3〜4m2と大きく、また、従来の無機ガラスの場合では、重量が30〜35kgと重いため、本発明の樹脂組成物を使用することにより、軽量化が期待できる。また、従来の透明樹脂材料を用いた場合には、熱線ヒータによる樹脂材料の耐熱性や熱膨張が課題となるが、本発明の樹脂組成物は加熱時/成形時の寸法安定性に優れるため、本発明の樹脂組成物を用いるとこれらの問題がない。さらに、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、図6におけるようなフロントウィンドウ61、ドアウィンドウ62、リヤウィンドウ63等の大型部品に応用可能で軽量化することができる。尚、熱線ヒータの形成方法としては、特に制限されず、公知の方法が使用でき、例えば、フィルム化された熱線部をインサート成形する方法や、室内側表面に熱線部を蒸着・塗布・印刷法等により形成する方法等が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するので、フロントウィンドウ、ドアウインドウ、リヤウインドウ等の大型部品にも適用可能で、軽量化が可能となる。尚、熱線ヒータの形成方法としては、例えばフィルム化された熱線部をインサート成形する方法や、室内側表面に熱線部を蒸着・塗布・印刷法等により形成する方法等が挙げられる。
【0103】
また、本発明の透明樹脂を用いて樹脂製サイドミラー64(図6参照)を製造すると、従来のガラスや透明樹脂を用いた場合に比べ軽量化ができ、これに熱線ヒータを設ければ防曇機能を付与することも可能になる。図6に示したサイドミラー以外にも車室内のルームミラー等にも適用可能である。
【0104】
上記したように、本発明の樹脂組成物は、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、また熱膨張率が低く、高温時にソリなどを抑制し得るという特性を兼ね備えているために、安全性と機能面で解決すべき課題があるためまだ本格的な採用までには至っていなかったウィンドウやミラーなどの様々な用途にも適用することができる。これにより、従来要望の高かった車両の軽量化及びデザインの自由度の拡大が達成できる。また、近年、ワンボックス型のRV車の普及が目覚しくウィンドウの占める割合が増大してきており、軽量化と乗員の視認性と快適性向上から、ウィンドウの樹脂化に対する要求は益々強くなってきている。本発明の樹脂組成物により成形される透明樹脂製ガラスは、これら自動車用ウィンドウに要求される機能を備えており、車両の軽量化と快適性向上に貢献できるものである。なお、上記記載の樹脂ウィンドウ以外でも美観、平滑性、透明感等の外観品質が要求され、かつ高剛性や表面の耐擦傷性を求められる用途、例えば、建造物の外装材、内装材、鉄道車両の内装材等にも使用できる。
【0105】
また、図7に自動車ランプの横断面図を示す。図7に示すように、車体側基体71に固定されたアウタ部材72の内部にリフレクター73が配置され、該リフレクター73にはバルブ74と光軸調整器75が連結され、該アウタ部材72は、さらにアウタレンズ76が嵌合されている。従来の樹脂材料を用いてリフレクター73を構成すると、耐熱性・線膨張率・線膨張異方性に劣る場合があったが、本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの課題が解決できる。特に、本発明の樹脂組成物は高い剛性を有するため軽量で高耐熱性が確保でき、かつ寸法安定性と表面平滑性に優れるランプリフレクターとすることができ、ヘッドランプ、フォグランプ、リアコンビランプ等のリフレクター、またはヘッドランプのサブリフレクター等に好適に使用できる。尚、反射部の形成方法としては、例えば、該部材を製造する際に反射膜部をインサート成形する方法や、該部材を射出成形・プレス成形により成形後に、反射部に蒸着膜を形成させる方法等がある。
【0106】
また、本発明の樹脂組成物を使用して、エンジンルーム内カバーおよびケースに応用することができる。エンジンルーム内を図8および図9に示す。本発明の樹脂組成物は透明性、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れるため、温度条件の厳しいエンジンルーム内において使用可能で、かつ軽量な部品とすることができる。このような部品としては、例えば、ラジエーター81、冷却液リザーブタンク82、ウオシャータンクインレット83、電気部品ハウジング84、ブレーキオイルタンク85、シリンダーヘッドカバー86、エンジンボディー91、タイミングチェーン92、ガスケット93、フロントチェーンケース94などがある。しかも、本発明の樹脂組成物は透明であるため、上記ウオッシャータンクインレット、電気部品ハウジング、ブレーキオイルタンク、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー等のタンクあるいはカバー内の視認性を向上させることができる。
【0107】
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れたより軽量な部品とすることができることから、自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品用途に好適に使用される。このような樹脂製冷却装置部品を図10、11に示す。例えば、図10に示すウォータパイプ101、O−リング102、ウォータポンプハウジング103、ウォータポンプインペラ(羽車)104、ウォータポンプ105、ウォータポンププーリ106、図11に示すウォータパイプ111、サーモスタットハウジング112、サーモスタット113、ウォータインレット114等のラジエタータンクのトップおよびベースなどのラジエタータンク部品、冷却液リザーブタンク、バルブなどの部品が挙げられる。該樹脂組成物を使用すると軽量化、耐薬品性向上、燃費向上が図られるため、その実用価値が高い。
【0108】
なお、本発明の上記各部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。なお、各層を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0109】
本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を含んで成る、大気と連通した中空構造および/または密閉された中空構造を有することを特徴とする樹脂一体成形体である。上記のように、本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えば、ドアやルーフ、フード等のような中空構造を有する部品の用途に好適である。本発明の樹脂一体成形体としては、自動車の外板および内外装部品が好ましく挙げられる。この際、自動車の外板および内外装部品は、鋼板と樹脂パネルより構成され、かつ部品内部に補機等を装着する中空構造を有している部品が多い。例えば、側面ドアおよびバックドアは、外側および内側を鋼板で中空構造を構成し、塗装を経て組み立て工程で内側鋼板に樹脂パネルを取り付け、中空構造内に各種補機等を取り付けている。また、ルーフ、フード、トランクリッド、バックドア等は、外板および補強レインホース等を鋼板で構成し、塗装後に内側に樹脂部品を取り付けている。これらの中空構造を有する部品は大型であり、剛性や寸法安定性も要求されるため、従来の樹脂材料では一体成形が難しかった。しかしながら、高剛性、低熱膨張率、低熱収縮率を有する本発明の樹脂組成物を使用すると一体成形が可能となり、これらの部品の部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0110】
本発明の樹脂一体成形体は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、例えば、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。多層積層体を構成する他の樹脂の種類や各層の厚さなどは、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0111】
本発明の樹脂一体成形体は、最表面層に表皮材、意匠印刷層等の加飾層を設けることで意匠性、触感、質感を高め商品性を向上することができるため、一体成形体の最表層が加飾材で構成されることが好ましい。例えば、起毛シート、エンボス紋様シート、レーザー紋様シート、木目調シート等の表皮材を最表面層に設けた成形体は、ルーフ室内側、ピラーガーニッシュ類、インストルメントパネル等に用いることができる。前述の多層積層体を用いた場合には、意匠印刷層はその中間層に設けてもよく、表層を透明材とすることで光沢感、深み感を高めることができる。
【0112】
本発明の中空構造を有する一体成形体において、中空構造は、気体、液体若しくは固体またはこれらの混合物が充填、封入されることが好ましい。断熱性能、遮音性能を向上させることができるからである。充填、封入される材料は、特に制限されず、公知の充填・封入材が使用できるが、例えば、透明性が要求される場合には、窒素、アルゴン、二酸化炭素、空気等の気体が好ましく、透明性が要求されない場合には、前述の気体の他、封入時の加熱で液状を示しかつ封入後の常温では固体状になるパラフイン、ワックス等が好ましい。上記封入材により、夏期には車室内から冷熱の逃げ、外気の高熱の侵入を、冬期には温熱の逃げ、外気の冷熱の侵入を抑制し快適な車室内環境を維持できる。また二重壁で内に中空部を有する構造により、外部からの騒音エネルギーを緩和、あるいは吸収し静粛な車室内環境を達成できる。また、フードに本発明の樹脂一体成形体を適用することでエンジンルームからの放射音、放射熱を低減できる。
【0113】
本発明の中空構造を有する一体成形体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法が適用できるが、例えば、一般的な真空圧空成形法、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法等を用いることができる、また、例えば、下記第一から第三の方法が好適に用いられる。
【0114】
第一の方法としては、加圧流体導入経路を備えたホルダーに、2枚の本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートを固定し、公知の方法でホルダーをシールして2枚のシート間に密閉空間を形成する。各シートを荷重たわみ温度以上に加熱し、開放状態の金型に挿入した後に、軟化したシートの外周部を金型で押圧して溶着する。この際、外周部を溶着する前あるいは溶着しつつあるいは溶着した後に、好ましくは溶着する前あるいは溶着した後に、2枚のシート間の密閉空間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張後、金型を閉状態にして成形体が冷却するまで加圧流体圧を保持し、これにより中空構造を形成する。好ましくは、真空引き孔を設けた金型を用い、シート拡張時に真空吸引を併用して、金型面とシートとの密着性を高める。真空吸引を用いることによって、得られる一体成形体の転写性を向上できる。すなわち、本発明に係る樹脂一体成形体の代表的な1つの製造方法としては、本発明の樹脂組成物を含んでなる樹脂シート2枚を加熱し、これを開状態の金型に挿入し、シート外周部を押圧し、外周部を溶着する前あるいは溶着した後にシート間に加圧流体を注入し、シートを拡張しつつ/または拡張した後に、金型を閉状態にし、加圧流体圧を保持し中空構造を形成することを特徴とするものである。
【0115】
第二の方法としては、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつあるいは充填した後、金型を後退して、キャビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。すなわち、本発明に係る樹脂一体成形体の代表的な他の製造方法としては、閉状態の金型内に溶融した本発明の樹脂組成物を充填しつつ/または充填後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成することを特徴とするものである。
【0116】
第三の方法としては、金型片面のキャビティ面に本発明の樹脂組成物よりなる樹脂シートを1枚インサートし、背面に溶融樹脂を充填しつつ、あるいは充填後に金型を後退しキャビティ容積を拡大しつつ溶融樹脂内部に加圧流体を注入し中空構造を形成する方法、あるいは2枚の樹脂シートを用い金型両面のキャビティ面にシートをインサートし、シート間に溶融樹脂を充填しキャビティ容積を拡大し加圧流体を注入し中空構造を形成する方法である。すなわち、本発明に係る樹脂一体成形体の代表的なさらに他の製造方法としては、開状態の金型キャビティ面に本発明の樹脂組成物を含んでなる樹脂シートを1枚もしくは2枚インサートし、金型を閉状態で2枚のシート間もしくは1枚のシート背面に溶融樹脂を充填しつつまたは充填した後、キャビティ容積を拡大しつつ加圧流体を溶融樹脂内に注入し中空構造を形成することを特徴とする、樹脂一体成形体の製造方法を提供するものである。
【0117】
上記態様において、シートに充填される樹脂の種類は、本発明の樹脂組成物からなるシートと密着する樹脂であれば特に制限されないが、好ましくは、シートの樹脂組成物と接する樹脂種と同種の樹脂またはこれとSP値が近いものが使用される。このような充填樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が挙げられ、特にポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。ここにポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAに代表される二価のフェノール系化合物から誘導される重合体で、ホスゲン法、エステル交換法、あるいは固相重合法のいずれにより製造されたものでもよい。更に、従来からあるポリカーボネート樹脂の他にエステル交換法で重合したポリカーボネート樹脂でもよい。
【0118】
本発明において、加圧流体しては、特に制限されず、樹脂シートの成分等を考慮して公知の加圧流体から選択される。例えば、空気、窒素ガス等の気体、水やシリコンオイル等の液体などが好ましく使用される。
【0119】
本発明の中空構造を有する樹脂一体成形体の適用部品としては、図12、13に示すように、例えば、フード121、ドア122、バックドア123、ルーフ124、フェンダー125、ウィンドウ126、トランクリッド127、センターコンソールボックス131、ピラーガーニッシュ132、インストルメントパネル133、ヘッドライニング(図示せず)等を挙げることができる。これらの部品はインナー/アウターおよび付帯する部品やレインホース等を同時にかつ一体で成形でき、部品数の低減および工程数を短縮することができる。更に中空部に気体、液体、固体あるいはこれらの混合物を封入することで、断熱性能、遮音性能等の付加的な機能を付与することができる。例えば、フードではレインホースとの一体化や遮音・遮熱機能の付与が可能であり、ルーフではヘッドライニングとの一体化や断熱・遮音機能の付与が可能であり、ドアやフェンダーではインナー/アウターの一体化が可能である。
【0120】
本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を含んで成る、異なる機能を有する2種類以上の部品を統合することを可能にし、ひとつの部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品である。ここに異なる機能とは、例えば、インストルメントパネルのような表示機能、エアコンダクトなどのような通風機能、ルーフレール等の固定機能などをいう。本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性、耐薬品性等の多彩な機能を有するため、種々の機能の確保が期待される部材に応用することができ、これらを一体成形することで異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、ひとつの部品に二種類以上の機能が付与された一体成形部品とすることができる。これによって大型部品の一体化、いわゆるモジュール化やインテグレーション(統合化)に好適であり、高品質を維持しながら部品点数、工程数、重量の低減が可能になる。
【0121】
例えば、大型内装部品であるインストルメントパネルは、現在、パネル部とエアコンのエアダクトやケース、クロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を別々に作り、これらを車の製造ラインで組み立てている。従来の樹脂材料でパネル部とエアコンのエアダクトやケースを一体成形しようとすると、大型かつ複雑な形状の部品のため、成形収縮によるヒケや歪み、熱時の膨張などが課題となるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。また、本発明の樹脂組成物は上記したように高耐熱性を有し、加熱時/成形時の寸法安定性に優れているので、本発明の樹脂組成物を含んで成る一体成形部品であるインストルメントパネルは、図14に示すように、パネル部141とエアコンのエアダクトやケース142を一体成形により部品全体を構造体とすることが可能で、従来スチールが使用されているクロスカービーム(ステアリングクロスメンバー)を廃することが可能である。また本発明の樹脂組成物を用いることでスチールでは後付けする必要があったブラケット等も一体成形可能となる。また一体成形時に金型内に表皮材等の加飾材を投入しインサート成形することにより、加飾材との一体成形も可能になる。同様の効果は、例えば、ドアに適用した場合でも得られる。現在のドアインナーパネルはスチール製が主で、ここにサイドウィンドウ用のガイドレールやレギュレータ、ドアロック、スピーカ等の各種部品が製造ラインで組み付けられる。本発明の樹脂組成物を用いることでドアインナーパネル、ガイドレール、スピーカハウジング等を一体成形部品とすることができる。
【0122】
図15に本発明の一体成形部品の他の例を示す。図15に示すように、大型外装部品であるルーフレール151を例にすると、前述した本発明の樹脂組成物製のルーフパネル152との一体成形が可能となる。ルーフレールは重量がかかり、また温度的にも厳しい環境で使用されるため、従来の樹脂材料では特に剛性と耐熱性(耐寒性を含む)が課題となっていた。しかしながら、本発明の樹脂組成物を用いることで、このような課題が解決可能となる。同様の効果は、例えば、スポイラーに適用した場合でも得られ、前述した本発明の樹脂組成物製のトランクリッドとの一体成形が可能である。
【0123】
また、図16に示すように、大型車体部品であるラジエタコアを例にすると、現在フロントエンドモジュールとして樹脂製のラジエタコアが世に出つつあるが、本発明の樹脂組成物を用いることで更に耐熱性、耐薬品性、剛性強度に優れた、より軽量な部品とすることができ、またファンシュラウドやブラケット等も一体成形可能となる。また、本発明では、樹脂組成物を透明材として用いることも可能であり、このような場合には、例えば、ラジエタのリザーバタンク、ヘッドランプカバー等の透明部材を含めて一体成形することも可能である。さらに、従来は別体であったバンパ補強材をも含めて一体成形することも可能となる。
【0124】
また、エンジンルーム内部品であるエアクリーナーやスロットルチャンバー等を例にすると、耐熱性と耐薬品性に優れ、低熱線膨張の本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの一体成形が可能となる。従来よりこのような一体化は試みられているが、エンジンルーム内は高温かつオイル等の薬品による厳しい環境であり、従来の樹脂材料ではこの対策が課題になるが、本発明の樹脂組成物を用いることでこのような課題が解決可能となる。同様の効果は、インテークマニホールドやシリンダヘッドカバーに適用した場合でも得られ、前述の部品とともに一体成形することも可能である。
【0125】
本発明の一体成形部品は、本発明の樹脂組成物のみでも構成できるが、本発明の樹脂組成物を他の樹脂材料と積層した多層積層体で構成することも可能である。このような多層積層体は少なくとも本発明の樹脂組成物から成る層を一層以上含んでいればよく、好ましくは積層体の最表面層と最下層、更に好ましくは中間層にも該樹脂組成物層を設けることができる。多層積層体とすることで本発明の樹脂組成物のみでは発現できないような付加機能をも付与することが可能となる。
【0126】
本発明の樹脂組成物は、高剛性、高耐熱性であり、加熱時/成形時の寸法安定性にも優れるため、例えば、スロットルチャンバーのような可動部と非可動部を有する部品の用途に好適である。したがって、本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を含んで成る可動部と非可動部を有する成形体である。
【0127】
自動車の吸排気系部品やエアコンユニット内には、可動部と非可動部を有する部品が多数用いられている。これらの部品は、主に空気などの気体の流れを制御するためのものであり、非可動部としての、気体を流路となる、即ち、流動気体を導入する筒状の部品(成形体)と、可動部としての、気体流動を制御する開閉可能な蓋から構成され、例えば、スロットルチャンバーやエアコンユニット内の各ドアが挙げられ、これらの部品では気密性が重要となる。
【0128】
従来の樹脂材料を用いてこれらの部品の筒状部分と蓋部分を成形しようとすると、成形収縮率や熱膨張率が大きいため、寸法精度が上げられず、開閉部分の気密性が課題であった。また、特にエンジンルーム内の部品に適用する場合、耐熱性も要求されるため、この点も課題となった。しかしながら、低熱膨張率、低熱収縮率、高耐熱性を有する本発明の樹脂組成物を用いることで、これらの課題が解決可能となり、気密性に優れた部品とすることができる。また、本発明の樹脂組成物は高剛性であるため、これらの樹脂組成物を用いることにより、部品の軽量化とそれによるレスポンスの向上が可能となる。
【0129】
本発明の可動部と非可動部を有する成形体の製造方法は、特に制限されず公知の方法が使用できる。本発明の可動部と非可動部を有する成形体は、例えば、射出成形法を用いて可動部と非可動部を別々に成形した後、これらを組み立てる方法を使用してもよいが、例えば、二色成形法等の方法で可動部と非可動部を一体成形することが好ましい。気密性がより向上し、また工程数や部品数の低減が可能になるためである。図17に示すスロットルチャンバーを例に取ると、例えば、下記方法で製造可能である。
【0130】
スロットルチャンバーは、非可動部である筒状のチャンバー部171と、可動部である開閉バルブ172および開閉バルブシャフト173を有する。まず、二色成形用金型内に、開閉バルブ用金属製シャフトをセットし、次に円筒状のチャンバーを射出成形し、続いて円盤状の開閉バルブを成形するためにスライドコアを後退して円盤状の開閉バルブを射出成形する。このとき金属製シャフトと円盤状の開閉バルブが一体化される。本発明によれば、可動部が気体流動を制御する開閉蓋であり非可動部は流動気体を導入する筒状成形品にも、好ましく応用することができる。
【0131】
本発明の樹脂組成物は、炭化水素系燃料の遮断性、ガスバリア性、耐薬品性に優れるため、炭化水素系燃料を収納する部品または容器、炭化水素系燃料を収納する部品または容器、例えば、燃料タンク等の炭化水素系燃料を収納する車両用の一連の燃料系部品、灯油容器等の家庭用品の用途に好適である。したがって、本発明に係る樹脂組成物の用途の1つとしては、本発明の樹脂組成物を含んで成る炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器である。
【0132】
図18に、このような部品や容器である、自動車等の車両における樹脂製燃料タンクを示す。フィラーチューブ181を介して炭化水素系燃料であるガソリンが燃料タンク182に注入・貯蔵され、ついで当該ガソリンが燃料ポンプ183によりエンジン(図示せず;符号184としてのみ表示する)に圧送される形式の燃料系システムとなっている。燃料系部品において本発明の樹脂組成物が適用できる部品としては、燃料タンク182、フィラーキャップ185、ベントチューブ186、フューエルホース187、フューエルカットオフバルブ(図示せず)、デリバリーパイプ(図示せず)、エバポチューブ(図示せず)、リターンチューブ(図示せず)、フューエルセンダーモデュール(図示せず)等が挙げられる。燃料タンクはこれら車両の燃料系システム部品の中で最大規模の部品である。近年樹脂化が進み、部品形状の自由度増の効果により金属製に比べ貯蔵燃料量が約10リットルほど増大、かつ重量も25%程度軽減された。この利点から燃料タンクの樹脂化への期待が一層高まっている。
【0133】
ここで、燃料タンクの樹脂化の現状と課題について詳述する。従来から、母材樹脂としてオレフィン系のHDPE(高密度ポリエチレン)が使用され、その工法として吹き込み法で成形が行われてきた。これらの材料と工法には大きな変化はなかったが、タンクの層構造は大きく変化した。例えば、当初は単層型燃料タンクであったが、炭化水素の蒸散規制法の施行に伴い、炭化水素の透過低減のため燃料タンクの多層化が余儀なくされた。その結果、現在燃料タンクはHDPE/PA(ポリアミド)またはHDPE/EVOH(エチレン酢酸ビニル共重合体)の両端をHDPEで構成する3種5層からなる多層構造タンクが主流となっている。この場合の成形は、従来と同じ吹き込成形である。
【0134】
単層型燃料タンクにおいて、タンクより多くの炭化水素系燃料が透過するのは両者の相溶性が良いのが原因である。相溶の尺度である溶解度パラメータ(以下SP値)はHDPEが7.9、炭化水素系燃料が6〜8であり、両者は同じ領域にある。一方、多層タンクに用いるPAのSP値は13.6で、炭化水素系燃料とのSP値の開きが大きい、換言すれば相溶性が悪い領域にある。これらより多層燃料タンクにおけるPA材は炭化水素系燃料のタンク外への透過を阻止するバリアー層として設置されたものである。当該多層燃料タンクの創出により炭化水素の蒸散規制法を満たす技法が確立されたものの成形工程が煩雑となって大幅な価格上昇を招いた。上記問題に加えて、複数の樹脂の積層構造としたため、リサイクルの円滑性が失われ、リサイクル社会という時代の要請に応えがたい新たな課題を残した。
【0135】
これに対して、本発明の樹脂組成物中の表面改質した金属酸化物(例えば、シリカ化合物)は、シラノール基を残しているためSP値は11を超え、前述のPAやEVOHに相当する炭化水素系燃料の透過阻止の機能がある。また、本発明の樹脂組成物の主たる成分は、アクリル等の極性基を有するSP値が11以上の樹脂が主体であり、炭化水素系燃料としてのガソリンとは馴染みにくい、換言すれば相溶性が悪い材料構成となっているため、燃料タンクとしてより望ましい材料である。従って、本発明の樹脂組成物を用いれば、単層型でも炭化水素の蒸散法規制を満たす車両用の燃料タンクを提供することができる。これにより課題である製造コストの低減が図れ、かつリサイクルの社会的要請に応えることできるようになる。この際、本発明の樹脂組成物は、単層型または必要であれば多層型のいずれの場合であっても、従来と同様、吹き込成形によって車両用燃料タンクに成形することが使用できる。
【0136】
なお、車両用の燃料タンクに比べると効果はやや低いものの、本発明の樹脂組成物は、灯油容器等の家庭用品に用いることもできる。これにより灯油の大気への蒸散が軽減され、地球環境の保全に寄与することができる。
【0137】
上記したように本発明では、更に、顔料等の着色剤を樹脂組成物に混練したり、着色層を挿入して所望の色調を有する部品を得ることも可能である。このため、上記記載の自動車以外でも美観、平滑性、透明感等の外観品質が要求され、かつ高剛性や表面の耐擦傷性を求められる用途、例えば、建造物の外装材、内装材、鉄道車両の内装材等にも使用できる。
【0138】
このような車両用部品や建築用内装材などを含む各種部材の製造方法としては、上記で詳述したが、射出成形、真空圧空成形等を部品や用途に合わせて適宜選択すればよい。一般的なガラス繊維強化樹脂は、せん断応力を繰り返し受けることによってガラス繊維が壊れるためにその物性が徐々に低下しリサイクル性も低いが、本発明の樹脂組成物は、上記表面改質した金属酸化物(例えば、シリカ化合物)を用いているため、せん断応力を受けにくく、物性の低下を抑えることができる。
【0139】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0140】
なお、以下の実施例および比較例において、特に断らない限り、「部」は、「質量部」を表すものとする。また、以下の実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いて成形された試験片の製造条件、該試験片の全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の測定法は以下の通りである。
【0141】
(1)試験片
得られた樹脂組成物を乾燥して、温度170℃、圧力20kg/cm2、加圧時間5分の製造条件で加熱プレス成形して、長さ70mm、幅10mm、厚さ0.5〜1mmの試験片を得た。なお、実施例および比較例の試験片は、すべて同一の上記製造条件で同一形状の試験片を作製した。
【0142】
(2)全光線透過率の測定法
全光線透過率は、ヘイズメータ(村上色彩研究所製 HM−65)で測定した。
【0143】
(3)シリカ化合物の分散状態
シリカ化合物の分散状態は、ウィンドウ試験片を厚さ方向に切断し、切断面を透過電子顕微鏡(日立製作所株式会社製 H−800)を使用し、倍率80000倍に拡大し、写真撮影し、拡大される海島構造で、島(網目状若しくは鎖状のシリカ微粒子連結体またはそれらの凝集物)の大きさ(写真撮影した範囲に含まれる島の大きさの平均値)を観察した。観察による分散状態は、島の大きさが可視光線の波長380nm以下であれば透明性は良好であり、200nm以下であれば透明性が特に良好なことから以下により判定評価した。なお、島の大きさは、網目状若しくは鎖状のシリカ微粒子連結体またはそれらの凝集物の最大長さとした。
【0144】
・特良好:島の大きさが、200nm以下のもの。
【0145】
・良好 :島の大きさが、200nm超から380nm以下のもの。
【0146】
・凝集有:島の大きさが、380nmを超えるもの。
【0147】
(4)ロックウエル硬度の測定法
ロックウエル硬度は、ロックウエル硬度計(Mスケール)で測定した。
【0148】
(5)曲げ強度および曲げ弾性率の測定法
曲げ強度および曲げ弾性率は、オートグラフ(島津製作種株式会社製 DCS−10T)で測定した。
【0149】
(6)線膨張係数の測定法
線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業株式会社製 TMA120C)で測定した。
【0150】
実施例1
重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(以下、単にAIBNともいう)を、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびアクリル酸モノマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加し、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散の3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)30/70の樹脂組成物を得た。本実施例の表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体としては、該表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体を構成する無機微粒子として、太さ5〜10nm、長さ7〜50nmで、表面官能基(水酸基)としてシラノール基を有するシリカ微粒子を用いてなる、日産化学株式会社製のスノーテックスOUPを用いた。また、表面改質により、表面改質前のシリカ微粒子連結体表面の水酸基の15〜50%が表面改質されているものとした(これはバラツキがあって、15〜50%の範囲のものが含まれているということである。以下、同様である)。
【0151】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、アクリル樹脂単独(比較例3で述べる)に比べ、またシリカ表面の処理なしの場合(比較例1で述べる)に比べ、またシリカ表面のアルキル基処理の場合(比較例2で述べる)に比べ表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。
【0152】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0153】
実施例2
重合開始剤AIBNを、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびスチレンスルホン酸モンマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散のN−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した網目状のシリカ微粒子連結体(長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)30/70の樹脂組成物を得た。本実施例の表面改質前の網目状のシリカ微粒子連結体としては、該表面改質前の網目状のシリカ微粒子連結体を構成する無機微粒子として、太さ5〜10nm、長さ7〜50nmで、表面官能基(水酸基)としてシラノール基を有するシリカ微粒子を用いてなる、日産化学株式会社製のスノーテックスOUPを用いた。また、表面改質により、表面改質前のシリカ微粒子連結体表面の水酸基の15〜50%が表面改質されているものとした。なお、網目状のシリカ微粒子連結体は、鎖状のシリカ微粒子連結体の側鎖が成長して、網目状のシリカ微粒子連結体になったものである。よって、ここでいう網目状のシリカ微粒子連結体の長さとは、全体の大きさの中で、最大長の部分の長さを言うものである。
【0154】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、アクリル樹脂単独(比較例3で述べる)に比べ、またシリカ表面の処理なしの場合(比較例1で述べる)に比べ、またシリカ表面のアルキル基処理の場合(比較例2で述べる)に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。さらに実施例1の組成物に比べて、線膨張率が小さく、より良好な結果を示した。
【0155】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0156】
実施例3
重合開始剤AIBNを、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびアクリル酸モノマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散の3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ30〜80nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)30/70の樹脂組成物を得た。本実施例の表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体としては、該表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体を構成する無機微粒子として、太さ5〜10nm、長さ7〜50nmで、表面官能基(水酸基)としてシラノール基を有するシリカ微粒子を用いてなる、日産化学株式会社製のスノーテックスOUPを用いた。また、表面改質により、表面改質前のシリカ微粒子連結体表面の水酸基の15〜50%が表面改質されているものとした。
【0157】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、アクリル樹脂単独(比較例3で述べる)に比べ、またシリカ表面の処理なしの場合(比較例1で述べる)に比べ、またシリカ表面のアルキル基処理の場合(比較例2で述べる)に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、実施例1に示した樹脂組成物に比べて、曲げ強度は低下している。これは、シリカ微粒子連結体の長さが短いからである。
【0158】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0159】
実施例4
重合開始剤AIBNを、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびアクリル酸モノマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散の3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ350〜500nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)30/70の樹脂組成物を得た。本実施例の表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体としては、該表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体を構成する無機微粒子として、太さ5〜10nm、長さ7〜50nmで、表面官能基(水酸基)としてシラノール基を有するシリカ微粒子を用いてなる、日産化学株式会社製のスノーテックスOUPを用いた。また、表面改質により、表面改質前のシリカ微粒子連結体表面の水酸基の15〜50%が表面改質されているものとした。
【0160】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、アクリル樹脂単独(比較例3で述べる)に比べ、またシリカ表面の処理なしの場合(比較例1で述べる)に比べ、またシリカ表面のアルキル基処理の場合(比較例2で述べる)に比べ、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、実施例1に比べ、曲げ強度は優れるが、分散性が劣るため透明性は劣り、硬度もやや劣る。これは、シリカ微粒子連結体の長さが、可視光線波長の長さより大きいためである。
【0161】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0162】
実施例5
重合開始剤AIBNを、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびアクリル酸モノマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散の3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)10/90の樹脂組成物を得た。本実施例の鎖状のシリカ微粒子連結体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0163】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、アクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、実施例1の組成物に比べ、曲げ強度、曲げ弾性率、硬度、および線膨張率の向上は少ない。これは、シリカ微粒子連結体の配合量が少ないためである。
【0164】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0165】
実施例6
重合開始剤AIBNを、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびアクリル酸モノマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にメチルエチルケトン溶剤分散の3−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)70/30の樹脂組成物を得た。本実施例の鎖状のシリカ微粒子連結体は、実施例1と同様のものを用いた。
【0166】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、アクリル樹脂単独に比べ、透明性、曲げ強度は劣るが、表面硬度向上、曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。
【0167】
しかし、実施例1の組成物に比較して、曲げ弾性率は大きくなるが、透明性や曲げ強度は劣る。これは、シリカ微粒子連結体の配合量が多すぎるため、シリカ微粒子連結体の凝集や欠陥が増加するためである。ただしシリカ微粒子連結体の凝集物に欠陥があると曲げ強度は低下することから、実施例6では比較例1、2に比してその配合率が非常に高く、その一部に欠陥を生じているものと思われる。この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0168】
比較例1
重合開始剤AIBNを、メチルエチルケトンに溶解したメタクリル酸メチルモノマー(0.7モル/リットル)およびアクリル酸モノマー(0.3モル/リットル)に対し0.5モル%添加、80℃に加熱し、徐々にアルコール水溶液分散の鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm)を滴下しながら重合反応させた。約6時間後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)30/70の樹脂組成物を得た。本比較例の鎖状のシリカ微粒子連結体は、実施例1の表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体と同様のものを用いた。
【0169】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、透明性良好で、アクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、実施例1および実施例2の樹脂組成物に比較して、表面硬度は低く、曲げ強度および曲げ弾性率も低い値を示した。シリカ微粒子連結体の大きさが380nmを超えると透過率は低下するが、本比較例での透過率は、実施例6や比較例1よりも低いことから、シリカ微粒子連結体は凝集物が大きいといえる。
【0170】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0171】
比較例2
ポリメタクリル酸メチル100部をメチルエチルケトン溶剤100部に溶解し、この溶液にメチルエチルケトン分散媒に分散のトリメチルクロロシランを使用してアルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体(太さ5〜10nm、長さ90〜350nm;シリカ微粒子連結体30質量%のメチルエチルケトン溶液)を滴下しながら混合させて、その後に凝固用溶剤ヘキサンで沈降させ、シリカ微粒子連結体とアクリル樹脂の組成比率(質量比)30/70の樹脂組成物を得た。本比較例の表面疎水化処理前の鎖状のシリカ微粒子連結体は、実施例1の表面改質前の鎖状のシリカ微粒子連結体と同様のものを用いた。また、表面疎水化処理により、表面疎水化処理前のシリカ微粒子連結体表面の水酸基の15〜50%がアルキル基で表面疎水化処理されているものを用いた。本比較例のシリカ微粒子連結体の表面疎水化処理は、シリカの水酸基をシリル化剤で処理してアルキル基を導入したものを用いた。
【0172】
得られた樹脂組成物を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。得られた試験片は、アクリル樹脂単独に比べ、透明性は劣るが、アクリル樹脂単独に比べ、表面硬度向上、曲げ強度および曲げ弾性率向上、線膨張率低下を示した。しかし、シリカ微粒子連結体の分散性が悪いため、実施例1および実施例2の樹脂組成物に比べ、透明性、硬度、曲げ強度、曲げ弾性率は劣る。また、透過電顕での分散状態などから、本比較例ではポリメタクリル酸メチルと、アルキル基で表面疎水化処理した鎖状のシリカ微粒子連結体とは化学反応することなく、ポリメタクリル酸メチル中に、該シリカ微粒子連結体が分散されているだけである。
【0173】
この試験片で得られた全光線透過率、透過電顕での分散状態、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0174】
比較例3
メタクリル酸メチル100部に過酸化ベンゾイル0.5部を混合、90℃に加熱し、重合反応させて、約1時間後に凝固用溶剤エタノールで沈降させてアクリル樹脂を得た。
【0175】
得られた樹脂組成物(アクリル樹脂)を乾燥して、加熱プレス成形して試験片を得た。この試験片で得られた全光線透過率、ロックウエル硬度、曲げ強度、曲げ弾性率、線膨張係数の結果を表1に示す。
【0176】
【表1】
Figure 0004135881

【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例として、ドアモール、ドアミラーのフレーム枠、ホイールキャップ、スポイラー、バンパー、ウィンカーレンズおよびピラーガーニッシュを示す説明図であって、これらの車両用外装部品の位置を解説したセダン系自動車のリアサイドからの外観斜視図である。
【図2】 本発明に係る樹脂組成物の車両用外板用途の一例として、フロントフェンダー、ドアパネル、ルーフパネル、フロントパネルおよびリアパネルを示す説明図であって、図2(a)は、これらの車両用外板の位置を解説したセダン系自動車のリアサイドからの斜視図であり、図2(b)は、自セダン系自動車の平面図である。
【図3】 本発明に係る樹脂製ワイパーシステムの模式図である。
【図4】 本発明に係る透明部と不透明部を有する樹脂成形体であって、少なくとも透明部が本発明の樹脂組成物を含んで成る樹脂成形体の車両用外装部品用途の一例として、ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体、ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体、ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体、バックドア・ガラス一体樹脂成形体およびドア・ガラス一体樹脂成形体を示す説明図であって、これらの車両用外装部品の位置を解説したワゴン車のリアサイドからの外観斜視図である。
【図5】 本発明に係る透明樹脂部と不透明樹脂部とを一体で成形したインストルメントパネルおよび計器類のカバーを示す模式図である。
【図6】 本発明に係る樹脂製ミラー、樹脂製ウィンドウを示す説明図であって、これらの車両用部品の位置を解説したセダン系自動車の平面図である。
【図7】 本発明の樹脂製ランプリフレクターを示す横断面図である。
【図8】 本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例として、ラジエーター、冷却液リザーブタンク、ウオシャータンクインレット、電気部品ハウジング、ブレーキオイルタンクおよびシリンダーヘッドカバーを示す説明図であって、自動車のフードパネルを取り外した状態でのエンジンルーム内の概略斜視図である。
【図9】 本発明に係る樹脂組成物を用いたエンジンルーム内部品の一例として、エンジンボディー、タイミングチェーン、ガスケットおよびフロントチェーンケースを示す説明図であって、これらの各部品構成がわかるようにした分解斜視図である。
【図10】 本発明に係る樹脂組成物を用いてなる樹脂製冷却装置部品の一例として、ウォータパイプ、O−リング、ウォータポンプハウジング、ウォータポンプインペラ(羽車)、ウォータポンプおよびウォータポンププーリを示すセ説明図であって、これらの各部品構成がわかるようにした分解斜視図である。
【図11】 本発明に係る樹脂組成物を用いてなる樹脂製冷却装置部品の他の一例として、ウォータパイプ、サーモスタットハウジング、サーモスタット、およびウォータインレットを示す図であって、これらの各部品構成がわかるようにした分解斜視図である。
【図12】 本発明に係る樹脂組成物を用いた、中空構造を有する樹脂一体成形体の一例として、フード、ドア、バックドア、ルーフ、フェンダー、ウィンドウおよびトランクリッドを示す説明図であって、図12(a)は、これらの位置を示すためのセダン系自動車のドアを開いた状態でのリアサイドからの外観斜視図であり、図12(b)は、ワンボックスカーのリアサイドからの外観斜視図である。
【図13】 本発明に係る樹脂組成物を用いた、中空構造を有する樹脂一体成形体の他の一例として、センターコンソールボックス、ピラーガーニッシュおよびインストルメントパネルを示す説明図であって、図13(a)は、センターコンソールボックス位置を示す自動車の車室内の前席の斜視図であり、図13(b)は、ピラーガーニッシュおよびインストルメントパネル位置を示す自動車の車室内斜視図である。
【図14】 本発明に係る樹脂組成物を用いた、ひとつの部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品の一例として、インストルメントパネル部とエアコンのエアダクトやケースとの一体成形部品を示す説明図である。
【図15】 本発明に係る樹脂組成物を用いた一体成形部品の他の一例として、ルーフレールとルーフパネルとの一体成形部品を示す説明図であって、自動車のルーフ部分の外観斜視図である。
【図16】 本発明に係る樹脂組成物を用いた、ひとつの部品に異なる2種類以上の機能が付与される一体成形部品の他の一例として、ラジエタコアの一体成形部品を示す説明図である。
【図17】 本発明に係る樹脂組成物を用いた可動部と非可動部を有する成形体の一例として、チャンバーの可動部である開閉バルブと、非可動部である開閉バルブおよび開閉バルブシャフトを有する成形体を示す図であって、図17(a)は、これらチャンバー部、開閉バルブおよび開閉バルブシャフトを有する成形体の横断面図であり、図17(b)は、図17(a)のA−A線に沿って切断し上部から見た該チャンバー部の断面図である。
【図18】 本発明に係る樹脂組成物の車両用外装部品用途の一例として、燃料タンクおよびその周辺の燃料系部品を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ドアモール、 2…ドアミラーのフレーム枠、
3…ホイールキャップ、 4…スポイラー、
5…バンパー、 6…ウィンカーレンズ、
7…ピラーガーニッシュ、 8…リアフィニッシャー、
21…フロントフェンダー、 22…ドアパネル、
23…ルーフパネル、 24…フードパネル、
25…トランクリッド、 30…ワイパーシステム、
31…ワイパーアーム、 32…ワイパーブレード、
33…ワイパーアーム固定用ナット穴、
41…ランプ・フード・フェンダー一体樹脂成形体、
42…ピラーガーニッシュ・ガラス一体樹脂成形体、
43…ルーフ・フェンダ・ガラス一体樹脂成形体、
44…バックドア・ガラス一体樹脂成形体、
45…ドア・ガラス一体樹脂成形体、
51…インストルメントパネル、 52…計器類のカバー、
61…フロントウィンドウ、 62…ドアウィンドウ、
63…リアウィンドウ、 64…サイドミラー、
71…車体側基体、 72…アウタ部材、
73…リフレクター、 74…バルブ、
75…光軸調整器75、 76…アウタレンズ、
81…ラジエーター、 82…冷却液リザーブタンク、
83…ウオシャータンクインレット、
84…電気部品ハウジング、 85…ブレーキオイルタンク、
86…シリンダーヘッドカバー、 91…エンジンボディー、
92…タイミングチェーン、 93…ガスケット、
94…フロントチェーンケース、 101…ウォータパイプ、
102…O−リング、 103…ウォータポンプハウジング、
104…ウォータポンプインペラ(羽車)、
105…ウォータポンプ、 106…ウォータポンププーリ、
111…ウォータパイプ、 112…サーモスタットハウジング、
113…サーモスタット、 114…ウォータインレット、
121…フード、 122…ドア、
123…バックドア、 124…ルーフ、
125…フェンダー、 126…ウィンドウ、
127…トランクリッド、 131…センターコンソールボックス、
132…ピラーガーニッシュ、 133…インストルメントパネル、
141…パネル部、 142…エアコンのエアダクトやケース、
151…ルーフレール、 152…ルーフパネル、
171…チャンバー部、 172…開閉バルブ、
173…開閉バルブシャフト、 181…フィラーチューブ、
182…燃料タンク、 183…燃料ポンプ、
185…フィラーキャップ、 186…ベントチューブ、
187…フューエルホース、 188…空気室。

Claims (17)

  1. アミノ基とイオン結合を形成可能な官能基を有する少なくとも1種類の不飽和単量体とアクリル系モノマーの共重合体であるアクリル系コポリマーに、
    表面に水酸基を有する微小な金属酸化物の表面の水酸基の一部をアミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小な金属酸化物をイオン結合によって均一に配合分散されていることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 上記表面に水酸基を有する微小な金属酸化物がシリカの場合に、
    シリカ表面のシラノール基の一部をアミノ基および/またはアミノ基を有するアルキル基で表面改質した微小なシリカ化合物をイオン結合によって均一に配合分散されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 上記不飽和単量体が有する官能基が、上記シリカ表面を改質したアミノ基とイオン結合をすることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 上記不飽和単量体が有する官能基が、シリカ表面を改質したアミノ基とイオン結合をするカルボキシル基および/またはスルホン酸基であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 上記不飽和単量体の質量分率が、アクリル系コポリマーに対して最大30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 上記シリカ表面の表面改質剤は、シラノール基と反応性があり、
    表面改質後には、アクリル系コポリマーのカルボキシル基またはスルホン酸基とイオン結合をするアミノ基を有することを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  7. 上記シラノール基との反応性のある官能基は、クロル基、メトキシ基あるいはエトキシ基のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 上記アクリル系コポリマーは、メタクリル系単量体および/またはアクリル系単量体から合成されるアクリル樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 上記微小なシリカ化合物の質量分率が、樹脂組成物100質量%に対して0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  10. 上記微小なシリカ化合物は、粒子状、鎖状および網目状よりなる少なくとも1種で、最大長さが380nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  11. 上記微小なシリカ化合物は、粒子状、鎖状および網目状よりなる少なくとも1種で、平均1次粒径が5〜50nmであることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする車両用内外装部品成形体および車両用外板。
  13. 透明部と不透明部を有する樹脂成形体において、少なくとも透明部が請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする樹脂成形体。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を含んで成る、大気と連通した中空構造および/あるいは密閉された中空構造を有することを特徴とする樹脂一体成形体。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を含んで成る、異なる機能を有する二種類以上の部品を統合し、ひとつの部品に少なくともこれら二種類以上の機能を付与してなることを特徴とする一体成形部品。
  16. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする可動部と非可動部を有する成形体。
  17. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の樹脂組成物を含んで成ることを特徴とする炭化水素系燃料を収納する部品あるいは容器。
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