JP4134819B2 - シリンダブロック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダブロックに係り、詳しくは、オープンデッキタイプのウォータジャケットを有するサイアミーズ式のシリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シリンダブロックには、シリンダバレル内で連続して起こる燃焼による急激な圧力の変化、高温の発生及び冷えた混合気の瞬間的な流入等に耐えるために十分な剛性が要求される。高剛性を確保できるシリンダブロックの構成としては、サイアミーズ式のシリンダブロック(サイアミーズブロック)の構成が知られている。
【0003】
サイアミーズブロックは、シリンダブロックの長手方向(サイド方向)にて隣り合うシリンダバレル同士を連結させ一体化させたものである。また、サイアミーズブロックでは、シリンダヘッドとの接合面が冷却水通路として開いているオープンデッキタイプのシリンダブロックの構成が知られている。これにより、高剛性の確保、シリンダブロックの小型化や軽量化の達成の他、シリンダヘッドとの接合面が開いていないクローズドデッキタイプに比して冷却性能が有利になる。
【0004】
しかし、オープンデッキタイプのサイアミーズブロックでは、ピストンを収容するシリンダライナの冷却性が劣ることに基づく問題が存在する。隣り合うシリンダバレル間には間壁が形成され、この間壁には燃焼室及びピストン周辺の冷却を行うウォータジャケットを有していないからである。つまり、気筒間が冷却され難くなれば、シリンダライナが変形し、ピストンが引っ掻き若しくは引きずり等のスカッフを起こし易くなるとの問題である。この問題は、ブローバイガスの増大や潤滑用のエンジンオイル消費量の増大に繋がることになる。
【0005】
そこで、間壁の構成を改良させたオープンデッキタイプのサイアミーズブロックの技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3131888号公報(段落番号0009、図3及び図4等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の技術では、シリンダライナが、シリンダヘッドとの接合面では曲率半径R1からなる曲線領域で構成され、シリンダライナの深さ方向では曲率半径R1よりも大きな曲率半径R2からなる曲線領域で構成されている。これにより、前記サイド方向に直交する方向(スラスト方向)に位置するウォータジャケットを該間壁の中心点に向かわせることが可能になる。
【0008】
しかし、前記従来の技術では、シリンダヘッドとの接合面付近におけるシリンダライナの肉厚は、該シリンダライナの他の肉厚と均等のままとし、深さ方向の曲率半径R2よりも小なる曲率半径R1を用いることによって、間壁の冷却性の向上を図っている。換言すれば、シリンダライナの深さ方向における肉厚は、曲率半径R2による曲線領域で形成され、依然として大きいままである。つまり、シリンダライナの深さ方向における冷却性については格別な配慮がなされていない。
【0009】
また、シリンダヘッドとの接合面付近のシリンダライナの肉厚が、他の肉厚と均等のままであれば、シリンダライナの冷却性にも限界があり、その接合面付近における冷却性についても依然として課題が残されている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、オープンデッキタイプのウォータジャケットを有するサイアミーズ式のシリンダブロックの構造において、シリンダライナの冷却性をより一層向上させるシリンダブロックを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するべく、請求項1記載のシリンダブロックは、ピストンが収容される複数個のシリンダライナと、各シリンダライナに外嵌されるシリンダバレルと、隣接するシリンダバレルを連結させ一体化させるべく形成された間壁と、シリンダヘッドとの接合面が開口されシリンダライナの深さ方向に延びてシリンダバレル及び間壁の周囲を囲繞するウォータジャケットとを備え、シリンダバレルは、接合面近傍に位置する間壁に対し間壁に接するウォータジャケットをシリンダバレルの一体化方向に直交する方向で間壁の中心点に向けて近接させて構成された間壁冷却促進部を有し、間壁冷却促進部は、間壁に接するウォータジャケットの両側に位置するシリンダバレルの肉厚をこのシリンダバレルの他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部と、バレル肉厚削減部に接合面側から深さ方向に連なり、接合面側では一つの曲率半径からなる一つの曲線領域で構成され、深さ方向ではこの曲線領域と略同一の曲率半径からなる二つの曲線領域及び二つの曲線領域の間を繋ぐ直線領域で構成された間壁体積削減部とを有し、間壁体積削減部は、その一つの曲線領域から二つの曲線領域及び直線領域に至る領域が、接合面側から深さ方向に対して間壁側から直交する方向で離れる傾斜直線領域で構成されることを特徴としている。
また請求項2記載のシリンダブロックは、ピストンが収容される複数個のシリンダライナと、各シリンダライナに外嵌されるシリンダバレルと、隣接するシリンダバレルを連結させ一体化させるべく形成された間壁と、シリンダヘッドとの接合面が開口されシリンダライナの深さ方向に延びてシリンダバレル及び間壁の周囲を囲繞するウォータジャケットとを備え、シリンダバレルは、接合面近傍に位置する間壁に対し間壁に接するウォータジャケットをシリンダバレルの一体化方向に直交する方向で間壁の中心点に向けて近接させて構成された間壁冷却促進部を有し、間壁冷却促進部は、間壁に接するウォータジャケットの両側に位置するシリンダバレルの肉厚をこのシリンダバレルの他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部と、バレル肉厚削減部に接合面側から深さ方向に連なり、接合面側では一つの曲率半径からなる一つの曲線領域で構成され、深さ方向ではこの曲線領域と略同一の曲率半径からなる二つの曲線領域及び二つの曲線領域の間を繋ぐ直線領域で構成された間壁体積削減部とを有し、間壁体積削減部は、その一つの曲線領域から二つの曲線領域及び前記直線領域に至る領域が、接合面側から深さ方向に対して接合面と垂直に延びる垂直直線領域と、垂直直線領域に連なり深さ方向に対して間壁側から直交する方向で離れる傾斜直線領域とで構成されることを特徴としている。
【0011】
したがって、請求項1及び請求項2記載のシリンダブロックによれば、間壁冷却促進部を備えており、この間壁冷却促進部が、間壁近傍のシリンダバレルの肉厚を他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部を有しているので、シリンダヘッドとの接合面におけるシリンダライナの冷却性が向上する。しかも、間壁冷却促進部が、直線領域を用いた間壁体積削減部を有し、すなわち、複数の曲率半径を用いずに、接合面側から深さ方向に対して略同一の曲率半径による曲線領域を用い、深さ方向に関しては二つの曲線領域の間を直線領域で繋いだ間壁体積削減部を有していることから、ウォータジャケットを、曲線領域のみで構成された従来の技術よりもさらに間壁の中心点に向かわせることが可能になり、シリンダライナの深さ方向における冷却性が飛躍的に向上する。
【0012】
そして、シリンダヘッドとの接合面からシリンダライナの深さ方向に亘る冷却性の向上が図られた間壁冷却促進部の構成によれば、シリンダライナ間の冷却が良好に行われてシリンダライナの変形が抑制されるので、ピストンがスカッフを起こし難くなり、ブローバイガスの増大やエンジンオイル消費量の増大を抑制させるとともに、摩擦も低減されて燃費も向上する。
【0013】
更に請求項1記載の発明では、間壁体積削減部は、一つの曲線領域から二つの曲線領域及び直線領域に至る領域が、接合面側から深さ方向に対して間壁側から直交する方向で離れる傾斜直線領域で構成されることを特徴としている。
これにより、間壁の深さ方向における温度変化が緩やかになり、深さ方向の温度の違いによるシリンダライナの変形が確実に抑えられる。
【0014】
また、更に請求項2記載の発明では、間壁体積削減部は、一つの曲線領域から二つの曲線領域及び直線領域に至る領域が、接合面側から深さ方向に対して接合面と垂直に延びる垂直直線領域と、垂直直線領域に連なり深さ方向に対して間壁側から直交する方向で離れる傾斜直線領域とで構成されることを特徴としている。
これにより、温度が最も高くなるシリンダライナの上方側の周囲に冷却水をさらに集中させることが可能になり、シリンダライナ上部の冷却性が一層良好となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るシリンダブロックの平面図を示し、図2は、当該シリンダブロックのIIの部分拡大図を示し、図3は、当該シリンダブロックのIII−III矢視縦断面図等を示しており、以下図1乃至図3に基づき本発明に係るシリンダブロックの構成を説明する。
【0016】
本実施形態におけるシリンダブロック1は、3気筒エンジンに適用されるものであり、アルミ合金製の鋳造品である。シリンダブロック1の上側には、いずれも図示しないシリンダヘッドガスケットを介してシリンダヘッドが接合される。シリンダブロック1は、クランクケース3から上方に延出されるブロック本体2を備えており、ブロック本体2は、内側ブロック部(シリンダバレル)4と、このシリンダバレル4との間にウォータジャケット5を構成させる外側ブロック部6とを備え、当該外側ブロック部6には上記シリンダヘッドガスケットをボルト結合させるためのボルト穴8が備えられている。
【0017】
シリンダバレル4は、ブロック本体2の長手方向(サイド方向)にて隣り合うシリンダバレル4同士が連結されて一体化され、この間にはウォータジャケットを有しないサイアミーズブロックとして構成される。つまり、隣接するシリンダバレル4の一体化部分には間壁7が形成される。そして、シリンダバレル4には、図1にて一点鎖線で示されるシリンダライナ40が圧入され、このシリンダライナ40の内側に形成されたシリンダボア42内に図示しないピストンが収容される。このピストンはシリンダボア42内を上下方向に摺動し、燃焼室の容積を可変させる。
【0018】
ウォータジャケット5は、シリンダバレル4及び間壁7の周囲を囲繞すべく、シリンダバレル4と外側ブロック部6との間に位置されるとともに、ブロック本体2の上端にて開口し、上記シリンダヘッドとの接合面が冷却水通路として開いており、オープンデッキタイプのシリンダブロック1として構成されている。
ここで、本実施形態のシリンダバレル4は、図1の他、図2の部分拡大図に示されるように、上記シリンダヘッドとの接合面近傍に位置する間壁7に対し、間壁7に接するウォータジャケット5をシリンダバレル4の一体化方向(上記サイド方向)に直交する方向(スラスト方向)で間壁7の中心点Cに向けて近接させて構成された間壁冷却促進部10を有している。
【0019】
そして、間壁冷却促進部10は、間壁7に接するウォータジャケット5の両側に位置するシリンダバレル4の肉厚を当該シリンダバレル4の他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部12と、バレル肉厚削減部12に上記接合面側からシリンダライナ40の深さ方向に亘って連なり、上記接合面側では一つの曲率半径Rからなる一つの曲線領域15で構成され、上記深さ方向では当該曲線領域15と同一の曲率半径Rからなる二つの曲線領域16、16及び当該二つの曲線領域16、16の間を繋ぐ直線領域17で構成された間壁体積削減部14とを有している。
【0020】
より具体的には、バレル肉厚削減部12は、各シリンダバレル4の一部分に該当し、一つの間壁冷却促進部10に対して二つ存在する。換言すれば、一つの間壁7から鑑みれば、計二つの間壁冷却促進部10が存在し、計四つのバレル肉厚削減部12が存在している。
そして、バレル肉厚削減部12は、間壁7をスラスト方向で対向して囲繞するウォータジャケット5の部分が、間壁体積削減部14を構成させるために、上記接合面近傍の間壁7に対して間壁7の中心点Cに向けて互いに近接されたとき、この近接されたウォータジャケット5の先端部分を挟持する位置における各シリンダバレル4の肉厚を上記深さ方向に亘って小さくさせたものである。つまり、この各バレル肉厚削減部12の肉厚Yは、シリンダバレル4のスラスト方向やシリンダブロック1の両サイド側等におけるシリンダバレル4の他の肉厚Xに比して狭くなるように構成される。これにより、シリンダヘッドとの接合面におけるシリンダライナ4の冷却性の他、シリンダライナ40の深さ方向におけるシリンダライナ4の冷却性も向上させることができる。
【0021】
次に、間壁体積削減部14は、バレル肉厚削減部12に上記接合面側から上記深さ方向に亘って連なるとともに、間壁7をスラスト方向で対向して囲繞するウォータジャケット5の部分を、間壁7の中心点Cに向けて互いに近接させて構成される。間壁体積削減部14は、一つの間壁冷却促進部10に対して一つ存在し、一つの間壁7をスラスト方向にて挟持する計二個の間壁体積削減部14が存在する。
【0022】
間壁体積削減部14は、上記接合面側においては、間壁7の中心点Cに向けて凸となる一つの曲率半径Rからなる一つの曲線領域15で構成される。一方、上記深さ方向においては、図2の他、図3(b)の縦断面図に示されるように、一つの曲線領域15の両側は、それぞれシリンダバレル4の外壁として構成されつつ、二つの曲線領域16、16に連なっている。各曲線領域16もまた、間壁7の中心点Cに向けて凸となる曲率半径Rで構成される。つまり、曲線領域15と曲線領域16とは同じ曲率半径Rのものである。そして、各シリンダバレル4の外壁間、すなわち、曲線領域16と曲線領域16とは直線領域17で結ばれる。この直線領域17を用いることにより、図2にて点線で示したように、間壁の囲繞部分が二つの曲線領域のみからなるウォータジャケットによる従来の技術に比して、本実施形態のウォータジャケット5では、直線領域17を間壁7の中心点C側に近付けることが可能になり、シリンダライナ40の深さ方向における冷却性を飛躍的に向上させることができる。
【0023】
また、間壁体積削減部14については、さらに図3(a)の縦断面図に示されるように、一つの曲線領域15から二つの曲線領域16、16及び直線領域17に至る領域が、上記接合面側から上記深さ方向に対して間壁7側からスラスト方向で直線的に離れる傾斜直線領域19で構成されている。つまり、図3(b)の縦断面図に示されるように、この傾斜直線領域19によって台形状の斜面が形成される。この台形状の斜面は、一つの曲線領域15によって構成される部分を上底とし、二つの曲線領域16、16及び直線領域17で構成される部分を下底とし、この上底が下底よりも間壁7の中心点Cに近接されている。これにより、シリンダライナ40の上方側と下方側との間における温度変化を緩やかにすることができることの他、ウォータジャケット5内の冷却水の主流位置を温度が最も高くなるシリンダライナ40の上方側に設定することができ、シリンダライナ40の変形の抑制に寄与する。
【0024】
図4は、本発明の第二の実施形態を示すものである。当該第二の実施形態では、間壁冷却促進部の構成の点を除き、前記第一の実施形態と同一の構成からなるものであることから、この間壁冷却促進部の点について詳細に説明する。
当該間壁冷却促進部20は、バレル肉厚削減部12と間壁体積削減部24とを有している。つまり、バレル肉厚削減部12の構成は、前記第一の実施形態と同一の構成である。
【0025】
そして、間壁体積削減部24は、バレル肉厚削減部12に上記接合面側からシリンダライナ40の深さ方向に亘って連なり、上記接合面側では一つの曲率半径Rからなる一つの曲線領域25で構成され、上記深さ方向では、当該曲線領域25と同一の曲率半径Rからなる二つの曲線領域26A、26A及び当該二つの曲線領域26A、26Aの間を繋ぐ直線領域27Aと、当該曲線領域25と同一の曲率半径Rからなる二つの曲線領域26B、26B及び当該二つの曲線領域26B、26Bの間を繋ぐ直線領域27Bとから構成されている。
【0026】
より具体的には、間壁体積削減部24は、バレル肉厚削減部12に対して上記接合面側から上記深さ方向に亘って連なるとともに、間壁7をスラスト方向で対向して囲繞するウォータジャケット5の部分を、間壁7の中心点Cに向けて互いに近接させて構成される。間壁体積削減部24は、一つの間壁冷却促進部20に対して一つ存在し、一つの間壁7をスラスト方向にて挟持する計二個の間壁体積削減部24が存在する。この点は、前記第一の実施形態と同じである。
【0027】
そして、本実施形態の間壁体積削減部24は、上記接合面側においては、間壁7の中心点Cに向けて凸となる一つの曲率半径Rからなる一つの曲線領域25で構成され、上記深さ方向においては、同図(b)の縦断面図に示されるように、一つの曲線領域25の両側は、それぞれシリンダバレル4の外壁として構成されつつ、二つの曲線領域26A、26A、さらに二つの曲線領域27A、27Aに連なり、間壁7の中心点Cに向けて凸となる同一の曲率半径Rで構成される。そして、曲線領域26Aと曲線領域26Aとは直線領域27Aで結ばれ、曲線領域26Bと曲線領域26Bとは直線領域27Bで結ばれる。これら直線領域27A、27Bを用いることにより、本実施形態のウォータジャケット5では、直線領域27A及び直線領域27Bを間壁7の中心点C側に近付けることが可能になり、シリンダライナ40の深さ方向における冷却性をより飛躍的に向上させることができる。
【0028】
一方、本実施形態の間壁体積削減部14については、さらに同図(a)の縦断面図に示されるように、一つの曲線領域25から二つの曲線領域26A、26A及び直線領域27Aに至る領域が、上記接合面側から上記深さ方向に対して当該接合面に垂直に延びる垂直直線領域28で構成され、二つの曲線領域26A、26A及び直線領域27Aから二つの曲線領域26B、26B及び直線領域27Bに至る領域が、上記接合面側から上記深さ方向に対して間壁7側からスラスト方向で直線的に離れる傾斜直線領域29で構成されている。つまり、同図(b)の縦断面図に示されるように、垂直直線領域28では、一つの曲線領域25のまま長方形状の垂直面が形成されるのに対し、傾斜直線領域19では台形状の斜面が形成される。この台形状の斜面は、二つの曲線領域26A、26A及び直線領域27Aによって構成される部分を上底とし、二つの曲線領域26B、26B及び直線領域27Bで構成される部分を下底とし、この上底が下底よりも間壁7の中心点Cに近接されている。これにより、ウォータジャケット5内の冷却水の主流量を温度が最も高くなるシリンダライナ40の上方側の周囲に集中させることが可能になり、シリンダライナ40の変形の更なる抑制に寄与する。
【0029】
以上のように、本実施形態では、間壁冷却促進部10、20の構成により、シリンダライナ40間、つまり、シリンダヘッドとの接合面からシリンダライナ40の深さ方向に亘る間壁7の冷却性の向上を図ることができ、シリンダライナ40の変形を確実に抑制できる。これにより、ピストンがスカッフを起こし難くなり、ブローバイガス及びエンジンオイル消費量の減少が可能になるとともに、ピストンリングに対する張力の低減も可能になり、摩擦の低下及び燃費の向上が図られる。
【0030】
以上で本発明の各実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記各実施形態では、シリンダライナ40の深さ方向に直線的に結ばれた傾斜直線領域19、29を有する構成が示されているが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、一例としては、シリンダヘッドとの接合面近傍からシリンダライナ40の深さ方向に連れて間壁7側からスラスト方向で離れ、かつ、該スラスト方向の同一側に位置する点を曲率中心する傾斜曲線領域から構成される斜面を有しても良い。この場合にも、冷却水の量をシリンダライナ40の上方側に多く集めることが可能になる。
【0031】
また、オープンデッキタイプのサイアミーズブロックであれば、上述のV型の他、直列型又は水平対向型でも良く、また、気筒数も上記実施形態の構成に限定されるものではない。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、請求項1及び請求項2記載の本発明のシリンダブロックによれば、間壁冷却促進部を備えており、この間壁冷却促進部が、間壁近傍のシリンダバレルの肉厚を他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部を有しているので、シリンダヘッドとの接合面におけるシリンダライナの冷却性を向上させることができる。しかも、間壁冷却促進部が、直線領域を用いた間壁体積削減部を有し、すなわち、複数の曲率半径を用いずに、接合面側から深さ方向に対して略同一の曲率半径による曲線領域を用い、深さ方向に関しては二つの曲線領域の間を直線領域で繋いだ間壁体積削減部を有していることから、ウォータジャケットを、曲線領域のみで構成された従来の技術よりもさらに間壁の中心点に向かわせることが可能になり、シリンダライナの深さ方向における冷却性を飛躍的に向上させることができる。
【0033】
そして、シリンダヘッドとの接合面からシリンダライナの深さ方向に亘る冷却性の向上が図られた間壁冷却促進部の構成によれば、シリンダライナ間の冷却が良好に行われてシリンダライナの変形が抑制されるので、ピストンがスカッフを起こし難くなり、ブローバイガスの増大やエンジンオイル消費量の増大の抑制を図ることができるとともに、摩擦も低減されて燃費の向上をも図ることができる。
【0034】
更に請求項1記載の発明によれば、間壁の深さ方向における温度変化が緩やかになり、深さ方向の温度の違いによるシリンダライナの変形を確実に抑えることができる。
更に請求項2記載の発明によれば、温度が最も高くなるシリンダライナの上方側の周囲に冷却水をさらに集中させることが可能になり、シリンダライナ上部の冷却性を一層良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るシリンダブロックの平面図である。
【図2】図1のシリンダブロックにおけるIIの部分拡大図である。
【図3】(a)は図1のシリンダブロックにおけるIII−III矢視縦断面図であり、(b)は同図(a)のB−B矢視縦断面図である。
【図4】(a)は本発明の第二の実施形態に係るシリンダブロックにおける縦断面図であり、(b)は同図(a)のB−B矢視縦断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
4 シリンダバレル
5 ウォータジャケット
7 間壁
10 間壁冷却促進部
12 バレル肉厚削減部
14 間壁体積削減部
15 曲線領域
16 曲線領域
17 直線領域
19 傾斜直線領域
20 間壁冷却促進部
24 間壁体積削減部
25 曲線領域
26A、26B 曲線領域
27A、27B 直線領域
28 垂直直線領域
29 傾斜直線領域
40 シリンダライナ
Claims (2)
- ピストンが収容される複数個のシリンダライナと、
該各シリンダライナに外嵌されるシリンダバレルと、
該隣接するシリンダバレルを連結させ一体化させるべく形成された間壁と、
シリンダヘッドとの接合面が開口され前記シリンダライナの深さ方向に延びて前記シリンダバレル及び前記間壁の周囲を囲繞するウォータジャケットとを備え、
前記シリンダバレルは、前記接合面近傍に位置する前記間壁に対し該間壁に接するウォータジャケットを前記シリンダバレルの一体化方向に直交する方向で前記間壁の中心点に向けて近接させて構成された間壁冷却促進部を有し、
該間壁冷却促進部は、前記間壁に接するウォータジャケットの両側に位置する前記シリンダバレルの肉厚を該シリンダバレルの他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部と、該バレル肉厚削減部に前記接合面側から前記深さ方向に連なり、前記接合面側では一つの曲率半径からなる一つの曲線領域で構成され、前記深さ方向では前記曲線領域と略同一の曲率半径からなる二つの曲線領域及び該二つの曲線領域の間を繋ぐ直線領域で構成された間壁体積削減部とを有し、
前記間壁体積削減部は、前記一つの曲線領域から前記二つの曲線領域及び前記直線領域に至る領域が、前記接合面側から前記深さ方向に対して前記間壁側から前記直交する方向で離れる傾斜直線領域で構成されることを特徴とするシリンダブロック。 - ピストンが収容される複数個のシリンダライナと、
該各シリンダライナに外嵌されるシリンダバレルと、
該隣接するシリンダバレルを連結させ一体化させるべく形成された間壁と、
シリンダヘッドとの接合面が開口され前記シリンダライナの深さ方向に延びて前記シリンダバレル及び前記間壁の周囲を囲繞するウォータジャケットとを備え、
前記シリンダバレルは、前記接合面近傍に位置する前記間壁に対し該間壁に接するウォータジャケットを前記シリンダバレルの一体化方向に直交する方向で前記間壁の中心点に向けて近接させて構成された間壁冷却促進部を有し、
該間壁冷却促進部は、前記間壁に接するウォータジャケットの両側に位置する前記シリンダバレルの肉厚を該シリンダバレルの他の肉厚よりも小さくさせたバレル肉厚削減部と、該バレル肉厚削減部に前記接合面側から前記深さ方向に連なり、前記接合面側では一つの曲率半径からなる一つの曲線領域で構成され、前記深さ方向では前記曲線領域と略同一の曲率半径からなる二つの曲線領域及び該二つの曲線領域の間を繋ぐ直線領域で構成された間壁体積削減部とを有し、
前記間壁体積削減部は、前記一つの曲線領域から前記二つの曲線領域及び前記直線領域に至る領域が、前記接合面側から前記深さ方向に対して該接合面と垂直に延びる垂直直線領域と、該垂直直線領域に連なり前記深さ方向に対して前記間壁側から前記直交する方向で離れる傾斜直線領域とで構成されることを特徴とするシリンダブロック。
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