JP4133291B2 - フロントフォーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の車体側と車軸側との間に介装して路面からの振動を減衰する緩衝器とフォークを兼ねたフロントフォークに関し、ボール螺子ナットに螺子軸を回転自在に螺入することにより、軸力伝達体の直線運動を螺子軸を介してモータの回転運動に変換する機構を有し、モータのシャフトの回転運動に起因する電磁力で減衰力を発生するフロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動二輪車の車体と車軸との間に介装させたフロントフォークは、油圧式のものが知られており、この油圧式フロントフォークは車輪を懸架するとともに路面からの振動等の入力を減衰して自動二輪車の乗り心地を向上させる。
【0003】
しかしながら、上記の油圧を利用したフロントフォークでは、高減衰力が得られる反面油が必要であり、この油の漏れを防止するシール機構や複雑なバルブ機構を必要とする。また、万が一、油漏れが生じた場合には、油が環境汚染を招来する危惧があると指摘される恐れがある。
【0004】
そこで、最近油、エアや電源等を必要としない新しい電磁緩衝器が研究され、その論文(たとえば、非特許文献1参照)も公表されている。
【0005】
この電磁緩衝器の基本構造は、たとえば、図4のモデルに示すように、ボール螺子ナット87と、当該ボール螺子ナット87を保持するフランジ74と、アイ型ブラケット78が固着されたフランジ77と、上記各フランジ74、77を連結するガイドロッド76と、ボール螺子ナット87内に回転自在に螺合した螺子軸88と、螺子軸88の上端にカップリング83とシャフト89aを介して結合したモータ89とで構成したものである。
【0006】
そして、この電磁緩衝器を、たとえば、車体と車軸との間に介在させてサスペンションとして利用する場合、電磁緩衝器の上端をモータ89の上に設けられたフランジ68に固着されたブラケット80を介して車体側に結合し、電磁緩衝器下端を上記アイ型ブラケット78を介して車軸側に結合させる。
【0007】
この場合、モータ89は、下端をフランジ70及び連結ロッド71を介してフランジ72に結合し、上記フランジ72の内周にはボール軸受84を固定し、そのボール軸受84内に螺子軸88の上部を回転自在に挿入させている。
【0008】
さらに、フランジ72は、フランジ75に連結ロッド73により連結され、フランジ75に設けられた孔の中には上記ガイドロッド76が摺動可能に挿入されおり、ボール螺子ナット87の直線運動のみが許容されるようになっている。
【0009】
この電磁緩衝器を利用するサスペンションの構想によれば、たとえば、路面からの振動入力でボール螺子ナット87が矢印a方向に直線運動すると、ボール螺子ナット87内の螺子軸88は、ボール螺子ナット87内のボールと螺子軸88の外周の螺子溝88aに案内されて回転運動に変換される。
【0010】
このため、螺子軸88の回転運動が、螺子軸88の上端に取り付けられたカップリング83を介してシャフト89aの矢印b方向の回転運動として伝達され、これによりモータ89に誘導起電力が発生し、特には図示しないがモータ89の各電極を電源を介さずに短絡するか所望の電磁力を得られるように制御回路に接続しておけば、モータ9内のコイルに上記誘導起電力に起因する電流が流れ、モータ89は電磁力を発生する。
【0011】
そして、この時、上記シャフト89aの回転方向とは逆方向に電磁力が発生し、この電磁力に起因してシャフトの回転に抗するトルクが発生し、モータ89のシャフト89aの回転を抑制することとなる。
【0012】
すると、シャフト89aの回転を抑制することは、上記螺子軸88の回転を抑制することであるから、上記トルクはボール螺子ナット87の直線運動を抑制する減衰力として作用する。
【0013】
すなわち、上記の作用は、ボール螺子ナット87がアイ型ブラケット78に連結されているので、電磁緩衝器の伸縮運動を抑制する減衰力として作用することとなる。
【0014】
ここで、ボール螺子ナット87について着目すると、図5に示すように、ボール螺子ナット87には、小径のボール87aが多数配在されており、このボール87aが螺子軸88の螺旋状の溝88aに符合することにより、一対の螺子を形成しており、螺子軸88はボール螺子ナット87に対して、回転自在に螺入される。
【0015】
このため、ボール螺子ナット87が軸方向に直線運動するとボール87aが溝88aに沿って移動することから螺子軸88に強制的に回転力が付与され、螺子軸88が回転する。
【0016】
したがって、螺子軸88とボール螺子ナット87の上記動作がスムーズであるから、電磁緩衝器に必要な直線運動を回転運動に変換する機構としては、有用なものである。
【0017】
【非特許文献】
末松、須田,「自動車における電磁サスペンションの研究」,社団法人自動車技術会,学術講演会前刷集,2000年,No4−00
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように油を使用しない電磁緩衝器は、油の漏れを防止するシール機構や複雑なバルブ機構を必要とせず、また、環境汚染を招来する危惧も無いので非常に有用ではあるが、この電磁緩衝器はもともと自動車のサスペンションとして開発されたものであるため、実際にフロントフォークとして使用する際には、以下のいろいろな問題点がある。
【0019】
すなわち、一般にフロントフォークは車体と車軸間に傾けて介装されるので、自動二輪車の走行時に、自動二輪車の旋回、路面の凹凸等によりフロントフォークに働く力は、突き上げ入力や振動等が作用しボール螺子ナットには軸方向の力のみではなく、斜め方向からの曲げ力を受ける場合がある。
【0020】
この曲げ力は、フランジ75が担持するが、このフランジ75とガイドロッド76、フランジ75と螺子軸88との間には加工上どうしても若干の隙間ができ、この隙間に起因する遊びで、上記の曲げ力を完全に支えきれない場合がある。
【0021】
同様に、ボール螺子ナット87と螺子軸88との間にも加工上発生する隙間による遊びがあり、両者の間にガタが発生する場合がある。
【0022】
このため、斜め方向から大きい力を受けた場合、図6に示すように、電磁緩衝器が傾いで螺子軸88の中心軸cとボール螺子ナット87の中心軸dがずれる可能性がある。
【0023】
なぜならば、電磁緩衝器にあっては、ボール螺子ナット87はガイドロッド76の上端部に嵌め込まれているから、ガイドロッド76下端部に設けられたアイ78からの横方向の力を受けるとガイドロッド76に連結されているボール螺子ナット87には、ボール螺子ナット87と螺子軸88の組み合わさっている部分を中心として回転モーメントが負荷されることとなり、図6に示すように、必然的に上記中心軸がずれてしまうこととなる。
【0024】
そして、この中心軸のずれは、ボール螺子ナット87が上述のとおり多数のボール87aを介して螺子軸88に取付けられているに過ぎないから、ボール螺子ナット87の一部のボール87b、87cに集中して荷重がかかることとなり、ボール87b、87c若しくは螺子軸88のねじ山が損傷する事態を生じさせることとなる。
【0025】
すると、上述したボール87b、87c若しくは螺子軸88のねじ山が損傷することにより、螺子軸88とボール螺子ナット87の回転若しくは緩衝器の伸縮方向への移動の各動作の円滑さが失われ、電磁緩衝器として機能が損なわれ、ひいては、電磁緩衝器の故障の原因となる危惧がある。
【0026】
また、上記の電磁緩衝器の構成では、モータ89、螺子軸88、ボール螺子ナット87が、剥き出しの状態であるから、雨や泥、石等のはねに対して、何ら隔離されておらず、特に、自動二輪車のフロントフォークにあっては、例えば、モータ1内に雨水や泥水が進入して、モータ89が漏電して損傷したり、モータ89、螺子軸88、ボール螺子ナット87に石等が当たり変形、破損する等によりモータ89等の機能が損なわれたりする恐れがある。
【0027】
さらに、上述の電磁緩衝器には、懸架バネが取付けられておらず、このまま自動二輪車の車体と車軸との間に介装したのでは、車体が沈み込んでしまうのみでフロントフォークとしての機能を果たせない。
【0028】
そこで、本発明は、上記の不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、電磁力を減衰力として利用し、油を使用しない電磁緩衝器をフロントフォークに適用可能なものとすることである。
【0029】
上記した目的を達成するため、本発明の第1の課題解決手段のフロントフォークは、第1チューブの内側または外側に第2チューブを摺動自在に嵌合するとともに、第1チューブと第2チューブとの間に介装した懸架バネにより常時伸び方向に附勢されているフロントフォークにおいて、制御装置に接続または各電極を短絡したモータを第1チューブ内に結合させ、第2チューブ内に第2チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内にモータのシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、モータのシャフトに形成した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をモータのシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記シャフトの回転に抗するトルクを第2チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用するとともに、ボール螺子ナットを第2チューブ内に挿入したスペーサの一端に結合し、上記スペーサの他端を上記懸架バネのバネ力で第1チューブに設けたバネ荷重調整機構に固定したことを特徴とする。
【0030】
上述のように、このフロントフォークにあっては、モータに発生した電磁力を減衰力として利用し、油を特に使用せずに減衰力の発生が可能である。したがって、油漏れによる環境汚染を防止することが可能である。
【0031】
さらに、このフロントフォークにあっては、上記したように、モータやボール螺子ナットや螺子軸等のフロントフォークの主要部材がアウターチューブとインナーチューブで覆われているので、自動二輪車に適用されても、雨、泥、石等がフロントフォーク内に侵入することが防止され、上記主要部材に直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、それらを原因としたフロントフォークの損傷を効果的に防止することができる。
【0032】
加えて、フロントフォーク内に懸架バネを設けているので、車体と車軸との間に介装されてもその機能を果たすことが可能であり、また、自動二輪車への取付けの際に懸架バネが邪魔とならない。
【0033】
また、モータの各電極を制御装置に接続する場合には、誘導起電力に起因するコイルに流れる電流の大きさを制御装置によりコントロールすることが可能となるので、螺子軸の回転に抗するトルクの調節が可能となる。すなわち、このフロントフォークの発生する減衰力の調節が可能となる。
【0034】
したがって、このフロントフォークを自動二輪車等に適用すれば、減衰力を調節でき乗り心地を向上することができる。
【0036】
加えて、第2チューブ内にスペーサを設け、このスペーサにボール螺子ナットを結合しているから、特に第2チューブ内の中間部にボール螺子ナットを結合する場合に比較して、スペーサを第2チューブより短いものを使用すれば、ボール螺子ナットを結合したスペーサを第2チューブに挿入するだけで、ボール螺子ナットを第2チューブの中間部に配置できるので加工が容易となる。
【0037】
さらに、スペーサ内部にボール螺子ナットを配在しておけば、懸架バネとボール螺子ナットとが干渉することが無いので、ボール螺子ナットの損傷が防止される。
【0038】
また、バネ荷重調整機構を第2チューブに設ける場合には、懸架バネ荷重を調整することも可能となる。
【0039】
そして、また、本発明の第2の課題解決手段のフロントフォークは、第1の課題解決手段において、第1チューブと第2チューブとの間に複数の軸受部材を介在させたことを特徴とする。
【0040】
したがって、この場合には、第1チューブと第2チューブとの間に複数の軸受部材を介しており、複数点支持され、フロントフォークに大きな曲げ力が負荷されても、第1チューブに対して第2チューブは傾くことは無く、螺子軸とボール螺子ナットの中心軸がずれることが無く、ボール螺子ナットと螺子軸の損傷を防ぐことができ、結果的にフロントフォークの損傷を防止可能である。
【0041】
さらに、本発明の第3の課題解決手段のフロントフォークは、第1または第2の課題解決手段において、モータのフレーム内に動力伝達手段を設け、懸架バネが直接またはバネ受を介してフレームに当接することを特徴とする。
【0042】
したがって、上述のようにモータのフレーム内には、モータの構成部材以外に動力伝達手段をも収められているので、このフロントフォークに路面等から突き上げ力等が負荷され、フロントフォークが収縮し、最圧縮状態となり、懸架バネの荷重が増大した状態となっても、上述のフレームが、言わばストッパとなり、バネ受けまたは懸架バネが動力伝達手段およびモータと干渉することが無いので、特に電磁力を減衰力として利用するフロントフォークの主要部材たるモータや動力伝達手段を損傷することが防止される。
【0043】
また、さらに、本発明の第4の課題解決手段のフロントフォークは、第1、第2または第3の課題解決手段において、動力伝達手段を歯車機構としたことを特徴とする。
【0044】
したがって、モータのシャフトの回転速度を螺子軸の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。
【0045】
すなわち、実際にこのフロントフォークを自動二輪車等に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0046】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、フロントフォークに使用するモータを大型化する必要が無くなる。したがって、コスト的にも有利である。
【0047】
そして、また、本発明の第5の課題解決手段のフロントフォークは、第1、第2、第3または第4の課題解決手段において、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づき、上記モータに流れる電流を調節することを特徴とする。
【0048】
したがって、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいて、モータのシャフトの回転による誘導起電力に基づきモータのコイルに流れる電流量を調整することが可能となる。
【0049】
また、このとき、モータのコイルには誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となるとともに、電流量を適切なものとすることにより、フロントフォークの発生する減衰力も自動二輪車等の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるフロントフォークの基本形態は、図1に示すように、第1チューブたるアウターチューブ1と、アウターチューブ1内に軸受部材4、5を介して摺動自在に挿入した第2チューブたるインナーチューブ2と、インナーチューブ2内に同心に結合したスペーサ10と、インナーチューブ2の上端に設けたバネ荷重調整機構と、各電極を短絡したモータMと、上記スペーサ10内に結合したボール螺子ナット7と、モータMのフレーム32内でモータMのシャフト35に連結した動力伝達手段Dと、動力伝達手段Dに連結した螺子軸6と、モータMのフレーム32とスペーサ10と間に介装された懸架バネ8aとで構成されている。
【0051】
以下、詳細に説明すると、アウターチューブ1は、有底筒状であって、その下端に車軸を連結する孔1aが設けられており、インナーチューブ2は、筒状であって、その上端がキャップCで封止され、軸受部材4、5を介して、アウターチューブに摺動自在に挿入されている。アウターチューブ1の開口端にはシールSとリップRがインナーチューブ2に摺接しているので、フロントフォーク内に雨や埃等が侵入することが防止される。
【0052】
また、バネ荷重調整機構はキャップCに螺合したアジャスタ21と、アジャスタ21の側面に結合され、上記スペーサ10に当接させたシート60とで構成され、アジャスタ21の上端には螺子部25が設けてある。そして、このアジャスタ21を回転させることにより、シート60がインナーチューブ2内を図中上下方向に移動することにより、スペーサ10を介して、懸架バネのバネ荷重を変更することが可能となっている。
【0053】
さらに、アジャスタ21の下端にはクッション20が設けられ、クッション20は、フロントフォークが最収縮した場合には、後述する螺子軸6がキャップCとの間に生じる衝撃を吸収し、螺子軸6とキャップCとを保護する。
【0054】
スペーサ10は、筒状であって、上述のように、その上端をインナーチューブ2の上端に設けたアジャスタ21のシート60に当接させ、その下端をバネ受8cを介して懸架バネ8aに当接させ、インナーチューブ2内に挿入されるとともに、その上端にはボール螺子ナット7が結合されている。したがって、このスペーサ10は、懸架バネ8aにより常時シート60側に附勢されているので、インナーチューブ2と一体的に移動可能となっている。
【0055】
なお、図2に示すように、スペーサ10を設けず、インナーチューブ2にボール螺子ナット7を結合させることも考えられるが、特にインナーチューブ2内の中間部にボール螺子ナット7を結合するのに、インナーチューブ2より短いスペーサ10を設けるほうが、ボール螺子ナット7を結合したスペーサ10をインナーチューブ2に挿入するだけで、ボール螺子ナット7をインナーチューブ2の中間部に配置できるので加工が容易となる。
【0056】
次に、モータMは、ヨークたる筒状のフレーム32と、フレーム32にフレーム32内に磁界を発生させるように取付けられた永久磁石31a、31bと、フレーム32内に軸受37、38を介して回転自在に挿入したシャフト35と、シャフト35に上記永久磁石31a、31bと対向する位置に巻装したコイル30と、同じくシャフト35の外周に設けた整流子33と、ブラシホルダ(付示せず)に取付けられたブラシ34とで構成され、アウターチューブ1内の上方に結合されている。
【0057】
なお、図示したところでは、モータMを直流モータとしているが、モータの種類としては、直流ブラシ付モータの他に、ブラシレスモータ、交流モータ、誘導モータ等のモータも使用可能である。
【0058】
また、ブラシ34は、ブラシホルダを介して電線36に接続され、電線36は、図示はしないが各ブラシ34に接続する2本の導線から構成されており、その先端で短絡されている。したがって、この場合には電線36をアウターチューブ1外で短絡させる必要は無いので、各ブラシ34同士をアウターチューブ1内で短絡させても良い。
【0059】
なお、ブラシ34が一つしか図示されていないが、ブラシ34は一対となるように設けられ、各ブラシ34が、整流子33に接触するようになっており、コイル30は整流子33に接続されている。したがって、シャフト35の回転によりコイル30が永久磁石31a、31bの発生する磁界を横切ることにより誘導起電力を発生し、コイル30が整流子33、ブラシ34、電線36を介して短絡されているので、コイル30に電流が流れ、電磁力を発生することが可能である。
【0060】
また、動力伝達手段Dは、上記シャフトの先端に設けた第1太陽歯車43と、上記モータMのフレーム32内に軸受51を介して回転自在に挿入されたブラケット41と、ブラケット41に回転自在に取付けられた遊星歯車42、42と、フレーム32内周に形成した第2太陽歯車44とで構成され、第1太陽歯車43と第2太陽歯車44との間に遊星歯車42、42を介装して、各歯車が互いに噛合するようになっている。すなわち、これら歯車で歯車機構たるプラネタリギアPを構成している。
【0061】
つづいて、螺子軸6は、その下端部を上記フレーム32内に軸受52、53を介して回転自在に挿入してあり、その下端部の先端は上述のブラケット41に螺合し、上端にはホルダ24に保持されたクッション23を設け、螺子軸6の螺旋状の螺子溝6aをボール螺子ナット7に螺合している。ボール螺子ナット7が螺子軸6の上端に移動した際には、クッション23が、ボール螺子ナット7とボール螺子ナット7の抜け止め用のホルダ24との干渉による衝撃を緩和し、ボール螺子ナット7の損傷が防止されている。
【0062】
ここで、ボール螺子ナット7の構造は特に図示しないが、例えば、ボール螺子ナットの内周には、螺子軸の螺旋状の螺子溝に符合するように螺旋状のボール保持部が設けられており、前記保持部に多数のボールが配在されてなり、ボール螺子ナットの内部にはボールが循環可能なように前記螺旋状保持部の両端を連通する通路が設けられているものであって、螺子軸を前記ボール螺子ナットに螺入された場合に、螺子軸の螺旋状の螺子溝にボール螺子ナットのボールが嵌合し、螺子軸の回転運動に伴いボール自体も螺子軸の螺子溝との摩擦力により回転するので、ラックアンドピニオン等の機構に比べ滑らかな動作が可能である。
【0063】
上述のように、螺子軸6には、ボール螺子ナット7が螺子溝6aに沿って回転自在に装着され、ボール螺子ナット7が上下方向の直線運動をすると、ボール螺子ナット7のボールが上下方向に移動するが、この時、当該ボールは螺子軸6の螺旋状の螺子溝6aに沿って移動するから、螺子軸6は強制的に回転駆動される。
【0064】
即ち、上記機構によりボール螺子ナット7の直線運動が螺子軸6の回転運動に変換されることになる。したがって、ボール螺子ナット7がスペーサ10を介してインナーチューブ2に一体的に移動可能となっているので、インナーチューブ2の直線運動が螺子軸6の回転運動に変換されることとなる。
【0065】
さらに、フレーム32の下端とスペーサ10との間にバネ受8b、8cを介して懸架バネ8aが介装されている。ここで、上述のようにモータMのフレーム32内には、モータMの構成部材以外に動力伝達手段Dをも収められているので、このフロントフォークに路面等から突き上げ力等が負荷され、フロントフォークが最圧縮状態となり、懸架バネの荷重が増大した状態となっても、バネ受け8bが動力伝達手段DおよびモータMと干渉することが無いので、特に電磁力を減衰力として利用するフロントフォークの主要部材たるモータMや動力伝達手段Dを損傷することが防止される。
【0066】
また、図3に示すように、スペーサ10の内部にボール螺子ナット7を設けるようにしておけば、スペーサ10の端部が、バネ受8cから伝達される衝撃を受け止めることとなり、ボール螺子ナット7は、バネ受け8cと干渉することが防止されるので、この場合には、ボール螺子ナット7の損傷を防止することが可能である。
【0067】
なお、上記構成としたので、このフロントフォークにあっては、モータMやボール螺子ナット7や螺子軸6等のフロントフォークの主要部材がアウターチューブ1とインナーチューブ2で覆われているので、自動二輪車に適用されても、雨、泥、石等がフロントフォーク内に侵入することが防止され、上記主要部材に直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、それらを原因としたフロントフォークの損傷を効果的に防止することができる。
【0068】
加えて、フロントフォーク内に懸架バネを設けているので、車体と車軸との間に介装されてもその機能を果たすことが可能であり、また、自動二輪車への取付けの際に懸架バネが邪魔とならない。
【0069】
なお、図示したこのフロントフォークの基本形態は、インナーチューブ2を車体側に取付ける、いわゆる、正立型のフロントフォークとしているが、アウターチューブ1を車体側に取付ければ、倒立型としても使用可能であり、また、モータMをインナーチューブ2側に取付け、ボール螺子ナット7をアウターチューブ1側に設けても使用可能である。
【0070】
つづいて、その作用について説明する。このフロントフォークは、インナーチューブ2側がブラケットを介して自動二輪車の車体側に取付け、アウターチューブ1側が孔1aを介して自動二輪車の車軸側に取付けて使用されるが、自動二輪車の走行中に路面等から、突き上げ入力や振動等が付加されると、フロントフォークが伸縮動作をする。
【0071】
すなわち、アウターチューブ1内周に沿って、インナーチューブ2が直線運動することになる。
【0072】
すると、インターチューブ2に対し一体的に移動するスペーサ10に結合されたボール螺子ナット7も直線運動することとなり、このボール螺子ナット7の直線運動が上述のように螺子軸6の回転運動に変換されて、この螺子軸6の回転運動が、動力伝達手段Dに伝達され、最終的にモータMのシャフト35に伝達される。
【0073】
このとき、動力伝達手段Dは、上述のようにプラネタリギアPを構成しているので、そのギア比によりモータMのシャフト35の回転速度は、螺子軸6の回転速度より増速または減速される。
【0074】
かくして、モータMのシャフト35が回転運動を呈すると、フレーム32に取付けられた永久磁石31a、31bがつくる磁束をシャフト35に巻装したコイル30が横切ることとなり、コイル30に誘導起電力が発生する。ここで、コイル30は、上述のように短絡されているので、コイル30に誘導起電力に起因する電流が流れて、コイル30が電磁力を発生し、シャフト35の回転に抗するトルクが発生して、このシャフト35の回転に抗するトルクがシャフト35の回転運動を抑制することとなる。
【0075】
したがって、シャフト35の回転を抑制することは、動力伝達手段Dを介して螺子軸6の回転を抑制することとなり、ボール螺子ナット7の直線運動を抑制し、ひいてはボール螺子ナット7と一体的に移動するインナーチューブ2の直線運動を抑制するので、この電磁力に起因するシャフト35の回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなる。
【0076】
上述のように、このフロントフォークにあっては、モータに発生した電磁力を減衰力として利用し、油を特に使用せずに減衰力の発生が可能であり、自動二輪車の乗り心地を向上できる。したがって、油漏れによる環境汚染を防止することが可能である。
【0077】
また、上記したところでは、コイル30を短絡してシャフト35の回転に抗するトルクを得ているが、これに換えて、たとえば、コイル30を誘導機電力の大きさによって内部抵抗を変更可能な電気回路に接続し、誘導起電力に起因するコイル30に流れる電流量を、この電気回路によって調節しても良い。そうすることによって、コイル30に流れる電流量を調節することが可能となり、すると、フロントフォークの発生する減衰力も調節可能となる。
【0078】
ここで、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間には軸受部材4、5が配在され、上下で二点支持されているので、自動二輪車の走行時に、自動二輪車の旋回、路面の凹凸等によりフロントフォークに斜め方向からの曲げ力が負荷されても、アウターチューブ1に対してインナーチューブ2は傾くことは無く、螺子軸6とボール螺子ナット7の中心軸のずれを防止できる。
すると、螺子軸とボール螺子ナットの各中心軸がずれないので、ボール螺子ナットの一部のボールに集中して荷重がかかることを防止でき、ボール若しくは螺子軸のねじ山が損傷する事態を避けることが可能である。
【0079】
また、ボール若しくは螺子軸のねじ山の損傷を防止できるので、螺子軸とボール螺子ナットの回転若しくはフロントフォークの伸縮方向への移動の各動作の円滑さを保つことができる。
【0080】
したがって、上記各動作の円滑を保てるので、フロントフォークとしての機能も損なわれず、ひいては、フロントフォークの故障を防止できる。
【0081】
さらに、本実施の形態においては、動力伝達手段Dに第1太陽歯車43、遊星歯車42、第2太陽歯車44からなるプラネタリギアPを使用しているので、モータMのシャフト35の回転速度を螺子軸6の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。なお、動力伝達手段Dには、プラネタリギアP以外にも、摩擦車や、ベルト伝動等の他の慣用手段を用いても良い。
【0082】
すなわち、実際にこのフロントフォークを自動二輪車に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータMの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0083】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、フロントフォークに使用するモータMを大型化する必要が無くなる。したがって、コスト的にも有利である。
【0084】
なお、本実施の形態においてはモータMのシャフト35を動力伝達手段Dを介して螺子軸6に接続するとしているが、上述の動力伝達手段Dによる効果は失われるが、シャフト35を直接螺子軸6に接続するとしても良い。
【0085】
つづいて、本実施の形態の変形例について説明する。当該変形例にあっては、その基本構成は上述の実施の形態と同様にして、そのモータMの電線36を制御装置(図示せず)に接続したものである。
【0086】
制御装置は、制御装置は、たとえば、自動二輪車の速度を検出する車速検出器と、車両の操舵角速度を検出する操舵角速度検出器と、車両の前輪分担荷重を検出する前輪分担荷重検出器と、前記車速と操舵角速度の検出結果に基づき減衰力を演算するコントローラと、前記コントローラの演算結果に基づき上記コイルに流れる電流量を調節する電流調節手段とで構成される。車速検出器および制動動作検出器および前輪分担荷重検出器には、慣用されているものを使用すればよい。
【0087】
以下、詳細に説明すると、コントローラは、車速検出器と操舵角速度検出器と前輪分担荷重検出器とに接続され、上記各検出器が検出した検出結果を受け取り可能となっている。
【0088】
ここで、コントローラは、ハードウェアとしては、図示しないが、各検出器が検出した車速および操舵角速度の信号を受け取り、前記各信号に基づいて制御力を演算でき、制御信号としての電力を出力できるものであれば良く、例えば、前記信号増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と低周波及び高周波成分をカットするバンドパスフィルタと、CPU、ROM、RAM、水晶発振子及びこれらを連絡するバスラインからなるコンピュータシステムとにより構成され、フロントフォークの必要減衰力の演算に使用される演算処理手順と制御信号出力手順は、プログラムとしてROMに予め格納させておくとする周知なシステムで良い。
【0089】
さらに、コントローラは、電流調節手段に接続されている。電流調節手段は、コントローラからの信号を受け取り、誘導起電力によってコイル30に流れる電流量を調節できるものであれば良く、したがって、たとえば、電流調節手段は、コントローラからの信号により駆動するアクチュエータと、コイル30と接続される電気回路内にポテンショメータを配設したものとして、アクチュエータによりポテンショメータを駆動して、当該電気回路の抵抗を変化させ、誘導起電力によってコイル30に流れる電流量を調節するものとしても良いし、他に駆動源を用いずに電気的に電流調節手段の回路の抵抗を変化させても良い。
つづいて、本実施の形態におけるフロントフォークの動作について説明する。車両走行中に、先ず、車速検出器と操舵角速度検出器と前輪分担荷重検出器が、車速および操舵角速度および前輪分担荷重の各値を検出し、コントローラに前記車速および操舵角速度および前輪分担荷重が信号として入力される。
【0090】
つぎに、コントローラは、入力された車速および操舵角速度および前輪分担荷重の各値に基づいて、フロントフォークの適切な減衰力を演算する。
【0091】
そして、この演算結果に基づき電流調整手段が、誘導起電力によりコイル30に流れる電流量を変化させて、コイル30に生じる誘導起電力に起因するシャフト35の回転運動に抗するトルク、すなわち減衰力を変化させる。
【0092】
この状態で、シャフト35が回転すると、上述のようにコイル30に誘導起電力が発生し電流が流れるが、電流量は先程の電流調整手段によって調節されているので、フロントフォークはコントローラが演算した減衰力を発生することとなる。すなわち、本実施の形態における制御装置によって、フロントフォークの発生する減衰力を自動二輪車の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【0093】
このとき、たとえば、上述のように電流調節手段が、アクチュエータと、ポテンショメータとで構成される場合には、アクチュエータがポテンショメータを駆動し電流調節手段の電気回路の抵抗値を変化させるが、あらかじめ、電流調節手段を、フロントフォークに必要な減衰力を発生させるのに必要とされる抵抗値を選択できるように調整しておけば良い。
【0094】
また、コイル30には誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、モータに通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となる。
【0095】
ここで、本実施の形態では、上述のように誘導起電力に起因してコイル30に流れる電流量を調節することとなるので、コントローラにフロントフォークの減衰力を演算させるのではなく、フロントフォークが減衰力を発現させるのに、必要な抵抗値を演算させるようにしてもよい。
【0096】
また、コントローラにあらかじめ記録される、車速および制動動作の有無および前輪分担荷重に基づくフロントフォークに発生させる減衰力を演算する演算手法についてであるが、このフロントフォークが搭載される自動二輪車等の運動性能や車重等により、適宜その自動二輪車等に適した制御を行えるように設定すればよい。たとえば、コントローラが自動二輪車の速度が高速の場合には、フロントフォークの発現する減衰力を高めような制御を行えるように設定されたり、制動動作時および前輪分担荷重が大きい場合には自動二輪車が前傾することを防止するために減衰力を高めるように設定されたりするであろう。なお、スカイフック制御則を用いた制御としても良いことは無論である。
【0097】
なお、上記したところでは、車速、操舵角速度、前輪分担荷重の各値に基づいてコイルに流れる電流を調節しているが、上記した3つの各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいてコイルに流れる電流を調節することも可能である。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、各請求項の発明によれば、モータに発生した電磁力を減衰力として利用し、油を特に使用せずに減衰力の発生が可能であり、自動二輪車の乗り心地を向上できる。したがって、油漏れによる環境汚染を防止することが可能である。
【0099】
また、このフロントフォークにあっては、モータやボール螺子ナットや螺子軸等のフロントフォークの主要部材が第1チューブと第2チューブで覆われているので、自動二輪車に適用されても、雨、泥、石等がフロントフォーク内に侵入することが防止され、上記主要部材に直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、それらを原因としたフロントフォークの損傷を効果的に防止することができる。
【0100】
加えて、フロントフォーク内に懸架バネを設けているので、車体と車軸との間に介装されてもその機能を果たすことが可能であり、また、自動二輪車への取付けの際に懸架バネが邪魔とならない。
【0101】
したがって、上述の各効果により、電磁緩衝器をフロントフォークに適用可能なものとできる。
【0102】
加えて、スペーサを設けたので、特に第2チューブ内の中間部にボール螺子ナットを結合する場合には、スペーサを第2チューブより短いものとすれば、ボール螺子ナットを結合したスペーサを第2チューブに挿入して、その端部でスペーサと第2チューブとを結合するだけで、ボール螺子ナットを第2チューブの中間部に配置できるので加工が容易となる。
【0103】
さらに、スペーサの内部にボール螺子ナットを設けるようにしておけば、スペーサの端部が、フロントフォークの最圧縮時の衝撃を受け止めることとなり、ボール螺子ナットは、懸架バネと干渉することが防止されるので、この場合には、ボール螺子ナットの損傷を防止することが可能である。
【0104】
そして、さらに、請求項2に記載の発明によれば、第1チューブと第2チューブとの間には複数の軸受部材が配在され、複数点支持されているので、自動二輪車の走行時に、自動二輪車の旋回、路面の凹凸等によりフロントフォークに斜め方向からの曲げ力が負荷されても、第1チューブに対して第2チューブは傾くことは無く、螺子軸とボール螺子ナットの中心軸のずれを防止できる。すると、螺子軸とボール螺子ナットの各中心軸がずれないので、ボール螺子ナットの一部のボールに集中して荷重がかかることを防止でき、ボール若しくは螺子軸のねじ山が損傷する事態を避けることが可能である。
【0105】
また、ボール若しくは螺子軸のねじ山の損傷を防止できるので、螺子軸とボール螺子ナットの回転若しくはフロントフォークの伸縮方向への移動の各動作の円滑さを保つことができる。
【0106】
したがって、上記各動作の円滑を保てるので、フロントフォークとしての機能も損なわれず、ひいては、フロントフォークの損障を防止できる。
【0107】
そして、また、請求項3の発明によれば、モータのフレーム内に、モータの構成部材以外に動力伝達手段をも収められているので、このフロントフォークに路面等から突き上げ力等が負荷され、フロントフォークが収縮し、最圧縮状態となり、懸架バネの荷重が増大した状態となっても、バネ受けまたは懸架バネが動力伝達手段およびモータと干渉することが無いので、特に電磁力を減衰力として利用するフロントフォークの主要部材たるモータや動力伝達手段を損傷することが防止される。
【0108】
また、さらに、請求項4の発明によれば、動力伝達手段に歯車機構を使用しているので、モータのシャフトの回転速度を螺子軸の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。
【0109】
すなわち、実際にこのフロントフォークを自動二輪車に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0110】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、フロントフォークに使用するモータを大型化する必要が無くなる。したがって、コスト的にも有利である。
【0111】
そして、また、請求項5の発明によれば、制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づいて、モータのシャフトの回転による誘導起電力に基づきモータに流れる電流量を調整することが可能となる。
【0112】
また、このとき、モータには誘導起電力に基づく電流が流れるので、特に、通電する必要が無く、電力供給を制御装置のみに行えばよいので、消費電力を低く押えることが可能となるとともに、電流量を適切なものとすることにより、フロントフォークの発生する減衰力も自動二輪車等の走行状態に適したものとすることに調節可能であるので、乗り心地が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロントフォークの側面断面図である。
【図2】ボール螺子ナットをインナーチューブに取付けた状態における側面断面参考図である。
【図3】ボール螺子ナットをスペーサの内部に配在させた状態における側面断面図である。
【図4】従来の電磁緩衝器の概念図である。
【図5】ボール螺子ナットに螺子軸を螺合させた状態における側面断面図である。
【図6】ボール螺子ナットの中心軸と螺子軸の中心軸とがずれた状態における側面断面図である。
【符号の説明】
1 第1チューブたるアウターチューブ
2 第2チューブたるインナーチューブ
4,5 軸受部材
6 螺子軸
7 ボール螺子ナット
8a 懸架バネ
8b,8c バネ受
10 スペーサ
21 アジャスタ
35 シャフト
C キャップ
D 動力伝達手段
M モータ
P 歯車機構たるプラネタリギア
Claims (5)
- 第1チューブの内側または外側に第2チューブを摺動自在に嵌合するとともに、第1チューブと第2チューブとの間に介装した懸架バネにより常時伸び方向に附勢されているフロントフォークにおいて、制御装置に接続または各電極を短絡したモータを第1チューブ内に結合させ、第2チューブ内に第2チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内にモータのシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、モータのシャフトに形成した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をモータのシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記シャフトの回転に抗するトルクを第2チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用するとともに、ボール螺子ナットを第2チューブ内に挿入したスペーサの一端に結合し、上記スペーサの他端を上記懸架バネのバネ力で第1チューブに設けたバネ荷重調整機構に固定したことを特徴とするフロントフォーク。
- 第1チューブと第2チューブとの間に複数の軸受部材を介在させたことを特徴とする請求項1に記載のフロントフォーク。
- モータのフレーム内に動力伝達手段を設け、懸架バネが直接またはバネ受を介してフレームに当接することを特徴とする請求項1または2に記載のフロントフォーク。
- 動力伝達手段を歯車機構としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフロントフォーク。
- 制御装置が、車両速度、操舵角速度、前輪分担荷重の各値のうち、いずれか1つまたは任意に組み合わせた各値に基づき、上記モータに流れる電流を調節することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフロントフォーク。
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