JP4124973B2 - 流体封入式トーコレクトブッシュおよびそれを用いたサスペンション機構 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、自動車のサスペンションブッシュの一種であるトーコレクトブッシュとそれを用いたサスペンション機構に係り、特に、トーションビーム式リジットアクスル型のサスペンション機構に用いられて、左右のトレーリングアームのボデー側への取付部位に装着される新規な構造のトーコレクトブッシュと、かかるトーコレクトブッシュを採用することによって実現される、車両の操縦安定性と乗心地を両立して高度に達成せしめ得る新規な構造のサスペンション機構に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、自動車におけるトーションビーム式リジットアクスル型のサスペンション機構において、トーションビーム(ツイストビームとも言う)で連結された左右のトレーリングアームのボデー側への取付部位に装着されるサスペンションブッシュの一種として、特開平9−104212号公報や特開平11−247914号公報,特開平11−257396号公報,特開2000−74117号公報等に開示されているように、インナ軸金具の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設けると共に、アウタ筒金具の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出し、インナ側傾斜部に対して略平行な対向面で離隔して対向位置するアウタ側傾斜部を形成する一方、それらインナ軸金具とアウタ筒金具の径方向対向面間に本体ゴム弾性体を介在せしめて両金具を弾性連結せしめると共に、インナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間に介装されてそれらを弾性的に連結するトーコレクトゴム弾性体を、かかる本体ゴム弾性体と一体的に形成した構造のトーコレクトブッシュが、知られている。かくの如き構造のトーコレクトブッシュは、その中心軸(インナ軸金具およびアウタ筒金具の中心軸)が車両横方向となり、インナ側およびアウタ側の傾斜部の突出する軸直角方向が車両前後方向となる状態で自動車に装着されることとなり、その特性が、自動車の走行時におけるトレーリングアーム、延いては車輪の変位に大きな影響を及ぼすことから、目的とする車両の乗心地や操縦安定性が発揮されるように、トーコレクトブッシュの特性がチューニングされる。
【0003】
そして、このようなトーションビーム式サスペンション機構において目的とする特性は、車両の乗心地と操縦安定性の高次元での両立であり、一般に、車両の乗心地の向上のために、車両前後方向において、段差乗越時等に及ぼされるハーシュネスの衝撃的振動に対する低動ばね特性とその後のブルブル感振動に対する高減衰特性がそれぞれ要求される一方、車両の操縦安定性の向上のために、コーナリング荷重の入力時におけるサスペンション部材の車両前後方向での変位量を抑えて横力ステアによるオーバステアを防止乃至は軽減することが重要とされる。
【0004】
ところが、従来のトーコレクトブッシュでは、その設計および特性評価に際して、専ら、中心軸方向および軸直角方向でのばね特性と荷重−変位特性だけが考慮されていたに過ぎなかった。即ち、乗心地の設計や評価を、軸直角方向でのばね特性の柔らかさに基づいて行う一方、操縦安定性の設計や評価を、中心軸方向でのばね特性の硬さと、中心軸方向への入力に伴う軸直角方向の変位量(トーコレクト量)の抑制に基づいて行っていたのである。
【0005】
そのために、従来構造のトーコレクトブッシュにおいては、前記公報等にも記載されているように、単に、インナ軸部材とアウタ筒部材の径方向対向面間を弾性連結する本体ゴム弾性体に対して、車両前後方向となる軸直角方向でインナ軸部材を挟んで対向位置する両側部分にそれぞれ軸方向に延びる一対のスリットを形成することにより、車両前後方向のばね特性を柔らかく設定する一方、車両横方向となる軸方向では、トーコレクトゴムで弾性連結されたインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部における互いに平行な傾斜面の傾斜角度を調節することにより、中心軸方向でのばね特性の硬さと、中心軸方向への入力に伴う軸直角方向の変位量(トーコレクト量)を調節していたに過ぎなかったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、サスペンション機構への装着状態下で発揮される乗心地と操縦安定性の両方の要求特性を、より高次元で両立して達成することの出来る、新規な構造のトーコレクトブッシュと、それを用いた新規な構造のサスペンション機構を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
すなわち、本発明の第一の態様は、インナ軸部材と、その外方に離隔配置されたアウタ筒部材を、それらの径方向対向面間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設ける一方、該アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出し、該インナ側傾斜部に対して離隔して対向位置せしめられたアウタ側傾斜部を設けて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム弾性体を介在せしめたトーコレクトブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体と前記トーコレクトゴム弾性体を、互いに別体の加硫成形品にて構成して、該本体ゴム弾性体と該トーコレクトゴム弾性体の対向面間には全体に亘って広がる空隙を形成する一方、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の径方向対向面間で、該インナ軸部材を前記インナ側傾斜部が突出する径方向に挟んだ両側に位置して、それぞれ該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された第一の流体室と第二の流体室を形成すると共に、それら第一の流体室と第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設けたことを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、径方向の振動入力時に本体ゴム弾性体の弾性変形に伴って第一の流体室と第二の流体室の間に相対的な圧力変化が生ぜしめられて、それら両流体室間で、オリフィス通路を通じての流体流動が惹起されることとなる。それ故、オリフィス通路の通路長さや断面積等を適当に設定してチューニングすることにより、ハーシュネスの衝撃的振動やブルブル感振動等の走行時に問題となる振動に対して、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、低動ばね効果や高減衰効果による優れた防振効果を得ることが可能となるのであり、以て、車両の乗心地の向上が図られ得るのである。
【0010】
また、ここにおいて、流体の共振作用に基づく効果は、チューニング周波数域の動的な振動荷重に対して有効に発揮され得て、低動ばね効果等を発揮し得るものであることから、コーナリングに際して入力される横力等に対するばね特性への悪影響が軽減乃至は回避され得るのであり、その結果、操縦安定性が高度に維持され得るのである。
【0011】
しかも、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体が別体で形成されていることにより、それら両ゴム弾性体に対して、例えば材質を異ならせること等によって、互いに異なる特性を大きな自由度で設定することが可能となる。その結果、例えば、トーコレクトゴム弾性体の硬度を本体ゴム弾性体の硬度よりも大きくすることが可能となり、流体封入式トーコレクトブッシュの全体として、圧縮方向となる弾性主軸と剪断方向となる弾性主軸とのばね定数の比(主軸ばね比)の値を大きく設定することも可能となるのである。
【0012】
そして、このような本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム弾性体の別体構造を採用したことにより、主に乗心地に影響する車両前後方向に入力される振動荷重に対して、本体ゴム弾性体の弾性変形と、それに伴う流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果を高度に確保しつつ、主に操縦安定性に影響する車両横方向荷重に対するトーコレクトゴムの弾性変形と、それに伴うトーコレクト作用に基づいて、優れた操縦安定性を得ることが出来るのである。
【0013】
また、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体が別体で形成されていることから、流体封入式トーコレクトブッシュ全体の特性チューニングの自由度が大きく確保され得るのであり、その結果、例えば、異なる車種やグレード間でトーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体の何れか一方だけを異ならせて、他方を共通化することによって、異なるチューニング特性を容易に実現することも可能となる。
【0014】
なお、オリフィス通路は、例えば、第一の流体室と第二の流体室を仕切る本体ゴム弾性体からなる隔壁部分を貫通して形成したり、インナ軸部材の外周面に沿って周方向に延びる通路によって形成することも可能であるが、好適には、アウタ筒部材の内周面に沿って周方向に延びるように形成された通路によって構成されることとなり、それによって、オリフィス通路の通路長さを有利に確保することが可能となって、オリフィス通路のチューニング自由度が向上される。
【0015】
また、第一の流体室や第二の流体室には、インナ軸部材側とアウタ筒部材側の一方の側から他方の側に向かって所定高さで突出して、突出先端面において該他方の側に対して所定距離を隔てて対向位置するブロック状のストッパ部が、必要に応じて形成され得る。このようなストッパ部を採用すれば、インナ軸部材とアウタ筒部材の径方向での相対変位量の制限や、それに伴う本体ゴム弾性体の耐久性の向上等が図られ得る。
【0016】
なお、本発明におけるトーコレクトゴムは、車両への装着状態下でインナ軸部材とアウタ筒部材の間への軸方向荷重入力により圧縮変形せしめられてトーコレクト機能を発揮するものであり、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に荷重が入力されていない装着状態前の状態下では、アウタ筒部材の絞り加工等による圧縮力(予圧縮)がトーコレクトゴムに及ぼされている必要はない。
【0017】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体の材質と、前記トーコレクトゴム弾性体の材質を、相互に異ならせたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム弾性体のばね特性をより大きなチューニング自由度で設定することが出来るのであり、例えば、トーコレクトゴム弾性体の硬度を本体ゴム弾性体の硬度よりも大きくすることによって、流体封入式トーコレクトブッシュの全体として、主軸ばね比の値を一層大きく設定することも可能となる。
【0018】
また、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム弾性体の何れかを変更することによって、流体封入式トーコレクトブッシュ全体の特性をチューニング変更することも出来るのであり、例えば、異なる車種やグレード間でトーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体の何れか一方を異ならせて、他方を共通化することにより、流体封入式トーコレクトブッシュ全体の特性を異ならせることも可能となる。
【0019】
なお、本体ゴム弾性体とトーコレクトゴム弾性体の材質としては、何れも、NR(天然ゴム),SBR(スチレンブタジエンゴム),BR(ブタジエンゴム)やIR(イソプレンゴム)等の単体、若しくは、ブレンドされた従来から公知の各種ゴム材料が好適に採用され得ることとなり、これらを適当に組み合わせることによって、要求される特性にチューニングすることが可能である。
【0020】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、前記インナ軸部材を、前記本体ゴム弾性体に加硫接着された第一のインナ軸部材と、前記トーコレクトゴム弾性体に加硫接着された第二のインナ軸部材からなる分割構造として、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材が、装着状態下で相互に固定されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、流体封入式トーコレクトブッシュを第一のインナ軸部材を備えた本体ゴム弾性体の一体加硫成形品と、第二のインナ軸部材を備えたトーコレクトゴム弾性体の一体加硫成形品からなる分割構造体にすることが出来ることから、流体封入式トーコレクトブッシュを構成する各一体加硫成形品毎に製造することが可能となり、分割構造体でない場合に比して、複雑な成形型を必要としないので、製造が容易となる。
【0021】
また、本発明の第四の態様は、前記第三の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、前記第一のインナ軸部材と前記第二のインナ軸部材の何れか一方を他方に対して外挿固定せしめたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材を相互に確実に固定することが出来ると共に、両インナ軸部材を相互に固定することによって流体封入式トーコレクトブッシュの車両への装着時におけるインナ軸部材の取付作業性が向上される。
【0022】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、前記本体ゴム弾性体の外周面に金属スリーブを加硫接着して、該金属スリーブに開口窓を設け、該本体ゴム弾性体において該開口窓を通じて外周面に開口するポケット部を前記インナ軸部材を径方向に挟んだ両側にそれぞれ形成すると共に、該金属スリーブに前記アウタ筒部材を外嵌固定してそれらのポケット部を流体密に覆蓋することにより、前記第一の流体室と前記第二の流体室を形成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、本体ゴム弾性体に形成されたポケット部をアウタ筒部材によって流体密に覆蓋するという簡単な構造によって、第一の流体室と第二の流体室を、優れた流体密性をもって形成することが出来る。なお、金属スリーブとアウタ筒部材の嵌着面間には、シールゴム層を挟圧せしめることにより、第一及び第二の流体室の流体密性を向上させることが望ましい。また、かかるシールゴム層は、例えば金属スリーブの外周面やアウタ筒部材の内周面に対して加硫接着されることによって有利に形成され得る。更にまた、金属スリーブに対して、各ポケット部が開口せしめられる二つの開口窓を独立して形成すると共に、それらの開口窓間にまたがって周方向に延びる周溝を形成して、該周溝をアウタ筒部材で覆蓋せしめることにより、かかる周溝内において、アウタ筒部材の内周面に沿って周方向に延びて第一及び第二の流体室間を相互に連通するオリフィス通路を形成するようにしても良い。
【0023】
また、本発明の第六の態様は、前記第五の態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、前記アウタ筒部材を、前記本体ゴム弾性体を介して前記インナ軸部材に連結される円筒状部と、前記トーコレクトゴム弾性体を介して前記インナ側傾斜部に連結されるアウタ側傾斜部を備えた一体構造として、該アウタ筒部材を該トーコレクトゴム弾性体に加硫接着せしめると共に、かかるトーコレクトゴム弾性体の一体加硫成形品における該アウタ筒部材の該円筒状部を、該本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着された前記金属スリーブに外嵌固定せしめたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、トーコレクトゴム弾性体に加硫接着されたアウタ筒部材を金属スリーブ外嵌固定することによって、トーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体を、共にアウタ筒部材に対して容易に取り付けることが出来るのであり、別体形成されたトーコレクトゴム弾性体と本体ゴム弾性体を予め一体的に組付けることにより、流体封入式トーコレクトブッシュの車両への装着作業性も向上され得ることとなる。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、前記インナ側傾斜部と前記アウタ側傾斜部の対向面間に位置して、それら各傾斜部の対向面からそれぞれ離隔して広がる中間拘束部材を配設すると共に、該中間拘束部材を前記トーコレクトゴムに加硫接着せしめたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、インナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間に中間拘束部材を配設してトーコレクトゴム弾性体に加硫接着せしめたことにより、トーコレクトゴム弾性体それ自体において、柔かい剪断方向、即ち、インナ側及びアウタ側の各傾斜部の突出方向でのばね特性を維持しながら、圧縮方向、即ち、インナ側及びアウタ側の各傾斜部の対向方向のばね特性が硬く設定されるのである。その結果、流体封入式トーコレクトブッシュ全体としての主軸ばね比の値をより大きく設定することが可能となる。
【0039】
なお、本態様において、トーコレクトゴム弾性体で連結されるインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面や、それらインナ側及びアウタ側の各対向面と中間拘束部材の対向面は、必ずしも相互に平行である必要はなく、弾性主軸方向やねじり方向,こじり方向等の各種方向で要求されるばね特性を考慮して、例えば、中間拘束部材の肉厚寸法を部分的に乃至は次第に変化させること等によって、かかる対向面間の距離、換言すれば、トーコレクトゴム弾性体の肉厚寸法を、部分的に乃至は次第に異ならせて設定することも可能である。
【0040】
また、中間拘束部材の大きさ等も、求められる要求特性に応じて設定されるものであって、特に限定されるものではないが、好ましくは、インナ側傾斜部およびアウタ側傾斜部の各対向面の面積の半分以上に設定されることとなり、より好ましくは、インナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間の実質的に全体に亘って配設される。このように中間拘束部材の大きさを十分に確保することによって、流体封入式トーコレクトブッシュにおける主軸ばね比を一層有利に確保することが可能となる。
【0041】
更にまた、中間拘束部材の突出方向の長さは、トーコレクトゴム弾性体の長さの半分以上あることが望ましく、トーコレクトゴム弾性体を貫通する長さであっても良い。また、中間拘束部材は、トーコレクトゴム弾性体の加硫成形型へのセッティング作業性を向上させるために、その一部をトーコレクトゴム弾性体に埋設せしめて、部分的に外部空間に突出させることが有効であるが、その全体が、トーコレクトゴム弾性体に埋設配置されていても良い。
【0042】
また、中間拘束部材の材質としては、少なくともトーコレクトゴム弾性体よりは高い剛性を有する剛性材が用いられ、具体的には、合成樹脂材,金属等が好適に用いられる。更に、中間拘束部材には、その両側に配設されるトーコレクトゴム弾性体を相互に接続するために、板厚方向に貫通した連通孔を設けることも可能であり、それによって、中間拘束部材によって分断状態とされた両側のトーコレクトゴム弾性体の加硫時の圧力の均分化や、接着力の向上等が図られ得る。加えて、中間拘束部材を、トーコレクトゴム弾性体内に複数個配設することも可能である。
【0043】
また、本発明は、左右のトレーリングアームをトーションビームで連結したサスペンション部材を、自動車のボデーに対して揺動可能に防振連結せしめたサスペンション機構において、前記サスペンション部材における車両前方側の左右両側部分に対して、前記第一乃至第七の何れかの態様に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュをそれぞれ装着せしめて、それらの流体封入式トーコレクトブッシュを介して、該サスペンション部材を前記ボデーに防振連結すると共に、かかる左右両側の流体封入式トーコレクトブッシュの中心軸を車両左右方向に向けて配設して、前記第一の流体室と前記第二の流体室を車両前後方向で対向位置せしめたサスペンション機構も、特徴とする。
【0044】
このような本発明に従う構造とされたサスペンション機構においては、各流体封入式トーコレクトブッシュにおける前述の如き特性に基づいて、例えば、車両段差乗越時等に発生する車両前後方向の振動に対して、第一及び第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、低動ばね効果や高減衰効果が発揮され得ることから、車両の乗心地の向上が一層有利に達成され得るのである。
【0045】
ここにおいて、各流体封入式トーコレクトブッシュは、各ポケット部が形成された径方向を車両前後方向に、且つ、インナ側およびアウタ側の傾斜部を車両中央側に位置せしめて配設することが望ましく、それによって、効率的に各流体室に圧力変動を生ぜしめることが可能となり、オリフィス通路を流動せしめられる流体量が有利に確保されることとなる。その結果、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づく低動ばね効果や高減衰効果を、より効率的に得ることが可能となる。
【0046】
また、本態様のサスペンション機構においては、各流体封入式トーコレクトブッシュにおいて、車両前後方向の防振性能を流体流動作用に基づいて高度に確保しつつ、主軸ばね比を大きく設定すること等が可能となるのであり、そのような特性に基づいて、車両コーナリング時におけるサスペンション部材の外力による変位を、車両横方向に近い方向に向わせて横力ステアを有利に抑えることが出来るのであり、それによって、良好なる車両の操縦安定性を、車両の乗心地を確保しつつ達成することが可能となるのである。
【0047】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0048】
先ず、前記解決手段の欄に記載された本発明の第一乃至第七の何れかの態様に係る一実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ10について、本発明の第一の実施形態として、図1〜5を参照しつつ、説明する。この流体封入式トーコレクトブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に離隔して配置されていると共に、それら内外筒金具間12,14に本体ゴム弾性体16が介装されて、両金具12,14が弾性的に連結された構造を有している。
【0049】
より詳細には、内筒金具12は、軸方向にストレートに延びる厚肉小径の円筒形状を有しており、その軸方向の略中央部分で二つに分割されることによって、第一の内筒金具18および第二の内筒金具20とされている。そして、第一の内筒金具18の外周面上に本体ゴム弾性体16が配設されている。要するに、本実施形態では、同一中心軸上に位置せしめられた互いに略同じ内外径寸法を有する二つの内筒金具18,20が、各軸方向一方の端面で互いに重ね合わせられることにより、一つの内筒金具12が構成されているのである。
【0050】
なお、第一及び第二の内筒金具18,20の各軸方向両端部分の内周側角部には、軸方向外方に行くに従って、径方向外方に拡開するテーパ傾斜面が形成されている。これにより、第一及び第二の内筒金具18,20の各中心軸が互いに径方向にずれていたとしても、内筒金具12をボデーに固定するためのロッド等が、両内筒金具18,20の中心孔19,21に対して容易に内挿され得るようになっている。
【0051】
また、第二の内筒金具20の軸方向の略中央部分には、略湾曲板形状の固定プレート22が固着されており、内筒金具12の軸方向一方(図1中左方)の端部近くに位置せしめられるようになっている。この固定プレート22は、プレス金具等の剛性材で形成されており、略扇形の湾曲板形状を有している。また、扇形の中央部分には、円弧形状の嵌着用切欠24が設けられている。そして、嵌着用切欠24に対して内筒金具12(第二の内筒金具20)が挿通され、嵌着用切欠24が内筒金具12に溶着されることによって、固定プレート22が内筒金具12に固着されている。
【0052】
そこにおいて、固定プレート22は、内筒金具12から離れるに従って幅広となる略扇形形状を有しており、内筒金具12の中心軸26に対して、径方向一方(図1,2中の上方)の側に向って軸方向外方に傾斜して突出せしめられており、かかる固定プレート22の傾斜外面が、中心軸26に対して略一定の傾斜角度で斜め外方に延び出す傾斜面(70)とされている。更に、固定プレート22は、その中心部分の幅寸法(図2中の左右方向寸法)が、内筒金具12の外径寸法と外筒金具14の内径寸法の略中間程度とされていると共に、その突出先端部の最も大きな幅寸法が、外筒金具14の内径寸法に略近い大きさとされている。なお、固定プレート22の突出先端面(外周面)は、内筒金具12の中心軸26を略中心とする円弧形状とされている。
【0053】
また、第一の内筒金具18の軸方向中央部分には、径方向外方に突出する一対のストッパ部28,28が、径方向で対向位置して一体形成されている。これら一対のストッパ部28,28は、それぞれ、径方向外方に突出する略矩形ブロック形状を有している。また、各ストッパ部28の幅寸法(図5中の左右方向の寸法)は、第一の内筒金具18の外径寸法と略同一とされていると共に、各ストッパ部28の軸方向寸法は、第一の内筒金具18の軸方向寸法よりも充分に小さくされている。更に、各ストッパ部28の突出高さは、外筒金具14まで至らない大きさとされていると共に、その突出先端面が周方向に湾曲されており、その曲率半径は外筒金具14の内周面の曲率半径と略同じとなっている。
【0054】
また、第一の内筒金具18の径方向外方には、薄肉の大径円筒形状を有する金属スリーブ30が所定距離を隔てて、且つ、同心軸上に配設されている。この金属スリーブ30の軸方向長さは第一の内筒金具18の軸方向長さよりも小さくされており、第一の内筒金具18の軸方向両端部が、金属スリーブ30から軸方向外方に突出されている。更に、金属スリーブ30の軸方向中央部分には、第一の周溝32が形成されている。
【0055】
この第一の周溝32は、金属スリーブ30の外周面に開口した幅広、且つ、浅底の凹溝形状とされており、略一定の断面積で金属スリーブ30の全周に亘って形成されている。また、第一の周溝32の幅方向(金属スリーブ30の軸方向)の長さは、金属スリーブ30の軸方向長さよりも小さくされており、それによって、金属スリーブ30の軸方向両端部分には、それぞれ大径の嵌着リング部33,33が形成されている。更に、第一の周溝32の深さ寸法は、金属スリーブ30の厚さ寸法と略同じとされていると共に、該第一の周溝32の軸方向中央部分だけが深底とされて、第二の周溝34が形成されている。
【0056】
この第二の周溝34は、第一の周溝32の底面に開口した幅狭、且つ、深底の凹溝形状とされており、略一定の断面積で第一の周溝32の全周に亘って形成されている。また、第二の周溝34の幅方向(金属スリーブ30の軸方向)の寸法は、第一の周溝32の幅寸法の略1/2とされている。更に、第二の周溝34の深さ寸法は、第一の周溝32の深さ寸法よりも大きく、本実施形態では、金属スリーブ30の厚さ寸法の略2倍とされている。
【0057】
これにより、金属スリーブ30の軸方向中央部分には、第一及び第二の周溝32,34からなる段付凹溝36が、金属スリーブ30の外周面に開口して略一定の断面形状で全周に亘って形成されている。ここにおいて、段付凹溝36は、第一の周溝32によって構成された幅方向(図1中の左右方向)両側の浅底部と第二の周溝34によって構成された幅方向中央部分の深底部を備えている。また、段付凹溝36における浅底部の深さ寸法は、金属スリーブ30の厚さ寸法と略同じとなっていると共に、その深底部の深さ寸法は、金属スリーブ30の厚さ寸法の略3倍となっている。
【0058】
また、金属スリーブ30の軸方向中央部分、即ち、段付凹溝36が形成された部分には、一対の開口窓40,40が径方向一方向に対向位置して形成されている。これらの開口窓40,40は、それぞれ、矩形形状を有しており、金属スリーブ30を貫通して形成されている。また、各開口窓40は、その周方向長さが、段付凹溝36の略1/3周とされていると共に、その軸方向長さが、段付凹溝36の軸方向長さの略3/4とされている。そして、これら一対の開口窓40,40は、一対のストッパ部28,28の突出方向外方に位置せしめられている。
【0059】
また、金属スリーブ30に一対の開口窓40,40が形成されていることによって、段付凹溝36の深底部を構成する第二の周溝34が、実質的に周方向で二つに分断されており、それによって、一対の外周凹溝42,42が径方向一方向で対向位置して形成されている。そして、外周凹溝42,42は、一対の開口窓40,40間で、それぞれ、開口窓40,40をつなぐように周方向に延びている。
【0060】
そして、これら第一の内筒金具18と金属スリーブ30の径方向対向面間に本体ゴム弾性体16が配設されており、図6〜8に示されているように、第一の内筒金具18の外周面と金属スリーブ30の内周面に対して、それぞれ加硫接着された第一の一体加硫成形品44として形成されている。
【0061】
かかる本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉の略円筒形状とされており、その外周面が金属スリーブ30の内周面に加硫接着されていると共に、その内周面が第一の内筒金具18の外周面に加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の軸方向中央部分には、一対のポケット部46,46が形成されている。
【0062】
この一対のポケット部46,46は、それぞれ、本体ゴム弾性体16の外周面に開口して形成されている。また、本実施形態において、各ポケット部46の軸方向両側の壁部を構成するゴム壁部47,47の厚さは、それぞれ、本体ゴム弾性体16の軸方向長さの略1/4とされている。また、各ポケット部46の深さ寸法は、第一の内筒金具18までは僅かに至らない大きさとされていると共に、各ポケット部46の周方向寸法は、本体ゴム弾性体16の周方向長さの略1/3周とされている。そして、これら一対のポケット部46,46は、金属スリーブ30における一対の開口窓40,40を通じて、金属スリーブ30の外周面に開口せしめられている。また、各ポケット部46の底面中央部分には、ストッパ28が開口窓40までは至らない高さで突出位置せしめられていると共に、かかるストッパ部28の表面には、本体ゴム弾性体16から一体的に延び出したゴム層によって、被覆緩衝ゴム層48が形成されている。なお、図面には明示されていないが、かかる被覆緩衝ゴム層48において、ストッパ部28の突出先端面を被覆している部分には、その全面に亘ってシボ突起が形成されている。
【0063】
また、段付凹溝36の表面にも、本体ゴム弾性体16から一体的にシールゴム層50が延び出しており、かかるシールゴム層50によって、段付凹溝36の全面が覆われている。かかるシールゴム層50は、金属スリーブ30の厚さ寸法より僅かに厚肉とされていおり、段付凹溝36の浅底部を構成する第一の周溝32が実質的にシールゴム層50によって埋め立てられている。また、段付凹溝36の第二の周溝34によって構成された一対の外周凹溝42,42は、その一方の外周凹溝42だけがシールゴム層50によって埋め立てられて遮断壁部51が形成されている。また、他方の外周凹溝42は、その内周面に薄肉のシールゴム層50が被着されており、かかる他方の外周凹溝42によって、一対のポケット部46,46を周方向に相互に接続する接続周溝53が形成されている。
【0064】
なお、シールゴム層50において、段付凹溝36の浅底部を構成する第一の周溝32を埋め立てている部分の外周面には、それぞれ、周方向に連続して延びる形態をもって、僅かな高さで突出するシールリップ54が一体形成されており、かかるシールリップ54の突出先端部が、金属スリーブ30の外周面よりも径方向外方に突出せしめられている。
【0065】
さらに、本体ゴム弾性体16の軸方向一方(図1中の左方)の端部には、一対のポケット部46,46が形成された径方向を示す位置決めゴム56が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。
【0066】
また、かくの如き本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品44には、円弧形状のオリフィス金具58が外周面上に組み付けられていると共に、このオリフィス金具58の外周面を覆うようにして、更に、外筒金具14が組み付けられている。
【0067】
オリフィス金具58は、アルミニウム合金や合成樹脂等の硬質材によって形成されており、全体として略一定の矩形断面形状で円弧状に湾曲して延びるように形成された湾曲ブロック形状とされている。また、オリフィス金具58は、接続用溝53に対応した外径形状とされており、接続用溝53に嵌め込まれて、該接続用溝53に対して充填された状態で組み付けられている。また、オリフィス金具58には、幅方向中央部分を外周面に開口して周方向に延びる凹溝62が形成されている。この凹溝62は、オリフィス金具58の外周面に開口して、略一定の断面積でオリフィス金具58の周方向の全長に亘って連続して延びており、その両端部分がオリフィス金具58の周方向両端面に開口せしめられている。なお、かかる組付け状態下において、オリフィス金具58の軸方向両端面と内周面は、接続用溝53の表面に圧接されていることにより、それらの圧接面間の流体密性が確保されている。それによって、一対のポケット部46,46は、オリフィス金具58の凹溝62のみによって相互に連通されているのである。
【0068】
また一方、図1〜4に示されているように、外筒金具14は、金属スリーブ30の外径寸法よりも僅かに大きい内径寸法で軸方向にストレートに延びる薄肉大径の円筒形状を有する円筒状部63を備えており、この円筒状部63が金属スリーブ30の外周面に外嵌されて組み付けられている。また、円筒状部63の軸方向長さは、第一の内筒金具18の軸方向長さより小さくされており、第一の内筒金具18の軸方向両端部分が円筒状部63から軸方向外方に突出せしめられている。更に、外筒金具14における円筒状部63の軸方向一方(図1中の左方)の開口周縁部には、径方向外方に突出して周方向に延びるフランジ状部64が一体形成されている。
【0069】
そして、このフランジ状部64の周上の一部分(図1,2中の上側部分)が、径方向外方に延長されていると共に、軸方向外方に傾斜せしめられている。それによって、内筒金具12(第二の内筒金具20)に突設された固定プレート22に対して斜め軸方向に離隔し、固定プレート22に対して略平行に対向位置する傾斜板対向部66が、円筒状部63と一体形成されており、かかる傾斜板対向部66によって、外筒金具14の中心軸68に対して略一定の角度で傾斜した傾斜面が構成されている。
【0070】
なお、このことから明らかなように、本実施形態では、内筒金具12(第二の内筒金具20)の固定プレート22によってインナ側傾斜部が構成されている一方、外筒金具14の傾斜板対向部66によってアウタ側傾斜部が構成されている。また、傾斜板対向部66は、その突出先端面80が固定プレート22よりも大径の円弧状面とされていると共に、その周方向長さが、固定プレート22よりも十分に大きくされており、固定プレート22の周方向両側に張り出して位置せしめられている。また、本実施形態では、固定プレート22と傾斜板対向部66の各対向面70,72によって、相互に対向位置する傾斜面が構成されており、各対向面70,72は互いに略平行とされている。
【0071】
さらに、固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72間には、中間拘束部材としての金属製の中間拘束板74が配設されている。この中間拘束板74は、図9,10にその単体図が示されているように、全体として略一定の板厚を有する周方向に湾曲した円弧板形の湾曲プレート形状とされており、内筒金具12の中心軸26に対して径方向外方に傾斜して、径方向一方(図1中の上方)の側に向って斜めに突出せしめられている。また、その突出方向の先端部分76は、径方向外方に向って屈曲されて、且つ、径方向外方に行くに従って幅広となる略扇形状とされている一方、その基端部分は、後述するトーコレクトゴム弾性体84内に位置せしめられている。なお、先端部分76の突出先端面78は、内筒金具12の中心軸26を略中心とし、且つ、傾斜板対向部66の突出先端面80よりも小径の円弧形状とされている。そして、かかる中間拘束板74は、固定プレート22と傾斜板対向部66の各対向面70,72間の中央部分に配設されており、中間拘束板74の表裏両面82,82が、固定プレート22と傾斜板対向部66の各対向面70,72に互いに平行となるように、位置せしめられている。また、中間拘束板74には、図10に示されているように、複数個(本実施形態では8個)の連通孔83が貫設されている。
【0072】
そして、固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72間にトーコレクトゴム弾性体84が介在されており、図11,12に示されているように、固定プレート22の対向面70と傾斜板対向部66の対向面72と中間拘束部材74の表裏両面82,82に対して、それぞれ加硫接着された第二の一体加硫成形品86として形成されている。また、本実施形態においては、本体ゴム弾性体16とトーコレクトゴム弾性体84の材質は、互いに異なったものが採用されており、トーコレクトゴム弾性体84のHs値が、本体ゴム弾性体16のHs値よりも大きくされている。
【0073】
かかるトーコレクトゴム弾性体84は、全体として固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72間の全体に亘って形成されており、両対向面70,72間の略全体に亘って略一定の肉厚寸法で広がる湾曲ブロック形状を有している。そして、トーコレクトゴム弾性体84の外周面が傾斜板対向部66の対向面72に加硫接着されていると共に、その内周面が固定プレート22の対向面70に加硫接着されている。また、固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72間の中央部分に配設された中間拘束板74は、トーコレクトゴム弾性体84に埋設されており、中間拘束板74の表裏両面82,82がトーコレクトゴム弾性体84に加硫接着されている。そして、中間拘束板74の連通孔83を通じて、中間拘束板74を挟んだ両側に分断されたトーコレクトゴム弾性体84が相互に接続一体化されている。
【0074】
ここにおいて、中間拘束板74は、その突出方向の先端部分76だけが周方向の全周に亘ってトーコレクトゴム弾性体84の外周側端面に突出せしめられている。一方、中間拘束板74の内周側基端部分は、固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72間の内周側端部近くまで延び出して、トーコレクトゴム弾性体84内に位置せしめられている。また、トーコレクトゴム弾性体84と一体的に形成された被覆ゴム層88が、固定プレート22の外周面に延び出しており、かかる被覆ゴム層88によって、固定プレート22の外周面が覆われている。
【0075】
そして、このような第二の一体加硫成形品86を構成する外筒金具14を第一の一体加硫成形品44を構成する金属スリーブ30に外嵌固定するに際しては、図13に示されているように、第二の一体加硫成形品86を構成する外筒金具14を、第一の一体加硫成形品44に対して、オリフィス金具58の組付後に外挿せしめる。ここにおいて、傾斜板対向部66の突出する径方向と一対のポケット部46,46が形成された径方向が一致するように、位置決めゴム56の方向を参照しながら、外筒金具14を第一の一体加硫成形品44に対して外挿する。また、第二の内筒金具20の軸方向端面が、第一の内筒金具18の軸方向端面に対して当接するまで、外筒金具14を第一の一体加硫成形品44の金属スリーブ30に外挿せしめた後、外筒金具14を八方絞り等で縮径加工することにより、外筒金具14を第一の一体加硫成形品44の金属スリーブ30とオリフィス金具58の外周面に嵌着固定せしめる。これにより、オリフィス金具58を、金属スリーブ30と外筒金具14に対して固定的に挟持せしめて組み付ける。また、かかる第一の一体加硫成形品44と第二の一体加硫成形品86の組付け状態下において、第一の内筒金具18と第二の内筒金具20の各中心軸が一致せしめられて、内筒金具12に一つの中心軸26が形成されている。また、かかる組付け状態下において、本体ゴム弾性体16の軸方向一方(トーコレクトゴム弾性体84側)の端面とトーコレクトゴム弾性体84の内周側端面の間には、空隙91が形成されており、本体ゴム弾性体16とトーコレクトゴム弾性体84が弾性変形せしめられた際の相互干渉が回避されるようになっている。
【0076】
そして、このように本体ゴム弾性体の一体加硫成形品44に対して、オリフィス金具58と外筒金具14が組み付けられることにより、一対のポケット部46,46の開口部が、それぞれ流体密に覆蓋されている。
【0077】
これにより、一対のポケット部46,46の一方(本実施形態では、図1中の上方)において、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された第一の流体室92が形成されている。また、一対のポケット部46,46の他方において、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された第二の流体室94が形成されている。更に、これら第一及び第二の流体室92,94には、それぞれ、非圧縮性流体が封入されている。かかる非圧縮性流体としては、水やアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、特に後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。そして、第一及び第二の流体室92,94は、第一及び第二の流体室92,94が形成された径方向の振動入力に際して、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられるようになっている。
【0078】
また、第一及び第二の流体室92,94への非圧縮性流体の封入は、例えば、本体ゴム弾性体の一体加硫成形品44に対するオリフィス金具58とトーコレクトゴム弾性体の一体加硫成形品86の組付けを非圧縮性流体中で行うことによって有利に為され得るが、その他、例えば、かかる組付けを大気中で行った後に、外筒金具に貫設した注入孔を通じて非圧縮性流体を充填し、その後に注入孔を封止リベット等で閉塞せしめることによって、或いは、本体ゴム弾性体16に注射針等を刺し通して、注射針を通じて非圧縮性流体を充填することによっても、為し得る。なお、金属スリーブ30と外筒金具14の間では、シールゴム層50が挟圧されており、第一及び第二の流体室92,94の流体密性が向上されている。
【0079】
さらに、第二の一体加硫成形品86を構成する外筒金具14の組付けによって、オリフィス金具58に形成された凹溝62が流体密に覆蓋されて、第一の流体室92と第二の流体室94を相互に連通するオリフィス通路96が形成されている。なお、オリフィス金具58の外周凹溝42への重ね合わせ面間には、シールゴム層50が介在せしめられており、オリフィス金具58と外周凹溝42の重ね合わせ面間の隙間を通じての第一の流体室92と第二の流体室94の短絡が防止されている。
【0080】
そして、オリフィス通路96は、第一及び第二の流体室92,94の壁ばね剛性の他、封入された非圧縮性流体の密度等を考慮して、それぞれの通路長さや通路断面積が適当に設定されることにより、内部を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、目的とする周波数域の振動に対して有効に発揮されるようにチューニングされている。なお、本実施形態では、オリフィス通路96は、その内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、14〜16Hzの周波数域の振動に相当するハーシュネス(ブルブル振動)に対して高減衰化による防振効果が発揮されるようにチューニングされている。
【0081】
また、第一及び第二の流体室92,94間では、第一の内筒金具18側から突設されたストッパ部28の突出先端面が所定距離を隔てて外筒金具14に対向位置せしめられており、ストッパ28の表面に被着された被覆緩衝ゴム層48を介して、外筒金具14に当接せしめられることにより、内筒金具12(第一の内筒金具18)と外筒金具14の軸直角方向での相対的変位量が緩衝的に制限されるようになっている。なお、本実施形態では、被覆緩衝ゴム層48において、ストッパ部28の突出先端面を被覆する部分の全面に亘って、シボ突起が設けられていることにより、ストッパ部28と外筒金具14が当接する際の当接音が軽減乃至は防止されるようになっている。
【0082】
そして、上述の如き構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ10は、図14に示されているように、例えば、左右両側の車輪を支持する一対のトレーリングアーム98,98を車両幅方向に延びるトーションビーム100で相互に連結固定せしめたトーションビーム式サスペンション機構に対して、一対が組み付けられる。即ち、その左右両側のトレーリングアーム98,98の各車両前端部分に形成された車両横方向に延びる装着孔に対して、外筒金具14を圧入固定する一方、内筒金具12を、ロッド等を介してボデーに固定することにより、図14において、その左右方向が車両左右方向で、上下方向が車両前後方向となる状態で装着される。また、各トレーリングアーム98の先端部分において、内筒金具12の固定プレート22と外筒金具14の傾斜板対向部66が、それぞれ、車両幅方向で内方に位置し、且つ、車両の斜め前方に向って突出せしめられるように、車両前後方向に延びる対称軸:X−Xを挟んで、互いに対称的に装着される。
【0083】
なお、本実施形態では、外筒金具(14)における円筒状部(63)の軸方向一方(図1中の右方)の端部が、他方の端部に比して僅かに縮径されており、それによって、外筒金具(14)をトレーリングアーム98の装着孔に取り付ける際の作業性が向上されている。
【0084】
そして、かかる装着状態下において、例えば、車両の段差乗越時等に、タイヤ102,102から車両前後方向に及ぼされる力:Fによって、各流体封入式トーコレクトブッシュ10には、中心軸に対して垂直な方向で、内外筒金具(12,14)間に外力:fが及ぼされることとなる。そして、かかる外力:fによって、本体ゴム弾性体(16)とトーコレクトゴム弾性体(16)が弾性変形せしめられることにより、内外筒金具(12,14)が、相対的に変位せしめられて、サスペンション部材104の全体に、車両ボデーに対する相対的な変位が生ぜしめられることとなる。
【0085】
ここにおいて、かかる構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ10においては、車両前後方向となる径方向に振動が入力されて本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられることにより、第一の流体室92と第二の流体室94の間に相対的な圧力変化が生ぜしめられて、それら両流体室92,94間で、オリフィス通路96を通じての流体流動が惹起されることとなる。
【0086】
その結果、オリフィス通路96を流動せしめられる流体の共振作用に基づく高減衰効果が発揮されて、段差乗越後に発生するブルブル振動に対して優れた防振性能を得ることが可能となり、以て、車両の乗心地の向上が図られ得るのである。
【0087】
また、オリフィス通路96を流動せしめられる流体の共振作用に基づく効果は、動的なブルブル振動に対して有効に発揮され得るものであることから、コーナリングに際して入力される横力等の略静的な荷重に対するばね特性への悪影響が軽減乃至は回避され得るのであり、その結果、操縦安定性も高度に維持され得るのである。
【0088】
さらに、本実施形態では、トーコレクトゴム弾性体84の硬度が、本体ゴム弾性体16の硬度よりも大きくされていることから、流体封入式トーコレクトブッシュ10の全体の全体として、主軸ばね比の値を一層大きく設定することが可能となる。
【0089】
また、トーコレクトゴム弾性体84の材質と本体ゴム弾性体16の材質は、互いに異なるものが採用されていることから、主に乗心地に影響する車両前後方向荷重に対して、本体ゴム弾性体16の弾性変形と、それに伴う流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果を高度に確保しつつ、主に操縦安定性に影響する車両横方向荷重に対しては、トーコレクトゴム弾性体84の弾性変形と、それに伴うトーコレクト作用に基づいて発揮される操縦安定性の向上が、一層有利に達成され得るのである。
【0090】
また、かかる流体封入式トーコレクトブッシュ10において、例えば、車両の段差乗越後に発生するハーシュネスとしての衝撃的振動やブルブル振動等の動的荷重に対するばね特性に関しては、本体ゴム弾性体16が支配的となって、オリフィス通路96を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果、特に、本実施形態では、ブルブル振動に対する高減衰化による防振効果が有効に発揮され得るのであり、一方、車両コーナリング時に発生する向心力によって、流体封入式トーコレクトブッシュ10に及ぼされる横力等の静的荷重に対するばね特性に関しては、トーコレクトゴム弾性体84が支配的となることから、圧縮方向の弾性主軸と流体封入式トーコレクトブッシュ10の中心軸の為す角度が小さくされることにより、車両前後方向のばね特性が十分に柔かくされて、優れた乗心地が発揮され得るのである。
【0091】
さらに、本実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ10では、本体ゴム弾性体16において、車両前後方向となる径方向に一対のポケット部46,46が形成されていることから、車両前後方向の入力荷重によって圧縮/引張変形せしめられるゴムボリュームが小さくされて、車両前後方向のばね特性が柔かくされることにより、優れた乗心地が一層有利に発揮され得るのである。
【0092】
また、本実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ10は、第二の一体加硫成形品86と第一の一体加硫成形品44によって構成されていることから、それらの何れか一方の例えばゴム弾性体の材質や形状等を異ならせることによって、特性の異なる流体封入式トーコレクトブッシュを容易に製造することが出来るのである。
【0093】
また、本実施形態では、固定プレート22と傾斜板対向部66の対向面70,72間に中間拘束板74を配設してトーコレクトゴム弾性体84に加硫接着せしめたことにより、トーコレクトゴム弾性体84それ自体において、柔かい剪断方向、即ち、固定プレート22と傾斜板対向部66の突出方向でのばね特性を維持しながら、圧縮方向、即ち、固定プレート22と傾斜板対向部66の対向方向のばね特性を硬く設定することが出来るのであり、それによって、車両前後方向での柔かいばね特性を確保しつつ、コーナリングに際しての車両横方向荷重の入力時における横力ステアを一層有利に抑えることが出来るのであり、その結果、車両の乗心地と操縦安定性をより高度に両立させることが可能となるのである。
【0094】
また、本実施形態では、中間拘束板74が、トーコレクトゴム弾性体84の厚さ方向略中央部分乃至は僅かに外周側に偏倚して配設されていることから、中間拘束板74の両側に位置せしめられたトーコレクトゴム弾性体84に対して応力が略均等に分布せしめられて、応力集中が回避されることにより、耐久性も有利に確保され得る。
【0095】
因みに、上述の如き流体封入式トーコレクトブッシュ10を装着したサスペンション機構において、その防振性能を測定した結果を、実施例として、図15に示す。かかる測定に際しては、図14に示されているように、流体封入式トーコレクトブッシュ10をトレーリングアーム98の装着孔に装着した後に、かかるサスペンション機構に対して、車両前後方向に段差乗越えに相当する衝撃的振動荷重を及ぼして、車両前後方向の振動伝達力の経時変化を測定した。なお、特開平9−104212号公報等に記載されているような、流体室を備えていない従来構造のトーコレクトブッシュを装着したサスペンション機構についても、同様な測定を行い、その結果を、比較例として、図15に併せ示す。
【0096】
図15に示された測定結果から明らかなように、実施例は、比較例に比して、短い時間で振動が抑えられており、ハーシュネスに対して優れた防振性能を発揮し得ることが認められる。
【0097】
以上、解決手段の欄に記載された本発明の第一乃至第七の何れかの態様に係る一実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ10について、本発明の第一の実施形態として詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0098】
例えば、前記第一の実施形態では、内筒金具12が、第一の内筒金具18と第二の内筒金具20を、それぞれの軸方向対向面で互いに重ね合わせることによって構成されていたが、第一及び第二の内筒金具の何れか一方を、他方に外挿することによって、内筒金具を構成することも可能である。具体的には、例えば、図16に示されているような構造が、好適に採用される。
【0099】
すなわち、図16には、本発明の第二の実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ106が示されている。本実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ106は、前記第一の実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ(10)に比して、内筒金具の構造が異なっている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、それぞれ、図中に第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0100】
より詳細には、本実施形態では、第一の内筒金具18が軸方向一方(第二の内筒金具20の方)の側に向かって同軸上に延び出されて長尺とされており、その延出部分108が、第一の内筒金具18の本体部分107と内径寸法が同一で外径寸法だけ小さな薄肉の円筒形状とされている。また一方、第二の内筒金具20は、第一の内筒金具18の延出部分108と略同じ軸方向長さを有しており、且つかかる第二の内筒金具20の外径寸法が第一の内筒金具18における本体部分107の外径寸法と略同じとされていると共に、その内径寸法が第一の内筒金具18における延出部分108の外径寸法よりも僅かに大きくされている。そして、第一の内筒金具18の延出部分108が第二の内筒金具20に対して圧入されることにより、第二の内筒金具20が第一の内筒金具18に対して外挿固定されている。なお、本実施形態では、延出部分108が、第二の内筒金具20と略同じ軸方向長さとされて、内筒金具20の全長に亘って圧入固定されることにより、大きな固着力が得られるようになっている。
【0101】
このような構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ106においても、前記実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ(10)と同様の効果を得ることが出来る。また、本実施形態においては、第一の内筒金具18と第二の内筒金具20を相互に同軸的に固定することが出来るのであり、それ故、前記第一の実施形態において、本体ゴム弾性体の一体加硫成形品(44)に対して、外筒金具(14)を外挿する際に生じる可能性がある第一及び第二の内筒金具(18,20)の各中心軸のずれを防止することが出来るのである。また、内筒金具12の内周面が、第一の内筒金具18の内周面のみで形成されていることから、ロッド等を内挿する際の作業性が向上され得る。
【0102】
なお、本実施形態においては、延出部分108と第二の内筒金具20の軸方向長さを異ならせても良い。
【0103】
また、本実施形態とは反対に、第二の内筒金具20に対して、第一の内筒金具18側に向って延び出す延出部分を設けて、該延出部分を第一の内筒金具18に内挿することによって、内筒金具12を構成することも可能である。
【0104】
また、前記実施形態では、外筒金具14が、円筒状部63と傾斜板対向部66を一体的に備えた単一の部材によって構成されていたが、それら円筒状部63と傾斜板対向部66を別部材で構成しても良い。
【0105】
すなわち、図17には、本発明の第三の実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュ110が示されている。本実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ110は、前記第一の実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ(10)に比して、外筒金具14の構造が異なっている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、前記第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施形態における外筒金具14は、前記第一の実施形態における外筒金具(14)が、その円筒状部(63)の軸方向一方(図1中の左方)の端部近くで、二つに分割された構造とされている。そして、円筒状部(63)の多くの部分を有している方が第一の外筒金具112とされていると共に、円筒状部(63)のフランジ部64側の端部と傾斜板対向部66を有している方が第二の外筒金具114とされている。そして、これら第一及び第二の外筒金具112,114は、それぞれ、トレーリングアームの装着孔116に対して圧入等によって固定的に組み付けられることにより、一つの外筒金具14が構成されるようになっている。
【0107】
このような構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュ110においても、前記実施形態の流体封入式トーコレクトブッシュ(10)と同様の効果を得ることが出来る。しかも、第一の一体加硫成形品44と第二の一体加硫成形品86を組付ける前に、第一の一体加硫成形品44に第一の外筒金具112を外嵌固定して非圧縮性流体を封入することが出来ることから、非圧縮性流体の封入作業性が向上されると共に、各々別部材として完成された本体ゴム弾性体側とトーコレクトゴム弾性体側の組み合わせの変更を容易に行うことが可能となる。
【0108】
なお、本実施形態においては、前記第一の実施形態における内筒金具12の圧入等による軸方向連結構造を第一及び第二の外筒金具112,114の連結部分に採用して、それら両外筒金具112,114を相互に連結固定するようにしても良い。
【0109】
また、前記第一〜第三実施形態においては、何れも、一対のポケット部46,46や一対の開口窓40,40の大きさが互いに同じであったが、それらを相互に異ならせても良い。
【0110】
さらに、本体ゴム弾性体16の硬度とトーコレクトゴム弾性体84の硬度を互いに同じとしたり、それら本体ゴム弾性体16とトーコレクトゴム弾性体84の材質を同じにしても良いことは勿論である。
【0111】
また、前記第一〜第三の実施形態では、何れも、ストッパ部28が、第一の内筒金具18に固設されていたが、その他の公知の各種のストッパ構造が採用可能である。具体的には、例えば、第一及び第二の流体室92,94内にマスブロックを収容せしめて、かかるマスブロックによって、一対のストッパ部を構成することも可能である。
【0112】
さらに、オリフィス通路の構造や長さ,断面積,チューニング等は、要求される設計条件や防振性能に応じて適宜に設定,変更され得るものであり、例えば、前記実施形態において、ハーシュネスにおける初期の衝撃的振動に対して低動ばね効果が発揮されるようにチューニングすることも有効である。また、前記第一〜第三の実施形態では、何れも、オリフィス金具58の凹溝62が、オリフィス金具58の外周面側に開口せしめられていたが、かかる凹溝を内周面側に開口させたり、或いは、蛇行して形成したり、また、流体室内にまで延び出すオリフィス部材を用いてより一層長いオリフィス通路を形成することも可能である。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0159】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式トーコレクトブッシュにおいては、第一の流体室と第二の流体室の間でオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて軸直角方向に入力される動的な振動荷重に対して有効な防振効果が発揮されることから、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に及ぼされる軸方向荷重に対するばね剛性や、トーコレクトゴム弾性体によって発揮される所期の弾性主軸特性に対する悪影響を回避して、そのような目的とする軸方向のばね剛性や弾性主軸特性を確保しつつ、軸直角方向に及ぼされる振動に対する防振性能を向上させることが可能となるのである。
【0160】
また、このような流体封入式トーコレクトブッシュを採用した本発明に係るサスペンション機構においては、コーナリング等に際して入力される軸方向荷重に対して有効なばね剛性を確保しつつ、軸直角方向に入力されるハーシュネス等の走行時振動に対して流体の共振作用に基づく有効な防振効果を得ることができるのであり、それによって、車両の操縦安定性と乗り心地を高次元で両立させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュの縦断面図であって、図2のI−I断面に相当する図である。
【図2】 図1における左側面図である。
【図3】 図1における右側面図である。
【図4】 図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】 図1におけるV−V断面図である。
【図6】 図1に示された流体封入式トーコレクトブッシュに採用されている本体ゴム弾性体の一体加硫成形品の縦断面図である。
【図7】 図6におけるVII−VII断面図である。
【図8】 図6におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】 図1に示された流体封入式トーコレクトブッシュに採用されている中間拘束部材の縦断面図である。
【図10】 図9に示された中間拘束部材の斜視図である。
【図11】 図1に示された流体封入式トーコレクトブッシュに採用されているトーコレクトゴム弾性体の一体加硫成形品の縦断面図である。
【図12】 図11におけるXII−XII断面図である。
【図13】 図1に示された流体封入式トーコレクトブッシュの絞り加工前の縦断面図である。
【図14】 図1に示された流体封入式トーコレクトブッシュのサスペンション機構への装着状態を示す概略図である。
【図15】 図14に示されたサスペンション機構における車両前後方向の振動伝達力の防振特性を測定した結果を示すグラフである。
【図16】 本発明の第二の実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュの縦断面図である。
【図17】 本発明の第三の実施形態としての流体封入式トーコレクトブッシュの縦断面図である。
【符号の説明】
10 流体封入式トーコレクトブッシュ
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
22 固定プレート
66 傾斜板対向部
84 トーコレクトゴム弾性体
92 第一の流体室
94 第二の流体室
96 オリフィス通路
Claims (8)
- インナ軸部材と、その外方に離隔配置されたアウタ筒部材を、それらの径方向対向面間に介装された本体ゴム弾性体で連結すると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設ける一方、該アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出し、該インナ側傾斜部に対して離隔して対向位置せしめられたアウタ側傾斜部を設けて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム弾性体を介在せしめたトーコレクトブッシュにおいて、
前記本体ゴム弾性体と前記トーコレクトゴム弾性体を、互いに別体の加硫成形品にて構成して、該本体ゴム弾性体と該トーコレクトゴム弾性体の対向面間には全体に亘って広がる空隙を形成する一方、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の径方向対向面間で、該インナ軸部材を前記インナ側傾斜部が突出する径方向に挟んだ両側に位置して、それぞれ該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された第一の流体室と第二の流体室を形成すると共に、それら第一の流体室と第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設けたことを特徴とする流体封入式トーコレクトブッシュ。 - 前記本体ゴム弾性体の材質と、前記トーコレクトゴム弾性体の材質を、相互に異ならせた請求項1に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
- 前記インナ軸部材を、前記本体ゴム弾性体に加硫接着された第一のインナ軸部材と、前記トーコレクトゴム弾性体に加硫接着された第二のインナ軸部材からなる分割構造として、それら第一のインナ軸部材と第二のインナ軸部材が、装着状態下で相互に固定されるようにした請求項1又は2に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
- 前記第一のインナ軸部材と前記第二のインナ軸部材の何れか一方を他方に対して外挿固定せしめた請求項3に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
- 前記本体ゴム弾性体の外周面に金属スリーブを加硫接着して、該金属スリーブに開口窓を設け、該本体ゴム弾性体において該開口窓を通じて外周面に開口するポケット部を前記インナ軸部材を径方向に挟んだ両側にそれぞれ形成すると共に、該金属スリーブに前記アウタ筒部材を外嵌固定してそれらのポケット部を流体密に覆蓋することにより、前記第一の流体室と前記第二の流体室を形成した請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
- 前記アウタ筒部材を、前記本体ゴム弾性体を介して前記インナ軸部材に連結される円筒状部と、前記トーコレクトゴム弾性体を介して前記インナ側傾斜部に連結されるアウタ側傾斜部を備えた一体構造として、該アウタ筒部材を該トーコレクトゴム弾性体に加硫接着せしめると共に、かかるトーコレクトゴム弾性体の一体加硫成形品における該アウタ筒部材の該円筒状部を、該本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着された前記金属スリーブに外嵌固定せしめた請求項5に記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
- 前記インナ側傾斜部と前記アウタ側傾斜部の対向面間に位置して、それら各傾斜部の対向面からそれぞれ離隔して広がる中間拘束部材を配設すると共に、該中間拘束部材を前記トーコレクトゴムに加硫接着せしめた請求項1乃至6の何れかに記載の流体封入式トーコレクトブッシュ。
- 左右のトレーリングアームをトーションビームで連結したサスペンション部材を、自動車のボデーに対して揺動可能に防振連結せしめたサスペンション機構において、
前記サスペンション部材における車両前方側の左右両側部分に対して、請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式トーコレクトブッシュをそれぞれ装着せしめて、それらの流体封入式トーコレクトブッシュを介して、該サスペンション部材を前記ボデーに防振連結すると共に、かかる左右両側の流体封入式トーコレクトブッシュの中心軸を車両左右方向に向けて配設して、前記第一の流体室と前記第二の流体室を車両前後方向で対向位置せしめたことを特徴とするサスペンション機構。
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