JP4117945B2 - 改良された共役ジエン系重合体の水添方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体を、メタロセン系水素添加触媒を用いて、水素と接触させて共役ジエンの二重結合を水素添加する方法に関する。更には、その際、工業的に1m3以上の大きな反応容器を用いて、水素添加率98%以上の共役ジエン系重合体を得る際、水素添加触媒を数次に分けて添加する事により、安定に、また短時間で経済的に水素添加する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタロセン系触媒は、重合物の水素添加(以下水添と略す)に用いる場合、ニッケル系触媒に比べれば、よりマイルドな条件下で、より少ない量で同量の水添を成し遂げるという特徴が有り、この為、水添後、触媒残差を取り除く特別な処理が必要なく、又、たとえ行う場合も触媒残差を取り除く処理が軽くて済むという特徴が有るため、近年、よく使われるようになってきた。しかしメタロセン系触媒は、価格が高く、また容易に活性を失い易いという問題を有するため、従来、より高活性で、取扱い方が易しく長期貯蔵安定性の良い水添触媒が種々検討され提案されてきた。例えば、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムを組み合わせて、オレフィン化合物を水添する方法(特開昭61−33132号、特開平1−53851号)、メタロセン化合物と有機アルミニウム、亜鉛、マグネシウムと組み合わせでオレフィン性不飽和(共)重合物を水添する方法(特開昭61−28507号、62−209103号)、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムとの組合せでオレフィン性不飽和基含有リビングポリマーを水添させる方法(特開昭61−47706号、特開昭63−5402号)、チタノセン化合物とトリメチルアルミニウムのメタラサイクル化合物であるTebbe試薬とアルキルアルカリ金属化合物を組み合わせた反応物によるオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(米国特許5244980号)、チタノセン化合物を、特定された量のリチウムアルコキサイトと組み合わせオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平1−275605)、メタロセン系水添触媒を用い、特定比率で有機アルミニウム化合物その他を存在させた系で共役ジエン重合物を水添する方法(特願平9−252180)等の方法が提案されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様ないずれの方法においても、実際に工業的に1m3以上の大きな反応容器内で、98%以上の高水添率の共役ジエン系重合体を得ようとすると、温度変化などで水添条件が変動したり、触媒使用量を経済性追求のため減らしたりすると、水添時間が長くかかったり、はなはだしくは目的の高水添率の重合体が得られないなどのトラブルが生じた。この為、なるべく少ない触媒使用量で、工業的に短時間で安定に高水添を達成する為の水添方法の改良が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは従来技術の上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、このような1m3以上の大きな反応容器内で水添を行う場合、水添触媒を数次に分けて添加する事、好ましくは特に特定の水添率で必ず1回以上触媒を追添する事により、工業的に安定に短時間で経済的に、高水添率の水添を達成する方法を見つけ出し、本発明を成すに至った。
【0005】
本発明は、1m3以上、好ましくは5m3以上、さらに好ましくは10m3以上の大きな反応容器を用いて工業的に、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体をメタロセン系水添触媒を用いて水添し、水添率98%以上の共役ジエン系重合体を得る際、水添触媒を2回以上、好ましくは2〜10回に分けて添加し水添を進める事、更に好ましくは、重合体の水添率が60%〜95%の時点で、1回以上水添触媒を追添する事を特徴とする改良された共役ジエン系重合体の水添方法である。
【0006】
本発明で重合開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物は、一般的に共役ジエン化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。
【0007】
本発明の共役ジエン系重合体は、共役ジエンのホモ重合体、2種以上の共役ジエンからなる共役ジエンの共重合体、また共役ジエンと共重合可能な他の単量体との共重合体であって、該重合体中に共役ジエンから由来するオレフィン2重結合を有する1,4−重合体、1,2または3,4−重合体を含むものである。共役ジエンとしては、炭素数4から20の炭素原子を有する共役ジエン、具体的には1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。工業的に有利に展開でき、物性の優れた弾性体を得る上からは、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、共役ジエンと共重合可能な他の単量体として代表的なものはビニル芳香族化合物である。例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。これらの共重合体はランダム、またはブロック共重合体である。
【0008】
水添は通常不活性炭化水素溶媒中で行われるが、この不活性炭化水素溶媒としては、共役ジエン系重合体の溶媒であって水素添加の際に反応に悪影響を与えないものである。本発明ではさらに、重合に引き続いて同じ不活性炭化水素溶媒中で水素添加が行われることが好ましい。好適な溶媒は、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素も、選択された水添条件下で芳香族二重結合が水添されない時に限って使用することができる。この溶媒中に溶かす共役ジエン系重合体の濃度は、5〜40%、好ましくは10〜30%の濃度にする。この濃度が5%より低いと、共役ジエン系重合体と溶媒を分離する後工程の負荷が大きくなり好ましくなく、40%を越える濃度であると粘度がはなはだしく高くなり、水素、水添触媒などとの混合性や伝熱性が低下し、ひいては水添反応に影響するため好ましくない。
【0009】
本発明で用いられるメタロセン系水添触媒は、配位子として同一又は異なる2個の(置換)シクロペンタジエニル基を持つチタン、ジルコニウム、ハフニウム等の有機金属化合物であり、好ましくは還元性の有機金属化合物、例えばアルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルキルアルミニウム、アルキル亜鉛等と用いられる。水添方法としては、メタロセン系化合物を用いる水添方法であればどの方法も採用できる。例えば、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムを組み合わせて、オレフィン化合物を水添する方法(特開昭61−33132号、特開平1−53851号)、メタロセン化合物と有機アルミニウム、亜鉛、マグネシウムと組み合わせでオレフィン性不飽和(共)重合物を水添する方法(特開昭61−28507号、62−209103号)、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムとの組合せでオレフィン性不飽和基含有リビングポリマーを水添させる方法(特開昭61−47706号、特開昭63−5402号)、チタノセン化合物とトリメチルアルミニウムのメタラサイクル化合物であるTebbe試薬とアルキルアルカリ金属化合物を組み合わせた反応物によるオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(米国特許5244980号)、チタノセン化合物を、特定された量のリチウムアルコキサイトと組み合わせオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平1−275605)、メタロセン系水添触媒を用い、特定比率で有機アルミニウム化合物その他を存在させた系で共役ジエン重合物を水添する方法(特願平9−252180)等の何れの方法でも良い。また水添条件も、この様な水添触媒に合わせた、各明細書に書かれた方法を用いる事ができる。
【0010】
このような水添触媒を、当初の1回を含めて2回以上、好ましくは2〜10回に分け、更に好ましくは2〜5回に分けて添加する。この場合、最低2回に分け、好ましくは、重合体の水添率が60%〜95%の時点で、更に好ましくは70%〜95%の時点で、少なくとも1回以上水添触媒を追添する事がきわめて重要である。すなわちメタロセン系水添触媒を用いて1m3以上の工業的な反応容器内で水添を行うと、重合体ポリマー溶液の水添率が60%〜95%と上昇すると粘度も大幅に上昇し、除熱能力が悪化し、局部的な温度上昇が発生し易くなる。特に水添反応は激しい発熱反応であり、この傾向は著しい。局部的な温度上昇が発生すると、その部分の水添反応はますます活性化し、更なる発熱を引き起こし、最後には水添触媒の活性が喪失する触媒の失活反応を引き起こす。このため、結果的に水添反応の低下や甚だしくは目的の高水添率の重合体が得られないなどのトラブルが起こり易い。この現象は大型の反応器ほど顕著であり、工業的な生産をおこなう際の大きな課題である。しかし、このような水添率に達した時点で触媒を追添する事で、必要な時点で必要な量の活性触媒を供給でき、多段に追添することで、全触媒使用量としてはむしろ少なくても、短時間で確実で安定に98%以上という高水添率の重合体を得るまで水添する事が可能となる。水添触媒は、最初の1回目の添加分は重合体と触れた後で活性化しても良いが、少なくとも追添触媒は、水添活性を発現した後か水素雰囲気で直ちに活性化する状態で添加する事が好ましい。数次添加の水添触媒は、初回添加分と後添加の触媒は同じ物でなくてもかまわないが、同じ物の方が、運転の簡便性から望ましい。更に11回以上に分けて添加する事は、操作が煩雑になり好ましくなく、2〜10回、望ましくは2〜5回、更に望ましくは2〜3回に分けていれる事は、操作性と触媒効率や水添確実性を両立でき好ましい。触媒追添時期である、重合体の水添率が60%〜95%の時点、更に好ましくは70%〜95%の時点を判別する方法としては、水添された共役ジエン系重合体の二重結合の残存量の測定、使用された水素ガス量からの算出、水添容器内の水素圧力変化、水添時間など何れの指標を基に判別しても良い。更に重合体の水添率が60%〜95%の時点、更に好ましくは70%〜95%の時点まで、特定の容器内でバッチ式又は連続及び又は回分式に水添を行い、水添触媒を追添し別の容器や配管内で98%まで残りの部分の水添を行ってもよい。いずれにしても、このように分割して水添触媒を添加する事により効率的でしかも安定で確実に工業的に水添を行う事ができる。なお本発明における水添率は、重合体中に含まれる共役ジエン単位の水添率を意味する。
【0011】
【実施例】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例に用いた各リビングポリマー(Aポリマー及びBポリマー)の合成例を以下の製造例に示した。
【0012】
製造例1
16m3の撹拌機付き反応器中にシクロヘキサン4.3トン、スチレンモノマー0.20トンを入れた後、15%n−ブチルリチウム溶液4.8kg、更にテトラメチルエチレンジアミン0.62kgを加え、初期温度を70℃に設定し撹拌下で40分間重合した。次いで、1,3ブタジエンモノマーを30%含むシクロヘキサン溶液を3.08トン追加し1時間重合した。更にスチレンモノマーを30%含むシクロヘキサン溶液を0.66トン追加し40分間重合した。重合時のピーク温度は82℃であった。得られたリビングポリマー(Aポリマー)は、結合スチレン含有量30%、ブロックスチレン含有量30%、ブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有量37%であり、数平均分子量が約23万であるスチレン−ブタジエン−スチレン型リビングブロックポリマーであった。
【0013】
製造例2
16m3の撹拌機付き反応器中にシクロヘキサン4.85トン、スチレンモノマー0.33トンを入れた後、15%n−ブチルリチウム溶液22kgを加え、更にテトラメチルエチレンジアミン1.7kgを加え、初期温度を70℃に設定し撹拌下で30分重合した。次いで、1,3ブタジエンモノマーを30%含むシクロヘキサン溶液を5.18トン追加し45分間重合した。更にスチレンモノマーを30%含むシクロヘキサン溶液を1.11トン追加し30分間重合した。重合時のピーク温度は、85℃であった。得られたリビングポリマー(Bポリマー)は、結合スチレン含有量30%、ブロックスチレン含有量30%、ブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有量39%である数平均分子量が約6.1万のスチレン−ブタジエン−スチレン型リビングブロックポリマーであった。
【0014】
実施例1
特開平8−33846の方法に準拠した方法により水添触媒調製を行った。すなわち、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−p−トリル(TPM)6kgをシクロヘキサン526kg中に溶解し、液状1,2ポリブタジエン60kgを添加した後、15%ブチルリチウム溶液を7.1kg添加、更にはエタノール0.6kgを添加し反応させ、水添触媒(TPM/Li)として調製した。一方、水添の前処理として、製造例1で得られたリビングポリマー(Aポリマー)溶液に、精製乾燥したシクロヘキサンを加えて11%のポリマー濃度のシクロヘキサン溶液に調整し、更に重合触媒であるn−ブチルリチウムの0.8等量モル分エチルアルコールを加えた。このポリマー溶液を20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。ここに、先ほど調製した水添触媒(TPM/Li)を、Ti重量基準でポリマー重量に対し20ppm添加し水添を開始した。23分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が70%となり、この時点で、更に、水添触媒(TPM/Li)をTi重量基準で20ppm追加し、水添を継続した。35分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ99.9%であった。なお水添中の最高到達温度は95℃であった。
【0015】
比較例1
製造例1と同様の方法で得られたリビングポリマー(Aポリマー)溶液を、実施例1と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、0.7MPaの水素ガス加圧下とした。これに、Ti重量基準でポリマー重量に対し40ppmとなるように実施例1と同様の方法で調製した水添触媒(TPM/Li)を添加し、水添を開始した。65分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は97%で有ったが、水素のポリマー溶液への吸収がほぼ停止していたため、水添を終了した。NMR法による最終ポリマーの水添率は96.8%であった。なお水添中の最高到達温度は100℃であった。
【0016】
実施例2
前処理として、製造例2で得られたリビングポリマー(Bポリマー)に、精製乾燥したシクロヘキサンを加えて19%のポリマー濃度のシクロヘキサン溶液に調整した後、エチルアルコールをn−ブチルリチウムの0.9等量モル分加えた。次いでこのポリマー溶液を20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。Ti重量基準でポリマー重量に対し10ppmとなるように、実施例1と同様の方法で調製された水添触媒(TPM/Li)を反応容器内に添加し、水添を開始した。35分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が61%となり、この時点で、Ti重量基準で5ppmとなる量の水添触媒(TPM/Li)を追加し、水添を継続した。40分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が85%の時点で更にTi重量基準で5ppm追加し、水添を継続した。45分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ99.8%であった。なお水添中の最高到達温度は90℃であった。
【0017】
比較例2
製造例2と同様の方法で得られたリビングポリマー(Bポリマー)溶液を、実施例2と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。更に、実施例1と同様の方法で調製された水添触媒(TPM/Li)をTi重量基準でポリマー重量に対し20ppm添加し、水添を開始した。105分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は85%で有ったが、水素のポリマー溶液への吸収がほぼ停止していたため、水添を終了し、NMR法による最終ポリマーの水添率を測定したところ、水添率は85.1%であった。なお水添中の最高到達温度は95℃であった。
【0018】
実施例3
特願平9−252180の方法に準拠した方法により水添触媒調製を行った。ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド5kgをシクロヘキサン70.1kgに添加し、撹拌後、10%トリメチルアルミニウム溶液24.9kgを追加し72時間反応させ、水添触媒(TC/TMAL)溶液として調製した。一方、製造例1で得られたと同様のリビングポリマー(Aポリマー)溶液を、実施例1と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。ここに、先ほど調製した水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で、ポリマー重量に対し30ppm添加し水添を開始した。20分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が65%となり、この時点で、水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で更に20ppm追加し、水添を継続した。23分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が80%となった時点で、水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で更に10ppm追加し、水添を継続した。更に、水添開始から27分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が90%となった時点で、水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で更に10ppm追加し、水添を継続した。30分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ100%であった。なお水添中の最高到達温度は98℃であった。
【0019】
比較例3
製造例1と同様の方法で得られたリビングポリマー(Aポリマー)溶液を、実施例1と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。更に実施例3と同様の方法で調製された水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で、ポリマー重量に対し70ppm添加し水添を開始した。30分後の水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は91%で有り、水素のポリマー溶液への吸収もほぼ停止しており、NMR法によるポリマーの水添率は91.0%であった。なお水添中の最高到達温度は102℃であった。
【0020】
実施例4
製造例2と同様の方法で得られたリビングポリマー(Bポリマー)溶液を、実施例2と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。更に実施例3と同様の方法で調製された水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で、ポリマー重量に対し15ppm添加し水添を開始した。25分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が75%となり、この時点で、水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で更に5ppm追加し、水添を継続した。29分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が88%の時点で水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で更に5ppm追加し、水添を継続した。更に水添開始から32分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が93%の時点で水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で更に5ppm追加し、水添を継続した。35分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ99.9%であった。なお水添中の最高到達温度は89℃であった。
【0021】
比較例4
製造例2と同様の方法で得られたリビングポリマー(Bポリマー)溶液を、実施例2と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。更に実施例3と同様の方法で調製された水添触媒(TC/TMAL)をTi重量基準で、ポリマー重量に対し30ppm添加し水添を開始した。70分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は89%で有り、水素のポリマー溶液への吸収もほぼ停止した。この時点でのNMR法によるポリマーの水添率は89.2%であった。なお水添中の最高到達温度は98℃であった。
【0022】
以上の実施例1〜4、比較例1〜4の水添条件と結果を纏めたのが、表1で有る。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明は、1m3以上の大きな反応容器を用いて工業的に、水添率98%以上の共役ジエン系重合体を得る為、メタロセン系水添触媒を用いて水添する際、水添触媒を数次に分けて添加する事で、少ない水添触媒量で安定に短時間で確実に水添できる工業的に極めて有利な方法を提供するものである。
Claims (2)
- 1m 3 以上の大きな反応容器内で水添を行う方法であって、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体をメタロセン系水素添加触媒を用いて水素添加し、水素添加率98%以上の共役ジエン系重合体を得る際、水素添加触媒を2回以上に分けて添加し水素添加を進める事を特徴とする改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法。
- 請求項1において、共役ジエン系重合体の水素添加率が60%〜95%の時点で、1回以上水素添加触媒を追添する事を特徴とする改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法。
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1998
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