JP4117878B2 - 追記型光記録媒体とその記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、追記型(WORM:Write Once Read Many)光記録媒体に係わり、特に青色レーザ波長でも高密度の記録が可能な追記型光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行われている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率変化を生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数や分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、記録層に用いる有機材料としては、青色レーザ波長に対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。即ち、未記録時の反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯の長波長側の裾に位置するように選択される。
何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度な吸収係数を有し且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。
しかしながら、青色レーザ波長に対する光学的性質が従来並みの値を有する有機材料は未だ見出されていない。これは、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料を得るためには、分子骨格を小さくするか又は共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色レーザ波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能となるが、大きな屈折率を持たないため、大きな変調度を得ることができなくなる。
【0003】
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特許文献1〜5に記載がある。
しかし、これらの文献では、実施例を見ても溶液と薄膜のスペクトルを測定しているのみで、記録再生に関する記載はない。
特許文献6〜8には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
特許文献9には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
特許文献10〜19には、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特許文献20には、記録再生波長405〜408nmでの記録があるが、記録密度に関する具体的な記載がなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
【0004】
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成及び記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特許文献21には、基板/可飽和吸収色素含有層/反射層という層構成で、可飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行う技術が開示されている。
特許文献22には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シートという層構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色又は変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献23には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という層構成で、記録層の膜厚を変えることにより溝部の深さを変えて記録を行う技術が開示されている。
特許文献24には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という層構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行う技術が開示されている。
【0005】
特許文献25には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という層構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行う技術が開示されている。
特許文献26には、基板/中間層/金属薄膜という層構成で、金属薄膜が変形しバブルを形成することにより記録を行う技術が開示されている。
特許文献27には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献28には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、或いは、基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という層構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献29には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という層構成で、光吸収層を凹状に変形させると共に、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行う技術が開示されている。
【0006】
特許文献30には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という層構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行う技術が開示されている。
特許文献31には、基板上に反射層と記録層の機能を有する複合機能層、保護層を順次形成した層構成で、基板と複合機能層がバンプを形成することで記録を行う技術が開示されている。なお、複合機能層には、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金を用いるという規定がある。
特許文献32には、基板上に金属薄膜層、変形可能な緩衝層、反射層、保護層を順次形成した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚を薄くさせることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層には、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金を用いるという規定がある。また、緩衝層としては、変形し易く適当な流動性を持つ樹脂が用いられ、変形を促進させるために色素を含有させても良いとの記載がある。
【0007】
特許文献33には、基板上に金属薄膜層、緩衝層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属薄膜層を変形させ、同時にこの変形部での緩衝層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属薄膜層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、緩衝層は色素と有機高分子の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
特許文献34には、基板上に金属記録層、バッファ層、反射層を順次積層した層構成で、基板と金属記録層を変形させ、同時にこの変形部でのバッファ層膜厚と光学定数とを変化させることで記録を行う技術が開示されている。なお、金属記録層としては、ニッケル、クロム、チタン等の金属、又はそれらの合金が好ましいとの記載がある。また、バッファ層は色素と樹脂の混合物からなり、記録再生波長近傍に大きな吸収帯を有する色素が用いられる。
【0008】
以上のように、上記諸々の従来技術は、青色レーザ波長領域での追記型光記録媒体の実現を狙ったものではなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法ではない。特に現在実用化されている青色半導体レーザの発振波長の中心である405nm近傍においては、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を有する有機材料が殆んど存在しない。
また、405nm近傍で記録条件を明確にし、DVDよりも高記録密度で記録された例はない。
更に、上記従来技術における実施例の多くは、従来のディスク構成(図1参照)での実験であり、また、従来のディスク構成と異なる構成も提案されてはいるが、そこに用いられる色素は従来と同じ光学特性と機能が要求されており、青色レーザ波長領域で、有機材料からなる追記型光記録媒体を容易に実現できる層構成や記録原理、記録方式についての有効な提案はない。
【0009】
また、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、変調度と反射率の確保の点から、記録再生波長に対し大きな屈折率と比較的小さな吸収係数(0.05〜0.07程度)を持つ有機材料しか使用することができない。
即ち、有機材料は記録光に対して十分な吸収能を持たないため、有機材料の膜厚を薄膜化することが不可能であり、従って、深い溝を持った基板を使用する必要があった(有機材料は通常スピンコート法によって形成されるため、有機材料を深い溝に埋めて厚膜化していた)。そのため、深い溝を有する基板の形成が非常に難しくなり、追記型光記録媒体としての品質を低下させる要因になっていた。更に、従来の有機材料を用いた追記型光記録媒体では、記録再生波長近傍に有機材料の主吸収帯が存在するため、有機材料の光学定数の波長依存性が大きくなり(波長によって光学定数が大きく変動する)、レーザの個体差や環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという問題があった。
【0010】
上記のような問題点を解決するために、本発明者は、例えば、特願2002−144415号(以下、先願という)において、従来、有機化合物からなる記録層に要求された光吸収機能と記録機能という2つの機能を分離することを考え、有機化合物からなる記録層から光吸収機能を除き、光吸収機能を担う層として、新たに光吸収層を導入するという追記型光記録媒体構造を提案した。
この追記型光記録媒体構造では、有機化合物から光吸収機能を除いたため、また、光吸収層の変形等を記録に用いることができるため、有機化合物への規制が大幅に緩和でき、CD−RやDVD−R等で用いられている色素をも利用できるというメリットを有する。
本発明者が提案した上記先願の追記型光記録媒体の一構成例では、即ち、基板上又はカバー層に隣接して、記録光に対して光吸収機能を有する光吸収層が設けられた構造を有する追記型光記録媒体では、例えば、記録によって光吸収層を変形させたり、或いは光吸収層の光吸収機能によって、基板又はカバー層とは反対側の光吸収層の隣接層に物理的、化学的、光学的変化等を与えることで記録が行われる。
しかしながら、この追記型光記録媒体では、低記録パワーでの記録時は、良好なジッタ特性(記録再生特性)を得ることができるが、高記録パワーでの記録時には急激にジッタが悪化する場合があり、ジッタのパワーマージンを狭めることにつながっている。また、どのような種類の光記録媒体でも同様な傾向はあるが、高記録パワーで記録した部分ではトラッキングが外れ易いという現象も発生する場合がある。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−181524号公報
【特許文献2】
特開2001−158865号公報
【特許文献3】
特開2000−343824号公報
【特許文献4】
特開2000−343825号公報
【特許文献5】
特開2000−335110号公報
【特許文献6】
特開平11−221964号公報
【特許文献7】
特開平11−334206号公報
【特許文献8】
特開2000−43423号公報
【特許文献9】
特開平11−58955号公報
【特許文献10】
特開2001−39034号公報
【特許文献11】
特開2000−149320号公報
【特許文献12】
特開2000−113504号公報
【特許文献13】
特開2000−108513号公報
【特許文献14】
特開2000−222772号公報
【特許文献15】
特開2000−218940号公報
【特許文献16】
特開2000−222771号公報
【特許文献17】
特開2000−158818号公報
【特許文献18】
特開2000−280621号公報
【特許文献19】
特開2000−280620号公報
【特許文献20】
特開2001−146074号公報
【特許文献21】
特開平7−304258号公報
【特許文献22】
特開平8−83439号公報
【特許文献23】
特開平8−138245号公報
【特許文献24】
特開平8−297838号公報
【特許文献25】
特開平9−198714号公報
【特許文献26】
特許第2506374号公報
【特許文献27】
特許第2591939号公報
【特許文献28】
特許第2591940号公報
【特許文献29】
特許第2591941号公報
【特許文献30】
特許第2982925号公報
【特許文献31】
特開平9−265660号公報
【特許文献32】
特開平10−134415号公報
【特許文献33】
特開平11−306591号公報
【特許文献34】
特開平10−124926号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記先願発明を更に発展させることにより、基板又はカバー層に隣接して記録光に対して光吸収機能を有する光吸収層が設けられた構造を有する追記型光記録媒体について、次の(1)〜(3)の実現を目的とする。
(1)記録再生特性やトラッキング性能を低下させる原因をなくした追記型光記録媒体の提供。
(2)記録再生特性やトラッキング性能の悪化を抑制した層構成の提供。
(3)記録再生特性やトラッキング性能の悪化を抑制した記録方法の提供。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、基板上又はカバー層に隣接して、記録光に対して光吸収機能を有する光吸収層が設けられた構造を有する追記型光記録媒体においては、一般的に大きな吸収係数を持つ光吸収層が基板又はカバー層と接するため、記録パワーを増大させて行くと、光吸収層の変形や、基板又はカバー層とは反対側の光吸収層に隣接する層の物理的、化学的、光学的等の変化に加えて、基板内又はカバー層内に空隙部が発生することがあることを見出した。
そして、この基板内又はカバー層内の空隙は、大きな変調度を発生させるという効果はあるものの、設定可能なレ−ザの記録パワ−範囲において、記録極性を変化させたり、再生信号波形を微分波形化させたり、短マークと長マークの変調度のアンバランス等を引き起こし、記録再生特性を悪化させる場合があることを見出した。特に、設定可能なレ−ザの記録パワ−範囲において、記録極性が変化すると(記録極性が混在すると)、ジッタや、ジッタのパワーマージンを悪化させ、また変調度を減少させることを見出した。
そこで本発明では、記録再生特性、及びトラッキング性能を悪化させる場合の多い、基板内又はカバー層内の空隙発生を抑制するような追記型光記録媒体、層構成、記録方法を提供する。
なお、一般的にマーク長記録では、記録マークを再生した場合の再生信号(RF信号)は、図2(a)のようになる。これに対し、図2(b)や(c)のように、記録マークの前後エッジ近傍と記録マークの中心近傍で変極点を持つような信号を、本発明では微分波形(微分波形化)と言う。
【0014】
即ち、上記課題は、次の1)〜9)の発明によって解決される。
1) 基板又はカバー層と、記録光に対して光吸収機能を有する無機材料からなる光吸収層との間に、記録による基板内又はカバー層内の空隙部発生を抑制するための空隙抑制層が設けられた構造を有することを特徴とする追記型光記録媒体。
2) 基板上に、記録による基板内の空隙部発生を抑制するための空隙抑制層、記録光に対して光吸収機能を有する無機材料からなる光吸収層、有機化合物からなる記録層、及び反射層が順次設けられた構造を有することを特徴とする追記型光記録媒体。
3) 前記空隙抑制層が、SiO2、ZnS−SiO2、ZrO2の何れかを主成分とすることを特徴とする1)又は2)記載の追記型光記録媒体。
4) 前記空隙抑制層が、ZnS、ZrO2、Y2O3及びSiO2からなる酸化物であることを特徴とする1)又は2)記載の追記型光記録媒体。
5) 前記空隙抑制層が、ZrO2、TiO2、SiO2、及びXからなり、XがAl2O3、MgO、CaO、NbO、Y2O3、CeOから選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする1)又は2)記載の追記型光記録媒体。
6) 405nmの記録再生波長に対応可能であることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
7) 記録後の記録極性がLow to Highであることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
8) 1)〜7)の何れかに記載の追記型光記録媒体に対し、基板内又はカバー層内に空隙部が形成されない記録パワーの範囲で記録を行うことを特徴とする追記型光記録媒体の記録方法。
9) 1)〜7)の何れかに記載の追記型光記録媒体に対し、基板内又はカバー層内に空隙部が形成されない記録ストラテジで記録を行うことを特徴とする追記型光記録媒体の記録方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、上記本発明について詳細に説明する。
基板又はカバー層に隣接して、記録光に対して光吸収機能を有する光吸収層が設けられた構造を有する追記型光記録媒体においては、記録パワーを増大させて行くと、光吸収層の変形や、基板又はカバー層とは反対側の光吸収層に隣接する層の物理的、化学的、光学的等の変化が生ずる。
例えば、具体的に例を示すと、基板/光吸収層/色素層/反射層という構成からなる追記型光記録媒体では、光吸収層の光吸収機能により、次のイ)〜チ)のような変化を生じ、記録部が形成される。
イ)光吸収層が変形する
ロ)光吸収層の複素屈折率が変化する
ハ)光吸収層の体積が変化する
ニ)光吸収層内に空隙等の低屈折率部が発生する
ホ)色素層の複素屈折率変化が変化する
ヘ)色素層が体積変化する
ト)色素層内に空隙等の低屈折率部が発生する
チ)基板が変形する
【0016】
この追記型光記録媒体では、従来のように色素層に光吸収機能を要求しないため、色素選択の自由度が格段に広がり、青色レーザ波長以下のレーザ波長に対応した追記型光記録媒体が容易に提供できるというメリットがある。
しかし、光吸収層が変形し難い場合、光吸収層の光学的変化が生じ難い場合、色素層の光学的変化が生じ難い場合等には、記録を行うために、光吸収層や色素層に光学的、化学的、或いは物理的変化を生じるまで記録パワーを高める必要があり、この時、基板やカバー層等が光吸収層と接する構造では、基板が必要以上に加熱されてしまう。そして、この必要以上の加熱によって、基板内に空隙が発生する場合がある。
即ち、低記録パワー時には光吸収層の光吸収機能によって、光吸収層や色素層に光学的、化学的、或いは物理的変化が生じ、これによって記録部が形成されるが、高記録パワー時には、光吸収層や色素層の光学的、化学的、或いは物理的変化が生じる以外に、基板が必要以上に加熱されるため、基板内の空隙発生によっても記録部が形成される。
【0017】
この基板内の空隙発生は、その発生する記録パワー範囲が光吸収層や色素層の光学的、化学的、或いは物理的変化を起す記録パワー範囲と大きく異なる場合が一般的であるため(基板内空隙は、一般的に光吸収層や色素層の変化よりも高い記録パワーで発生する)、ジッタの悪化や、ジッタの記録パワーマージンの悪化を誘発する。
また、基板内の空隙発生は、一般的に閾値を持って発生するため、急激な変調度の変化や記録極性の変化等を引き起こす場合が多く、これによって、ジッタの悪化や、ジッタの記録パワーマージンの悪化を誘発する。
更に、この基板内空隙の発生によって、光吸収層の変形が非常に大きくなったり、光吸収層の変形形状を乱したり、基板自身の溝形状をも大きく変形させる場合があるため、クロストークが大きくなったり、トラッキング性能が悪化する。
そこで、本発明では、トラッキング性能の悪化、記録極性の変化、ジッタの悪化、或いは、ジッタの記録パワーマージンを狭くする可能性の高い、基板内又はカバー層内の空隙発生を抑制する。
【0018】
基板内又はカバー層内の空隙は、上述のように、記録パワーが高くなった場合、或いは、長マークにおいて発生し易い。
従って、高記録パワー側で急激にジッタが悪化したり(ジッタの記録パワーマージンが急激に悪化する)、記録マーク長によって記録極性が変わったり、記録マーク長によって振幅が大きく変化するという現象が発生する。
この記録マーク長によって記録極性が変わったり、記録マーク長によって振幅が大きく変化するという現象のため、単一周期の記録マークでは、良好な記録再生特性が得られるが、ランダムパターンを記録すると記録再生特性が劣悪となる場合がある。
基板内又はカバー層内の空隙発生を抑制する方法としては、次のイ)〜ホ)が挙げられる。
イ)基板又はカバー層と光吸収層の間に、断熱層(空隙抑制層)を設ける。
ロ)基板又はカバー層と光吸収層の間に、放熱層(空隙抑制層)を設ける。
ハ)記録パワーを制御する(空隙が発生しない記録パワー範囲で記録を行う)。
ニ)記録ストラテジを制御し最適化する(長マークにおいて必要以上に蓄熱されないようにする)。
ホ)基板の分解特性を制御する(空隙が発生しない材料を選択する)。
【0019】
基板又はカバー層と光吸収層の間に、空隙抑制層を設ける場合、空隙抑制層をいわゆる断熱層とするか放熱層とするかは、光吸収層の光吸収機能の大小と、光吸収層の熱伝導率等の熱物性に依存する。
即ち、光吸収層の光吸収機能が比較的低い場合は、記録感度を損なわないために(低記録パワーで記録するために)、光吸収層で発生した熱を放熱層で逃がして基板内空隙の発生を抑制するよりも、断熱層で基板へ伝わる熱量を制限して基板内空隙の発生を抑制する方が有利である。
逆に、光吸収層の光吸収機能が比較的高い場合は、光吸収層で発生した熱を放熱層で逃がして基板内空隙の発生を抑制することも効果的である。
記録パワーを制御することは、光吸収層で発生する熱量を制御することであるため、基板内空隙の発生を直接的に制御することができる。
記録ストラテジを制御することも、記録パワー同様、光吸収層で発生する熱量を制御することであるため、基板内空隙の発生を直接的に制御することができる。更に記録ストラテジを制御する場合は、記録マーク長ごとに光吸収層で発生する熱量を制御できるため、記録マーク長によって基板内空隙の発生有無が異なるという現象を抑制することが可能である。
基板の分解特性を制御するとは、例えば、基板材料の分解温度を高めることを意味し、高分子材料の場合は、高分解の高分子材料を用いることや、分子量を高めること(重合度を高めること)で、空隙発生を抑制することができる。また、基板をガラス材料とすることも効果的である。
【0020】
本発明の追記型光記録媒体及びその記録方法は、例えば次の(i)(ii)のような構成の追記型光記録媒体、或いはそれらを二つ貼り合わせた二層構造の追記型光記録媒体に対して有効である。
(i)基板側から記録再生を行う追記型光記録媒体
・基板/光吸収層
・基板/光吸収層/記録層
・基板/光吸収層/下引層/記録層
・基板/光吸収層/記録層/上引層
・基板/光吸収層/記録層/反射層
・基板/光吸収層/下引層/記録層/反射層
・基板/光吸収層/記録層/上引層/反射層
・基板/光吸収層/記録層/反射層/保護層
(ii)カバー層側から記録再生を行う追記型光記録媒体
・基板/光吸収層/カバー層
・基板/光吸収層/記録層/カバー層
・基板/光吸収層/記録層/下引層/カバー層
・基板/光吸収層/上引層/記録層/カバー層
・基板/反射層/記録層/光吸収層/カバー層
・基板/反射層/記録層/光吸収層/下引層/カバー層
・基板/反射層/上引層/記録層/光吸収層/カバー層
好ましい態様としては、上記の構造を有する追記型光記録媒体において、基板と光吸収層、或いはカバー層と光吸収層の間に空隙抑制層を設ける。
【0021】
上記構成例にも示したように、本発明の追記型光記録媒体は、基本的には基板又はカバー層と光吸収層を必須の構成層とするものであるが、空隙抑制層を設けることが好ましく、必要に応じて基板上に有機化合物等の記録層、下引層、上引層、金属反射層、保護層等を設けても良い。
なお、本発明において記録層とは、光学定数変化、化学的変化又は物理的変化を起す層を指す。具体的には、記録によって複素屈折率変化、位相差変化、分解、昇華、凝集等の状態変化、結晶状態変化、溶解性変化、構造変化、体積変化、空隙部の形成等を起す層である。
同じく、下引層や上引層は、記録再生特性の改善を図るための干渉層、膜形成時の保護層(例えば、塗布溶剤に溶解性を持つ膜上にスピンコート法で膜を形成させる場合の保護層)、隣接層の膜状態を保持する保護層等(保存性を改善する等)を指す。
【0022】
本発明の追記型光記録媒体における基板の材質としては、基本的には記録光及び再生光の波長において透明であればよい。
このような材質の材料としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の各種樹脂、ガラス、ガラス上に光硬化性樹脂等の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設けたもの等を使用することができるが、高生産性、コスト、耐吸湿性などの点からは、射出成型したポリカーボネートが好ましく、耐薬品性、耐吸湿性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましく、高速応答、或いは空隙が発生しないなどの点からは、ガラス基板が好ましい。
更に、記録層に接して樹脂基板又は樹脂層を設け、その樹脂基板又は樹脂層上に記録再生光の案内溝やピットを有していてもよい。
【0023】
記録層材料としては、例えば有機材料が挙げられ、色素も好ましい。
色素としては含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。
また、記録層は、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン)等を含有してもよく、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。
ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属が好ましい。
【0024】
また、必要に応じて他系統の色素を併用することもできる。
更に、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。
好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
記録層の膜厚は、記録方法などにより適した膜厚が異なるため、特に限定するものではないが、通常50〜300nmである。
【0025】
記録層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の一般に行われている薄膜形成法が挙げられる。
中でも、量産性、コスト面からはスピンコート法が好ましく、厚みの均一な記録層が得られるという点からは、塗布法よりも真空蒸着法等の方が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は500〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、場合によっては加熱又は溶媒蒸気にあてる等の処理を行っても良い。
ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。
【0026】
例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
記録層材料としては上記の他に、高分子材料、相変化材料、フォトークロミック材料、サーモクロミック材料等も好ましく用いることができる。
【0027】
光吸収層の材料としては、十分な記録感度を確保するという点で、記録波長に対する吸収係数がある程度大きいものを用いることが好ましく、SiC、B4C、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物、アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物、フェライト等に代表されるセラミックス、或いはTe−TeO2、Te−TeO2−Pd、Sb2Se3/Bi2Te3、Ge−Te−Sb−S、Te−TeO2−Ge−Sn、Te−Ge−Sn−Au、Ge−Te−Sn、Sn−Se−Te、Sb−Se−Te、Sb−Se、Ga−Se−Te、Ga−Se−Te−Ge、In−Se、In−Se−Tl−Co、Ge−Sb−Te、In−Se−Te、Ag−In−Sb−Te、Ag−Zn、Cu−Al−Ni、In−Sb、In−Sb−Se、In−Sb−Te等の相変化記録材料、ニッケル、クロム、チタン、タンタル等の純粋金属、又は銅/アルミニウム、ニッケル/鉄等の合金、シリコン等の半金属、Ge等の半導体等を用いることが可能である。
中でも、Si又はGeを含有する材料を用いることが好ましく、例えば、Si、Ge、或いはSiC等が好ましい例として挙げられる。
光吸収層の膜厚は、通常5〜150nmである。
【0028】
空隙抑制層の材料としては、例えば、Al2O3、MgO、BeO、ZrO2、TiO2、UO2、ThO2、CaO、NbO、Y2O3、CeOなどの単純酸化物系の酸化物;SiO2、2MgO・SiO2、MgO・SiO2、CaO・SiO3、ZrO2・SiO2、3Al2O3・2SiO2、2MgO・2Al2O3・5SiO2、Li2O・Al2O3・4SiO2などのケイ酸塩系の酸化物;Al2TiO5、MgAl2O4、Ca10(PO4)6(OH)2、BaTiO3、LiNbO3、PZT〔Pb(Zr,Ti)O3〕、PLZT〔(Pb,La)(Zr,Ti)O3〕、フェライトなどの複酸化物系の酸化物;或いは、Si3N4、Si6−ZAlZOZN8−Z、AlN、BN、TiNなどの窒化物系の非酸化物;SiC、B4C、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物;LaB6、TiB2、ZrB2などのホウ化物系の非酸化物;ZnS、CdS、MoS2などの硫化物系の非酸化物;MoSi2などのケイ化物系の非酸化物;アモルファス炭素、黒鉛、ダイアモンド等の炭素系の非酸化物、或いはそれらの混合物を用いることができる。
記録再生光に対する透明性や、生産性の観点からは、SiO2を主体(主成分)とする材料、或いはZnS・SiO2を主体(主成分)とする材料が好ましい。
また、断熱効果を十分得るためには、ZrO2を主体(主成分)とすることも好ましい。
また、ZnS、ZrO2、Y2O3及びSiO2からなる酸化物、或いはZrO2、TiO2、SiO2、及びXからなり、Xが、Al2O3、MgO、CaO、NbO、Y2O3、CeOから選ばれた少なくとも1種である材料が好ましい。
【0029】
記録層の上には、直接又は上引層等を介して、反射層を形成してもよく、その膜厚は、好ましくは、50〜300nmである。
反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Cr、Pdから選ばれる金属を単独で或いは合金にして用いることができる。中でもAu、Al、Agは、反射率が高く反射層の材料として適している。
また、上記の材料を主成分とし、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を含む材料でもよい。
中でもAgを主成分とするものは、コストが安いこと、高反射率が出易いことから特に好ましい。
金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
【0030】
また、基板の上や反射層の下に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のため、公知の無機系又は有機系の上引層、下引層、或いは接着層を設けることもできる。
上引層又は下引層に光吸収機能を付与する場合は、前述の光吸収層材料と同様の材料を使用することができる。また、機械的な保護、保存安定性の向上、耐溶剤性の向上、或いは干渉層として上引層又は下引層を使用する場合は、前述の空隙抑制層材料と同様の材料を使用することができる。
反射層の上に形成する保護層の材料としては、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されないが、有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機材料としては、SiO2、SiN4、MgF2、SnO2等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂は、そのまま又は適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。
【0031】
これらの材料は単独で或いは混合して用いても良いし、1層だけではなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmが好ましい。
また、反射層面に更に基板を貼り合わせてもよく、また、反射層面相互を内面として対向させ追記型光記録媒体2枚を貼り合わせた構造としても良い。
基板鏡面側に、表面保護やゴミ等の付着防止のため、紫外線硬化樹脂層や無機系薄膜等を成膜してもよい。
【0032】
カバー層は、高密度化を図るため高NAのレンズを用いる場合に必要となる。
例えば高NA化すると、再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
従って、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射膜を設け、更にその上に光を透過する薄膜である光透過性のカバー層を設けて、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような追記型光記録媒体や、基板上に反射膜を設け、その上に記録膜を形成して記録層とし、更にこの上に光透過性を有するカバー層を設けて、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような追記型光記録媒体が提案されている。
【0033】
このようにすれば、カバー層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄いカバー層を設け、このカバー層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このようなカバー層は、ポリカーボネートシートや、紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。
また、本発明で言うカバー層には、カバー層を接着するための層を含めてもよい。
本発明の追記型光記録媒体に使用されるレーザ光の波長は、高密度記録を行うため短いほど好ましいが、特に350〜530nmの範囲が好ましい。このようなレーザ光の代表例としては、中心波長405nmのレーザ光が挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び参考例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0035】
参考例1
まず初めに、基板上に光吸収層としてSiCを厚さ10nm設けた追記型光記録媒体を作成し、基板側からの記録再生特性を評価した。
図3〜図6に、参考例1−A〜1−Dの記録結果を示す。
図3(a)〜図6(a)は、参考例1−A〜1−Dの再生信号(RFレベル)の記録マーク長(Mark Length)依存性の測定結果を示す図であり、各図中の、Unrecは未記録時の再生信号(RFレベル)を、Topはマーク列を記録した時の最大再生信号レベル(一般的にはスペース部)を、Bottomはマーク列を記録した時の最小再生信号レベルを、MAは(Top−Bottom)/Topで計算される変調度を示す。
また、図3(b)〜図6(b)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを、図3(c)〜図6(c)には、6Tマークを連続して記録した場合の再生信号、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを、図3(d)〜図6(d)には、3Tマークを連続して記録した場合の再生信号、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示した。
【0036】
<参考例1−A>
溝深さ55nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、光吸収機能を有する変形層としてSiC層を厚さ10nm設けた追記型光記録媒体を作製した。
この光記録媒体に対して、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、基板側から5.0mWのレーザ光を照射し、グルーブ部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/sで3T〜14Tマークをそれぞれ単独で記録した。
なお、SiC層は入射光とは反対側(反基板側)に変形していることをAFM(原子間力顕微鏡)により確認した。
また、図3(a)の結果から、記録マーク長によらずHigh to Low(ハイ・ツー・ロー)記録が行えている可能性があることが確認できる。
更に、図3(b)〜図3(d)の結果から、3T、4T、6T、8T、14Tとも、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すことが分る。
【0037】
<参考例1−B>
記録パワーを6.0mWに変えた点以外は、参考例1−Aと全く同様の実験を行った。
なお、SiC層は入射光とは反対側(反基板側)に変形していることをAFMにより確認した。
また、図4(a)の結果から、記録マーク長によって記録極性が変化すること、即ち、短マークではHigh to Low記録であるが、長マークではHigh to Low記録とLow to High記録が混在したような信号が発生し、マーク長記録が困難となることが分る。
更に、図4(b)〜図4(d)の結果から、3T、4Tはマーク長記録が可能な再生信号波形を示すが、6T、8T、14Tはマーク中央部のRFレベルが大きく上昇した再生信号波形を示し〔6T、8Tでは、再生信号の周期が本来の再生信号の倍に見える。このことは図3(c)と比べるとよく分る〕、マーク長記録が困難となることが分る。
【0038】
<参考例1−C>
基板側から6.0mWのレーザ光を照射してランド部(入射レーザ光側から見て奥側にある溝位置)に記録した点以外は、参考例1−Aと全く同様の実験を行った。
なお、SiC層は入射光とは反対側(反基板側)に変形していることをAFMにより確認した。
また、図5(a)の結果から、若干ではあるが、記録マーク長によって記録極性が変化する傾向、即ち、短マークではHigh to Low記録であるが、長マークではHigh to Low記録とLow to High記録が混在したような信号が発生する傾向が見られ、マーク長記録が困難となる可能性があることが分る。
更に、図5(b)〜図5(d)の結果から、3T、4T、6T、8Tは、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すが、14Tはマーク中央部のRFレベルが大きく上昇した再生信号波形を示し、マーク長記録が困難となることが分る。
【0039】
<参考例1−D>
基板側から7.0mWのレーザ光を照射してランド部(入射レーザ光側から見て奥側にある溝位置)に記録した点以外は、参考例1−Aと全く同様の実験を行った。
なお、SiC層は入射光とは反対側(反基板側)に変形していることをAFMにより確認した。
また、図6(a)の結果から、記録マーク長によって記録極性が変化すること、即ち、短マークではHigh to Low記録であるが、長マークではHigh to Low記録とLow to High記録が混在したような信号が発生し、マーク長記録が困難となることが分る。
更に、図6(b)〜図6(d)の結果から、3T、4Tは、マーク長記録が可能な再生信号波形を示すが、6T、8T、14Tはマーク中央部のRFレベルが大きく上昇した再生信号波形を示し〔例えば6Tでは再生信号の周期が本来の再生信号の倍に見える。このことは図3(c)と比べるとよく分る〕、マーク長記録が困難となることが分る。
【0040】
以上、参考例1−A〜1−Dの結果から、基板上にSiC層を設けた追記型光記録媒体では、低記録パワー時には、High to Low極性の再生信号が得られているが、記録パワーが高まると、記録マークの中央部が盛り上がったような、いわゆる微分波形化が起こり、更なる高記録パワーによる記録では、記録極性があたかもLow to Highであるかのように見えることが分った。
また、この微分波形化の度合いは、記録マーク長によって異なり、長マークでは微分波形化が非常に起り易いことが確認できた。
このように、通常は、記録パワーの増大と伴に記録マーク部の反射率が一方向に変化していくのに対し、この参考例1で用いた追記型光記録媒体では、記録部の再生信号波形が変化するためにジッタ等の記録再生特性が悪化することが容易に理解される。
【0041】
参考例2
次に、参考例1で、再生信号が微分波形化する原因を明らかにするため、下記の条件でシュミレ−ションを行った。
基板/SiC(厚さ10nm)という層構成で、約8T(2.0λ)のマーク長を有する記録マーク(Pitを仮定。図7を参照)を形成し、この記録マークについて
i)記録位置(Land or Groove)
ii)空隙の有り無し([No Bubble] or [Bubble])を変えて、基板側からレーザ光を走査して再生した場合に、どのような再生信号が得られるかを計算した。
基板の溝形状は、(A,B,C,D,ζ)=(0.2,1.0525,1.2525,1.8525,0.1375)とし、(記録マーク長さ,記録マーク幅,高さ)=(2.0λ,0.8525λ,−0.3λ)とした(数字は波長λを単位としたものである。また記録マークの高さのマイナス表示は、記録部がPitを形成すること、即ち変形が基板側から遠ざかる方向に生じることを意味する)。また、空隙の有り無しは、図8のような状態を指し、図8(a)のような記録状態を空隙なし、図8(b)のような記録状態を空隙ありと定めた。
図9は、ランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果を、図10は、グル−ブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果を示す図である。
なお、図10の凡例で(N)の表示は、変形領域の幅が0.8525λの場合、(W)の表示は変形領域の幅が1.8525λの場合を示す。
その結果(図9〜図10参照)、光吸収層と基板の間、或いは基板内に空隙が発生すると微分波形化が起こる可能性があることが証明された。
【0042】
参考例3
参考例2のシュミレ−ションによって、記録再生特性の悪化の原因は、基板と光吸収層間、或いは基板内に発生する空隙の可能性があることが証明された。
そこで、本参考例では、実際に空隙が発生する場所とメカニズムを明確にするため、基板/SiC(厚さ15nm)/化1で示される化合物のCo金属錯体/Ag反射層(厚さ150nm)/保護層という追記型光記録媒体を作成し、グル−ブ部に下記の条件で記録を行った。
<記録条件>
・記録線密度 :1T=0.0917μm
・記録マーク長 :6T及び14T
・記録パワー :9.0mW
・記録ストラテジ:Basic strategy(基本ストラテジ)
Top−Tmp=1.20−0.60(T)
【化1】
なお、この記録において、6Tは記録極性がLow to Highであり、14Tは記録極性がHigh to Lowであった。
また、記録マークが14Tの場合は、その記録部の信号振幅(変調度に相当)が、6Tの2倍程度あった。
【0043】
次いで、この光記録媒体をFIB(Focused Ion Beam=集束イオンビーム加工装置)でトラック方向、又は半径方向に切断し、記録部をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)又はTEM(透過電子顕微鏡)で観察した。
その結果、図11(FIBでトラック方向に切断しFE−SEMで観察した図)に示すように、記録マーク長が6Tの場合は、記録部がSiC層の基板側への変形、及び色素層の状態変化によって記録部が形成されていることが確認できた。
一方、記録マーク長が14Tの場合には、記録マーク長が6Tの場合と比べて記録極性が反転し、変調度が急増した記録部には、図12〜13に示すように、基板内に空隙が発生していることが確認できた(マーク長が6Tの場合には、基板内に空隙が発生していなかった)。即ち、記録再生特性の悪化の原因は、基板内に発生する空隙であることが確認された。
なお、図12はFIBで半径方向に切断しTEMで観察した(写真)であり、図13は同様の観察を行った(写真)の拡大図である(図13のTEM写真は、それぞれ切断位置が異なる4枚の写真を並べて示してある。)。
更に、上記実験ではマーク長の違いによって記録極性が異なる例を示したが、記録パワーが低い時と高い時でも同様の現象(高記録パワー時には基板内に空隙が発生する)が起ることを確認した。
【0044】
実施例1
溝深さ50nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、空隙抑制層としてZnS-SiO2を厚さ65nm、光吸収機能を有する層としてSiCを厚さ10nm、有機化合物からなる記録層としてDVD−Rに利用できる前記化1で示される化合物のCo金属錯体層(色素層)を厚さ約60nm、Ag反射層を厚さ約100nm、紫外線硬化型樹脂からなる保護層を順次積層して追記型光記録媒体を作成した。
この光記録媒体に対し、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、基板側からレーザ光を照射し、グル−ブ部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/sで8−16変調の信号を記録した。
その結果、本実施例で使用した評価装置が設定できる記録パワ−範囲内において、記録極性がLow to Highで単一化され、図14に示すような、良好なジッタ特性と変調度を得ることができた。
【0045】
比較例1
基板/SiC(厚さ10nm)/化1で示される化合物のCo金属錯体(厚さ約60nm)/Ag反射層(厚さ150nm)/保護層という構成の追記型光記録媒体を作成し、下記の条件で記録を行った(実施例1において、空隙抑制層がない場合)。
<記録条件>
・記録線密度 :1T=0.0917μm
・変調方式 :8−16変調
・記録ストラテジ:Basic strategy(基本ストラテジ)
Top−Tmp=1.20−0.60(T)
その結果は図15に示す通りで、記録パワー約9.0mWでジッタ11.6%という良好な記録を行うことができたが、本比較例で使用した評価装置が設定できる記録パワーの範囲内において、記録極性の変化が見られ(10.5mw近傍で記録極性がLow to HighからHigh to Lowに変わる)、ジッタの記録パワーマージンが非常に狭くなったことが確認できた。
この光記録媒体に、改めて記録パワー8.0mWで6Tマーク及び14Tマークを記録し、参考例3と同様に、この光記録媒体をFIBで半径方向に切断し、記録部をTEMで観察した。
その結果、記録パワー8.0mWによる記録部では、基板内に空隙が発生していないことが確認できた。また、記録再生時にトラッキングエラ−(トラック外れ)を生じることがなかった。
一方、図12〜13のように基板内に空隙が発生するような記録パワー、即ち記録パワー9.5mW以上による記録では、ジッタが15.0%を下回らなかった。また、9.5mW程度以上の記録パワーでは、記録パワーの増加と伴に、記録再生時のトラッキングエラ−(トラック外れ)を起す割合が増加した。
【0046】
実施例2
溝深さ50nmの案内溝を有するポリカーボネート基板上に、空隙抑制層としてZrO2を厚さ35nm、光吸収機能を有する層としてSiを厚さ15nm、有機化合物からなる記録層としてDVD−Rに利用できる前記化1で示される化合物のCo金属錯体層(色素層)を厚さ約60nm、Ag反射層を厚さ約100nm、紫外線硬化型樹脂からなる保護層を順次積層した追記型光記録媒体を作成した。
この光記録媒体に対し、パルステック工業製の光ディスク評価装置、DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、基板側からレーザ光を照射し、グル−ブ部(入射レーザ光側から見て、手前側にある溝位置)に、記録周波数65.4MHz、記録線速度6.0m/sで8−16変調の信号を記録した。
その結果、本実施例で使用した評価装置が設定できる記録パワ−範囲内において、記録極性がLow to Highで単一化され、図16に示すような、良好なジッタ特性と変調度を得ることができた。
【0047】
以上の参考例及び実施例の結果から、本発明の「基板又はカバー層に隣接して、記録光に対して光吸収機能を有する光吸収層が設けられた構造を有し、基板内又はカバー層内に空隙部を形成させずに記録部を形成した追記型光記録媒体」が、良好な記録再生特性を得る上で、非常に重要であることが裏付けられた。
なお、上記実施例の記録再生特性は一例を示すものであって、例えば記録極性をLow to Highに限定するものではない。
【0048】
実施例3
図11〜13の観察の結果、基板内に空隙が発生し易いのは長マークであり、3T〜4Tのような短い記録マークには空隙が発生し難いことが確認できた。
そこで、図15(a)に示すような記録ストラテジにおいて、長マークになるほどTEMPを0.02(T)ずつ小さくする設定を用い、長マークの温度を必要以上に上昇させない(基板内に空隙が発生しない温度以下にする)ようにし、比較例1で作成したものと同じ構成の追記型光記録媒体に記録を行った。
その結果、通常の記録ストラテジ〔図17(a)において、記録マーク長に拘わらずTEMPを固定〕では、約9.5mW程度で、14Tマークに基板内空隙が観測されたが、本実施例での記録ストラテジを用いることにより、約9.5mW程度で記録を行っても14Tマークに基板内空隙は観測されなかった。
即ち、本実施例で適用した記録ストラテジを用いることで、記録パワーを増加していっても、長マークに発生し易い空隙の発生を抑制できるため、良好なジッタ特性(ジッタの記録パワーマージンの拡大)が得られた。
なお、本実施例で用いた記録ストラテジ以外に、例えば次のイ)〜リ)などの設定でも、同様の効果を発揮する。
・図17(a)において、
イ)長マークほどTELPを小さくする。
ロ)長マークほどTEFPを小さくする。
ハ)長マークほどPw1又はPw2を低くする。
・図17(b)において、
ニ)長マークほどPw1又はPw2を小さくする。
ホ)長マークほどTEFPを小さくする。
・図17(c)において、
ヘ)長マークほどPw1又はPw2を小さくする。
ト)長マークほどTEFPを小さくする。
チ)長マークほどTELPを小さくする。
リ)長マークほどTSLPを大きくする。
なお、本発明で有効な記録ストラテジの設定は、本実施例で説明したものに限定されるものではない。
【0049】
上記参考例及び実施例では、光吸収層が基板と接する場合を取り上げたが、カバー層の場合も、基本的に基板と材料が同一であるため、カバー層と光吸収層が接する場合も同様である。
なお、本発明は、基板又はカバー層に隣接して、記録光に対して光吸収機能を有する光吸収層が設けられた構造を有する追記型光記録媒体の記録再生特性の改善を図る一つの有効な方法を示したものであって、基板内の空隙の発生がある追記型光記録媒体を否定するものではない。
また、記録極性は、色素層や光吸収層の光学定数や膜厚、光吸収層の変形形態、或いは基板の溝深さ等の形状などに依存するため、実施例における構造の追記型光記録媒体の記録極性を限定するものではない。
【0050】
【発明の効果】
本発明の追記型光記録媒体とその記録方法によって、記録再生特性を悪化させる基板内又はカバー層内の空隙発生を抑制することが可能となるため、良好な記録再生特性、及び良好なトラッキング特性が得られる短波長レーザ対応の追記型光記録媒体とその記録方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のディスクの層構成を示す図。
【図2】マーク長記録の記録マークを再生した場合の再生信号の波形を説明する図。
(a) 一般的な場合
(b) 記録マークの前後エッジ近傍で変極点を持つ微分波形
(c) 記録マークの中心近傍で変極点を持つ微分波形
【図3】参考例1−Aの記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図4】参考例1−Bの記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図5】参考例1−Cの記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図6】参考例1−Dの記録結果を示す図。
(a) 記録マーク長と再生信号(RFレベル)及び変調度の関係を示す。
(b) 3Tマーク、4Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(c) 6Tマーク、8Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び、未記録時の再生信号レベルを示す。
(d) 3Tマーク、14Tマークを連続して記録した場合の再生信号、及び未記録時の再生信号レベルを示す。
【図7】Pitが形成された状態における溝パラメータの説明図。
【図8】空隙の有り無しの記録状態を説明するための図。
(a) 空隙無しの記録状態
(b) 空隙有りの記録状態
【図9】参考例2において、ランド部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果を示す図。
【図10】参考例2において、グル−ブ部にPitが形成された記録部を基板側から再生した場合の結果を示す図。
【図11】参考例3の記録マーク長が6Tの場合について、光記録媒体をFIBでトラック方向に切断しFE−SEMで観察した図。
(a)記録部を観察した図
(b)未記録部を観察した図
【図12】参考例3の記録マーク長が14Tの場合について、光記録媒体をFIBで半径方向に切断しFE−SEMで観察した図。
【図13】参考例3の記録マーク長が14Tの場合について、光記録媒体をFIBでトラック方向に切断しFE−SEMで観察した図。
【図14】実施例1の光記録媒体に記録を行った場合のジッタ、及びスペース部とマーク部の再生信号レベルを示す図。
【図15】比較例1の光記録媒体に記録を行った場合のジッタ、及びスペース部とマーク部の再生信号レベルを示す図。
【図16】実施例2の光記録媒体に記録を行った場合のジッタ、及びスペース部とマーク部の再生信号レベルを示す図。
【図17】参考例3で用いた記録ストラテジを示す図。
(a) 通常の記録ストラテジ
(b) 他の記録ストラテジ
(c) 更に他の記録ストラテジ
【符号の説明】
Mark Length マーク長
T 基準クロック
RF Lebel(V) RF(再生信号)レベル(ボルト)
Modulated amplitude 変調度
Unrec 未記録時の再生信号(RF)レベル
Top マーク列を記録した時の最大再生信号レベル(即ちスペース部)
Bottom マーク列を記録した時の最小再生信号レベル(即ちマーク部)
MA. (Top−Bottom)/Topで計算される変調度
Time0.5(μs/div) 時間(1メモリ0.5マイクロ秒)
A 基準点から隣接するランド又はグルーブの近い方の端部までの幅
B 基準点から隣接するランド又はグルーブの遠い方の端部までの幅
C 基準点から次のグルーブ又はランドの近い方の端部までの幅
D 基準点から次のグルーブ又はランドの遠い方の端部までの幅
ζ グルーブ底部からランド上面までの高さ
Pit レーザ光の入射方向とは逆に変形した記録マーク
Bump レーザ光の入射方向に変形した記録マーク
Sum 和信号(再生信号)
Beam Position(μm) ビーム位置(マーク中心からのビーム中心のズレ量)
From Sub,Land 基板側からランド記録
From Sub,Groove 基板側からグルーブ記録
No Bubble 空隙無し
Bubble 空隙有り
(N) 変形領域の幅が0.8525λの場合
(W) 変形領域の幅が1.8525λの場合
σ/Tw ジッタ
Pw1 記録パワー
Pw2 ボトムパワー
Pr バイアスパワー
TEFP 基準時間から先頭パルス立下り時間までの時間
TSFP 基準時間から先頭パルス立上り時間までの時間
TEMP 基準時間からマルチパルス立下り時間までの時間
TSMP 基準時間からマルチパルス立上り時間までの時間
TELP 基準時間から最終パルス立下り時間までの時間
TSLP 基準時間から最終パルス立上り時間までの時間
Claims (9)
- 基板又はカバー層と、記録光に対して光吸収機能を有する無機材料からなる光吸収層との間に、記録による基板内又はカバー層内の空隙部発生を抑制するための空隙抑制層が設けられた構造を有することを特徴とする追記型光記録媒体。
- 基板上に、記録による基板内の空隙部発生を抑制するための空隙抑制層、記録光に対して光吸収機能を有する無機材料からなる光吸収層、有機化合物からなる記録層、及び反射層が順次設けられた構造を有することを特徴とする追記型光記録媒体。
- 前記空隙抑制層が、SiO2、ZnS−SiO2、ZrO2の何れかを主成分とすることを特徴とする請求項1又は2記載の追記型光記録媒体。
- 前記空隙抑制層が、ZnS、ZrO2、Y2O3及びSiO2からなる酸化物であることを特徴とする請求項1又は2記載の追記型光記録媒体。
- 前記空隙抑制層が、ZrO2、TiO2、SiO2、及びXからなり、XがAl2O3、MgO、CaO、NbO、Y2O3、CeOから選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2記載の追記型光記録媒体。
- 405nmの記録再生波長に対応可能であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の追記型光記録媒体。
- 記録後の記録極性がLow to Highであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の追記型光記録媒体。
- 請求項1〜7の何れかに記載の追記型光記録媒体に対し、基板内又はカバー層内に空隙部が形成されない記録パワーの範囲で記録を行うことを特徴とする追記型光記録媒体の記録方法。
- 請求項1〜7の何れかに記載の追記型光記録媒体に対し、基板内又はカバー層内に空隙部が形成されない記録ストラテジで記録を行うことを特徴とする追記型光記録媒体の記録方法。
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