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JP4104645B2 - リチウム電池正極用複合材料の製造方法 - Google Patents

リチウム電池正極用複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、正極活物質及び導電性物質を含有するリチウム電池正極用複合材料の製造方法に関する。本発明で得られるリチウム電池正極用複合材料は、リチウムイオン二次電池等の正極の形成に好適に使用することができる。
近年、石油資源の高騰、国際的な地球環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などが注目されており、その一部が実用化されている。これらの駆動システムには、補助用電源等として二次電池が不可欠であり、しかも自動車の急発進・急加速に対応できる高出力な二次電池が望まれている。また、車への重量負荷、燃費向上の観点から、エネルギー密度の高い二次電池が望まれる。このような背景から、二次電池の中で最もエネルギー密度が高く、かつ高出力を発現できるリチウムイオン二次電池が有望視されている。
リチウムイオン二次電池では、リチウム塩を非水溶媒中に含有する電解液が用いられ、セパレータを介して正極活物質を備える正極と負極活物質を備える負極とが隔てられた構造となっている。また、正極では、正極活物質自体の導電性が低いことから、導電性を向上させるために、カーボンブラック等の導電性物質が添加されている。
一般に、上記のような正極は、LiMn24等の活物質、カーボンブラック等の導電性物質、バインダ、及び溶剤を混合したスラリーを集電体となる金属箔に塗布・乾燥することにより製造される。その結果、正極の微細構造は、導電性の低い正極活物質の粒子と、これより粒径の小さい導電性物質の粒子とが分散・結合した構造となる。
リチウムイオン二次電池の正極では、放電時にリチウムが正極活物質内に吸蔵されるが、その際、正極側へ拡散するリチウムイオンと正極集電体から導電した電子との作用によって放電が進行する。また、充電時には、正極活物質から、電子とイオン化したリチウムとが放出される。このため、電池の特性、特に高速放電性能(高出力化)に影響を与える因子として、導電性の高い導電材料を選択することや、正極活物質と導電性物質の微細複合構造が非常に重要となる。
このような理由から、正極に関する微細複合構造の改良が幾つか試みられている。例えば特許文献1には、正極活物質と導電性物質とを混合して、乾式で圧縮せん断応力を加える方法により、正極活物質表面に導電性物質を被覆した正極材料が提案されている。
また、湿式混合により正極複合材料を製造する方法も知られており、例えば特許文献2には、リン酸第一鉄含水塩、リン酸リチウム及び炭素質物質前駆体を湿式混合した後、溶媒を除去して混合物を得た後、これを粉砕、焼成等して炭素複合材料を製造する製造方法が提案されている。
特開2004−14519号公報 特開2003−292309号公報
しかしながら、特許文献1に記載の正極材料では、導電性が向上するものの、導電性物質が正極活物質の表面に緻密に被覆されるため、Liイオンの経路が遮断され、その結果、高速放電性能はそれほど向上しないことが判明した。
また、特許文献2に記載された炭素複合材料の製造方法では、カーボンブラック等の導電性物質を用いるのではなく、ポリエチレングリコール等の炭素質物質前駆体を用いて混合物を得た後、これを粉砕、焼成等している。このため、得られる炭素複合材料の微細複合構造を制御するのが困難であり、これを用いて得られる正極の高速放電性能は、特許文献1に記載の正極材料より優れるとは考えにくい。
そこで、本発明の目的は、電池の高速放電性能に優れるリチウム電池正極用複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、溶媒中で自己凝集性を有する導電性物質及び正極活物質を溶媒中に強制分散させた後、溶媒中で凝集させることによって、電池の高速放電性能が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウム電池正極用複合材料の製造方法は、正極活物質、及び導電性物質を含有するリチウム電池正極用複合材料の製造方法であって、少なくとも溶媒中で自己凝集性を有する導電性物質及び正極活物質を、溶媒中に分散させて強制分散した状態とする分散工程と、前記導電性物質を前記正極活物質と共に溶媒中で凝集させて凝集粒子を得る凝集工程とを含むものである。ここで、「溶媒中で自己凝集性を有する」とは、用いる溶媒中に強制分散させた後、放置することで凝集により平均粒径が大きくなる性質をいい、具体的には実施例に記載の測定方法で定義される。
また、本発明のリチウム電池正極用複合材料の製造方法は、正極活物質、及び導電性物質を含有するリチウム電池正極用複合材料の製造方法であって、少なくとも、DBP(フタル酸ジブチル)吸収量が200〜800cm/100gであるカーボンブラック及び/又はアスペクト比が50〜1000の繊維状カーボンを含有する導電性物質及び正極活物質を溶媒中に分散させて強制分散した状態とする分散工程と、前記導電性物質を前記正極活物質と共に溶媒中で凝集させて凝集粒子を得る凝集工程とを含むものである。なお、本発明における各種の物性値は、具体的には実施例に記載の方法で測定される値である。
本発明のリチウム電池正極用複合材料の製造方法によると、自己凝集性を有する導電性物質等を用いて、正極活物質と共に溶媒中に強制分散させることによって、凝集後に導電性物質が正極活物質を包み込む微細複合構造を構成すると考えられる。このため、正極活物質と導電性物質の接触点が多くなり、導電性が向上すると考えられ、電解液の浸透がスムーズでLiイオンのイオン拡散に優れた構造を呈すると考えられる。
また、DBP吸収量の高いカーボンや繊維径の細い繊維状カーボンを含有する導電性物質を用いる場合にも、凝集後に導電性物質が正極活物質を包み込む微細複合構造を構成できると考えられ、正極活物質と導電性物質の接触点が多くなり、導電性が向上すると考えられる。しかも、微細な隙間を有する多孔のカーボンネットワークを構築できるため、電解液の浸透がスムーズでLiイオンのイオン拡散により優れた構造を呈すると考えられる。
本発明では、上記の結果、電子及びリチウムイオンの移動がスムーズに行えると考えられる複合構造によって、従来のLiイオン二次電池にくらべ、放電時に高い電流を流すことができ、高速放電特性に優れたLiイオン電池を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、正極活物質、及び導電性物質を含有するリチウム電池正極用複合材料の製造方法であり、当該正極用複合材料は、リチウムイオン二次電池等の正極の製造に用いることができる。本発明の製造方法で使用する導電性物質と正極活物質は、溶媒中で化学的に安定な単位粒子の集合物であり、溶媒中で超音波等で、好ましくは、周波数15〜25kHz、出力100〜500Wの超音波で強制分散させることで、単位粒子に近い状態まで分散されると考えられる。この単位粒子を本発明では「一次粒子」という。
本発明の製造方法は、少なくとも、溶媒中で自己凝集性を有する導電性物質及び正極活物質を溶媒中に分散させて強制分散した状態とする分散工程を含むものである。本発明において「強制分散した状態」とは、スラリーをサンプリングして所定濃度に希釈し、遅滞なく粒度分布測定装置で平均粒径を測定した際に、当該平均粒径が正極活物質の一次粒子径の130%以内になるような分散状態を指す(正極活物質の一次粒子径と比較する観点から、具体的な測定方法は、正極活物質の一次粒子径の測定方法にて後述する)。つまり、この状態では、初期の凝集状態から強制分散した状態に移行することによって、測定される平均粒径が正極活物質の一次粒子径に近づき(導電性物質の分散状態もこの測定値に反映される)、この現象から強制分散した状態を把握することができる。
上記の分散工程は、自己凝集性の導電性物質と正極活物質とを溶媒中に添加して、同時に分散させるものでもよいが、導電性物質又は正極活物質の一方を溶媒中に添加して分散させた後、これに他方を添加して分散させるものでもよい。
本発明では、特に、自己凝集性の導電性物質を効果的に強制分散させ、その分散状態を維持しながら正極活物質を効果的に分散させる観点から、当該導電性物質を溶媒中に添加して分散させた後、これに正極活物質を添加して分散させる方法が好ましい。後から正極活物質を添加して分散させる方法では、導電性物質と正極活物質を均一に混合させることが好ましく、分散機で分散を行いながら正極活物質を添加することがより好ましい。
自己凝集性を有する導電性物質としては、分散に用いる溶媒中に強制分散させた後、放置することで自己凝集する性質を有する導電性物質であればよく、例えば、自己凝集性を有するカーボンブラックや、自己凝集性を有するカーボンファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)等の繊維状カーボンなどが挙げられる。
本発明では、自己凝集性を有しない導電性物質を、分散工程で添加することも可能である。その場合、自己凝集性の導電性物質を効果的に強制分散させ、その分散状態を維持しながら追加の導電性物質を効果的に分散させる観点から、自己凝集性の導電性物質を溶媒中に添加して分散させた後、これに追加の導電性物質(好ましくは凝集性を有しない導電性物質、より好ましくは凝集性を有しないカーボンブラック)を添加して分散させることが好ましい。追加の導電性物質と正極活物質とは、予め混合するか、同時に混合してもよく、順次添加して分散させる場合は、その順序はいずれでもよい。
予め混合する場合は、粉末同士の乾式混合でもよいが、できるだけ均一に混合する観点から、溶媒中で湿式混合することが好ましい。その際、まず追加の導電性物質を分散させた後に、正極活物質を添加して、分散、混合させることが好ましい。
カーボンブラックとしては、サーマルブラック法、アセチレンブラック法等の分解法、チャンネルブラック法、ガスファーネスブラック法、オイルファーネスブラック法、松煙法、ランプブラック法等の不完全燃焼法のいずれの製法で製造されたものも使用できるが、導電性の観点からファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)が好ましく用いられ、このうちケッチェンブラックがより好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。ケッチェンブラックとしては、溶媒中での自己凝集性や得られる微細複合構造の観点から、DBP吸収量が200〜800cm/100gのものが好ましい。
自己凝集性を有するカーボンブラックは、正極活物質を包含して凝集できるような、ストラクチャーの大きなものが好ましい。カーボンブラックのストラクチャーの大きさは、DBP吸収量から判断でき、電解液のしみ込みを良好にし、Liイオンの拡散経路を確保させる観点から、用いるカーボンブラックのDBP吸収量は、好ましくは200cm/100g以上、より好ましくは250cm/100g以上、さらに好ましくは300cm/100g以上である。また、電極密度を低下させない観点から、DBP吸収量は800cm/100g以下が好ましく、700cm/100g以下がより好ましく、600cm/100g以下が更に好ましい。
つまり、DBP吸収量が200〜800cm/100gであるカーボンブラックは、一般に自己凝集性が高く、溶媒中に強制分散させた後、放置することで自己凝集して凝集粒子を生成する能力が高いため、本発明に好適に用いることができる。
自己凝集性を有しないカーボンブラックとしては、DBP吸収量が200cm/100g未満のものが好ましく使用できる。このようなカーボンブラックは、ストラクチャーがあまり発達しておらず、比較的容易に溶媒中に微分散させることができるため、正極活物質と自己凝集性を有するカーボンブラックとの間に介在して、導電性をより向上させることができると考えられる。同様の理由から、自己凝集性を有するカーボンブラックについても、DBP吸収量が比較的小さいものと、比較的大きいものとを併用することが、凝集性を維持しながら導電性を向上させる上で好ましい。
また、自己凝集性のカーボンブラックの一次粒子径は、以下の観点から10〜100nmが好ましい。即ち、走査型電子顕微鏡で測定した一次粒子径が、一次分散のしやすさの観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。また、分散後の再凝集のしやすさの観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、50nm以下がさらに好ましい。
自己凝集性を有するカーボンブラックの凝集粒径は、以下の観点から1〜50μmが好ましい。即ち、本発明ではカーボンブラックと正極活物質を均一に混合分散したのち、カーボンブラックの自己凝集力を利用して、正極活物質を包含させた複合粒子を形成させることができる。このような観点から、自己凝集性を有するカーボンブラックの凝集粒径は、好ましくは、1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上である。また、本発明の複合正極材料を用いて作製された、正極電極表面の平滑性の観点から、好ましくは、50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
自己凝集性を有するカーボンブラックの含有量としては、以下の観点から正極活物質100重量部に対して0.2〜20重量部が好ましい。即ち、凝集工程において自己凝集力を効果的に発現させる観点から、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは、0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上である。また、体積抵抗率と全孔容積率とのバランスの観点から、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
自己凝集性を有しないカーボンブラックを併用する場合、その含有量としては、以下の観点から正極活物質100重量部に対して0.2〜20重量部が好ましい。即ち、正極材料の体積抵抗率の低減の観点から、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは、0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上である。また、正極活物質表面への被覆性の観点から、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
一方、繊維状カーボンとしては、ポリアクリロニトリル(PAN)に代表される高分子を原料としたカーボンファイバー、ピッチを原料としたピッチ系カーボンファイバー、カーボンナノチューブ(グラファイトの1枚面つまりグラフェンシートを巻いて筒状にした形状物(微粒子工学大系第I巻P651、株式会社フジ・テクノシステム))であって、炭化水素ガスを原料とする気相成長系のカーボンファイバー(例えば、VGCF:登録商標)、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法などで得られる、いわゆる狭義のカーボンナノチューブ(以下、狭義のカーボンナノチューブを単にカーボンナノチューブという)などが好適に用いられる。より多くの導電経路を構築させる観点から、繊維径の細い繊維状カーボンが好ましく、VGCFやカーボンナノチューブが好適に用いられ、中でもカーボンナノチューブを用いることが好ましい。カーボンナノチューブは、例えば、HeやAr、CH、Hなどの雰囲気ガスのもとで、黒鉛電極をアーク放電で蒸発させるアーク放電法、NiやCo、Y、Feなどの金属触媒を含む黒鉛電極をアーク放電で蒸発させるアーク放電法、Ni−Co、Pd−Rdなどの金属触媒を混ぜた黒鉛にYAGレーザーを当て蒸発させ、Arの気流で1200℃程度に加熱された電気炉に送り出すレーザー蒸発法、触媒にペンタカルボニル鉄(Fe(CO))を用い、一酸化炭素を高圧で熱分解するHiPCO法等で得ることができる。カーボンナノチューブのアスペクト比については、例えば、炭化水素(ベンゼン等)と水素ガス等の雰囲気ガスの濃度比が小さいほど、生成するカーボンナノチューブの直径が細くなり、アスペクト比が大きくなる。また、反応時間が短いほど、生成するカーボンナノチューブの直径が細くなり、やはりアスペクト比が大きくなる。
本発明では、繊維が絡み合って糸玉状に凝集している繊維状カーボンを、正極活物質の存在下で分散剤や機械的な応力を加えて分散せしめ、その後分散を止めることによって再凝集させることにより、正極活物質を包含させた複合粒子を形成させることができると考えられる。このような観点から、繊維状カーボンの繊維長(L)に対する繊維径(W)のアスペクト比、すなわちL/Wが重要になる。繊維状カーボンのアスペクト比は、更に導電性の観点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは200以上であり、繊維状カーボンの分散性の観点から、好ましくは2万以下、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは1000以下、さらにより好ましくは600以下である。
つまり、アスペクト比が50〜20000の繊維状カーボンは、一般に自己凝集性が高く、溶媒中に強制分散させた後、放置することで自己凝集して凝集粒子を生成する能力が高いため、本発明に好適に用いることができる。
その際、繊維状カーボンの繊維長は、以下の観点から50nm以上50μm以下が好ましい。即ち、正極活物質表面とより多く接触し、導電経路を確立する観点から、好ましくは、50nm以上、より好ましくは500nm以上、更に好ましくは1μm以上である。また、本発明の複合正極材料を用いて作製された、正極電極表面の平滑性の観点から、好ましくは、50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
また、繊維状カーボンの繊維径は、正極活物質表面とより多く接触し、導電経路を確立させる観点から、1nm〜1μmが好ましく、1〜500nmがより好ましく、1〜300nmが更に好ましい。
繊維状カーボンの含有量としては、以下の観点から正極活物質100重量部に対して0.2〜20重量部が好ましい。即ち、凝集工程において自己凝集力を効果的に発現させる観点から、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは、0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上である。また、体積抵抗率と全孔容積率とのバランスの観点から、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
カーボンの総配合量は、以下の観点から正極活物質100重量部に対して0.2〜50重量部が好ましい。即ち、複合正極材料の体積抵抗率低減の観点から、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0.2重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは3重量部以上である。また、複合正極材料のエネルギー密度を高める観点から、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは15重量部以下である。
本発明に用いられる正極活物質としては、従来公知の何れの材料も使用でき、例えば、LiMn24などのLi・Mn系複合酸化物、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられ、LixCoO2,LixNiO2,MnO2,LiMnO2,LixMn24,LixMn2-y4,α−V25,TiS2等が挙げられる。なかでも、熱的安定性、及び容量、出力特性に優れるという観点から、LiMn24,LiCoO2,LiNiO2が好ましく、LiMn24がより好ましい。
正極活物質の一次粒子径は、以下の観点から0.1〜10μmが好ましい。即ち、正極活物質の安全性や安定性、サイクル特性の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは、0.3μm以上であり、また、凝集工程における複合凝集性や、反応性、高速放電性の観点から10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。
分散に用いる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、沸点202℃)、ジメチルホルムアミド(DMF、沸点153℃)、ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、メチルエチルケトン(沸点79.5℃)、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、アセトン(沸点56.3℃)、エタノール(沸点78.3℃)、酢酸エチル(沸点76.8℃)などが好適に用いられる。このうち複合粒子をスラリー状態で得る場合は、沸点の高いNMPを溶媒とすることが好ましく、また、乾燥粒子の状態で得る場合には、沸点の低いメチルエチルケトンやエタノールが好ましい。
なお、溶媒の沸点は、乾燥の容易さの観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
溶媒の使用量は、自己凝集性の導電性物質、正極活物質などを均一に分散させる観点から、正極活物質100重量部に対して、100重量部以上が好ましく、200重量部以上がより好ましい。また、溶媒の乾燥の煩雑さや、得られるスラリーの濃度の観点から、1000重量部以下が好ましく、800重量部以下がより好ましい。以上を総合した観点から、100〜1000重量部が好ましく、200〜800重量部がより好ましい。
分散工程において、導電性物質および正極活物質を分散させる方法としては、溶媒中で分散機により分散させる方法や、分散剤により分散させる方法などが用いられるが、いずれの場合も、自己凝集性を有する導電性物質及び正極活物質を溶媒中に分散させて強制分散した状態とする分散工程が含まれる。強制分散した状態では、正極活物質が一次粒子まで分散していることが好ましい。また、導電性物質が好ましくは200cm/100g以上のDBP吸収量を有するカーボンブラックである場合、導電性物質も一次粒子又は一次粒子に近い状態まで分散していることが好ましい。
分散機としては、例えば超音波型分散機、攪拌型分散機、高速回転せん断型分散機、ミル型分散機、高圧噴射型分散機などが挙げられるが、強制分散させる工程に使用する場合、超音波型分散機、高圧噴射型分散機が好適に用いられる。
分散剤により分散させる方法は、正極活物質や自己凝集性の低い導電性物質を分散させる方法として有効であるが、凝集工程において凝集粒子の生成を妨げない添加量の範囲で使用することが好ましい。
分散剤を使用する場合、分散剤としてはアニオン性、ノニオン性もしくはカチオン性界面活性剤、または高分子分散剤を用いることが出来るが、分散性能の点から高分子分散剤の使用が好ましい。
高分子分散剤としては種々の化合物を使用することができるが、分子内に複数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸系高分子分散剤、分子内に複数のアミノ基を有するポリアミン系高分子分散剤、分子内に複数のアミド基を有する高分子分散剤や分子内に複数の多環式芳香族化合物を含有する高分子分散剤が好ましい。これらの分散剤は単独で、あるいは二種以上の分散剤を混合して用いることができる。
更に、本発明の製造方法は、前記導電性物質を前記正極活物質と共に溶媒中で凝集させて凝集粒子を得る凝集工程を含むものである。この凝集工程は、自己凝集性の導電性物質が自己凝集しやすいため、分散機を停止することで、自己凝集を促進させ、凝集粒子を含んだスラリーを得る手法や、溶媒中での凝集力を更に高めるべく、溶媒を留去して強制的に凝集させて凝集粒子の粉末を得る手法を用いることができる。
得られる凝集粒子は、好ましくは正極活物質を導電性物質で取り巻いた形状をしている。得られる凝集粒子の平均粒径は、以下の観点から1〜20μmが好ましい。即ち、このような凝集粒子の粉末状又は溶媒中での平均粒径は、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。また、本複合粒子を用いて得られる正極電極の表面性の観点から、好ましくは、20μm以下、より好ましくは15μm以下、10μm以下が更に好ましい。
凝集工程における凝集粒子の濃度としては、凝集粒子を好適に得る観点から、スラリー中、2〜100重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましく、10〜40重量%が更に好ましい。
溶媒を留去した後の正極用複合材料は、従来の正極用複合材料よりも少ない導電性物質の配合量で体積抵抗率を低減でき、その分、正極活物質を多く配合できるため、正極のエネルギー密度を向上できる。その場合、正極用複合材料の体積抵抗率は、高速放電特性向上の観点から、3Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは2Ω・cm以下、更に好ましくは1.8Ω・cm以下である。
また、溶媒を留去した後の正極用複合材料の全細孔容量は、以下の観点から0.8〜25cc/gが好ましい。即ち、高速放電性向上の観点から、好ましくは0.8cc/g以上、より好ましくは0.9cc/g以上、さらに好ましくは1cc/g以上であり、正極のエネルギー密度を適切に確保する観点から、好ましくは25cc/g以下、より好ましくは10cc/g以下、さらに好ましくは5cc/g以下である。前記観点を総合すると、好ましくは0.8〜25cc/g、より好ましくは0.9〜10cc/g、さらに好ましくは1〜5cc/gである。このような全細孔容量とすることで、Liイオンの拡散をスムーズにすることができると考えられる本発明の正極用複合材料は、スラリー又は粉末として得ることができるが、これらを用いて、リチウムイオン二次電池等の正極の形成を行うことができる。一般的に、正極の形成は、正極活物質、導電性物質、バインダ、及び溶剤を混合したスラリーを集電体となる金属箔に塗布・乾燥することにより行われる。従って、本発明の正極用複合材料は、スラリー状態のままで、必要に応じてバインダを添加して、正極の形成に使用できる。あるいは、粉末状の正極用複合材料は、必要に応じてバインダ、及び溶剤を添加して、正極の形成に使用できる。
その際、正極としての導電性を高める観点から、導電性物質を更に添加してもよい。このような導電性物質としては、正極用複合材料の形成に用いるカーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等が何れも使用可能であるが、正極としての導電性を高める観点から、DBP吸収量が100〜800cm/100gのカーボンブラック、特にケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。
バインダとしては、正極の形成用に使用される従来のバインダが何れも使用できるが、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなどが好適に使用できる。溶媒としては、正極の形成用に使用される従来の溶媒が何れも使用でき、例えば正極用複合材料の形成に用いたものなどが使用できる。集電体としては、正極の形成用に使用される従来の金属箔等が何れも使用できる。また、正極の形成に使用される従来公知の添加剤を何れもスラリーに添加することができる。
本発明における正極用複合材料は、正極材料として使用する場合、Liイオン二次電池の高速放電特性が優れたものとなる。高速放電特性は、後述する電池特性評価において、1Cに対して、60Cの放電量の割合が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。
つまり、以上の正極用複合材料を用いたリチウム電池用正極の製造方法は、本発明のリチウム電池正極用複合材料の製造方法によって、溶媒中で凝集させた凝集粒子を得る工程と、前記溶媒を留去して乾燥粒子を得る工程と、この乾燥粒子に溶媒及びバインダを添加したスラリーを集電体に塗布して乾燥させる工程とを含むものである。また、本発明のリチウム電池正極用複合材料の製造方法によって、溶媒中で凝集させた凝集粒子を得る工程と、前記凝集粒子を含むスラリーにバインダを添加したスラリーを集電体に塗布して乾燥させる工程とを含むものである。
本発明の正極用複合材料を用いた電池の用途は、特に限定されないが、例えばノートパソコン、電子ブックプレーヤー、DVDプレーヤー、携帯オーディオプレーヤー、ビデオムービー、携帯テレビ、携帯電話などの電子機器に使用できるほか、コードレス掃除機やコードレス電動工具、電気自動車、ハイブリッドカーなどのバッテリー、燃料電池車の補助電源などの民生用機器に使用できる。このうち特に高出力が求められる自動車用バッテリーとして好適に用いられる。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(1)DBP吸収量
DBP吸収量は、JISK6217−4に基づいて測定した。
(2)導電性物質の平均粒径及び正極活物質の一次粒子径
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA750(堀場製作所製)を用い、エタノールを分散媒とし、超音波1分照射後の粒度分布を、導電性物質では相対屈折率1.5で測定し、正極活物質では相対屈折率1.7で測定したときの体積中位粒径(D50)の値を導電性物質の平均粒径、及び正極活物質の一次粒子径とした。
(3)カーボンブラックの一次粒子径
電界放出形走査電子顕微鏡(日立製S−4000)により撮影したSEM像から、一次粒子50個を抽出し、その直径を測定した平均値を一次粒子径とした。
(4)繊維状カーボンの繊維径および繊維長さ
電界放出形走査電子顕微鏡(日立製S−4000)により撮影したSEM像から、繊維30個を抽出し、その繊維径を測定した平均値を繊維径とした。また、繊維の長さを測定し平均した結果を繊維長とした。
(5)繊維状カーボンのアスペクト比
繊維状カーボンの繊維長を繊維径で除することで求めた。
(6)体積抵抗率
JIS K 1469の方法において、粉体試料量を0.3g、粉体圧縮時圧力を100kg/cmに変更して、円筒状に圧縮した圧縮粉体試料の電気抵抗値を測定し、測定抵抗値より下記の式1により体積抵抗率(電気抵抗率)を算出した。
具体的には、絶縁性円筒(ベークライト製、外径28mm、内径8mm)と(−)電極からなる円筒容器に粉体試料を0.3g充填し、試料を詰めた絶縁性円筒容器に(+)電極を挿入して粉体試料を挟み、プレス機架台上に設置した。プレス機により円筒容器内の試料に100kg/cmの力を加え、圧縮した。(+)電極と(−)電極をデジタルマルチメーターの測定用入力ケーブルに接続し、圧縮開始から3分経過後、電気抵抗値を測定した。
ρ=S/h×R (式1)
ここで、ρは電気抵抗率(Ω・cm)、Sは試料の断面積(cm)、hは試料の充填高さ(cm)、Rは電気抵抗値(Ω)である。
用いた(−)電極は、黄銅製であり、電極面は7.8±1mmφで、高さ5mmの突起部のある台座上電極であり、(+)電極は、黄銅製であり、電極面は7.8±1mmφで、長さ60mmの棒状電極であった。
(7)電池の作製
粉体試料20.8重量部に対して、市販の導電性カーボンブラック粉末(品名HS−100、DBP吸収量140cm/100g)1.7重量部、ポリフッ化ビニリデン粉末(呉羽化学社製、♯1300)2.5重量部、NMP37.5重量部を均一に混合し、塗工用ペーストを調製した。当該ペーストをコーターを用いて集電体として用いたアルミニウム箔(厚さ20μm)上に均一に塗工し、140℃にて10分以上かけて乾燥した。乾燥後、プレス機で均一膜厚に成型した後、所定の大きさ(20mm×15mm)に切断し、試験用正極とした。このときの電極活物質層の厚さは25μmであった。
上記の試験用正極を用いて試験セルを作製した。負極電極には金属リウチム箔を所定の大きさに切断して使用し、セパレータはセルガード♯2400(セルガード社製)を使用した。電解液は1mol/lのLiPF/エチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)(EC:DEC=1:1vol%)を用いた。試験セルの組み立ては、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で行った。試験セルの組み立て後、25℃にて24時間放置後、高速放電特性評価を行った。
(8)高速放電特性評価
試験セルに0.2Cにて定電流充放電を行った後、(1)0.5Cで定電流充電した後、1Cで定電流放電された放電容量(A)と、さらに(2)0.5Cで定電流充電した後、60Cで定電流放電された放電容量(B)との比を高速放電特性とした。
高速放電特性(%)=B/A×100
(9)全細孔容積
水銀圧入式細孔分布測定装置(ポアサイザー9320、島津製作所製)を用いて、0.008μm〜200μmの範囲の細孔容量を測定し、得られた値を全細孔容積とした。
(10)自己凝集性試験
導電性物質2gを、エタノール500gに添加し、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、MODELUS−300T)を用いて、周波数19kHz、出力300Wで一分間超音波照射を行った後、超音波照射を停止する。停止した直後に約1ccサンプリングし、遅滞なくレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA750(堀場製作所製)でエタノールを分散媒とし、相対屈折率1.5で超音波照射をせずにサンプリング液の平均粒径(A)を測定する。次に超音波照射を停止してから3分経過後に導電性物質の分散液をサンプリングし、平均粒径(A)と同様の測定条件にて上記LA750で平均粒径(B)を測定する。平均粒径(B)を平均粒径(A)で割った値が2以上のものを自己凝集性を有する導電性物質とした。
その際の評価結果を表1に示す。
Figure 0004104645
実施例1
溶媒としてエタノール500重量部に、導電性物質として繊維径20nm、繊維長さ10μm、アスペクト比500のカーボンナノチューブを2重量部添加し、超音波型分散機を用いて超音波分散(照射時間3分)した。次に平均粒径2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部加え超音波分散(照射時間1分)した。このカーボン分散液に超音波照射をしながら、正極活物質として粉砕した一次粒子径0.4μmのマンガン酸リチウム100重量部を添加し、更に超音波による分散(照射時間2分)を行い、強制分散した状態にした。その後超音波照射をとめて自己凝集を生じさせたのち、エタノールを留去し、正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
上記において、超音波照射を停止してから10秒以内にスラリーを2ccサンプリングし、エタノールを加えてスラリーの透過率が95%になるまで希釈し、遅滞なくレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA750(堀場製作所製)で平均粒径を測定する。当該平均粒径が、正極活物質の一次粒子径の130%以内になったとき、「強制分散した状態」とみなす(以下の実施例も同様)。
実施例2
エタノール500重量部に繊維径20nm、繊維長さ10μm、アスペクト比500のカーボンナノチューブを2重量部添加し、超音波型分散機を用いて超音波分散(照射時間3分)した。次に平均粒径2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部加え超音波分散(照射時間1分)した。このカーボン分散液に超音波照射をしながら、一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部を添加し更に超音波による分散(照射時間2分)を行い、強制分散した状態にした。その後超音波照射をとめて自己凝集を生じさせたのち、エタノールを留去し、正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例3
NMP500重量部に繊維径20nm、繊維長さ10μm、アスペクト比500のカーボンナノチューブを2重量部添加し、超音波型分散機を用いて超音波分散(照射時間3分)した。次に平均粒径2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部加え超音波分散(照射時間1分)した。このカーボン分散液に超音波照射をしながら、一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部を添加し更に超音波による分散(照射時間2分)を行い、強制分散した状態にした。その後超音波照射をとめ、NMP中でカーボンナノチューブを自己凝集させ、正極用複合材料を含有する分散液を得た。この分散液は、液体のまま、必要な成分を添加して正極の形成に用いることができるが、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例4
NMP500重量部に平均粒径10μm(一次粒子径35nm)、DBP吸収量495のケッチェンブラックを2重量部添加し、超音波型分散機を用いて超音波分散(照射時間3分)した。次に平均粒径2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部加え超音波分散(照射時間1分)した。このカーボン分散液に超音波照射をしながら、一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部を添加し更に超音波による分散(照射時間2分)を行い、強制分散した状態にした。その後超音波照射をとめ、NMP中でケッチェンブラックを自己凝集させ、正極用複合材料を含有する分散液を得た。この分散液は、液体のまま、必要な成分を添加して正極の形成に用いることができるが、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例5
NMP500重量部に繊維径120nm、繊維長さ10μm、アスペクト比83のVGCFを2重量部添加し、超音波型分散機を用いて超音波分散(照射時間3分)した。次に平均粒径2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部加え超音波分散(照射時間1分)した。このカーボン分散液に超音波照射をしながら、一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部を添加し更に超音波による分散(照射時間2分)を行い、強制分散した状態にした。その後超音波照射をとめ、NMP中でVGCFを自己凝集させ、正極用複合材料を含有する分散液を得た。この分散液は、液体のまま、必要な成分を添加した正極の形成に用いることができるが、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例6
実施例4において、ケッチェンブラックの添加量を4重量部とし、追加のカーボンブラックを添加しないこと以外は、実施例4と同じ条件で正極用複合材料を含有する分散液を得た後、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例7
実施例4において、カーボン分散液に添加するマンガン酸リチウムとして、一次粒子径が0.5μmのものを用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で正極用複合材料を含有する分散液を得た後、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例8
実施例4において、カーボン分散液に添加するマンガン酸リチウムとして、一次粒子径が1.2μmのものを用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で正極用複合材料を含有する分散液を得た後、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例9
実施例8において、ケッチェンブラックの代わりにFX−35(電気化学工業社製カーボンブラック)を用いたこと以外は、実施例8と同じ条件で正極用複合材料を含有する分散液を得た後、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例10
実施例8において、ケッチェンブラックの代わりに#3050B(東海カーボン社製カーボンブラック)を用いたこと以外は、実施例8と同じ条件で正極用複合材料を含有する分散液を得た後、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
実施例11
実施例4において、カーボン分散液に添加するマンガン酸リチウムとして、一次粒子径が10μmのものを用いたこと以外は、実施例4と同じ条件で正極用複合材料を含有する分散液を得た後、物性評価のために溶媒を留去して正極用複合材料を得た。得られた正極用複合材料の物性を表2に示す。
比較例1
一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部に対して、平均粒径1μm(一次粒子径50nm)、DBP吸収量140cm/100gのカーボンブラック(電気化学工業社製、HS−100)4重量部を乾式混合し、比較正極材料を得た。得られた材料の物性を表2に示す。
比較例2
一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部に対して、平均粒径2μm(一次粒子径50nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部、平均粒径10μm(一次粒子径35nm)、DBP吸収量495のケッチェンブラック2重量部を乾式混合し、比較正極材料を得た。得られた材料の物性を表2に示す。
比較例3
一次粒子径0.8μmのマンガン酸リチウム100重量部に対して、平均粒径2μm(一次粒子径25nm)、DBP吸収量155cm/100gのカーボンブラック(東海カーボン社製、♯5500)を2重量部、繊維径20nm、繊維長さ10μmのアスペクト比500のカーボンナノチューブ2重量部を乾式混合し、比較正極材料を得た。得られた材料の物性を表2に示す。
Figure 0004104645
表2の結果が示すように、溶媒中で自己凝集性を有する導電性物質で正極活物質を包含させた実施例の複合材料は、導電性物質と正極活物質を乾式混合したものよりも、低い体積抵抗率でかつ、高い細孔容積を有し、優れた高速放電特性を有している。
一方、図1は、実施例1で得られた正極用複合材料の走査型電子顕微鏡写真を示している。この写真のように、本発明で得られる正極用複合材料は、凝集後に導電性物質(写真中で一次粒子が小さく見えるもの)が正極活物質(写真中で一次粒子が大きく見えるもの)を包み込むような微細複合構造を有している。また、比較例とくらべて全細孔容積が大きいことから、適度な空隙を有する微細複合構造であると考えられる。
実施例1で得られた正極用複合材料の走査型電子顕微鏡写真を示す。

Claims (8)

  1. 正極活物質、及び導電性物質を含有するリチウム電池正極用複合材料の製造方法であって、
    少なくとも溶媒中で自己凝集性を有する導電性物質及び正極活物質を、溶媒中に分散させて強制分散した状態とする分散工程と、
    前記導電性物質を前記正極活物質と共に溶媒中で凝集させて凝集粒子を得る凝集工程とを含み、
    前記自己凝集性を有する導電性物質は、当該導電性物質2gを、エタノール500gに添加し、超音波ホモジナイザーを用いて、周波数19kHz、出力300Wで一分間超音波照射を行った後、超音波照射を停止し、直後に前記導電性物質の分散液をサンプリングし、遅滞なくレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置でエタノールを分散媒とし、相対屈折率1.5で超音波照射をせずにサンプリング液の平均粒径(A)を測定し、次に超音波照射を停止してから3分経過後に前記導電性物質の分散液をサンプリングし、前記平均粒径(A)と同様の測定条件にて前記レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で平均粒径(B)を測定し、前記平均粒径(B)を前記平均粒径(A)で割った値が、2以上であるリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  2. 正極活物質、及び導電性物質を含有するリチウム電池正極用複合材料の製造方法であって、
    少なくとも、DBP吸収量が200〜800cm/100gであるカーボンブラック及び/又はアスペクト比が50〜1000の繊維状カーボンを含有する導電性物質及び正極活物質を溶媒中に分散させて強制分散した状態とする分散工程と、
    前記導電性物質を前記正極活物質と共に溶媒中で凝集させて凝集粒子を得る凝集工程とを含むリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  3. 前記正極活物質の一次粒子径が0.1〜10μmである請求項1又は2に記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  4. 前記分散工程において、前記導電性物質と共に、DBP吸収量が200cm/100g未満のカーボンブラックを分散させる請求項1〜3いずれかに記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  5. 溶媒を留去した正極用複合材料の体積抵抗率が3Ω・cm以下である請求項1〜4いずれかに記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  6. 溶媒を留去した正極用複合材料の全細孔容量が0.8cc/g以上である請求項1〜5いずれかに記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  7. 前記導電性物質は、DBP吸収量が200〜800cm/100gのケッチェンブラックを含有する請求項2〜6いずれかに記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
  8. 前記繊維状カーボンの繊維径が1nm〜1μmである請求項2〜6いずれかに記載のリチウム電池正極用複合材料の製造方法。
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