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JP4104556B2 - 組織再生用基材、移植用材料及びその製法 - Google Patents

組織再生用基材、移植用材料及びその製法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、整形外科、口腔外科、形成外科などの医療分野に広く利用可能な組織再生用基材、移植用材料及びその製法に関する。
背景技術
近年、再生医療や組織工学が注目されている。組織工学では、細胞増殖の足場として組織再生用基材が重要な役割を担っている。組織再生用基材に求められる機能としては、生体親和性、分解性、力学的強度などがある。
従来、このような組織再生用基材として、コラーゲンやポリグリコール酸などが知られているが、動物由来のマトリクスでは未知のウイルスなどの感染性が否定できないこと、一方、人工物であっても分解産物が炎症反応を誘起する可能性があること、更に、分解・消失の時間制御が困難であることなどが未だ解決されていない。
これらの問題を解決するために、本発明者らはWO02/02159(国際公開公報)において、複数の環状分子を貫通させた線状分子の両末端に加水分解性結合を介して嵩高い置換基を有する生体親和性基が導入されたポリロタキサン、又は、このポリロタキサンにつき隣接するポリロタキサン1分子中に含まれる環状分子同士、生体親和性基同士もしくは環状分子と生体親和性基とを架橋結合で架橋して網目構造としたポリロタキサンヒドロゲルからなる組織再生用基材を提案している。
しかしながら、前出の公報で提案した組織再生用基材では、細胞接着性が十分でないことがあり、細胞播種において効率よく組織再生用基材に細胞を保持させることが難しいことがあった。
本発明は上記問題点を解決することを課題とするものであり、細胞接着性を向上させた組織再生用基材を提供することを目的の一つとする。また、良好に組織を再建できる移植用材料を提供することを目的の一つとする。更に、そのような移植用材料の製法を提供することを目的の一つとする。
発明の開示
本発明の第1は、複数の環状分子を貫通させた線状分子の両末端に加水分解性結合を介して嵩高い置換基を有する生体親和性基が導入されたポリロタキサン、又は、このポリロタキサンにつき隣合うポリロタキサン1分子中に含まれる環状分子同士、生体親和性基同士もしくは環状分子と生体親和性基とを架橋結合で架橋して網目構造としたポリロタキサンヒドロゲルからなる組織再生用基材において、前記複数の環状分子には細胞接着性を付与する修飾基を有するものがあることを特徴とする。
この組織再生用基材を用いて例えば軟骨細胞を培養すると、細胞は軟骨細胞様の形態を維持しながら増殖する。また、この組織再生用基材を単体で生体内に移植しても細胞形態や増殖を阻害することがほとんどないため組織再生が可能である。特に、環状分子が細胞接着性を付与する修飾基を有しているため、このような修飾基がない場合に比べて細胞を効率よく保持することができる。
本発明の組織再生用基材において、線状分子や環状分子は生体親和性(生体にほとんど害を与えない性質)を有するものであれば特に限定されないが、線状分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、及びポリメチルビニルエーテルからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。このように構成する環状分子や線状分子として、生体親和性に優れているものを選ぶことにより、合成されたポリロタキサンやポリロタキサンヒドロゲルは生体親和性に優れ、組織再生用移植材料として適している。また、平均分子量は200〜100000、特に400〜5000であることが好ましい。環状分子としては、α、β又はγ−シクロデキストリンであることが好ましいが、これと類似の環状構造を持つものであってもよく、そのような環状構造としては環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン等が挙げられる。線状分子と環状分子の組み合わせとしては、α−シクロデキストリンとポリエチレングリコールとの組合せが好ましい。
本発明の組織再生用基材において、加水分解性結合としては、生体内で加水分解する結合であればどのような結合であってもよい。このうち、生体内で速やかに非酵素的に加水分解することを考慮すればエステル結合であることが好ましい。
組織再生用基材がポリロタキサンヒドロゲルの場合、架橋結合はウレタン結合、アミド結合、カルバミド結合、エーテル結合、スルフィド結合又はシッフ塩基型結合が好ましい。また、架橋結合は、環状分子同士を架橋する場合、加水分解性結合よりも水に対して安定であることが好ましい。これは、先に加水分解性結合が分解して線状分子の両末端から嵩高い置換基を有する生体親和性基が外れ、架橋結合された環状分子が一度期に脱離することにより、良好な分解パターンが得られるからである。
本発明の組織再生用基材において、線状分子の両末端の生体親和性基としては、生体に対する親和性が高い基(生体に対して安全性の高い基)であればどのような基であってもよいが、例えばアミノ酸、オリゴペプチド、オリゴ糖類又は糖誘導体であることが好ましい。アミノ酸としては、例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミンサン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、リジン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。また、オリゴペプチドとしては、前出のアミノ酸の複数がペプチド結合して形成されたもの等が挙げられる。また、オリゴ糖類としては、繰り返し単位が1〜5であり、構成多糖としてデキストラン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸、でんぷんからなるもの等が挙げられる。更に、糖誘導体としては、オリゴ糖類、多糖又は単糖をアセチル化やイソプロピル化等の化学修飾した化合物等が挙げられる。このうち、ベンゼン環を有するアミノ酸、例えばL−フェニルアラニン、L−チロシン、L−トリプトファン等が好ましい。
本発明の組織再生用基材において、生体親和性基の嵩高い置換基としては、線状分子から環状分子が抜け落ちるのを防止できればどのような基であってもよいが、例えば1以上のベンゼン環を有する基又は1以上の第三ブチルを有する基が好ましい。1以上のベンゼン環を有する基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Z)基、9−フレオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基、ベンジルエステル(OBz)基等が挙げられ、また、1以上の第三ブチルを有する基としては、第三ブチルカルボニル(Boc)基、アミノ酸第三ブチルエステル(OBu基)等が挙げられるが、このうち、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
本発明の組織再生用基材としては、上記線状分子がポリエチレングリコール、上記環状分子がα−シクロデキストリン、上記加水分解性結合がエステル結合、上記嵩高い置換基を有する生体内分解性基がベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニンであることが特に好ましい。なお、α−シクロデキストリンをポリエチレングリコールに貫通させる場合、α−シクロデキストリンとポリエチレングリコールの繰り返し単位(エチレンオキシド単位)の比の化学量論数は1:2といわれている。
本発明の組織再生用基材において、前記修飾基は、正に荷電する基であることが好ましい。一般に、細胞はプラス及びマイナスの両電荷を有しているもののマイナスの電荷が多いことが知られており全体的には負電荷を有していることから、修飾基として正に荷電して正電荷を持つ基を導入すれば細胞接着性が向上し、細胞を効率よく保持することができるため好ましい。
本発明の組織再生用基材において、前記修飾基は、窒素原子を含む基であることが好ましい。窒素原子は正に荷電してカチオン化する性質を有していることから、負電荷を有している細胞との接着性が向上し、細胞を効率よく保持することができるため好ましい。窒素原子を含む基としては、例えば以下のアミノ化剤によって環状分子に導入されるアミノ基が挙げられる。即ち、ヒドラジン、1,2−ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミンアルカン類、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどのジアミノベンゼン類、ポリリジン、ポリビニルアミン、キトサンなどのポリアミン類(複数のアミノ基を有する高分子化合物)などが挙げられる。
前記修飾基がアミノ基の場合において、ポリロタキサンヒドロゲルへのアミノ基の導入割合と、組織再生用基材を用いて所定の細胞を培養したときの細胞増殖状態又はグリコサミノグリカン産生状態との相関関係を予め求めておき、該相関関係に照らして所望の細胞増殖状態又はグリコサミノグリカン産生状態となるようにアミノ基の導入割合を設定してもよい。例えば、採取細胞の量が多いときには細胞増殖能は低くてもグリコサミノグリカンの産生能が高いアミノ基の導入割合を採用し、採取細胞の量が少ないときにはグリコサミノグリカンの産生能が低くても細胞増殖能が高いアミノ基の導入割合を採用してもよい。
その他に、前記修飾基は、ポリカチオンであってもよい。この場合も、負電荷を有している細胞との接着性が向上し、細胞を効率よく保持することができるため好ましい。ポリカチオンは正電荷を多数有する高分子化合物であり、例えば四級アンモニウムを含む高分子化合物などが挙げられる。
本発明の組織再生用基材において、前記修飾基は、疎水性の基であることが好ましい。一般に、修飾基として疎水性基を導入すれば細胞接着性が向上し、細胞を効率よく保持することができるため好ましい。
本発明の組織再生用基材において、前記修飾基は、アシル基、コレステロール、トリグリセリド、リン脂質、グリセロ糖脂質及びスフィンゴ糖脂質からなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。これらの基は水酸基を保護することにより疎水性になることから細胞接着性が向上し、細胞を効率よく保持することができるため好ましい。このうちアシル基としては、例えば以下のアシル化剤によって環状分子に導入される基が挙げられる。即ち、無水酢酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水安息香酸などの酸無水物、酢酸クロリドなどの酸ハライドなどが挙げられるが、このうち酸無水物が好ましい。
本発明の組織再生用基材は、複数のシクロデキストリンを貫通させた線状分子の両末端に加水分解性結合を介して嵩高い置換基を有する生体親和性基が導入されたポリロタキサンとN,N’−カルボニルジイミダゾールとを反応させて得られた反応生成物に、ポリエチレングリコールビスアミンおよびアミノ化剤を反応させることにより得られたものであってもよい。このようにして得られた化合物はポリロタキサンヒドロゲルがアミノ化されたものであるため、ヒドロゲル内に正電荷が導入されて細胞接着性が向上する。なお、線状分子、加水分解性結合、嵩高い置換基及び生体親和性基としては、前述したものを採用してもよい。
本発明の組織再生用基材は、複数のシクロデキストリンを貫通させた線状分子の両末端に加水分解性結合を介して嵩高い置換基を有する生体親和性基が導入されたポリロタキサンとN,N’−カルボニルジイミダゾールとを反応させて得られた反応生成物に、ポリエチレングリコールビスアミンおよびアシル化剤を反応させることにより得られたものであってもよい。このようにして得られた化合物はポリロタキサンヒドロゲルがアシル化されたものが得られるため、疎水性が増して細胞接着性が向上する。なお、線状分子、加水分解性結合、嵩高い置換基及び生体親和性基としては、前述したものを採用してもよい。
本発明の組織再生用基材は、細胞を培養又は組み込み可能な形態であれば特にどのような形態であろうと限定されない。例えばシート状にしてその上に細胞を播種したり、細胞とともにゲル状にして細胞を包埋したり、ゲル状にしてその上に細胞を播種したり、溶媒に溶かしてその溶液に細胞を播種したり、溶媒に懸濁させてその懸濁液に細胞を播種したりしてもよい。特に、細胞を保持・培養しやすくする点を考慮すれば、ポリロタキサン又はポリロタキサンヒドロゲルの多孔体を用いることが好ましい。このときの孔については細胞を保持できる大きさ・密度であれば特に限定されない。また、細胞と組み合わせず組織再生用基材を単体で生体内に移植する場合にも、組織再生用基材の形態が限定されることはない。好ましくは移植周辺組織からの細胞が増殖するのに好適な環境を与えるため、多孔体にすることが好ましい。その際、孔の大きさ、密度は移植周辺組織から細胞が侵入し、細胞増殖や基質産生等の組織再生するのに適当な大きさ、密度とすればよく、特に限定はされない。また、多孔体の製法としては、周知の方法を適用可能であり、例えば、炭酸水素ナトリウム存在下でゲル化する方法や、含水ヒドロゲルを真空凍結乾燥する方法等が適用可能である。
本発明の組織再生用基材は特にどのような細胞の培養又は組み込みに用いてもよいが、例えば、接着依存性細胞であることが好ましく、例えば、軟骨細胞、骨芽細胞、線維芽細胞、表皮細胞、上皮細胞、脂肪細胞、肝細胞、膵細胞、筋細胞又はこれらの前駆細胞や、間葉系幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)等が挙げられる。これらの細胞は移植対象部位に応じて単独で用いてもよいし2種以上を用いてもよい。これらの細胞は、細胞種に応じた公知の採取方法によって生体から採取すればよく、また、採取された細胞をそのまま使用してもよいし、適当な培地で所定期間培養することで増殖または分化させたあとに組織再生用基材に播種してもよい。
本発明の組織再生用基材を用いて組織を再生する方法としては、組織再生用基材を単体で使用する方法や、この組織再生用基材に単に細胞を組み込み使用する方法や、この組織再生用基材で細胞を培養して使用する方法などが挙げられる。また、細胞を固定化する方法としては、例えば、ポリロタキサンヒドロゲルにあっては高濃度の細胞培養液を添加しゲルの膨潤と共に細胞をゲル孔内へ取り込ませることにより固定化する方法、回転培養する方法、細胞を播種したあと細胞に影響を与えない程度に減圧することにより固定化する方法などが挙げられる。
本発明の組織再生用基材に細胞が培養されているか又は細胞が組み込まれた移植用材料を用いれば、組織再生用基材を単体で使用するよりも早期に組織再生が可能となる。この移植用材料を製造する方法としては、特にどのような製造方法でもよいが、前記組織再生用基材を使用目的に応じて適当な大きさ又は形状にしたあと、この組織再生用基材に細胞を培養するか組み込むことにより移植用材料を得ることが好ましい。例えば、耳の軟骨の再建に用いる場合には、耳の適用部位に適合するよう整形・加工した組織再生用基材に細胞懸濁液を注入して、一定期間培養して移植用材料としてもよい。この場合、この移植用材料は耳の適用部位に埋め込まれる。逆に、組織再生用基材に細胞を培養又は組み込んだあと、この移植用材料を利用時又は出荷時に適応部位に応じた適切な大きさ又は形状にしてもよい。
本発明の組織再生用基材に例えば軟骨細胞が培養された移植用材料では、培養細胞は軟骨細胞様の形態を維持しながら増殖し、軟骨基質を豊富に産生している。軟骨組織は、軟骨細胞とその細胞が産生する基質によって主に修復されるため、予めこれらが豊富に含有されていることは、その移植用材料が高い組織再生能力を有することを意味している。このように、培養操作を行った場合には、組織修復に必要な細胞を増殖させること、あるいは、細胞の産生物質(基質や成長因子など)を移植用材料中に担持できる点で好ましいが、何らかの理由によって細胞が死滅した場合でも、細胞が産生した基質や成長因子は移植用材料中に残存するため組織再生には有効である。さらに、前記組織再生用基材に例えば軟骨細胞を播種しただけ、即ち、培養せずに単に組み込んだだけでも、細胞の形態が維持されるために移植直後からこれらの細胞が組織再生に機能し、移植用材料として有効である。
発明を実施するための最良の形態
[実施例1]ポリロタキサンの合成(図1参照)
[1−1]両末端にアミノ基を有するPEGの合成
分子量3300のポリエチレングリコール(PEG)(33g,10mmol)と無水コハク酸(20g,200mmol)をトルエン(220ml)に溶解させ、この溶液を150℃で5時間還流させた。反応終了後、過剰のジエチルエーテルに注ぎ込み、濾別・減圧乾燥して粗生成物を得た。これをジクロロメタンに溶解させ、不溶物を遠心分離により除去し、過剰のジエチルエーテルに注ぎ込んで、濾別・減圧乾燥後に両末端にカルボキシル基を有するPEG(化合物A)を白色粉末として得た。この化合物A(20g,5.7mmol)とN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)(17.1g,148.2mmol)を1,4−ジオキサンとジクロロメタンの混合溶液(350ml,体積比1:1)に溶解させ、氷冷後ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(23.5g,114mmol)を加えた。氷冷したまま1時間攪拌し、その後室温で終夜攪拌した。副生成物のジシクロヘキシルウレアを濾別し、濾液は濃縮してから過剰のジエチルエーテルに注ぎ込んだ。濾別・減圧乾燥後にカルボキシル基が活性化されたPEG(化合物B)を白色粉末として得た。次いで、エチレンジアミン(0.4ml,6mmol)を溶解させたジクロロメタン(75ml)に、化合物B(10g,2.7mmol)を溶解させたジクロロメタン(75ml)を滴下し、滴下終了後から室温で1時間攪拌した。反応終了後、溶液を過剰のジエチルエーテルに注ぎ込み、濾別・減圧乾燥後に両末端にアミノ基を有するPEG(化合物C)を白色粉末として得た。
[1−2]擬ポリロタキサンの調製
α−シクロデキストリン(α−CD)(48g,49.2mmol)の飽和水溶液(311ml)に化合物C(4g,1.12mmol)の水溶液(20ml)を室温で滴下した。1時間超音波を照射しながら攪拌し、その後室温で24時間攪拌した。遠心分離により白色の沈殿物を回収し、50℃で減圧乾燥を行い、白色粉末の擬ポリロタキサンを得た。なお、ポリロタキサンとは、多数の環状分子(例えばシクロデキストリン)に線状分子(例えばPEG)が貫通し、その線状分子の両末端を嵩高い置換基でキャップしたものをいい、擬ポリロタキサンとは、ポリロタキサンの両末端を未だ嵩高い置換基でキャップしていないものをいう。
[1−3]末端キャップ剤の調製
α−CDの脱離を防止する嵩高い置換基としてベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニン(Z−L−Phe、Zはベンジルオキシカルボニル基を表す)を導入するために、Z−L−Pheのカルボキシル基の活性化を行った。すなわち、Z−L−Phe(100g,334mmol)を1,4−ジオキサン(800ml)に溶解させ、氷冷しながらHOSu(38.42g,334mmol)を加えた。1時間後にDCC(75.7g,367mmol)を溶解させた1,4−ジオキサン溶液(200ml)をゆっくり加え、氷冷したまま1時間攪拌し、その後室温で終夜攪拌した。副生成物のジシクロヘキシルウレアを濾別し、濾液は濃縮してから過剰のジエチルエーテルに注ぎ込み、濾別・減圧乾燥後に粗生成物を得た。室温でできるだけ飽和濃度になるように粗生成物をジクロロメタンに溶解させた後、石油エーテルを適量加え冷蔵し、再結晶を行った。結晶を濾別・減圧乾燥して白色針状結晶のZ−L−Pheのスクシンイミドエステル(Z−L−Phe−OSu)を得た。
[1−4]ポリロタキサンの調製
Z−L−Phe−OSu(80g,200mmol)をジメチルスルフォキシド(DMSO)(60ml)に溶解させ、擬ポリロタキサン(45g、2mmol)を加えた。この不均一溶液を室温で攪拌しながら、均一になるように少しずつDMSOを加えて96時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を過剰のジエチルエーテルに注ぎ込み、粗生成物を得た。粗生成物をアセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)の順で洗浄して不純物(未反応Z−L−Phe−OSu、α−CD、化合物Cなど)を除去し、濾別・減圧乾燥して生分解性のポリロタキサンを白色粉末として得た。合成の確認は、1H−NMRにより行った。また、このポリロタキサンのα−CD貫通数を1H−NMRでのPEGのプロトンとα−CDの1位のプロトンとの積分比から求めたところ、23であった。
[実施例2]CDI活性化ポリロタキサンの調製(図2参照)
実施例1で得られたポリロタキサン(1g,0.0369mol,CD=0.871mmol,OH=15.6mmol)をDMSO(10ml)に窒素雰囲気下で溶解させ、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)2.54g(15.6mmol;ポリロタキサン中の水酸基と等量)を加え、窒素雰囲気下室温で反応を行い、3時間経過後エーテルに滴下して白色沈殿物を生成させ、これをろ過し室温で減圧乾燥して白色粉末のCDI活性化ポリロタキサン(CDI−PR)を得た。このCDI−PRの活性化率を紫外吸光分光計を用いて207nmの吸光度から算出したところ、91.37%であった。
[実施例3]アミノ化ヒドロゲルの調製(図3参照)
実施例2で得られたCDI−PR2.347g(ポリロタキサンとして1g)をDMSO5mlに溶解させ、そこへ融解した両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール(PEG−BA,平均分子量2000)1.7426gを加えて撹拌した。さらに炭酸水素ナトリウム30gを加え、よく撹拌した後に、ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ(直径1.3cm,深さ1cm)に0.8gずつ入れて、35℃で1日ゲル化反応を行い、ポリロタキサンヒドロゲルとした。反応終了後、エチレンジアミン5mlをDMSO500mlに溶解した溶液にこのポリロタキサンヒドロゲルを加えて、25℃で12時間アミノ化反応を行った。ここで、ゲル化反応において未反応の活性化部位に対してエチレンジアミンが付加することでアミノ化されると考えられる。アミノ化反応終了後、反応生成物を20重量%のクエン酸水溶液に浸漬して、炭酸水素ナトリウムの発泡および溶出を9時間行うことにより多孔質化を行った。発泡・溶出終了後に得られた反応生成物を蒸留水で洗浄し、エタノールで脱水和を行い、最後に凍結乾燥してアミノ化ヒドロゲルを得た。このアミノ化ヒドロゲルの推定構造を図3に示す。
[実施例4]アセチル化ヒドロゲルの調製(図4参照)
実施例2で得られたCDI−PR2.347g(ポリロタキサンとして1g)をDMSO5mlに溶解させ、そこへ融解した両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール(PEG−BA,平均分子量2000)1.7426gを加えて撹拌した。さらに炭酸水素ナトリウム30gを加え、よく撹拌した後に、ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ(直径1.3cm,深さ1cm)に0.8gずつ入れて、35℃で1日ゲル化反応を行い、ポリロタキサンヒドロゲルとした。反応終了後、無水酢酸25mlとピリジン37.5mlをDMSO500mlに溶解した溶液にこのポリロタキサンヒドロゲルを加えて、25℃で12時間アセチル化反応を行った。ここで、ゲル化反応において未反応の活性化部位と未活性の水酸基に対してアセチル基が導入されると考えられる。アセチル化反応終了後、反応生成物を20重量%のクエン酸水溶液に浸漬して、炭酸水素ナトリウムの発泡および溶出を9時間行うことにより多孔質化を行った。発泡・溶出終了後に得られた反応生成物を蒸留水で洗浄し、エタノールで脱水和を行い、最後に凍結乾燥してアセチル化ヒドロゲルを得た。このアセチル化ヒドロゲルの推定構造を図4に示す。
[実施例5]ポリリジン固定化ヒドロゲルの調製(図5参照)
ポリε−リジンは、有機溶媒に溶解しないためα−CDと反応させて擬ポリロタキサン型ポリリジンとしたあと反応系に添加した。即ち、予めポリε−リジンとα−CDとを反応させて擬ポリロタキサン型ポリリジンとし、これをアミノ化剤とした。この擬ポリロタキサン型ポリリジン1.7833g(0.0738mmol;ポリロタキサンの2等量)と実施例2で得られたCDI−PR2.347g(ポリロタキサンとして1g)をDMSO5mlに溶解させ、そこへ融解した両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール(PEG−BA,平均分子量2000)1.7426gを加えて撹拌した。さらに炭酸水素ナトリウム30gを加え、よく撹拌した後に、ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ(直径1.3cm,深さ1cm)に0.8gずつ入れて、35℃で1日ゲル化反応を行った。DMSO中では擬ポリロタキサン型ポリリジンの解離が生起するため、ポリε−リジンのアミノ基が露出されてCDI−PRとの反応が進行しゲル内に固定化される。ゲル化反応終了後に、反応生成物を20重量%のクエン酸水溶液に浸漬して、炭酸水素ナトリウムの発泡および溶出を9時間行うことにより多孔質化を行った。発泡・溶出終了後に反応生成物を蒸留水で洗浄し、エタノールで脱水和を行い、最後に凍結乾燥してポリε−リジン固定化ヒドロゲルを得た。このポリε−リジン固定化ヒドロゲルの推定構造を図5に示す。
[実施例6]接着効率の測定
実施例3で得たアミノ化ヒドロゲルと、実施例3においてアミノ化反応を省略して得たヒドロゲル(以下、非修飾ヒドロゲルという)とを用いて細胞培養実験を行った。即ち、アミノ化ヒドロゲルおよび非修飾ヒドロゲルの各々を12分割し、十分に水洗後、70%エタノールに30分間浸漬して滅菌した。その後、培養用シャーレに移し、滅菌缶の中で蓋を開封した状態にして50℃で一晩乾燥した。分割した各ヒドロゲルに1×10cells/mLに調整したウサギ軟骨細胞懸濁液を20μL滴下した。この状態で30分間放置した後、24穴プレートに移し、培養用培地2mLを加えた。また、検量線作成のために、6.4×10cells/mLの細胞懸濁液を調整し、24穴プレートに6.4×10〜1×10cells/100mL/ウェルとなるように調整した。
接着効率の測定は、各ヒドロゲルから零れ落ちた細胞数をMTTアッセイで計測することにより行った。MTTアッセイでは、MTT試薬が細胞内酵素活性によって還元されてフォルマザンが生成されることからフォルマザンは生細胞数の酵素活性に相関しているため、フォルマザンの吸光度を測定することにより細胞数を計測することができる。まず、播種24時間後の培養していた各ヒドロゲル入りの24穴プレートを、37℃に設定したマイクロプレートミキサで2時間撹拌した。この操作により接着せずに溜まっている細胞をヒドロゲルより洗い出した。その後、ヒドロゲルを別の24穴プレートに移し、培養用培地2mLを各穴に加えて軟骨細胞培養実験に供した。
一方、零れ落ちた(洗い出した)細胞が存在する24穴プレートには、MTT試薬50μLを各穴に滴下し、マイクロインキュベータで24時間攪拌しながら培養した。培養後、MTTが細胞内脱水素酵素により還元されて生成するフォルマザンを0.04mol/LのHCl/イソプロパノール1000μLで可溶化して、溶液200μLを96穴プレートに移して吸光度(A570/650)を測定し、接着効率の測定を行った。検量線用プレートも同様の操作で処理した。その結果、図6に示すように、アミノ化ヒドロゲルで培養したものは検出限界以下であったのに対し、非修飾ヒドロゲルで培養したものは播種細胞数に対し42.6%が非修飾ヒドロゲルに取り込まれずに零れ落ちた結果となった。なお、MTTは3−(4,5−ジメチル−2−チアゾイル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロマイドの略である。
[実施例7]細胞増殖性の評価
軟骨細胞培養実験に供した24穴プレートでは、37℃、5%CO2インキュベータ内で21日間静置培養を行った。培養中は、経時的に顕微鏡観察を行い、MTTアッセイによる細胞数の計測を行った。その結果、アミノ化ヒドロゲルで培養したものと非修飾ヒドロゲルで培養したものとではほぼ同様の増殖曲線が得られた。ただし、培養21日後以降は、アミノ化ヒドロゲルで培養したものの方が非修飾ヒドロゲルで培養したものに比べ生細胞数が多くなり、培養28日後には非修飾ヒドロゲル中の生細胞数は1.8×10cells/担体(n=3)であったのに対し、アミノ化ヒドロゲル中の生細胞数は2.7×10cells/担体(n=1)と、ほぼ1.5倍の細胞数となった。
また、アミノ化ヒドロゲルで培養したものと非修飾ヒドロゲルで培養したものの培養28日後のアルシァンブルーによる染色像を撮影したところ、いずれも強度のアルシァンブルー陽性像が得られ、軟骨基質(酸性ムコ多糖(グリコサミノグリカン)類)が産生していることが確認できた。ただし、アミノ化ヒドロゲルで培養したものでは、アルシァンブルー陽性部位が担体全体に連続していたのに対し、非修飾ヒドロゲルで培養したものでは、細胞コロニーが散在しそのコロニー周囲にアルシァンブルー陽性部位が限定されており、両者は明確に差別化することができた。
[実施例8]アミノ基量と細胞増殖能との相関及びアミノ基量とグリコサミノグリカン産生能との相関
エチレンジアミンによりアミノ基を導入したアミノ化ヒドロゲルとして、実施例3に準じて下記表に示すコード番号Amino−2〜7を作製した。ここで、Amino−1はコントロールであり、エチレンジアミンによるアミノ基の導入を行っていないポリロタキサンヒドロゲルである。下記表中、アミノ基量とは、ドライゲル1gに対するアミノ基のμmol数を表す数値である。表中のAmino−1では、アミノ基を導入していないにもかかわらずアミノ基量が12μmol/g程度となっているが、これはアミノ化前のポリロタキサンヒドロゲル中に含まれるNHによるものと思われる。このため、Amino−2〜7のアミノ基の導入割合は、各アミノ基量からAmino−1のアミノ基量を差し引いた値と推定される。
Figure 0004104556
各コードのポリロタキサンヒドロゲルを用いた細胞培養は以下のようにして行った。即ち、各コードのポリロタキサンヒドロゲルを4分割し、十分に水洗後(蒸留水中での撹拌(30分間)を4度行った)、70%エタノールに30分間浸漬して滅菌した。その後、24穴プレートに移し、安全キャビネット内で一晩送風乾燥した。このポリロタキサンヒドロゲルに1×10cells/mLに調整したウサギ軟骨細胞液を20μL滴下した。30分間放置した後、培養用培地を加えた。また、検量線作成のために、6.4×10cells/mLの細胞懸濁液を調整し、24穴プレートに6.4×10〜1×10cells/1000μL/wellの範囲で播種した。37℃、5%COインキュベータ内で24日間静置培養を行った。培地交換は3〜4日ごとに行った。
生細胞数の測定は以下のようにして行った。即ち、24穴プレートから各コードのポリロタキサンヒドロゲルにつきそれぞれ4つずつ取り出し、新たな24穴プレートに入れて10%FBS/PBS1mLとMTT溶液100μLを添加し、マイクロインキュベータで24時間撹拌しながら培養した。0.04mol/L HCl/イソプロパノール1mLを加えて撹拌しながら生成フォルマザンを可溶化させた。96穴プレートに200μLずつ入れて吸光度(A570/650)を測定し、測定した吸光度を別途作成した検量線に照らして生細胞数を求めた。
グリコサミノグリカン(GAG)の定量は以下のようにして行った。即ち、24穴プレートから各コードのポリロタキサンヒドロゲルにつきそれぞれ4つずつ取り出し、48穴プレートにPBS0.5mLと共に入れた。2時間マイクロインキュベータで撹拌しながら洗浄した。この洗浄操作をもう一度繰り返した後、一昼夜4℃で保管した。PBSを吸引後、細胞分散液0.5mLを添加し、マイクロインキュベータで3時間撹拌しながらインキュベーションし、細胞基質を分解した。測定には、簡易型・酸性ムコ多糖定量キット(ホクドー社製)を用いた。まず、未知検体100μLをマイクロ遠心チューブに入れ、用事調製(緩衝液53.6mLに対して発色原液1.7mLを加えて撹拌)した反応溶液1.3mLを添加し撹拌した。5〜20分後の反応液200μLを96穴プレートに移して直ちに吸光度(650nm)を測定し、測定した吸光度を別途作成した検量線に照らしてGAGの産生量を求めた。なお、検量線を作成する際には、標準溶液を100,40,20,10,5,2.5,1.25μg/mLの濃度に調製し、未知検体と同様に操作した。
これらの結果を図8及び図9に示す。図8は、生細胞数の測定結果に基づき、アミノ基量と細胞増殖能(培養0日目に対する比率)との関係をグラフ化したものであり、図9は、GAGの定量結果に基づき、アミノ基量とGAG産生能との関係をグラフ化したものである。これらの図から明らかなように、細胞増殖能についてはアミノ基量が高い方(65〜90μmol/g)が良好であったのに対して、GAG産生能についてはアミノ基量が低い方(75μmol/g以下)が良好であった。ちなみに、アミノ基量と1細胞あたりのGAG産生量との関係をグラフ化したところ、図10に示すようにアミノ基量が高くなるに従い、1細胞あたりのGAG産生量が低くなる傾向を示した。
以上の結果から、例えば、採取した細胞の量が多いときには、細胞増殖能は低くてよいがグリコサミノグリカンの産生能は高い方が好ましいことがあるため、これに見合ったアミノ基量、具体的には図8及び図9からアミノ基量が75μmol/g以下、又はアミノ基の導入割合が63μmol/g以下を採用するようにしてもよい。また、採取した細胞の量が少ないときには、グリコサミノグリカンの産生能が低くても細胞増殖能は高い方が好ましいため、これに見合ったアミノ基量、具体的には図8及び図9からアミノ基量が65〜90μmol/g、又はアミノ基の導入割合が53〜78μmol/gを採用してもよい。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、整形外科、口腔外科、形成外科などの医療分野に広く利用可能な組織再生用基材、移植用材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1はポリロタキサンの合成手順を表す説明図、図2はCDI−PRの合成手順を表す説明図、図3はアミノ化ヒドロゲルの合成手順を表す説明図、図4はアセチル化ヒドロゲルの合成手順を表す説明図、図5はポリリジン固定化ヒドロゲルの合成手順を表す説明図、図6は細胞接着性の評価を表すグラフ、図7は細胞増殖性の評価を表すグラフ、図8はアミノ基量と細胞増殖能との関係を表すグラフ、図9はアミノ基量とグリコサミノグリカンの産生能との関係を表すグラフ、図10はアミノ基量と1細胞あたりのグリコサミノグリカンの産生量との関係を表すグラフである。

Claims (8)

  1. 複数の環状分子を貫通させた線状分子の両末端に加水分解性結合を介して嵩高い置換基を有する生体親和性基が導入されたポリロタキサン、又は、このポリロタキサンにつき隣合うポリロタキサン1分子中に含まれる環状分子同士、生体親和性基同士もしくは環状分子と生体親和性基とを架橋結合で架橋して網目構造としたポリロタキサンヒドロゲルからなる組織再生用基材において、
    前記複数の環状分子には細胞接着性を付与する修飾基としてアミノ基有し、該アミノ基のポリロタキサン又はポリロタキサンヒドロゲル1gに対する導入量(アミノ基量)は75μmol/g以下である、組織再生用基材。
  2. 前記アミノ基は、アミノ化剤としてジアミノアルカン類及びポリアミン類から選ばれた1種又は2種以上を用いて導入したものである、請求項1又は2に記載の組織再生用基材。
  3. 前記アミノ基は、アミノ化剤としてヒドラジン、1,2−ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン及びp−フェニレンジアミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上を用いて導入したものである、請求項1又は2に記載の組織再生用基材。
  4. 前記アミノ基は、アミノ化剤としてジアミノベンゼン類、ポリリジン、ポリビニルアミン及びキトサンからなる群より選ばれた1種又は2種以上を用いて導入したものである、請求項1又は2に記載の組織再生用基材。
  5. 組織再生用基材を製造する方法であって、
    複数のシクロデキストリンを貫通させた線状分子の両末端に加水分解性結合を介して嵩高い置換基を有する生体親和性基が導入されたポリロタキサンとN,N’−カルボニルジイミダゾールとを反応させ、該反応によって得られる反応生成物にポリエチレングリコールビスアミンおよびアミノ化剤を、該アミノ化剤由来のアミノ基のポリロタキサン又はポリロタキサンヒドロゲル1gに対する導入量(アミノ基量)が75μmol/g以下となるように反応させることにより、組織再生用基材を製造する方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の組織再生用基材に細胞が培養されているか又は組み込まれている移植用材料。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の組織再生用基材又は請求項6に記載の移植用材料にグリコサミノグリカンが保持されている移植用材料。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の組織再生用基材に細胞を培養するか又は組み込むことにより移植用材料を得る移植用材料の製法。
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