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JP4102142B2 - ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーとその製造方法 - Google Patents

ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーとその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ポリマーから成るナノワイヤーを合成するための新規な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナノディメンジョン、すなわち、ナノメートルの大きさで構造が制御された線状物質から成る所謂ナノワイヤーは、各種のエレクトロニクス材料等の開発に資するものと期待されているが、有機ポリマーから成るナノワイヤーの実現例は比較的少ない。
【0003】
有機ポリマーから成るナノワイヤーを作製する場合のようにナノディメンジョンで構造制御されたポリマー(高分子物質)を得るためには、規制されたナノスケールの反応場(ナノ反応場)における重合が有効であると考えられる。このような目的で、従来より主として提示されているのは、次に例示するように、界面活性剤が形成する集合体(集合形態)を利用するものである。
【0004】
1.ミセル水溶液中でのポリマー合成:ミセルを形成した界面活性剤の水溶液にモノマーを可溶化させたエマルション状態で重合反応を行ない、ポリマー粒子(例えば、ラテックス粒子)を合成する手法は古くより多用されている。しかし、得られるポリマーは、ミクロンからサブミクロン程度の比較的大きな球状粒子に限られ、それ以外の形態制御は困難である。
【0005】
2.メソポーラスシリカのメソ細孔中でのモノマーの重合:近年、幾つかのグループにおいて、界面活性剤の集合体を鋳型として形成したメソポーラスシリカの細孔内に直接モノマー分子を取り込み重合させる研究がなされた。
例えば、T. Beinらは、シリンダー状のメソ細孔が配列したシリカであるMCM−41の細孔チャンネル内に直接、有機モノマーを気相から吸着させ、ポリアニリンやポリアクリロニトリル、さらにはカーボンの合成を行ない、ポリマー/シリカのナノ複合体を得ている(C.-G. WuおよびT. Bein, Scinece, 264 (1994) 1757; Science, 266 (1994) 1013)。また、相田らは、MCM−41の細孔チャンネル内でビニルモノマーの重合を行ない、通常より高分子量のポリマーを合成している(S. M. Ng, S. Ogino, T. Aida, K.A. Koyano, T. Tatsumi, Macromol. Rapid Commun., 18 (1997) 991)。しかし、これらの手法は、あらかじめメソ多孔体を合成・準備し、メソ細孔内に効率よくモノマー分子を充填させる必要がある点において操作が複雑である。さらに、これをテンプレート(鋳型)として合成し、シリカ部分の除去を行なっても、ポリマーの凝集が起こり、応用に際して好適な溶解性(水溶性)のナノポリマーは得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ナノワイヤーとして用いられるのに好適なナノメートルの大きさで形態制御された水溶性の有機ポリマーを合成することのできる簡便な技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために検討を重ねた結果、このたび、下記の工程を含むことを特徴とするナノワイヤーの製造方法を導き出した。
(i)界面活性剤の水溶液中に重合性で疎水性のモノマーを可溶化させ、さらにシリカ源を添加して、得られる溶液をシリカ源中のシリカが重合する条件下に保持することにより、モノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を形成する工程、
(ii)前記モノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を加熱または光照射してそのモノマーを重合することにより、ポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を形成する工程、および
(iii)前記ポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体をフッ化水素水溶液またはアルカリ水溶液で処理してシリカ部分を溶解除去することにより、ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの水溶液を得る工程。
【0008】
かくして、本発明に従えば、さらに、上記の方法により製造されるナノワイヤーであって、有機ポリマーと界面活性剤とから構成され、太さが2〜50nmであることを特徴とするポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、界面活性剤が水中で形成する集合体の疎水相に重合性モノマーを取り込ませ、シリケートイオンとのナノ複合構造体の形成を経由して、モノマーを重合させることにより、ポリマー/界面活性剤集合体/シリカから成るナノ複合構造体を合成し、これからシリカ部分を溶解除去することにより、ポリマーに界面活性剤が結合した水溶性のポリマー/界面活性剤複合体としてナノワイヤーを合成(製造)するものである。
【0010】
以下、本発明のナノワイヤーを製造する諸工程、および、その構成要素に沿って本発明の実施の形態を説明する。
モノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体形成工程
疎水部と親水部とを有する界面活性剤が、水中で、球状ミセル、ロッド状(棒状)ミセル、層状ミセル、ベシクルなどの多様な集合体(分子集合形態)を呈することはよく知られている。本発明に従いポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーを製造するには、第1の工程〔工程(i)〕として、このような界面活性剤の形成する集合体の疎水相に予めモノマー分子を取り込ませ、次いで、シリカ源を加え、モノマー、界面活性剤集合体、およびシリカから成る複合体(モノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体)が形成されるようにする。本発明の原理は、界面活性剤が上記のような疎水相を含む各種の集合体を形成するいずれの場合にも適用可能であるが、一般的には、界面活性剤が水中でロッド状ミセルを形成する場合に適用される。
【0011】
以上の説明から理解されるように、本発明において用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および双性(両性)イオン型界面活性剤のいずれも使用可能である。これらの界面活性剤は、当該技術分野でよく知られているように、その分子構造や濃度・温度などの条件に応じて、ロッド状ミセルをはじめとする各種の分子集合形態をとる。例えば、本発明の好適な態様としてロッド状ミセルを形成するものとして使用される界面活性剤としては、セチルピリジウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(カチオン性界面活性剤)、ドデシル硫酸エステルナトリウム(アニオン性界面活性剤)、ヘキサオキシエチレンドデシルエーテル(ノニオン性界面活性剤)、N−ドデシルベタイン(双性イオン型界面活性剤)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーを製造する本発明の方法の工程(i)においては、先ず、上述したような界面活性剤の水溶液中に、重合性で疎水性のモノマーを可溶化させる(すなわち、界面活性剤の疎水相に該モノマーを取り込ませる)。具体的には、界面活性剤の水溶液に、攪拌下、モノマーを添加して透明な溶液になるまで攪拌する。
【0013】
ここで、本発明で用いられる重合性で疎水性のモノマーとは、熱重合性または光重合性の反応部位と疎水性の官能基または原子団を有するモノマー分子を指称する。本発明において用いられる重合性で疎水性のモノマーの好適な例としては、フェニルアセチレンやオクタジインなどのアセチレン誘導体、スチレンやジビニルベンゼンなどのビニル誘導体、ピロール、チオフェンなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。本発明が適用されるのに特に好ましい重合性で疎水性のモノマーの例としては、フェニルアセチレンまたはオクタジインから選ばれるアセチレン誘導体が挙げられる。
【0014】
本発明に従うナノワイヤーの製造方法の工程(i)においては、上記のように界面活性剤の水溶液中に疎水性モノマーを可溶化させた後、これにシリカ源を添加して、さらに、得られる溶液をシリカ源中のシリカが重合する条件下に保持する。ここで本発明において用いられるシリカ源とは、水溶液中でケイ酸イオンとして存在できる化合物を指称し、特に好ましいのは、ケイ酸ナトリウムであり、これには水ガラスも包含される。界面活性剤を鋳型とするシリカ/界面活性剤メソ構造体の作製に従来より用いられている各種のシリカ源も本発明において使用できる。この場合、アルコキシドのようなシリカ源は、あらかじめ水に溶解させ、ケイ酸イオン状態にして使用する。
【0015】
以上のようにして得られる界面活性剤、重合性で疎水性のモノマー、およびシリカ源から成る溶液(水溶液)は、シリカ源中のシリカが重合する条件下に保持させ、これによって、界面活性剤の集合体(例えばロッド状ミセル)がシリカによって固定化された安定な構造体が得られる。この操作は、よく知られているようなシリカのゾルゲル反応を進行させるための触媒(酸、アルカリ、アミン等)を添加することにより実施されるが、その好適条件は用いるシリカ源によって異なる。
【0016】
例えば、本発明において特に好ましいシリカ源であるケイ酸ナトリウムを用いる場合には、塩酸のような酸を添加することにより系(水溶液)のpHを酸性領域(好ましくはpH4以下)に調整する。これによって、室温下においても数時間以内にシリカの重合が充分に進み目的が達成される。これに対し、ケイ酸ナトリウムを用いる場合、系のpHを塩基性にすると、水熱条件下、すなわち、加熱・加圧下に1〜2日間の操作が必要となる。
【0017】
以上のようにして、本発明に従うナノワイヤーの製造方法の第1の工程〔工程(i)〕においては、シリカによって固定された界面活性剤の集合体の疎水相中に重合性で疎水性のモノマーが取り込まれた構造から成るモノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体が形成される。得られる複合構造体の構造は、例えば、X線回折(XRD)測定によって確認することができる。本発明の方法は、一般に、界面活性剤が集合体としてロッド状ミセルを形成する条件下で実施され、この結果、よく知られているようなヘキサゴナル(六方晶)相を呈する複合構造体が得られる(図1の模式図参照)。この場合、界面活性剤のサイズや取り込ませるモノマーの量により、最終的に得られるナノワイヤーの太さを制御することができる。
【0018】
ポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体形成工程
本発明に従うナノワイヤーの製造方法においては、如上の工程(i)によって得られたモノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を、そのモノマーを重合させる工程に供する〔工程(ii)〕。この工程(ii)は、一般に、工程(i)で沈殿として得られるモノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体をろ取および水洗した後、得られる粉状物を加熱(熱重合)または光照射(光重合)することにより実施される。
【0019】
熱重合の加熱温度は、使用するモノマーの種類によって異なるが、例えば、アセチレン誘導体の場合、一般に、100℃前後の比較的低温で1〜2日間熱処理することにより、充分なポリマー化(重合)を確保する。光重合は、一般に、波長360〜200nm付近の紫外線を照射することによって実施される。
この工程(ii)によって得られるポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体の構造もXRD測定等の手段により確認することができる。
【0020】
ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの生成工程およびその単離工程
上述のように工程(ii)において所定のモノマーを重合することによって形成されたポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体は、最後の工程として、そのシリカ部分を除去する工程〔工程(iii)〕に供される。この工程は、当該構造体をフッ化水素水溶液またはアルカリ水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)で処理してシリカ部分を溶解させることにより行なわれる。
【0021】
この工程により、詳細な形態は未だ不明であるが、一次元ないしは二次元方向に広がるナノメートルオーダーのポリマーに界面活性剤が結合された構造から成るポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーを得ることができる(図1の模式図参照)。この工程により得られる生成物が、ポリマーと界面活性剤の複合体として水に溶解し、水中でナノワイヤー状の形態を有していることは、電子顕微鏡による観察や元素分析等により確認することができる。
【0022】
このようにして得られたポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーは、必要に応じて、水溶液から単離することもできる。すなわち、ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの水溶液に、その界面活性剤分子と反対荷電を有し且つバルキー(嵩高)なイオン(例えば、カチオン性の界面活性の場合、BF4 等)を添加して、塩として沈殿させることにより単離することができる〔工程(iv)〕。
【0023】
ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤー
本発明に従えば、低次元で形態制御された水溶性の複合化ナノポリマーとして、すなわち、一次元ないしは二次元方向に延びる太さ2〜50nmのひも状のポリマー/界面活性剤複合体の水溶液としてナノワイヤーが得られる。
本発明で得られるポリマー/界面活性剤複合体から成るナノワイヤーは、きわめて安定であり、水溶液の状態で長期間放置してもその特性が変化することはない。これは、界面活性剤分子で保護されているため、ワイヤー状のナノポリマーでも凝集が抑制されるためと考えられる。
【0024】
界面活性剤の集合体の疎水相にモノマーを可溶化させ(取り込ませ)、シリカにより固定化された疎水相を反応場としてモノマーを重合させることにより低次元で形態制御された本発明のナノポリマーは、当該モノマーを従来のようにバルク重合して得られる三次元方向に延在するポリマーとは全く別異の機能を発揮する新しい機能性材料としての利用が期待される。例えば、モノマーとしてアセチレン誘導体を用いると、従来のバルク重合によるアセチレン系ポリマーでは発光現象は見られないが、本発明ではポリマー部分の発光が見られる。
【0025】
さらに、本発明のナノワイヤーは、界面活性剤で保護されたポリマーが水溶液中に溶解・分散された形態を呈しているので、水溶液の状態からそのまま、界面活性剤を介する静電的作用により基板に簡単に、所望のパターンに配置(アセンブリー)することができ、それぞれの低次元ポリマーの特性に応じた各種のナノデバイスの創製に資するものと期待される。
勿論、必要に応じて、既述の手法により、水溶液からポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーを単離して、その特性を測定・評価しデバイス開発のための基礎データを得ることもできる。
【0026】
以下に、本発明の特徴を更に具体的に明らかにするため実施例を示すが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。
重合性で疎水性のモノマーとして下記の式(I)で表わされるフェニルアセチレン(以下、PhAcと略記する)を用い、また、界面活性剤として下記の式(II)で表わされるセチルピリジウムクロリド(以下、C16Pyと略記する)を用い、本発明に従うナノワイヤーを合成した。
【0027】
【化1】
Figure 0004102142
【0028】
【化2】
Figure 0004102142
【0029】
(1)PhAcモノマー/C 16 Py集合体/SiO 2 複合構造体の合成〔工程( i )〕:C16Py水溶液(3mmol in水50ml)に、攪拌下、PhAcを5ml滴下し、可溶化させた(透明な溶液になるまで攪拌した)。これにケイ酸ナトリウム(Na2O・SiO2)水溶液を滴下し、さらに塩酸を加えてpHを1付近に調整した。最終的にモル比でSiO2/C16Py/PhAc/H2O=1/0.12/1.5/180の溶液を調整して、シリカによって固定化されたロッド状ミセルから成るC16Py集合体が形成されるようにした。pH調整後、室温で3時間攪拌し、得られる沈殿をろ取、水洗した。
【0030】
(2)PhAcの重合(PhAcポリマー/C 16 Py集合体/SiO 2 複合構造体の合成)〔工程( ii )〕:(1)で得た複合構造体を、70℃で1日、さらに110℃で1日熱処理を施し、モノマー(PhAc)の熱重合を行わせた。
この110℃熱処理後のサンプルについて空気中で熱重量分析を行なったところ、界面活性剤C16Pyの熱分解およびポリマーの熱分解に由来する重量減少が250、300℃および350、500℃付近にそれぞれ観測され、最終的に500℃以上でシリカのみとなる。また、元素分析の結果は、C:47.48、H:7.77、N:2.49(wt%)であり、C/N=19.09であった。測定値の絶対値は、吸着水の量やシリカの状態にも依存するので、その影響がないC/N値をもとに[C16Py]:[PhAc]=x:1として計算すると、x=6.3となる。すなわち、C16Pyの6分子に対し、約1分子の割合でPhAcが取り込まれていることもわかった。さらに、IR(赤外線吸収スペクトル)測定において、モノマーのC≡C3重結合に由来するピーク(図2のA参照)が消失し、重合が進行している(図2のC参照)ことも確認された。これらの結果より、PhAcのポリマー、界面活性剤C16Py、およびシリカから成る複合構造体が生成していると理解される。
【0031】
また、XRD測定によれば、本実施例で採用した上述の組成において、PhAcを含まない界面活性剤C16Py/シリカ複合体はヘキサゴナル配列に由来する(100)、(110)、(200)の回折ピーク(d100=34Å)が観測され(図3のA参照)、この実施例の系では、界面活性剤によって形成されたロッド状ミセルから成る集合体からヘキサゴナル相構造が生成するものと推測される。そして、工程(ii)で得られたPhAcポリマー/C16Py集合体/シリカ複合構造体では2θ=2付近にブロードなピーク(d=44Å)が観測された(図3のC参照)。d値の増加はPhAcモノマーの取り込みおよびその重合によるものであり、取り込み・重合により構造規則性が乱れたメゾ相が生成したためと理解される。なお、図3のBは、工程(ii)において70℃で1日熱処理(熱重合)したもの、すなわち、PhAcの重合初期のサンプルのXRD測定結果を示す。この段階では、まだヘキサゴナル相由来のパターンが認められており、110℃で熱処理(熱重合)後、構造規則性が乱れたメゾ相になるが、それはヘキサゴナル相を経由して生成していることが理解される。さらに、工程(ii)で得られるPhAcポリマー/C16Py集合体/SiO2複合構造体は可視域長波長側にかけてブロードな吸収を示す(図4のA参照)。このような特徴は、PhAcモノマーには見られず(図4のB参照)、この点からもアセチレン部位の重合が確認される。また、発光スペクトル測定を行ったところ、バルクのポリアセチレン誘導体では見られないemissionピークが観測された(図5のA参照)。
【0032】
(3)PhAcポリマー/C 16 Py複合ナノワイヤーの生成〔工程( iii )〕:工程(ii)で得られたPhAcポリマー/C16Py集合体/SiO2複合構造体0.7gをHF水溶液(濃度:15wt%)30ccに加え攪拌すると、すぐに沈殿物のない均一な茶黄色透明な水溶液が得られた。すなわち、シリカ部分が溶解除去されてPhAcポリマー/C16Py集合体の水溶液が得られる。この水溶液の発光スペクトルを測定したところ、前述したPhAcポリマー/C16Py集合体/SiO2複合構造体と同様の発光ピークが観測され(図5のB参照)、固体複合構造体中の状態が水溶液溶解時でも保持されていることが示された。この水溶液を電子顕微鏡のメッシュ上に滴下してTEM(透過型電子顕微鏡)観察を行なったところ、数nmの太さを有するワイヤー状の形態が観察された(図6参照)。ここで、図6の(A)は、ナノワイヤーの水溶液をメッシュ上に滴下し、乾燥後、染色のために酢酸ウラニル水溶液を滴下してTEM観察したものであり、少し見づらいが一本のワイヤーが捉えられている。図6の(B)は、ナノワイヤー水溶液に酢酸ウラニル水溶液を加えた後にメッシュ上に滴下し観察したものであり、糸まり状に絡んだ像が見られるが、これはウラニルイオンが入ったことにより、幾分、ナノワイヤーの凝集が起こったためと考えられる。さらに、このPhAcポリマー/C16Py複合体は、水溶液の状態で1ヶ月放置してもその発光特性が変化せず、非常に安定なナノワイヤーであることが確かめられた。
【0033】
(4)PhAcポリマー/C 16 Py複合ナノワイヤーの単離〔工程( iv )〕:工程(iii)で得られたPhAcポリマー/C16Py複合ナノワイヤー水溶液にHBF4水溶液(濃度:42wt%)5ccを加え、生じた茶黄色沈殿をろ取、水洗し、減圧下乾燥させた。得られた生成物を元素分析したところ、C:63.90、H:11.53、N:3.34(wt%)であり、C/N=18.68であった。測定値の絶対値は、吸着水の量に依存するので、その影響がないC/N値をもとに[C16Py]:[PhAc]=x:1として計算するとx=10.1となる。つまり、C16Pyの10分子に対し、約1分子のPhAcの割合で複合体を形成していると考えられる。また、そのIRの測定結果を図2の(D)に示す。これらの結果より、[PhAcポリマー/C16Py]・BF4 塩が生成していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従いナノワイヤーを製造する工程を模式的に示す。
【図2】本発明に従うナノワイヤーの製造における原料および生成物の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図3】本発明によって得られるポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体の1例のX線回折パターンを示す。
【図4】本発明によって得られるポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体の1例の紫外−可視吸収スペクトルを示す。
【図5】本発明によって得られるポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体の1例の発光スペクトルを示す。
【図6】本発明によって得られるポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体の1例の透過型電子顕微鏡写真を示す。

Claims (6)

  1. (i)界面活性剤の水溶液中に重合性で疎水性のモノマーを可溶化させ、さらにシリカ源を添加して、得られる溶液をシリカ源中のシリカが重合する条件下に保持することにより、モノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を形成する工程、(ii)前記モノマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を加熱または光照射してそのモノマーを重合させることにより、ポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体を形成する工程、および(iii)前記ポリマー/界面活性剤集合体/シリカ複合構造体をフッ化水素水溶液またはアルカリ水溶液で処理してシリカ部分を溶解除去することにより、ポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの水溶液を得る工程を含むポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの製造方法であって、
    前記界面活性剤が、集合体としてロッド状ミセルを形成するものであり、セチルピリジニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムクロリドから選ばれ、前記重合性で疎水性のモノマーがフェニルアセチレン、オクタジインまたはチオフェンから選ばれ、前記ポリマーがポリ(フェニルアセチレン)、ポリ(オクタジイン)またはポリ(チオフェン)であることを特徴とする方法。
  2. シリカ源がケイ酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの製造方法。
  3. 工程( i )において、得られる溶液のp H を酸性域に調整することによりシリカを重合させることを特徴とする請求項2に記載のポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの製造方法。
  4. 界面活性剤がセチルピリジニウムクロリドであり、重合性で疎水性のモノマーがフェニルアセチレンであり、ポリマーがポリ(フェニルアセチレン)であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤーの製造方法。
  5. ポリ(フェニルアセチレン)、ポリ(オクタジイン)またはポリ(チオフェン)から選ばれる有機ポリマーとセチルピリジウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムクロリドから選ばれる界面活性剤とから構成され、太さが2〜50nmであることを特徴とするポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤー。
  6. 有機ポリマーがポリ(フェニルアセチレン)であり、界面活性剤がセチルピリジニウムクロリドであることを特徴とする請求項5に記載のポリマー/界面活性剤複合ナノワイヤー。
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