JP4101602B2 - 帯電防止性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は帯電防止性ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは帯電防止性、背面転写性、耐削れ性、耐ブロッキング性、回収性、印刷性等に優れた、液晶保護フィルム、製版フィルム、電子材料、OHPフィルム、包装用フィルム、ラベル、磁気カード(例えばテレホンカード、プリペードカード)等に有用な帯電防止性ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステルからなるフィルムは製版フィルム、電子材料、OHPフィルム、包装用フィルム、ラベル、磁気カード等の一般工業材料や磁気テープ等の磁気記録材料用として広く使用されている。ポリエステルフィルムは、耐水性、耐薬品性、機械的強度、寸法安定性、電気特性に優れたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートからなるフィルムが用いられ、或は検討されているが、かかるポリエステルフィルムは帯電し易い欠点を有している。フィルムが帯電すると、その表面にゴミやほこりが付着し、品質上のトラブルが生じる。また、フィルム加工工程で有機溶剤を用いる場合には、帯電したフィルムからの放電により引火の危険が生じる。
【0003】
このような帯電による問題の対策として、ポリエステルフィルムに有機スルホン酸塩基等のアニオン性化合物、金属粉、カーボン粉等を練り込む方法や、ポリエステルフィルムの表面に金属化合物を蒸着する方法等が提案され、実用化されている。しかしながら、このような方法ではフィルムの透明性が低下してしまう問題や、加工コストが高いといった問題がある。
【0004】
また、別の方法として、フィルム表面に制電性塗膜を形成する方法が種々提案され、かつ実用化されている。この帯電防止性塗膜に含有させる帯電防止剤としては、低分子型のものや高分子型のものが知られているが、それぞれ長短所を有する。そこで、帯電防止剤はその特性を用途に合わせて使い分けられる。例えば、低分子型の帯電防止剤としては、スルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(特開平4−28728号公報)等のような界面活性剤型のアニオン系帯電防止剤が知られており、また高分子型の帯電防止剤としては、主鎖にイオン化された窒素元素を有するポリマー(特開平3−255139号公報、特開平4−288127号公報、特開平6−320390号公報)や、スルホン酸塩基変性ポリスチレン(特開平5−320394号公報)等が知られている。
【0005】
しかしながら、低分子型の帯電防止剤を用いた帯電防止性塗膜では、帯電防止剤の一部が塗膜中を移動して界面に集積しフィルムの反対面等に移行する問題や、帯電防止性が経時的に低下するという問題がある。一方、高分子型の帯電防止剤を用いた制電性塗膜では、良好な帯電防止性を得るために多量の帯電防止剤の配合が必要であったり、膜厚の厚い帯電防止性塗膜を形成させることが必要であるため経済的でない。また、製品にならなかった屑フィルム(例えば、製造工程で切断除去したフィルム端部等)を回収し、フィルム製造用の再生材料として使用すると、溶融製膜の際に該再生材料中に含まれる塗膜成分が熱劣化し、得られたフィルムが著しく着色し実用性に欠ける(回収性が劣る)ものとなる等の問題が生じる。更に、フィルム同士が剥離し難い(ブロッキングする)、塗膜が削れ易い等の欠点が生じ、その解決が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−28728号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平3−255139号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平4−288127号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平6−320390号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平5−320394号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解消し、コロナ放電処理等の前処理を施すことなく低加工コストで帯電防止性被膜を塗設でき、かつ優れた帯電防止性、背面転写性、耐削れ性、耐ブロッキング性、回収性を有する帯電防止性積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、下記式(1)で表わされる単位1と下記式(2)で示される単位2を主たる繰り返し単位とするポリマーである帯電防止剤(A)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸して作られた帯電防止性塗膜が設けられていることを特徴とする帯電防止性ポリエステルフィルムによって達成される。
【0013】
【化2】
【0014】
ただし、式中のR1、R2はそれぞれH又はCH3、R3は炭素数が2〜10のアルキレン基、R4、R5はそれぞれ炭素数が1〜5の飽和炭化水素基、R6はHまたは、炭素数が2〜10のヒドロキシアルキレン基、R7、R8はそれぞれH又は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基、Y-はハロゲンイオン、モノもしくはポリハロゲン化アルキルイオン、ナイトレートイオン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、スルホネートイオン又はアルキルスルホネートイオンである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
[ポリエステル]
本発明においてポリエステルフィルムのポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とからつくられる線状飽和ポリエステルである。このジカルボン酸成分としては、テレルタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、等を例示することができる。特にフィルムの機械的性質の点から、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0017】
また、このグリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、等を例示することができる。特にフィルムの剛直性の点から、エチレングリコールが好ましい。
【0018】
かかるポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが機械的特性(例えば高ヤング率)に優れ、熱的特性(例えば耐熱寸法安定性)に優れたフィルムが得られるため好ましい。
【0019】
上記ポリエステルは、第三成分として上記ジカルボン酸成分あるいはグリコール成分を共重合したコポリエステルであってもよく、三官能以上の多価カルボン酸成分あるいはポリオール成分を得られるポリエステルが実質的に線状となる範囲(例えば、5mol%以下)で少量共重合したポリエステルであっても良い。
【0020】
かかるポリエステルは常法により作ることができ、ポリエステルの固有粘度が0.45dl/g以上であるとフィルムの剛性が大きい等の機械的特性が良好となるため好ましい。
【0021】
上記ポリエステルには、フィルムの滑り性を良好なものとするため、滑剤として平均粒径が0.01〜2.0μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば0.01〜5重量%の配合割合で含有させることができる。かかる微粒子の具体例として、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等のような無機微粒子、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような耐熱性ポリマーからなる有機微粒子等を好ましく挙げることができる。
【0022】
前記微粒子以外にも着色剤、公知の帯電防止剤、有機滑剤(滑り剤)、触媒、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンコポリマー、オレフィン系アイオノマーのような他の樹脂等を必要に応じて含有することもできる。
【0023】
本発明におけるポリエステルフィルムの厚さは、好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは50〜450μm、特に好ましくは75〜300μmである。この厚さが20μm未満ではフィルムの腰が弱くなり、一方フィルムが厚すぎ、例えば500μmを超えると製膜性が劣る傾向が見られ好ましくない。
【0024】
[塗膜]
[帯電防止剤(A)]
本発明においてポリエステルフィルムの少なくとも片面に設ける帯電防止塗膜は、帯電防止剤(A)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸して設けられる。
【0025】
本発明における帯電防止剤(A)は下記式(1)で表わされる単位1と下記式(2)で表わされる単位2を主たる繰り返し単位とするポリマーである。
【0026】
【化3】
【0027】
[式中のR1、R2はそれぞれH又はCH3、R3は炭素数が2〜10のアルキレン基、R4、R5はそれぞれ炭素数が1〜5の飽和炭化水素基、R6はHまたは、炭素数が2〜10のヒドロキシアルキレン基、R7、R8はそれぞれH又は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基、Y-はハロゲンイオン、モノもしくはポリハロゲン化アルキルイオン、ナイトレートイオン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、スルホネートイオン又はアルキルスルホネートイオンである。]
主たる繰り返し単位とは例えば全繰り返し単位の70モル%以上をいう。
【0028】
帯電防止剤(A)は、例えば下記の方法で好ましく製造することができる。すなわち、アクリル酸エステルモノマーとジアリルメチルアミンを、乳化重合により、重量平均分子量2000〜100000のポリアクリル酸エステル−ピロリジウム共重合体とし、次いでN,N−ジアルキルアミノアルキルアミン(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン等)と反応させてアミド化し、最後に4級ヒドロキシアルキル化反応を行わせて4級カチオン対を導入することで製造できる。
【0029】
帯電防止剤(A)の単位1の式(1)中のY-はR9SO3 -で示されるアルキルスルホネートイオン(ただし、R9は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基である。)であることが好ましく、CH3SO3 -、C2H5SO3 -またはC3H7SO3 -であることが好ましい。
【0030】
帯電防止剤(A)の単位2の式(2)中のY-はR9SO3 -で示されるアルキルスルホネートイオン(ただし、R9は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基である。)であることが好ましく、CH3SO3 -、C2H5SO3 -またはC3H7SO3 -であることが好ましい。
【0031】
帯電防止剤(A)の単位1において、R3はプロピレン基であり、R6がHであるものは、塗膜とポリエステルフィルムとの接着性、塗膜の耐熱性が良好であり、特に帯電防止性に優れるので好ましい。
【0032】
帯電防止剤(A)の平均分子量(数平均分子量)は、好ましくは3000〜300000、さらに好ましくは5000〜100000である。この平均分子量が3000未満であると、帯電防止剤の背面転写性が悪化する傾向があり、一方平均分子量が300000を超えると、水性塗液の粘度が高くなりすぎフィルムに均一に塗布し難くなるため好ましくない。
【0033】
帯電防止剤の式(1)で表される単位1と式(2)で表わされる単位2の比率は、好ましくは単位1=50〜90モル%、単位2=50〜10モル%、さらに好ましくは単位1=50〜80モル%、単位2=50〜20モル%であり、この場合、塗膜とポリエステルとの接着性、塗膜の耐熱性が良好であり、特に帯電防止性に優れる。
【0034】
[バインダー樹脂]
本発明における帯電防止性塗膜には、塗膜とポリエステルフィルムとの接着性をより強固なものとするために、前記帯電防止剤(A)とバインダー樹脂(B)とが含まれることが好ましい。このバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂(B−1)、アクリル樹脂(B−2)、アクリル変性ポリエステル樹脂(B−3)を例示することができ、これらの樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を用いることが好ましい。アクリル樹脂(B−2)、特にガラス転移温度−10〜50℃のアクリル樹脂でを用いると、帯電防止性塗膜とポリエステルフィルムとの密着性が良好になるため好ましい。
【0035】
ポリエステル樹脂(B−1)としては共重合ポリエステル樹脂が好ましい。
【0036】
この共重合ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ダイマー酸等を例示することができる。これら成分は二種以上を用いることができる。更に、これら成分とともにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の如き不飽和多塩基酸やp−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を少割合用いることができる。不飽和多塩基酸成分やヒドロキシカルボン酸成分の割合は高々10モル%、好ましくは5モル%以下である。また、ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール等を例示することができる。これらは二種以上を用いることができる。
【0037】
かかるポリオール成分の中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオールネオペンチルグリコールが好ましく、更にエチレングリコールが好ましい。
【0038】
また、前記共重合ポリエステル樹脂には、水性液(水溶液または水分散液)化を容易にするために若干量の、スルホン酸塩基を有する化合物やカルボン酸塩基を有する化合物を共重合させることが可能であり、その方が好ましい。
【0039】
このスルホン酸塩基を有する化合物としては、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−Naスルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスルホイソフタル酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはスルホン酸アミン塩系化合物等が好ましく挙げられる。また、このカルボン酸塩基を有する化合物としては、例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等、あるいはこれらのモノアルカリ金属塩等が挙げられる。なお、遊離カルボキシル基は共重合後にアルカリ金属化合物やアミン化合物を作用させてカルボン酸塩基とする。
【0040】
前記共重合ポリエステル樹脂は、変性ポリエステル共重合体、たとえば前記ポリエステル共重合体をアクリル、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、フェノール樹脂等で変性したブロック重合体、あるいはグラフト重合体として用いることもできる。
【0041】
かかる共重合ポリエステル樹脂は、従来から知られまたは用いられているポリエステルの製造技術によって製造することができる。例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(特にジメチルエステル)、イソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(特にジメチルエステル)及び無水トリメリット酸をエチレングリコールとネオペンチルグリコール反応せしめてモノマーもしくはオリゴマーを形成し、その後真空下で重縮合反応せしめることによって所定の固有粘度(o−クロロフェノールを用いて35℃で測定した固有粘度が0.2〜0.8が好ましい。)の共重合ポリエステルとし、さらに遊離のカルボキシ基をアルカリ化合物またはアミン化合物と反応させて塩とする方法で製造することができる。その際、反応を促進する触媒、例えばエステル化もしくはエステル交換触媒、重縮合触媒等を用いることが好ましく、また種々の添加剤、例えば安定剤等を添加することもできる。
【0042】
前記アクリル樹脂(B−2)は、アクリル系共重合体であることが好ましい。アクリル系共重合体の構成成分としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ソーダ、メタクリル酸アンモニウム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルメタクリレート、ビニルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリルアミド、メタクリルアミド,N−メチロールメタクリルアミド等を例示することができる。これらのモノマーは、例えばスチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン等の他の不飽和単量体と併用することもできる。
【0043】
また前記アクリル系共重合体として、変性アクリル共重合体、例えば前記アクリル共重合体をポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、フェノール樹脂等で変性したブロック重合体、あるいはグラフト重合体として用いることもできる。
【0044】
本発明における帯電防止性塗膜には、塗膜とポリエステルフィルムとの接着性を調節するため、上記以外のバインダー樹脂を配合することができる。かかる樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、水溶性樹脂を挙げることができる。
【0045】
[界面活性剤(C)]
本発明における帯電防止性塗膜には、塗膜とポリエステルフィルムとの接着性を強固なものとし、帯電防止性積層フィルムの耐ブロッキング性を良好なものとするため、界面活性剤(C)を配合することが好ましい。かかる界面活性剤(C)としては、例えばアルキレンオキサイド単独重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール・アルキレンオキサイド付加物、長鎖脂肪族置換フェノール・アルキレンオキサイド付加重合物、多価アルコール脂肪族エステル、長鎖脂肪族アミドアルコール等のノニオン系界面活性剤、4級アンモニウム塩を有する化合物、アルキルピリジニウム塩を有する化合物、スルホン酸塩を有する化合物等のカチオン系又はアニオン系界面活性剤を挙げることができ、特にノニオン界面活性剤が塗膜とベースフィルムとの接着性や帯電防止性ポリエステルフィルムの耐ブロッキング性に対する効果が優れるため好ましい。
【0046】
本発明における帯電防止性塗膜は、前記の帯電防止剤(A)を含む塗膜であるが、更にバインダー(B)を含む組成からなることが好ましい。帯電防止性塗膜に含まれる帯電防止剤(A)の割合は、帯電防止性を良好なものとするため塗膜の重量100重量%に対して好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。帯電防止剤(A)の割合が5重量%未満であると帯電防止性が不足するようになり好ましくない。
【0047】
[オキサゾリン基有する重合体(D)]
帯電防止性塗膜には、オキサゾリン基を有する重合体(D)を配合することが好ましい。このオキサゾリン基を有する重合体(D)は、水溶性であり、ガラス転移温度50〜120℃で、オキサゾリン等量が80〜250g/等量であることが好ましく、メタクリル酸メチル及びメタクリルアミドを共重合成分とするポリマーであることが好ましい。
【0048】
[塗膜の組成比]
本発明における帯電防止性塗膜の形成に用いる塗液は、塗液の固形分組成100重量%に対して、好ましくは帯電防止剤(A)5〜90重量%とバインダー樹脂(B)10〜95重量%とからなる固形分組成の水性塗液であり、さらに好ましくは帯電防止剤(A)5〜70重量%、バインダー樹脂(B)20〜85重量%及び界面活性剤(C)1〜15重量%からなる固形分組成の水性塗液、特に好ましくは、帯電防止剤(A)20〜70重量%、バインダー樹脂(B)20〜70重量%、界面活性剤(C)1〜15重量%、オキサゾリン基を有する重合体(D)3〜25重量%からなる組成物の水性塗液である。
【0049】
帯電防止性塗膜において、塗膜の固形分組成の重量を100重量%として帯電防止剤(A)が5〜70重量%の範囲であると塗膜とポリエステルフィルムとの接着性及び帯電防止性が良好であり、バインダー樹脂(B)が20〜85重量%の範囲であると帯電防止性及び塗膜とポリエステルフィルムとの接着性が良好であり、界面活性剤(C)1〜15重量%の範囲であると塗膜とポリエステルフィルムとの接着性及び帯電防止性フィルムの耐ブロッキング性が良好なものとなり好ましい。オキサゾリン基を有する重合体(D)3〜25重量の範囲であると塗膜の耐溶剤性、耐久性が良好なものとなり好ましい。
【0050】
帯電防止剤(A)は前記式(1)で表わされる単位1と前記式(2)で表わされる単位2を主たる繰り返し単位とするポリマーである。
【0051】
式(1)中、R1、R2はそれぞれH又はCH3、R3は炭素数が2〜10のアルキレン基、R4、R5はそれぞれ炭素数が1〜5の飽和炭化水素基、R6はHまたは、炭素数が2〜10のヒドロキシアルキレン基、Y-はR9SO3 -で示されるアルキルスルホネートイオン、R9は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基である。式(2)中、R7、R8はそれぞれH又は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基である。
【0052】
バインダー樹脂(B)は、ガラス転移温度−10〜50℃のアクリル樹脂であるものが、塗膜とベースフィルムとの接着性や帯電防止性フィルムの耐ブロッキング性、耐熱性、低湿度における帯電防止性が優れるため特に好ましい。
【0053】
[水性塗液]
本発明において塗膜は、前記成分の組成物を含む水性塗液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布し、乾燥、延伸することにより塗設する。用いる塗液は、水を媒体とし、前記成分の組成物が溶解および/または分散されているもの(水性塗液)である。なお、水性塗液には、塗液の安定性を助ける目的で若干量の有機溶剤を含ませても良い。この有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等を例示することができる。有機溶剤は複数種含まれていてもよい。
【0054】
本発明においては、好ましくは前記組成を含む水性塗液を用いて被膜を塗設するが、この水性塗液には被膜表面の滑り性を良好なものとし、かつフィルムの耐ブロッキング性を良好なものとするため、接着性等の特性を損なわない範囲で滑剤を添加することが好ましい。この滑剤としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の微粒子を好ましく挙げることができる。これらの樹脂の微粒子は、被膜中に微粒子で含まれるものであれば熱可塑性であっても熱硬化性のものであってもよい。この微粒子の平均粒径は20〜80nmであり、含有量が5〜20重量%であることが好ましい。
【0055】
本発明において、水性塗液には本発明の目的を損なわない範囲で、他の界面活性剤、紫外線吸収剤、顔料、潤滑剤、ブロッキング防止剤、水溶性高分子樹脂、オキサゾリン、メラミン、エポキシ、アジリジン等の架橋剤や他の帯電防止剤等の添加剤を配合することができる。
【0056】
本発明における水性塗液中の固形分濃度は、通常30重量%以下であり、更には0.5〜30重量%であることが好ましい。この割合が0.5重量%未満であると、ポリエステルフィルムへの塗れ性が不足し、また30重量%を超えると被膜外観が悪化するので好ましくない。
【0057】
[塗膜の塗設]
本発明においては上述の固形分組成の水性塗液を、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布するが、このフィルムとしては結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムが好ましい。この配向結晶が完了する前のポリエステルフィルムとしては、ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状とした未延伸状フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れかの方向に延伸した一軸延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向及び横方向の二方向に低倍率で延伸した更に延伸可能な二軸延伸フィルム(最終的に縦方向及び横方向に再延伸して配向結晶化を完了させる前の二軸延伸フィルム)等を例示することができる。
【0058】
ポリエステルフィルムへの水性塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法及びカーテンコート法等を単独または組み合わせて適用すると良い。
【0059】
塗布量は走行しているフィルム1m2あたり0.5〜50g、さらには5〜30gが好ましい。最終乾燥塗膜(被膜)の厚さは、好ましくは0.02〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.8μmである。塗膜の厚さが0.02μm未満であると、帯電防止性が不十分となり、他方1μmを超えると、耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。塗布はフィルムの用途に応じて片面のみに行うことも両面に行うこともできる。塗布後、乾燥することにより、均一な塗膜となる。
【0060】
本発明においては、ポリエステルフィルムに水性塗液を塗布した後、乾燥、好ましくは延伸処理を行うが、この乾燥は90〜130℃で2〜20秒間行うのが好ましい。この乾燥は延伸処理の予熱処理ないし延伸時の加熱処理をかねることができる。ポリエステルフィルムの延伸処理は、温度70〜140℃で縦方向に2.5〜7倍、横方向に2.5〜7倍、面積倍率で8倍以上、さらには9〜28倍延伸するのが好ましい。再延伸する場合には、1.05〜3倍の倍率で延伸するのが好ましい(但し、面積倍率は前記と同じ)。延伸後の熱固定処理は最終延伸温度より高く融点以下の温度で1〜30秒行うのが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは170〜240℃で2〜30秒熱固定するのが好ましい。
【0061】
[その他]
本発明の帯電防止性ポリエステルフィルムは、フィルム中の異物の検査を良好にする観点から、可視光線透過率が80%以上、ヘーズが5%以下であることが好ましい。
【0062】
本発明の帯電防止性ポリエステルフィルムは、その一方の面に粘着剤層を、他方の面に保護層を設けることができる。
【0063】
本発明の帯電防止性ポリエステルフィルムは、帯電防止性塗膜の上に磁性層を積層することができ、該磁気層面と反対面に紫外線硬化インキ層を設けることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
また、本発明における評価は次に示す方法で行った。
【0065】
ポリエチレンテレフタレートを「PET」、ポリエチレンナフタレートを「PEN」と略称することがある。
【0066】
1.表面固有抵抗(帯電防止性)
サンプルフィルムの表面固有抵抗を、タケダ理研社製・固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度60%の条件で、印加電圧500Vで1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定する。尚、表面固有抵抗値は3×1012[Ω/□]以下が好ましく、3×1011以下が更に好ましい。
【0067】
2.耐ブロッキング性
50mm幅に切断したサンプルフィルムの積層物塗膜塗設面と非塗設面とを重ねあわせ.50kg/cm2の荷重下、60℃×80%RHにて17時間処理した後、塗設面と非塗設面との剥離力を測定し、耐ブロッキング性を下記の通り評価する。
ランクA: 剥離力≦10g(耐ブロッキング性良好)
ランクB: 10g<剥離力≦30g(耐ブロッキング性やや不良)
ランクC: 30g<剥離力 (耐ブロッキング性不良)
【0068】
3.背面転写性
サンプルフィルムの塗布面と非塗布面とを重ねて6kg/cm2の荷重を加え、50℃×70%RHの条件で17時間処理した後、非塗布面の水接触角(θ:背面転写性の代用特性)を測定し、下記の基準により評価する。
ランクA: θ≧55°(背面転写性良好)
ランクB: 55°>θ≧48°(背面転写性やや良好)
ランクC: 48°>θ (背面転写性不良)
水接触角は上記サンプルフィルムを、非塗布面を上にして接触角測定装置(エルマ社製)にセットし、温度23℃の条件にて水滴を落下させてから1分後の接触角を読み取ることにより測定する。尚、背面転写性が全く無いフィルムの水接触角は60〜72°であり、背面転写性良好なフィルムの水接触角は55°以上であり、背面転写性が著しい(背面転写性不良)フィルムの水接触角は48°未満である。
【0069】
4.耐削れ性
20mm幅に切断したフィルムサンプルを用い、フィルムの塗膜面を直径10mmの円柱状ステンレス製固定バーにあてて200gの荷重を加えた状態で80m走行させた後、バーに付着した塗膜の白粉を観察し、耐削れ性を下記の通り評価する。
ランクA:バーに白粉の付着が無い (耐削れ性良好)
ランクB:バーに白粉がやや付着する (耐削れ性やや不良)
ランクC:バーに白粉が多量に付着する(耐削れ性不良)
【0070】
5.再生フィルムの着色度(回収性)
塗膜を設けないフィルムを粉砕し、押出機にて約300℃で溶融しチップ化し、次いで得られたチップを用いて溶融製膜し、ブランクフィルムを作成する。このフィルムの着色度をブランクとする。一方、積層物塗膜を設けたサンプルフィルムを粉砕し、押出機にて約300℃で溶融しチップ化し、次いで得られたチップを用いて溶融製膜し、再生フィルムを作成する。このフィルムの着色度を下記の基準により評価する。
ランクA:着色度がブランクフィルム並み
ランクB:フィルムがやや着色している
ランクC:フィルムの着色度が大で実用性に欠ける
【0071】
6.UVインキの接着性
サンプルフィルムの塗膜塗設面に紫外線硬化型印刷インキ(東洋インキ製フラッシュドライFDO紅APN)をRIテスター(明製作所製)により印刷した後、中圧水銀灯(80W/cm、一灯式;日本電池製)UVキュア装置でキュアリングを行い、厚み3.0μmのUVインキ層を形成する。このUVインキ層上にセロテープ(18mm幅;ニチバン製)を15cmの長さに貼り、この上を2Kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与え、フィルムを固定してセロハンテープの一端を90゜方向に剥離することにより剥離接着力を評価する。接着性は次の基準で評価する。
ランクA:インキ層が全く剥離しない (インキ接着性良好)
ランクB:塗膜とインキ層間が部分的に凝集破壊状に剥離する(インキ接着性やや良好)
ランクC:塗膜とインキ層間が層状に剥離する(インキ接着性不良)
【0072】
7.オキサゾリン等量
オキサゾリンを含有する重合体の溶液を凍結乾燥し、これを1H−MNRにて分析し、オキサゾリン基に由来する吸収ピーク強度、その他のモノマーに由来する吸収ピーク強度からオキサゾリン等量を算出する。
【0073】
8.二次転移点
デュポン製 Thermal Analyst 2000型 示差熱量計にて、20℃/分の昇温速度にて測定する。
【0074】
[実施例1]
高分子帯電防止剤(A−1)として、下記式(1−2)で表わされる単位70モル%と下記式(2−2)で表わされる単位30モル%からなる平均分子量=15000の高分子帯電防止剤を用意した。
【0075】
【化4】
【0076】
固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65であり、粒子径1.7μmの多孔質SiO2を0.01wt%含むポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融して冷却ドラム上にキャストし、次いで得られた未延伸フィルムを縦方向に3.6倍延伸した。
【0077】
水性液1として、テレフタル酸(22mol%)、イソフタル酸(1mol%)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(65mol%)、4,4´−ジフェニルジカルボン酸(12mol%)−エチレングリコール(75mol%)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(10mol%)、ネオペンチルグリコール(15mol%)からつくられた共重合ポリエステル(Tg=80℃、平均分子量=21,500)(B−1)45wt%、高分子帯電防止剤(A−1)50wt%およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(C−1)5wt%からなる固形分組成の10wt%水性液を用意した。
【0078】
先の一軸延伸フィルムの片面に、この水性液1を4g/m2(wet)の塗布量でマイクログラビアコート法にてフィルムの片面に塗布した。
【0079】
乾燥後、横方向に3.6倍延伸し、230℃で熱処理して厚さ100μmの帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0080】
[実施例2]
アクリル共重合体(B−2)として、メタクリル酸メチル(30mol%)、アクリル酸エチル(55mol%)、アクリロニトリル(10mol%)及びN−メチロールメタクリルアミド(5mol%)から作成されたアクリル共重合体(数平均分子量:258000、Tg=22℃)を用意した。
【0081】
実施例1において、共重合ポリエステル(B−1)に替えてアクリル共重合体(B−2)を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0082】
[実施例3]
水性液2として、共重合ポリエステル(B−1)20wt%、アクリル共重合体(B−2)25wt%、実施例1で用意した高分子帯電防止剤(A−1)50wt%、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(D−1)5wt%からなる固形成分の10wt%水性液を用意した。
【0083】
実施例1において、水性液1に替えて水性液2を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0084】
[実施例4]
高分子帯電防止剤(A−2)として、式(1−2)で表わされる単位50モル%と式(2−2)で表わされる単位50モル%からなる平均分子量13000の高分子帯電防止剤を用意した。
【0085】
実施例2において、高分子帯電防止剤(A−1)に替えて高分子帯電防止剤(A−2)を用いる以外は、実施例2と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0086】
[実施例5]
高分子帯電剤(A−3)として、高分子帯電防止剤(A−1)の[CH3SO3 -]を[C2H5SO3 -]に変更した高分子帯電防止剤を用意した。この高分子帯電剤(A−3)は、下記式(1−3)で表わされる単位70モル%と下記式(2−3)で表わされる単位30モル%からなる平均分子量=15000の高分子帯電防止剤である。
【0087】
【化5】
【0088】
実施例2において、高分子帯電防止剤(A−1)に替えて高分子帯電防止剤(A−3)を用いる以外は実施例2と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0089】
[実施例6]
高分子帯電防止剤(A−4)として、下記式(1−4)で表わされる単位70モル%と(2−4)で表わされる単位30モル%からなる、平均分子量18000の高分子帯電防止剤を用意した。
【0090】
【化6】
【0091】
実施例2において、高分子帯電防止剤(A−1)に替えて高分子帯電防止剤(A−4)を用いる以外は、実施例2と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0092】
[実施例7]
水性液3として、アクリル共重合体(B−2)88wt%、実施例1で用意した高分子帯電防止剤(A−1)7wt%、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(C−1)5wt%からなる固形成分の10wt%水性液を用意した。
【0093】
実施例1において、水性液1に替えて水性液3を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0094】
[実施例8]
水性液4として、アクリル共重合体(B−2)28wt%、実施例1で用意した高分子帯電防止剤(A−1)67wt%、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(C−1)5wt%からなる固形成分の10wt%水性液を用意した。
【0095】
実施例1において、水性液1に替えて水性液4を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0096】
[実施例9]
水性液5として、アクリル共重合体(B−2)35wt%、実施例1で用意した高分子帯電防止剤(A−1)50wt%、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン(63mol%)、メタクリル酸メチル(14mol%)、メタクリルアミド(23mol%)からなるオキサゾリン基を含有する重合体(分子量:100000、Tg=100℃、オキサゾリン等量=150g(固形分)/等量)(D−1)10wt%、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(C−1)5wt%からなる固形成分の10wt%水性液を用意した。
【0097】
実施例1において、水性液1に替えて水性液5を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0098】
[実施例10]
実施例2において、ポリエチレンテレフタレートフィルムに替えてポリエチレンナフタレートフィルムを用いる以外は、実施例2と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0099】
[実施例11]
固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレート90wt%と平均粒径0.4μmの酸化チタン10wt%からなる組成物を溶融して冷却ドラム上にキャストし、次いで得られた未延伸フィルムを縦方向に3.6倍延伸した。
【0100】
水性液7として、アクリル共重合体(B−2)、実施例1で用意した高分子帯電防止剤(A−1)50wt%、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(C−1)5wt%からなる固形分組成の10wt%水性液を用意した。
【0101】
この水性液7を先の一軸延伸フィルムの片面に水性液7を4g/m2(wet)の塗布量でマイクログラビアコート法にてフィルムの片面に塗布した。
【0102】
乾燥後、横方向に3.6倍延伸し、230℃で熱処理して厚さ188μmの帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0103】
[比較例1]
水性液8として、共重合ポリエステル(B−1)を77wt%、高分子帯電防止剤(B−1)3wt%、及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(C−2)5wt%からなる固形分組成の10wt%水性液を用意した。
【0104】
実施例1において、水性液1に替えて水性液8を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0105】
[比較例2]
水性液9として、高分子帯電防止剤(B−1)95wt%、及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(C−2)5wt%からなる固形分組成の10wt%水性液を用意した。
【0106】
実施例1において、水性液1に替えて水性液9を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0107】
[比較例3]
水性液10として、共重合ポリエステル(B−1)70wt%、帯電防止剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム(A−5)25wt%、及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5wt%からなる固形分組成の10wt%水性液を用意した。
【0108】
実施例1において、水性液1に替えて水性液10を用いる以外は実施例1と全く同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0109】
[比較例4]
水性液11として、共重合ポリエステル(B−1)70wt%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(A−6)25wt%、及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(C−1)5wt%からなる固形分組成の10wt%水性液を用意した。
【0110】
実施例1において、水性液1に替えて水性液11を用いる以外は、実施例1と同様にして帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0111】
[比較例5]
実施例1において、水性液1をコーテイングをせずに得た二軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表1にまとめて示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【発明の効果】
本発明における帯電防止性ポリエステルフィルムは、従来のものに比べて、低湿度下における帯電防止性に優れ、水系塗料との接着性、耐ブロッキング性、背面転写性、耐削れ性、回収性に優れたもので、製版フィルム、電子材料、OHPフィルム、包装用フィルム、ラベル、磁気カード(例えばテレホンカード、プリペードカード)等として有用である。
Claims (15)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、下記式(1)で表わされる単位1と下記式(2)で示される単位2を主たる繰り返し単位とするポリマーである帯電防止剤(A)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸して作られた帯電防止性塗膜が設けられていることを特徴とする帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止剤(A)の単位1と単位2との比率(モル%)が、単位1:単位2=50〜90:50〜10である、請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止剤(A)の単位1の式(1)中のY-がR9SO3 -で示されるアルキルスルホネートイオン(ただし、R9は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基である。)である請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止剤(A)の単位2の式(2)中のY-がR9SO3 -で示されるアルキルスルホネートイオン(ただし、R9は炭素数が1〜5の飽和炭化水素基である。)である請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 塗液が、帯電防止剤(A)5〜90重量%と、ポリエステル樹脂(B−1)、アクリル樹脂(B−2)及びアクリル変性ポリエステル樹脂(B−2)からなる群から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂(B)10〜95重量%とからなる組成物の水性塗液である、請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- バインダー樹脂(B)がガラス転移温度−10〜50℃のアクリル樹脂である、請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止性塗膜が、帯電防止剤(A)5〜70重量%、バインダー樹脂(B)20〜85重量%、界面活性剤(C)1〜15重量%からなる組成物の水性塗液である、請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止性塗膜が、帯電防止剤(A)20〜70重量%、バインダー樹脂(B)20〜70重量%、界面活性剤(C)1〜15重量%、オキサゾリン基を有する重合体(D)3〜25重量%からなる組成物の水性塗液である、請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- オキサゾリン基を有する重合体(D)が、水溶性であり、ガラス転移温度50〜120℃で、オキサゾリン等量が80〜250g/等量である請求項8記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- オキサゾリン基を有する重合体(D)が、メタクリル酸メチル及びメタクリルアミドを共重合成分である請求項8に記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムである、請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止性ポリエステルフィルムの可視光線透過率が80%以上、ヘーズが5%以下である、請求項1に記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 請求項1に記載の帯電防止性ポリエステルフィルムの一方の面に粘着剤層を、他方の面に保護層を設けた、請求項1に記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムが白色顔料を5〜25重量%含有する厚さ20〜300μmの白色ポリエステルフィルムである、請求項1に記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
- 帯電防止性塗膜の上に磁性層を積層し、かつ該磁気層面と反対面に紫外線硬化インキ層を設けた請求項1記載の帯電防止性ポリエステルフィルム。
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