JP4100120B2 - 被覆構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、迅速施工性、層間接着性かつ表面仕上がり性に優れる被覆構造体に関し、特に土木建築分野の塗り床材用途に有用な被覆構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にコンクリートやアスファルト下地に被覆用樹脂を塗布する際、下地表面の凹凸を平滑に調整後、被覆用樹脂を塗布する場合が多い。下地調整用の樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂などのラジカル硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、短工期で迅速施工が要求される場合は、速硬化性であるラジカル硬化性樹脂が用いられている(特許文献1)。しかしながら、一般にラジカル硬化性樹脂は、表層がワックス(酸素による硬化阻害を防止するもの)で覆われており、エポキシ樹脂や一般のウレタン樹脂などの被覆用樹脂との接着性に乏しいため、同じ樹脂系であるラジカル硬化性樹脂を被覆するか、被覆用樹脂との層間に溶剤系のプライマーを塗布せざるを得なかった。
それでも、被覆用樹脂としてラジカル硬化性樹脂を用いた場合、ワックスの影響で表層がつや消し状態になり、高光沢を要求される用途への適用は難しい。また、溶剤系プライマーを塗布した場合には、一工程増えることで施工の工期が長引くとともに、揮発性有機化合物(VOC)等の環境問題から、使用を規制する社会的な動きが高まっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−283357号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コンクリート層またはアスファルト層、重合性不飽和樹脂層、および天然油および/またはその誘導体およびポリイソシアネート化合物を必須成分とするウレタン樹脂層を組み合わせ使用することによって、迅速施工性、層間接着性かつ表面仕上がり性に優れる新規な被覆構造体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明の被覆構造体を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、上から天然油および/またはその誘導体(a−1)およびポリイソシアネート化合物(a−2)を必須成分として得られるウレタン樹脂層(A)、重合性不飽和樹脂層(B)およびコンクリート層またはアスファルト層(C)を少なくとも有する被覆構造体であって、好ましくは、重合性不飽和樹脂層(B)が分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)および/または不飽和ポリエステル樹脂(b−2)、およびラジカル重合性不飽和基含有単量体(b−3)であり、好ましくは、分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)がエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂およびポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1種からなるものであり、好ましくはラジカル重合性不飽和基含有単量体(b−3)が(メタ)アクリレート基を有する分子量180以上のアクリル系単量体であり、好ましくは、床材に使用することができる被覆構造体を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の被覆構造体に用いられる前記ウレタン樹脂層(A)の(a−1)成分たる天然油および/またはその誘導体とは、ひまし油、大豆油、やし油、アマニ油、桐油等の天然油、およびそれらの誘導体を指称するものが挙げられ、これらを単独又は2種以上併用して用いられるが、なかでも、ウレタン樹脂層(A)と重合性不飽和樹脂層(B)との層間接着性が特に優れる、水酸基を有するひまし油およびその誘導体が好ましい。また、これら(a−1)成分は疎水性が高く、ウレタン樹脂特有の脱炭酸ガス反応(泡化反応)による塗膜のフクレが抑制されるため、上記天然油および/またはその誘導体をウレタン樹脂層(A)に導入することで、光沢性の高い表面が得られる。
【0007】
ここでいう天然油の誘導体とは、例えば天然油と多価アルコール(グリセロール等)とのエステル交換反応物、天然油の重合体、天然油のジシクロペンタジエン付加物などが挙げられる。好ましくはひまし油の誘導体であり、例えば、ひまし油と多価アルコールとのエステル交換反応物、ひまし油の重合体、ひまし油のジシクロペンタジエン付加物、ひまし油のアルキレンオキサイド付加物、ひまし油のエポキシ化合物、ひまし油のハロゲン化物などが挙げられ、好ましくはひまし油のエポキシ化合物であり、ビスフェノール系エポキシ化合物と高級脂肪酸との反応物が挙げられる。かかるひまし油の誘導体を用いることで表面仕上がり性の優れた被覆構造体を得ることができる。
【0008】
ここでビスフェノール系エポキシ化合物と高級脂肪酸との反応物に用いられるビスフェノール系エポキシ化合物として特に代表的なものを例示すれば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどの各種ビスフェノール類の化合物にエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物で、公知慣用のものであり、それらを単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0009】
かかるビスフェノール系エポキシ化合物と反応せしめるべき高級脂肪酸としては、エチレン性不飽和結合を有する炭素数10〜25の高級脂肪酸が好適であり、その具体例としては、リシノール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などのひまし油脂肪酸、大豆油脂肪酸等が挙げられるが、さらに好ましくは、水酸基を有する高級脂肪酸であり、リシノール酸がそれにあたることから、ひまし油脂肪酸の使用が望ましい。
【0010】
なお、ビスフェノール系エポキシ化合物と高級脂肪酸との反応比率は、エポキシ基とカルボン酸基との当量比で1/1〜1/0.7の範囲が好ましく、さらに好ましくは1/0.95〜1/0.9の範囲である。これらの範囲で合成することにより、(a−2)成分との反応に悪影響を及ぼさず、機械物性が優れた被覆構造体が得られる。
【0011】
特に機械的に過酷な環境下で使用される用途では、本発明の被覆構造体に用いられる(a−1)成分たる天然油にひまし油を用い、また、(a−1)成分たる天然油の誘導体に前記したビスフェノール系エポキシ化合物と高級脂肪酸との反応物をそれらの水酸基当量%の比が4/6〜6/4となる範囲で用いることにより、エポキシ樹脂に近い硬質で高耐久性の被覆構造体を得ることができ有用である。
【0012】
上記したウレタン樹脂層(A)に用いられる(a−1)成分としては、上記した天然油およびその誘導体以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール等の短鎖ポリオール類、および、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド重合体など、他のポリオールを、本発明の効果を損なわない範囲で併用することができ、好ましくは、ビスフェノール系化合物とアルキレンオキサイドとの開環重合により得られる反応物、ポリオール型キシレンホルムアルデヒド樹脂の如き疎水性ポリオールなどが挙げられる。
【0013】
ここで用いられるビスフェノール系化合物として特に代表的なものを例示すれば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられ、それらを単独で用いても、二種以上併用してもよい。また、ビスフェノール系化合物に対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、ビスフェノール系化合物のフェノール性水酸基に1モル以上付加していることが望ましく、好ましくは2モル〜10モルである。
【0014】
前記同様、機械的に過酷な環境下で使用される用途では、本発明の被覆構造体に用いられる(a−1)成分たる天然油にひまし油を用い、さらに前記したビスフェノール系化合物に対するアルキレンオキサイドとの開重合物により得られる反応物をそれらの水酸基当量%の比が2/8〜6/4となる範囲で用いることにより、エポキシ樹脂に近い硬質で高耐久性の被覆構造体を得ることができ有用である。
【0015】
また、前記ポリオール型キシレンホルムアルデヒド樹脂とは、キシレン核に複合的に第三成分を導入し変性して得られるものであり、例えばメタキシレンが、アルキレン、アセタールまたはエーテル結合により結ばれ、末端にキシレン核及びメチロール基やメトキシメチル基を含有する多分子構造のものである。このポリオール型キシレンホルムアルデヒド樹脂は、メタキシレンとホルマリンとを強酸触媒下で反応させて得られるキシレンホルムアルデヒド樹脂の末端にメチロール基またはメトキシメチル基等を導入して得られ、アルキレンオキサイドを付加することも可能である。またさらにこのキシレンホルムアルデヒド樹脂中の反応性に富んだ上記の結合基や末端基に、フェノール類、カルボン酸、アミン、アルコール、あるいは芳香族炭化水素など活性水素を有する化合物を1種類もしくは2種以上を含有するものであってもよい。
【0016】
次に本発明で使用されるウレタン樹脂層(A)において、天然油および/またはその誘導体(a−1)の硬化剤成分であるポリイソシアネート化合物(a−2)として特に代表的なものは、脂肪族系、脂環式系または芳香族系の各種のポリイソシアネート、あるいはそれらの混合物などが挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用して用いられる。
【0017】
それらのうち、まず、脂肪族系ポリイソシアネートとして特に代表的なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略す)などであり、脂環式系ポリイソシアネートとして特に代表的なものは、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、H12MDIと略す)やノルボルネンジイソシアネート(以下、NBDIと略す)などであり、芳香族系ポリイソシアネートとして特に代表的なものは、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す)、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)またはポリフェニルメタンポリイソシアネート(以下、クルードMDIと略す)などであり、あるいは、上掲した如き各種のジイソシアネートの二量体化合物、ビューレットまたはイソシアヌレート構造を有する三量体化合物や、上掲した各種ジイソシアネートとポリオールとの付加反応化合物や、さらには、既知の方法により得られる種々の変性体などである。
【0018】
特別に耐黄変性を重視しない場合には、価格、塗装作業性、硬化性ならびに硬化塗膜の物性などの面で、クルードMDIや変性MDIなど芳香族系のポリイソシアネートの使用が望ましい。
前記ウレタン樹脂層(A)の(a−2)成分たるポリイソシアネート化合物は、該ポリイソシアネートのイソシアネート当量と、成分(a−1)の水酸基当量との比が0.7〜1.5なる量だけ好ましく使用され、かかる範囲の量を用いることで、機械物性や表面仕上がり性等の優れたウレタン樹脂層を得ることができる。
【0019】
さらに本発明のウレタン樹脂層(A)には、充填剤や各種の添加剤成分を含有しても良い。
【0020】
かかる充填剤としては、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、活性アルミナ、水酸化アルミニウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、シリカ、タルク、水硬性ケイ酸塩材料、珪石粉、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、珪砂、川砂、寒水石、大理石屑、砕石などが挙げられ、好ましくは活性アルミナである。
【0021】
その他の添加剤成分としては、アゾ系、銅フタロシアニン系、弁柄、黄鉛、酸化チタン、亜鉛華またはカーボンブラックの如き有機ないしは無機系の着色顔料、および、鉛丹、鉛白、塩基性クロム酸塩、塩基性硫酸鉛、ジンククロメート、亜鉛末またはMIOの如き防錆顔料、さらには、チキソ付与剤、レベリング剤、吸湿剤、シランあるいはチタネート系カップリング剤などの各種助剤をも、必要に応じて添加することができる。さらに必要に応じ、ジブチルチンジラウレートまたはジブチルチンジアセテートの如き有機金属化合物や各種アミン類などの硬化触媒を始め、ジオクチルフタレート、アスファルト、またはタールの如き可塑剤成分や、重油または芳香族炭化水素の如き石油系希釈剤成分などを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することも、一向に、差し支えない。
【0022】
上記の充填剤、添加物等は、主に(a−1)成分に常法の混合機器によりあらかじめ練り合わせて使用される。
【0023】
かくして得られる本発明に用いられる被覆用ウレタン樹脂層(A)は、塗り床材、防食材、防水材などをはじめとする各種の工業的原材料として有用なものであるが、とくにエポキシ樹脂に替わる高硬度(ショアD硬度で60以上)の被覆層として効果を発揮するものである。
【0024】
次に本発明に使用される重合性不飽和樹脂層(B)における分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)とは、好ましくはビニルエステルタイプの樹脂であり、具体的にはウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂から選択されるものであり、より好ましくはウレタン樹脂層(A)との層間接着性が特に優れるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる。
【0025】
かかるウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、好ましくはポリオール、ポリイソシアネートおよび1分子に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートの反応により得られるものであり、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものである。
【0026】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に用いられるポリオールとしては、好ましくは数平均分子量が200〜3000、特に好ましくは400〜2000のものである。このポリオールは、代表的にはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカ−ボネ−トポリオール、ポリブタジエンポリオール等が挙げられ、単独又は2種以上を併用して用いられる。
【0027】
ここで言うポリエーテルポリオールとは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドの他に、ビスフェノールA及びビスフェノールFに上記アルキレンオキサイドを付加させたポリオールも含むことが出来る。
【0028】
又、ポリエステルポリオールとは、二塩基酸類と多価アルコール類の縮合重合体又はポリカプロラクトンの様に環状エステル化合物の開環重合体である。ここで使用する二塩基酸類とは、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。又、多価アルコール類とは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコール等を挙げることができる。
【0029】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に用いられるポリイソシアネートとしては、2,4−TDI及びその異性体または異性体の混合物、MDI、HDI、IPDI、XDI、水添XDI、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができ、それらの単独または2種以上で使用することができる。
【0030】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に用いられる1分子に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0031】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の製造方法の例を挙げれば、▲1▼先ずポリイソシアネートとポリオールを好ましくはNCO/OH=1.3〜2で反応させ、末端イソシアネート化合物を生成させ、次いでそれに水酸基含有(メタ)アクリレート化合物をイソシアネート基に対して水酸基がほぼ等量になるように反応する方法と、▲2▼ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物をNCO/OH=2以上で反応させ、片末端イソシアネートの化合物を生成させ、次いでポリオールを加えて反応する方法等が挙げられる。
【0032】
また、分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)として用いられるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂とは、好ましくは1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するもので、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒の存在下で反応して得られるものである。
【0033】
ここでいうエポキシ樹脂の例を挙げれば、ビスフェノールタイプまたはノボラックタイプのエポキシ樹脂単独、または、ビスフェノールタイプとノボラックタイプのエポキシ樹脂とを混合した樹脂などであって、その平均エポキシ当量が好ましくは150〜450の範囲のものである。
【0034】
ここで、上記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂として代表的なものを挙げれば、エピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくはメチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などである。また、上記ノボラックタイプのエポキシ樹脂として代表的なものには、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などがある。
【0035】
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に用いられる不飽和一塩基酸として代表的なものには、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノ(2−エチルヘキシル)あるいはソルビン酸などが挙げられる。なお、これらの不飽和一塩基酸は、単独でも、2種以上混合しても用いられる。上記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、好ましくは60〜140℃、特に好ましくは80〜120℃の温度においてエステル化触媒を用いて行われる。
【0036】
上記のエステル化触媒としては、たとえばトリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアンリン若しくはジアザビシクロオクタンなどの如き三級アミン、トリフェニルホスフィンあるいはジエチルアミン塩酸塩などの如き公知の触媒がそのまま使用できる。
【0037】
また、分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)として用いられるポリエステル(メタ)アクリレート樹脂とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する飽和若しくは不飽和ポリエステルであり、飽和若しくは不飽和ポリエステルの末端に(メタ)アクリル化合物を反応させたものである。かかる樹脂の数分子量としては、好ましくは500〜5000である。
【0038】
本発明で用いられる飽和ポリエステルとは、飽和二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応、また、不飽和ポリエステルとはα,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものである。
【0039】
ここでいう飽和二塩基酸類とは、前記のポリエステルポリオールの項に示した化合物を挙げることができ、α,β−不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。また、多価アルコール類についても、前記のポリエステルポリオールの項に示した化合物を挙げることができる。
【0040】
また、分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)として用いられるポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の(メタ)アクリル化合物としては、不飽和グリシジル化合物、アクリル酸またはメタクリル酸の如き各種の不飽和一塩基酸、およびそのグリシジルエステル類等である。好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレートの使用が望ましい。
【0041】
次に本発明の被覆構造体に用いられる(b−2)成分の不飽和ポリエステル樹脂としては、前記同様、α,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものが用いられ、かかるα,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類および多価アルコール類としては前記同様のものが用いられる。
【0042】
次に本発明の被覆構造体に用いられる(b−3)のラジカル重合性不飽和基含有単量体とは、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)や不飽和ポリエステル樹脂(b−2)との反応成分である。具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノールプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールPO変性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、スチレン、α−メチルスチレン、メタアクリル酸アミド、炭素数1〜4のアルキル基を有するマレイン酸エステルおよびフマール酸エステル等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用して用いられる。これらのうち、低臭性を有する分子量180以上のモノマーが好適に用いられ、さらにフェニル基および(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が180以上のモノマーが硬化性に優れ、より好適に用いられる。
【0043】
上記のラジカル重合性不飽和基含有単量体とともに、一分子中に少なくとも2個の重合性二重結合を有する化合物も併用可能であり、硬化物表面の耐摩耗性、耐さっ傷性、耐煽動性、耐薬品性等を向上させる目的で好適に用いられる。この一分子中に少なくとも2個の重合性二重結合を有する化合物、即ち多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン−グリコールジ(メタ)アクリレート等があり、これらは単独で、又は2種以上の併用で用いられる。
【0044】
さらには、樹脂硬化物の表面乾燥性を向上させ得るような、ジシクロペンタジエン、ジシクロデカンまたはトリアジンの如き各種誘導体類、例えばジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレートまたは、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等を併用することもできる。
【0045】
本発明で使用される重合性不飽和樹脂層(B)には、空気乾燥性を有しラジカル重合により架橋できる不飽和基を含有する重合体を併用することもできる。ここで言う空乾性とは、重合体中にある特定の官能基が導入されることにより、酸素分子による硬化阻害を受けず、空気中でも速やかに硬化が進行することを言う。この目的で使用され得る樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル等に必須成分として空乾性基を導入したものが挙げられる。
【0046】
上記の空乾性基の例としては、アリル基をはじめとするアルケニル基、アルケニルエーテル基、およびジシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
【0047】
空乾性基導入方法の例としては、以下の方法を挙げることができる。即ち、▲1▼多価アルコール成分にアリルエーテル基を含有する化合物を併用する。▲2▼多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物をアルコール成分に併用する。▲3▼二塩基酸成分に環状不飽和脂肪族多塩基酸およびその誘導体を含有する化合物を併用する。▲4▼ジシクロペンタジエニル基を含有する化合物を併用する。
【0048】
これら▲1▼〜▲4▼のうち、▲1▼のアリルエーテル基含有化合物としては、公知のものがいずれも使用できるが、その代表的なものとしては、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロ−ルプロパンモノアリルエーテル、トリメチロ−ルプロパンジアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物、アリルグリシジルエーテルなどの如きオキシラン環を有するアリルエーテル化合物等が挙げられる。
【0049】
上記▲2▼で用いる乾性油等の油脂油とは、例えば、アマニ油、大豆油、綿実油、落花生油、やし油等がある。また、エステル交換反応で得られるアルコリシス化合物プロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール等の4価アルコールがある。
【0050】
上記▲3▼で用いる環状脂肪族不飽和多塩基酸およびその誘導体を含有する化合物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、α−テルヒネン・無水マレイン酸付加物、トランス−ピペリレン・無水マレイン酸付加物等がある。
【0051】
上記▲1▼〜▲4▼のうち、▲4▼のジシクロペンタジエニル基を含有する化合物としては、ヒドロキシ化ジシクロペンタジエン等が代表的なものとして挙げられる。
【0052】
本発明の重合性不飽和樹脂層(B)には、コバルト系、バナジウム系、マンガン系等の有機酸金属石鹸類、パラフィンワックス、ラジカル硬化剤、光ラジカル開始剤、硬化促進剤、重合禁止剤を使用することができる。
【0053】
かかるラジカル硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的にはジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等公知公用のものが使用される。
【0054】
光ラジカル開始剤としては、光増感剤であり具体的にはベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。
【0055】
硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4-(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4-(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられる。
【0056】
重合禁止剤としては、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、14−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等を挙げることができる。好ましくは樹脂組成物に、10〜1000ppm添加しうるものである。
【0057】
本発明の重合性不飽和樹脂層(B)には、各種添加剤、例えば、充填剤、紫外線吸収剤、顔料、増粘剤、低収縮剤、老化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、補強材等を使用してもよい。
【0058】
かかる充填剤としては、例えば水硬性ケイ酸塩材料、炭酸カルシウム粉、クレー、アルミナ粉、硅石粉、タルク、硫酸バリウム、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、水酸化アルミニウム、セルロース系、硅砂、川砂、寒水石、大理石屑、砕石等が挙げられる。
【0059】
次に本発明の被覆構造体において基体としては、コンクリート層またはアスファルト層(C)が挙げられるが、加えて木材、金属、セラミックおよび紙等を含む基体を用いても良い。
【0060】
本発明の被覆構造体において、コンクリート層またはアスファルト層(C)と重合性不飽和樹脂層(B)の層間にプライマーを塗布してもよい。例えば、湿気硬化性ウレタンプライマー(大日本インキ化学工業(株)製プライアデックT−120−35)やラジカル重合により架橋できる重合性不飽和単量体を用いたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂系プライマー(大日本インキ化学工業(株)製プライマーP−100またはポリライトプライマーまたはディオバーNS−17)が用いられ、ラジカル重合性不飽和単量体にフェノキシエチルメタアクリレートを用いたNS−17が好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、水系ディスパーション、水系エマルション、水溶性樹脂を使用することもできる。
【0061】
また、本発明の被覆構造体の施工に関しては、ローラーやコテ塗り等で塗布することが可能で、被覆量は、ウレタン樹脂層(A)で0.5〜2.0kg/m2、重合性不飽和樹脂層(B)で0.5〜4.0kg/m2が好ましい。
【0062】
本発明の被覆構造体の用途は、工場、実験室、倉庫、クリーンルームなどの塗り床材、舗装材、壁コーティング材、防水材等として用いられ、特に塗り床材として有用であるが、それらのみに何ら限定されるものではない。
【0063】
【実施例】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、文中の「部」および「%」とあるのは、特に断りがない限り重量基準である。
【0064】
参考例1〔ウレタン樹脂層(A)中の成分(a−1−1)の調製例〕
エピクロルヒドリンとビスフェノールAの反応物(大日本インキ化学工業(株)製エピクロン850:エポキシ当量188)の40重量部と、ひまし油脂肪酸(豊国製油(株)製COFA)の60重量部とを、トリフェニルフォスフィンの0.2重量部の存在下に、窒素バブリングしながら110℃で15時間反応させて得られる酸価0.1、水酸基当量265のエポキシエステルの48重量部と、ひまし油(伊藤製油(株)製精製ひまし油LAV:水酸基当量350)の52重量部をブレンドして、水酸基当量が309のポリオール成分(a−1−1)を得た。
【0065】
参考例2〔ウレタン樹脂層(A)中の成分(a−1−2)の調製例〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(日本乳化剤(株)BA−P3グリコール:水酸基当量200)の59重量部と、ひまし油(伊藤製油(株)製精製ひまし油LAV:水酸基当量350)の41重量部をブレンドして、水酸基当量が242なる成分(a−1−2)を得た。
【0066】
参考例3[重合性不飽和樹脂層(B)中のエポキシメタアクリレート重合体の合成]
温度計、撹拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、エピクロン830(大日本インキ化学工業(株)製エポキシ樹脂:エピクロルヒドリンとビスフェノールFの反応物:数平均分子量344)2970部、メタアクリル酸1456部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1.55部、トリエチルアミン13.3部を仕込み、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下90℃まで昇温し、2時間反応させる。次いで、反応温度を105℃まで昇温させ、30時間反応を続け、酸価8.87、エポキシ当量23900のものを得た。この重合体を以下[b−1−1]とする。
【0067】
参考例4[重合性不飽和樹脂層(B)中のウレタンメタアクリレート重合体の合成]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(数平均分子量692.6)1668部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量630.3)650.5部、トリレンジイソシアネート1018部、イソホロンジイソシアネート229.4部を仕込み、窒素雰囲気中80℃まで昇温し、2.5時間反応させ、NCO等量510になったところで、50℃まで冷却した後、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下でトルハイドロキノン0.356部、ヒドロキシエチルメタアクリレート952.6部を加え、90℃まで再度昇温させる。3時間反応させ、残存NCO量0.0427%のウレタンメタアクリレート重合体を得た。この重合体を以下[b−1−2]とする。
【0068】
参考例5[重合性不飽和樹脂層(B)中のポリエステルメタアクリレート重合体の合成]
温度計、撹拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、トリエチレングリコール465部、ジエチレングリコール175部、無水フタル酸740部を仕込み、窒素雰囲気中205℃まで昇温し12時間反応させ、ソリッド酸価27.4になったところで100℃まで冷却した。これにグリシジルメタアクリレート87.0部を加え、130℃で1.5時間反応させて、ソリッド酸価0.80のものを得た。この重合体を以下[b−1−3]とする。
【0069】
参考例6[重合性不飽和樹脂層(B)中の不飽和ポリエステル重合体の合成]
温度計、撹拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、トリエチレングリコール465部、ジエチレングリコール175部、無水フタル酸740部を仕込み、窒素雰囲気中205℃まで昇温し12時間反応させ、ソリッド酸価27.4のものを得た。この重合体を以下[b−1−4]とする。
【0070】
参考例7[空乾性不飽和ポリエステル〔空乾性UPE〕重合体の合成]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジエチレングリコール576部、無水フタル酸285部、無水マレイン酸81部、ピペリレン・無水マレイン酸付加物457部を公知の条件で加熱脱水縮合させて酸価10.2の空乾性ポリエステル樹脂を得た。この重合体を以下[空乾性UPE]とする。
【0071】
<被覆構造体の作製方法>
コンクリート舗道板上にラジカル重合性不飽和単量体としてフェノキシエチルメタアクリレート(以下PhOEMAと省略する)を用いたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂系プライマー(大日本インキ化学工業(株)製ディオバーNS−17)を150g/m2塗布乾燥後、その上に重合性不飽和樹脂(B)を1.0kg/m2塗布する。表面乾燥を確認した後、ウレタン樹脂(A)を1.0kg/m2塗布し、本発明の被覆構造体を得た。
【0072】
<評価方法>
迅速施工性:23℃50%の条件下、本発明の被覆構造体を作製する時間、つまり最後の被覆層であるウレタン樹脂層(A)が歩行可能となる表面硬度(ショアD=50)に達するまでの時間を1時間毎に測定した。
層間接着性:23℃50%の条件下、コンクリート舗道板の代わりにガラス板を用いた以外は、上記<被覆構造体の作製方法>に準じ塗膜を作製し、ガラス板から被覆構造体をはがした後、180度折り曲げて破断させた断面を目視で確認し、重合性不飽和樹脂層(B)とウレタン樹脂層(A)との層間接着を確認した。表面仕上がり性:23℃50%の条件下、<被覆構造体の作製方法>に準じ塗膜を作製し、塗膜表面の60度光沢を光沢計にて測定した。
【0073】
実施例1〜5
上記<被覆構造体の作製方法>に基づいて被覆構造体を作製し、評価を行った。各樹脂層の組成は以下の通り。参考例7で合成した空乾性UPE、および参考例3〜6で合成したb−1−1、b−1−2、b−1−3、b−1−4をそれぞれPhOEMAに溶解させた。樹脂組成物100部に対して、8%オクチル酸コバルト(Co-Oct)1部、130,135,140,145゜Fパラフィンワックスの4種等量混合物0.1部、メチルエチルケトンパーオキシド2部、低温条件下(5℃)では、α.γ−ジカルボニル化合物を0.2部添加、撹拌し、重合性不飽和樹脂層(B)を得た。
【0074】
続いて、重合性不飽和樹脂層(B)上に、参考例1および2で調製したポリオール成分a−1−1、a−1−2をそれぞれ100部、炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製NS−200)40部、活性アルミナ(住友化学工業(株)製BK−112)50部、顔料10部をプラネタリーミキサーにて真空脱泡しながら均一混合したコンパウンドとクルードMDI(日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200)をイソシアネート当量と水酸基当量の比率1.15として十分に均一混合させることによってウレタン樹脂層(A)を得た。各評価の結果を表−1に示す。
【0075】
比較例1
ウレタン樹脂層(A)の代わりにポリオキシプロピレングリコール(PPG)にTDIを付加させたプレポリマーと活性水素化合物(PPGおよび4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(MBOCA))の反応を利用した汎用ウレタン樹脂層(大日本インキ化学工業(株)製プライアデックPF550/E−195)を用いた以外は、実施例1と同様に試験を実施した。結果を表−2に示す。本発明の天然油および/またはその誘導体(a−1)をウレタン樹脂層に含まないため、重合性不飽和樹脂層(B)との層間接着性に乏しく、被覆構造体表面の光沢も低いものであった。
【0076】
比較例2
ウレタン樹脂層(A)の代わりに汎用エポキシ床材(ABC商会製ケミクリートE)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った。結果を表−2に示す。被覆構造体表面の光沢は良好であるものの、重合性不飽和樹脂層(B)との層間接着性に劣るものであった。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【発明の効果】
本発明の被覆構造体は、コンクリート層またはアスファルト層、重合性不飽和樹脂層およびウレタン樹脂層を組み合わせ使用することによって、迅速施工性、層間接着性かつ表面仕上がり性に優れる新規な被覆構造体であり、特に土木建築分野の塗り床材用途に有用である。
Claims (5)
- 上から天然油および/またはその誘導体(a−1)、およびポリイソシアネート化合物(a−2)を必須成分として得られるウレタン樹脂層(A)、重合性不飽和樹脂層(B)およびコンクリート層またはアスファルト層(C)を少なくとも有する被覆構造体。
- 重合性不飽和樹脂層(B)が分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)および/または不飽和ポリエステル樹脂(b−2)、およびラジカル重合性不飽和基含有単量体(b−3)を必須成分として得られる請求項1記載の被覆構造体。
- 分子末端にアクリロイル基を有する重合性樹脂(b−1)がエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂およびポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の少なくとも1種からなるものである請求項2記載の被覆構造体。
- ラジカル重合性不飽和基含有単量体(b−3)が(メタ)アクリレート基を有する分子量180以上のアクリル系単量体である請求項2記載の被覆構造体。
- 床材に使用することができる請求項1記載の被覆構造体。
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