JP4097544B2 - 人工リンパ節 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は人工リンパ節に関する。
【0002】
【従来の技術】
リンパ節は、高度に組織化された三次元構造をとることにより、リンパ球が抗原及び抗原提示細胞と相互作用して抗原特異的な免疫反応(適応免疫)を開始する場所であり、外来の微生物に対して生体を防御するための必須の器官である。
【0003】
近年、突然変異マウスやジーンターゲティング法により作製されたノックアウトマウスの解析から、リンパ節の正常な構造と機能を保持するために、いくつかの腫瘍壊死因子 (TNF)ファミリーのサイトカインとケモカイン関連分子が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。
【0004】
そのうちのTNFファミリー分子のリガンドと受容体を図1に示し、これらの分子のノックアウトマウス又は突然変異マウスの表現型を表1に示す。図1は、リンホトキシン(LT)/ TNFファミリー 分子のリガンドと受容体との関係を示したものである(Fu YX, Chaplin DD. Annu Rev Immunol. 1999;17:399-433)。
【0005】
【表1】
これらのマウスの表現型から、TNF ファミリーのサイトカイン関連分子がリンパ節あるいはその他のリンパ組織の発生と構造に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 LTα、LTβおよび LTβR (LTβ receptor) ノックアウトマウスでは、LTβ-/-、 LT α-/- 、LTβR-/- の順に、リンパ節欠損とリンパ組織の構築異常の程度が増強し、LTβR-/- では、全身のリンパ節とパイエル板が完全に欠損する(表1)。このことから、リンパ組織の構築には、LTβRを介したシグナルが必須であることが分かる。
【0006】
一方、LTα1β2(膜型 LT)の特異的な受容体であるLT βRは、 リンパ球系細胞表面には存在せず、むしろ種々のリンパ組織のストローマ細胞(間質細胞又は支質細胞ともいう)に発現がみられる。この「ストローマ細胞」の存在がリンパ節形成に重要であることは、LT α-/-マウス、あるいは、LTβR -/-マウスと野生型マウスとの相互の骨髄移植の実験より示唆される。すなわち、ノックアウトマウスの骨髄を野生型マウスに移植した場合ではリンパ節が再構築されるのに対し、野生型マウスの骨髄をノックアウトマウスに移植した場合ではリンパ節が再構築されないことより、これらのノックアウトマウスにおけるリンパ節の形成不全は、リンパ球やマクロファージなどの骨髄由来の血球系細胞の異常のためではなく、放射線照射に耐性の細胞であるリンパ節のストローマ細胞の異常によるものであるということが明らかにされたのである。
【0007】
また、1990 年代後半頃から、EST (expressed sequence tag)データベースから多くのケモカイン遺伝子がクローニングされ、受容体のクローニングや、トランスジェニックマウス又はノックアウトマウスの研究が進んだことにより、そのうちいくつかのケモカインがリンパ節の構造又は機能に重要な役割を果たしていることも明らかとなってきた。特に重要な3種類のケモカインについて表2に、また、それらのノックアウトマウス等の表現型を表3に示す。
【0008】
【表2】
【表3】
これらのケモカインの研究から、ストローマ細胞がどのようにリンパ節構築に関与しているのかも理解されるようになった。すなわち、リンパ組織のストローマ細胞は、 LTβRからのシグナルによって、少なくとも何種類かのケモカインを産生することが分かったのである。
【0009】
これまで述べたように、主に遺伝子欠損(突然変異やノックアウト)マウスの研究から、TNF ファミリーのサイトカインやケモカイン関連分子がリンパ節の発生や正常なリンパ組織の構築に必須であることが分かってきた。その一方で、トランスジェニックマウスを使用した研究からも、LTα又はケモカインのリンパ節形成に関する役割が明らかになってきている。
【0010】
ラットのインシュリン遺伝子のプロモーター(RIP:rat insulin promoter)を用いてLTα遺伝子を膵臓のランゲルハンス島で発現させるようにしたトランスジェニックマウス(RIP-LTα Tg)を作製したところ、膵臓のランゲルハンス島周辺に、リンパ節などの二次リンパ組織に特異的に存在する高内皮細静脈(HEV: high endothelial venule)に非常によく似た血管構造を伴う組織化されたリンパ組織の新生(lymphoid neogenesis)が観察されたというのがその最初の報告である(Kratz A, et al., J Exp Med. 1996 Apr 1;183(4):1461-72.(非特許文献1))。それに引き続き、同じプロモーターを用いて作成された数種類のケモカインのトランスジェニックマウスでも、膵ランゲルハンス島周辺の組織で同様のリンパ組織の新生が生じることが示されている(Fan L, et al., J Immunol. 2000 Apr 15;164(8):3955-9. (非特許文献2)、Luther SA, et al., Immunity. 2000 May;12(5):471-81. (非特許文献3)、Chen SC,et al., J Immunol. 2002 Feb 1;168(3):1001-8. (非特許文献4)、Luther SA, et al., J Immunol. 2002 Jul 1;169(1):424-33. (非特許文献5))。
【0011】
これらのトランスジェニックマウスの実験結果より明らかになったことは、「ある条件下でLTαやこれらのケモカインを発現させれば、異所性にリンパ組織を構築し得る(上述のトランスジェニックマウスの場合は、遺伝子発現部位である膵臓ランゲルハンス島の周辺組織でリンパ組織の新生が観察されたことから、周辺組織の何らかの環境がその条件に合致したものと考えられる)」ということである。
【0012】
ところで、近年、進歩の著しい組織工学技術と生体適合性を備えた高分子生体材料を利用して、生体内微小環境を模倣した人工組織・臓器を作製し、臨床に応用するための様々な試みが行われている。
【0013】
しかしながら、人工リンパ組織の構築については世界的にもほとんど知られておらず、最近になってようやく胸腺の再構築について報告されたのみである(Poznansky MC, et al., Nat Biotechnol. 2000 Jul;18(7):729-34. (非特許文献6)、Bennett AR, et al., Immunity. 2002 Jun;16(6):803-14(非特許文献7)、Gill J, et al., Nat Immunol. 2002 Jul;3(7):635-42(非特許文献8))。
【0014】
【非特許文献1】
Kratz A, et al., J Exp Med. 1996 Apr 1;183(4):1461-72
【0015】
【非特許文献2】
Fan L, et al., J Immunol. 2000 Apr 15;164(8):3955-9
【0016】
【非特許文献3】
Luther SA, et al., Immunity. 2000 May;12(5):471-81
【0017】
【非特許文献4】
Chen SC,et al., J Immunol. 2002 Feb 1;168(3):1001-8
【0018】
【非特許文献5】
Luther SA, et al., J Immunol. 2002 Jul 1;169(1):424-33
【0019】
【非特許文献6】
Poznansky MC, et al., Nat Biotechnol. 2000 Jul;18(7):729-34
【0020】
【非特許文献7】
Bennett AR, et al., Immunity. 2002 Jun;16(6):803-14
【0021】
【非特許文献8】
Gill J, et al., Nat Immunol. 2002 Jul;3(7):635-42
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は人工リンパ節を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ストローマ細胞、サイトカイン及び生体適合性高分子材料を用いることで人工リンパ節を構築することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0024】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0025】
(1)サイトカイン、ストローマ細胞及び高分子生体材料を含む人工リンパ節。
【0026】
(2)サイトカインを産生することができるストローマ細胞及び高分子生体材料を含む人工リンパ節。
【0027】
(3)本発明の人工リンパ節には、さらに樹状細胞を含めることができる。ここで、本発明の人工リンパ節において、ストローマ細胞としては例えばTEL-2細胞が挙げられ、高分子生体材料としてはコラーゲンスポンジが挙げられる。また、サイトカインとしてはリンホトキシン及び/又はケモカイン(例えばCCL21、CXCL13又はCCL19)が挙げられる。
【0028】
(4)サイトカインを産生することができるストローマ細胞を付着させた高分子生体材料を非ヒト哺乳動物の組織に移植することを特徴とする人工リンパ節の製造方法。
【0029】
この場合において、非ヒト哺乳動物としてはマウスが挙げられる。また、本発明は、ストローマ細胞を付着させた高分子生体材料をサイトカインの存在下で培養することを特徴とする人工リンパ節の製造方法を提供する。
【0030】
本発明の製造方法において、高分子生体材料としてはコラーゲンスポンジが挙げられる。
【0031】
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の人工リンパ節を含む免疫調節剤。
【0032】
(6)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の人工リンパ節を含む免疫疾患の治療剤。
【0033】
(7)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の人工リンパ節を含む免疫疾患の治療用キット。
【0034】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の人工リンパ節は、少なくとも(1)ストローマ細胞、(2)TNFファミリーのサイトカイン、リンパ球又は樹状細胞のホーミングに関与するケモカイン、および(3)生体適合性高分子材料(高分子生体材料)の三要素を含むものである(図2)。
【0036】
1.人工リンパ節の構成要素
リンパ節とは、リンパ系組織(リンパ球が非リンパ系細胞と相互作用する組織)であって、リンパ球系の細胞の成熟や適応免疫応答に重要な役割を果たす組織器官である。リンパ系組織は一次リンパ組織と二次リンパ組織に分類することができる。一次リンパ組織はリンパ球生成の場所であり、骨髄と胸腺がこれに含まれる。また、二次リンパ組織は、抗原を補足するための特殊な構造をしており、適応免疫応答が開始される場所である。二次リンパ組織(末梢リンパ組織とも呼ばれる)には、脾臓、リンパ節、粘膜関連リンパ性組織(扁桃、気管関連リンパ性組織、腸管関連リンパ性組織、パイエル板(Peyer’s patches (PP))、その他のリンパ球系細胞の凝集塊)が含まれる。
【0037】
本発明の人工リンパ節の構築は、本来のリンパ節の高度に組織化された三次元構造とその専門的な機能を考えると、上述の人工的な胸腺の再構築に比べても容易ではないことが予測された。しかし、本発明者はリンパ節の発生に関する様々な内外の研究報告を検討した結果、リンパ節構築に必須の要素を以下の3つに絞り、それらを組み合わせてマウスの腎皮膜下に移植することによって人工リンパ節を構築できると考えた。
【0038】
(a) リンパ節のストローマ細胞を代替する細胞
(b) リンパ節形成に重要であると考えられているサイトカイン
(c) 生体適合性高分子材料から成る三次元構造骨格
そして、現在までに、この三要素の組み合わせに工夫を重ね、マウスの腎皮膜下に移植することによって、移植後3週間でリンパ節の基本構造に類似した組織構造物を50% 以上の確率で構築することが可能になっている。本発明において、この方法によって人工的に構築されたリンパ節に類似した組織を「マウス人工リンパ節」と呼ぶ。
【0039】
このように人工リンパ節の構築が可能になったと述べるのは、抗原特異的な免疫反応を起こす場として必須であると考えられるリンパ節の基本構造を備えた組織を構築できているからである。その基本構造は、以下の▲1▼〜▲6▼のうち少なくとも▲1▼番、▲2▼番、▲3▼番及び▲6▼番の特徴を有しており、好ましくは▲1▼〜▲6▼のすべての特徴を有するものである。▲4▼、 ▲5▼を必ずしも必須条件としないのは、かつて一度も抗原刺激を受けていないマウスのリンパ節であれば、胚中心をもつ濾胞や形質細胞が少ないことがあるからである。
【0040】
▲1▼ 明確に区別されるT細胞領域とB細胞領域を有する。
【0041】
正常リンパ組織と同様、本発明においてもT細胞とB細胞の領域は明確に分かれており、それぞれ「T細胞領域」「B細胞領域」と呼ぶ。特にB細胞集団のは「濾胞(follicle)」とも呼ぶことができる。
【0042】
▲2▼ T細胞、B細胞とともに免疫反応において重要な役割を果たす樹状細胞が存在する。
【0043】
▲3▼ 中心部に濾胞樹状細胞のネットワークを含むB細胞領域が存在する。
【0044】
濾胞樹状細胞(FDC: follicular dendritic cell)は、「濾胞に存在する樹状の突起を持つストローマ細胞」を意味し、濾胞中心部でネットワークを形成している(FDC network)。FDCは、樹状細胞(DC:dendritic cell)とは別の種類の細胞である。
【0045】
▲4▼胚中心B細胞様の PNA (peanut agglutinin)強陽性 B細胞が存在する。
【0046】
抗原刺激による抗体産生に先立って、濾胞の中心部でB細胞の活発な増殖と形質細胞(抗体産生細胞)への分化が起きる。この部位を胚中心(GC: germinal center)と呼ぶが、この胚中心で活発に増殖するB細胞は、胚中心B細胞 (germinal center B cell) と称する。胚中心B細胞 はPNAとよく結合する性質を持つため、PNA で染色した時にPNA強陽性(PNA high+ )となることが知られている。
【0047】
▲5▼ 抗体産生細胞である形質細胞が存在する。
【0048】
抗体を産生する細胞は、B細胞が最終段階まで分化した細胞であり、これを形質細胞と呼ぶ。
【0049】
▲6▼ リンパ節へのリンパ球の侵入門戸となるHEV様の血管構造が存在する。
【0050】
高内皮細静脈(HEV)は、リンパ節、パイエル板などの二次リンパ組織に特異的に観察される特殊な血管構造であり、一般的な血管とは異なり、背の高い(壁が分厚い)内皮細胞を有する。このHEV は、ある種の接着因子やケモカインを発現しており、リンパ球が血流からこれらの二次リンパ組織に遊走して入ってくる時の入り口となっている。なお、LTαやケモカインのトランスジェニックマウスの論文で「lymphoid neogenesis (リンパ組織の新生)が観察された」という場合は、その新生組織でのHEV の存在を形態的に確認している。
【0051】
(1)サイトカイン
サイトカインとは、各種の血球細胞の増殖と分化を制御するタンパク質性の生理活性物質の総称を意味し、非免疫系細胞を含む細胞の増殖因子及び増殖抑制因子をさすこともある。作用の特性から、インターロイキン、コロニー刺激因子、インターフェロン、ケモカイン、腫瘍壊死因子(TNF)などに分類される。本発明において使用されるインターロイキンとしては特に限定されるものではなく、IL-1〜IL-18の中から任意に選択することができる。コロニー刺激因子としては、G-CSF、M-CSF、GM-CSFなどが挙げられる。インターフェロン(IFN)としては、例えばIFN-α、IFN-β、IFN-γ等が挙げられる。ケモカインとしては、例えばCCL21(SLC)、 CXCL13 (BLC)、CCL19 (ELC)などが挙げられる。TNFとしては、TNF-α又はTNF-β(リンホトキシン)が挙げられる。
【0052】
これらのサイトカインは市販されており、容易に入手することが可能である。
【0053】
(2)ストローマ細胞
ストローマ細胞とは、腺あるいは器官に特異的な固有の機能を持つ様々な細胞(実質細胞)を取り巻く微小環境を構成する細胞の総称であり、「支質細胞」ともいう。この「支質細胞」は、文字どおり実質の細胞を物理的に支持するとともに、細胞同士の相互作用により相手の細胞に何らかの作用を及ぼす機能も果たしていると考えられている。
【0054】
本発明において使用されるストローマ細胞としては、2週齢のBALB/c マウス胸腺から樹立されたTEL-2ストローマ細胞 (Eur. J. Immunol 20: 47-53, 1990)を例示することができる(図3)。このTEL-2細胞は、RPMI-1640 に非働化したFCSを10%、2-メルカプトエタノールを 50μM 添加した培養液で培養することにより維持、継代することができる。3日ごとに Trypsin-EDTA溶液で細胞を培養用ディッシュから剥離し、1/10〜1/20希釈で継代培養すればよい。
【0055】
(3)サイトカイン産生ストローマ細胞
本発明においては、サイトカインをコードする遺伝子を含む発現ベクターを構築しておいて、当該発現ベクターを予めストローマ細胞に導入することにより、サイトカインを産生することができるストローマ細胞を樹立することができる。
【0056】
このTEL-2 ストローマ細胞に上述のサイトカイン又はケモカインを産生させるには、発現ベクターをリポフェクション法等により導入し、G418 (500 μg/ml)を添加した選択培地で10日から2週間培養して、薬剤耐性細胞株を得る。導入遺伝子の発現は、細胞培養上清の生物活性を測定して確認することができる。生物活性の測定には、例えば、ケモカインの場合であれば、T細胞や、B細胞に対する遊走活性を測定する chemotaxis assay を用いることができる。
【0057】
(4)高分子生体材料
本発明において使用される高分子生体材料は、三次元構造骨格を有する生体適合性高分子材料を用いることができる。本発明において「三次元構造骨格」とは「ストローマ細胞とリンパ球や樹状細胞等のリンパ節構成細胞を三次元的に組織化させるための足場」を意味する。また、「生体適合性高分子材料」とは、「生体に何らかの方法で適用した時、生体が異物として排除しようとする反応を極力低く抑えるように工夫された、様々な高分子からなる材料」を意味する。
【0058】
高分子生体材料としては、例えばコラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリグリコール酸、ポリ-L-乳酸などが挙げられる。また、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン又はエチレンビニルアセテート等の非生体分解性の材料も、単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。
【0059】
本発明においては、生体の構成成分でもあり、炎症反応や免疫反応を低く抑えられる点でコラーゲンスポンジが好ましい。「コラーゲンスポンジ」とは、「ウシアキレス腱の不溶性コラーゲンを凍結乾燥することにより、多孔性のスポンジ状にしたものであり、元々は、三次元培養用に開発された組織培養用コラーゲン」を意味する。
【0060】
本発明で使用する高分子生体材料としては、生体分解性のものでも非生体性分解性のものであっても、生体への移植に際して、それ自身の抗原性による免疫反応や、物理的刺激による炎症反応を起こしにくい素材であれば、基本的には、どのような素材でも用いることは可能である。ただし、ストローマ細胞と免疫担当細胞が三次元的に組織化され、人工リンパ節としての機能を期待するためには、例えば、多孔性のものであれば、人工リンパ節構築に適した孔径(ポアサイズ)を持つ高分子材料、または、移植する高分子材料全体の大きさを選択する必要がある。
【0061】
(5)樹状細胞
樹状細胞とは、造血幹細胞由来の樹枝状形態をとる細胞群の総称であり、リンパ系器官はもとより、リンパ系器官以外にも広く分布している。MHC分子の発現が強く、T細胞に対して抗原提示を行い、免疫応答の開始に重要な役割を果たす。
【0062】
本発明に用いる樹状細胞は、その前駆細胞を培養することによって得ることができる。樹状細胞の前駆細胞は、骨髄、臍帯血、末梢血由来の造血幹細胞、末梢血由来の単球細胞などを起源とする。樹状細胞の前駆細胞は、採取した骨髄液、臍帯血、あるいは末梢血液などの懸濁液から必要に応じて分離精製する。
【0063】
樹状細胞の前駆細胞を含む細胞群を増殖させ、さらに成熟樹状細胞へと分化誘導させるには、適切な誘導剤を使用する。誘導剤として、サイトカイン類を選択して使用することができる。サイトカインとしては、例えば5〜20 ng/mlのGM-CSF、IL-1、IL-4、IFN-α、TNF-αなどが挙げられ、これらを単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。樹状細胞を成熟させるには、上記サイトカインを加えたRPMI-1640培地、あるいは McCoy’s培地などを使用し、LPSや既知の抗原を加えて培養すればよい。
【0064】
2.生体への移植による生体内での人工リンパ節の構築
本発明の人工リンパ節を動物生体内において構築するには、サイトカインをコードする遺伝子を含む発現ベクターをストローマ細胞に導入し、当該ストローマ細胞(サイトカインを産生することができる)を高分子生体材料に付着させた後、その高分子生体材料を非ヒト動物の組織に移植すればよい。また、高分子生体材料に付着させる細胞として、ストローマ細胞の他に活性化樹状細胞を加えることもできる。ストローマ細胞を高分子生体材料に付着させるには、高濃度に調整した細胞浮遊液に浸すか、あるいは、26ゲージの針を装着した注射器で注入する。液状の高分子材料の場合であれば、ストローマ細胞と混合してハイブリッド組織を作り、培養液中で培養する。
【0065】
ストローマ細胞を付着させた高分子生体材料の移植の対象となる動物は非ヒト哺乳動物であり、好ましくはマウスである。ヒト型の人工リンパ節を構築するには、ヒト造血系細胞を長期高率に維持できる点で、免疫不全マウス(Ishikawa F, et al., Exp Hematol. 2002 May;30(5):488-94.)を用いることが好ましい。当該免疫不全マウスの体内にストローマ細胞を付着させた高分子生体材料を移植することにより、ヒト免疫系細胞をとりこんだ「ヒト型人工リンパ節」を構築することができる。移植先の組織は、腎皮膜下、皮下、腹腔内などが挙げられるが、腎皮膜下あるいは、皮下への移植が好ましい。
【0066】
マウスの飼育条件は、SPF(Specific Pathogen Free: 特別に指定された十数種類の病原微生物に汚染していないことが保証されている)環境下で塩酸水と滅菌済みの餌を与えて飼育する。
【0067】
その後、マウスの組織からリンパ節を回収する。
【0068】
樹状細胞を生体高分子材料に吸着させるには以下の通り行う。すなわち、7〜12週齢のマウスの大腿骨と脛骨の骨髄腔内を、注射針を装着した注射器を用いてPBSで洗い出し、骨髄細胞液を得る。この骨髄細胞液をナイロンメッシュでろ過して大きな細胞塊等を除き、培養液で所定の細胞濃度に調整する。この細胞浮遊液を、細胞培養用の処理をされていないプラスチック製ディッシュに移し、サイトカインを添加する。3日又は4日毎に細胞上清を全部又は一部入れ替えながら培養する。一定期間培養した後に浮遊細胞を集め、さらにサイトカイン存在下で培養し、樹状細胞を成熟、活性化させる。
【0069】
3.人工リンパ節のin vitro での構築又は培養
(1)人工リンパ節のin vitro での構築
本発明において用いられる培地は、通常、細胞培養に用いられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、MEM、DMEM 、IMDM、RPMI-1640培地、フィッシャー培地等を挙げることができる。
【0070】
培地には、基本成分としてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩素、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、抗生物質、血清などを添加してもよい。
【0071】
上記基本培地に、サイトカイン産生ストローマ細胞を付着させた高分子生体材料を加え、培養する。ストローマ細胞の付着は、高濃度に調整した細胞浮遊液に浸すか、あるいは、26ゲージの針を装着した注射器で注入することにより行う。また、液状の高分子材料の場合であれば、ストローマ細胞と混合してハイブリッド組織を作り、培養液中で培養する。培養液には前記サイトカインを適宜添加して、通常の動物細胞培養用インキュベーターを用いて培養する。サイトカインは、少しずつ放出されるように、徐放性マテリアルとなる高分子材料と組み合わせて三次元骨格としての高分子生体材料の中に組み込むこともできる。人工リンパ節を構成する免疫担当細胞としては、骨髄や、末梢血、二次リンパ組織から調整した造血幹細胞、リンパ球あるいは樹状細胞の前駆細胞及び、リンパ球、樹状細胞等を培養系に添加することにより、供給する。その後、例えば、5%CO2、37℃の条件で、10日〜1ヶ月、好ましくは2週間〜1ヶ月間培養する。培地の交換は、3〜4日ごとに行う。
【0072】
(2)人工リンパ節の培養
本発明の人工リンパ節をin vitro において培養するには、前項2の「生体内で構築された人工リンパ節」の場合は、生体から回収した人工リンパ節を、リンパ球や樹状細胞が生存、増殖を続けるためのサイトカインやその他の刺激因子を添加した培養液中に移して培養を行う。また、本項(1)の「in vitro で構築された人工リンパ節」の場合も同様である。この培養系にも、徐放性マテリアルを加えることもできる。これらの人工リンパ節をin vitro で培養する時には、いずれの場合も、新しい造血幹細胞、リンパ球あるいは樹状細胞の前駆細胞及び、リンパ球、樹状細胞等を調整し、培養系に適宜補充しながら、培養を続ける。
【0073】
4.免疫調節剤、免疫不全症の治療剤、キット
本発明の人工リンパ節は、患者に移植した後は免疫調節剤又は免疫疾患の治療剤として機能する。従って、本発明の人工リンパ節は、免疫疾患の治療用キットとして使用することができる。
【0074】
本発明において「免疫調節」とは 免疫系のバランスのずれを回復させることを意味する。例えば、ヘルパーT細胞のTh1とTh2のバランス(存在比)が悪い時に本発明の人工リンパ節内で、どちらか弱い方の細胞に任意に刺激を加え、両T細胞の比率を整えることができる。
【0075】
また、本発明のリンパ節は免疫不全症等の免疫疾患の治療剤として使用することができる。対象となる免疫不全症は、先天性、後天性免疫不全症候群を含む様々な免疫不全状態、悪性腫瘍、また、その放射線治療後の骨髄抑制による免疫不全等である。
【0076】
本発明の人工リンパ節を患者に移植するときの量(大きさ)は、対象となる患者により適宜設定することができる。例えば成人に移植する場合は、本来のリンパ節と同等の大きさのもの、あるいは、小さい物でも複数個を移植することができる。移植場所は皮下、あるいは、腹腔内が挙げられるが、侵襲の少なさ、移植手術手技の容易さから、皮下への移植が望ましい。
【0077】
また、本発明のキットは、免疫疾患の治療用、または免疫抑制剤や免疫賦活剤の効果判定に際してin vitro での一次的なスクリーニング用として、適当な保存剤、例えば10% DMS0 (dimethly sulfoxide)添加培養液中に保存させることができる。保存温度は-80℃以下の低温である。そして、人工リンパ節の移植や、in vitro での培養が必要とされるときに、用事調製する。
【0078】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0079】
本発明において使用した培養液、培養に用いる試薬、器具は以下の通りである。
【0080】
RPMI-1640:GIBCO社
2-メルカプトエタノール:Sigma社
FCS (fetal calf serum;ウシ胎仔血清): Cell Culture Technologies社
細胞培養液:RPMI-1640 に非働化したFCSを10%、2-メルカプトエタノールを 50μM 添加したものを用いた。
【0081】
Trypsin-EDTA溶液:GIBCO社
G418 (geneticin):GIBCO社
リコンビナントマウス GM-CSF: PeproTech社
LPS (lipopolysaccharide): Sigma社
BSA (bovine serum albumin): Sigma社
培養ディッシュ, 培養プレート, ペトリディッシュ;すべて FALCON社製
〔実施例1〕人工リンパ節構築に用いるストローマ細胞の調製
本実施例は、人工リンパ節に用いるTEL-2 細胞の調製及びその性質に関するものである(図3)。
【0082】
TEL-2細胞は、2週齢の BALB/c マウスの胸腺から樹立されたストローマ細胞である(Nakashima M, et al., Eur J Immunol. 1990 Jan;20(1):47-53.)。TEL-2細胞が人工リンパ節構築のストローマ細胞として相応しいかどうかを調べるために、リンパ節のストローマ細胞の性質として必須の LTβRの発現をRT-PCR (reverse transcription-polymerase chain reaction)で予備的に調べてみた。その結果、TEL-2 細胞は少なくともmRNA (メッセンジャー RNA)のレベルではLTβRを発現していることが確認できた。
【0083】
また、接着因子ICAM-1, VCAM-1が、リンパ組織の一つであるパイエル板の発生に先立って発現することが分かっているので、それらについても FACS (fluorescence activated cell sorter )で調べた。その結果、ICAM-1 の発現は弱かったが、VCAM-1 は強く発現していることが分かった。
【0084】
次に、BALB/c マウス脾臓の total RNAから定法に従ってRT-PCR法によりマウス リンホトキシンα(LTα)、並びにケモカイン(CCL21(SLC)、CXCL13 (BLC)及びCCL19 (ELC))をコードするcDNA をそれぞれクローニングして発現ベクターpCXN2(Niwa H, et al., Gene. 1991 Dec 15;108(2):193-9.)に組み込んだ。この発現ベクターをTEL-2 細胞に導入し、それぞれ安定発現細胞株を樹立した。
【0085】
〔実施例2〕 コラーゲンスポンジ組織の調製
本実施例は、コラーゲンスポンジに TEL-2 細胞を吸着させて、腎皮膜下に移植する方法を示したものである(図4)。
【0086】
まずコラーゲンスポンジ((株)高研)を小さく切り(大きさ、形は一定にする)48ウェルプレートのウェルに1片ずつ入れた。
【0087】
樹立したサイトカイン、あるいはケモカイン産生TEL-2ストローマ細胞は Trypsin-EDTA溶液を用いて剥離し、培養液で1回洗浄して培養液に浮遊させ、さらに、PBS (phosphate buffered saline)、 0.1% BSA/PBSでそれぞれ1回ずつ洗浄した後、1mlの1% BSA/PBSを加えて細胞浮遊液を作製した。この細胞浮遊液を遠心して細胞を沈澱させてペレットの状態にし、少量の1% BSA/PBSに細胞を浮遊させて非常に細胞濃度の濃い均一な細胞浮遊液を作製した。この細胞浮遊液をコラーゲンスポンジの上に滴下し、スポンジを揉むようにして細胞をコラーゲンスポンジに吸着させた。少量の1% BSA/PBS溶液に細胞を浮遊させてコラーゲンスポンジに吸着させているので、乾燥しないように注意した。この細胞を吸着させたコラーゲンスポンジを入れた48ウェルプレートは、マウスの腎皮膜下への移植まで氷上に保った。
【0088】
8週齢から14週齢の BALB/cAnCrj メスマウス(日本チャールズリバー社、SPF環境のマウス飼育室で飼育)に麻酔を施し、体表面を70%エタノールで消毒して右側臥位にした。左季肋部に約1 cm の皮切を加えて、その真下の筋層にもほぼ同じ大きさに切開した。腎周辺の脂肪組織をピンセットでつまんで、腎臓を体外に引き出した。実体顕微鏡下で観察しながら、先の鋭利なピンセットを用いて、腎実質に傷をつけないように注意して腎皮膜を開き、腎皮膜と腎臓の間にコラーゲンスポンジを挿入した。通常、片方の腎臓に2ケ所(腎上極、下極付近)移植するため、左右の腎臓で一匹のマウスあたり計4つのストローマ細胞を付着させたコラーゲンスポンジを移植した(図4)。
【0089】
移植3週間後に移植組織(コラーゲンスポンジ組織と呼ぶ)を回収し、凍結切片を作成して免疫組織学的解析を行った。免疫組織染色で用いた抗体が認識する抗原(マーカー)とそのマーカーを持つ細胞のリストを図5に示す。
【0090】
回収した移植組織の蛍光免疫組織染色の概要は以下の通りである。
【0091】
マウス腎皮膜下から回収した人工リンパ節組織は、OCT compound (凍結切片作製用の包埋剤TissueTech社)に包埋し、液体窒素で急速凍結して凍結切片作製まで-80℃で保存した。凍結組織を厚さ 5μm で薄切して APSコートしたスライドガラス(MATSUNAMI)に貼付し、15〜30分風乾後、冷アセトン(-20℃)で10分間固定した。固定した組織のスライドは乾燥させた後、すぐ組織染色に用いない場合は-80℃で保存した。
【0092】
凍結切片スライドは、 OCT compoundを除くためにPBSで1分3回洗浄した後、抗体の非特異的結合を抑制するために、5%正常動物血清、1% BSA を含む TBS-T (Tris buffered saline, Tween-20)(ブロッキング溶液とする)で30分、室温でインキュベーションした。その後、ブロッキング溶液で希釈した一次抗体を組織切片に滴下し、1時間室温で反応させた。一次抗体が、直接蛍光色素で標識されている場合は、一次抗体反応後、PBS で5分x3回洗浄し、70%グリセリン/PBS で封入した。一次抗体がビオチン標識されている場合は、一次抗体反応後、PBS で5分x3回洗浄してから、ブロッキング溶液で希釈した蛍光色素標識されたストレプトアビジンを、組織切片上に滴下して30分〜1時間室温で反応させた。その後、PBS で5分x3回洗浄して、70%グリセリン/PBS で封入した。このように蛍光免疫染色した組織切片は蛍光顕微鏡で鏡検、CCD カメラで撮影してコンピューターに取り込み、Adobe Photoshopで画像処理を行った。
【0093】
本実施例とその他の実地例において使用した免疫組織染色用の抗体と蛍光標識抗体、あるいは蛍光標識試薬を以下に示す。
【0094】
biotin-anti-VCAM-1、biotin-anti-ICAM-1、FITC-anti-B220、PE-anti-Thy1.2、biotin-anti-CD11c、PE-anti-CD4、FITC-anti-CD8a、biotin-anti-CR1(CD35)、biotin-anti-sydecan-1、purified anti-PNAd、biotin-anti-MAdCAM-1、およびSAv-PE (streptavidin-phycoerythrin) は、BD Pharmingen社より購入し、biotin-PNA (peanut agglutinin) はVector 社、NeutrAvidin-Alexa Fluor350 はMolecular Probe社より購入した。
【0095】
〔実施例3〕 コラーゲン組織における細胞の分布
(1)コラーゲンスポンジ組織には T細胞とともに、B細胞も多数集ってくる(図6)。
【0096】
コラーゲンゲルハイブリッド組織には、B細胞がほとんど集ってこなかったが、コラーゲンスポンジ組織には、T細胞とともにB細胞も多数集ってくることが分かった。B細胞の集ってくる人工組織の構築できる確率は、コラーゲンゲルハイブリッド組織では1%以下だったのに対し、コラーゲンスポンジ組織の場合は10倍以上の確率で効率良く(移植組織の10-20%)、 B細胞が密集して集ってくる組織を人工的に腎皮膜下に構築できるようになった。しかも、図6に見られるように T細胞(赤)とB細胞(緑)がはっきりと区別される領域に分かれて存在する組織も観察された。
【0097】
ただし、このような組織は、コラーゲンスポンジの内部に構築されるのではなく、コラーゲンスポンジの周囲に構築されていることが分かる。すなわち、スポンジは腎皮膜と腎臓の間に移植しているので、このようなリンパ球の集積する組織は、腎皮膜とスポンジとの間、あるいは、スポンジと腎実質の間に形成される。
【0098】
(2)T細胞や B細胞が多数集合してきたコラーゲンスポンジ組織には樹状細胞も存在している(図7)。
【0099】
図7に示す組織の連続切片を T細胞、B細胞マーカーとともに、樹状細胞のマーカーである CD11c に対する抗体で三重染色して調べてみた。図7中、下段の写真は上段の写真を2倍に拡大して撮影したものである。左2枚の正常リンパ節組織の写真と比較してみるとわかるように、T細胞(赤)や B細胞(緑)が多数集合してきたコラーゲンスポンジ組織(右側)には、樹状細胞(青)も存在することが分かる。ただし、右上のコラーゲンスポンジ組織の写真の左下の部分に青く光る比較的大きな構造物が見られるが、これは樹状細胞ではなく、ラーゲンスポンジ組織に樹状細胞が存在していることは、下の拡大した方の2枚の写真を比較してみれば、その特徴的な形(樹状の突起があるような細胞)から判断できる。また、別の切片を用いて赤色で樹状細胞を染色した結果、樹状細胞が確かコラーゲンスポンジが蛍光で非特異的に青く光って見えているだけである。コに存在することが確認できた。
【0100】
〔実施例4〕 樹状細胞を含む人工リンパ節の作製
本実施例は、TEL-2細胞をコラーゲンスポンジに吸着させるとともに、さらに活性化樹状細胞を組み合わせて腎皮膜下に移植する方法を示すものである(図8)。
【0101】
コラーゲンスポンジ((株)高研)に TEL-2細胞を吸着させて腎皮膜下に移植すると、後述の参考例で述べるコラーゲンゲルハイブリッド組織に比べてB細胞が集積してくる効率が10倍以上よくなったが、本発明者は、さらに効率良くリンパ球や樹状細胞を集める組織を作るために、樹状細胞によって何らかの刺激(細胞同士の相互作用、あるいは、樹状細胞が分泌する何らかの液性因子)を人工組織に加えることを思い付いた。そこで、コラーゲンスポンジに TEL-2細胞を吸着させる時に、骨髄細胞由来の活性化樹状細胞を一緒に吸着させ、腎皮膜下に移植することにした。
【0102】
(1)骨髄由来の活性化樹状細胞の調製及びコラーゲンスポンジへの吸着の方法を以下に示す。
【0103】
7週齢から12週齢のメスのBALB/cAnNCrjの大腿骨と脛骨の骨髄腔内を、26ゲージの注射針を装着した注射器を用いてPBSで洗い出し、骨髄細胞液を得た。この骨髄細胞液をナイロンメッシュでろ過して大きな細胞塊等を除き、培養液で2 x 105 cells /mlの濃度に調整して細胞浮遊液を作製した。なお、細胞浮遊液中には赤血球系の細胞がかなり含まれているが、赤血球系の細胞を無視して細胞の濃度を2 x 105 cells/mlと計算した。この細胞浮遊液を、細胞培養用の処理をされていない直径10cm のプラスチック製ディッシュ(ペトリディッシュ)に、 1ディッシュ当たり 7 ml移し、リコンビナントマウスGM-CSF (granulocyte-macrophage colony stimulating factor. PeproTech社より購入)を最終濃度 5 ng/mlとなるように添加した。3日又は4日毎に細胞上清を半分捨て、5 ng/ml のGM-CSFを加えた新しい培養液を加えた。培養8日目又は9日目に浮遊細胞を集め、5 ng/ml のGM-CSF を加えた新しい培養液で2x106 cells/mlの細胞浮遊液を作り、1μg/mlのLPS (あるいは TNF-α)と既知の抗原を加えて細胞培養ディッシュで17〜20時間培養し、樹状細胞を成熟、活性化させた。
【0104】
次に、活性化樹状細胞をストローマ細胞と共に高分子生体材料に吸着させる方法を述べる。コラーゲンスポンジ((株)高研)を小さく切り(大きさ、形は一定にする)48ウェルプレートのウェルに1片ずつ入れた。樹立した LTα、あるいはケモカイン産生TEL-2ストローマ細胞は Trypsin-EDTA溶液を用いて剥離し、培養液で1回洗浄して培養液に浮遊させ、細胞数を数えて氷上に置いた。また、活性化樹状細胞は培養液で2回洗浄して培養液に浮遊させて細胞数を数え、氷上に置いた。その際、樹状細胞をLPS で活性化した場合は、LPSが残らないようにていねいに洗浄した。その後、どちらの細胞も、PBS (phosphate buffered saline), 0.1% BSA/PBSでそれぞれ1回ずつ洗浄した後、1mlの1% BSA/PBSを加えて細胞濃度のほぼ同じ均一な細胞浮遊液を作製した。これらの浮遊液を1対1の容量で混合し、遠心して細胞を沈澱させてペレットの状態にし、さらに少量の1% BSA/PBSで非常に細胞濃度の濃い均一な細胞浮遊液を作製した。この細胞浮遊液をコラーゲンスポンジの上に滴下し、スポンジを揉むようにして細胞をコラーゲンスポンジに吸着させた。少量の1% BSA/PBS溶液に細胞を浮遊させてコラーゲンスポンジに吸着させているので、乾燥しないように注意した。この細胞を吸着させたコラーゲンスポンジを入れた48ウェルプレートは、細胞を吸着させたコラーゲンスポンジをマウスの腎皮膜下に移植するまで氷上に保った。
【0105】
(2)前項の(1)で準備したTEL-2細胞と活性化樹状細胞を吸着させたコラーゲンスポンジを〔実施例2〕と同様の方法でマウスの腎皮膜下に移植した。その結果、T細胞やB細胞が組織に集ってくる効率がさらに改善された(図9)。
【0106】
上段の写真が活性化樹状細胞を混ぜなかったコラーゲンスポンジ組織の組織像であり、下段の写真がTEL-2細胞と共に活性化樹状細胞を混ぜてコラーゲンスポンジに吸着させて移植した組織の写真である。活性化樹状細胞を混ぜた組織の方に、T細胞(赤)とB細胞(緑)がよく集積しているのが分かる。しかも、ぎっしりとコンパクトに集合してフォーカスを形成しているのが観察できる。
【0107】
(3)さらに、コラーゲンスポンジの大きさによるリンパ球集積の効率の違いを検討した(図10)。
【0108】
コラーゲンスポンジの大きさを、上記(2)よりも以前の実験で使用したときの大きさよりも体積にして2〜6倍程度になるように大きくしてTEL-2 細胞と樹状細胞を吸着させて移植すると、T細胞、B細胞が多数集まる組織を構築する確率が良くなった(50%以上の移植組織。実験によっては80%以上)。さらに、集ってくるT細胞や B細胞の数が格段に増加し、それぞれ明確に区別される細胞領域を形成する組織も効率良く構築されるようになった(図10)。
【0109】
〔実施例5〕 コラーゲンスポンジ組織に集まる細胞の同定
(1)まず、コラーゲンスポンジ組織に集まったT細胞がどのような細胞か( CD4 T細胞と CD8 T細胞なのか)、その種類を免疫組織染色によって調べてみた(図11)。CD4 T細胞(赤)と CD8 T細胞(緑)の割合としてはCD4細胞が多数を占めており、また、正常リンパ節のT細胞領域のCD4 T細胞と CD8 T細胞の割合と良く似ていることが分かる。
【0110】
(2) 次に、コラーゲンスポンジ組織に存在する B細胞について検討した。抗体産生を行うようになるリンパ節の濾胞には、胚中心が形成される。その胚中心B細胞は、PNA で染色すると強く染色されることが知られている。そこで、コラーゲンスポンジ組織に胚中心B細胞様のB細胞が存在するかどうかをPNA とB細胞マーカーに対する抗体を用いて二重組織染色を行って調べてみた(図12)。PNA (赤)とB細胞マーカー B220に対する抗体 (緑)で染色すると、PNA陽性B細胞は両方に染まるので黄色く観察できる。この結果から分かるように、免疫したマウスの胚中心に観察されるような黄色の細胞(PNA陽性B細胞、すなわち胚中心B細胞様のB細胞)がコラーゲンスポンジ組織のB細胞集団の中にも存在することが分かる。
【0111】
(3)さらに、コラーゲンスポンジ組織のB細胞集団には、中心部に濾胞樹状細胞のネットワークが形成されているものも存在した(図13)。
【0112】
濾胞樹状細胞(FDC)はリンパ組織の濾胞に特異的に見られる樹状突起をもった特殊な細胞で、濾胞中心部で網目状に広がって存在しており(FDC network)、抗体産生反応の過程でB細胞を選択する役割を果たしていると考えられている。そこで、コラーゲンスポンジ組織にも FDCが存在するかどうかをFDC のマーカーの一つであるCR1 に対する抗体を用いて組織染色して調べてみた。その結果、コラーゲンスポンジ組織のB細胞集団の一部には、中心部に CR1 陽性の FDC と考えられる細胞のネットワークが存在することが分かった。このことは、コラーゲンスポンジ組織の B細胞集団が「単なる B細胞の集合体であるだけではなく、リンパ組織の濾胞としての機能を果たす」ことを示すものである。
【0113】
(4)コラーゲンスポンジ組織には、抗体産生細胞である形質細胞も存在していた(図14)。
【0114】
B細胞が抗原刺激を受けると、あるものは最終的に抗体産生細胞である形質細胞へと分化する。この形質細胞がコラーゲンスポンジ組織に存在するかどうかを形質細胞のマーカーの一つである、Syndecan-1 に対する抗体を用いて組織染色して調べた。図の左半分には、免疫したマウスの鼠径リンパ節と脾臓の組織の染色結果を、右半分にコラーゲンスポンジ組織の染色結果を示してある。コラーゲンスポンジ組織には、免疫したマウスのリンパ節や脾臓と同様、Syndecan-1陽性細胞(赤)、すなわち形質細胞がB細胞集団(緑)の周辺に存在していることが分かる。
【0115】
(5)コラーゲンスポンジ組織には、リンパ節特異的な血管構造である HEV 様の構造物が存在した(図15、図17)。
【0116】
リンパ節には、リンパ球や樹状細胞がリンパ節内に入ってくる時の入り口となる、HEV という血管構造が存在する。前述のトランスジェニックマウスの実験でも、lymphoid neogenesis のメルクマールとして、HEV 様の血管構造の存在があげられており、HEV の存在は重要事項でもある。HEV のマーカーとしては、MAdCAM-1 とPNAd という接着因子が一般的であるので(図16、図18)、コラーゲンスポンジ組織についてもこれらの接着因子に対する抗体を用いて組織染色を行ってみた。
【0117】
その結果、これらのマーカーで染色される、形態的にも HEV 様の構造物がコラーゲンスポンジ組織の中に形成されていることが分かった。
【0118】
〔参考例〕 コラーゲンゲルハイブリッド組織の構築
本参考例は、コラーゲンゲルハイブリッド組織の構築とそれを用いた予備実験を示すものである(図19)。
【0119】
TEL-2 細胞と酸性コラーゲン溶液を混合して37℃で培養すると、コラーゲン溶液がゲル化する。そのゲル化したものを、培養液中で1週間培養すると細胞が増殖すると共に、細胞の収縮力によってゲルも収縮し、細胞を取り込んだ人工組織(コラーゲンゲルハイブリッド組織と名付けた)ができる。これを1mm 角ぐらいの大きさに切って、マウスの腎皮膜下に移植した。このコラーゲンゲルハイブリッド組織にリンパ球が集ってくるかどうか、簡単に調べるために、マウスの脾臓細胞(赤血球を除いているのでほとんどリンパ球)を CFSE (carboxyfluorescein diacetate, succinimidyl ester)という蛍光色素(蛍光顕微鏡で緑色に観察される)で標識して、マウスの尾静脈から注入し、その3週間後に移植組織を回収して蛍光顕微鏡で観察した。
【0120】
その結果、遺伝子を導入してケモカインを産生するTEL-2細胞を含むコラーゲンゲルハイブリッド組織には、親株のTEL-2 細胞(遺伝子を導入していない元の細胞)を含むコラーゲンゲルハイブリッド組織に比べて、優位に多数のリンパ球が集ってくることが分かった(図20)。この実験では、主に T 細胞を遊走させる機能を持つケモカイン、SLC を発現する TEL-2 細胞を用いた結果である。
【0121】
この予備実験より、少なくとも、(1)腎皮膜下が人工リンパ節構築のための移植の場所として使えるということと、(2)ケモカイン産生 TEL-2 細胞にはリンパ球が集ってくることが分かった。
【0122】
このコラーゲンゲルハイブリッド組織にどのようなリンパ球が集ってくるのかを調べるために、組織を腎皮膜下に移植して3週間後に回収し、凍結切片を作成して免疫組織染色を行った(図21)。その結果、T細胞(Thy1.2 陽性細胞、赤)は比較的多数集積するが、B細胞(B220 陽性細胞、緑)はほとんど集ってこないことがわかった。B細胞を遊走させる働きのある BLC を導入した TEL-2-BLCを組み込んだコラーゲンゲルハイブリッド組織を移植しても、あまり多くの B細胞は集ってこなかった。そのうえ、集ってきたリンパ球は散在しており、コンパクトに集合してT細胞領域や、B細胞領域を形成するということはほとんどなかった。
【0123】
【発明の効果】
本発明により、人工リンパ節が提供される。本発明の人工リンパ節は、T細胞領域とB細胞領域が通常のリンパ節と同様に明確に区別されて存在するため、様々な抗原に対する特異的抗体やエフェクターT細胞を効率よく作製できる点で有用である。また、創薬研究においても、免疫系組織に対する免疫賦活剤、免疫抑制剤などの影響をin vitro あるいは、人工リンパ節を移植したマウスを用いて判定することができる。さらに、本発明の人工リンパ節は、基礎医学研究においても、リンパ節形成に関わる細胞や様々な因子の役割を解明し、また、経時的な観察によって胚中心形成、胚中心反応の制御を理解するための材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 LT/TNFファミリー分子のリガンドと受容体との関係を示す図である。
【図2】リンパ節の発生に関与する因子と、本発明の人工リンパ節構築の概念を示す模式図である。
【図3】人工リンパ節に用いるストローマ細胞、TEL-2細胞の性質を示す図である。
【図4】コラーゲンスポンジ組織にTEL-2細胞を吸着させて腎皮膜下に移植する方法を示す図である。
【図5】免疫組織染色で用いた抗体が認識する抗原とそのマーカーを持つ細胞のリストを示す図である。
【図6】コラーゲンスポンジ組織にT細胞及びB細胞が集まっていることを示す免疫組織染色の図である。
【図7】コラーゲンスポンジ組織にT細胞、B細胞とともに、樹状細胞が存在することを示す図である。
【図8】 TEL-2細胞をコラーゲンスポンジに吸着させるとともに、さらに活性化樹状細胞を組み合わせて腎皮膜下に移植する方法を示す図である。
【図9】 TEL-2細胞とともに活性化樹状細胞を組み合わせてマウスの腎皮膜下に移植すると、TEL-2細胞単独の場合よりも、効率良くT細胞及びB細胞が人工リンパ組織に集っていることを示す図である。
【図10】移植するコラーゲンスポンジを大きくすることにより、さらに効率よくリンパ球が集積することを示す図である。
【図11】コラーゲンスポンジ組織に集まったT細胞の種類を示す図である。
【図12】コラーゲンスポンジ組織に存在する B細胞の中に、胚中心B細胞(PNA陽性細胞)様の細胞が含まれていることを示す図である。
【図13】コラーゲンスポンジ組織に存在する B細胞集団の中に濾胞樹状細胞のネットワークが存在することを示す図である。
【図14】コラーゲンスポンジ組織に抗体産生細胞である形質細胞が存在することを示す図である。
【図15】コラーゲンスポンジ組織に、MAdCAM-1陽性のリンパ節特異的な血管構造である HEV 様の構造物が存在したことを示す図である。
【図16】 HEV のマーカーの一つであるMAdCAM-1に対する抗体を用いた正常組織の免疫組織染色の結果を示す図である。
【図17】コラーゲンスポンジ組織に、PNAd陽性のリンパ節特異的な血管構造である HEV様の構造物が存在したことを示す図である。
【図18】 HEV のマーカーの一つであるPNAdに対する抗体を用いた正常リンパ組織の免疫組織染色の結果を示す図である。
【図19】コラーゲンゲルハイブリッド組織の構築とそれを用いた予備実験の方法を示す図である。
【図20】ケモカイン遺伝子を導入したTEL-2細胞を含むコラーゲンゲルハイブリッド組織には、遺伝子を導入していない親株のTEL-2細胞を含む組織に比べて、より効率良くリンパ球(緑の蛍光色素でラベルされている)が集積することを示す図である。
【図21】ケモカインを産生するTEL-2細胞を含むコラーゲンゲルハイブリッド組織へのT細胞とB細胞の集積を示す図である。
Claims (8)
- サイトカインを産生することができるストローマ細胞及びコラーゲンスポンジを含む人工リンパ節であって、
前記サイトカインが、リンホトキシン、CCL21、CCL19、CXCL13、IL−7及びLTβからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
前記人工リンパ節。 - さらに樹状細胞を含む請求項1記載の人工リンパ節。
- ストローマ細胞がTEL−2細胞である請求項1又は2記載の人工リンパ節。
- サイトカインを産生することができるストローマ細胞を付着させたコラーゲンスポンジを非ヒト哺乳動物の組織に移植することを特徴とする人工リンパ節の製造方法であって、
前記サイトカインが、リンホトキシン、CCL21、CCL19、CXCL13、IL−7及びLTβからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
前記方法。 - 非ヒト哺乳動物がマウスである請求項4記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工リンパ節を含む免疫調節剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工リンパ節を含む免疫疾患の治療剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工リンパ節を含む免疫疾患の治療用キット。
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