JP4085842B2 - 熱間鋼材の切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間鋼材の切削に用いられる切削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、1000℃以上(1000〜1200℃位)の温度の熱間鋼材の切削は、表層部の欠陥の除去、溶接バリ等の突起物の除去や表面手入れなどを目的としたもので、▲1▼ガスによって鋼材の表面の疵や突起を溶削するホットスカーファーなどの溶削方法、▲2▼熱間用の砥石を用いた研削方法、そして、▲3▼切削工具を用いた切削方法によって行われている。
【0003】
▲1▼のホットスカーファーは広く普及している方法であるが、除去能率が低いこと、局部的に加熱を加えるため、被手入れ鋼材の表層部に鋼材中の特定元素の濃化を招き、品質が悪化することがあり、高能率で高品質を要求する場合には不向きである。
【0004】
▲2▼の砥石研削も能率が低く、除去量が大きい場合には不向きであり、また、剥がれ落ちた砥粒が鋼材の表層に取り込まれる場合もあり、品質を劣化させることもある。
【0005】
それに対し、▲3▼の切削工具によって熱間鋼材を除去する方法は、除去能率が高く、表層の特定元素の濃化や砥石のように表層部に異物が混入することもなく、品質面を重視し且つ除去量が多い場合には適している。
【0006】
しかし、▲3▼は熱間鋼材からの熱負荷が高く、また、切屑などがバイト表層部に溶着などして、バイト寿命を著しく低下させており、生産ラインでの使用に当たって、切削工具の延命化が課題となっている。これらを回避するために特許文献1に開示されているビレットの連続圧延設備には、熱間ビレットをフラッシュバット溶接などで接合したときに発生する接合部の溶接バリを回転自在とした円形のバイトにより、熱間の突起物を切削する技術が提案されている。また、特許文献2、3には、溶接管の溶接ビードなどの熱間の突起物を、回転自在とした円形のバイトにより除去する技術が提案されている(以下、「先行技術」という)。
【0007】
先行技術は、1000℃程度の高温の熱間鋼材を切削するときに、バイトへの熱負荷を低減させ、バイト寿命を延ばすために提案されてきたものである。
【0008】
【特許文献1】
再公表特許W000/3079
【特許文献2】
特開昭58−143908号公報
【特許文献3】
特開平10−230302号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
熱間スラブなどの表面手入れや、熱間ビレットなどの溶接部にできるバリの除去に、切削工具としてバイトが用いられるが、切削によって除去する被切削物の量が多いので、切削時にバイトの刃先にかかる面圧が高くなり、刃先が受ける熱負荷も大きいので、刃先の温度が急激に上昇する。このような状況での切断においては切屑が刃先に溶着する現象が多く発生する。先行技術においては、回転自在の円形バイトを用いることにより、刃先の切削部を更新させることによって、常時同じ位置で切削することが無いように切削位置が変わるようして切削をすることにより、熱間鋼材の切削中における刃先部の温度上昇を結果的に抑えることが可能となっている。しかし、切削長が長い場合やビレット接合部の溶接バリのように除去量が多い場合においては、刃先の温度上昇を抑えることができずに切屑が刃先に溶着してしまう問題がある。
【0010】
切屑と刃先の付着、すなわち、溶着現象は、そのまま放置すると、切屑がバイト表面に付着した状態で冷えて固着する。このような状態になると、次の切削に支障をきたすばかりか、刃先の刃欠けが起こりやすくなる。
【0011】
切削のバイト刃先への付着を防止するには、被切削材(熱間鋼材)との親和性が低い材質を選ぶことにより回避できると言われており、鋼材との親和性が低い材料として、セラミックなどを用いる例もある。しかし、セラミックは高価であるとともに脆いので、ビレット接合部の溶接バリや熱間スラブの表面手入れのような切削速度が速くて除去量が大きい切削においては、バイトに衝撃力が加わる可能性が高いので使用することができない。
【0012】
従って、本発明の目的は、上述の課題を解決し、1000℃以上の温度の熱間鋼材の表層部の欠陥の除去、溶接バリ等の突起物の除去や表面手入れにおいて、高い除去能率で、除去部の品質を悪化させずに、必要とする手入れが可能であり、高温に耐え、しかも、切削による熱間鋼材の切屑の付着を防ぎながら切削することができ、寿命を格段に延命化することができる熱間鋼材の切削工具を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、熱間鋼材の切削に用いる工具において、前記工具が、Ni基合金からなる部分と前記Ni基合金からなる部分の表面に形成された酸化物膜とからなり、前記Ni基合金は、質量%で、C:0 . 05〜0 . 1%、Cr:17〜20%、Mo:4〜7%、Co:10〜14%、Al:1〜3%、Ti:1〜4%、残部Niおよび不可避的不純物からなり、前記酸化物膜は、前記Ni基合金からなる部分の表面を900℃以上の温度に加熱することにより前記Ni基合金からなる部分の表面に形成されていることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記工具が、工具本体と、前記工具本体先端部の切削部とからなり、前記切削部が前記Ni基合金からなっていることに特徴を有するものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記切削部は、前記工具本体先端部に溶射または溶着された前記Ni基合金からなっていることに特徴を有するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
まず、本発明に用いられる切削工具の材質について説明する。
【0022】
1000℃のスラブ(熱間鋼材)の表面に対し、切削幅を100mm、切込量を数mm(2〜3mm)とする平面切削試験を、▲1▼セラミック、サーメット(▲2▼TiC、▲3▼TiN)、▲4▼超硬合金(WC)、超耐熱合金(▲5▼Fe基合金、▲6▼Co基合金、▲7▼Ni基合金)の各材質を用いて製造した切削工具によって実施した。本発明のNi基合金▲7▼および他の超耐熱合金▲5▼、▲6▼を用いた工具は円形バイト(図1、図2参照)および矩形バイト(図3、図4参照)とし、セラミック▲1▼、サーメット▲2▼、▲3▼、超硬合金▲4▼を用いた工具は、材質の問題から矩形バイト(図3、図4参照)とした。バイトの製造方法は各材質によりさまざまであるが、いずれも上記各材質からなる部分によって切削がなされるように調製した。
【0023】
円形バイト10は、図5に示すように、軸を中心にしてフリー回転可能な状態、および、回転しないように固定した状態(図示せず)の2つの切削条件によって取り付けた。図5において、10は円形バイト、4はスラブ(熱間鋼材)、5は切削面、6は切屑である。図6は、円形バイトによって平面切削する状況を示す。
【0024】
上記の各材質を用いたバイトによって熱間スラブ(熱間鋼材)を切削した結果、セラミック▲1▼からなるバイトおよびNi基合金▲7▼からなるバイト以外の材質▲2▼〜▲6▼からなるバイトは、バイト刃先に切屑が付着した。
【0025】
セラミックバイト▲1▼は切屑は付着しなかったが、切削による面圧に耐えられず、直ぐに亀裂が入り、壊れてしまった。
【0026】
Ni基合金バイト▲7▼は、矩形バイト、円形バイト(回転可能および固定)のいずれの場合でも切屑の付着が無く熱間鋼材との親和性が低いことがわかった。更に、熱負荷および切削負荷にも耐えることができた。
【0027】
更に、平面切削試験の前に、Ni基合金バイト▲7▼のNi基合金からなる部分の表面を、バーナーや加熱炉で酸化させて特定元素を表層に濃化させ、表面に酸化物膜を形成し、しかる後に試験を行ったところ、新しく作られた状態よりも、このように表面に酸化物膜を形成させたときのほうが、切削時の切屑付着を防ぐ効果がより向上することがわかった。本発明においては、切削工具として、熱間鋼材との親和性が低く超耐熱合金であるNi基合金を用いるべきである。
【0028】
次に、本発明に用いられるNi基合金の化学成分組成について説明する。
【0029】
Ni基合金は、クリープ破断強さに優れ、航空用や一般産業用のガスタービンの材料を主な対象として発達したものであるが、従来、Ni基合金を本発明のように熱間鋼材の切削工具に適用した例は皆無である。本発明は、Ni基合金をこのような用途に用いることに特徴を有するものである。
【0030】
熱間鋼材の切削工具としての要求性能を示すと下記の如くである。
【0031】
▲1▼ 充分な高温強度を有すること。熱間鋼材からの熱および切削発熱に耐えるためである。高温強度とは、特にクリープ破断強度に代表される抗クリープ特性である。抗高温クリープ特性に優れることを特徴とするNi基合金では、析出強化として、γ'(ガンマプライム)の析出(Al、Ti)が主体である。
【0032】
▲2▼ 高温耐食性を有すること。高温かつ水蒸気雰囲気下での使用、例えば、工具冷却用などでの使用である。
【0033】
▲3▼ 熱間での被切削材(鋼材)との親和性が低いこと。被切削物の溶着防止のためである。
【0034】
本発明者らが、上記▲1▼〜▲3▼を満足できるNi基合金について研究した結果、請求項4に規定する下記の化学成分組成が好ましいことがわかった。
【0035】
質量%(mass%)で、
C :0.05〜0.1%、
Cr:17〜20%、
Mo:4〜7%、
Co:10〜14%、
Al:1〜3%、
Ti:1〜4%、
残部Niおよび不可避的不純物。
【0036】
以下、各成分について説明する。
【0037】
C:
CはNiマトリックスへの固溶度は低く、上述してきた成分では、Crなどと炭化物を生成し、マトリックス中に固溶するCrを消費する。過度の添加は、耐高温酸化特性を低下することから、0.05〜0.1%が望ましい。
【0038】
Cr:
Crは、マトリックスに固溶し、高温酸化、高温腐食を阻止することに有効であるとともに、γ'(ガンマプライム)相の析出を促進する効果もあり、双方の効果を効率的に発揮するには、17〜20%が望ましい。
【0039】
Mo:
Moは、Niマトリックスの固溶強化に有効であるが、クリープ破断強さや延性を低下させるσ(シグマ)相を生成しやすくすること、高温酸化、高温腐食の面からその添加量は制約され、4〜7%が望ましい。
【0040】
Co:
Coは、マトリックスに固溶し、高温強度の強化に有効であるとともに、γ'(ガンマプライム)相の生成を促進するが、耐食性の観点からは上限は制約され、10〜14%が望ましい。
【0041】
Al、Ti:
Alは、Niとγ'(ガンマプライム)相(析出物)を構成する。Tiは、Alと置換してγ'(ガンマプライム)相に固溶する。更に、Tiは、γ'(ガンマプライム)相を安定化、析出量を増し、強度を上昇させる。経済的に抗クリープ特性を実現するには、Al:1〜3%、Ti:1〜4%が望ましく、また、AlとTiを略同量添加することが有効であり、その量(Al+Ti)は2〜7%が望ましい。
【0042】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施例に係る円形バイトの斜視図、図2は、断面図である。図面に示すように、円形バイト10は、円筒状の円形バイト本体11と、本体11の先端部の刃先部12とからなっている。刃先部12はNi基合金からなっている。Ni基合金からなる刃先部12は、円形バイト本体11の先端部の円筒部全周にわたり、肉盛溶射または溶着により、刃形状に再加工されて切削部を構成している。円形バイト本体11は、熱間鋼材の切削に適する強度を有し、Ni基合金を溶射や溶着できる鋼材からなっている。
【0044】
図3は、本発明の他の実施例に係る矩形バイトの斜視図、図4は、断面図である。図面に示すように、矩形バイト20は、直方体の矩形バイト本体21と、本体21の先端部の刃先部22とからなっている。刃先部22はNi基合金からなっている。Ni基合金からなる刃先部22は、矩形バイト本体21の先端部の全長にわたり、肉盛溶射または溶着により、刃形状に再加工されて切削部を構成している。矩形バイト本体21は、熱間鋼材の切削に適する強度を有し、且つ、Ni基合金を溶射や溶着できる鋼材からなっている。
【0045】
次に、本発明工具によるビレット溶接バリの除去について説明する。
【0046】
図8は、熱間鋼材切削装置を示す斜視図である。連続圧延設備は、複数の角ビレット(熱間鋼材)8をフラッシュバック溶接などにより接合して棒鋼とし、それを圧延機(図示せず)に送り込んで圧延するようになっている。この連続圧延設備のラインの途中に図8に示す切削装置3が設置されている。本発明工具は、請求項4に規定する本発明範囲内のNi基合金を用いた図1、図2に示す円形バイト10からなり、切削装置3に取り付けられている。このような設備による連続圧延において、角ビレットの接合部の溶接部にビレット溶接バリ7が発生する。ビレット溶接バリ7は、図9に示すような断面形状を有しており、100mm角〜150mm角の角ビレットにおいて、バリ高さが10mm、バリの裾野幅が20mm以上近くになる。
【0047】
通常において、切削装置3は、連続的に搬送されてくる溶接接合済みのビレット8に対して固定されており、ビレット8の搬送、すなわち、圧延機によるビレットの引き込み力を利用してビレット溶接バリ7を切削除去する。そのため、溶接バリの除去が短時間に行われるため除去による負荷が大きい。更に、溶接直後の溶接バリの温度は1200℃にもなり、ビレットも1000℃位の熱間状態にある。従って、このような重切削により、バイト面は切削時の面圧負荷、バリ部(切屑)からの熱負荷、および、ビレットからの輻射による熱負荷を受ける。そのとき、切屑とバイト刃先部は高い面圧と高温とにより、境界部で材質変化等が生じ、切屑がバイト刃先表層に溶着する。本発明のバイトは、バイト刃先部の材質を熱間鋼材との親和性が低く且つ超耐熱合金であるNi基合金で構成しているため、この切屑溶着を回避することができる。且つ、熱負荷および切削負荷にも耐えることができる。
【0048】
図10〜12は、回転自在の円形バイトによるバリ取りを示す平面図である。図10〜12中の直線矢印は角ビレット(熱間鋼材)8の移動方向を示し、曲線矢印は円形バイト10の回転方向を示す。刃先部がNi基合金からなる円形バイト10は、切削装置(図示せず)に取り付けられ、角ビレット8の搬送に対して固定され、且つ、円形バイト10は軸を中心に回転自在となっており、移動する角ビレット8との接触によりフリー回転可能となっている。このように円形バイト10が回転自在となっているので、切削時に切削力を利用して回転し、切削面を更新しながら切削することによりバイト寿命を延命化することができる。図10は1つの円形バイト10を取り付けた例、図11は、ビレット8の幅方向両側に2つの円形バイト10a、10bを長手方向にずらして取り付けた例、図12は、ビレット8の幅方向両側および中央に3つの円形バイト10a、10b、10cを、長手方向にずらして取り付けた例である。
【0049】
図10〜12に示すように、ビレット接合部に発生した溶接バリ7が圧延機等に引き込まれて搬送されているときにその搬送力で回転しながらバリ7をバイト10(10a、10b、10c)によって除去する。円形バイト10が回転自在なので、刃当たり面が更新され、刃先の温度上昇は抑えられるが、溶接バリが温度が高く、切削量も多いので、切屑の付着が懸念される。しかし、刃先部にNi基合金を用いているので、切除されたバリ7はバイト10(10a、10b、10c)に付着することなく切屑となり、ビレット8の上面に停滞し、バイト10(10a、10b、10c)の回転により、ビレット8の上面から外に押し落とされる。
【0050】
また、特に連続的な切削作業でない単発的な操業においては、刃先部をNi基合金とした矩形バイト(図3、図4参照)を用いて、斜めに千鳥で固定配置することにより、ビレットの溶接バリを除去してもよい。図13は、矩形のバイト20をビレット8の進行方向に対して斜めに固定して取り付けた例、図14は、ビレット8の幅方向両側に2つの矩形バイト20a、20bを長手方向にずらして斜めに千鳥状に配置して固定して取り付けた例である。
【0051】
図5は、熱間スラブの表層平面をNi基合金からなる回転自在の円形バイトによって切削する状態を示す斜視図、図6は、平面図である。図面に示すように、熱間鋼材の表層を数mmの深さで木材のカンナ削りをするがごとく切削することによって、表層部の欠陥部が切削除去される。円形バイト10は、回転しながら、熱間スラブ(熱間鋼材)4の表面を切削する。切削によって、切屑6はカンナ屑と同様に巻き形状(カール状)となって出てくる。熱間スラブの温度は約1000〜1200℃位(約800℃〜位の場合もある)となっており、また、切削長は数m、切込量も3mm以下位、円形バイト当り100mm幅以上の重切削となる。図7は、平面全面切削を示す平面図で、円形バイト10a〜eを、熱間スラブ4の幅方向および長手方向にずらして取り付けた例である。図5〜7中の矢印はスラブ4の移動方向を示す。
【0052】
このような重切削、すなわち、面圧が高く、熱負荷の大きい切削の場合には、熱間スラブ4と円形バイト10の刃先表面との親和性が高いと、円形バイト10により切削された切屑がカール状に排出されず、切屑が刃先表面に溶着し、切屑6は円形バイトに巻き付くような形で切り取られるが、本発明のように刃先部がNi基合金化されていれば(図1、図2参照)、図5に示すように切屑6はカール状となって排出される。
【0053】
更に、Ni基合金によって刃先を製作した後、Ni基合金からなる部分(刃先部12)の表面をバーナーなどで900℃以上の温度に加熱し酸化物膜を形成すると、Ni基合金の表層に切屑が溶着するのを防ぐ効果がより大きくなる。本発明の実施例は、上記に述べた切削工具の全てにおいて、Ni基合金によって刃先を製作した後、Ni基合金からなる部分(刃先部12)の表面をバーナーなどで900℃以上の温度に加熱し酸化物膜を形成したものからなっている。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、下記に示す有用な効果がもたらされる。
(1)超耐熱合金のNi基合金を工具の材質に用いることにより、1000℃以上の高温の熱間鋼材の突起物の除去や表面手入れなどにおいて、高い面圧や熱負荷に耐え、高い除去能率で、除去部の品質を悪化させずに、必要とする手入れをすることができる。
(2)Ni基合金の工具は熱間鋼材の高温に耐え、しかも、切削による熱間鋼材の切屑の付着を防ぎながら切削することができるので、工具の寿命を格段に延命化することができる。
(3)Ni基合金の部分の表面を、事前にバーナーや加熱炉で酸化させて、特定元素を表層に濃化させ、表面に酸化物膜を形成することにより、切削時における切屑の付着を防ぐ効果をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る円形バイトの斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る円形バイトの断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る矩形バイトの斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る矩形バイトの断面図である。
【図5】熱間スラブの表層平面を回転自在の円形バイトによって切削する状態を示す斜視図である。
【図6】円形バイトによる部分平面切削を示す平面図である。
【図7】複数の円形バイトによる全面平面切削を示す平面図である。
【図8】切削工具が取り付けられる切削装置を示す斜視図である。
【図9】ビレット溶接バリ断面を示す模式図である。
【図10】1つの円形バイトによるバリ取りを示す平面図である。
【図11】2つの円形バイトによるバリ取りを示す平面図である。
【図12】3つの円形バイトによるバリ取りを示す平面図である。
【図13】1つの矩形バイトによるバリ取りを示す平面図である。
【図14】2つの矩形バイトによるバリ取りを示す平面図である。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c 円形バイト
11 円形バイト本体
12 刃先部
20、20a、20b 矩形バイト
21 矩形バイト本体
22 刃先部
3 切削装置
4 熱間鋼材(スラブ)
5 切削面、
6 切屑
7 ビレット溶接バリ
8 熱間鋼材(角ビレット)
Claims (3)
- 熱間鋼材の切削に用いる工具において、前記工具が、Ni基合金からなる部分と前記Ni基合金からなる部分の表面に形成された酸化物膜とからなり、前記Ni基合金は、質量%で、C:0 . 05〜0 . 1%、Cr:17〜20%、Mo:4〜7%、Co:10〜14%、Al:1〜3%、Ti:1〜4%、残部Niおよび不可避的不純物からなり、前記酸化物膜は、前記Ni基合金からなる部分の表面を900℃以上の温度に加熱することにより前記Ni基合金からなる部分の表面に形成されていることを特徴とする熱間鋼材の切削工具。
- 前記工具が、工具本体と、前記工具本体先端部の切削部とからなり、前記切削部が前記Ni基合金からなっている請求項1記載の熱間鋼材の切削工具。
- 前記切削部は、前記工具本体先端部に溶射または溶着された前記Ni基合金からなっている請求項2記載の熱間鋼材の切削工具。
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