JP4083424B2 - オレフィンのエポキシ化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タングステン化合物の存在下に過酸化水素を酸化剤として用いる炭素数6以上のオレフィンのエポキシ化方法に関する。本発明により得られるエポキシ化合物は、農薬・医薬の中間体、各種ポリマーの原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン類のエポキシ化方法として、従来、(1)硫酸などの酸性触媒および硫酸ナトリウムなどの塩類の存在下、酢酸などのカルボン酸および過酸化水素によりエポキシ化する方法(特開平5−320150号公報参照)、(2)メチルレニウムトリオキサイドを触媒として過酸化水素によりエポキシ化する方法[インオーガニック ケミストリー(Inorganic Chemistry)、第37巻、467−472頁(1998年)参照]、(3)チタノシリケートおよび過酸化水素を用いてエポキシ化する方法[ジャーナル オブ キャタリシス(Journal of Catalysis) 、第140巻、71−83頁(1993年)参照]、
【0003】
(4)第4級アンモニウムイオンとリンなどの周期律表第V族元素およびタングステンのヘテロポリ酸イオンの塩から誘導されるタングステンのオキソ錯体を調製し、該タングステンのオキソ錯体を調製系から単離して触媒として用い、過酸化水素でエポキシ化する方法(特開昭62−234550号公報参照)、(5)式Q3 XW4 O24(式中、Qは70個までの炭素原子を含む4級アンモニウムカチオンを表し、XはPまたはAsを表す)で示される触媒およびジオレフィンを含む有機相と過酸化水素を含む水相とを反応させてエポキシ化する方法(特開平4−275281号公報参照)、(6)反応系にオレフィン、過酸化水素、タングステン酸などの第一触媒成分、リン酸などの第二触媒成分およびオニウム塩を一括して仕込み、オレフィンを有する有機相と過酸化水素を有する酸性水相からなる二相系においてエポキシ化する方法(特公平1−33471号公報参照)、(7)タングステン酸、リン酸および過酸化水素が溶解した水相と、脂環式オレフィンおよびオニウム塩が溶解した水不溶性溶媒相からなる不均一系でエポキシ化する方法(特開平5−213919号公報参照)、(8)1,5,9−シクロドデカトリエンおよび第3級アミンまたはその塩を含む有機相とタングステン原子を含むヘテロポリ酸などの触媒および過酸化水素を含む水相の二相系でエポキシ化する方法(特開平11−349579号公報参照)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法(1)では、反応系で生成する過ギ酸などの過酸は爆発性が高く取扱いが危険であり、エポキシ体が反応系内に存在するカルボン酸と反応することによりエステル体等が生成してしまい、目的とするエポキシ体の選択率が低下する。方法(2)では、高価な貴金属触媒を使用しており、また加水分解反応が進行してエポキシ化選択率は低い。方法(3)では、基質特異性が激しく、親水性の低いオレフィンではエポキシ化選択率は低い。
【0005】
方法(4)では、触媒調製系よりタングステンのオキソ錯体を単離して使用しなければならず、操作が煩雑である。タングステンのオキソ錯体は、過酸化水素の不存在下では水に不溶であり、懸濁状態から反応を開始するため、過酸化水素を連続的に滴下する場合、過酸化水素がある程度反応系に送り込まれ、過酸化水素が蓄積された状態から急激に反応が進行し、非常に発熱が大きく危険である。方法(5)では、触媒が界面活性作用を有するため、反応終了後の相分離に塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒を使用しなければならず、環境負荷が大きい。方法(6)の初期段階では、過酸化水素が大過剰にある系にタングステン酸を加えるため、過酸化水素の分解により、系内で酸素が発生して危険性が非常に高く、しかもエポキシ化反応に使用される過酸化水素の効率は低い。
【0006】
方法(7)では、予めタングステン酸と過酸化水素を接触させており、方法(4)のように触媒が懸濁状態になることはないが、過酸化水素はタングステン酸との接触により分解し、系内で酸素が発生して危険性が高く、しかもエポキシ化反応の過酸化水素あたりの効率は低い。方法(8)は、第3級アミンを使用し、該アミンを系内に存在する酸により4級化しながら反応を行うか、または第3級アミンから調製されるブレンステッド酸塩を使用することを特徴としているが、系内に完全に4級化されないアミンが存在する場合、過酸化水素の分解が一気に起り、危険性が非常に高いだけでなく、過酸化水素当りの選択率が低くなり経済的ではない。また、第3級アミン種が酸化され、消費されてエポキシ化反応が途中で停止する恐れがあり、方法(8)は効率の良い手法とは言い難い。以上のとおり、上記の方法はいずれも工業的に有利にオレフィンをエポキシ化する方法とは言い難い。
【0007】
本発明の目的は、安全に、効率的に、かつ工業的に有利にオレフィンをエポキシ化する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】
[式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、炭素−炭素二重結合を1個以上有する置換されていてもよいアルケニル基(但し、基中の複数個の炭素−炭素二重結合は互いに非共役関係にあり、かつ該炭素−炭素二重結合は式中の炭素−炭素二重結合と非共役関係にある。 )、ニトロ基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、R1 、R2 、R3 およびR4 が表す基が有する炭素原子の合計数は4以上である。]
【0011】
で示されるオレフィンおよび第4級アンモニウム塩を含む有機相にタングステン化合物およびリン酸類を含む水溶液と過酸化水素水溶液を同時に、1時間以上かけて、添加することを特徴とする炭素数6以上のオレフィンのエポキシ化方法である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、タングステン化合物およびリン酸類を含む水相のpHが2〜6の範囲にある状態で炭素数6以上のオレフィンのエポキシ化反応を行う。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記一般式において、R1 、R2 、R3 およびR4 が表すハロゲン基原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。R1 、R2 、R3 およびR4 が表すアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などの直鎖状アルキル基;シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのエステル基などが挙げられる。
【0014】
R1 、R2 、R3 およびR4 が表すアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのエステル基などが挙げられる。
【0015】
R1 、R2 、R3 およびR4 が表す炭素−炭素二重結合を1個以上有するアルケニル基は、基中の複数個の炭素−炭素二重結合は互いに非共役関係にあり、かつ該炭素−炭素二重結合は上記一般式中に示される炭素−炭素二重結合と非共役関係にあるものであり、例えばアリル基、メタリル基、プレニル基、7−オクテニル基、ネリル基、ゲラニル基などが挙げられる。これらのアルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのエステル基が挙げられる。
【0016】
R1 、R2 、R3 およびR4 が表すアルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、またエステル基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0017】
一般式(I)で示される炭素数6以上のオレフィンとしては、例えば、1−へキセン、2−へキセン、3−へキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテンなどの直鎖状オレフィン;3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−2−ペンテンなどの分岐状オレフィン;ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトロネロール、ラバンジュロール、フィトール、イソフィトールなどのアルコール型オレフィン;5−クロロ−2−メチル−2−ペンテン、シトロネリルブロミド、シトロネリルクロリド、ゲラニルクロリド、ゲラニルブロミドなどのハロゲン含有オレフィン;ジプレニルエーテル、ジイソプレニルエーテル、メチルゲラニルエーテルなどのエーテル型オレフィン;ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、シトロネリルアセテート、ラバンジュリルアセテート、イソフィトールアセテートなどのエステル型オレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどの直鎖状非共役ジエンなどを挙げることができる。本発明において、基質として炭素数5以下のオレフィンを使用する場合、得られるエポキシ化生成物が水との親和性が高いことから、加水分解反応が進行してオキシラン環が容易に開環する傾向にあり、また異性化によりケトンが生成し易くなる。
【0018】
第4級アンモニム塩としては、例えば塩化テトラヘキシルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルエチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、臭化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化トリオクチルエチルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルエチルアンモニウム、ヨウ化セチルピリジニウム、硫酸水素テトラヘキシルアンモニウム、硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素トリオクチルエチルアンモニウム、硫酸水素セチルピリジニウムなどが挙げられる。これらの中でも塩化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムが特に好ましい。第4級アンモニウム塩は、単独または2種類以上を混合して使用される。第4級アンモニウム塩の使用量は、タングステン1原子に対して0.1〜5.0倍モルの範囲であるのが好ましく、0.5〜3.0倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0019】
タングステン化合物としては、例えば、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウムなどのタングステン酸塩;12−タングストリン酸およびそのナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩などが挙げられる。これらの中でもタングステン酸アンモニウム、12−タングストリン酸が好ましい。タングステン化合物は、単独または2種以上を混合して使用される。タングステン化合物の使用量は特に制限されないが、炭素数6以上のオレフィンに含まれる二重結合1モルに対してタングステン1グラム原子換算で0.00001〜0.05モルの範囲であるのが好ましく、0.0001〜0.005モルの範囲であるのがより好ましい。
【0020】
リン酸類としては、例えばリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素アンモニウムなどが挙げられる。これらの中でもリン酸を用いることが好ましい。リン酸類の使用量は、環境負荷の高いハロゲン化炭化水素系溶媒を用いなくとも安定的に機能する触媒活性種を系中で調製できる観点から、該リン酸類に含まれるリンの当量として、タングステン1原子に対して0.5〜100倍モル以上の範囲であるのが好ましく、0.5〜10倍モル以上の範囲であるのがより好ましい。
【0021】
本発明において、タングステン化合物とリン酸類を混合して調製する水溶液の酸性度は、エポキサイドへの選択率、過酸化水素基準の選択率が良好となる観点から、そのpHは2〜6の範囲であるのが好ましく、3〜5の範囲であるのがより好ましい。pHの調整は、必要に応じて硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸などの酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基:アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどの有機塩基を用いて行うことができる。
【0022】
タングステン化合物およびリン酸類を含有する水溶液における水の量は特に制限されないが、タングステン化合物の溶解性、容積効率などの観点から、タングステン化合物に対して1〜1000倍重量の範囲にあるのが好ましく、10〜500倍重量の範囲にあるのがより好ましい。
【0023】
反応に使用される過酸化水素は、10〜60重量%過酸化水素水溶液として工業的に容易に入手でき、一般に市販されている水溶液をそのまま、または水で希釈して用いることができる。過酸化水素の濃度は特に限定されないが、安全性、容積効率などの観点から、0.01〜60重量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜50重量%の範囲であるのがより好ましい。過酸化水素の使用量は、炭素数6以上のオレフィンに含まれる二重結合1モルに対して0.1〜5.0モルの範囲であるのが好ましく、反応効率、選択率などの観点から、0.3〜2.0モルの範囲であるのがより好ましい。
【0024】
本発明における反応は溶媒の存在下または不存在下で行われる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、2,6−ジメチルシクロオクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、反応効率などの観点からトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の使用量は、炭素数6以上のオレフィンに対して0.01〜200倍重量の範囲であるのが好ましく、反応性、操作性の観点から、0.1〜100倍重量の範囲であるのがより好ましく、0.2〜20倍重量の範囲であるのが特に好ましい。
【0025】
反応温度は、特に制限されるものではないが、過酸化水素の自己分解速度が低く抑えられ、過酸化水素当たりの選択率が高く維持できる範囲であればよく、0〜90℃の範囲であるのが好ましく、20〜60℃の範囲であるのがより好ましい。
【0026】
反応は大気圧下、加圧下または減圧下のいずれでも実施できる。反応の雰囲気は特に制限されないが、安全を考慮して、窒素、アルゴンなどの不活性気体中で実施するのが好ましい。
【0027】
本発明における反応は、オレフィンおよび第4級アンモニウム塩を含む有機相にタングステン化合物およびリン酸類を含む水溶液と過酸化水素水溶液を同時に、1時間以上かけて、添加して行う。
【0028】
このようにして得られたエポキシ化合物は、分液操作後、蒸留などの常法により反応混合物から分離、取得することができる。なお、蒸留を行うに先立ち、反応混合物を亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基で処理しておくことが望ましい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。実施例中、過酸化水素効率は消費された過酸化水素に対する目的生成物の選択率を意味する。
【0030】
実施例1
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量1Lの3ツ口フラスコに、リノレン酸133g(0.5mol)、ヘキサン300gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.25g(0.62mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gに12−タングスト燐酸0.06g(0.02mmol)、次いで85%燐酸水溶液0.12g(1mmol)を加えてタングステン酸水溶液(pH=3)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液202g(1.78mol)を1時間かけて同時に加え、その後、60℃で約5時間激しく攪拌して反応させた。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、リノレン酸の転化率は100%であり、8,9,11,12,14,15−トリエポキシリノレン酸の選択率は98%であることを確認した。過酸化水素の転化率は99%であり、過酸化水素効率は94%であった。
【0031】
実施例2
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量1Lの3ツ口フラスコに、ゲラニル酸84g(0.5mol)、シクロヘキサン200gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.25g(0.62mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gに12−タングスト燐酸0.06g(0.02mmol)、次いで85%燐酸水溶液0.12g(1mmol)加えてタングステン酸水溶液(pH=3)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液134g(1.18mol)を1時間かけて同時に加え、その後、60℃で約5時間激しく攪拌して反応させた。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、ゲラニル酸の転化率は100%であり、2,3,6,7−ジエポキシゲラニル酸の選択率は96%であることを確認した。過酸化水素の転化率は99%であり、過酸化水素効率は93%であった。
【0032】
実施例3
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量1Lの3ツ口フラスコに、ゲラニルアセトン87g(0.45mol)、シクロヘキサン300gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.25g(0.62mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gに12−タングスト燐酸0.06g(0.02mmol)、次いで85%燐酸水溶液0.12g(1mmol)を加えてタングステン酸水溶液(pH=3)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液134g(1.18mol)を1時間かけて同時に加え、その後、温度60℃で約5時間激しく攪拌して反応させた。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、ゲラニルアセトンの転化率は100%であり、5,6,9,10−ジエポキシ−6,10−ジメチルウンデカン−2−オンの選択率は99%であることを確認した。過酸化水素の転化率は99%であり、過酸化水素効率は96%であった。
【0033】
実施例4
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量1Lの3ツ口フラスコに、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン126g(1mol)、シクロヘキサン500gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.25g(0.62mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gに12−タングスト燐酸0.06g(0.02mmol)、次いで85%燐酸水溶液を0.12g(1mmol)加えてタングステン酸水溶液(pH=3)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液134g(1.18mol)を2時間かけて同時に加え、その後、60℃で約5時間激しく攪拌して反応させた。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、6−メチル−5−ヘプテン−2−オンの転化率は100%であり、5,6−エポキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの選択率は99%であることを確認した。過酸化水素の転化率は100%であり、過酸化水素効率は96%であった。
【0034】
実施例5
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量1Lの3ツ口フラスコに、シトロネロール154g(1mol)、シクロヘキサン400gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.25g(0.62mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gに12−タングスト燐酸0.06g(0.02mmol)、次いで85%燐酸水溶液0.12g(1mmol)加えてタングステン酸水溶液(pH=3)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液134g(1.18mol)を2時間かけて同時に加え、その後、60℃で約5時間激しく攪拌して反応させた。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、シトロネロールの転化率は100%であり、6,7−エポキシシトロネロールの選択率は99%であることを確認した。過酸化水素の転化率は100%であり、過酸化水素効率は96%であった。
【0035】
実施例6
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量200mLの4ツ口フラスコに、イソフィトール(3,7,11,15−テトラメチル−1−ヘキサデセン−3−オール)29.6g(0.1mol)、シクロヘキサン10gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.4g(1.0mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gにタングステン酸ナトリウム2水和物0.33g(1.0mmol)、次いで85%燐酸水溶液0.2g(1.7mmol)を加えてタングステン酸水溶液(pH=3)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液13.3g(0.117mol)を3時間かけて同時に加え、その後、60℃で約4時間激しく攪拌して反応させた。反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、イソフィトールの転化率は99.3%であり、1,2−エポキシ−3,7,11,15−テトラメチルヘキサデカン−3−オールの選択率は99.3%であることを確認した。過酸化水素の転化率は100%であり、過酸化水素効率は99%であった。
【0036】
実施例7
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量200mlの4ツ口フラスコに、2−オクテン10.1g(0.1mol)、シクロヘキサン20gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.2g(0.49mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gにタングステン酸ナトリウム2水和物0.17g(0.52mmol)、次いで85%燐酸水溶液を0.1g(0.87mmol)加えてタングステン酸水溶液(pH=3.2)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液13.3g(0.117mol)を3時間かけて同時に加え、その後、温度60℃で約4時間激しく攪拌して反応させた。反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、2−オクテンの転化率は99.7%であり、2,3−エポキシオクタンの選択率は96.7%であることを確認した。過酸化水素の転化率は100%であり、過酸化水素効率は96%であった。
【0037】
実施例8
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラーを装着した容量200mlの4ツ口フラスコに、2,6−ジメチル−2,5−ヘプタジエン12.4g(0.1mol)、シクロヘキサン60gおよびトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.2g(0.49mmol)を添加して基質溶液を調製した。一方、水10gにタングステン酸ナトリウム2水和物0.17g(0.52mmol)、次いで85%燐酸水溶液を0.1g(0.87mmol)加えてタングステン酸水溶液(pH=3.2)を調製した。上記の基質溶液を攪拌しながら、60℃に昇温し、該溶液に上記のタングステン酸水溶液および30%過酸化水素水溶液26.6g(0.23mol)を3時間かけて同時に加え、その後、60℃で約4時間激しく攪拌して反応させた。反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析し、2,6−ジメチル−2,5−ヘプタジエンの転化率は99.1%であり、2,6−ジメチル−2,3,5,6−ジエポキシヘプタンの選択率は95.1%であることを確認した。過酸化水素の転化率は100%であり、過酸化水素効率は95%であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素数6以上のオレフィンを安全に、効率的に、かつ工業的に有利にエポキシ化することができる。
Claims (2)
- 一般式(I)
- タングステン化合物およびリン酸類を含む水相のpHが2〜6の範囲にある請求項1記載のエポキシ化方法。
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