JP4082004B2 - キャニスタパージシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャニスタパージシステムに関し、詳細にはパージポンプを備えたキャニスタパージシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料タンク内の蒸発燃料(燃料ベーパ)の大気放出を防止するために、タンク内の燃料ベーパを活性炭などの吸着剤を収容したキャニスタに導いて一旦吸着剤に吸着させるエバポパージシステムが一般に知られている。このようなエバポパージシステムでは、キャニスタ内の吸着剤が吸着した燃料ベーパで飽和することを防止するために、キャニスタと機関吸気通路とをパージ通路で接続し、機関運転中に大気をキャニスタを通して吸気通路に吸入するようにしている。これにより、吸着剤に吸着された燃料ベーパが吸入空気により脱離(パージ)され吸気とともに機関に吸入されて燃焼する。
【0003】
すなわち、キャニスタを大気と機関吸気通路とに同時に連通させることにより吸気通路の負圧により大気がキャニスタ内の吸着剤を通過してパージ通路から吸気通路に吸引され、空気がキャニスタ内の吸着剤を通過する際に吸着剤に吸着された燃料ベーパが吸着剤から脱離し、パージ通路からは空気と燃料ベーパとの混合気(パージガス)が吸気通路内に流入する。吸気通路に流入した燃料ベーパは機関吸気とともに機関の燃焼室に吸入されるため、キャニスタからの燃料ベーパは大気に放出されることなく機関燃焼室で燃焼する。
【0004】
ところが、通常のパージシステムでは機関吸気通路の負圧によりキャニスタからパージガスを吸入しているため、吸気通路に発生する負圧が小さい機関ではキャニスタのパージを行うことができない問題がある。
例えば、気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備え、気筒圧縮行程に気筒内に燃料噴射を行い、点火プラグ近傍のみに可燃範囲の空燃比の混合気を成層させ、全体としては理論空燃比より極めて高い空燃比での希薄燃焼運転を行う機関などでは、希薄燃焼運転時には原則としてスロットル弁による吸入空気量調節は行わない。
【0005】
このため、希薄燃焼運転時にはスロットル弁はほぼ全開とされており、吸気通路には負圧はほとんど発生しない。
このような機関では希薄燃焼運転時には吸気負圧を利用したキャニスタパージを行うことができないため、例えば強制的にキャニスタ内の燃料ベーパを吸気通路にパージするパージポンプが用いられる。
パージポンプを用いたキャニスタパージシステムの例としては、例えば特許第2900704号公報に記載されたものがある。
同公報のパージシステムは、吸気通路とキャニスタとを接続するパージ通路上に、キャニスタ内の燃料ベーパを強制的に吸入して吸気通路に送るパージポンプを設けた構成とされている。同公報のパージシステムは、パージポンプから吐出されたパージガスの一部をパージポンプの吸入側に環流させるようにしたことにより、吸気通路に供給されるパージガス中の燃料ベーパ濃度の変動を抑制するようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許第2900704号の装置は、機関運転中にキャニスタのパージを行うことにより、燃料ベーパがキャニスタに吸着されずに大気に放出されることを有効に防止している。
しかし、上記特許第2900704号の装置は機関運転中のキャニスタのパージは有効に行えるものの、機関停止後の吸気通路からの燃料ベーパの放散は防止することができない問題がある。
【0007】
内燃機関の機関停止後には、種々の原因により機関吸気通路に燃料ペーパが発生する。例えば、機関運転中に気筒燃焼室に供給された燃料が機関停止とともに燃焼しないまま気筒内に滞留したような場合には、機関停止後に気筒内で燃料が蒸発し、燃料ペーパが発生する。従って、停止時に吸気弁が開弁している気筒があると、気筒から燃料ベーパが流出して吸気通路内に燃料ベーパが充満するようになる。また、機関運転中に吸気ポート壁面に液状のまま付着した燃料が機関停止時に残留していると、機関停止後に壁面付着燃料が蒸発し吸気通路内に燃料ベーパが形成される。更に、燃料噴射弁を有する機関では機関停止後に燃料噴射弁内に滞留した燃料が吸気通路内にわずかに漏出し、吸気通路内で燃料ベーパを形成する場合がある。
【0008】
このように機関停止後に吸気通路内に燃料ベーパが発生すると、生成した燃料ベーパは吸気通路内に充満し、更には吸気通路の開口(吸気口)から大気に漏出するようになり、燃料ベーパ(炭化水素)による大気汚染が生じる原因となる場合がある。
上記問題に鑑み、本発明は機関運転中のみならず機関停止後の吸気通路からの燃料ベーパの大気放散を防止可能なキャニスタのパージシステムを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタと、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと機関吸気通路とを接続するパージ通路と、前記キャニスタと大気とを連通する大気ポートと、前記吸気通路内の気体を前記パージ通路を介して前記キャニスタに供給する、機関の運転とは独立して作動可能なパージポンプと、前記機関停止後に、前記パージポンプを作動させて機関吸気通路内に滞留する燃料ベーパをキャニスタ内に供給するパージポンプ制御手段と、を備え、前記パージポンプは逆転運転可能なポンプであり、前記パージポンプ制御手段は、前記機関運転時には前記パージポンプを正転方向に運転することにより前記キャニスタ内の燃料ベーパをパージ通路を介して機関吸気通路に供給し、機関停止後に機関吸気通路に滞留する燃料ベーパをキャニスタ内に供給する場合には、前記パージポンプを逆転方向に運転する、キャニスタパージシステムが提供される。
【0010】
すなわち、請求項1の発明では機関吸気通路内に滞留した燃料ベーパをキャニスタに供給するパージポンプが設けられている。パージポンプは、電動機などの機関運転とは独立して作動可能な駆動源に駆動され、機関停止後も作動可能である。このため、機関停止後に吸気通路内に発生した燃料ベーパはパージポンプを作動させることによりキャニスタに送られ、キャニスタ内の吸着剤に吸着される。これにより、機関停止後の吸気通路からの燃料ベーパの放散が防止される。
【0012】
また、請求項1の発明では、パージポンプは、正転運転と逆転運転との両方が可能なポンプとされる。機関運転中にパージポンプを正転運転すると、ポンプを通る気体の流れ方向はキャニスタ内の燃料ベーパを吸気通路に流す方向となり、キャニスタのパージが行われる。また、機関停止後にパージポンプを逆転運転すると、ポンプを通る気体の流れは吸気通路からキャニスタに向う方向となり、吸気通路内に滞留した燃料ベーパがキャニスタに吸着される。これにより、単一のパージポンプで機関運転中のみならず機関停止後の燃料ベーパの大気放出を防止することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記パージポンプは、前記パージ通路上に配置されている、請求項1に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0014】
すなわち、請求項2の発明ではパージポンプは吸気通路とキャニスタとを接続するパージ通路上に配置されている。この場合は、ポンプの正転運転中はキャニスタ内の燃料ベーパはパージ通路上のポンプ内を通って吸気通路に送られ、ポンプの逆転運転中は吸気通路内の燃料ベーパはポンプ内を逆方向に流れてキャニスタに送られる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、前記パージポンプは、前記キャニスタの大気ポートに接続されている、請求項1に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0016】
すなわち、請求項3の発明ではパージポンプはキャニスタの大気ポートに接続されている。この場合にはポンプの正転運転中は大気がパージポンプによりキャニスタ内に圧送され、キャニスタに吸着された燃料ベーパを脱離させてパージ通路から吸気通路内に流入する。また、ポンプの逆転運転が行われると、キャニスタにより燃料ベーパを除去された後の空気がキャニスタから吸引されキャニスタ内が負圧になる。これにより、吸気通路内に滞留した燃料ベーパがパージ通路からキャニスタに流入するようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、前記パージポンプ制御手段は、機関停止後の機関温度が予め定めた所定温度以下の場合には前記パージポンプの作動を中止する、請求項1から3のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0018】
すなわち、請求項4の発明では機関停止後の機関温度が所定温度以下の場合にはパージポンプの作動を停止する。機関温度が低い場合には吸気通路壁面温度もそれに応じて低くなっている。このため、機関温度が低い場合には吸気通路内の燃料の蒸気圧も低くなり吸気通路内に残留した燃料の蒸発が生じにくくなる。この状態では吸気通路から外部にはほとんど燃料ベーパが放出されなくなるため、パージポンプを停止しても燃料ベーパの大気放散は生じない。従って、本発明では機関温度が燃料ベーパの大気放出を生じない程度まで低下している場合にはパージポンプを停止することによりポンプ駆動エネルギーを低減することが可能となっている。なお、機関温度は、例えば吸気通路壁面温度を直接計測することにより検出することも可能であるが、冷却水温度、吸気温度、或は吸気通路内の吸気温度等を機関温度などのいずれか1つまたはそれ以上を検出し機関温度を表すパラメータとして用いるようにしても良い。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、前記パージポンプ制御手段は、機関停止後のパージポンプの作動を所定時間継続した後パージポンプを停止するとともに、前記所定運転時間を機関停止後の機関温度が高いほど短く設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0020】
すなわち、請求項5の発明では実際に吸気通路に燃料ベーパが発生している間だけパージポンプを運転する。吸気通路内の燃料ベーパの発生は機関停止後の機関温度が高いほど発生量が多くなる。このため、停止後の機関温度が高い場合には比較的短時間で吸気通路内に残留した燃料が蒸発して燃料ベーパとなる。このため、機関停止後パージポンプを作動させた場合には機関温度が高いほど短時間で吸気通路内に残留した燃料の全量が燃料ベーパの形でキャニスタに吸着され、その後は吸気通路内に燃料ベーパが発生しなくなる。本発明では、吸気通路内に燃料ベーパが発生している間だけパージポンプを運転することにより、ポンプ駆動エネルギーを低減することが可能となっている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、前記パージポンプ制御手段は、機関停止後所定の遅れ時間経過後に前記パージポンプの作動を開始するとともに、前記所定遅れ時間を機関停止時の機関温度に基づいて設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0022】
すなわち、請求項6の発明ではパージポンプは吸気通路に発生した燃料ベーパが実際にパージ通路と吸気通路との接続部に到達するタイミングで運転が開始される。パージポンプはパージ通路を介して吸気通路内から燃料ベーパを吸入する。しかし、燃料ベーパは主に吸気通路の吸気ポート近傍で発生するのに対して、吸気通路とパージ通路との接続部(パージ口)は吸気ポートから離れた位置にあるため、吸気ポート近傍で発生した燃料ベーパがパージ口まで到達するまでに遅れ時間が生じる。この遅れ時間は、例えば機関温度が高く機関停止後に燃料ベーパが急激かつ多量に発生する場合には短く、機関温度が低く燃料ベーパの発生量が少ない場合には長くなる。本実施形態では、機関停止時の機関温度に基づいてパージポンプ作動の遅れ時間を設定することにより、実際に燃料ベーパがパージ口に到達したタイミングでパージポンプの作動を開始することができる。これにより、パージポンプを真に必要なタイミングで作動させることが可能となり、ポンプの駆動エネルギーを低減することが可能となる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、前記パージポンプ制御手段は更に、機関停止後に機関停止時より機関温度が上昇した場合には、機関温度の上昇に応じて前記パージポンプを作動させる請求項1から6のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0024】
すなわち、請求項7の発明では、機関停止後に機関温度が上昇した場合にパージポンプの逆転方向運転を行う。例えば、機関停止時の機関温度が低かった場合には、吸気ポートに滞留した燃料のうち多くの部分は蒸発しないで吸気ポートに残留する。このため、仮に機関停止時にパージポンプを作動させても吸気ポートに残留する燃料をなくすことはできない。しかし、低温時に吸気ポートに残留した燃料も、例えば気温の上昇や直射日光の輻射熱などにより機関温度(吸気ポートの温度)が機関停止時より高くなると、蒸発して燃料ベーパになり吸気通路から大気に漏出する場合がある。本発明は、この機関温度上昇による燃料ベーパの放出を防止するために、機関温度が機関停止時より上昇した場合には、温度上昇に応じてパージポンプを作動させる。ここで、「温度上昇に応じてパージポンプを作動させる」とは、温度がある上昇幅だけ上昇した場合にパージポンプの作動を開始することのみならず、例えば温度の上昇幅に応じてポンプの作動継続時間を変えること、或は、機関停止後所定の上昇幅だけ機関温度が上昇する毎にパージポンプを作動させることをも含んでいる。本発明では、上記のように機関停止時からの機関温度上昇に応じてパージポンプを作動させることにより、機関停止時に機関温度が低く比較的多量の燃料が液体のまま吸気ポートに残留した場合にも、燃料ベーパの大気放出を確実に防止することが可能となる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、更に、機関停止後に前記パージポンプ制御手段によりパージポンプの前記逆転方向運転を行い、前記パージ通路とキャニスタと燃料タンクとを含むパージ系の内圧を大気と所定の圧力差が生じる値に調整し、その後パージ系を密閉するとともに、密閉後のパージ系内圧の変化に基づいてパージ系の洩れの有無を判定する異常診断装置を備えた、請求項1に記載のキャニスタパージシステムが提供される。
【0026】
すなわち、請求項8の発明では機関停止後にパージ系の洩れの有無を判定する際に、パージポンプを逆転方向運転することにより大気とパージ系との圧力差を生じさせる。例えば、パージ系の洩れの有無を検出する場合にはパージ系内圧を大気圧との差圧が生じる負圧または正圧に調整してから密閉し、洩れを通じてのパージ系内部への空気の侵入または内部から大気への気体の流出によるパージ系内圧変化を計測する異常診断操作が行われる。この場合、パージポンプを逆転方向運転してパージ系と大気とに差圧を生じさせることにより、異常診断により吸気系にパージ系内の燃料ベーパが侵入することが防止される。例えば、パージ通路にパージポンプを配置した構成では、パージポンプの逆転方向運転を行うことにより吸気通路から空気を吸入しキャニスタに圧送することになりパージ系内が正圧になる。また、大気ポートに接続したパージポンプを有する構成では、キャニスタ内の空気を大気に放出することによりキャニスタ内を負圧にする。このため、どちらの場合もパージポンプの逆転運転時に吸気通路からキャニスタに向う流れが生じるようになり、異常診断実施時にキャニスタ、或はパージ系内の燃料ベーパが吸気通路に侵入することがない。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用内燃機関のパージシステムに適用した実施例の概略構成を示す図である。図1において、100は内燃機関本体、1は内燃機関100の吸気通路、3は吸気通路1に配置されたエアクリーナを示す。吸気通路1には運転者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロットル弁6が設けられている。本実施形態では、機関100は希薄空燃比運転可能な機関とされ、特定の運転領域ではリーン空燃比の燃焼を行う。
【0028】
リーン空燃比の運転時には、燃料噴射弁101から気筒内に圧縮行程時に燃料を噴射し、気筒内の点火プラグ(図示せず)近傍のみに可燃空燃比の混合気を成層させ、この成層混合気に点火する。これにより、気筒内に供給される空気と燃料との比(空燃比)が理論空燃比より極めて高い(リーンな)燃焼が可能となる。機関100の希薄空燃比運転時には、スロットル弁6はほぼ全開に近い開度とされ、吸気絞り損失が低減される。このため、希薄空燃比運転時には吸気通路1のスロットル弁6下流側にはほとんど負圧が発生しない。
【0029】
図1に11で示すのは機関の燃料タンクである。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70により昇圧され、フィード配管71を介して機関100の各気筒の燃料噴射弁101に圧送される。
燃料タンク11には、タンク内への給油のための給油管111が設けられている。また、タンク11の上部には、後述するキャニスタ10にタンク11内の燃料油液面上部空間を接続するベーパ通路としてのブリーザ配管13が接続されている。
【0030】
ブリーザ配管13とタンク11との接続部にはベントバルブ131とそれぞれフロート弁からなるCOV(CUT OFF VALVE)132とROV(ROLL OVER VALVE)133とが設けられている。ベントバルブ131は、燃料タンク11内圧がブリーザ配管13内圧よりわずかに高くなると開弁し、ブリーザ配管13を通してタンク11内の燃料ベーパを含む空気をキャニスタに流すようにされている。
【0031】
また、ROV133は、給油時の液面上昇により閉弁し、ベントバルブ131と燃料タンク11との接続を遮断する。また、ROV133は、車両転倒時等にベントバルブ131とタンク11との接続部を閉鎖し、ブリーザ配管13を介して大量の燃料油が外部に洩れることを防止する機能を有している。
COV132はROV133と並列に配置されており、ROV133より更に液面が上昇したときにベントバルブ131とタンク11との連通を遮断する。COV132は、給油中の液面上昇時にはROV133閉弁後も開弁してタンク11とベントバルブ131とを連通するが、車両旋回による液面の動揺によりCOV132位置まで液面が到達したような場合、及び車両転倒時等には閉弁し、ベントバルブ131を通って燃料油がブリーザ配管13に侵入することを防止する機能を有する。
【0032】
図1に30で示すのは、機関の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポートを互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータからなり、機関の燃料噴射制御等の基本制御を行う他、本実施例では後述するパージシステムの故障診断操作を行う。
【0033】
上記制御のため、ECU30の出力ポートは図示しない駆動回路を介して機関100の燃料噴射弁101に接続され、燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御している他、後述するパージ制御弁15のアクチュエータ、CCV(CANISTER CLOSURE VALVE)17のアクチュエータにそれぞれ接続され、これらの弁の作動を制御している。
また、ECU30の入力ポートには、機関の回転数、吸入空気量、機関冷却水温度等を表す信号が、それぞれ図示しないセンサから入力されている他、燃料タンク11に設けられた圧力センサ33から燃料タンク11の液面上部空間の圧力に対応する信号が入力されている。
【0034】
図1に10で示すのは燃料タンク内の燃料ベーパを吸着するキャニスタである。キャニスタ10はブリーザ配管13により燃料タンク11の燃料液面上部空間と、また、パージ通路としてのパージ配管14により吸気通路1と、それぞれ接続されている。図1に15で示すのは、パージ配管14と吸気通路1との接続部に配置されたパージ制御弁15である。パージ制御弁15はソレノイドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30からの信号により開弁し、キャニスタ10と吸気通路1とを連通する。
【0035】
キャニスタ10は、内部に活性炭などの燃料ベーパ吸着剤50を収容する容器からなり、キャニスタ10にはブリーザ配管13、パージ配管14及び大気連通管18が接続されている。
大気連通管18の他端は、タンク11の給油口近傍に開口しており、大気連通管18上にはエアフィルター19と前述したCCV17とが設けられている。エアフィルタ19はパージ実行時に大気連通管18からキャニスタ10内に流入する空気中の異物を除去するものである。CCV17は、ソレノイドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号に応じて大気連通管18とキャニスタ11との連通を遮断するものである。
【0036】
また、パージ配管14上にはパージポンプ20が設けられている。
パージポンプ20は、例えばタービンポンプ(いわゆるウエスコポンプ)等のように回転方向により吸入、吐出の方向が逆になる形式のポンプとされている。
【0037】
本実施形態では、パージポンプ20は電動機等の、機関の運転とは独立して作動可能な駆動源(図示せず)を備えており、機関停止後にも運転可能とされている。また、パージポンプ20の駆動源は、逆転可能な形式とされ、パージポンプ20の回転方向を正転方向(キャニスタ10側からパージ弁15側に気体を送る方向)と逆転方向(パージ弁15側からキャニスタ10側に気体を送る方向)とに切換え可能としている。
【0038】
次に、本実施例におけるパージポンプ20の機能について説明する。
機関停止中等のように吸気通路1にパージガスを供給できない状態では、パージ制御弁10は閉弁され、キャニスタ10のCCV17は開弁状態に保持される。この状態で燃料の蒸発により燃料タンク11内圧が上昇してベントバルブ131の開弁圧力に到達するとベントバルブ131が開弁する。これにより、燃料タンク11の液面上部空間からブリーザ配管13を介して燃料蒸気と空気との混合気がキャニスタ10内に流入し、キャニスタ10内の吸着剤50を通過してCCV17から大気連通管18に流入する。混合気中の燃料ベーパは吸着剤50を通過時に吸着剤に吸着されるため、大気連通管18からはキャニスタ10内の吸着剤50により燃料蒸気を除去された後の空気のみが放出されるようになる。これにより、燃料ベーパの大気放出が防止される。
【0039】
吸着剤50に吸着された燃料ベーパ量が増大すると吸着剤50が燃料ベーパで飽和してしまい、それ以上蒸発を吸着できなくなるため、本実施形態では機関運転中にパージを行い吸着剤50から吸着した燃料ベーパを脱離(パージ)させる。
通常の機関では、キャニスタ10のパージは、機関100の運転中にCCV17とパージ制御弁15との両方を開弁し、空気をキャニスタ10内に導入することにより行う。すなわち、通常の機関では機関運転中、吸気通路1のスロットル弁6下流側には負圧が発生しているため、機関運転中にパージ制御弁15を開弁するとキャニスタ10内にはパージ配管14を介して吸気通路1の負圧が作用し、キャニスタ内圧は大気圧より低くなる。
【0040】
このため、パージ制御弁15が開弁すると、CCV17を介して、大気連通管18からフィルタ19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ10内に流入する。この空気はキャニスタ10内のの吸着剤50を通過時に吸着した燃料ベーパを吸着剤から離脱させ、燃料ベーパと空気との混合ガス(パージガス)となってパージ配管14からパージ制御弁15を通って機関吸気通路1に流入する。これにより、パージガスは吸着剤50からパージされて機関燃焼室で燃焼し、吸着剤50が燃料ベーパで飽和することが防止される。
【0041】
ところが、本実施形態では希薄空燃比燃焼を行う機関100が使用されており、機関100の希薄空燃比燃焼運転中には吸気通路に負圧がほとんど発生しない。従って、機関100の希薄空燃比燃焼運転中は吸気通路の負圧でパージガスを吸気通路内に吸入することが困難となる。このため、本実施形態ではキャニスタのパージを行うためにパージ配管14上にパージポンプ20を配置している。機関運転中、パージポンプ20は正転方向に駆動され、キャニスタ内のパージガスを吸入、昇圧してパージ配管14から吸気通路1に圧送する。これにより、大気連通管18からCCV17を通ってキャニスタ10内に空気が吸入され、吸着剤50から燃料ベーパをパージする。従って、吸気通路に負圧がほとんど発生しない希薄燃焼運転時にもキャニスタ10のパージが正常に行われ、吸着剤50が燃料ベーパで飽和することが防止されるようになる。
【0042】
なお、後述するように、パージ配管14上にパージポンプを設ける代りに大気連通管18にエアポンプを設け、空気をキャニスタ内に圧送して吸着剤50のパージを行い、パージガスを吸気通路1に排出するようにすることも可能である。上記のように、パージシステムは燃料タンク11で発生した燃料ベーパの大気への放出を防止することが可能であるが、吸気通路、特に機関停止後吸気通路内に発生する燃料ベーパの大気への放出を防止することはできない。
【0043】
例えば、機関運転中、燃料噴射弁5から噴射された燃料の一部は吸気ポート壁面に液状のまま付着して、壁面付着燃料を形成している。この壁面付着燃料は機関停止後徐々に蒸発して燃料ベーパとなる。また、機関停止中には燃料噴射弁内に保持された燃料がわずかながら燃料噴射弁から吸気ポートに漏れだす、いわゆる燃料噴射弁の油密漏れが生じる場合があり、油密漏れにより吸気ポートに流出した燃料は、壁面付着燃料と同様に機関停止中に蒸発して燃料ベーパとなる。このため、機関停止後には、吸気ポートで発生する燃料ベーパが吸気通路1に充満するようになる。
機関停止中に吸気通路1に燃料ベーパが充満すると、燃料ペーパは吸気通路1から、エアクリーナ3のフィルタエレメントを通過して大気に流出するようになり、大気汚染の原因となる場合がある。
【0044】
以下に説明する各実施形態では、上述したパージポンプ20を用いて機関停止後の吸気通路1からの大気への燃料ベーパ放出を防止している。
以下、図1のキャニスタパージシステムにおける、パージポンプ20を用いた機関停止後のベーパ放出防止操作(以下、単に「ベーパ放出防止操作」という)の実施形態について説明する。
【0045】
(1)第1の実施形態
まず、本発明のベーパ放出防止操作の最も基本的な実施形態について説明する。
本実施形態では、機関停止後予め定めた一定時間パージポンプ20を逆転方向に運転する。また、パージポンプ20を逆転運転させている間はパージ制御弁15を全開状態に維持し、一定時間経過後パージポンプ20を停止するとともに、パージ制御弁15を全閉にする。また、CCV17は機関停止後全開に維持される。これにより、パージポンプ20は吸気通路1内の気体(燃料ベーパと空気との混合気)をパージ配管14を介して吸入し、パージ配管14を介してキャニスタ10に圧送する。
【0046】
キャニスタ10に送られた気体中の燃料ベーパは吸着剤50により吸着され、燃料ベーパを含まない空気のみがCCV17と大気連通管18とを通って大気に放出される。すなわち、吸気通路1内に発生した燃料ベーパがパージポンプ20によりキャニスタ10に送られ、吸着剤50に吸着されるようになり、機関100停止後に吸気通路1から大気に燃料ベーパが放出されることが防止される。
なお、機関停止後のパージポンプ20逆転運転の時間は吸気通路1内に発生する燃料ベーパの全量を吸入するのに充分な一定時間に予め設定されている。
【0047】
図2は、本実施形態の上記ベーパ放出防止操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図2の操作では、まずステップ201で現在機関が停止しているか否かが判定される。現在機関が停止していない場合、すなわち現在機関が運転中である場合には、ステップ203に進みパージポンプの通常の制御(正転方向運転)が行われ、キャニスタの通常のパージが行われるとともに、ステップ205では計時カウンタCTの値がゼロにリセットされる。
【0048】
ステップ201で現在機関が停止していた場合には、次にステップ207に進み、上記カウンタCTの値が1増大される。カウンタCTは機関の運転中はステップ205で常にゼロにリセットされているため、ステップ207で増大後のCTの値は機関停止時からの経過時間に対応するようになる。
そして、ステップ209では増大後のカウンタCTの値が予め定めた一定値Aに到達したか否か、すなわち機関停止時からカウンタ値Aに相当する所定の時間が経過したか否かが判断される。また、ステップ211では、機関停止後上記所定時間が経過するまでパージポンプ211は逆転方向に運転されるとともに、パージ制御弁15は全開に維持される。
【0049】
これにより、機関停止後吸気通路1内に発生した燃料ベーパはパージポンプ20によりキャニスタ10に送られ吸着剤50に吸着される。一方、ステップ209で機関停止からの経過時間が上記所定時間に到達した場合には次にステップ213が実行され、パージポンプ20の運転が停止されるとともにパージ制御弁15が閉弁される。
ステップ209におけるカウンタ値Aは、機関停止後吸気通路1内の燃料が全てベーパになりパージポンプ20により吸気通路内からキャニスタ10に送られるのに必要な時間に対応する値に設定されている。この値は、吸気通路1や機関の形式により異なるため、詳細には実際の機関と吸気通路とを用いた実験により設定することが好ましい。
【0050】
(2)第2の実施形態
次に、本発明のベーパ放出防止操作の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様機関停止後一定時間パージポンプを逆転方向に運転して吸気通路の燃料ベーパをキャニスタに吸着させる。しかし、本実施形態では機関冷却水温度が所定値T0以下である場合にはパージポンプの運転を開始せず、また、パージポンプ運転中に冷却水温度が上記所定値T0以下になった場合にはパージポンプの運転を停止する点が第1の実施形態と相違している。
【0051】
機関温度が低下すると、吸気通路内に残留した燃料は蒸発しにくくなり吸気通路内の燃料ベーパ濃度は低くなる。この状態ではパージポンプを運転しても吸気通路内の燃料ベーパを効率的に吸入することができず、パージポンプの駆動エネルギーが無駄に消費されるのみならず、キャニスタ10に吸着された燃料ベーパがパージポンプ20から送られる吸気通路内の空気によりパージされてしまい、大気連通管18から放出される可能性がある。また、この状態では仮に放置したところで吸気通路内の燃料ベーパ濃度は低く、吸気通路から大気に燃料ベーパが放出されることはない。
【0052】
そこで、本実施形態では機関温度を代表するパラメータとして冷却水温度THWを検出し、THWが所定温度T0以下である場合にはパージポンプを停止することにより無駄な動力の消費を防止している。
【0053】
図3は、本実施形態のベーパ放出操作を具体的に示すフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図3の操作は、ステップ307と309が付加されている点のみが図2の操作と相違している。すなわち、本実施形態ではステップ307で機関冷却水温度THWを読込み、ステップ309でTHWが所定値T0(T0は、燃料蒸気圧が低下して吸気通路内の燃料からのベーパが外部に洩れなくなる程度の低い温度であり、例えば冷却水温度で10℃程度に設定される)以下である場合には、直ちにステップ317に進みパージポンプ20の運転を停止するとともにパージ制御弁15を全閉にする。そして、冷却水温度THWがT0より高い場合のみステップ311以下の操作を行い、一定時間が経過するまでパージポンプ20を運転する。図3のステップ301から305、及びステップ311から317の操作は、図2ステップ201から205、及びステップ207から213と同一の操作であるので、ここでは説明を省略する。
本実施形態では、上記操作により吸気通路からの燃料ベーパ放出を生じることなく、パージポンプの駆動エネルギーの消費を低減することが可能となる。
【0054】
(3)第3の実施形態
次に、本発明のベーパ放出防止操作の第3の実施形態について説明する。
前述の第1の実施形態では、機関停止と同時にパージポンプの運転を開始し、常に一定の時間だけパージポンプを運転していた。しかし、実際には吸気通路での燃料ベーパの発生量は機関温度、特に機関停止時の機関温度に影響される。
【0055】
例えば、機関停止時の機関温度が高い場合には機関停止後急激に吸気ポートに残留した燃料が気化するため短時間で多量の燃料ベーパが発生する。また、パージ配管14は吸気通路1に吸気ポートから比較的離れた位置で接続されているため、吸気ポートで発生した燃料ベーパがパージ配管14接続部まで到達するのは機関停止からある時間が経過してからになるが、この燃料ベーパ到達までの時間は、燃料ベーパの発生量が多いほど短くなる。また、機関が高温であるほど燃料ベーパの発生量(発生速度)が大きいため、吸気ポートに残留した燃料は短時間で完全に気化する。
【0056】
これに対して、機関停止時の機関温度が低い場合には停止前に燃料噴射量の暖機増量が行われており吸気ポート壁面に付着した燃料量が高温時より多くなっている。更に、機関が低温であるためこの燃料の気化速度は高温時より遅く全量が気化するのには長い時間を要する。また、パージ配管14の吸気通路接続部に吸気ポートで発生した燃料ベーパが到達するのも高温時に較べて遅くなる。
【0057】
そこで、本実施形態では、機関停止後直ちにパージポンプの運転を開始せず、機関停止からある遅れ時間Bが経過してからパージポンプの運転を開始するようにしている。この遅れ時間は、吸気ポートで発生した燃料ベーパがパージ配管14の接続部に到達し、パージポンプ20に実際に燃料ベーパが吸入されるようになるまでの時間に対応しており、上述の理由から機関停止時の機関温度(冷却水温度)が高いほど短く設定される。
また、機関停止時の機関温度が高いほど燃料の全量が気化する時間が短くなるため、パージポンプ20の運転継続時間も機関停止時の機関温度(冷却水温度)が高いほど短く設定される。
【0058】
これにより、本実施形態ではパージポンプ20を真に必要とされるタイミングと時間とで運転することが可能となり、パージポンプの駆動エネルギーが無駄に消費されることを防止することが可能となっている。
【0059】
図4は、本実施形態のベーパ放出防止操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作は、ECUにより一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図4の操作では、まずステップ401で機関の冷却水温度THWが読込まれる。そして、ステップ403では、現在機関が停止しているか否かが判定され、機関が運転中であった場合にはステップ405に進み、ステップ401で読込んだ冷却水温度THWをTHW0として記憶する。そして、その後ステップ407では通常のパージポンプ制御を行うとともに、ステップ407で計時カウンタCTをリセットするのは図2、図3の操作と同様である。ステップ405では機関が運転中である場合のみ、常に最新の冷却水温度がTHW0として記憶されることになるため、機関停止後のTHW0の値は機関停止時の冷却水温度を表すことになる。
【0060】
ステップ403で機関が停止していた場合には、次にステップ411でステップ401で読込んだ現在の冷却水温度(機関停止時の冷却水温度ではない)が所定値T0(T0≒10℃)より高いか否かを判定し、T0以下であった場合にはステップ421に進み、パージポンプ20の運転を停止するとともにパージ制御弁15を全閉にする。すなわち、本実施形態においても上記第2の実施形態と同様、機関停止後の機関温度が低い場合にはパージポンプ20の運転を行わない。
【0061】
ステップ413でTHW>T0であった場合には、次にステップ413でポンプ20の運転開始タイミングと停止タイミングとが、ステップ405で記憶した機関停止時の冷却水温度THW0に基づいて決定される。
パージポンプ20の運転開始と停止のタイミングは、前述の各実施形態と同様にカウンタCTの値として設定される。図5は、機関停止時の冷却水温度THW0とパージポンプ20運転開始カウンタ値B及び運転停止カウンタ値Cとの関係を示す図である。
【0062】
図5に示すように、カウンタ値BとC(ここで、B<C)とはともに機関停止時の冷却水温度THW0が高いほど小さな値に設定されるが、CとBとの差もTHW0が高いほど小さくなるようにされている。すなわち、これにより、機関停止時の冷却水温度が高いほど、機関停止後パージポンプ20の運転が開始されるまでの時間Bは短くなり、かつ、パージポンプ20の運転時間(C−B)も短くなるため、真に必要な期間だけパージポンプ20を運転することが可能となる。
【0063】
上記によりカウンタ値BとCとを決定後、ステップ415ではカウンタCTの値を1だけ増大する。本実施形態においても、CTの値は機関停止からの経過時間を表すのは前述の各実施形態と同様である。
そして、ステップ417から423では、カウンタCTの値がB<CT≦Cの場合のみ、パージポンプ20を運転するとともにパージ制御弁15を開弁保持する。また、CT<B及びCT>Cの場合にはパージポンプ20を停止しパージ制御弁15を閉弁する。これにより、パージポンプ20は機関停止後カウンタ値Bに相当する時間が経過したときに運転を開始し、カウンタ値Bに相当する時間が経過したときに停止するようになり、真に必要な期間のみパージポンプ20が運転される。
【0064】
(4)第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
前述の各実施形態では、機関停止時に1度だけパージポンプの運転を行って吸気通路から燃料ベーパをキャニスタに回収している。しかし、機関停止時の機関温度が高く、吸気ポートに残留した燃料の全量がベーパーとして回収される場合を除き、吸気ポートにはパージポンプ運転停止後も蒸発しなかった燃料が残留する。前述したように、この残留燃料は機関温度が高くならない限り燃料ベーパとして大気に放出されることはない。
【0065】
しかし、機関停止後の気温変化や直射日光の影響などにより機関温度が上昇すると、吸気ポートに残留した燃料が蒸発して燃料ベーパが大気に放出される場合がある。
本実施形態では、機関停止直後にパージポンプの運転を行って燃料ベーパのキャニスタへの回収を行った場合であっても、機関停止中に機関温度が停止時の温度より高くなった場合には温度上昇に応じて再度パージポンプを運転して燃料ベーパをキャニスタに回収する。これにより、機関停止後に機関温度が上昇した場合にも燃料ベーパが吸気通路から大気に放出されることが防止される。
【0066】
図6、図7は本実施形態のベーパ放出防止操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行される。
図6ステップ601から625は機関停止直後のパージポンプ20運転操作を示している。図6の操作は図4の操作と略同様の操作であるが、ステップ609、613、625のフラグXSの操作が加わっている点が相違する。
【0067】
すなわち、本実施形態においても、機関停止時の冷却水温度をTHW0として記憶し(ステップ605)、このTHW0に基づいてパージポンプ20の運転開始タイミングBと運転停止タイミングCとを図5の関係に基づいて決定する(ステップ615)。そして、機関停止後カウンタCTの値がBに到達するとパージポンプ20の運転(及びパージ制御弁15の開弁)を開始し(ステップ627、629)、Cに到達するとパージポンプ20の運転を停止する(ステップ619、621)。また、冷却水温度THWが所定値T0以下の場合にはパージポンプ20の運転を行わない点(ステップ611、621)も図4の操作と同様である。
【0068】
しかし、図6の操作では、ステップ613でフラグXSの値を判定してXS=1の場合にはステップ617以下を実行することなく図7ステップ631に進む点が相違している。フラグXSは機関停止直後の1回目のパージポンプ20運転が完了したか否かを表すフラグであり、機関運転中は常に、カウンタCTの値とともに0にセット(ステップ610、609)され、機関停止直後のパージポンプ運転が終了したときに、ステップ625で1にセットされる。また、このときカウンタCTの値もゼロにリセットされる(ステップ623)。
【0069】
すなわち、本実施形態では機関停止直後の1回目のパージポンプ20の運転が終了している場合には、次回からはステップ613から625を実行することなく図7のステップ631に進む。
図7ステップ631では、ステップ601で読込んだ現在の冷却水温度THWが機関停止時の冷却水温度THW0より所定値E以上高くなっているか否かが判定され、E以上高くなっていない場合には、ステップ643に進みカウンタCTの値をリセットして今回の操作を終了する。
【0070】
一方、ステップ631でTHW≧THW0+Eであった場合には、ステップ633から637でカウンタCTの値を増大(ステップ633)しつつ、CTの値が所定値Dに到達するまでパージポンプ20の運転とパージ制御弁15の開弁とを行い(ステップ635、637)、Dに到達したときにパージポンプの停止とパージ制御弁の閉弁とを行う(ステップ635、639)。また、カウンタ値がDに到達してパージポンプの停止を行う場合には、ステップ641で機関停止時の冷却水温度として記憶したTHW0の値を上記所定値Eだけ増大させる。
すなわち、本実施形態では機関停止直後にパージポンプの運転を行い、その後は機関温度(冷却水温度)が所定値まで上昇した場合に再度パージポンプの運転を行うようにしているが、その際、パージポンプの運転を開始する温度は、前回パージポンプの運転を行った温度より所定値Eだけ高く設定する。このように、機関停止中にパージポンプの作動を開始する温度が次第に高くなるようにしているのは以下の理由による。
【0071】
すなわち、機関停止直後にパージポンプの運転が実施され完了している場合には、機関吸気ポートに残留した燃料のうち機関停止時の冷却水温度(THW0)で燃料ベーパとなる成分は全て気化しておりベーパの形でキャニスタに回収されている。このため、機関停止後一旦低下した機関温度が再度THW0まで上昇しても、残留した燃料の蒸発は極めて少なくなり、パージポンプを運転しても燃料ベーパをキャニスタに回収することはできない。しかし、機関温度がTHW0より高くなった場合には、温度THW0では気化しなかった残留燃料も更に気化するようになるため、吸気通路内には燃料ベーパが充満するようになる。そこで、本実施形態では2回目のパージポンプ運転は、冷却水温度THWが機関停止時の温度THW0より所定値Eだけ上昇したときに行うようにしている。
【0072】
また、2回目のパージポンプの運転が完了した場合には、吸気ポートに残留した燃料のうち冷却水温度THW0+E以下の温度で気化する成分は全て気化しており前回までのパージポンプ運転により全てキャニスタに回収されているため、その後冷却水温度がTHW0+Eになっても燃料の蒸発はほとんど生じない。
このため、3回目のパージポンプ運転を開始する温度は前回(2回目)の開始温度より更にEだけ高く設定している。
【0073】
このように、機関停止中のパージポンプ運転を開始する温度をそれぞれ前回の開始温度よりEだけ高くなるように設定することにより、実際には吸気通路に燃料ベーパが存在しないのにパージポンプを運転することが防止されるため、パージポンプの駆動エネルギーを無駄に消費することが防止されるとともに、キャニスタがパージポンプの運転によりパージされて大気連通管から燃料ベーパが放出されることが防止される。
【0074】
(5)他の実施形態
次に、上記第1から第4の実施形態の変形例について説明する。
上記第3と第4の実施形態(図4から図7)では機関停止直後のパージポンプ運転の際に、機関停止時の冷却水温度に応じてポンプの運転時間(C−Bに相当する時間)を設定していた、この時間は吸気通路に発生した燃料ベーパの全量をキャニスタに回収するのに充分な時間に相当する。しかし、燃料ベーパの全量を回収する際に、ポンプの運転時間をベーパ量に応じて変化させる代りに、ポンプの流量をベーパ量に応じて変化させるようにすることも可能である。
【0075】
例えば、図4ステップ413と図6ステップ615ではポンプの回転数は一定にして、ポンプの運転時間を機関停止時の冷却水温度が高いほど長くしている。しかし、実際には機関停止時の冷却水温度が高いほど機関停止後急激に燃料ベーパが発生し、短時間で吸気通路からキャニスタへの燃料ベーパ回収が完了する。この場合、燃料ベーパ回収完了後も長時間パージポンプの運転を継続すると、パージポンプから空気がキャニスタに供給されることになり、キャニスタに吸着された燃料ベーパがパージされ、CCV17から大気連通管18を通って大気に放出される恐れがある。そこで、例えばパージポンプの容量を燃料ベーパの発生に応じて制御し、燃料ベーパ発生量が多い場合(すなわち、吸気通路内に高濃度の燃料ベーパが存在する場合)にはパージポンプの容量を増大させるとともに、ポンプの運転時間を図4、図6の場合より更に短くするようにしても良い。これにより高濃度の燃料ベーパを短時間で回収し、その後は空気をキャニスタに送らないようにすることができ、キャニスタから燃料ベーパが大気に放出されることを完全に防止することができる。
【0076】
パージポンプの容量の調節は、例えば駆動モータに印加する電圧を変えることによって行うことができる。この場合には、機関停止時の冷却水温度が高いほど電圧を高くしてポンプの回転数を上げることにより、ポンプの容量を増大することができる。
また、例えば図7で機関停止後2回目以降のパージポンプ運転を行う場合も、運転開始時の機関温度(THW0+E)が高くなるほどポンプの回転数を上昇させ、その代りに運転時間D(ステップ635)を短く設定するようにしても良い。更にパージポンプの流量を変化させる際にポンプ回転数を変化させる代りに、パージ制御弁15の開度を変化させることによりポンプ流量を変化させることも可能である。
【0077】
なお、上記第2から第4の実施形態は、図1に示したようにパージ制御弁15とキャニスタ10との間にパージポンプ20を配置した場合を例にとって説明しているが、パージポンプの配置は図1のものに限られるわけではない。
【0078】
例えば、図8はキャニスタ10の大気ポートにCCV17と並列にパージポンプ20と遮断弁20aとを配置した構成を示している。図8の配置では機関運転中吸気通路1に充分な負圧が発生する場合にはパージポンプ20は停止して遮断弁20aは閉弁されるとともに、CCV17が開弁される。これにより、CCV17から大気がキャニスタ内に導入され、吸着剤50をパージした後吸気通路に流入するようになる。
【0079】
一方、機関運転中吸気通路に充分な負圧が生じていない場合には、CCV17は閉弁され、パージ制御弁15とともに遮断弁20aが開弁され、パージポンプ20は正転方向に運転される。これにより、パージポンプ20によりキャニスタ10内に空気が圧送され、吸着剤50のパージが行われる。
一方、機関停止時には、CCV17を閉弁し、パージ制御弁15と遮断弁20aを開弁してパージポンプ20aを逆転方向に運転することにより吸気通路1からパージ配管14を介してキャニスタ10に燃料ベーパを回収することができる。この場合も上記各実施形態のベーパ放出防止操作はそのまま実行可能である。
【0080】
図9は、ベーパ放出防止操作専用のパージポンプを設けた場合の配置を示す。図9に示すように、本実施形態ではパージポンプ20はパージ配管14から分岐してキャニスタ10(または燃料タンク11)に連通する分岐通路14a上に配置される。また、分岐通路14aの分岐通路14aの接続部と合流部との間には遮断弁14bが配置される。
本実施形態では、機関運転中は遮断弁14bは常に開弁されており、パージポンプ20の運転は行わない。すなわち、機関運転中のキャニスタのパージは吸気管の負圧のみによって行う。
【0081】
機関停止時にベーパ放出防止操作を行う場合には、パージ制御弁15を開弁し、遮断弁14bを閉弁した状態でパージポンプ20を運転する。本実施形態ではパージポンプ20は1方向、すなわち吸気通路1からパージ配管14及び分岐通路14aを介して燃料ベーパを吸入し、キャニスタ10(または燃料タンク11)に燃料ベーパを吐出する方向のみに運転され、逆転方向の運転は行わない。これにより、吸気通路内の燃料ベーパをキャニスタまたは燃料タンクに回収することが可能となる。
【0082】
(6)パージ系異常検出操作
次に、パージポンプ20を用いたパージ系異常検出操作について説明する。本実施形態では、機関停止後所定時間経過後にパージポンプ20を逆転方向に運転することにより、パージ系内圧と周囲の大気との間に差圧を生じさせた状態でパージ系を密封し、密封後のパージ系内圧の変化に基づいて洩れの有無を判定する。
【0083】
例えば、図1のようにパージポンプ20をキャニスタ10と吸気通路1との間のパージ配管14上に配置した場合の構成を例にとって説明すると、機関停止後キャニスタ10のCCV17を閉弁、パージ制御弁15を開弁した状態でパージポンプ20の逆転方向運転を行うと、パージポンプ20により吸気通路1から燃料ベーパまたは空気がキャニスタ10に圧送される。ところが、キャニスタ10のCCV17が閉弁されているため、キャニスタ10に流入した空気は外部に放出されないため、パージポンプ20の運転を行うとキャニスタ10、ベーパ通路13、及びベーパ通路によりキャニスタ10と接続された燃料タンク11等からなるパージ系が加圧される。
【0084】
パージ系内圧が所定の正圧になった状態でパージ制御弁15を閉弁し、ポンプ20を停止するとパージ系は加圧状態で密閉される。この状態で、パージ系に洩れがなければパージ系内圧は変化しないが、パージ系に洩れがあると洩れを通じてパージ系内の気体が外部に洩出するためパージ系内の圧力は低下する。また、この圧力の低下速度は洩れの大きさに応じて大きくなる。
【0085】
従って、パージ系を加圧密閉した状態での系内圧力変化(圧力低下速度)を測定することによりパージ系の洩れの有無を判定することができる。
ところが、実際には、パージ系を密閉した状態では燃料タンク11内の燃料の温度が高いと燃料の蒸発が生じ、タンク内圧力が上昇する。このため、燃料の蒸発量が大きいと、仮に洩れがあった場合でも燃料の蒸発による圧力上昇と洩れによる圧力低下が互いに打消しあって圧力低下が小さくなる場合がある。
【0086】
そこで、本実施形態では加圧密閉状態でパージ系の圧力低下が小さい場合であっても直ちに正常とは判定せず、次にタンク内の燃料ベーパ発生量を計測する。
燃料ベーパ発生量の計測は内圧を大気圧近傍に低下させた状態でパージ系を密閉し系内圧力の変化(上昇速度)を計測することにより行う。系内を大気圧に維持した場合には、外部とパージ系との圧力差が小さくなるためパージ系に穴等の洩れ部があっても外部からの空気の侵入や内部からの気体の洩出は生じない。このため、パージ系を大気圧で密閉した場合の系内圧力変化は燃料タンクの燃料の蒸発によるもののみになり、燃料ベーパ発生量が大きいほど圧力変化(上昇)速度も大きくなる。
【0087】
本実施形態では、パージ系を加圧密閉して計測した内圧低下速度が所定値より大きい場合には直ちにパージ系に洩れ、穴などの以上が発生していると判定する。しかし、加圧密閉下での内圧低下速度が所定値より小さい場合には、直ちに正常とは判定せず、次にパージ系を大気圧で密閉して圧力変化(上昇)速度を計測することにより燃料ベーパ発生量の大きさを判定する。圧力上昇速度が大きい(燃料ベーパ発生量が大きい)場合には、実際には洩れ、穴などの異常があるにもかかわらず燃料ベーパの影響で内圧低下速度が小さくなっている可能性がある。従って、計測した圧力上昇速度が大きい(燃料ベーパ発生量が大きい)場合には正常判定は行わず、判定を保留する。
【0088】
一方、大気圧密閉下でパージ系の内圧上昇速度が小さい(燃料ベーパ発生量が小さい)場合には、加圧密閉下で内圧低下速度が小さかったのは実際に洩れ、穴等の異常がなかったためと判断できる。このため、この場合にはパージ系が正常であると判定する。
【0089】
図10及び図11は、上記パージ系異常診断操作の詳細を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図10において操作がスタートすると、ステップ1001では現在異常診断の実行条件が成立しているか否かが判定される。
【0090】
ここで、ステップ1001で判定される異常診断実行条件は、(a)機関が停止していること、(b)機関停止後所定の時間が経過していること、(c)機関冷却水温度が所定値以下であること、(d)機関停止後異常検出操作が行われていないこと、である。
ステップ1001の上記条件(a)は、本異常診断操作ではパージポンプ20が通常のパージ操作とは逆の方向に運転され吸気通路内の空気をパージ系に送ることになるため、機関が運転中で吸気通路内に負圧が発生しているとパージ系の加圧が困難になる場合があるためである。
【0091】
また、上記条件(b)及び(c)は機関停止後充分に時間が経過して燃料タンク内の燃料温度が外気温近くまで低下した状態で異常診断を行うようにするためである。前述したように、燃料タンク内の燃料温度が高い場合には燃料蒸発量が大きくなり、実際にはパージ系に洩れ、穴等の異常がない場合であっても判定が保留されてしまい正常判定をできなくなる場合がある。一方、機関運転中は燃料噴射弁からの高温のリターン燃料が燃料タンクに流入するため機関停止直後は燃料タンク内温度が比較的高くなっており、燃料ベーパ発生量も大きい。しかし、機関停止後充分な時間が経過し、かつ冷却水温度が低い場合には燃料タンク内の燃料温度も充分に低くなっているため、燃料ベーパ発生量は小さくなっている。このため、条件(b)、(c)が成立した状態で異常診断操作を行うことにより、正常判定の機会を増大させることが可能となる。
【0092】
更に、条件(d)は、異常診断操作を何度も実行してパージポンプの駆動エネルギーが無駄に消費されることを防止するための条件である。
上記条件のいずれか1つ以上が不成立であった場合には、本操作は直ちに終了し、異常診断操作は行わない。すなわち、ステップ1001の全ての条件が成立した場合にのみステップ1003以下の異常診断操作が実行される。
【0093】
ステップ1003では、まず加圧密閉下でのパージ系の圧力低下速度(ΔPL)の検出が終了しているか否かが判定される。前述したようにΔPLの計測結果はパージ系に洩れ、穴等の異常があるか否かの判定に使用される。
ステップ1003でΔPLの計測が完了していない場合には、ステップ1005から1017でパージ系を加圧密閉した状態でΔPLの計測が実施される。
【0094】
すなわち、ステップ1005ではキャニスタ10のCCV17を閉弁し、ステップ1007から1011では圧力センサ33で検出した燃料タンク11内の圧力PTが所定の正圧P0(例えば、P0≒20mmHg)に到達するまで(ステップ1007)、パージ制御弁15を開弁(ステップ1009)した状態でパージポンプ20を逆転方向に運転する(ステップ1011)。これにより、吸気通路内1内の空気がパージポンプ20によりキャニスタ10に送られ、キャニスタ10、ベーパ通路13、燃料タンク11等のパージ系が加圧される。
【0095】
パージポンプ20の逆転方向運転により燃料タンク11内圧PTがP0に到達した場合には、ステップ1007の次にステップ1013と1015とが実行されパージ制御弁15が閉弁されるとともに、パージポンプ20の運転が停止される。これにより、パージ系は加圧状態で密閉される。
そして、ステップ1017では圧力センサ33で検出した燃料タンク内圧力の変化から、一定時間(例えば5秒程度)内のパージ系内圧低下幅ΔPL(圧力低下速度)が計測される。
【0096】
ステップ1017でΔPLの計測が完了した場合、或はステップ1003で既に前回の操作実行までにΔPLの計測が完了していた場合には、次にステップ1019で圧力低下速度ΔPLが所定値ΔPL0(例えば、ΔPL0は数mmHg/5秒程度の値)以上であるか否かが判定される。
ステップ1019で圧力低下速度ΔPLが、ΔPL≧ΔPL0であった場合には、加圧密閉下でのパージ系の内圧低下が大きく、仮に燃料タンク11内の燃料ベーパ発生量が多かったとしても更にそれを上回る洩れがあることになる。従って、この場合にはステップ1021に進み、直ちにパージ系に洩れ、穴等の異常が発生しているとの判定(異常判定)を行い、ステップ1023でキャニスタ10のCCV17を開弁して操作を終了する。これにより、パージ系内圧は大気圧に復帰する。
【0097】
一方、ステップ1019でΔPL<ΔPL0であった場合には、加圧密閉下でのパージ系圧力低下速度が小さいので一応、洩れ、穴等の異常は生じていないように見える。しかし、この場合には、実際には燃料ベーパ発生量が大きく圧力上昇があるため洩れ、穴等の異常が生じているにもかかわらず見かけ上ΔPLが小さくなっている可能性がある。
そこで、本実施形態では、ステップ1019でΔPL<ΔPL0であった場合には直ちには正常判定は行わず、現在の燃料ベーパ発生量ΔPVを計測するために図11ステップ1025に進む。
【0098】
すなわち、この場合には図11ステップ1025で前回までに既にベーパ発生量ΔPVの計測が完了しているか否かを判断し、完了していない場合にはステップ1027から1031で、パージ系内圧PTが所定値PT1以下になるまで(ステップ1031)キャニスタ10のCCV17を開弁し(ステップ1027)、PT≦PT1になったときにCCV17を閉弁する。PT1は大気圧よりわずかに高い程度の圧力である。これにより、加圧密閉されていたパージ系の内圧が低下し、パージ系は所定圧力PT1以下になった状態で密閉(大気圧密閉)される。
【0099】
ステップ1033は、燃料ベーパ発生量ΔPVの計測操作である。本実施形態では、パージ系を大気圧下で密閉した状態での一定時間(例えば15秒程度)内の系内圧力上昇幅ΔPVを圧力センサ33で検出し、この値を燃料ベーパ発生量として使用する。
上記により燃料ベーパ発生量ΔPVの計測が完了した場合、またはステップ1025で既に前回までの操作でΔPVの計測が完了していた場合には、次にステップ1035が実行される、燃料ベーパ発生量ΔPVが所定値ΔPV0より大きいか否かが判定される。ΔPV0は、例えば数mmHg/15秒程度の値に設定される。
【0100】
ステップ1035でΔPV≦ΔPV0であった場合、すなわち現在の燃料ベーパ発生量が少ない場合には、ステップ1017で計測したΔPLの値は、実際に洩れ、穴等がなかったために小さくなっていたと考えることができる。そこで、この場合には、ステップ1037に進み、パージ系に洩れ、穴等の異常が生じていないと判定(正常判定)する。また、ステップ1035でΔPV>ΔPV0であった場合には、ステップ1017で計測したΔPLの値が小さかったのは燃料ベーパ発生量が大きいためであり、実際にパージ系に洩れ、穴等の異常が生じている可能性がある。そこで、この場合にはステップ1039に進み、正常判定も異常判定も行わず、判定を保留する。
【0101】
ステップ1037で正常判定がなされた場合、及びステップ1039で判定が保留された場合とも、次に図10ステップ1023が実行され、キャニスタ10のCCV17が開弁され、異常診断操作が終了する。
上記のように、本実施形態では機関停止後にパージポンプを通常のパージ時とは逆方向に運転することによりパージ系内圧と大気圧との間に差圧を生じさせている。このため、通常のパージ時とは逆に必ず吸気通路からキャニスタに向う流れが生じる。パージ系の異常診断は、図1の構成で言えばパージポンプを正転方向に運転してパージ系内圧を低下させ、負圧下で密閉することによっても行うことができるが、この場合にはキャニスタから吸気通路に向う流れが生じるためキャニスタでパージされた燃料ベーパが停止中の機関の吸気通路に流入してしまう問題が生じる。
【0102】
これに対して、本実施形態のようにパージポンプを逆転方向に運転してパージ系内圧と大気圧との間に差圧を生じさせる場合にはキャニスタから吸気通路に燃料ベーパが流入する可能性がない。従って、本実施形態によれば異常診断時に吸気通路から燃料ベーパが大気に放出されることが防止される。
また、本実施形態では機関停止後燃料タンク内の燃料温度が充分に低下してからパージ系の異常診断を行うようにしているため、異常診断に対する燃料ベーパ発生量の影響が小さくなり、正確な異常診断が可能となる。
【0103】
なお、本実施形態では図2の構成を例にとって説明したが、例えば、図8のようにキャニスタ10の大気ポート側にパージポンプ20を配置したキャニスタパージシステムにおいても、機関停止後にパージポンプ20を逆転方向に運転することにより吸気通路内に燃料ベーパが流入することを防止しつつ正確な異常診断を行うことが可能となるのは図1の構成の場合と同様である。
【0104】
この場合には、パージポンプ20を逆転方向に運転することによりパージ系内圧は負圧になるため、図10ステップ1017の操作ではパージ系を負圧密閉した状態での圧力上昇速度ΔPLを計測する。また、この場合、図10ステップ1019では、ΔPL≦ΔPL0であるか否かが判定され、ΔPL≦ΔPL0であった場合には、ステップ1021で直ち正常判定がなされる点、及び図11ステップ1037では正常判定の代りに異常判定がなされる点が図10、図11と相違するのみである。
【0105】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、機関運転中のみならず機関停止後に吸気通路から大気に燃料ベーパが放出されることを確実に防止可能とする共通の効果を奏する。また、請求項8の発明では上記共通の効果に加えて更に、機関停止後にパージ系の異常診断を行う際にも吸気通路から大気に燃料ベーパが放出されることを確実に防止可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関のキャニスタパージシステムに適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】ベーパ放出防止操作の第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図3】ベーパ放出防止操作の第2の実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】ベーパ放出防止操作の第3の実施形態を説明するフローチャートである。
【図5】図4の操作のポンプ作動時間の設定を示す図である。
【図6】ベーパ放出防止操作の第4の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図7】ベーパ放出防止操作の第4の実施形態を説明するフローチャートの一部である。
【図8】図1とは異なるパージポンプの配置例を示す図である。
【図9】図1、図8とは異なるパージポンプの配置例を示す図である。
【図10】パージ系の異常診断操作を説明するフローチャートの一部である。
【図11】パージ系の異常診断操作を説明するフローチャートの一部である。
【符号の説明】
1…吸気通路
10…キャニスタ
11…燃料タンク
12…ベーパー配管
14…パージ配管
15…パージ制御弁
17…CCV
30…電子制御ユニット(ECU)
33…燃料タンク圧力センサー
Claims (8)
- 内燃機関の燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタと、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと機関吸気通路とを接続するパージ通路と、前記キャニスタと大気とを連通する大気ポートと、前記吸気通路内の気体を前記パージ通路を介して前記キャニスタに供給する、機関の運転とは独立して作動可能なパージポンプと、前記機関停止後に、前記パージポンプを作動させて機関吸気通路内に滞留する燃料ベーパをキャニスタ内に供給するパージポンプ制御手段と、を備え、
前記パージポンプは逆転運転可能なポンプであり、前記パージポンプ制御手段は、前記機関運転時には前記パージポンプを正転方向に運転することにより前記キャニスタ内の燃料ベーパをパージ通路を介して機関吸気通路に供給し、機関停止後に機関吸気通路に滞留する燃料ベーパをキャニスタ内に供給する場合には、前記パージポンプを逆転方向に運転する、キャニスタパージシステム。 - 前記パージポンプは、前記パージ通路上に配置されている、請求項1に記載のキャニスタパージシステム。
- 前記パージポンプは、前記キャニスタの大気ポートに接続されている、請求項1に記載のキャニスタパージシステム。
- 前記パージポンプ制御手段は、機関停止後の機関温度が予め定めた所定温度以下の場合には前記パージポンプの作動を中止する、請求項1に記載のキャニスタパージシステム。
- 前記パージポンプ制御手段は、機関停止後のパージポンプの前記逆転方向運転を所定時間継続した後パージポンプの作動を停止するとともに、前記所定運転時間を機関停止後の機関温度が高いほど短く設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステム。
- 前記パージポンプ制御手段は、機関停止後所定の遅れ時間経過後に前記パージポンプの作動を開始するとともに、前記所定遅れ時間を機関停止時の機関温度に基づいて設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステム。
- 前記パージポンプ制御手段は更に、機関停止後に機関停止時より機関温度が上昇した場合には、機関温度の上昇に応じて前記パージポンプを作動させる請求項1から6のいずれか1項に記載のキャニスタパージシステム。
- 更に、機関停止後に前記パージポンプ制御手段によりパージポンプの前記逆転方向運転を行い、前記パージ通路とキャニスタと燃料タンクとを含むパージ系の内圧を大気と所定の圧力差が生じる値に調整し、その後パージ系を密閉するとともに、密閉後のパージ系内圧の変化に基づいてパージ系の洩れの有無を判定する異常診断装置を備えた、請求項1に記載のキャニスタパージシステム。
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