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JP4077945B2 - 生体磁気計測装置 - Google Patents

生体磁気計測装置 Download PDF

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JP4077945B2
JP4077945B2 JP22706198A JP22706198A JP4077945B2 JP 4077945 B2 JP4077945 B2 JP 4077945B2 JP 22706198 A JP22706198 A JP 22706198A JP 22706198 A JP22706198 A JP 22706198A JP 4077945 B2 JP4077945 B2 JP 4077945B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検者の脳や心臓など、生体から発生する磁気(磁場)を計測する生体磁気計測装置に関し、とくに、被検者の計測部位のサイズの如何に関わらず、デュワ(容器)内に配設する複数の磁気センサの配置状態が最適な状態になるように設定した生体磁気計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体磁気計測装置は、生体の脳や心臓などの部位から発生する微弱な磁気(磁場)信号を捕らえて、それらの部位の機能診断に利用するもので、近年、その開発や研究が盛んに行われている。
【0003】
従来良く知られているように、例えば人の心臓は、その動きに伴って電流を発生する。この電気信号は非常に微弱であるが、種々の方法により非侵襲的に測定することができる。その1つの方法が生体磁気計測であり、これは生体中を流れる電流に因って生じる磁気(磁場,磁場)を測定するものである。とくに、脳を対象とした生体磁気計測を脳磁界計測と、心臓を対象としたそれを心磁界計測と別けて呼ぶことがある。
【0004】
従来の生体磁気計測装置は一般に、患者を載せる寝台又はこれと同等機能の装置と、磁気センサを先端部または底辺部に取り付けた円筒状または桶型のデュワと、磁気センサにより検知され、信号線を介してデュワ外部に取り出された検知信号を処理する計算機を有する処理装置とを備える。
【0005】
この生体磁気計測装置を電気系からみると、磁気検知部および電流検出器を磁気センサとして有するセンサ部と、信号処理用の関連のエレクトロニクスとを有し、特別な工夫を施した高感度磁気計測システムとも言える。
【0006】
各磁気センサは、磁気を検知するループコイルを有するコイル部と、その磁気信号を電流信号に変換するジョセフソン接合を有する電流検出器とを備える。コイル部は、一般的には、磁束が貫くことにより微小電流を生じさせる単一ループまたはマルチループのコイルで構成される。例えば、心臓からの磁気信号を検知する場合、コイル部は被検者の胸部に極力近接して配置されることが望ましい。それは磁界強度の変化に起因しており、磁界強度は電流源からの距離の3乗に比例して弱くなるからである。
【0007】
磁気センサには、非常に微弱な磁気信号を検知する高感度性が要求されている。このため、最近では、SQUID(超伝導量子干渉素子:Superconducting QUantum Interference Device )を用いることが多く、このSQUIDを複数個用いる多チャンネル化(例えば数十チャンネル)も進んでいる。最近では、このSQUIDを液体窒素温度(77K)で動作するYBCO材料で製作することも多くなっている。
【0008】
このように超伝導材料を用いた、電流検出器を含む磁気センサは、その動作に必要な超伝導状態を保持するため、かつ、温度上昇による熱雑音であるジョセフソン雑音を減らすためにも、非常に低温な状態に維持する必要がある。
【0009】
この低温維持のため、磁気センサはデュワと呼ばれる断熱容器内に設置され、デュア内に貯めた冷媒(液体窒素や液体ヘリウム)で冷却される。典型的なデュワは直径が約55cm、長さが約120cmの円筒形である。冷却方法としては、デュワ内に貯めた冷媒内に磁気センサを浸し、直接冷却する方法が一般的である。デュワ内に冷媒を貯めておく必要があるので、デュワは通常、真空断熱層を有する2重層構造になっている。現時点では、SQUIDから成る磁気センサの特性を超電導状態に維持するには、極低温液体の窒素やヘリウムが不可欠である。
【0010】
デュワをこのように円筒状や桶型に形成するのは、その内側底面に磁気センサを配置し易いこと、冷媒の蒸発防止、冷却効率が比較的良いことなどが挙げられる。
【0011】
現在使用に供している高感度のSQUID磁束計を用いた生体磁気計測装置の場合、円筒状のデュワは寝台上に仰向けになった被検者の例えば胸の直上に設置される。生体からの磁気信号を感度良く検知するには、上述したように、磁気センサを体表になるべく近付けた方が良い。デュワが2重層構造であると、センサと体表との間の距離が真空断熱層の分、遠くなるので、検出信号のS/Nが悪くなってしまう。デュワのサイズのみならず、センサを極力、体表に近接して配置する必要性から、デュワの幾何学的形状を綿密に設計したいところではある。通常、磁気センサはデュワ内部の最底面またはこの面に近い位置に、空間的に均等な間隔で配置される。
【0012】
処理装置には、MRI(磁気共鳴イメージング)装置やX線CTスキャナなどのモダリティにより収集された患者の画像情報が与えられる。処理装置は従って、その画像情報を参照しながら磁気センサに拠る検知信号を処理して画像情報を生成し、表示する。この生成・表示情報を元に生体の機能診断が行われる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
例えば計測部位が心臓(胸部)であるとすると、その磁気信号は胸部の全面から生じているので、それらの信号をなるべく多く計測する方が、S/Nの向上、強いては計測精度の向上の観点から望ましいと考えられる。
【0014】
しかしながら、上述した従来の生体磁気計測装置によれば、デュワ内に配設されている複数のSQUIDセンサの配置間隔は常にある一定値に設定されているので、胸部面積が広い被検者の場合、その面積の広さに拠って、心臓からの磁気信号をピックアップするSQUIDセンサの数は多くなる。その反対に胸部面積が狭い被検者の場合、心臓からの磁気信号の検出に関与するSQUIDセンサの数はそれだけ少なくなり、診断に供し得る程度の精度の計測に必要な数のSQUIDセンサさえも確保できないことがある。計測対象には、大人だけでなく、子供も入る。また、成人であっても、一般的に、性別によって胸部面積が異なる。つまり、従来の場合、計測対象が変わると、その計測精度が変動してしまうという問題があった。
【0015】
さりとて胸部面積のサイズに応じて複数種のセンサ配置間隔のデュワを予め準備することは、運用コストや操作上の手間を考えると、実際の臨床の場では非常に困難なことである。したがって、計測対象によっては計測精度が十分でない場合も敢えて受容せざるを得ない状況にあった。
【0016】
これに加えて、従来の計測装置には、心磁界計測におけるデュワの形状に関する問題もあった。従来の場合、心磁界計測の場合でも、底面がフラットな筒状のデュワを用いて、胸部前面から磁気信号を検出している。しかし、上述したように心臓から放射される磁界は胸部の全周囲にわたっているのに対し、その前面のみの磁界しか計測していない。このため、磁気検出および計測精度の点で未だ十分向上の余地があるにも関わらず、この点についての提案が何等なされていないという現状があった。
【0017】
本発明の目的
本発明は、上述した従来技術が有する種々の未解決の問題に鑑みてなされたものである。
【0018】
したがって、本発明は、大人と子供、老若男女など、計測対象の種類により、また、個人差により、被検者の計測部位のサイズが変わる場合でも、1台の装置でそれらの多様な被検者をカバーし、常に精度が良く且つ安定した磁気計測を行うことができる生体磁気計測装置を提供することを、その第1の目的とする。とくに、計測部位が心臓(胸部)であるときに、かかる目的を良好に達成できるようにする。
【0019】
また本発明は、上述の第1の目的を達成すると同時に、被検者の計測部位から放射される磁気信号を多面的になるべく多く検出し、S/Nを上げて、計測精度(つまり磁場源の推定精度)の向上を図ることを、第2の目的とする。とくに、一般に心臓は胸部の中央よりも左寄りに位置しているので、少なくともこの左胸側面(部)を計測範囲に加え、かかる目的を確実に達成できるようにする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記種々の目的を達成するため、本発明の生体磁気計測装置は、被検者の磁気信号を検出する複数の磁気センサと、この磁気センサを収容したデュワとを備え、前記デュワは前記被検者の体表の周りに空間的に位置させる複数の検出面を有するものであって、かつ前記検出面のうち少なくとも一部に平面部を有する形状に形成し、前記複数の磁気センサの少なくともセンサ相互間の配置間隔を前記検出面の端部近傍において狭くしてセンサ配置密度が大きくなるように前記デュワ内に配置したことを特徴とするものである。
【0021】
好適には、前記デュワは前記被検者の体軸方向から見たときに少なくとも2つの検出面が略L字状を成す形状であり、この2つの検出面が前記被検者の左胸部の前面および側面を覆うように配置してある。このとき、前記デュワは前記2つの検出面の間を連続的に湾曲して繋ぐ湾曲状の検出面を有し、前記磁気センサをこの湾曲状の検出面に沿って配置し、この湾曲状の検出面が前記被検者の左胸部の前面および側面の間の体表面を覆うように前記デュワを配置することが望ましい。
【0022】
また好適な一例として、前記複数の磁気センサは、その相互の配置間隔を前記湾曲状の検出面に至るほど狭くしてセンサ配置密度が大きくなるように配置することができる。また好適な別の例として、前記複数の磁気センサは、その相互の配置間隔のみを前記湾曲状の検出面に至るほど狭くしてセンサ配置密度が大きくなるように配置することができる。
【0023】
さらに、例えば、前記デュワは前記被検者の体軸方向から見たときに少なくとも3つの検出面が略コ字状または略U字状を成す形状であり、この少なくとも3つの検出面が前記被検者の左胸部の少なくとも前面、側面、および背面を覆うように配置してもよい。
【0024】
さらに、前記複数の磁気センサのそれぞれは微分方向を有するSQUIDセンサで形成し、この複数のSQUIDセンサは前記検出面それぞれにおいてその微分方向が同一方向を向くように配置することが望ましい。
【0025】
さらに、前記磁気センサはSQUIDセンサで構成する一方、前記デュワの外部に配設された冷却源と、前記デュワの内部に前記冷却源に接続された状態で配設され且つ前記複数のSQUIDセンサを冷却する冷却手段とを備えていてもよい。この場合、例えば、前記冷却源は冷凍機であり、前記冷却手段はこの冷凍機に接続されたヒートパイプである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0027】
第1の実施形態
第1の実施形態を図1〜7、および、図13〜15に基づき説明する。
【0028】
この実施形態に係る生体磁気計測装置は、心磁界計測用の装置であり、そのデュワとしてL字型デュワを搭載したことを特徴とする。
【0029】
図1は、この生体磁気計測装置の概略構成を示す。この生体磁気計測装置は、被検者Pを通常、仰向けの状態で寝かせる寝台1と、この寝台1上に寝かせた被検者Pの心臓が発生した磁束を検知するセンサ部2と、このセンサ部2を内部に搭載したL字型(略L字型)デュワ3と、このL字型デュワ3を載置・固定する台座4と、センサ部2の駆動および検知信号の処理に供する駆動・処理ユニット5と、センサ部2の冷却機構6と、装置全体の制御装置7と、センサ部2の検知信号の解析を行う解析装置8と、解析結果を表示する表示装置9とを備える。
【0030】
ここで、図1において、便宜的な座標軸として、寝台1の天板1aの長さ(長手)方向、すなわち一般的には被検者Pの体軸方向をZ軸とし、天板上下方向をY軸、天板の幅方向をX軸と定める。
【0031】
L字型デュワ3は、所定高さの略直方体で板状の密閉ケーシングを図示の如く、略L字状に湾曲させた状態に成形したものである(図2参照)。このケーシングをL字状に湾曲させたときの横手方向、すなわちX軸方向の長さは被験者Pの体幅を十分にカバーできるようになっている。つまり、ケーシングの高さHに比較して、横手方向の幅Wが長いという特徴がある。また、ケーシングの湾曲部Cの湾曲度は、寝ている被験者Pの胸部前面から胸部側面に掛けての体表の丸みに極力合わせるように設定されている。この湾曲部Cは被験者Pの体表の丸みにフィットし、心臓から放射される微弱な磁気信号をなるべく感度良く検知できるように配慮した構造になっている。
【0032】
ケーシング(すなわちL字型デュワ3)のL字状湾曲によって、この側面に対向する方向(すなわちZ軸方向)からみて、その内部にもL字状に湾曲した内部空間ISが形成される。この内部空間ISは高さ(Y軸)方向空間部ISy,湾曲空間部ISc,幅(X軸)方向空間部ISxが連続して形成される。
【0033】
ケーシングはその全体が外側ケーシング11aと内側ケーシング11bとで形成され、それらの間に真空断熱層VSがつくられている。内側ケーシング11bの内部が上述した内部空間ISを形成する。この内部空間ISも真空に形成され、冷熱が逃げないように真空断熱されている。
【0034】
この真空断熱構造に関するシール部の改善例を図13〜15に示す。真空断熱層VSおよび内部空間ISは10-3Torr程度の真空に形成される一方で、外側ケーシング11aの内側面、および内側ケーシング11bの内側面および外側面はアルミニウムを蒸着した断熱フィルムで覆われ、これにより熱流入が低減される。また、外側ケーシングには真空断熱層VSおよび内部空間ISを真空引きするための引き込み口が設けられる。さらに、ケーシング11a,11bの内側空間VS,ISとデュワ外部との気密性を保持するため、外側ケーシング11aの貼り合わせ部、その信号線引き込み部、および、ヒートパイプなどの熱伝導機構の引き込み部は図13〜15に示す如く構成される。すなわち、図13に示す如く、外側ケーシング11aはシリコンゴムSLおよび真空グリースVGにより気密に貼り合わせられる。また図14に示す如く、信号線SCは外側ケーシング11aに対してシリコンゴムSLおよび真空グリースVGによる気密構造を介して引き込まれる。同図において、参照符号MDはモールド剤である。さらに図15に示す如く、後述するヒートパイプなどの熱伝導機構HTは外側ケーシング11aに対してシリコンゴムSLおよび真空グリースVGによる気密構造を介して引き込まれる。
【0035】
このような改善を行うことで、熱輻射に因る熱流入が大幅に減少し、冷却機構の冷却性能がより小さくて済む。これにより、後述する冷凍機をデュワから離して、より遠くに設置することができるから、冷凍機に因る磁気雑音の混入を減らすことができる。また、真空断熱層VSおよび内部空間ISは共に同じ圧力に保持すればよいため、手の届きにくい内側ケーシングの気密性を高くするために内側ケーシングにシール性を持たせるといった構造及び作業が不要になり、複雑なデュワ形状のケーシングにも関わらず、組み立てが極めて容易になるという特徴がある。また、信号線をより容易に配線したり、ケーシングやセンサの支持および組み立て性を改善するため、内側ケーシングに穴を開けるという構造も採用することができるようになる。
【0036】
センサ部2は、複数個の磁気検知のためのSQUIDセンサ21…21を備える。各SQUIDセンサ21はデュワのケーシングの内部空間IS内に、その一連の空間部ISy,ISc,ISxに沿って列状で且つこの列をZ軸方向に複数列並べる2次元配置とされる。
【0037】
この配置によるセンサ位置の例を図3に示す。同図(a)にはL字型デュワ3のみを描き、このL字型デュワ3をY軸(上下)方向真上から矢印Aに沿って見たときのSQUIDセンサ21の配置状態を同図(b)に示す、またX軸(横)方向真横から矢印Bに沿って見たときのそれを同図(c)に示す。このセンサ配置のパターンは、本発明の特徴の1つを成すもので、後で説明するSQUIDセンサ21の取付けの項で一緒に採り挙げる。
【0038】
各磁気センサ21は、筒状のボビン22と、このボビン22に、例えば図4に示す如くKetchen型1次微分型に巻装したピックアップコイル23と、ボビン22の所定位置に取り付けたジョセフソン結合を有するSQUIDチップ24(超伝導リング体およびインプットコイル)とを備える。この結果、例えば体軸(Z軸)方向に直交するXY面で見た場合、各SQUIDセンサ21の微分方向は、図1において、L字型デュワ3の立上がり部分(Y軸方向の部分)で微分方向=X軸(左右)方向となり、その状態から湾曲部にて微分方向が徐々にY軸(上下)方向に変化し、そして、水平部分(X軸方向の部分)で微分方向=Y軸(上下)方向になる。
【0039】
ケーシングの湾曲部Cには、SQUIDセンサ21同士の湾曲外径側の間に隙間ができるので、この隙間に、環境磁場を排除処理するときの参照コイル群25を設置する。これにより、コイルの設置スペースを有効に利用できる。
【0040】
冷却機構6は、冷凍機31と、この冷凍機31に直結しているヒートパイプ32とを用いてセンサやコイルを冷却するようにしている。この冷却構造は、後で詳述する。
【0041】
台座4内に設けた駆動・処理ユニットは、駆動回路41およびプリプロセッサ回路42のユニットを備える。駆動回路41は、SQUIDセンサ21…21をセンサ毎(すなわち検出チャンネル毎)に駆動する、例えば複数のFLL回路で成る。プリプロセッサ回路42は、SQUIDセンサ21…21を用いて駆動回路41により検出された信号を前処理するアナログフィルタリング回路、増幅回路などから成る。
【0042】
制御装置7は、寝台、駆動回路41・プリプロセッサ回路42、冷凍機31の動作を制御する。制御装置のモニタ信号(制御される側がどのような状態にあるかを示す信号)が解析装置に伝送される。解析装置では、駆動回路41・プリプロセッサ回路42を通して得られたセンサ信号とモニタ信号などを用いて、心電図や心筋の電気生理現象を解析し、表示する。
【0043】
このようなデュワ構造にすることで、とくに、L字型デュワ3の湾曲部Cをはじめとして、その前後のデュワ部分が被験者Pの胸部体表にフィットし、SQUIDセンサ21…21と胸部体表との間の距離を短く且つ一定に確保することができる。したがって、心臓から発生する磁気信号を効率良く計測できる。
【0044】
次に、上述したL字型デュワ3とその冷却機構6の、より具体的な構造の一例を図5〜7に基づき説明する。
【0045】
この冷却機構6は、ヒートパイプ32を利用するので、まず、ヒートパイプ32の原理から説明する。
【0046】
ヒートパイプ32は、その一例として図5に示す如く、パイプを有し、そのパイプの内壁側に金網、多孔質材などの毛細管力の大きな構造体(ウイック),内部には熱の輸送を可能にする作動液と呼ばれる液体(気体)がある圧力下で充填されている。ウイックはパイプ内壁に溝を切った構造とし、その溝を利用することも可能である。ヒートパイプは、その一方の端部を蒸発(吸熱)部、他方の端部を凝集(放熱)部とし、蒸発部で外部より得られた熱に因ってウイック中の凝集液がパイプ内に蒸発する。熱を持った蒸気は圧力の低い他方の凝集部に移動する。移動してきた蒸気は冷却されるから、ウイック部へ液体の状態で凝集し、この凝集液がウイックの毛細管力に拠り再び蒸発部に戻される。ウイック部内では、蒸発部の圧力が凝集部に比べて低い。この蒸発、凝集のサイクルを介して、蒸発部での吸熱を凝集部に運ぶことで冷却が可能になる。なお、蒸発部と凝集部との間は断熱部であり、熱勾配が極めて低くなっている。
【0047】
ここでは、このような原理のヒートパイプ32を生体磁気計測装置に使用するので、パイプ材、ウイック材ともに非磁性材料を使用する。また、パイプ材は内圧に十分耐えるように、内部液体や気体の漏洩を防止するようにしている。
【0048】
このヒートパイプ32を用いたL字型デュワ3の構造を概略的に示す。
【0049】
このL字型デュワ3は、図6に示す如く、同図の上側に位置する上側カバー3Uと、その下側に位置する下側カバー3Lを備える。そして、両カバー3U,3Lにより、その全体が側面方向(Z軸方向)から見て、湾曲部を介してL字型に形成されている。両カバー3U,3L共に、前述したように外側ケーシング11aおよび内側ケーシング11bから成る二重の断熱構造になっている。
【0050】
上側カバー3Uは、その全体が側面に対向するZ軸方向から見て略L字型の部分と、その両端に一体に立設した側面カバー3Ua ,3Ub とを一体に有する。この側面カバー3Ua ,3Ub と下側カバー3Lとの接触部には、シール部51,52がそれぞれ介挿され、気密性が確保されている。なお、この下側カバー3Lは、捩子などの開閉手段によりシール部51,52を介して側面カバー3Ua ,3Ub に取り付けられている。このため、下側カバー3Lは、保守などの便宜のため、着脱自在に開閉可能になっている。
【0051】
このように上側カバー3U(および側面カバー3Ua ,3Ub )および下側カバー3Lにより画成されて、その内部に空間ISが形成される。この内部空間ISには、上側カバー3Uの所定位置に挿通させた連結ホース54を介して真空ポンプ55に接続されている。このため、真空ポンプ55を作動させることで、内部空間ISが所定真空度の真空層に形成され、断熱状態になる。
【0052】
一方、上側カバー3U(および側面カバー3Ua ,3Ub )および下側カバー3Lのそれぞれは、前述した如く、内部に真空層ISa(ISb)を持つように2重構造になっており、この真空層ISa,ISbがやはり断熱機能を有する。つまり、L字型デュワ3内部に置かれるセンサに対して、二重の断熱構造になっている。これにより、外部からの熱流入を極力抑えるように配慮してある。
【0053】
冷凍機31にはヒートパイプ32の一端が接続されている。このヒートパイプ32の他端は、シール部56によりシールされた上側カバー3Uの一方の側の取付け穴を通ってデュワ内部に至る。このヒートパイプ32に対し、冷凍機31および上側カバー3U間の露出部分およびデュワ内部での露出部分は、断熱材57により覆われている。このため、断熱材57はヒートパイプ32に対する断熱機能を有し、外部への熱流出を極力防止する一方で、ヒートパイプ32を固定保持する機能をも果たす設計になっている。
【0054】
このヒートパイプ32は、デュワ3の内部空間ISにおいて直角に方向を変え、断熱材57から抜けてそのまま内部空間ISの略L字型の隙間に沿って延び、もう一方の端部に至る。上側カバー3Uの内側のパイプ到達位置には段部が形成され、この段部に、パイプ取り付け部58を介してヒートパイプ32のもう一方の端部が取付け・固定されている。これにより、内部空間ISにおいてヒートパイプ32全体も固定される。
【0055】
また、L字型デュワ3にて、ヒートパイプ32にはSQUIDセンサ21…21が一定間隔または調整された間隔でパイプの延び方向に沿って複数個立設されている。
【0056】
各SQUIDセンサ21は、図7に示す如くヒートパイプ32との接合面に設けた熱伝導体58を介して設けるか、または、ヒートパイプ32の外壁に直接に取り付けられる。いずれの場合も、各SQUIDセンサ21は熱伝導に拠り冷却される。SQUIDセンサ21は取り外し可能に取り付けられる。デュワ3の患者に一番近い面、すなわち下側カバー3Lが開閉可能になっているため、不良チャンネルが発生した場合、不良になったSQUIDセンサ21を容易に交換できる。
【0057】
また、ヒートパイプ32の作動液として窒素を使用している。作動液はSQUIDセンサ21の材質により変えてもよい。SQUIDセンサ21の材質が超電導状態を維持できるのであれば、アンモニア水、アルコール、メタンなどを用いてもよい。また液体窒素では十分冷却できない場合、ネオン、ヘリウムなどを用いてもよい。
【0058】
このように本実施形態では、ヒートパイプ32の凝集部には、極低温冷媒である液体窒素タンクもしくはそれに相当する冷却能力を持った冷凍機31を備え、ヒートパイプ32のもう一方の蒸発部にSQUIDセンサ21…21を取り付ける構造になっている。これにより、SQUIDセンサ21…21の部分の熱をヒートパイプ32により凝集部へ輸送することができ、これにより、SQUIDセンサ21…21が冷却される。
【0059】
ここで、SQUIDセンサ21…21をヒートパイプの一端部にその軸方向に沿って取り付けることによりデュワ内に配置される配置パターンを、前述した図3および図8〜図10を用いて説明する。
【0060】
図3(b),(c)のセンサ配置パターンは、その丸印Cで示す如く、センサ配置密度(デュワの単位面積当たりのセンサ配置数)およびセンサのコイル面積(ループコイルの磁束貫通面積:センサ面積)を共に変化させることを模式的に表している。変化の方向は、同図(b)および(c)に示す如く、L字型デュワ3の湾曲部(角部)に向かって進むにつれて線形的に、指数関数的、または多次(高次)関数的に、センサ配置密度を上げ且つコイル面積を小さくする。つまり、このL字型デュワ3の場合、センサ配置密度を上げ且つコイル面積を変化させたセンサ配置パターンを持つデュワ測定面が、Y軸方向に直交する面(検出面)と、X軸方向に直交する面(検出面)とを含め、等価的に2面以上有することになる。なお、センサ配置密度またはコイル面積の一方のみを同様に変化させるようにしてもよい。
【0061】
ここで、L字型デュワ3の湾曲部に移行するほど、センサ配置密度を上げ、および/または、コイル面積を小さくするのは、胸部面積の小さい被検者はその体全体を左側に寄せて、左胸部体表面をそのデュワの湾曲部に最も近接して位置決めすることで、心臓から放射される磁気信号がより多くの数のSQUIDセンサ21により検出されること、および/または、その磁気信号のS/Nが上がること、に依る。胸部面積の大きい被検者は単純にデュワ湾曲部に近接して位置決めすることで、多数のSQUIDセンサ21でカバーされる。
【0062】
このセンサ配置パターンは種々のタイプに変化させて実施することができる。この変化例を図8〜図10に示す。これらの図は前述した図3(b)に相当するパターン、すなわちデュワ3をY軸方向上側からみた状態でのセンサ配置パターンを示し、各図の上段の(a),(a′)はデュワ3を横方向(Z軸方向)からみたセンサ配置およびコイル径の模式図、下段の(b),(b′)はデュワ3を上下(Y軸)方向上側からみたセンサ配置およびコイル径の模式図である。
【0063】
簡単には、図8(a),(b)に示す如く、Kethcen型一次微分型コイルや高温超伝導SQUIDのコイル面積を一定にした状態で、センサ配置密度をL字型デュワの湾曲部に移行するほど密(大)に設定する。同図(a′),(b′)は同図(a),(b)に示すセンサ配置構成を多次(高次)微分型に構成したものである。すなわち、同図(a′)に示す如く、デュワ3内のセンサ群の配置段数を上下2段U,Lに設定し(このとき、上下のSQUIDセンサは互いに微分方向に設置される)、各段のSQUIDセンサ21が例えば1次微分型であれば、上下2段U,Lにより差分をとって2次微分に形成するものである。
【0064】
また、図9(a),(b)に示すセンサ配置パターンは、図8(a),(b)と同様に、コイル面積を一定にした状態で、センサ配置密度をL字型デュワの湾曲部に移行するほど密に設定する。ただし、図8に示すように横(X軸)方向の変化率が体軸(Z軸)方向のどの位置においても同一であるのと異なり、体軸(Z軸)方向の位置に応じてセンサ配列密度の変化率が異なるパターンになっている。図9(a′),(b′)は同図(a),(b)に示すセンサ配置構成を多次微分型に構成したものである。
【0065】
さらに、図10(a),(b)に示すセンサ配置パターンは、図8(a),(b)と同様に、コイル面積を一定にした状態で、センサ配置密度をL字型デュワの湾曲部に移行するほど密に設定する。ただし、L字型デュワ3の湾曲部寄りの所定位置PSに向かってセンサ配列密度がその周りから、疎から密に変化するパターンになっている。この所定位置PSの直下に被検者の心臓部分がくるように被検者を位置決めする。図10(a′),(b′)は同図(a),(b)に示すセンサ配置構成を多次微分型に構成したものである。
【0066】
したがって、SQUIDセンサ21の配列密度を密に設定し且つコイル面積を小さく設定してあるL字型デュワ、または、SQUIDセンサ21の配列密度のみを密に設定してあるL字型デュワの湾曲部寄りの位置に被検者の心臓部を位置させることができる。これにより、心臓部付近の直上でセンサ配列密度が高くなり、空間分解能が上がる。よって、解析精度も向上する。
【0067】
また、寝台上の被検者を、上述のように、心臓位置がL字型デュワの湾曲部寄りの位置に適宜に位置決めすることで、胸部の広い人、狭い人など被検者の体型、体格の如何に依らず、心臓付近でのセンサ密度を上げ、S/Nを向上させて、被検者の体型にほぼ無関係に、常に、高くかつ安定した空間分解能を確保することができる。
【0068】
本実施形態に係る生体磁気計測装置は、従来装置に比べて、様々な優れた効果を有する。
【0069】
具体的には、まず、側面に対向する方向(Z軸方向)からみてL字型で、かつ、寝台の上下方向(Y軸方向)からみて2次元的な拡りを有するデュワ構造にし、その内部空間に2次元的にSQUIDセンサ21を配置することで、被験者Pの体側に沿った面にも2次元的にSQUIDセンサ21が位置する。したがって、心磁界計測に好適なデュワ構造となり、胸前部と胸側部から同時に磁気信号を検出でき、心臓からの磁場を効率良く収集できる。この結果、従来のように胸前部だけから、或いは、胸側部だけから検出する場合に比べて、検出データ数が多く、また各種の方向から検出できるので、磁場源解析精度が大幅に向上する。
【0070】
とくに、上述した実施形態のデュワは、その一方の平面部から他方の平面部に移る途中を湾曲面部にし、極力、被験者の体表面に滑らかに沿った構造にするとともに、その湾曲面部にも2次元的にSQUIDセンサ21を配置している。これにより、体表の斜めの部分からも同じように磁気信号を計測できるので、磁場源解析精度をより一層向上させることができる。
【0071】
一方、上述のL字型デュワは、従来のように液体冷媒を貯蔵した中にSQUIDセンサ21を浸す方式とは異なり、ヒートパイプ32を用い、その先にヒートシンクを取り付け、ウイック部を循環する冷却液体、およびヒートパイプ32のウイック内部を通る冷媒が蒸発するときの蒸発潜熱によりSQUIDセンサ21を冷却するようにしている。これにより、冷媒循環型のデュワを提供することができ、デュワの形状を選ばない。したがって、デュアの形状を診断に最適なものにできる。
【0072】
また、このL字型デュワの高さ(厚さ)は、ヒートパイプ32、SQUIDセンサ21、および断熱層の部分を確保できる値であればよいから、全体にコンパクトな設計が可能になる。コンパクトに設計するほど扱い易いという利点もある。
【0073】
また、ヒートパイプ32を利用することにより、一度に多量の冷媒が不要であり、その分、蒸発量を抑え、装置の運用コストを下げることができる。さらに、冷媒の貯蔵位置をデュワから離すことができるから、この点からも、デュワの小形軽量化を図ることができる。
【0074】
さらに、上述の如く、センサ配置密度やコイル面積をL字型デュワの湾曲部に移行するにしたがって変化させたので、大人と子供、老若男女など、被検者のタイプの違いにより、また、個人差により、被検者の胸部のサイズが変わる場合であっても、1台の装置でそれらの多様な被検者の計測部位を所望数以上のセンサで確実にカバーでき、常に精度が良く且つ安定した磁気計測を行うことができる。とくに、この効果と、前述した胸部前面から胸部左側面にかけた体表領域を同時に磁気検出できる効果との組み合わせは、被検者の計測部位から放射される磁気信号を多面的に、なるべく多く、しかも極力体表に接近して検出し、S/Nを上げて、計測精度の向上を図るという観点からその威力は絶大である。
【0075】
なお、SQUIDセンサ21の微分方向に鑑みた配置に関する変形形態を図11に示す。SQUIDセンサ21がベクトル型のコイルである場合、3方向全ての微分コイルが複数個必要になり、環境雑音磁場を除去するときに環境雑音磁場の参照信号を検出する参照コイルの数が著しく多くなる。しかし、参照コイルの設置数や規模を考えると、参照コイル、すなわち参照信号の数は少ない方が扱い易い。微分方向を1方向に揃えると、参照信号の微分方向も1方向で済む。また、2方向の検出面のシステムであれば、参照信号の微分方向は2方向だけで十分である。つまり、より少ない参照コイルで済ませるには、各検出面の微分方向を一方向に設定しておいた方が良いということになる。このことに鑑みて、上述した図8〜図10で説明した検出面(コイル面)を2面以上用いて2方向以上から同時に計測する装置にあっては、その検出面方向に同一の微分方向を持たせる構造にする。図11にはその一例を示す。同図に示すように、SQUIDセンサ21を多次微分構造に形成したデュワ3A,3Bそれぞれにおいて、一方のXZ面に平行な検出面を呈するデュア3AのSQUIDセンサ21の微分方向は全てY軸方向の一方向に設定し、且つ、他方のYZ面に平行な検出面を呈するデュア3BのSQUIDセンサ21の微分方向は全てX軸方向の一方向に設定している。これにより、参照コイル(図示せず)の数を必要最低限に減らし、その規模を抑えることができる。
【0076】
第2の実施形態
第2の実施形態を図12に基づき説明する。上述した第1の実施形態と同一または同等の構成要素には同一符号を用いてその説明を省略または簡略化する。
【0077】
この実施形態はデュワ構造に特徴を有するもので、第1の実施形態のデュワ構造をさらに展開したものである。
【0078】
この実施形態に係る生体磁気計測装置は、全体形状としては略コ(U)字型を成すデュワ66を備える。このコ字型デュワ66は、被検者Pの胸部側面に対向した縦方向デュワ66Sと、その胸部前面に対向した上側横方向デュワ66Uと,下側横方向デュワ66Lとの分割した別体構造になっている。
【0079】
これらの分割デュワ66S,66U,66Lは連結部材62…62を介して図示の如く略コ(U)字状に結合されている。このとき、縦方向デュワ66Sは被検者Pの胸部左側面に対向し、そして、上側横方向デュワ66Uおよび下側横方向デュワ66Lは被検者Pの胸部前面および後背部面にそれぞれ対向するように位置決めされている。つまり、この3個のデュワが被検者Pの心臓に3方から対向できる。この略コ(U)字状デュワ66は連結部材62を介して図示の如くアーム64に固設・吊持されている。
【0080】
また、デュワ66の被験者Pへのアクセスを容易にするため、寝台1の天板1Nを、デュワ66とは反対向きのコ(U)字状に形成し、その下側部位を寝台基部に取り付けてある。この反対向きのコ字状構造が、下側横方向デュワ66Lの寝台下への位置決めを許容する退避構造を達成している。このため、少なくとも診断時には、デュワ66の下側横方向デュワ66Lを天板1Nの下方位置まで差し込むことができる。
【0081】
分割デュワ66S,66U,66Lのそれぞれは単独で、前述した第1の実施形態の同様の独立したセンサ構造および冷却構造を有するが、3者のデュワで使用するヒートパイプ32S,32U,32Lは共通の冷凍機31に接続されている。この冷凍機31は省スペース化のためにアーム64上に載置してある。
【0082】
なお、この第2の実施形態に係る生体磁気計測装置にも、前述したSQUIDセンサの改善された配置パターンの適宜なものが選択されて実施されている。
【0083】
このように、コ字型デュワ66を3個の平面状(板状)の分割デュワ66S,66U,66Lで構成するとともに、寝台1をその内の分割デュワ66Lがアクセス可能な構造にしたことにより、被検者Pの胸部側面および胸部前面のみならず、後背部面をも合わせて同時に測定でき、検出データの一層の豊富化の観点から、前述したと同等の作用効果を得ることができる。また、別体構造にしてあるので、第1の実施形態と同様に、デュワ全体を簡単な構造にでき、製作コストや保守コストの低減化にも寄与できる。
【0084】
また当然に、第1の実施形態で得られた、SQUIDセンサ21の配置密度およびコイル面積の同時変化、または、SQUIDセンサ21の配置密度のみの変化(すなわち、デュワ66全体の湾曲部に相当する、分割デュワ66S、66Uの突き合わせ側寄りに、および/または、分割デュワ66S、66Lの突き合わせ側寄りに至るほど、センサ配置密度を上げ且つコイル面積を小さくする、または、センサ配置密度のみを上げる)させることに起因した効果も得られる。
【0085】
なお、上述した各実施形態およびその変形形態にあっては、被検者の磁気計測部位が心臓である場合を説明してきたが、この計測部位は必ずしも心臓に限定されることなく、例えば、頭部であってもよい。
【0086】
また、デュワは計測部位の体表形状に極力合わせた検出面形状を有するものであればよく、必ずしも上述したL字型やコ(U)字型に限定されるものではない。これらのL字型やコ(U)字型を変形した湾曲形状に形成することもできる。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の生体磁気計測装置によれば、SQUIDセンサなどで形成される磁気センサの複数個をデュワ内に配置するときの配置パターン(センサ配置密度、コイル面積)を、例えばL字型デュワの湾曲状の検出面(湾曲部)に至るにしたがって変える(少なくともセンサ配置密度を高くする)ように構成したため、大人と子供、老若男女など、計測対象の種類により、また、個人差により、被検者の計測部位のサイズが変わる場合でも、1台の装置でそれらの多様な被検者をカバーでき、常に精度が良く且つ安定した磁気計測を行うことができる。とくに、計測部位が心臓(胸部)であるときに、かかる効果は顕著になる。
【0088】
また、本発明の生体磁気計測装置によれば、磁気センサの配置パターンを上述の記載の構成にすることに加えて、デュワを例えばL字型(または略L字型)やコ(U)字型(略コ(U)字型)に形成するので、上述の効果を得ると同時に、被検者の計測部位から放射される磁気信号を多面的になるべく多く検出し、S/Nを上げて、計測精度(つまり磁場源の推定精度)を向上させることができる。とくに、一般に心臓は胸部の中央よりも左寄りに位置しているので、少なくとも左胸側面(部)を計測範囲に加え、かかる効果を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生体磁気計測装置のL字型デュワを中心とした全体構造を概略的に示す構成図。
【図2】L字型デュワの外観の一連を示す斜視図。
【図3】L次型デュワ内に配置するSQUIDセンサの配置パターンを説明する図。
【図4】1次微分型のSQUIDセンサの概略構造を説明する図。
【図5】ヒートパイプの原理を説明する説明図。
【図6】L字型デュワのヒートパイプおよびSQUIDセンサの配置状況を説明する部分的な断面図。
【図7】SQUIDセンサの取り付けの一例を示す説明図。
【図8】SQUIDセンサの配置パターンの一例を模式的に示す図。
【図9】SQUIDセンサの配置パターンの別の一例を模式的に示す図。
【図10】SQUIDセンサの配置パターンの更に別の一例を模式的に示す図。
【図11】検出面毎に微分方向を揃えたSQUIDセンサの配置法を説明する図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る生体磁気計測装置のコ(U)字型デュワの構造を中心とした全体構造を示す構成図。
【図13】L字型デュワの外側ケーシングの貼り合わせ構造を示す部分断面図。
【図14】L字型デュワの外側ケーシングへの信号線引き込み構造を示す部分断面図。
【図15】L字型デュワの外側ケーシングへのヒートパイプなどの熱伝導機構の引き込み構造を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 寝台
1N 天板
2 センサ部
3 L字型デュワ
3U 上側カバー
3L 下側カバー
4 台座
5 駆動・処理ユニット
6 冷却機構
11a,11b 外側、内側ケーシング
21 SQUIDセンサ
25 参照コイル群
31 冷凍機(冷媒タンク)
32,32S,32U,32L ヒートパイプ
54 連結ホース
55 真空ポンプ
57 断熱材
58 熱伝導体
62 連結部材
63 支柱
64 アーム
66 コ(U)字型デュワ
66S,66U,66L コ(U)字型デュワを形成する分割デュワ

Claims (9)

  1. 被検者の磁気信号を検出する複数の磁気センサと、この磁気センサを収容したデュワとを備えた生体磁気計測装置において、
    前記デュワは前記被検者の体表の周りに空間的に位置させる複数の検出面を有するものであって、かつ前記検出面のうち少なくとも一部に平面部を有する形状に形成し、
    前記複数の磁気センサの少なくともセンサ相互間の配置間隔を前記検出面の端部近傍において狭くしてセンサ配置密度が大きくなるように前記デュワ内に配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  2. 請求項1記載の発明において、
    前記デュワは前記被検者の体軸方向から見たときに少なくとも2つの検出面が略L字状を成す形状であり、この2つの検出面が前記被検者の左胸部の前面および側面を覆うように配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  3. 請求項2記載の発明において、
    前記デュワは前記2つの検出面の間を連続的に湾曲して繋ぐ湾曲状の検出面を有し、前記磁気センサをこの湾曲状の検出面に沿って配置し、この湾曲状の検出面が前記被検者の左胸部の前面および側面の間の体表面を覆うように前記デュワを配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  4. 請求項3記載の発明において、
    前記複数の磁気センサは、その相互の配置間隔を前記湾曲状の検出面に至るほど狭くしてセンサ配置密度が大きくなるように配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  5. 請求項3記載の発明において、
    前記複数の磁気センサは、その相互の配置間隔のみを前記湾曲状の検出面に至るほど狭くしてセンサ配置密度が大きくなるように配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  6. 請求項1記載の発明において、
    前記デュワは前記被検者の体軸方向から見たときに少なくとも3つの検出面が略コ字状または略U字状を成す形状であり、この少なくとも3つの検出面が前記被検者の左胸部の少なくとも前面、側面、および背面を覆うように配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  7. 請求項1記載の発明において、
    前記複数の磁気センサのそれぞれは微分方向を有するSQUIDセンサで形成し、この複数のSQUIDセンサは前記検出面それぞれにおいてその微分方向が同一方向を向くように配置したことを特徴とする生体磁気計測装置。
  8. 請求項1記載の発明において、
    前記磁気センサはSQUIDセンサで構成する一方、前記デュワの外部に配設された冷却源と、前記デュワの内部に前記冷却源に接続された状態で配設され且つ前記複数のSQUIDセンサを冷却する冷却手段とを備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
  9. 請求項8記載の発明において、
    前記冷却源は冷凍機であり、前記冷却手段はこの冷凍機に接続されたヒートパイプであることを特徴とする生体磁気計測装置。
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