JP4074444B2 - 摺動材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、摺動材組成物に関し、潤滑剤を微量づつ継続的に摺動界面に滲み出させることができる潤滑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
潤滑性樹脂組成物を成形して得られる樹脂摺動材、ゴム弾性を有する摺動材、潤滑性塗膜などの摺動材組成物に求められる機能は、年々厳しさを増しており、初期状態における優れた低摩擦・低摩耗化と、その初期摺動性を長期間維持することが強く求められている。これまで低摩擦・低摩耗化のためには、黒鉛やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン(MoS2)、窒化硼素(BN)等の固体潤滑材を配合したり、ガラス繊維やカーボン繊維等の補強材を樹脂に配合したりして摺動特性を付与してきた。しかし、固体潤滑材の配合のみでは、摩擦特性の低下には限界があり、潤滑油などの潤滑剤を配合する手法が試みられている。
【0003】
また、潤滑性付与剤としては固体潤滑材である黒鉛、PTFE、二硫化モリブデン、BN等の固体潤滑剤がある。これらの潤滑性付与剤を樹脂、ゴム、コーティング膜等に配合して潤滑性を持たせた材料は一般的に知られている。しかし、上記の固体潤滑剤を配合した場合は摩擦係数の低減には限界が有り、材料のさらなる低摩擦化には対応できていないのが現状である。さらなる低摩擦化のためには、油による境界潤滑とすることが一般的であり、例えば材料に潤滑油を配合し、摺動界面に絶えず潤滑油が存在する状態を維持できれば、材料の低摩擦化が実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂材等に潤滑剤のみを配合した場合、以下に示すいろいろな問題がある。
例えば、樹脂材に潤滑剤として潤滑油のみを分散させた場合、混練により油の分散単位が変化するため、一定の摺動特性をもつ材料を安定して製造することが困難である。また、摺動特性(摩擦特性)を向上させるためには、潤滑油の配合量は多いほうが好ましいが、潤滑油の配合量が多くなると混練時にスクリュのすべりやあるいは計量時間が不安定となってサイクルタイムが長くなる等、安定して製造することが困難となる。また、金型に油が付着したり、寸法精度が出にくくなったりする等の問題もある。さらに、潤滑油と基材との相溶性が悪い場合など、その組み合わせによっては、潤滑油が均一に基材に分散できないという問題がある。
【0005】
潤滑油を配合させた樹脂材料は、摺動時にベースの樹脂層が少しずつ摩耗して潤滑油層が摺動部に現れると、潤滑油が摺動部表面に滲み出す。潤滑油の滲み出し具合は制御することが困難であり、潤滑油が滲み出した跡の空孔は樹脂層の強度低下を引き起こすおそれがあるという問題がある。
さらに充填材を加えて機械的強度や耐摩耗性を向上させようとすると、充填材の界面に油が局在化するため、補強効果が十分とならない場合がある。
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、潤滑剤を摺動部表面に継続的に供給することが可能となる優れた低摩擦・低摩耗性を有する摺動材組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の摺動材組成物は、樹脂材料に多孔質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合してなり、上記多孔質シリカは、一次微粒子が集合した連続孔を有する球状多孔質シリカであり、該球状多孔質シリカの内部と外表面がシラノール基で覆われており、平均粒子径が 1 〜 20 μ m であり、吸油量が 300 〜 400 ml/100g であり、潤滑剤が含浸された多孔質シリカであり、上記樹脂材料が高密度ポリエチレン樹脂であり、上記潤滑剤がシリコーン油であり、摺動材組成物全体に対して、上記潤滑剤が 5 〜 40 容量%、上記多孔質シリカが 1 〜 20 容量%、残部が上記樹脂材料であることを特徴とする。
【0008】
本発明の摺動材組成物は、上記シリコーン油が官能基を有さないシリコーン油であることを特徴とする。
【0009】
本発明の摺動材組成物は、アルミニウム合金A5056を相手材とする成形体の動摩擦係数が 0.05 〜 0.075 であることを特徴とする。
【0011】
本発明において、基材とは摺動材を形成できる物質をいい、特に樹脂材料、ゴム弾性を有する材料、塗膜を形成できる材料をいう。
【0012】
持続性ある摺動特性を有する摺動材を得るために潤滑剤を配合する場合、多孔質シリカ、特に連続孔を有する多孔質シリカを利用することにより摩擦・摩耗特性を向上させるとともに、その特性が長期間維持できることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
多孔質シリカを配合することにより、次のような作用が認められた。
(1)摺動界面に継続して潤滑剤を供給できるので、優れた摩擦・摩耗特性を持続できる。
(2)成形性が確保できる範囲内で樹脂やエラストマー等に潤滑剤を配合し、さらに潤滑剤が含浸された多孔質シリカを配合することで、組成物中の含油量を多くできるので、従来の潤滑剤配合量よりも多く配合できる。
(3)潤滑剤が含浸された多孔質シリカを配合することにより潤滑剤成分が多孔質シリカに保持されるので、単に多量の潤滑剤を配合した場合に比較して、射出成形時等にスクリュがすべる、計量が不安定となってサイクルタイムが長くなる、寸法精度がでにくい、金型表面に潤滑剤が付着して成形面の仕上がりが悪くなるなどの不具合が生じない。
(4)樹脂やエラストマー材料と潤滑油との相溶性により、これまで混練できなかった材料の組み合わせでも、問題なく混練できる。
(5)多孔質シリカの中でも、特に球状多孔質シリカは摺動界面のせん断力で破壊するため、摺動する相手材が軟質材でも傷をつけない。
(6) 含油樹脂と補強材との併用を考えた場合、潤滑剤と補強材とをそれぞれ単体で配合して混練すれば補強材と樹脂との界面に潤滑剤が局存化するため、補強効果が十分発揮できない場合が生じる。しかし、潤滑剤を多孔質シリカ、特に球状多孔質シリカに含浸させて補強材と混練すれば、補強材と樹脂との界面に潤滑剤が存在しないため、所定の補強効果が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用できる基材としては、樹脂材料、ゴム弾性を有する材料、塗膜を形成できる材料等が挙げられる。ここで各材料は、樹脂単体などの材料単体、または各材料単体に補強材などが配合されている場合を含む。
樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等、摺動材として使用できる形態を形成できる合成樹脂であれば特に限定されない。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリオキサゾリン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等を例示できる。また、上記合成樹脂から選ばれた2種以上の材料の混合物、すなわちポリマーアロイなどを例示できる。
【0014】
ゴム弾性を有する材料としては、各種有機合成法にて合成され、加硫により室温においてゴム状弾性を有するものであれば使用することができる。また、ハードセグメントとソフトセグメントから構成されるエラストマーであっても使用できる。例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等の加硫ゴム類;ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、軟質ナイロン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー類が例示できる。
【0015】
塗膜を形成できる材料としては、上記合成樹脂であって、有機溶媒に溶解あるいは分散できる樹脂成分であれば使用できる。また、塗膜形成時の硬化反応で高分子量化する初期縮合物であっても使用できる。
【0016】
本発明に使用できる多孔質シリカとは、連続孔を有し、潤滑剤を含浸・保持できる多孔質シリカであれば使用できる。好ましい多孔質シリカは非晶質の二酸化ケイ素を主成分とする粉末である。例えば、一次粒子径が 15nm 以上の微粒子の集合体である沈降性シリカ、あるいはアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有したケイ酸アルカリ水溶液を有機溶媒中で乳化し、炭酸ガスでゲル化させることにより得られる粒子径が 3〜8nm の一次微粒子の集合体である真球状多孔質シリカ(特開2000−143228等)等が挙げられる。
本発明においては、粒子径が 3〜8nm の一次微粒子が集合して真球状シリカ粒子を形成した多孔質シリカが、連続孔を有しており、摺動界面のせん断力で破壊する性質があるため、特に好ましい。真球状シリカ粒子としては、平均粒子径が 0.5〜100 μm である。このような真球状シリカ粒子は、その内部に潤滑剤を保持することが可能であり、かつ摺動界面において内部に含浸した潤滑剤を少量ずつ供給することが可能である。平均粒子径が 0.5μm 未満では、ハンドリング性が悪い。また、潤滑剤の含浸量が十分でない。平均粒子径が 100μm をこえると、溶融樹脂中での分散性が悪い。また、溶融樹脂の混練時にかかるせん断力により、集合体が破壊し、球状を保持できない可能性がある。取り扱い易さや摺動特性の付与を考慮した場合、平均粒子径は 1〜20μm が特に好ましい。このような真球状多孔質シリカとしては、旭硝子社製:サンスフェア、鈴木油脂工業社製:ゴットボール等が例示できる。
また、多孔質シリカとして(株)東海化学工業所製:マイクロイドがある。
【0017】
粒子径が 3〜8nm の一次微粒子が集合した真球状シリカ粒子は、比表面積が 200〜900m2/g、好ましくは 300〜800m2/g、細孔容積が 1〜3.5ml/g 、細孔径が 5〜30nm、好ましくは 20 〜30nm、吸油量が 150〜400ml/100g、好ましくは 300〜4 00ml/100g の特性を有することが好ましい。また、水に浸漬したのち再度乾燥しても、上記細孔容積および吸油量が浸漬前の 90 %以上を保つことが好ましい。
ここで、比表面積および細孔容積は窒素吸着法により、吸油量はJIS K5101に準じて測定した値である。また、上記真球状シリカ粒子の内部と外表面はシラノール基(Si−OH)で覆われていることが、潤滑剤を内部に保持しやすくなるため好ましい。さらに、多孔質シリカは、母材に適した有機系、無機系などの表面処理を行なうことができる。
【0018】
なお、本発明においては、基材との組み合わせ、配合程度によっては、多孔質シリカとして、平均粒子径が 1000 μm 程度までは使用可能である。また、粒子の形状は特に限定されない。例えば、平均粒子径、比表面積、吸油量等が上記真球状シリカ粒子の範囲内であれば、非球状多孔質シリカであっても使用できる。なお、摺動相手材への攻撃性や混練性の観点から、球状、真球状の粒子が好ましい。ここで、球状とは長径に対する短径の比が 0.8〜1.0 の球をいい、真球状とは球状よりもより真球に近い球をいう。
【0019】
本発明に使用できる潤滑剤とは、常温で液体の潤滑油、常温で固体のワックス、あるいは潤滑油に増ちょう剤を含んだグリース状物質等、潤滑効果を有する物質であれば特に限定されない。
潤滑油としては、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、ポリブテン、ポリαオレフィン、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂とポリオールとのエステル油、リン酸エステル、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等、潤滑油として汎用されているものであれば使用できる。潤滑油は、本発明の摺動材組成物が使用される条件、目標性能に合わせて選択できる。また、樹脂の混練、成形温度に合わせた耐熱性を有する潤滑油を選ぶこともできる。特に低摩擦が求められる場合には、シリコーン油などを用いることで好ましい結果が得られる。シリコーン油は上記真球状多孔質シリカ表面に残存するシラノール基と親和性があるため特に好ましい。シリコーン油としては、官能基を有さないシリコーン油、官能基を有するシリコーン油のいずれも使用できる。
【0020】
ワックスとしては、炭素数が 24 以上のパラフィン系ワックス、炭素数が 26 以上のオレフィン系ワックス、炭素数が 28 以上のアルキルベンゼン、あるいは結晶性のマイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系ワックス、またはミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、炭素数が 18 以上の不飽和脂肪酸(例えばオクタデセン酸、パリナリン酸等)等の高級脂肪酸誘導体ワックスが挙げられる。高級脂肪酸誘導体ワックスとしては、1)ベヘン酸エチル、トリコ酸エチルなどの炭素数が 22 以上の高級脂肪酸メチルおよびエチルエステル、炭素数が略 16 以上の高級脂肪酸と炭素数が 15 以上の高級1価アルコールとのエステル、ステアリン酸オクタデシルエステル、炭素数が 14 以上の高級脂肪酸トリグリセライド等の高級脂肪酸エステル類、2)パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド類、3)ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸とアルカリ金属およびアルカリ土類金属との塩類等が挙げられる。
【0021】
グリース状物質は、基油となる上述の潤滑油に増ちょう剤が添加されている。増ちょう剤を例示すれば、1)石けん系として、カルシウム系石けん、ナトリウム系石けん、リチウム系石けん、バリウム系石けん、アルミニウム系石けん、亜鉛系石けん等、2)コンプレックス石けん系としてカルシウム系コンプレックス石けん、ナトリウム系コンプレックス石けん、リチウム系コンプレックス石けん、バリウム系コンプレックス石けん、アルミニウム系コンプレックス石けん、亜鉛系コンプレックス石けん等、3)非石けん系として、ナトリウムテレフタメート、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物、シリカエアロゲル、モンモリロナイト、ベントン、ポリテトラフルオロエチレン、フルオリネートエチレンプロピレンコポリマー、窒化ホウ素等がある。
【0022】
摺動材組成物の配合割合は、多孔質シリカが 1〜20 容量%、潤滑剤が 5〜40 容量%、残部が基材であることが好ましい。多孔質シリカが 1 容量%未満の場合、保油体としての効果が少なく、 20 容量%をこえると基材、例えばベース樹脂の量が少なくなり強度が大幅に低下するおそれがあるので好ましくない。保油体としての効果、強度面を考慮して多孔質シリカの配合量は 2〜15 容量%がさらに好ましい。潤滑剤が 5 容量%未満の場合、潤滑効果が少なく、 40 容量%をこえるとベース樹脂層の量が少なくなり強度が大幅に低下するおそれがあるので好ましくない。なお、各配合物の容量%の値にその密度を乗じることにより配合重量を算出できる。ここで、多孔質シリカの容量%は、多孔質でない固体のシリカを配合したと仮定して求めた割合である。すなわち、多孔質シリカの嵩比重でなく、真比重を用いて算出したものである。このため、内部に連通した空孔を有する状態での実際の容量割合は、より大きな値となる。
【0023】
摺動材組成物の他の形態として、潤滑剤が含浸された多孔質シリカを基材に配合してもよい。この場合、摺動材組成物への潤滑剤の配合量が多孔質シリカの含浸油量と、多孔質シリカの配合量で定めることができる。好ましい潤滑剤の配合量は少なくとも多孔質シリカの 40 容量%以上である。多孔質シリカの内部が適量の潤滑剤で満たされていない場合、潤滑効果が得られない。また、潤滑剤の配合量が多すぎると、球状多孔質シリカの内部に潤滑剤が入り切らず、潤滑剤が成形体中で分散して、樹脂の種類によっては、成形体の強度低下を招いたり、あるいは成形時に不具合を起したりする原因となるおそれがある。この場合においても、潤滑剤が含浸された多孔質シリカの配合量は、摺動材組成物全体に対して、多孔質シリカとして 1〜20 容量%であることが好ましい。
【0024】
さらに摩擦・摩耗特性を改善して各種機械物性を向上させるために適当な充填材を添加することができる。例えば、ガラス繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化硼素繊維、アスベスト、石英ウール、金属繊維等の繊維類またはこれらを布状に編んだもの、炭酸カルシウム、リン酸リチウム、炭酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、タルク、シリカ、クレー、マイカ等の鉱物類、酸化チタンウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカなどの無機ウィスカ類、カーボンブラック、黒鉛、ポリエステル繊維、ポリイミド樹脂やポリベンゾイミダゾール樹脂等の各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0025】
また、摺動性を向上させる目的で、アミノ酸化合物やポリオキシベンゾイルポリエステル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、液晶樹脂、アラミド樹脂のパルプ、ポリテトラフルオロエチレンや窒化硼素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等を配合できる。
【0026】
また、摺動材組成物の熱伝導性を向上させる目的で、カーボン繊維、金属繊維、黒鉛粉末、酸化亜鉛等を配合してもよい。および上記充填材を複数組み合わせて使用することももちろん可能である。なお、この発明の効果を阻害しない配合量で一般合成樹脂に広く適用しえる添加剤を併用してもよい。例えば離型剤、難燃剤、帯電防止剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、着色剤、導電性付与剤等の工業用潤滑剤を適宜添加してもよく、これらを添加する方法も特に限定されるものではない。
【0027】
本発明における摺動材組成物のうち、潤滑性樹脂組成物の混練方法は、従来からよく知られた方法を利用できる。例えばヘンシェルミキサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機によって混合した後、溶融混合性のよい射出成形機もしくは溶融押出し機(例えば2軸押出し機)に供給するか、またはあらかじめ熱ローラ、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出し機などを利用して溶融混合してもよく、あるいは真空成形、吹き込み成形、発泡成形、多層成形、加熱圧縮成型等を行なってもよい。
なお、樹脂と多孔質シリカと潤滑剤との混練に際しては、混練順序は特に限定しないが、好ましくは多孔質シリカと潤滑剤とをあらかじめ混練し、多孔質シリカに油を含有させた後で基材となるベース樹脂と混練するのがよい。
また、多孔質シリカは吸湿や吸水しやすいので、混練前に乾燥することが好ましい。乾燥手段としては特に制限なく、電気炉での乾燥、真空乾燥などを採用できる。
【0028】
潤滑性塗膜組成物の場合、潤滑剤を含浸した多孔質シリカを樹脂成分に配合して一般的なコーティング液と混合する。コーティング処理は、通常のコーティング処理を行なうことも可能である。コーティング処理を行なう場合、スプレー法や静電塗装法、流動浸漬法等特に限定されるものではない。
【0029】
多孔質シリカと潤滑剤とをあらかじめ混合する場合、潤滑剤の粘度が高いと球状多孔質シリカの内部に油が浸透し難い。その際は、油が溶解する適当な溶媒で希釈し、その希釈液を多孔質シリカに浸透させ、除々に乾燥させて溶媒を揮発させることで多孔質シリカの内部に潤滑剤を含浸させる方法もある。
あるいは多孔質シリカを潤滑剤中に浸し、真空引きを行なって強制的に多孔質シリカの内部に潤滑剤を浸透させる方法、常温で固体の潤滑剤の場合、適当な温度に加熱し、潤滑剤を溶融させて含浸させる方法、常温で液体の潤滑剤でも、粘度が高い場合、適当な温度に加熱し、潤滑剤の粘度を低下させて含浸させる方法等が有効な手法である。また、不飽和ポリエステル樹脂などの液状樹脂に球状多孔質シリカの油含有物を混合した上で各種織布に含浸させ、それを積層して樹脂摺動材として使用することも可能である。
【0030】
さらに、本発明の摺動材組成物の潤滑性を損なわない限り、中間製品または最終製品の形態において、別途、例えばアニール処理等の化学的または物理的な処理によって特性改善のための変性が可能である。
【0031】
本発明の摺動材組成物の使用例としては、摺動部分であれば特に限定されない。例えば、すべり軸受や歯車、すべりシート、シールリング、ローラ、各種キャリッジなどの摺動部品、転がり軸受の保持器、固形潤滑剤、転がり軸受のシール、直動軸受のシール、ボールねじのボールとボールの間に入れるスペーサ、転がり軸受のレース等の摺動材がある。
【0033】
【実施例】
実施例1
多孔質シリカとして、旭硝子社製商品名:サンスフェアH32(表中の略号:Si−A)を、ベース樹脂材料となるポリエチレン樹脂として、三井石油化学社製商品名:リュブマーL5000(表中の略号:PE)を、潤滑油となるシリコーン油として、信越シリコーン社製商品名:KF96Hを用意する。樹脂組成物全体に対して、 3 容量%の多孔質シリカと、 10 容量%のシリコーン油とをあらかじめ混合し、その混合物とポリエチレン樹脂とを2軸押出し装置を用いて溶融混練し、ペレットを作製した。そのペレットを用いて射出成形を行ない摺動材試験片として、φ3mm ×4mm のピン試験片を作製した。得られた試験片を用いて、φ3mm 面を回転するディスク相手に接触させ、以下の条件、評価方法で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表3に示す。
【0034】
摩擦・摩耗試験条件を以下に示す。
相手材:アルミニウム合金A5056(Ra=0.8 μm )
面圧: 6MPa
周速: 4.2m/min.
温度: 30 ℃
時間: 20h
評価方法として、試験前のピン長さと試験後のピン長さとの差から摩耗量を計算した。成形性と試験終了時の動摩擦係数の測定および試験後の相手材表面の損傷状態を観察した。相手材の状態は、目視により損傷がなければ○、損傷があれば×とした。また、成形性に関しては、混練時、射出成形時において、問題なく成形できれば○、スクリュのすべりやペレットのかみ込み不良、金型への油の付着による成型面のあれ等が十分でない場合は△、成形できない場合は×とした。
【0035】
実施例2〜実施例5および参考例1〜参考例8
表1に示す配合材料および配合割合を用いて実施例1と同様にして摺動材試験片を作製した。実施例1と同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表3に示す。また、用いた配合材料を表5に、その略称とともに示す。
【0036】
参考例9〜参考例12
表1に示す配合材料および配合割合を用いて実施例1と同様にして摺動材試験片を作製した。相手材ディスクをアルミニウム合金A5056からステンレス鋼SUS304(Ra=0.8 μm )に変更する以外は実施例1と同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。また、それぞれの材料についてダンベル試験片を作製し、ASTM−D790に準拠して曲げ強度を測定した。結果を表3に示す。また、用いた配合材料を表5に示す。
【0037】
参考例13
多孔質シリカとして、旭硝子社製商品名:サンスフェアH52(表中の略号:Si−B)を、ベース樹脂材料となるビニルエステル樹脂として、三井東圧化学社製商品名:エスターH811(表中の略号:VE)を、潤滑油となるシリコーン油として、信越シリコーン社製商品名:KF96H−6000(25℃での動粘度 6000cSt)を用意する。樹脂組成物全体に対して、 1.5 容量%の多孔質シリカと、 7.5 容量%のシリコーン油とをあらかじめミキサーで混合し、その混合物をビニルエステル樹脂 55 容量%に配合して均一に混合撹拌した。さらに硬化剤、硬化促進剤を加えてミキサーで十分に混合した後、これをハンドレイアップ法でポリエチレンテレフタレート紡績糸織布[平織り、糸(綿番手):30/2、横糸(綿番手):20/2、密度(縦糸×横糸、本数/インチ):52×40]に含浸積層して硬化させて積層板を得た。この積層板を切削加工して、φ3mm ×4mm のピン試験片(積層面がピン端面に平行)を作製した。実施例1と同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表3に示す。
【0038】
参考例14
多孔質シリカとして、旭硝子社製商品名:サンスフェアH52(表中の略号:Si−B)を、ベース樹脂材料となるエポキシ樹脂として、スリーボンド社製商品名:二液性エポキシ樹脂(主剤2057+硬化剤2191B)(表中の略号:EP)を、潤滑油となるシリコーン油として、信越シリコーン社製商品名:KF96H−6000(25℃での動粘度 6000cSt)を用意する。樹脂組成物全体に対して、 5 容量%の多孔質シリカと、 20 容量%のシリコーン油とをあらかじめミキサーで混合し、その混合物を主剤と硬化剤とを混合したエポキシ樹脂に配合した。この液状物をφ3mm ×4mm のアルミ製ピン試験片の端面に、約 30 μm の厚みでコーティングした。100 ℃、2 時間で加熱硬化した後、切削加工によりコーティング層の厚みを 15 μm に調整し、実施例1と同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。ただし試験時間は1時間とした。結果を表3に示す。
【0039】
参考例15
多孔質シリカとして、球状多孔質シリカである、旭硝子社製商品名:サンスフェアL31(表中の略号:Si−E)に代えて、非球状多孔質シリカである、東海化学工業所製商品名:マイクロイド384(表中の略号:Si−G)を用いる以外は実施例13と同一の配合、方法でピン試験片を作製した。実施例1と同様の方法で評価した。配合割合を表1に、評価結果を表3に、用いた配合材料の特性を表5にそれぞれ示す。
【0040】
実施例6および参考例16〜参考例17
多孔質シリカとして旭硝子社製商品名:サンスフェアH52、潤滑剤となるシリコーン油として、信越シリコーン社製商品名:KF96Hを準備して、多孔質シリカ 1 容量部に対して、シリコーン油を 4 容量部の割合で十分に混合して潤滑性付与剤を作製した。得られた潤滑性付与剤は、粉末状であり樹脂材に対する配合剤として使用できるものであった。潤滑性付与剤を樹脂材に配合し、樹脂組成物として評価した。樹脂材との配合比率を表6に示す。なお、樹脂材は表5に示す材料を用いた。表6に示す割合で潤滑性付与剤と樹脂材とを2軸押し出し装置を用いて溶融混練し、ペレットを作製した。このペレットを用いて、実施例1と同一の摺動材試験片を作製し、面圧を 3MPa とする以外は実施例1と同一の条件、評価方法で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表6に示す。
【0041】
参考例18
実施例6で得られた潤滑性付与剤を参考例14で用いたエポキシ樹脂に配合した。参考例14と同一の摺動材試験片を作製し、面圧を 3MPa とする以外は実施例1と同一の条件、評価方法で摩擦・摩耗試験を行なった。配合割合および評価結果を表6にそれぞれ示す。
【0042】
比較例1〜比較例4
ポリエチレン樹脂(表中の略号:PE)、ポリアミド6樹脂(表中の略号:PA6)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PBT)、ポリアセタール樹脂(POM)をそれぞれ単体で実施例1と同様にピン試験片を作製し、同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。
配合割合を表2に、試験結果を表4に示す。なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PBT)のみダンベル試験片を作製し、ASTM−D790に準拠して曲げ強度を測定した。その結果を表4に示す。
【0043】
比較例5
ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PBT)にシリコーン油を表2に示す割合で配合し、それぞれ実施例1と同様にピン試験片を作製して、同条件で摩擦・摩耗試験を行った。試験結果を表4に示す。
【0044】
比較例6〜比較例8
ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PBT)にシリコーン油と活性炭、無孔質シリカを表2に示す割合で配合し、実施例1と同様にピン試験片を作製して、同条件で摩擦・摩耗試験をそれぞれ行なった。試験結果を表4に示す。
【0045】
比較例9〜比較例10
ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PBT)にシリコーン油と無孔質シリカ、またはエステル油を表2に示す割合で配合した。しかし、油配合量が 20 容量%と多いため、実施例1と同様なピン試験片が作製できなかった。
【0046】
比較例11〜比較例14
表2に示す配合比で配合して実施例1と同様にピン試験片を作製した。相手材ディスクをアルミニウム合金A5056からステンレス鋼SUS304(Ra=0.8 μm )に変更する以外は実施例1と同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。試験結果を表4に示す。なお、用いた原材料の詳細を表5に示す。また、それぞれの材料についてダンベル試験片を作製し、ASTM−D790に凖拠して曲げ強度を測定した。結果を表4に示す。
【0047】
比較例15〜比較例22
ポリエチレン樹脂(表中の略号:PE)、ポリアミド6樹脂(表中の略号:PA6)、ポリアセタール樹脂(POM)の樹脂を用いて表6に示す配合量で実施例1と同様にピン試験片を作製し、同条件で、摩擦・摩耗試験を行なった。しかし、比較例15〜17は、混練時にベース樹脂と油の分離が発生し、ピン試験片を成形することができなかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
表3に示すように、多孔質シリカに潤滑油を含有させた樹脂組成物から得られた実施例1〜実施例5、参考例1〜13、参考例15の成形体、参考例14のコーティング被膜は、すべて比摩耗量が、 200×10-8mm3/(N・m )以下であり、耐摩耗性に優れていた。また、動摩擦係数も 0.05 〜0.14と低い値を示した。さらに、相手材の損傷は認められず、実施例1〜実施例5、参考例1〜13、参考例15の成形体の成形性は良好であった。
【0055】
それに対し、表4に示すように、比較例1〜比較例4のポリエチレン樹脂(PE)、ポリアミド6樹脂(PA6)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアセタール樹脂(POM)のみの動摩擦係数もポリエチレン樹脂(PE)のみ 0.12 と低いが、その他は 0.2〜0.29と高い値を示した。また、全ての材料について比摩耗量は 800〜9000×10-8mm3/(N・m )であり、実施例と比べて大きな値を示した。
【0056】
比較例5〜比較例8では油を添加したことで動摩擦係数が若干低下したが、多孔質シリカを配合した実施例と比べれば摩擦係数は高くなった。また、比摩耗量は 500〜700 ×10-8mm3/(N・m )であり、実施例と比べて大きい。さらに、比較例5、比較例7、比較例8は射出成形中にスクリュのすべりや金型への油の付着が発生したため、成形性は若干悪くなった。比較例6は比表面積の大きい活性炭に潤滑油を含浸させたが、油を取り込んだまま摺動界面に油を供給せず、摩擦係数が高い値を示した。
【0057】
比較例9、比較例10では、油の配合量が 20 容量%と多いため射出成形中にスクリュのすべりが発生した。このため、試験片を作製できなかった。
【0058】
比較例11〜比較例14は、油と充填材を添加したことで動摩擦係数と比摩耗量が若干低下したが、球状多孔質シリカを配合した実施例と比べれば動摩擦係数、比摩耗量ともに大きい。また、射出成形中にスクリュのすべりや金型への油の付着が発生したため、成形性は若干悪くなった。さらに、実施例14〜実施例17の曲げ強度と比べ、比較例11〜比較例14の曲げ強度はかなり低くなっている。これは、実施例の材料中に存在する油は多孔質シリカ中に含まれているため、充填材とベース樹脂の界面に油が存在せず、補強効果が優れるのに対し、比較例では充填材とベース樹脂の界面に油が存在するため、補強効果が十分でないからである。
【0059】
また、表6に示すように、潤滑性付与剤を配合した実施例6、参考例16、17の成形体、参考例18のコーティング被膜は、比摩耗量および動摩擦係数が小さく、潤滑性付与剤は潤滑性を付与できる配合剤として機能している。
【0060】
一方、比較例15〜比較例17はピン試験片を成形することができなかった。比較例18〜比較例20は潤滑性付与剤が配合されていないので、潤滑性が付与されず摺動性に劣っていた。
【0061】
【発明の効果】
本発明の摺動材組成物は、基材に、多孔質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合してなるので、潤滑剤が多孔質シリカ内に保持され、かつ摺動界面において潤滑剤を少量ずつ供給できる。その結果、摺動界面に継続して潤滑剤を供給できるので、優れた摩擦・摩耗特性を持続できる。
また、多孔質シリカに潤滑剤が含浸されているので、摺動材組成物としての機械的性質を維持して組成物中の含油量を多く配合できる。
【0062】
本発明の他の摺動材組成物は、基材に潤滑剤が含浸された多孔質シリカを少なくとも配合してなるので、樹脂やエラストマー材料と潤滑油との相溶性により、これまで混練できなかった材料の組み合わせでも、問題なく配合・混練できる。また、基材中にも潤滑剤を配合できるので、多量の潤滑剤を配合できる。また、射出成形時等にスクリュがすべる、計量が不安定となってサイクルタイムが長くなる、寸法精度がでにくい、金型表面に潤滑剤が付着して成形面の仕上がりが悪くなるなどの不具合が生じない。
【0063】
本発明の上記摺動材組成物に用いられる多孔質シリカが連続孔を有する球状多孔質シリカであるので、摺動界面のせん断力で球状多孔質シリカが破壊する。その結果、摺動する相手材が軟質材でも傷をつけない。
【0064】
また、球状多孔質シリカの平均粒子径が 1 〜 20 μ m であるので、分散性に優れる。そのため、他の補強材と併用しても補強材と樹脂との界面に潤滑剤が存在するのを防ぐことができ、所定の補強効果が得られる。
Claims (3)
- 樹脂材料に、多孔質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合してなる摺動材組成物であって、
前記多孔質シリカは、一次微粒子が集合した連続孔を有する球状多孔質シリカであり、該球状多孔質シリカの内部と外表面がシラノール基で覆われており、平均粒子径が 1 〜 20 μ m であり、吸油量が 300 〜 400 ml/100g であり、潤滑剤が含浸された多孔質シリカであり、前記樹脂材料が高密度ポリエチレン樹脂であり、前記潤滑剤がシリコーン油であり、摺動材組成物全体に対して、前記潤滑剤が 5 〜 40 容量%、前記多孔質シリカが 1 〜 20 容量%、残部が前記樹脂材料であることを特徴とする摺動材組成物。 - 前記シリコーン油が官能基を有さないシリコーン油であることを特徴とする請求項1記載の摺動材組成物。
- アルミニウム合金A5056を相手材とする成形体の動摩擦係数が 0.05〜0.075 であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の摺動材組成物。
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