JP4066387B1 - 棒鋼の制御冷却装置 - Google Patents
棒鋼の制御冷却装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4066387B1 JP4066387B1 JP2007252897A JP2007252897A JP4066387B1 JP 4066387 B1 JP4066387 B1 JP 4066387B1 JP 2007252897 A JP2007252897 A JP 2007252897A JP 2007252897 A JP2007252897 A JP 2007252897A JP 4066387 B1 JP4066387 B1 JP 4066387B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bar
- row
- cooling
- fluidized bed
- axis
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
Abstract
【課題】 熱間圧延直後の棒鋼を全長均一に制御冷却する装置を提供する。
【解決手段】 棒鋼を並列させて棒列を形成する手段と、個々の棒を自転させつつ斜行並進させて冷却帯を通過させる搬送手段と、冷却帯として常温流動床を内装する流動床槽と、該槽内で棒列と平行に搬送方向に多段に並列された送風ノズル列と、該棒列の下方で棒列と流動床との接触を断つ多段の遮蔽板列と、該棒列の上方で放熱を抑制する多段の保温板列とから成り、個々の棒を全長に渡り同時に同一条件で冷却するとともに棒鋼と流動床との接触を適宜調節して間欠冷却を可能とする。
【選択図】図1
Description
本発明は鋼片が熱間圧延により棒鋼に加工された後の制御冷却に適用する装置に関するものである。
棒鋼圧延においては通常、圧延直後の棒鋼は切断して個々に冷却台上に並列され、棒軸方向と直交して並進しつつ空冷される。その結果焼準と同様の金属組織を持ち、中庸の強度と安定した延靭性が得られている。特別の機械的性質例えば高強度、低強度、高加工性、高延性等を必要とする場合には、棒鋼に2次加工処理例えば焼入れ焼戻しや焼鈍等が施される。
線材では圧延直後の制御冷却の技術が充実していて各種の熱処理が施され2次加工の多くが省略されているが、棒鋼では例が少ない。
その理由の一つは、棒径が大きいので金属組織の改質に必要な冷却速度ないし冷却ガイドラインが得にくい、合金量で改質しようとすると経済性に問題が生ずる、必要な冷却能をもつ冷却方法があっても圧延工場の大きな生産能率(50〜150t/h)に適応して並列並進する棒鋼に適切且つ全長均一に冷却し得る設備を考案することは極めて困難であること等が挙げられる。確実な熱処理、多様な熱処理が可能になれば、需要の増加、応用の拡大は大いに期待できる。
その理由の一つは、棒径が大きいので金属組織の改質に必要な冷却速度ないし冷却ガイドラインが得にくい、合金量で改質しようとすると経済性に問題が生ずる、必要な冷却能をもつ冷却方法があっても圧延工場の大きな生産能率(50〜150t/h)に適応して並列並進する棒鋼に適切且つ全長均一に冷却し得る設備を考案することは極めて困難であること等が挙げられる。確実な熱処理、多様な熱処理が可能になれば、需要の増加、応用の拡大は大いに期待できる。
棒鋼の中で最大生産量を占める汎用鉄筋の降伏強度は約300MPaである。細径(10〜18mm)では合金添加と圧延直後の水冷の適用により600MPaとなる高強度品が製造されているが、近年太径(22〜51mm径)の高強度材が期待されている。これは本発明の目的の一つである。
棒鋼の高強度化を目指した制御冷却に関連する先行事例を検討する。
テンプコア法: 非特許文献1
主に鉄筋用低炭素鋼を対象に仕上げ圧延直後の直進する棒鋼を強力な水冷装置により急冷して表層をMs点(マルテンサイトが発生する温度)以下に冷却して焼入れし、以後空冷して内部の自己熱により焼入れ部を焼き戻す方法であって、降伏強度は約500MPa、合金添加により600MPaが得られる。問題は、1)棒径が大きいほど強度、延靭性が低下する、2)強力な水冷に依存するので冷却の安定性に欠き、品質が安定しにくい。3)走行する棒鋼を冷却するだけであるから、太径や高速圧延では必要な冷却時間が得られない。国内ではほとんど製造されていない。当該装置は単機能である。
テンプコア法: 非特許文献1
主に鉄筋用低炭素鋼を対象に仕上げ圧延直後の直進する棒鋼を強力な水冷装置により急冷して表層をMs点(マルテンサイトが発生する温度)以下に冷却して焼入れし、以後空冷して内部の自己熱により焼入れ部を焼き戻す方法であって、降伏強度は約500MPa、合金添加により600MPaが得られる。問題は、1)棒径が大きいほど強度、延靭性が低下する、2)強力な水冷に依存するので冷却の安定性に欠き、品質が安定しにくい。3)走行する棒鋼を冷却するだけであるから、太径や高速圧延では必要な冷却時間が得られない。国内ではほとんど製造されていない。当該装置は単機能である。
ミスト冷却法: 特許文献1、特許文献2
圧延後の棒鋼を棒列に形成して冷却台上で並列並進させるに当たり、各棒を自転させつつ斜めに並進させ、上方全面に配置されたミストスプレイ・ノズルによりスプレイ冷却を適用する。棒軸方向、接線方向共に冷却が均等となるよう工夫されている。問題は、スプレイ冷却は基本的には沸騰冷却であり、冷却強化のため水量を増加すると作業温度で膜沸騰と核沸騰が混在して不均一冷却となること、上方だけからの噴射であるため実効表面積が約1/3となり、この2点から大きな冷却能が得られず、平均総括熱伝達率は高々150W/m2K程度である。そのため高炭素低合金鋼の高強度PC鋼棒のパテンティングには利用できるが鉄筋の高強度化や中炭素鋼の調質高強度鋼の製造には冷却能不足である。当該装置は単機能的である。
圧延後の棒鋼を棒列に形成して冷却台上で並列並進させるに当たり、各棒を自転させつつ斜めに並進させ、上方全面に配置されたミストスプレイ・ノズルによりスプレイ冷却を適用する。棒軸方向、接線方向共に冷却が均等となるよう工夫されている。問題は、スプレイ冷却は基本的には沸騰冷却であり、冷却強化のため水量を増加すると作業温度で膜沸騰と核沸騰が混在して不均一冷却となること、上方だけからの噴射であるため実効表面積が約1/3となり、この2点から大きな冷却能が得られず、平均総括熱伝達率は高々150W/m2K程度である。そのため高炭素低合金鋼の高強度PC鋼棒のパテンティングには利用できるが鉄筋の高強度化や中炭素鋼の調質高強度鋼の製造には冷却能不足である。当該装置は単機能的である。
TMCP法: 非特許文献2
成分、圧延条件、冷却条件の3要因を総合的に組み合わせて所望の結晶粒度と金属組織を得る方法であり、特に微細粒効果によって高強度を目指す。
上記文献には、細粒化元素(V,Nb)の添加、800℃以下の低温圧延によるオーステナイト粒の微細化、再結晶粒の成長抑止と変態組織制御のための適切な水冷の3プロセスにより3μm径以下の微細フェライト又はベイナイト又はマルテンサイトを主組織とし、厚板において500〜800MPaの高強度化が可能と示されている。
成分、圧延条件、冷却条件の3要因を総合的に組み合わせて所望の結晶粒度と金属組織を得る方法であり、特に微細粒効果によって高強度を目指す。
上記文献には、細粒化元素(V,Nb)の添加、800℃以下の低温圧延によるオーステナイト粒の微細化、再結晶粒の成長抑止と変態組織制御のための適切な水冷の3プロセスにより3μm径以下の微細フェライト又はベイナイト又はマルテンサイトを主組織とし、厚板において500〜800MPaの高強度化が可能と示されている。
本方法の問題は、棒鋼に応用する場合圧延機耐力の抜本強化と圧延後の強制冷却が不可欠となる。後者に対して走行する棒鋼を水冷により制御冷却する方法では走行距離が過大になってスペース上実施困難である。従って実施されていない。因みに厚板では断面積が大きいので走行速度は小さく、必要冷却時間約100秒に対してスペース上の問題は大きくないので実施されている。他の実施方法として上記低温圧延と既述のミスト冷却法との組合せが考えられる。再結晶粒の成長を抑止して600〜700MPaの強度が期待されるが、マルテンサイトの生成を前提とする高強度材は冷却能不足の故に困難である。
棒鋼の圧延・冷却とは直接関係が無いが、特許文献3には常温流動床が実質的に鉛浴焼入より大きな冷却能を持つこと、冷却能の調節は該流動床との間欠接触によってなされ、線材のパテンティングに対して効果的であり品質は従来方法より優れると開示されている。直進する線材に対して適切な応用方法が開示されているが、棒鋼や、冷却帯を並進横断する棒列に応用するには棒の断面内での不均一温度分布等新たに種々の問題が予想され、それらに対して何ら示唆が無い。
日本鉄鋼協会、鉄鋼技術の流れ4:制御圧延・制御冷却、P.151
公開特許公報平1−234527
公開特許公報昭61−26730
新日本製鐵(株)監修、NIPPON STEEL MONTHRY 2007,6,p.7~8
特許3914953
解決しようとする問題点は、大量生産の棒鋼ミルにおいて、各種棒鋼に対して制御冷却により製品に望ましい熱処理効果を与えるという目的に対して、並列並進する棒列に対して全長均等で且つ適切な冷却強さとその調節能を持った冷却装置が見当たらないことである。本発明は該問題の解決策を提供することを課題とする。言い換えると多機能の棒鋼直接熱処理装置の提供である。
本発明は、上記問題の解決のため、先行例の棒列を自転させつつ並列斜行並進させて冷却帯を通過させる方法を改良・拡張し、a)冷却装置として強冷却能を持つ常温流動床を適用し、b)該流動床を形成する送風ノズル列と、棒鋼と流動床との接触を断つ遮蔽板の双方を棒列と平行に一体的に並進方向多段に設け、1)適宜開閉することにより間欠冷却を誘導して冷却を自在に調節可能とする、2)棒鋼全長を同時且つ同一処理することを最も主要な特徴とする。
第1発明は、熱間圧延直後の直進する棒鋼を所定長さで切断した後、順次棒軸直交方向に移動させて棒列を形成し、該棒列を並進させて棒鋼全長を同時に同一条件で制御冷却を施す装置であって、[1]個々の棒鋼を棒軸回りに自転させつつ該棒列を棒軸に対して斜行方向に搬送する手段と[2]該棒列を通過させ流動床への浸漬によって冷却する冷却手段から成り、後者の冷却手段は、c)流動砂が浮遊状態では棒列を浸漬させて接触冷却し沈積状態では棒列と分離して棒列を空冷する流動床を内包する流動床槽と、d)前記流動床を形成する送風装置であって前記流動床槽の底面に棒軸と平行に配置したノズル列を棒軸と直交方向に多段に並列したノズル列群と、e)流動床と棒鋼との接触を遮蔽する板であって棒軸方向に沿って一定の幅を持ち前記ノズル列と対面して棒列の直下・平行に配置し棒軸直交方向に多段に並列した遮蔽板列と、f)列毎に送風又は遮蔽板を開閉する手段と、g)前記流動砂の冷却装置であって前記ノズル列間に壁面を垂直に配置した水冷壁列とから成ることを特徴とする棒鋼の制御冷却装置である。
第2発明は、搬送手段が、a)該棒列を所定間隔で仕切る仕切り爪を付設したコンベアであって圧延ピッチに対応した速度で棒軸と直交に水平走行して該棒列を押し続ける平行複数のコンベアと、b)前記棒列を積載し棒軸斜交に水平走行し前記仕切り爪による拘束との相互作用で棒鋼に棒軸回りの自転と水平斜行を誘導する平行複数の斜行ループベルト又は、b’)前記棒列を積載し棒軸直交に水平走行し前記仕切り爪による拘束との相互作用で棒鋼に棒軸回りの自転を誘導し且つ走行中の棒鋼を棒軸方向に移動させる手段に補助させて水平斜行を誘導する平行複数の直交ループベルトとから成ることを特徴とする第1発明に記載の棒鋼の制御冷却装置である。
第3発明は、開閉可能の放熱軽減手段であって、棒軸方向に沿って一定幅を持ちノズル列と対面して棒列の直上・平行に配置した保温板を棒軸直交方向に多段に並列した保温板列を設け、送風停止の状態において個々の保温板を閉鎖して通過する棒列を保温することを特徴とする第1又は第2発明に記載の棒鋼の制御冷却装置である。
本発明の棒鋼の制御冷却装置は、第1に常温流動床を使用するため極めて大きな冷却能を持つ。その結果1)焼入が容易になる、2)焼入性合金の量を節減することができる。
第2に強冷却能の間欠冷却により且つ保温も組み込んで冷却能と冷却タイミングを自在に調節することが可能になり、各種熱処理が容易になる。
第3に通常の大量生産棒鋼ミルに付設することができ、低コストで熱処理を附加することができるという利点がある。
第2に強冷却能の間欠冷却により且つ保温も組み込んで冷却能と冷却タイミングを自在に調節することが可能になり、各種熱処理が容易になる。
第3に通常の大量生産棒鋼ミルに付設することができ、低コストで熱処理を附加することができるという利点がある。
本装置は以下の製品の製造、改良に適用することができる。
1) 高炭素低合金鋼のPC鋼棒のパテンティング(特許文献1,2の方法の改良)。
2) 中低炭素低合金鋼の調質(焼入焼戻し)。
3) 低炭素鋼の細粒化による高強度溶接性の鉄筋用異形棒鋼。
4) 中高炭素低合金鋼の棒鋼の疑似焼鈍。
5) オーステナイト系ステンレス鋼の溶体化処理。
6) 空冷低合金鋼のマルテンサイトの発生防止。
1) 高炭素低合金鋼のPC鋼棒のパテンティング(特許文献1,2の方法の改良)。
2) 中低炭素低合金鋼の調質(焼入焼戻し)。
3) 低炭素鋼の細粒化による高強度溶接性の鉄筋用異形棒鋼。
4) 中高炭素低合金鋼の棒鋼の疑似焼鈍。
5) オーステナイト系ステンレス鋼の溶体化処理。
6) 空冷低合金鋼のマルテンサイトの発生防止。
圧延直後の棒鋼に適切な制御冷却を施し、熱処理効果を得て製品の機械的性質を向上させるという目的を、比較的容易な方法で、比較的低廉な設備費で、しかも小規模な設備で且つ低コストで実施することができる装置を実現した。
図1(平面図)は本発明の装置の例の全体を説明する概略図である。仕上げ圧延を通過し、所定長さに切断され、ローラーガンク2上を直進し、冷却床である流動床槽3の横に到着した棒鋼1は順次直交方向への移送手段例えばけり出しレバー0により積載手段例えば傾斜レール8上に並列する。次いで後述の流動床槽を横断する搬送手段により一定間隔の平行棒列4を形成する。且つ該棒列4を棒軸直交方向に押しつつ自転・斜行させ流動床槽3内を横断・通過させて後述の冷却装置により所定の冷却処理を行い、搬出する。
図1(平面図)は本発明の装置の例の全体を説明する概略図である。仕上げ圧延を通過し、所定長さに切断され、ローラーガンク2上を直進し、冷却床である流動床槽3の横に到着した棒鋼1は順次直交方向への移送手段例えばけり出しレバー0により積載手段例えば傾斜レール8上に並列する。次いで後述の流動床槽を横断する搬送手段により一定間隔の平行棒列4を形成する。且つ該棒列4を棒軸直交方向に押しつつ自転・斜行させ流動床槽3内を横断・通過させて後述の冷却装置により所定の冷却処理を行い、搬出する。
図2(側面図)は棒列4の形成と搬送機構の説明図である。けり出された前記傾斜レール8上の棒鋼1は並進方向(棒軸と直交)に走行する平行数条のコンベア5の下方で該コンベア5の外周に一定間隔で設けられた仕切り爪7によって一旦受け止められる。該コンベアは圧延ピッチと同期した速度で走行する。後続の棒鋼1はそれぞれ仕切り爪によって仕切られ一定間隔の棒列4を形成する。同期速度は一つとは限らない。状況により各棒を仕切り爪の一つおき、二つおきにはめ込んでもよい。
該コンベアは上記のように一定速度で走行するループ式でもよいし、仕切り1ピッチ毎の往復動方式でもよい。その際爪はラチェット式に後退時は前に折り込む。
次いで該棒列は水平斜行に走行する平行数条のループベルト6上に移送される。
該コンベア5、該ベルト6とも一体的に流動床槽3を横断走行する。該コンベアの走行軌跡は図面とは上下逆に該流動床槽の下方を反転させてもよい。その場合仕切り爪は該コンベアの内周に位置する。該コンベアの走行軌跡を図面とは逆に棒列4の下方にしてもよい。それぞれ一長一短がある。
該コンベア5、該ベルト6とも一体的に流動床槽3を横断走行する。該コンベアの走行軌跡は図面とは上下逆に該流動床槽の下方を反転させてもよい。その場合仕切り爪は該コンベアの内周に位置する。該コンベアの走行軌跡を図面とは逆に棒列4の下方にしてもよい。それぞれ一長一短がある。
前記ベルト6は棒列4を積載して棒軸に対して斜めに水平走行するが搬送自体は前記仕切り爪7に拘束されているので棒に接線力とスラスト力が誘発する。その結果棒軸回りの自転と水平斜行が誘導される。自転は流動床冷却において棒鋼表面における接線方向の熱伝達率の不均等を平準化する機能を果たす。斜行は棒鋼と搬送機構との接触による局所的な不均一冷却を分散平準化する。注意点1は、ループコンベアとループベルトが同一方向同一速度なら接線力、スラスト力は発生しない。注意点2は、斜行角度はループベルトの傾斜角と一致するわけではない。自転数(ベルト速度)と摩擦係数に依存する。適宜選択する。該ベルトの走行方向は前後どちらでもよい。
斜行させる他の方法として、一方でループベルトを棒軸直交に配置し、他方で棒鋼を軸方向に寸動させる手段例えばプッシャーを槽の片端に多段に設け、結果として斜行させることができる。
流動床槽3は、流動床13を形成する流動砂14と、該砂14を浮遊させる圧縮空気を噴き出す送風ノズル列9と、該流動床13を冷却する水冷壁11と、該流動床13と棒列4との接触を開閉する遮蔽板15と、棒列4を保温する保温板16等を内包する。通常の流動床冷却炉では付設される加熱装置・温度制御装置は不要である。該槽3は棒鋼を収容し得る棒軸方向の長さと冷却処理に必要な時間に対処し得る幅(直交方向長さ)と流動する砂の溢れ出しを防ぐ深さを持つ。
図3(側面図)は流動床槽3の要所を説明する図である。棒列4は流動砂が浮遊している流動床13内に浸漬される水準(図3A)を走行し、且つ流動砂が沈積している状態では砂14の上方(図3B)を走行するよう流動床と斜行ベルトの高低関係が決定される。沈積状態では棒鋼は空冷される。具体的には、通常、流動砂は約300mm堆積される。約1気圧弱の圧力の送風により400〜450mmに膨らんだ流動状態が形成される。適切な送風量は流動状態を見て設定される。過剰に送風しても吹き抜け現象が生じて良くないことは直ちに解る。流動砂には通常と替わることなく約0.1〜0.7mm径のジルコン砂が使用される。
送風ノズルは流動床槽の底面に棒列と平行に該槽の全長に配置されノズル列9を形成する。更に該ノズル列9を幅方向に多段に並列してノズル列群を形成し、槽内全域を流動床とする。棒鋼とノズル列を平行させる理由は棒全長を同時に均等に冷却するためである。列内で各ノズルの元圧を一定にすることも均一冷却には欠かせないが、当業者なら容易に対処し得る。冷却の調整やメンテナンスの便宜のため列毎に送風の開閉を可能としておく。ノズル列の多段の配置はきめ細かい多段の段階的冷却調整に対応するものである。
ノズル列9の上方であり且つ棒列4の下方空間に遮蔽板15がノズル列と同数配置され列を形成する。該遮蔽板15は棒軸方向に一定幅を持つ。該遮蔽板は棒軸と平行に配置され流動砂と棒鋼との接触を開閉する。開閉は該板15の幅中心を通る棒軸方向軸を回転軸にして90度旋回して行う。該中心軸はノズル列の垂直上方に位置するのが望ましい。遮蔽により棒鋼と流動床の接触が断たれ流動床冷却から空冷に変わる(図3Aから図3Bへ)。
該遮蔽板15を個々に適宜、開閉を設定することにより自在の冷却線図が得られる可能性が生ずる。そのために必要な第1条件は基本的に強力な冷却能を保有することであり、第2条件は間欠冷却と間欠幅(遮蔽板の幅)の細分化である。間欠幅は仕切り爪間隔程度に小さくすれば十分である。具体的には50〜150mmである。尚板幅はノズル列幅とは同一でなく1/2倍程度にしてもよい。当然密接配置は必要である。
流動床の冷却能は流動床温度が低いほど大きくなるので本発明では約100℃を目安にした。その結果前記第1条件は容易に解決される。上記温度に誘導するため流動床槽内に水冷壁11がノズル列と平行に配置される。該壁11は槽3の底面より垂直に立ち上げ、流動する砂と接触させて砂を冷却する。棒と流動床間の熱伝達率は流動床と水冷壁間のそれとほぼ等しい。従って槽内において棒軸直交方向の単位長さ当たりに存在する棒鋼の表面積と水冷壁の表面積が同じであれば、流動床温度は両者の中間点で均衡する。即ち棒鋼温度が800℃であれば流動床は約400℃になる。水冷壁の表面積を棒鋼のそれの10倍とすると温度差は10対1に分配され流動床温度は約100℃になる。
上記手段により加熱装置や制御装置は全く不要になる。加熱不要と実質常温と見なせるので便宜的にこれを常温流動床と呼称した。水冷壁面積が不十分ならノズル間に直交方向に格子状に水冷壁を配置する。又フィンを構成して伝熱を補助する。
空冷よりも冷却を弱めることを可能とするため、棒列4の上方にノズル列9と対面した開閉可能な保温板16を設け、送風停止の状態において該保温板を閉鎖して保温(図3C)とすることができる。配置の方法は前記遮蔽板15と同様である。即ち該流動床槽は並進方向に多段平行に配置されたノズル列の送風と遮蔽板と保温板のそれぞれを開閉することにより3種の冷却能を保有し、切替えが可能となる。前二者の閉状態は共に空冷を誘導するが、砂の堆積量の偏り等の平準化のため適宜使い分ける。
各状態の冷却能は以下である。流動床温度が周辺温度に相当する。
冷却能Q=熱伝達率α×(棒鋼温度θ−周辺温度θs)
α(W/m2K) θs(℃) Q(W/m2)
状態A: α1 ≒1100 θs1 ≒100 Q1 ≒770000
状態B: α2 ≒ 110 θs2 ≒100 Q2 ≒ 77000
状態C: α3 ≒ 50 θs3 ≒300 Q3 ≒ 25000
但し棒鋼温度を800℃とする。
冷却能Q=熱伝達率α×(棒鋼温度θ−周辺温度θs)
α(W/m2K) θs(℃) Q(W/m2)
状態A: α1 ≒1100 θs1 ≒100 Q1 ≒770000
状態B: α2 ≒ 110 θs2 ≒100 Q2 ≒ 77000
状態C: α3 ≒ 50 θs3 ≒300 Q3 ≒ 25000
但し棒鋼温度を800℃とする。
制御冷却においては、目的とする熱処理に対応して又圧延条件とも対応して冷却のタイミングと冷却強さを適切に設定しなければならない。本発明では以下の調節方法を採る。即ち、ノズル列の送風の開閉、遮蔽板と保温板の開閉を操作して、上流側から順次上記3状態のどれかに設定する。例えば焼入自己焼戻し、パテンティングの場合は定性的には以下となる。
焼入自己熱焼戻し: AAAAAAAAAAACCCCCCCCCCC
パテンティング: AAAAABBABABBCCCCCCCCCC
焼入自己熱焼戻し: AAAAAAAAAAACCCCCCCCCCC
パテンティング: AAAAABBABABBCCCCCCCCCC
流動床の熱伝達率αの値は設計条件が決まるとほぼ一定で自在に調節することはできない。従って冷却強さの調節は既述の如く棒と流動床との間欠接触によって行う。間欠幅(≒遮蔽板幅≒ノズル列間隔)は仕切り爪のピッチ程度がよい。大きくても該ピッチの3倍以下とすべきである。大きいほど本発明のデジタル的制御が粗雑になる。
流動床による冷却の進行について解析する。熱伝達率αの値は先行実験で800〜1200W/m2Kと判明した。多くの文献で800〜1500程度と示されている。α=1160として20,32,50mm径の棒鋼の冷却速度を解析した。棒径が大きいこと且つα値が大きいことから断面内温度分布に不均一が生ずるのでベッセル関数を使用した解析解により算出した。図4に結果を示す。棒径毎に冷却速度と内外温度差が判明した。
本発明の装置では図に示した冷却速度が最大であって、これ以上の強い冷却は無理であり、これ以下は間欠の比率に応じて弱めることができる。図から所望の冷却パターンに対して間欠冷却をどのタイミングで挿入すべきかの指針を読みとることができる。棒鋼の冷却では表面中心温度差が大きくある種の熱処理では均熱化が必要である。間欠冷却は棒鋼の均熱化に対しても極めて好都合である。
本発明の装置の設計例を表1に示す。公称22,32,51mm径の棒鋼を実生産規模で制御冷却する設備の全体構成が明らかになり、比較的簡素・コンパクトで実施困難でないことが読みとれる。
本発明の棒鋼の制御冷却装置は、既存の棒鋼ミルの冷却台を部分改造することにより困難無く実施することができる。
汎用鉄筋に適用して容易に高強度化が得られるほか、TMCP法等、公知の高強度高靱性の棒鋼の製造条件は本発明の装置により比較的容易に実施することができる。
汎用鉄筋に適用して容易に高強度化が得られるほか、TMCP法等、公知の高強度高靱性の棒鋼の製造条件は本発明の装置により比較的容易に実施することができる。
0:けり出しレバー
1:棒鋼
3:流動床槽
4:棒列
5:コンベア
6:斜行ループベルト
7:仕切り爪
8:傾斜レール
9:ノズル列
11:水冷壁
13:流動床
14:砂
15:遮蔽板
16:保温板
1:棒鋼
3:流動床槽
4:棒列
5:コンベア
6:斜行ループベルト
7:仕切り爪
8:傾斜レール
9:ノズル列
11:水冷壁
13:流動床
14:砂
15:遮蔽板
16:保温板
Claims (3)
- 熱間圧延直後の直進する棒鋼を所定長さで切断した後、順次棒軸直交方向に移動させて棒列を形成し、該棒列を並進させて棒鋼全長を同時に同一条件で制御冷却を施す装置であって、[1]個々の棒鋼を棒軸回りに自転させつつ該棒列を棒軸に対して斜行方向に搬送する手段と[2]該棒列を通過させ流動床への浸漬によって冷却する冷却手段から成り、後者の冷却手段は、c)流動砂が浮遊状態では棒列を浸漬させて接触冷却し沈積状態では棒列と分離して棒列を空冷する流動床を内包する流動床槽と、d)前記流動床を形成する送風装置であって前記流動床槽の底面に棒軸と平行に配置したノズル列を棒軸と直交方向に多段に並列したノズル列群と、e)流動床と棒鋼との接触を遮蔽する板であって棒軸方向に沿って一定の幅を持ち前記ノズル列と対面して棒列の直下・平行に配置し棒軸直交方向に多段に並列した遮蔽板列と、f)列毎に送風及び遮蔽板を開閉する手段と、g)前記流動砂の冷却装置であって前記ノズル列間に壁面を垂直に配置した水冷壁列とから成ることを特徴とする棒鋼の制御冷却装置。
- 搬送手段が、a)該棒列を所定間隔で仕切る仕切り爪を付設したコンベアであって圧延ピッチに対応した速度で棒軸と直交に水平走行して該棒列を押し続ける平行複数のコンベアと、b)前記棒列を積載し棒軸斜交に水平走行し前記仕切り爪による拘束との相互作用で棒鋼に棒軸回りの自転と水平斜行を誘導する平行複数の斜行ループベルト、又はb’)前記棒列を積載し棒軸直交に水平走行し前記仕切り爪による拘束との相互作用で棒鋼に棒軸回りの自転を誘導し且つ走行中の棒鋼を棒軸方向に移動させる手段に補助させて水平斜行を誘導する平行複数の直交ループベルトとから成ることを特徴とする請求項1に記載の棒鋼の制御冷却装置。
- 開閉可能の放熱軽減手段であって、棒軸方向に沿って一定幅を持ちノズル列と対面して棒列の直上・平行に配置した保温板を棒軸直交方向に多段に並列した保温板列を設け、送風停止の状態において個々の保温板を閉鎖して通過する棒列を保温することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棒鋼の制御冷却装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007252897A JP4066387B1 (ja) | 2007-09-28 | 2007-09-28 | 棒鋼の制御冷却装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007252897A JP4066387B1 (ja) | 2007-09-28 | 2007-09-28 | 棒鋼の制御冷却装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP4066387B1 true JP4066387B1 (ja) | 2008-03-26 |
JP2009082931A JP2009082931A (ja) | 2009-04-23 |
Family
ID=39294029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007252897A Expired - Fee Related JP4066387B1 (ja) | 2007-09-28 | 2007-09-28 | 棒鋼の制御冷却装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4066387B1 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107091565A (zh) * | 2017-06-08 | 2017-08-25 | 山东万事达建筑钢品股份有限公司 | 一种聚氨酯复合板晾板设备 |
US20220195550A1 (en) * | 2020-12-23 | 2022-06-23 | Caterpillar Inc. | Air-hardened machine components |
CN115229267A (zh) * | 2022-09-19 | 2022-10-25 | 合肥司南金属材料有限公司 | 一种钼铜合金棒切割装置 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6295387B1 (ja) * | 2017-05-19 | 2018-03-14 | 山田 榮子 | 熱延棒鋼の制御冷却方法 |
-
2007
- 2007-09-28 JP JP2007252897A patent/JP4066387B1/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107091565A (zh) * | 2017-06-08 | 2017-08-25 | 山东万事达建筑钢品股份有限公司 | 一种聚氨酯复合板晾板设备 |
US20220195550A1 (en) * | 2020-12-23 | 2022-06-23 | Caterpillar Inc. | Air-hardened machine components |
CN115229267A (zh) * | 2022-09-19 | 2022-10-25 | 合肥司南金属材料有限公司 | 一种钼铜合金棒切割装置 |
CN115229267B (zh) * | 2022-09-19 | 2022-12-02 | 合肥司南金属材料有限公司 | 一种钼铜合金棒切割装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009082931A (ja) | 2009-04-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2377096C1 (ru) | Способ и устройство для непрерывного литья | |
US10125405B2 (en) | Method and system for thermal treatments of rails | |
CN107922988B (zh) | 非接触式冷却钢板的方法以及用于该方法的设备 | |
JP2721861B2 (ja) | 熱間圧延鋼線材の直接急冷方法 | |
JP3881617B2 (ja) | 熱延鋼板の冷却制御方法 | |
RU2744007C2 (ru) | Устройство проточного охлаждения, способ охлаждения металлической полосы, линия термообработки металлической полосы, способ термообработки металлической полосы | |
CN101370947B (zh) | 用于在碳素钢内尤其是在带钢内连续生成贝氏体组织的方法和设备 | |
JP4066387B1 (ja) | 棒鋼の制御冷却装置 | |
JP2009515045A6 (ja) | 炭素鋼、特に帯鋼にベイナイト組織を連続的に形成するための方法および装置 | |
EP2700724B1 (en) | Method and apparatus for heat treating rails | |
JP2017514996A (ja) | 鋼ストリップを作成する方法及び装置 | |
JP6569843B1 (ja) | 厚鋼板の冷却装置および冷却方法ならびに厚鋼板の製造設備および製造方法 | |
JP5217509B2 (ja) | 厚鋼板の製造方法および製造設備 | |
WO2000071274A1 (fr) | Installations de production en continu de fil metallique | |
JP4695221B1 (ja) | 平鋼の制御冷却方法 | |
JP2009000711A (ja) | 棒鋼制御冷却方法 | |
JP6295387B1 (ja) | 熱延棒鋼の制御冷却方法 | |
JP4627025B2 (ja) | 圧延装置 | |
US6036485A (en) | Annealing furnace | |
KR900002561B1 (ko) | 강철봉을 열처리하기 위한 방법 및 장치 | |
JP6503530B1 (ja) | 熱延棒鋼の加速冷却方法 | |
JP4106412B1 (ja) | 棒鋼の制御冷却方法 | |
JP3101980B2 (ja) | 熱間圧延鋼線材の直接急冷方法 | |
JP2007056300A (ja) | 熱間圧延線材の直接熱処理方法および装置 | |
JP2006144032A (ja) | 鋼線の伸線・熱処理方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140118 Year of fee payment: 6 |
|
S802 | Written request for registration of partial abandonment of right |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311802 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |