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JP4064604B2 - 画像処理方法及び装置 - Google Patents

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JP4064604B2
JP4064604B2 JP2000200302A JP2000200302A JP4064604B2 JP 4064604 B2 JP4064604 B2 JP 4064604B2 JP 2000200302 A JP2000200302 A JP 2000200302A JP 2000200302 A JP2000200302 A JP 2000200302A JP 4064604 B2 JP4064604 B2 JP 4064604B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレーム間予測を用いた動画像圧縮方式により符号化された動画像データを固定レート或いは可変レートにより送出する画像処理方法及び装置に係り、特に早送りや逆早送り(巻き戻し)再生などのトリックプレイを実現するのに好適な画像処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、フレーム間予測を用いた動画像圧縮方式により符号化を行う技術の主流となっているものにMPEG(Moving Picture Experts Group)国際標準規格がある。通常、MPEGによる動画像処理システムでは、アナログVTRテープ等に記録されている動画像、またはビデオカメラ等を使用したリアルタイムなアナログの動画像を、専用のエンコーダにより符号化(エンコード)し、動画像ファイルとして外部記憶装置へ格納する。そして、格納した動画像ファイルは専用のデコーダにより復号化を行い、再生する。ファイルからデコーダへのデータ送出は、固定レートまたは可変レートの2通りが存在する。従来、このMPEGのシステムにおいて、アナログVTRのような早送り/逆早送り再生(以下トリックプレイと称する)を実現するために、トリックプレイ専用の動画像データを作成するという方法がある。
【0003】
MPEGで圧縮された動画像において、我々は、トリックプレイが必ずしも高画質である必要がないという観点から、倍速率と再生時のビットレート(再生レート)を調整できるような、トリックプレイ用動画像データの作成方式を提案してきた(特願平9−147846号)。この方式は、ある特定の倍速率と再生レートを持つトリックプレイ用動画像データを容易に作成することができるという優れた特徴を有している。しかしながら、この方式には、次のような事象が発生した場合に、トリックプレイ用動画像データの作成が不可能となる問題が存在する。
【0004】
上記方式では、通常再生用の動画像データから取り出したフレーム内符号化画像(Iピクチャ)情報を、指定の再生レートを満たすように計算されたサイズ値以下となるまで削減している。この際、可能な限り画像情報を削減しても目標のサイズ値以下とならない場合がある。ところが、上記方式では、このような事象の発生については考慮されていない。このため、画像情報が目標のサイズ値以下とならないような事象が発生した場合、指定の再生レートでのトリックプレイ用動画像データの作成が不可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、フレーム間予測を用いた動画像圧縮方式により符号化を行う技術において、現在提案されているトリックプレイ用の動画像データ作成方式では、フレーム内符号化画像データを可能な限り削減しても、目標とするサイズ値以下にならない場合には、動画像データの作成が不可能になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情を考慮してなされたものでその目的は、フレーム間予測を用いた動画像圧縮方式により符号化された通常再生の動画像データを用いてトリックプレイ用動画像データを作成するのに、トリックプレイ再生時の倍速率や再生レートを柔軟に設定可能で、且つ作成不可能になるケースを減らすことができる画像処理方法及び装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フレーム間予測を用いて動画像圧縮を行うことにより符号化された動画像データを固定レート或いは可変レートにより送出する画像処理方法において、上記動画像データの先頭または末尾のうち再生方向で決まる側から順にフレーム内符号化画像データを抽出するステップと、この抽出したフレーム内符号化画像データが指定された再生時のビットレートを満足する目標サイズ以下になるように当該フレーム内符号化画像データから所定の情報を削減するステップと、上記情報を削減したフレーム内符号化画像データのうち目標サイズ以下になったもののみを抽出するステップと、上記抽出した目標サイズ以下のフレーム内符号化画像データが指定された再生時のビットレートを満足するように、パディング符号を当該フレーム内符号化画像データに挿入するステップと、このパディング符号が挿入された動画像データのヘッダに対し、指定された再生時のビットレートを反映したビットレートを当該動画像データのヘッダに対し設定するステップと、上記パディング符号が挿入された動画像データを再生する際に再生のスタート及びランダムアクセスが適切に行われるようにするためのバッファ制御情報を設定するステップとを備えたことを特徴とする。ここで、フレーム内符号化画像データから削減する所定の情報として、DCT(Discrete Cosine Transform)係数、好ましくはDCT係数のうちのAC成分、特に画質を左右する高周波成分(AC成分)の係数を対象とするとよい。
【0008】
このように本発明の特徴は、動画像データ(一般には通常再生用動画像データ)より抽出したフレーム内符号化画像データ(Iピクチャ)のうち、所定の情報(例えばDCT係数)を削減しても目標とするサイズ(目標サイズ)以下にならないIピクチャはトリックプレイでは表示せず間引いてしまうという手法を適用した点にある。これにより、トリックプレイ時に表示されるピクチャ数が減る場合には倍速率に若干揺らぎが生じるものの、より低い再生レートのままでトリックプレイが実現できる。しかも、倍速率の若干の揺らぎは、高速のトリックプレイでは視覚的にあまり気になるものではなく、むしろ、ネットワーク上のストリームとして動画像データを流すことを考えた場合に低い再生レートでトリックプレイ用動画像データを送出できるというメリットが大きい。
【0009】
ここで、Iピクチャのみを抽出したことにより、ピクチャ数は減少し、GOP(Group of Pictures)内フレーム数も変化する。そこで、動き予測に関するデータを持たないフレーム間順方向予測画像データ(Pピクチャ)をIピクチャ間に挿入するとよい。このIピクチャ間に挿入するPピクチャ(特殊Pピクチャ)の数は、好ましくは、指定倍速率をN、元の動画像のGOP内フレーム数をM(N,Mは整数、N≦M)とすると、(M/N)−1にするとよい。
【0010】
また本発明は、情報削減によっても目標サイズ以下にならなかったIピクチャを間引くだけでなく、その代わりに、動画像データ内の当該Iピクチャの近傍にあるPピクチャの中から、目標サイズ以下になるものを抽出して、当該Iピクチャに代えて動画像データに挿入するようにし、これに伴い目標サイズ以下のIピクチャだけでなく、このPピクチャについても、パディング符号を挿入するようにしたことを特徴とする。ここで、該当するPピクチャが存在しない場合、特殊Pピクチャを用いるとよい。
【0011】
これにより、指定された再生時のビットレートや倍速率での条件を満たせないようなIピクチャがある場合に、それを間引くだけでなく、その代用として間引いたIピクチャと画像的に近い可能性のあるPピクチャを挿入することで、倍速率の揺れを減らし、より視覚的な違和感(飛び飛び感)を抑えることができる。また低い再生レートのトリックプレイ用動画像データが作成できる。
【0012】
また本発明は、情報削減によっても目標サイズ以下にならなかったIピクチャを間引かずに、その代わりに、動画像データ内の当該Iピクチャの近傍にあるPピクチャの中から、当該Iピクチャのサイズが目標サイズを超えた分を補うサイズのものを抽出して、当該Iピクチャの直後に挿入するようにし、これに伴い目標サイズ以下のIピクチャだけでなく、このPピクチャについても、パディング符号を挿入するようにしたことを特徴とする。ここで、上記目標サイズを超えた分を補うサイズの上限を、目標サイズの2倍のサイズから目標サイズ以下とならなかったIピクチャのサイズを減じた値とするとよい。また、該当するPピクチャが存在しない場合、特殊Pピクチャを用いるとよい。
【0013】
これにより、指定された再生時のビットレートや倍速率での条件を満たせないようなIピクチャがある場合に、それを間引く代わりに、当該Iピクチャがオーバーしたサイズを補う(補償できる)Pピクチャを当該Iピクチャの直後に挿入することで、倍速率は若干揺れる場合があるものの、視覚的違和感(飛び飛びの感覚)は解消され、より滑らかで、低再生レートのトリックプレイ用動画像データが作成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置で適用される画像データ、即ちフレーム間予測を用いて動画像圧縮をすることにより符号化された動画像データを得る画像圧縮方式の原理を、MPEG2による画像圧縮を例に、図2を参照して説明する。
【0016】
MPEG2による画像圧縮では、画像データに対しDCT(Discrete Cosine Transform、離散コサイン変換)を施し、量子化を行う。即ち、図2に示すように、MPEG2に準拠したエンコーダ(符号器)200への入力画像(原画像)210は、まず8×8画素のブロックに分割される。このブロック単位にエンコーダ200内のDCT回路201によりDCT演算を行い、得られたDCT係数をDC成分(直流成分)及びAC成分(交流成分)で独立して量子化回路202により量子化する。量子化に用いる量子化テーブル220は輝度信号用量子化テーブルと色差信号用量子化テーブルとで構成される。量子化したDCT係数のうち、DC係数は、直前のブロックのDC係数を予測値とした差分値をエントロピー符号化回路203により符号化する。残りのAC成分は、ブロック内でジグザグスキャンによって並び替えた後、回路203により符号化する。上記DCTにより変換前にランダムに分布していた画素値(例えば輝度)が、DCT変換後は低周波項に大きな値が集中する。したがって、高周波項を落とす(取り除く)操作をすれば画像データを圧縮することができる。以上が、MPEG2による画像圧縮の原理である。
【0017】
さて、図2のエンコーダ200を用いてMPEG2による画像圧縮を行うことで得られる符号化された動画像データ、つまりフレーム間予測を用いて動画像圧縮をすることにより符号化された動画像データを再生する形態の1つに、従来の技術の欄でも述べたようにトリックプレイ(早送り/逆早送り再生)がある。
【0018】
本実施形態に係る画像処理装置は、このMPEG2の動画像再生において、トリックプレイ時の画質をどの程度重視すべきかという点に着目してなされている。
【0019】
高速なトリックプレイは、主に、映像の特定のシーンを検索し、必要な部分へ素早くジャンプしたい場合や映像の内容を早く理解したい場合等で利用することが多い。このようなときトリックプレイの映像は必ずしも通常再生時と同レベルの画質でなく、少々画質を落としても特に支障はないと考えられる。このような観点から、1つの方策として、特願平9−147846号にて倍速率と再生時のビットレート(再生レート)を調整できるような、トリックプレイ用動画像データの作成方式を提案した。
【0020】
この方式では、MPEGの動画像データよりフレーム内符号化画像(Iピクチャ)のみを抽出し、抽出したIピクチャのマクロブロック内のDCT係数のうち、画質を左右する高周波成分の係数を削減し、各Iピクチャのサイズを小さくすることで、再生レートを低く抑えることを可能とした。
【0021】
また、IピクチャとIピクチャの間に(動き予測に関するデータを持たない)特別なフレーム間順方向予測画像(Pピクチャ)を挿入し、その挿入数で倍速率を可変にしたり、Iピクチャの削減するDCT係数の数を調節することで、指定の再生レートとなるようなトリックプレイ用動画像を作成することを可能とした。ここで、特殊Pピクチャの挿入数の計算式は、指定倍速率がN、元の動画像のGOP(Group of Pictures)内フレーム数がM(N,Mは整数、N≦M)であるものとすると、次式(1)
Pピクチャ挿入数=(M/N)−1 …(1)
により表される。
【0022】
しかしながら、この方法では、指定の再生レート(ビットレート)Rの値によっては、Iピクチャ内のDCT係数を可能な限り削減しても、その再生レートRとなる条件を満たすようなピクチャサイズ(Iピクチャサイズ)TSにまで小さくできない場合が生じる。このIピクチャサイズTS、即ち指定の再生レートRを実現するための条件となるIピクチャサイズ(目標ピクチャサイズ)TSの計算式は、次式(2)
IピクチャのサイズTS
=R×(P_num+1)/Frame−(P_sz×P_num+Hdr_sz)…(2)
R :指定再生レート(bps)
P_sz :Pピクチャのサイズ(ビット)
Hdr_sz :ヘッダのサイズ(ビット)(シーケンスヘッダやGOPヘッダがあるときのみ)
P_num :挿入するPピクチャ数(倍速率を決める)
Frame :1秒あたりの表示ピクチャ数
で表される。
【0023】
もし、上記式(2)で示されるIピクチャサイズTSにまで小さくできない場合には、指定の再生レートRでのトリックプレイ用動画像データの作成は事実上不可能となる。元の動画像データにもよるが、通常、倍速率を上げ、再生レートを低くしようとすると、この問題が起こる可能性が高くなる。
【0024】
そこで本実施形態では、上記問題に関して、次に説明する画像処理装置を用いて解決するようにしている。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図1の画像処理装置100は、抽出部101、フレーム内符号化情報削除部102、フレーム再構成部103、及び動画像属性情報設定部104から構成される。
【0026】
抽出部101は、図2に示したようなMPEG2準拠のエンコーダ(200)によりエンコードされた通常再生用動画像データ110を入力し、当該動画像データ110からフレーム内符号化画像(Iピクチャ)を抽出する。ここで、通常再生用動画像データのエンコード形式は固定レート(CBR)、可変レート(VBR)のどちらでもよい。
フレーム内符号化情報削除部102は、抽出部101により抽出された各Iピクチャのサイズが再生レートRとなる条件を満足するようなサイズになるように当該Iピクチャから情報を削減する。
【0027】
フレーム再構成部103は、フレーム内符号化情報削除部102による情報削減の結果、再生レートRとなる条件を満足するようなサイズ以下となったIピクチャに対し、当該条件を満足するサイズになるようにパディング符号を挿入するパディング部103aと、Iピクチャ間に動き予測に関するデータを持たない特別なフレーム間順方向予測画像(Pピクチャ)を挿入するフレーム間順方向予測画像挿入部103bから構成されている。
【0028】
動画像属性情報設定部104は、フレーム再構成部103によりパディング符号が挿入されたIピクチャを含む動画像データをデコーダにより再生する際に、再生のスタート及びランダムアクセスが適切に行われるようにするための動画像属性情報を設定することで、トリックプレイ用(早送りまたは逆早送り再生用)動画像データ120を作成する。
【0029】
動画像属性情報設定部104は、再生レートを算出して動画像データのヘッダ(シーケンスヘッダ)に設定する再生レート設定部104aと、各ピクチャ毎にバッファ制御情報としての後述するvbv-delay(vbv:video buffering verifier)の値を計算して対応するピクチャ層のヘッダに設定するバッファ制御情報設定部104bとから構成されている。
【0030】
次に、以上のように構成された画像処理装置の動作を説明する。なお、トリックプレイ用動画像の再生レート及び倍速率は外部からパラメータとして指定される(与えられる)ものとする。
【0031】
まず、画像処理装置100内の抽出部101は、通常再生用動画像データ110からフレーム内符号化画像(Iピクチャ)を抽出する。このIピクチャの抽出方向は、早送り再生用または逆早送り再生用のいずれのトリックプレイ用動画像データ120を作成するかで異なる。抽出部101は、早送り再生用ならば動画像データの先頭側から抽出を開始し、逆早送り再生用ならば動画像データの末尾側から抽出を開始する。
【0032】
フレーム内符号化情報削除部102は、抽出部101により抽出された各Iピクチャを対象に当該Iピクチャの情報を削減することで、当該Iピクチャのサイズを小さくする。Iピクチャの情報の削減は、MPEG2の例では、前述したDCT演算を行った際に得られるDCT係数を削減することにより実現される。
【0033】
ここで、フレーム内符号化情報削除部102によるDCT係数削減方法について説明する。
MPEG2では、DCT係数はマクロブロック毎に存在する。そして、この係数は、DC成分とAC成分とに分けられ、それぞれ独立して量子化される。削除対象とするのはAC成分である。ここではAC成分のうち低周波に相当する係数の一部を残し、高周波に相当する係数は削除する。削除のアルゴリズムについては、各種考えられる。例えば、ピクチャを構成する全マクロブロックから均等に削除するとか、或いはマクロブロック毎に削除する数を変えるなどが適用可能である。また、ヒューリスティックな方法を取ることも可能である。いずれにしても、AC成分のうち高周波成分を削除する方法であれば、どのようなアルゴリズムを用いても構わない。
【0034】
さて、フレーム内符号化情報削除部102は、上記したIピクチャの情報の削減処理を、前記式(2)により求められるIピクチャサイズTS以内になるまで実施する。もし情報削減に失敗した場合には、その旨をフレーム再構成部103に通知する。
【0035】
これによりフレーム再構成部103内のパディング部103aは、フレーム内符号化情報削除部102により削減に成功したIピクチャのみ、即ちIピクチャサイズTS以内になるまで情報が削減されたIピクチャのみを対象に、次式(3)
パディングするサイズ=TS−I’…(3)
TS:式(2)で求めたIピクチャサイズ
I’:削減後のIピクチャサイズ
に従って、パディングを施す。即ち式(3)で算出されるサイズ分のパディング符号を挿入する。
【0036】
このように、IピクチャサイズTS以内になるまで情報が削減されたIピクチャに対してパディング符号を挿入する理由は次の通りである。まず、Iピクチャのサイズはもともと固定ではなく、しかもサイズTS以内になるまで情報が削減されているので、そのままでは、動画像データを指定のビットレート(再生レート)で再生する際にデコード処理量にばらつきが生じ、デコーダ(画像出力)側のバッファのオーバーフロー及びアンダーフローが起こりやすい状態となる。そこで、指定のビットレートで再生した場合に正常なデコード動作が行われるように、Iピクチャのサイズを前記式(2)で算出されるサイズTSに合わせ、パケットデータ長を一定にするために、パディング符号を挿入する。この理由は、前記特願平9−147846号の願書に最初に添付された明細書の詳細な説明の欄の段落0026〜0029に記載されている理由と同様である。
【0037】
さて、パディング部103aによるIピクチャに対するパディング符号の挿入(パディング処理)は、次のように行われる。
まず、前記式(3)で算出されるサイズ(TS−I’)のパディング符号は、一種のダミーデータ(例えば「0」データ)である。このパディング符号(ダミーデータ)がサイズI’(I’<TS)の(情報削減後の)Iピクチャに挿入される(埋め込まれる)。図3はMPEG2画像データの階層構成を示す。同図に示すようにMPEG2画像データはシーケンス層、GOP層、ピクチャ層、スライス層、マクロブロック層、及びブロック層から構成される。MPEG2のES(Elementary Stream)の仕様では、スライス層の始まりを示す開始コードの前に任意の数の0の挿入が許されている。そこで、Iピクチャのこの部分に、前記式(3)で算出されるサイズ(TS−I’)のパディング符号、即ち指定されたビットレートに適合したパディング符号PADを埋め込む。このパディング符号PADが埋め込まれた動画像データのシーケンスを図4に示す。
【0038】
さて、パディング部103aによるパディングが施された動画像データは、早送りまたは逆早送りに係わるトリックプレイ用の動画像データのフレーム構造を有する。この動画像データは、通常再生用動画像データ110から抽出されたIピクチャのうち、フレーム内符号化情報削除部102によってサイズがTS以下まで削減されたIピクチャのみを対象にパディング処理を施し、サイズを一定に揃えることによりデコード処理量が一定化することを狙ったものである。
【0039】
しかし、これだけでは必ずしも十分でない。即ち、通常再生用動画像データ110からIピクチャのみを抽出したことにより、ピクチャ数は減少し、GOP(IピクチャとIピクチャとの間)も変化しているためである。そこでフレーム再構成部103内のフレーム間順方向予測画像挿入部103bは、動き予測に関するデータを持たないPピクチャ(特殊Pピクチャ)をIピクチャ間に挿入する。この特殊Pピクチャは動き予測に関するデータを何ら有さないものなので、Pピクチャの再生画像としては例えば直前のIピクチャと同じものが用いられる。挿入する特殊Pピクチャの数は、指定の倍速率Nに応じて決定される。挿入する特殊Pピクチャの数を変えることで、Iピクチャの処理される時間間隔が変わり、倍速率を変えることができる。
【0040】
ここで、倍速率(トリックプレイの倍率)Nと挿入するPピクチャの数の関係について以下に述べる。
上述したように、MPEG2では、Iピクチャと次のIピクチャとの間のピクチャ数、つまりGOPのサイズが固定であれば、そのサイズの比率がそのままトリックプレイの倍率となる。このため、ストリームGOPの大きさ(GOP内フレーム数)をMとすると、倍速率N、即ちN倍速の早送り動画像データを作成するために挿入するPピクチャ数は、前記式(1)により(M/N)−1で求められる。
【0041】
フレーム間順方向予測画像挿入部103bは、Iピクチャ間に、前記式(1)で算出される数の特殊Pピクチャを挿入すると、その挿入後の動画像データを動画像属性情報設定部104に渡す。
【0042】
動画像属性情報設定部104は、Pピクチャ挿入後の動画像データに対し、デコーダ側のバッファ内のデータ量を安定させるために、再生レート(bps)を次式(4)
再生レート=(I_sz+P_sz×P_num+Hdr_sz)
÷(P_num+1)/Frame …(4)
I_sz:Iピクチャのサイズ(ビット)
P_sz:Pピクチャのサイズ(ビット)
P_num :挿入するPピクチャ数
Hdr_sz :ヘッダのサイズ(ビット)
Frame :1秒あたりの表示ピクチャ数
により計算する。この式(4)に従って算出される再生レートは、指定された再生レートを反映したものであるが、必ずしも当該指定再生レートに一致するとは限らず、Pピクチャ挿入を含むサイズ調整がなされた後の動画像データに適したものとなっている。
【0043】
そこで動画像属性情報設定部104は、式(4)に従って算出した再生レートを指定の再生レートに代えて用い、当該算出した再生レートを動画像データのシーケンスヘッダSH(図4参照)に再設定する。これによりシーケンスヘッダSH中の再生レート(通常再生用の再生レート)が、上記算出した再生レートに更新される。このように再生レートは、フレーム再構成後に正常にデコード(復号)処理ができるように再設定を要する情報である。
【0044】
また動画像属性情報設定部104は、Pピクチャ挿入後の動画像データの各ピクチャ毎にvbv-delay(vbv:video buffering verifier)の値を再計算し、対応するピクチャ層のヘッダに設定する。このようにvbv-delayも再生レートと同様に、フレーム再構成後に正常にデコード処理ができるように再設定を要する情報である。このvbv-delayは、ランダムアクセス時にデコーダ側のバッファ(デコーダバッファ)内のデータ量を調節するために必要とされる一種のバッファ制御情報である。MPEGの規格によれば、このvbv delayは以下の如くに規定されている。
【0045】
vbv_delay:16ビットの符号なし整数。ビットレートが固定の動作の場合、vbv_delayを用いてピクチャのデコードの開始時にデコーダバッファがオーバーフロー或いはアンダーフローを起こさないようにデコーダバッファの初期占有率を設定する。vbv_delayは初期の空の状態から目標とするビットレートRで現在のピクチャがデコーダバッファから除去される直前の正しいレベルまで当該デコーダバッファ(VBVバッファ)を満たすのに必要な時間を計測する。
【0046】
vbv_delayの値はVBVバッファがピクチャ開始コードの最終バイトを受け取った後待たなければならない90KHzシステムクロックの期間の数である。GOP内のn番目(n>0)のピクチャ(ピクチャn)のvbv_delayの値をvbv_delaynとすると、当該vbv_delaynは次式(5)
vbv_delayn=90000*Bn */R …(5)
により算出される。
【0047】
なお、Bn *はピクチャnをバッファから除去する直前であってGOP層データと、シーケンスヘッダSHのデータと、ピクチャnのデータエレメントの直前のpicture_start_code(ピクチャ層の開始コード)を除去した後のビットで測定されたVBV占有率である。
【0048】
Rは1秒間当たりのビット数で表わされるビットレート(再生レート)である。シーケンスヘッダSH内のbit_rateフィールドより符号化された丸め値よりもむしろ完全に正確なビットレートがVBVモデルのエンコーダにより使用される。固定でないビットレート動作の場合、vbv_delayは16進でFFFFの値を有する。
【0049】
例えばある動画像において途中から再生しようとした場合を考える。最初は、出力側のバッファには何のデータも入っていない状態であるので、そのままでは再生できない。したがって、適度な量のデータがバッファ内に溜まるまでデコーダはデコード処理を待たなければならない。その待ち時間に直接関係する値がvbv_delayである。vbv_delayの値の計算は、ピクチャの流れ及び再生レートに依存しているので、Iピクチャのみを抽出したトリックプレイ動画像データの場合、以前の値のままでは、ランダムアクセス時に正常に動作しない(バッファのアンダーフローあるいはオーバーフローが起きる)。したがって、ピクチャ毎にvbv delayを再計算し、新たに設定を行う。これにより、トリックプレイ動画像データをランダムアクセスする際にバッファ内のデータ量を正しく調節でき、正常動作が可能となる。
【0050】
上記のようにしてトリックプレイ用(早送りまたは逆早送り再生用)動画像データ120が作成される。このトリックプレイ用動画像データ120を、デコーダシステムによりデコードし再生することにより、例えばテレビジョン受像機に早送りまたは逆早送り再生された動画像が表示される。このとき、上記式(4)により求められた再生レートによる再生が行われる結果、同一のデータ量の各フレーム(Iピクチャ及びPピクチャ)が同一の再生レートにより再生され、バッファ内のデータ量を安定化することができる。
【0051】
以上に述べたように第1の実施形態の特徴は、通常再生用動画像データより抽出したIピクチャのうち、DCT係数を削減しても目標とするサイズ以下にならないIピクチャはトリックプレイでは表示せず間引いてしまうという手法を適用した点にある。これにより、トリックプレイ時に表示されるピクチャ数が減る場合があり、その際は倍速率に若干揺らぎが生じる。しかし、一方において、より低い再生レートのままでトリックプレイが実現できるようになるという利点がある。しかも、倍速率の若干の揺らぎは、高速のトリックプレイでは視覚的にあまり気になるものではなく、むしろ、ネットワーク上のストリームとして動画像データを流すことを考えた場合に低い再生レートでトリックプレイ用動画像データを送出できるというメリットが大きい。
【0052】
次に第1の実施形態の具体例について図5を参照して説明する。
今、倍速率3倍(N=3)で、再生レートRが指定され、目標IピクチャサイズをTSとし、抽出後のIピクチャをIi、DCT係数削減後のIピクチャをIi’、挿入する特殊PピクチャをPsとする。また、元のシーケンスがGOPサイズ「6」で構成されるものとする。
【0053】
通常再生用動画像データ110のシーケンスが図5(a)に示すように
I1BBPBB I2BBPBB I3BBPBB I4BBPBB I5…
の場合、Iピクチャ抽出後は、図5(b)に示すように
I1 I2 I3 I4 I5 I6 I7…
となる。
【0054】
したがって、DCT係数削減後のシーケンスは、図5(c)に示すように
I1’I2’I3’I4’I5’I6’I7’…
となる。
【0055】
ここで、I3’,I6’>TSであるものとすると、フレーム再構成部103内のフレーム間順方向予測画像挿入部103bでは、図5(d)に示すように
I1’I2’I4’I5’I7’…
が特殊PピクチャPsの挿入の対象として抽出され、最終的には当該PピクチャPsの挿入により、図5(e)に示すように
I1’Ps I2’Ps I4’Ps I5’Ps I7’…
というシーケンスが生成される。
【0056】
[第2の実施形態]
前記第1の実施形態では、DCT係数を削減しても目標とするサイズ以下にならないIピクチャは間引いている。このため、Iピクチャの間引く頻度が高すぎる動画像の場合、シーンが飛びすぎてしまい、視覚的に違和感が生じる可能性がある。
【0057】
そこで、間引いたIピクチャに対し近傍のPピクチャを代用するようにした本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0058】
図6は本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図6の画像処理装置600は、抽出部601、フレーム内符号化情報削除部602、フレーム再構成部603、動画像属性情報設定部604、及びピクチャ挿入部605から構成される。抽出部601、フレーム内符号化情報削除部602、フレーム再構成部603、動画像属性情報設定部604は、図1の画像処理装置100における抽出部101、フレーム内符号化情報削除部102、フレーム再構成部103、動画像属性情報設定部104に相当し、その機能もほぼ同様である。
【0059】
図6の画像処理装置600が図1の構成の画像処理装置100と異なる点は、ピクチャ挿入部605が追加されていることである。このピクチャ挿入部605はフレーム内符号化情報削除部602とフレーム再構成部603の間に設けられ、次に述べるアルゴリズムに従うピクチャ挿入処理を行う。即ちピクチャ挿入部605は、フレーム内符号化情報削除部602よるIピクチャの情報削減に失敗した場合、そのIピクチャの代わりに近傍のPピクチャで適したものがあればそれを挿入する。
【0060】
本実施形態は、MPEGの特性上、Iピクチャの近傍のPピクチャならば、画像としてはIピクチャに近い表示効果を得られる可能性が高いことに着目したものである。このとき近傍のPピクチャの定義と選択対象については幾つかの手法が考えられる。例えば、カレントのGOP内でシーケンス上次のPピクチャを近傍とする第1の定義、或いはカレントのGOP内のPピクチャ全てを近傍のPピクチャとする第2の定義、或いは直前のGOP内(早送り再生の場合)または直後のGOP内(逆早送り再生の場合)とカレントのGOP内のPピクチャを全て近傍とする第3の定義などが考えられる。この第3の定義例を図7に示す。
【0061】
また、近傍のPピクチャが複数ある場合、そのうちのいずれを挿入対象とするか決める(選択する)手法としては、例えば、前記式(2)で求めた目標のサイズTS以下であるPピクチャのうち表示時刻的に(情報削減に失敗したIピクチャに)最も近いものを選ぶ第1の手法、或いは目標のサイズTS以下のPピクチャのうちピクチャサイズの最大のものを選ぶ第2の手法などが適用できる。
【0062】
上記のように近傍のPピクチャの定義と選択を実施した後、もしも条件に見合うPピクチャが全く存在しなかった場合には、近傍のPピクチャはあきらめ、代わりに特殊Pピクチャを挿入するという手法を適用することもできる。但し、この場合、近傍のPピクチャが利用できる場合と比較して映像の違和感は多少大きくなる。
【0063】
以上の手法を用いてピクチャ挿入部605によるPピクチャの挿入処理を実施した後、情報の削減されたIピクチャ、または情報削減に失敗したIピクチャに代えて挿入されたPピクチャに対し、フレーム再構成部603中のパディング部603aがパディングを施し、同じくフレーム間順方向予測画像挿入部603bが指定の倍速率に従い各ピクチャ間に特殊Pピクチャを挿入する。そして、動画像属性情報設定部604が、再生レートを動画像データのシーケンスヘッダへ格納し、各ピクチャ毎にvbv-delayの値を設定する。この一連の処理によりトリックプレイ用(早送りまたは逆早送り再生用)動画像データ620を作成する。
【0064】
以上に述べた第2の実施形態では、指定の再生レートや倍速率での条件を満たせないようなIピクチャがある場合に、それを間引くだけでなく、その代用として間引いたIピクチャと画像的に近い可能性のあるPピクチャを挿入することで、倍速率の揺れを減らし、より視覚的な違和感(飛び飛び感)を抑えることができ、また低い再生レートのトリックプレイ用動画像データを作成できる。
【0065】
次に第2の実施形態の具体例について図8を参照して説明する。
今、倍速率3倍(N=3)で、再生レートRが指定され、目標ピクチャサイズをTSとし、抽出後のIピクチャをIi、DCT係数削減後のIピクチャをIi’、挿入する特殊PピクチャをPsとする。また、元のシーケンスがGOPサイズ「9」で構成されるものとする。
【0066】
通常再生用動画像データ610のシーケンスが
IiBBPi,1BBPi,2BB Ii+1BBPi+1,1BBPi+1,2BB Ii+2…の並びで、Iiの近傍のPをPi,k(k≦2)と定義する。
【0067】
ピクチャ挿入部605は、Ii’>TSのときIi’を間引き、Pi,k≦TSを満たすPピクチャがあれば、それを挿入する。なければ特殊PピクチャPs(Ps≦TS)を挿入する。
【0068】
例えば、ソース映像としての通常再生用動画像データ610のシーケンスが図8(a)に示すように
I1BBP1,1BBP1,2BB I2BBP2,1BBP2,2BB I3BBP3,1BBP3,2BB I4BBP4,1…
の場合、Iピクチャ抽出後は、
I1 I2 I3 I4 I5…
となる。
【0069】
したがって、DCT係数削減後のシーケンスは、図8(b)に示すように
I1’I2’I3’I4’I5’…
となる。
【0070】
ここで、I2’,I4’>TSで、P2,1≦TSで、P4,1,P4,2>TSであるものとすると、削減に失敗したI2’,I4’に代えてP2,1,Psがピクチャ挿入部605により挿入される。したがって、フレーム再構成部603(内のフレーム間順方向予測画像挿入部603b)による特殊PピクチャPs挿入後には、図8(c)に示すように
I1’PsPs P2,2PsPs I3’PsPs PsPsPs I5’…
というシーケンスが生成される。
【0071】
[第3の実施形態]
前記第2の実施形態では、間引かれるIピクチャが多く、近傍のPピクチャが全くない動画像データの場合や、条件を満たさないPピクチャしか存在しないケースが連続する動画像データの場合には、前記第1の実施形態と同様の視覚的違和感が生じる可能性が残る。
【0072】
そこで、Iピクチャを間引かず、更に近傍のPピクチャも挿入して再生レートを調整する手法を適用した、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態で適用される画像処理装置の基本構成は前記第2の実施形態で適用された図6の構成の画像処理装置と同様である。このため以下の説明では、便宜的に図6の構成を援用する。
【0073】
抽出部601は、通常再生用動画像データ610からIピクチャを抽出する。フレーム内符号化情報削除部602は、通常再生用動画像データ610により抽出された各Iピクチャから、当該Iピクチャのサイズが前記式(2)で求めた目標ピクチャサイズTS以下になるようにDCT係数を削減する。このDCT係数削減(情報削減)によってもTS以下にならない場合、フレーム内符号化情報削除部602はオーバーしたサイズのままそのIピクチャを残し、その旨をピクチャ挿入部605に通知する。
【0074】
ピクチャ挿入部605は、TSを超えたサイズのIピクチャに対しては、次のシーケンスとして近傍のPピクチャで適切なものがあればそれを挿入する。近傍のPピクチャの定義や選択手法(選択アルゴリズム)は前記第2の実施形態と同様である。但し、条件となるPピクチャのサイズは、TSではなく次式(6)
挿入条件となるPピクチャのサイズ
=TS−(I’−TS)=2×TS−I’ …(6)
TS:式(2)で求めたIピクチャサイズ
I’ :情報削減後のIピクチャサイズ
により求めた値を使用する。
【0075】
上記式(6)でわかるように、TSを超えたIピクチャをそのまま残したことへの調整を次のPピクチャを用いて行う。近傍のPピクチャを利用する有効性は既に第2の実施形態で述べている。もし、近傍のPピクチャで適切なものがなかった場合は、第2の実施形態と同様に、特殊PピクチャPsを代わりに挿入する。
【0076】
フレーム再構成部603内のパディング部603aは、上記のようにしてピクチャ挿入部605により挿入されたPピクチャ、及びTS以下に情報削減されたIピクチャに対して前記式(3)に従うパディングを行う。なお、Pピクチャに対するパディングでは、式(3)中のI’を当該Pピクチャのサイズに置き換えればよい。またフレーム再構成部603内のフレーム間順方向予測画像挿入部603bは、指定の倍速率Nに応じて決定される数の特殊PピクチャPsを各ピクチャ間に挿入していく。
【0077】
そして動画像属性情報設定部604が、前記式(4)で求められる再生レートを動画像データのシーケンスヘッダSH(図4参照)へ格納し、各ピクチャ毎に前記式(5)で求められるvbv-delayの値を対応するピクチャ層のヘッダに設定する。
以上の一連の処理により、トリックプレイ用動画像データ620が作成される。
【0078】
上記したように本実施形態では、指定した再生レートで要求されるピクチャサイズを満たすことができないIピクチャはDCT係数を削減後の状態で、間引かずそのまま挿入する。そして、再生レートを調整するために、前のIピクチャがオーバーしたサイズを考慮し、条件を満たすような近傍のPピクチャがあれば挿入する。なければ、特殊Pピクチャで調整する。これにより、Pピクチャが挿入された場合、倍速率は若干揺れる場合があるが、視覚的違和感(飛び飛びの感覚)は解消され、より滑らかで、低再生レートのトリックプレイ用動画像データが作成できる。
【0079】
次に第3の実施形態の具体例について図9を参照して説明する。
今、倍速率3倍で、再生レートRが指定され、目標ピクチャサイズをTSとし、抽出後のIピクチャをIi、元のPピクチャをPi,j、DCT係数削減後のIピクチャをIi’、挿入する特殊PピクチャをPsとする。元のシーケンスがGOPサイズ「9」で構成されるものとする。
【0080】
通常再生用動画像データ610のシーケンスが
IiBBPi,1BBPi,2BB Ii+1BBPi+1,1BBPi+1,2BB Ii+2…の並びで、Iiの近傍のPをPi,k(k≦2)と定義する。
【0081】
ピクチャ挿入部605は、Ii’>TSのとき、Pi,k≦(2×TS−Ii’)を満たすPピクチャがあれば、それを挿入する。なければ特殊PピクチャPs(Ps≦(2×TS−I’))を挿入する。
【0082】
例えば、ソース映像としての通常再生用動画像データ610のシーケンス(ソース画像)が図9(a)に示すように
I1BBP1,1BBP1,2BB I2BBP2,1BBP2,2BB I3BBP3,1BBP3,2BB I4BBP4,1…
の場合、Iピクチャ抽出後は、
I1 I2 I3 I4 I5…
となる。
【0083】
したがって、DCT係数削減後のシーケンスは、図8(b)に示すように
I1’I2’I3’I4’I5’…
となる。
【0084】
ここで、I2’,I4’>TSで、P2,2≦(2×TS−I2’)で、P4,1,P4,2>(2×TS−I4’)であるものとすると、削減に失敗したI2’,I4’を間引かず、ピクチャ挿入部605により、次のシーケンスとしてP2,2,Psが挿入される。したがって、フレーム再構成部603(内のフレーム間順方向予測画像挿入部603b)による特殊PピクチャPs挿入後には、図9(c)に示すように
I1’PsPs I2’PsPs P2,2PsPs I3’PsPs I4’PsPs PsPsPs I5’…
となる。
【0085】
以上に述べた各実施形態では、トリックプレイ用動画像データ作成を例にとり説明してきたが、これに限るものではない。例えば本発明は、MPEGの動画像情報をディスクへ格納し、ネットワークへストリーム配信するビデオサーバにも適用が可能である。この場合、トリックプレイ用動画像データをディスクへそのまま格納しておき、ビデオサーバが配信するという方法、或いは、ディスクへ格納された通常再生用動画像データからリアルタイムにトリックプレイ用動画像情報を作成しつつ、ネットワークへ配信するという方法のいずれも適用可能である。
【0086】
一般的に、帯域に制限のあるネットワークへ配信する際には、再生レートは低く且つ高画質であることが、資源の有効利用と映像品質の保証という観点から最も望まれることである。本方式によるトリックプレイの実現がこのような用途に対し効果的であることがわかる。
【0087】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも1つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、フレーム間予測を用いた動画像圧縮方式により符号化された固定レート或いは可変レートの動画像データを扱うものにおいて、通常再生の動画像データを用いて、様々な倍速率や再生レートでのトリックプレイ用動画像データを作成でき、しかもネットワーク送出時に有利となる低ビットレートでのトリックプレイ再生を実現できる。
【0089】
また本発明によれば、画質的にもできる限り元の映像を劣化させない品質を実現し、高速なトリックプレイをより滑らかに見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図2】MPEG2による画像圧縮の原理を示すブロック図。
【図3】MPEG2画像データの階層構成を示す図。
【図4】同第1の実施形態にてパディングされた動画像データの構成を示す図。
【図5】同第1の実施形態の具体例を説明するための図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図7】同第2の実施形態における、情報削減に失敗したIピクチャの近傍のPピクチャの定義例を示す図。
【図8】同第2の実施形態の具体例を説明するための図。
【図9】本発明の第3の実施形態の具体例を説明するための図。
【符号の説明】
100,600…画像処理装置
101,601…抽出部
102,602…フレーム内符号化情報削除部(削除手段)
103,603…フレーム再構成部
103a,603a…パディング部
103b,603b…フレーム間順方向予測画像挿入部
104,604…動画像属性情報設定部
104a,604a…再生レート設定部
104b,604b…バッファ制御情報設定部
110,610…通常再生用動画像データ
120,620…トリックプレイ用動画像データ
605…ピクチャ挿入部(挿入手段)

Claims (3)

  1. フレーム間予測を用いて動画像圧縮を行うことにより符号化された動画像データを固定レート或いは可変レートにより送出する画像処理方法において、
    前記動画像データの先頭または末尾のうち再生方向で決まる側から順にフレーム内符号化画像データを抽出するステップと、
    前記抽出したフレーム内符号化画像データが指定された再生時のビットレートを満足する目標サイズ以下になるように当該フレーム内符号化画像データからDCT係数のAC成分を削減するステップと、
    前記情報を削減されたフレーム内符号化画像データが前記目標サイズ以下にならなかった場合、前記動画像データ内の当該フレーム内符号化画像データの近傍にあるフレーム間順方向予測画像データの中から、当該フレーム内符号化画像データのサイズが前記目標サイズを超えた分を補うサイズのフレーム間順方向予測画像データであって、前記目標サイズの2倍のサイズから当該フレーム内符号化画像データのサイズを減じた値を上限とするサイズのフレーム間順方向予測画像データを抽出し、当該フレーム内符号化画像データの直後に挿入するステップと、
    前記情報を削減されたフレーム内符号化画像データと、前記挿入されたフレーム間順方向予測画像データとが、前記指定された再生時のビットレートを満足するように、それぞれパディング符号を当該画像データに挿入するステップと、
    前記パディング符号が挿入された動画像データのヘッダに対し、前記指定された再生時のビットレートを反映したビットレートを設定するステップと、
    前記パディング符号が挿入された動画像データを再生する際に再生のスタート及びランダムアクセスが適切に行われるようにするためのバッファ制御情報を当該動画像データに含まれている各画像データのピクチャ層のヘッダに設定するステップとを具備することを特徴とする画像処理方法。
  2. 前記パディング符号が挿入された動画像データにおける前記フレーム内符号化画像データ、或いは前記挿入されたフレーム間順方向予測画像データ間に、動き予測に関するデータを持たないフレーム間順方向予測画像データを挿入するステップを更に具備することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  3. フレーム間予測を用いて動画像圧縮を行うことにより符号化された動画像データを固定レート或いは可変レートにより送出する画像処理装置において、
    前記動画像データの先頭または末尾のうち再生方向で決まる側から順にフレーム内符号化画像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段により抽出されたフレーム内符号化画像データが指定された再生時のビットレートを満足する目標サイズ以下になるように当該フレーム内符号化画像データからDCT係数のAC成分を削減する削減手段と、
    前記削減手段により情報が削減されたフレーム内符号化画像データが前記目標サイズ以下にならなかった場合、前記動画像データ内の当該フレーム内符号化画像データの近傍にあるフレーム間順方向予測画像データの中から、当該フレーム内符号化画像データのサイズが前記目標サイズを超えた分を補うサイズのフレーム間順方向予測画像データであって、前記目標サイズの2倍のサイズから当該フレーム内符号化画像データのサイズを減じた値を上限とするサイズのフレーム間順方向予測画像データを抽出し、当該フレーム内符号化画像データの直後に挿入する挿入手段と、
    前記削減手段により情報が削減されたフレーム内符号化画像データと、前記挿入手段により挿入されたフレーム間順方向予測画像データとが、前記指定された再生時のビットレートを満足するように、それぞれパディング符号を当該画像データに挿入するパディング手段と、
    前記パディング手段によりパディング符号が挿入された動画像データのヘッダに対し、前記指定された再生時のビットレートを反映したビットレートを設定する再生レート設定手段と、
    前記パディング手段によりパディング符号が挿入された動画像データを再生する際に再生のスタート及びランダムアクセスが適切に行われるようにするためのバッファ制御情報を当該動画像データに含まれている各画像データのピクチャ層のヘッダに設定するバッファ制御情報設定手段とを具備することを特徴とする画像処理装置。
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